JP2009243426A - 内燃機関用ピストンのピストンヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】 製作が容易で、且つ、低コストな、冷却オイルを十分に還流させて高い冷却性能を得ることができ、しかも、上板と耐摩環との接合部においてエアホールを生じることがない冷却空洞付き耐摩環を提供する。
【解決手段】 冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を鋳包んだ内燃機関用ピストンのピストンヘッドであって、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記ピストンヘッドの内側から前記耐摩環へのオイル供給路又はオイル排出路を、前記上板と前記下板の接合部を介さずに形成したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を鋳包んだ内燃機関用ピストンのピストンヘッドであって、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記ピストンヘッドの内側から前記耐摩環へのオイル供給路又はオイル排出路を、前記上板と前記下板の接合部を介さずに形成したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関用ピストンのピストンヘッド部に鋳包まれる、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を備えたピストンヘッドに関する。
近年、ディーゼルエンジンは高出力化や小型軽量化等にともなって高速高負荷の傾向にあり、ピストンにおいては熱による負荷が厳しくなってきている。特に、ピストンのトップリング溝(ピストンリング溝)近傍は、圧縮、爆発による熱エネルギーで高温となり、加えて、エンジン潤滑油の炭化や燃焼による煤が発生して付着することによって、シリンダー壁面との間でトップリング溝に装着されるピストンリング(トップリング)が磨耗してピストンリングの機能が低下し、オイル消費量が増大する傾向にある。
このため、このような問題に対処するために、ピストンのピストンヘッド部近傍に、その内周側にピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞(胴環部)を有すると共に、その外周側にトップリング溝を有する耐摩耗性の材料からなる耐摩環を鋳込んだピストンが、従来より提案されている
ところで、上記特許文献1に開示されている冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンでは、図14に示すように、耐摩環101の内周側に接合した断面がコ字状の鋼板102によって形成される冷却空洞103の高さ(幅)Bは、耐摩環101の高さ(幅)と略同一であり、また、ピストンヘッド100の内径方向における燃焼室壁面104と冷却空洞103との間において十分な強度が得られる距離を確保すると、冷却空洞103はその内径方向に十分な奥行きを持つことができなくなる。この結果、冷却空洞103の容積は小さく、内部を還流するエンジンオイルの量も少ないことによって、高い冷却性能を得ることができなかった。
このため、このような問題に対処するために、ピストンのピストンヘッド部近傍に、その内周側にピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞(胴環部)を有すると共に、その外周側にトップリング溝を有する耐摩耗性の材料からなる耐摩環を鋳込んだピストンが、従来より提案されている
ところで、上記特許文献1に開示されている冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンでは、図14に示すように、耐摩環101の内周側に接合した断面がコ字状の鋼板102によって形成される冷却空洞103の高さ(幅)Bは、耐摩環101の高さ(幅)と略同一であり、また、ピストンヘッド100の内径方向における燃焼室壁面104と冷却空洞103との間において十分な強度が得られる距離を確保すると、冷却空洞103はその内径方向に十分な奥行きを持つことができなくなる。この結果、冷却空洞103の容積は小さく、内部を還流するエンジンオイルの量も少ないことによって、高い冷却性能を得ることができなかった。
また、近年のディーゼルエンジンは、低排出ガスの要求から燃焼室の径が大きくなると共に、ピストンのトップリング溝の位置が頂面側に上がる傾向にあるため、上記した従来の内周側に冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンでは、図15に示すように、ピストンヘッド100の燃焼室壁面104と冷却空洞103との間の距離Cにおいて、十分な強度を得るための距離を確保することが難しかった。この結果、耐摩環101の内径方向に大きな冷却空洞103を設けることができず、高い冷却性能を得ることができなかった。
また、上記した従来の内周側に冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンを製造する際において、冷却空洞部103は、断面がコ字状の1枚の鋼板102をリング状に溶接した後に絞り込み加工によって形成しているが、このような加工は高度な技術と設備が必要であり、コストアップの要因の一つとなっていた。
また、上記した従来の内周側に冷却空洞を有する耐摩環を備えたピストンを製造する際において、冷却空洞部103は、断面がコ字状の1枚の鋼板102をリング状に溶接した後に絞り込み加工によって形成しているが、このような加工は高度な技術と設備が必要であり、コストアップの要因の一つとなっていた。
上記課題を解決するために、本出願人は、先に、特許文献2に示す構造の冷却空洞付き耐摩環を提案した。
しかしながら、同文献に示される構造では、図16に示すように、ピストンヘッド100を構成するアルミニウム合金を鋳込んだ後に、アルミニウム合金内側106から、ドリル加工により、冷却空洞103に接続する管路107,108を形成する際に、上板104と下板105との接合部に当たり、切削抵抗が大きくなり、上板104と下板105を構成する鋼板が、アルミニウム合金から剥がされずに残留して前記冷却空洞内103における冷却用オイルの流れを妨げたり、エンジン稼働中に鋼板が剥がれてピストンが破損するという問題があった。
特開平5−231539号公報
特開2005−36771号公報
しかしながら、同文献に示される構造では、図16に示すように、ピストンヘッド100を構成するアルミニウム合金を鋳込んだ後に、アルミニウム合金内側106から、ドリル加工により、冷却空洞103に接続する管路107,108を形成する際に、上板104と下板105との接合部に当たり、切削抵抗が大きくなり、上板104と下板105を構成する鋼板が、アルミニウム合金から剥がされずに残留して前記冷却空洞内103における冷却用オイルの流れを妨げたり、エンジン稼働中に鋼板が剥がれてピストンが破損するという問題があった。
そこで、本発明は、製作が容易で、且つ、低コストな、冷却オイルを十分に還流させて高い冷却性能を得ることができ、しかも、上板と耐摩環との接合部においてエアホールを生じることがない冷却空洞付き耐摩環を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等は、鋭意検討の結果、下記の通り解決手段を見出した。
即ち、本発明の第1の解決手段は、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を鋳包んだ内燃機関用ピストンのピストンヘッドであって、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記ピストンヘッドの内側から前記耐摩環へのオイル供給路又はオイル排出路を、前記上板と前記下板の接合部を介さずに形成したことを特徴とする。
また、第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記上板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記ピストンヘッドの上面内周部に形成される燃焼室壁面との間で所定の強度が得られる距離が確保されるように、中央部が前記ピストンヘッドの内側下方に傾斜した断面形状に加工されていることを特徴とする。
また、第3の解決手段は、第1の解決手段において、前記下板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記上板との間で容積の大きい前記冷却空洞が確保されるように、中央部の断面形状が前記ピストンヘッドの下方に向けて凹状に加工されていることを特徴とする。
また、第4の解決手段は、第1の解決手段において、前記上板の前記耐摩環の表面への接合部において、前記上板の縁部の断面形状を、前記上板の端縁側に向かって下降傾斜させたことを特徴とする。
即ち、本発明の第1の解決手段は、冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を鋳包んだ内燃機関用ピストンのピストンヘッドであって、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記ピストンヘッドの内側から前記耐摩環へのオイル供給路又はオイル排出路を、前記上板と前記下板の接合部を介さずに形成したことを特徴とする。
また、第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記上板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記ピストンヘッドの上面内周部に形成される燃焼室壁面との間で所定の強度が得られる距離が確保されるように、中央部が前記ピストンヘッドの内側下方に傾斜した断面形状に加工されていることを特徴とする。
また、第3の解決手段は、第1の解決手段において、前記下板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記上板との間で容積の大きい前記冷却空洞が確保されるように、中央部の断面形状が前記ピストンヘッドの下方に向けて凹状に加工されていることを特徴とする。
また、第4の解決手段は、第1の解決手段において、前記上板の前記耐摩環の表面への接合部において、前記上板の縁部の断面形状を、前記上板の端縁側に向かって下降傾斜させたことを特徴とする。
本発明によれば、所定の断面形状に加工された鋼板からなる上板と下板の各一端側の周縁部を金属からなる耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、上板と下板の各他端側の周縁部同士を接合することにより、耐摩環の背面に形状の自由度の高い冷却空洞を一体的に形成することができ、この上板と下板の接合部を介さずに、耐摩環内に形成された冷却空洞を接続することにより、冷却オイルを十分に還流させて高い冷却性能を得ることができる内燃機関用ピストンのピストンヘッドを容易にかつ安価に提供することができる。
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷却空洞付き耐摩環を配設した内燃機関用ピストンのピストンヘッドを示す断面図である。尚、図1に示すものは、内燃機関の一種であるディーゼルエンジンに使用される。
このピストンヘッド1の上部2には、トップリング溝(ピストンリング溝)3を有する耐摩耗性を向上させるための耐摩環4が鋳込まれて配設されており、耐摩環4の内周側にはピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞5が一体的に設けられている。上部2の外周のトップリング溝3の下側には、セカンドリング溝6とオイルリング溝7が略平行に隣接して形成されている。
耐摩環3の内周側(背面)に一体的に設けた冷却空洞5は、ピストンヘッド1の中心側から外周面に向かって上方傾斜し、且つ、下側に凹むようにして形成された環状の上板8と、中央部が凹状に湾曲するように形成された環状の下板9との各基端部(ピストンヘッド1の外周側の周縁部)を耐摩環4の上面と下面にそれぞれ接合し、上板8と下板9との各先端部(ピストンヘッド1の内周側の周縁部)同士を接合することによって構成されている。
次に、上記した本実施の形態に係る冷却空洞5の製造方法を、図2を参照して説明する。
先ず、図1に示したピストンヘッド1の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作する。尚、この上板8と下板9の製作は、プレス加工以外に絞り加工によって製作してもよい。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に下方に向むくように外側に向けて曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、その先端面が上板8の先端部8bの内周面と接するように外側に向けて曲げられている。下板9の基端部9aは先端部9bの位置よりも高くなるように形成されている。
そして、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、上板8の他端側の下方に向けて曲げた先端部8bの内周面に下板9の他端側の先端部9bをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図1に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストンヘッド1が得られる。
このように、プレス加工によって所望の形状に加工された上板8と下板9を接合することにより、耐摩環4の背面に設計自由度の高い冷却空洞5を容易に形成することができるので、冷却空洞5を形成する上面の上板8を、図1に示すように上部2の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲して形成し、上部2の外周側から内周側に行くに従ってその上面からの距離が離れるようにしているので、燃焼室壁面10との間において十分な強度が得られる所定の距離Aを確保することができる。
また、冷却空洞5を形成する下面の下板9の外周側は、図1に示すように耐摩環3の背面の垂直下方に向けてセカンドリング溝6とオイルリング溝7の内周側に近接する位置まで形成され、中央部が凹状に湾曲するように形成されているので、上板8とによってエンジンオイルを還流するための十分な容積を有する冷却空洞5を、耐摩環4と一体的に低コストで容易に製作することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷却空洞付き耐摩環を配設した内燃機関用ピストンのピストンヘッドを示す断面図である。尚、図1に示すものは、内燃機関の一種であるディーゼルエンジンに使用される。
このピストンヘッド1の上部2には、トップリング溝(ピストンリング溝)3を有する耐摩耗性を向上させるための耐摩環4が鋳込まれて配設されており、耐摩環4の内周側にはピストン冷却用のエンジンオイルを還流させる冷却空洞5が一体的に設けられている。上部2の外周のトップリング溝3の下側には、セカンドリング溝6とオイルリング溝7が略平行に隣接して形成されている。
耐摩環3の内周側(背面)に一体的に設けた冷却空洞5は、ピストンヘッド1の中心側から外周面に向かって上方傾斜し、且つ、下側に凹むようにして形成された環状の上板8と、中央部が凹状に湾曲するように形成された環状の下板9との各基端部(ピストンヘッド1の外周側の周縁部)を耐摩環4の上面と下面にそれぞれ接合し、上板8と下板9との各先端部(ピストンヘッド1の内周側の周縁部)同士を接合することによって構成されている。
次に、上記した本実施の形態に係る冷却空洞5の製造方法を、図2を参照して説明する。
先ず、図1に示したピストンヘッド1の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作する。尚、この上板8と下板9の製作は、プレス加工以外に絞り加工によって製作してもよい。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に下方に向むくように外側に向けて曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、その先端面が上板8の先端部8bの内周面と接するように外側に向けて曲げられている。下板9の基端部9aは先端部9bの位置よりも高くなるように形成されている。
そして、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、上板8の他端側の下方に向けて曲げた先端部8bの内周面に下板9の他端側の先端部9bをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図1に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストンヘッド1が得られる。
このように、プレス加工によって所望の形状に加工された上板8と下板9を接合することにより、耐摩環4の背面に設計自由度の高い冷却空洞5を容易に形成することができるので、冷却空洞5を形成する上面の上板8を、図1に示すように上部2の燃焼室壁面10の曲面形状に応じて湾曲して形成し、上部2の外周側から内周側に行くに従ってその上面からの距離が離れるようにしているので、燃焼室壁面10との間において十分な強度が得られる所定の距離Aを確保することができる。
また、冷却空洞5を形成する下面の下板9の外周側は、図1に示すように耐摩環3の背面の垂直下方に向けてセカンドリング溝6とオイルリング溝7の内周側に近接する位置まで形成され、中央部が凹状に湾曲するように形成されているので、上板8とによってエンジンオイルを還流するための十分な容積を有する冷却空洞5を、耐摩環4と一体的に低コストで容易に製作することができる。
〈実施の形態2〉
図3は、冷却空洞付き耐摩環の変形例を示す断面図である。尚、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図3に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に水平方向を向くように曲げられている。下板8の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、基端部9a側を水平状態の耐摩環4の下面に接合した際に水平方向を向くように曲げられ、上板8の先端部8bの下面と接するようにしている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの下面と下板9の先端部9bの上面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態1と同様であり、本実施の形態では省略する。
図3は、冷却空洞付き耐摩環の変形例を示す断面図である。尚、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図3に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に水平方向を向くように曲げられている。下板8の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、基端部9a側を水平状態の耐摩環4の下面に接合した際に水平方向を向くように曲げられ、上板8の先端部8bの下面と接するようにしている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの下面と下板9の先端部9bの上面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態1と同様であり、本実施の形態では省略する。
〈実施の形態3〉
図4は、冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンヘッドを示す断面図、図5は、実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図5に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に垂直下方を向くように曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図4に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストンヘッド1aが得られる。
図4は、冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンヘッドを示す断面図、図5は、実施の形態3に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図1、図2に示した実施の形態1の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態は、図5に示すように、中央部が下方に直線的に傾斜している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる上板8と、中央部が凹状に湾曲している環状のオーステナイト系ステンレス鋼板からなる下板9をそれぞれプレス加工よって製作し、この上板8と下板9によって耐摩環4の背面に冷却空洞5を形成している。
上板8の一端側の基端部8aは、耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、上板8の他端側の先端部8bは、基端部8a側を水平状態の耐摩環4の上面に接合した際に垂直下方を向くように曲げられている。下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図4に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3を有し、更に、トップリング溝3の下側にセカンドリング溝6とオイルリング溝7を有するピストンヘッド1aが得られる。
〈実施の形態4〉
図6は、本発明の実施の形態4に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8と下板9の形状は、図5に示した実施の形態3と同様の形状である。また、耐摩環4の上面と下面の中央部よりも端部側にかけては、上板8の基端部8aと下板8の基端部9aがそれぞれ接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
図6は、本発明の実施の形態4に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8と下板9の形状は、図5に示した実施の形態3と同様の形状である。また、耐摩環4の上面と下面の中央部よりも端部側にかけては、上板8の基端部8aと下板8の基端部9aがそれぞれ接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
〈実施の形態5〉
図7は、本発明の実施の形態5に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の基端部8aは、実施の形態3で用いた上板8の基端部8aの長さを短く形成したものであり、下板9の基端部9aは、実施の形態3で用いた下板9の基端部9aを直線状に形成したものである。上板8と下板9の各基端部8a、9a以外の形状は、実施の形態3で用いた上板8と下板9の形状と同様である。
また、耐摩環4の下面の背面側には、下板8の直線状の基端部9aが接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の背面に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
図7は、本発明の実施の形態5に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の基端部8aは、実施の形態3で用いた上板8の基端部8aの長さを短く形成したものであり、下板9の基端部9aは、実施の形態3で用いた下板9の基端部9aを直線状に形成したものである。上板8と下板9の各基端部8a、9a以外の形状は、実施の形態3で用いた上板8と下板9の形状と同様である。
また、耐摩環4の下面の背面側には、下板8の直線状の基端部9aが接合される切欠き部が形成されている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の背面に形成した切欠き部にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
〈実施の形態6〉
図8は、本発明の実施の形態6に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8は、実施の形態5で用いた上板8と同様の形状であり、下板9は、実施の形態3で用いた下板9と同様の形状である。また、耐摩環4の形状も実施の形態3で用いた耐摩環4と同様の形状である。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
図8は、本発明の実施の形態6に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8は、実施の形態5で用いた上板8と同様の形状であり、下板9は、実施の形態3で用いた下板9と同様の形状である。また、耐摩環4の形状も実施の形態3で用いた耐摩環4と同様の形状である。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面の斜め下方に位置するようにして、上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を耐摩環4の背面に一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングが装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。以下の工程は実施の形態3と同様であり、本実施の形態では省略する。
〈実施の形態7〉
図9は、冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンヘッドを示す断面図、図10は、本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における耐摩環4は、図9に示すピストンヘッド1bに示すように、その外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6が形成されることにより、実施の形態3の耐摩環4よりも高さが高く形成されている。また、本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の形状は、図8に示した実施の形態6と同様の形状であり、下板9の形状は、図5に示した実施の形態3における下板9に対して、耐摩環4の高さが高くなった分だけ中央部の凹状の湾曲部分の形状が浅くなるように、基端部9aが先端部9bの高さと略同じ高さになるように形成されている。
下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面に上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングとセカンドリングがそれぞれ装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)とその下のセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)とセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図9に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6を有し、更に、セカンドリング溝6の下側にオイルリング溝7を有するピストンヘッド1bが得られる。
図9は、冷却空洞付き耐摩環を配設したピストンヘッドを示す断面図、図10は、本発明の実施の形態7に係る冷却空洞付き耐摩環を示す断面図である。尚、図4、図5に示した実施の形態3の冷却空洞付き耐摩環と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態における耐摩環4は、図9に示すピストンヘッド1bに示すように、その外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6が形成されることにより、実施の形態3の耐摩環4よりも高さが高く形成されている。また、本実施の形態における、冷却空洞5を形成するためのプレス加工よって製作される上板8の形状は、図8に示した実施の形態6と同様の形状であり、下板9の形状は、図5に示した実施の形態3における下板9に対して、耐摩環4の高さが高くなった分だけ中央部の凹状の湾曲部分の形状が浅くなるように、基端部9aが先端部9bの高さと略同じ高さになるように形成されている。
下板9の一端側の基端部9aは、耐摩環4の下面の中央部よりも端部側に確実にろう付けで接合されるように中央部に対して外側に向けて曲げられており、下板9の他端側の先端部9bは、上板8の先端部8bの内周面と接するように上方に向けて曲げられている。
そして、本実施の形態では、製作された上板8の一端側の基端部8aをニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4の上面の背面上部にろう付けで接合した後、製作された下板9の一端側の基端部9aを耐摩環4の下面の中央部よりも端部側にろう付けで接合すると共に、対向する上板8の先端部8bの内周面と下板9の先端部9bの外周面とをろう付けで接合して、耐摩環4の背面に上板8と下板9によって囲まれた冷却空洞5を一体的に形成する。
尚、この状態では、耐摩環4にはトップリングとセカンドリングがそれぞれ装着されるトップリング溝部分(二点鎖線部分)とその下のセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)は加工されておらず、このトップリング溝部分(二点鎖線部分)とセカンドリング溝部分(二点鎖線部分)よりも前方に長く形成されている。
そして、上記のように冷却空洞5を一体的に形成した耐摩環4を金型内に保持して配置し、アルミ系の金属溶湯を注入して鋳造を行い、その後、得られた鋳造品を所定のピストン形状に切削することにより、図9に示すように、耐摩環4の背面に上板8と下板9とによって形成された冷却空洞5を一体的に具備して、耐摩環4の外周側にトップリング溝3とセカンドリング溝6を有し、更に、セカンドリング溝6の下側にオイルリング溝7を有するピストンヘッド1bが得られる。
次に、上記実施の形態の1〜7に共通する冷却空洞5内にエンジンオイルを供給する供給孔と排出孔について、図11を使用して説明する。尚、上記実施の形態で説明した同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図11(a)及び(b)において、ピストンヘッド1の内側に形成された空間15と、耐摩環4の冷却空洞5との間で、エンジンオイルを供給又は排出するための管路として、供給路16と排出路17が設けられている。
これらの供給路16と排出路17とは、それぞれ、耐摩環4を構成する上板8と下板9との接合部を介さずに、空間15と冷却空洞5とを接続している。
これにより、ドリル加工により、冷却空洞5に接続する供給路16,17を形成する際に、上板8と下板9との接合部に当たり、切削抵抗が大きくなり、上板8と下板9を構成する鋼板が、アルミニウム合金から剥がされずに残留して冷却空洞5内における冷却用オイルの流れを妨げたり、エンジン稼働中に鋼板が剥がれてピストンが破損することを防ぐことができる。
また、上板8と下板9との接合部の幅Wを3mm以上とすることが好ましい。鋳込まれる際、上板8と下板9の接合が不十分の場合、溶湯が空洞部に進入しにくくするとともに、接着強度が高くなるからである。
更に、図12に示すように、上板8及び下板9の接合部分において、供給路16又は排出路17が接続される部位16a(17a)の接合部の幅V(図12(b))は、他の接合部の幅Wに対して狭くすることが好ましい。通常、供給路16の直径は、3〜8mm程度であり、排出路17の直径は、3〜10mm程度であるので、幅Wを3mm以上とすると、幅Vは、(W−1)mm程度とすることが好ましい。
図11(a)及び(b)において、ピストンヘッド1の内側に形成された空間15と、耐摩環4の冷却空洞5との間で、エンジンオイルを供給又は排出するための管路として、供給路16と排出路17が設けられている。
これらの供給路16と排出路17とは、それぞれ、耐摩環4を構成する上板8と下板9との接合部を介さずに、空間15と冷却空洞5とを接続している。
これにより、ドリル加工により、冷却空洞5に接続する供給路16,17を形成する際に、上板8と下板9との接合部に当たり、切削抵抗が大きくなり、上板8と下板9を構成する鋼板が、アルミニウム合金から剥がされずに残留して冷却空洞5内における冷却用オイルの流れを妨げたり、エンジン稼働中に鋼板が剥がれてピストンが破損することを防ぐことができる。
また、上板8と下板9との接合部の幅Wを3mm以上とすることが好ましい。鋳込まれる際、上板8と下板9の接合が不十分の場合、溶湯が空洞部に進入しにくくするとともに、接着強度が高くなるからである。
更に、図12に示すように、上板8及び下板9の接合部分において、供給路16又は排出路17が接続される部位16a(17a)の接合部の幅V(図12(b))は、他の接合部の幅Wに対して狭くすることが好ましい。通常、供給路16の直径は、3〜8mm程度であり、排出路17の直径は、3〜10mm程度であるので、幅Wを3mm以上とすると、幅Vは、(W−1)mm程度とすることが好ましい。
上記実施の形態で説明した上板8と、上板8を耐摩環4の表面への接合に際しては、上板8の縁部の断面形状を、図13(a)に示すように、上板8の端縁側に向かって下降傾斜させることが好ましい。ピストンヘッド1を鋳込む際に、上板8と耐摩環4との接合部にエアホールが生じないからである。また、上板8の縁部の形状は、端縁側に向かって下降傾斜するものであればよく、図13(b)に示すように、端縁の先端部が垂直面を構成していてもよい。
尚、上述した各実施の形態では、ニレジスト鋳鉄からなる耐摩環4を用いたが、鉄焼結体からなる耐摩環4を用いてもよい。
また、上述した各実施の形態では、上板8と下板9の各基端部8a、9aと耐摩環4との接合、及び各先端部8b、9bとの接合をろう付けで行ったが、一般的な溶接によって接合するようにしてもよい。
更に、上板8と下板9によって形成される冷却空洞5の断面形状は、上述した各実施の形態のような断面形状に限定されることなく任意の形状に形成することができる。
また、上述した各実施の形態では、上板8と下板9の各基端部8a、9aと耐摩環4との接合、及び各先端部8b、9bとの接合をろう付けで行ったが、一般的な溶接によって接合するようにしてもよい。
更に、上板8と下板9によって形成される冷却空洞5の断面形状は、上述した各実施の形態のような断面形状に限定されることなく任意の形状に形成することができる。
1、1a、1b ピストン
2 ピストンヘッド部
3 トップリング溝
4 耐摩環
5 冷却空洞
6 セカンドリング溝
7 オイルリング溝
8 上板
8a、9a 基端部
8b、9b 先端部
9 下板
10 燃焼室壁面
15 空間
16 供給路
17 排出路
2 ピストンヘッド部
3 トップリング溝
4 耐摩環
5 冷却空洞
6 セカンドリング溝
7 オイルリング溝
8 上板
8a、9a 基端部
8b、9b 先端部
9 下板
10 燃焼室壁面
15 空間
16 供給路
17 排出路
Claims (4)
- 冷却オイルを還流させる冷却空洞付き耐摩環を鋳包んだ内燃機関用ピストンのピストンヘッドであって、前記冷却空洞の上面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された上板と、前記冷却空洞の下面を形成する鋼板からなる環状の所定の断面形状に形成された下板とを有し、前記上板と前記下板の各一端側の周縁部を金属からなる前記耐摩環の表面にそれぞれ接合すると共に、前記上板と前記下板の各他端側の周縁部同士を接合して、前記耐摩環の背面に、前記上板と前記下板とで囲まれた前記冷却空洞を一体的に形成し、前記ピストンヘッドの内側から前記耐摩環へのオイル供給路又はオイル排出路を、前記上板と前記下板の接合部を介さずに形成したことを特徴とするピストンヘッド。
- 前記上板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記ピストンヘッドの上面内周部に形成される燃焼室壁面との間で所定の強度が得られる距離が確保されるように、中央部が前記ピストンヘッドの内側下方に傾斜した断面形状に加工されていることを特徴とする請求項1に記載のピストンヘッド。
- 前記下板は、前記ピストンヘッドに鋳包まれた際に、前記上板との間で容積の大きい前記冷却空洞が確保されるように、中央部の断面形状が前記ピストンヘッドの下方に向けて凹状に加工されていることを特徴とする請求項1に記載のピストンヘッド。
- 前記上板の前記耐摩環の表面への接合部において、前記上板の縁部の断面形状を、前記上板の端縁側に向かって下降傾斜させたことを特徴とする請求項1に記載のピストンヘッド。
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Cited By (2)
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JP2011256742A (ja) * | 2010-06-07 | 2011-12-22 | Toyota Motor Corp | ピストンの冷却システム |
CN108626393A (zh) * | 2017-03-16 | 2018-10-09 | 罗伯特·博世有限公司 | 储油活塞 |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008093721A patent/JP2009243426A/ja not_active Withdrawn
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CN108626393A (zh) * | 2017-03-16 | 2018-10-09 | 罗伯特·博世有限公司 | 储油活塞 |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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