JP4278138B2 - 冷却空洞付き耐摩環 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用ピストンのピストンヘッド部に鋳包まれる、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環に関する。
近年、ディーゼルエンジンは高出力化や小型軽量化等にともなって高速高負荷の傾向にあり、ピストンにおいては熱による負荷が厳しくなってきている。特に、ピストンのトップリング溝(ピストンリング溝)近傍は、圧縮、爆発による熱エネルギーで高温となり、加えて、エンジン潤滑油の炭化や燃焼による煤が発生して付着することによって、シリンダー壁面との間でトップリング溝に装着されるピストンリング(トップリング)が磨耗してピストンリングの機能が低下し、オイル消費量が増大する傾向にある。
このため、このような問題に対処するために、ピストンのピストンヘッド部近傍に、その内周側にピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞(胴環部)を有すると共に、その外周側にトップリング溝を有する耐摩耗性の材料からなる耐摩環を鋳込んだピストンが、従来より提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−231539号公報
ところで、上記特許文献1に開示されている冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンでは、図11に示すように、耐摩環101の内周側に接合した断面がコ字状の鋼板102によって形成される冷却空洞103の高さ(幅)Bは、耐摩環101の高さ(幅)と略同一であり、また、ピストン100の内径方向における燃焼室壁面104と冷却空洞103との間において十分な強度が得られる距離を確保すると、冷却空洞103はその内径方向に十分な奥行きを持つことができなくなる。この結果、冷却空洞103の容積は小さく、内部を還流するエンジンオイルの量も少ないことによって、高い冷却性能を得ることができなかった。
また、近年のディーゼルエンジンは、低排出ガスの要求から燃焼室の径が大きくなると共に、ピストンのトップリング溝の位置が頂面側に上がる傾向にあるため、上記した従来の内周側に冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンでは、図12に示すように、ピストン100の燃焼室壁面104と冷却空洞103との間の距離Cにおいて、十分な強度を得るための距離を確保することが難しかった。この結果、耐摩環101の内径方向に大きな冷却空洞103を設けることができず、高い冷却性能を得ることができなかった。
また、上記した従来の内周側に冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンを製造する際において、冷却空洞部103は、断面がコ字状の1枚の鋼板102をリング状に溶接した後に絞り込み加工によって形成しているが、このような加工は高度な技術と設備が必要であり、コストアップの要因の一つとなっていた。
そこで本発明は、製作が容易でかつ低コストな、冷却オイルを十分に還流させて高い冷却性能を得ることができる冷却空洞付き耐摩環を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、内燃機関用ピストンのピストンヘッド部に鋳包まれる、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環において、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記冷却空洞を形成する上面の前記上板を前記ピストンヘッド部の外周側から内周側に向かって、前記ピストンヘッド部の上面からの距離が離れるように構成し、前記ピストンヘッド部の燃焼室壁面と、前記上板との距離を所定の距離以上となるようにしたことを特徴とするとしている。
また、前記上板は、前記ピストンヘッド部に鋳包まれた際に、前記ピストンヘッド部の上面内周部に形成される燃焼室壁面との間で所定の強度が得られる距離が確保されるように、中間部が前記ピストンヘッド部の内側下方に傾斜した断面形状に加工されていることを特徴としている。
また、前記下板は、前記ピストンヘッド部に鋳包まれた際に、前記上板との間で容積の大きい前記冷却空洞が確保されるように、中間部の断面形状が前記ピストンヘッド部の下方に向けて凹状に加工されていることを特徴としている。
また、前記上板と前記下板は、プレス加工又は絞り加工によって加工されることを特徴としている。
また、前記上板と前記下板の前記各一端側の周縁部を前記耐摩環の表面にそれぞれろう付け又は溶接によって接合すると共に、前記上板と前記下板の前記各他端側の周縁部同士をろう付け又は溶接によって接合することを特徴としている。
本発明によれば、所定の断面形状に加工された鋼板からなる上板と下板の各一端側の周縁部を金属からなる耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、上板と下板の各他端側の周縁部同士を接合することにより、耐摩環の背面に形状の自由度の高い冷却空洞を一体的に形成することができるので、冷却オイルを十分に還流させて高い冷却性能を得ることができる冷却空洞付き耐摩環を容易にかつ安価に提供することができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷却空洞付き耐摩環を配設した内燃機関用ピストン(以下、単にピストンという)を示す断面図である。なお、図1に示す本実施の形態に係るピストン1は、内燃機関の一種であるディーゼルエンジン用のピストンである。
このピストン1のピストンヘッド部2には、トップリング溝(ピストンリング溝)3を有する耐摩耗性を向上させるための耐摩環4が鋳込まれて配設されており、耐摩環4の内周側にはピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞5が一体的に設けられている。ピストンヘッド部2外周のトップリング溝3の下側には、セカンドリング溝6とオイルリング溝7が形成されている。
耐摩環3の内周側(背面)に一体的に設けた冷却空洞5は、ピストンヘッド部2の中心方向に対して斜め下方に向けて少し湾曲するように形成された環状の上板8と、中央部が凹状に湾曲するように形成された環状の下板9との各基端部(ピストン1の外周側の周縁部)を耐摩環4の上面と下面にそれぞれ接合し、上板8と下板9との各先端部(ピストン1の内周側の周縁部)同士を接合することによって構成されている。
次に、上記した本実施の形態に係る冷却空洞5の製造方法を、図2を参照して説明する。
先ず、図1に示したピストン1の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作する。なお、この上板8と下板9の製作は、プレス加工以外に絞り加工によって製作してもよい。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に下方に向むくように外側に向けて曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、その先端面が上板8の先端部8bの内周面と接するように外側に向けて曲げられている。下板9の基端部9aは先端部9bの位置よりも高くなるように形成されている。
そして、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、上板8の他端側の下方に向けて曲げた先端部8bの内周面に下板9の他端側の先端部9bをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型(不図示)内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図1に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストン1が得られる。また、冷却空洞5の下面を形成する下板9の所定位置に、冷却空洞5内にエンジンオイルを供給する供給孔(不図示)と排出する排出孔(不図示)を形成する。
このように本実施の形態では、プレス加工によって所望の形状に加工された上板8と下板9を接合することにより、耐摩環4の背面に設計自由度の高い冷却空洞5を容易に形成することができるので、冷却空洞5を形成する上面の上板8を、図1に示すようにピストンヘッド部2の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲して形成し、ピストンヘッド部2の外周側から内周側に行くに従ってその上面からの距離が離れるようにしているので、燃焼室壁面10との間において十分な強度が得られる所定の距離Aを確保することができる。
また、冷却空洞5を形成する下面の下板9の外周側は、図1に示すように耐摩環3の背面の垂直下方に向けてセカンドリング溝6とオイルリング溝7の内周側に近接する位置まで形成され、中央部が凹状に湾曲するように形成されているので、上板8とによってエンジンオイルを還流するための十分な容積を有する冷却空洞5を、耐摩環4と一体的に低コストで容易に製作することができる。
〈実施の形態2〉
図3は、本発明の実施の形態2に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図3に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に水平方向を向くように曲げられている。下板8の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、基端部9a側を水平状態の耐摩環4の下面に接合した際に水平方向を向くように曲げられ、上板8の先端部8bの下面と接するようにしている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの下面と下板9の先端部9bの上面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態1と同様であり、本実施の形態では省略する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態3〉
図4は、本発明の実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図、図5は、本発明の実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図5に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に垂直下方を向くように曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型(不図示)内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図4に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストン1aが得られる。また、冷却空洞5の下面を形成する下板9の所定位置に、冷却空洞5内にエンジンオイルを供給する供給孔(不図示)と排出する排出孔(不図示)を形成する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態4〉
図6は、本発明の実施の形態4に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8と下板9の形状は、図5に示した実施の形態3と同様の形状である。また、耐摩環4の上面と下面の中央部よりも端部側にかけては、上板8の基端部8aと下板8の基端部9aがそれぞれ接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態5〉
図7は、本発明の実施の形態5に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の基端部8aは、実施の形態3で用いた上板8の基端部8aの長さを短く形成したものであり、下板9の基端部9aは、実施の形態3で用いた下板9の基端部9aを直線状に形成したものである。上板8と下板9の各基端部8a、9a以外の形状は、実施の形態3で用いた上板8と下板9の形状と同様である。
また、耐摩環4の下面の背面側には、下板8の直線状の基端部9aが接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の背面に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態6〉
図8は、本発明の実施の形態6に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8は、実施の形態5で用いた上板8と同様の形状であり、下板9は、実施の形態3で用いた下板9と同様の形状である。また、耐摩環4の形状も実施の形態3で用いた耐摩環4と同様の形状である。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)が装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
〈実施の形態7〉
図9は、本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図、図10は、本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。なお、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における耐摩環4は、図9に示すピストン1bに示すように、その外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6が形成されることにより、実施の形態3の耐摩環4よりも高さが高く形成されている。また、本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の形状は、図8に示した実施の形態6と同様の形状であり、下板9の形状は、図5に示した実施の形態3における下板9に対して、耐摩環4の高さが高くなった分だけ中央部の凹状の湾曲部分の形状が浅くなるように、基端部9aが先端部9bの高さと略同じ高さになるように形成されている。
下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面に上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を一体的に形成する。
なお、この状態では、耐摩環4にはトップリング(不図示)とセカンドリング(不図示)がそれぞれ装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)とその下のセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)とセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型(不図示)内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図9に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6を有し、更に、セカンドリング溝6の下側にオイルリング溝7を有するピストン1bが得られる。また、冷却空洞5の下面を形成する下板9の所定位置に、冷却空洞5内にエンジンオイルを供給する供給孔(不図示)と排出する排出孔(不図示)を形成する。
このように本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した各実施の形態では、ニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4を用いたが、鉄焼結体からなる耐摩環4を用いてもよい。
また、上述した各実施の形態では、上板8と下板9の各基端部8a、9aと耐摩環4との接合、及び各先端部8b、9bとの接合をろう付けで行ったが、一般的な溶接によって接合するようにしてもよい。
更に、上板8と下板9によって形成される冷却空洞5の断面形状は、上述した各実施の形態のような断面形状に限定されることなく任意の形状に形成することができる。
本発明の実施の形態1に係る冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図。 本発明の実施の形態1に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態2に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図。 本発明の実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態4に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態5に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態6に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図。 本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図。 従来例における冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図。 従来例における冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンを示す断面図。
符号の説明
1、1a、1b ピストン
2 ピストンヘッド部
3 トップリング溝
4 耐摩環
5 冷却空洞
6 セカンドリング溝
7 オイルリング溝
8 上板
8a、9a 基端部
8b、9b 先端部
9 下板
10 燃焼室壁面

Claims (5)

  1. 内燃機関用ピストンのピストンヘッド部に鋳包まれる、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環において、
    前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、
    前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し
    前記冷却空洞を形成する上面の前記上板を前記ピストンヘッド部の外周側から内周側に向かって、前記ピストンヘッド部の上面からの距離が離れるように構成し、前記ピストンヘッド部の燃焼室壁面と、前記上板との距離を所定の距離以上となるようにした、
    ことを特徴とする冷却空洞付き耐摩環。
  2. 前記上板は、前記ピストンヘッド部に鋳包まれた際に、前記ピストンヘッド部の上面内周部に形成される燃焼室壁面との間で所定の強度が得られる距離が確保されるように、中間部が前記ピストンヘッド部の内側下方に傾斜した断面形状に加工されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の冷却空洞付き耐摩環。
  3. 前記下板は、前記ピストンヘッド部に鋳包まれた際に、前記上板との間で容積の大きい前記冷却空洞が確保されるように、中間部の断面形状が前記ピストンヘッド部の下方に向けて凹状に加工されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却空洞付き耐摩環。
  4. 前記上板と前記下板は、プレス加工又は絞り加工によって加工される、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却空洞付き耐摩環。
  5. 前記上板と前記下板の前記各一端側の周縁部を前記耐摩環の表面にそれぞれろう付け又は溶接によって接合すると共に、前記上板と前記下板の前記各他端側の周縁部同士をろう付け又は溶接によって接合する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷却空洞付き耐摩環。
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