JP2010144580A - ピストン冷却流路形成用環状体、ピストン用クーリングチャンネル形成方法、及び内燃機関用ピストン - Google Patents

ピストン冷却流路形成用環状体、ピストン用クーリングチャンネル形成方法、及び内燃機関用ピストン Download PDF

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Abstract

【課題】ピストン冷却流路形成用環状体を埋設したピストンにおいて油路の開口加工時に開口周りの接合面に生じた剥離が内燃機関等に適用された後に拡大することを阻止する。
【解決手段】ピストン冷却流路形成用環状体10は、その壁部に形成された開口形成位置12が、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の軸方向に沿って形成された軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている。したがって開口周りの壁部が、ピストン本体4との接合面から剥がれても、ピストン本体4の往復運動によりその剥がれが周囲の軸方向壁部16に到達すると、往復運動による慣性力は、軸方向壁部16に対しては剥離力から剪断力へと変化する。このため軸方向壁部16とピストン本体4との接合面の剥離はこれ以上拡大せず、剥離を阻止できる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ピストン内に埋設されることでピストン内部に冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用環状体、これを用いたピストン用クーリングチャンネル形成方法及び内燃機関用ピストンに関する。
内燃機関運転時に高温化するピストンを冷却するためにピストン内にオイルを流通させるクーリングチャンネルが形成されることがある(例えば特許文献1,2参照)。このクーリングチャンネルの形成手法としては、ピストン内にピストン冷却流路形成用の環状体を鋳込むなどして埋設し、その後、この環状体内の冷却流路用空間に貫通するように、ピストン外部からドリル等の機械加工にて穿孔することで連通路及び開口を形成している。
特開平4−203463号公報(第2−3頁、図1−4) 特開2007−132300号公報(第3−4頁、図1−3,6)
このようにドリル等の機械加工にて穿孔する場合、穿孔が終了間近となりピストンから環状体にドリル刃が移行すると、環状体にはピストンとの接合面から剥離される方向の力がドリル刃から与えられることになる。
このため穿孔完了後には、ピストンと環状体との接合面、特に穿孔された開口周りに剥離部分が生じることがある。この剥離幅が大きい場合には、ピストンが内燃機関に組み込まれた後に内燃機関運転に伴ってピストンが往復運動を行うと、剥離部分と接合部分との境界部分に慣性力振動による応力が集中して剥離部分が拡大するおそれがある。
特にピストンとしてアルミニウム合金内に鉄合金製の環状体を鋳込んだ場合には、アルミニウム合金穿孔用のドリルにてそのまま環状体まで穿孔すると環状体の剥離が生じ易い。このためアルミニウム合金を穿孔した後に鉄合金穿孔用のドリルに取り替えるといった作業性上の問題が発生し、剥離を生じさせずに効率的に穿孔処理することは困難である。又、例えドリルを鉄合金穿孔用に取り替えても完全に剥離を防止できるとは限らない。
特許文献1,2では、追加的な放電加工や内部空間膨出部の存在により、穿孔加工時のバリ発生によるクーリングチャンネル内でのオイル流動性低下を防止することはできる。しかし剥離に対する対処、特にピストンを内燃機関に適用した場合における剥離の拡大阻止については対策がなされていない。
本発明は、ピストン冷却流路形成用環状体を埋設したピストンにおいて、ピストン冷却流路形成用環状体の開口加工時に開口周りの接合面に剥離を生じたとしても、その接合面の剥離拡大を阻止することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載のピストン冷却流路形成用環状体は、ピストン内に埋設されることでピストン内部に冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用環状体であって、外部と冷却媒体の給排を行う開口を形成するために壁部に設けられた開口形成位置は、この開口形成位置が、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることを特徴とする。
本発明のピストン冷却流路形成用環状体は、壁部に設けられた開口形成位置は前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている。このピストン冷却流路形成用環状体をピストン内に埋設し、ピストン外部から開口形成位置に開口を形成した場合にも、開口周りにてピストンとの接合面から剥がれることがある。
したがって、このように開口周りにて壁部が剥がれたピストンが内燃機関等に適用された場合には、ピストンの往復運動により、開口周辺では前述したごとく剥がれた壁部に対してその剥離部分を拡大する力が作用する。したがって軸方向壁部より中央側の壁部については剥離部分は一時的に拡大することになる。
しかし、その剥離が開口形成位置の周りに形成されている軸方向壁部に到達すると、剥がれた壁部の慣性力振動による応力は、軸方向壁部とピストンとの接合面に平行なものとなる。このため前記応力は剥離部分と接合部分との境界部分に集中せず、剥離力は極めて小さくなり、前記応力のほとんどは軸方向壁部とピストンとの接合面全体に対する剪断力に変化する。この剪断力によって接合部を破壊する場合は、剥離力とは比較にならないほど極めて大きな力が必要となる。このため実際には軸方向壁部とピストンとの接合面ではこれ以上剥離が拡大することはない。
このことから本発明によれば、ピストン冷却流路形成用環状体を埋設したピストンにおいて、ピストン冷却流路形成用環状体の開口加工時に開口周りの接合面に剥離を生じたとしても、その接合面の剥離拡大を阻止することができる。
請求項2に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項1に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、前記開口形成位置は、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向にて前記開口形成位置の壁部全体が内側に窪んだ凹部を形成していることにより、前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることを特徴とする。
このように開口形成位置は、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向にて、その壁部全体が内側に窪んだ凹部を形成したものとしても良い。このことにより、容易に、開口形成位置が前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状とすることができる。
したがってピストン内に埋設されたピストン冷却流路形成用環状体に対して、内側に窪んだ凹部状の開口形成位置に対して開口を形成したことにより、開口周りで壁部がピストンとの接合面から剥がれても、その剥がれが凹部周囲の軸方向壁部に到達すると、前述したごとくその拡大が停止し、接合面の剥離拡大を阻止することができる。
請求項3に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項1又は2に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は金属製であり、前記開口形成位置及び前記軸方向壁部の形状はプレス加工により形成されていることを特徴とする。
このようにピストン冷却流路形成用環状体が金属製であれば、前述したごとくの開口形成位置及びその周囲の軸方向壁部の形状はプレス加工により容易に形成することができる。
請求項4に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項1〜3のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は金属製であり、前記開口形成位置及び前記軸方向壁部以外の形状は金属板を曲げ加工することにより形成されていることを特徴とする。
このようにピストン冷却流路形成用環状体が金属製であれば、ピストン冷却流路形成用環状体における開口形成位置及び軸方向壁部以外の形状については、金属板の曲げ加工にて容易に形成することができる。
請求項5に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項4に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、前記曲げ加工は、プレス加工又はロール加工であることを特徴とする。
曲げ加工は、プレス加工又はロール加工にて実現でき、金属板からピストン冷却流路形成用環状体を容易に形成することができる。
請求項6に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストンはアルミニウム合金製であり、鉄合金製のピストン冷却流路形成用環状体自身が鋳込まれることで前記ピストン内に埋設されるものであることを特徴とする。
このように鉄合金製のピストン冷却流路形成用環状体がアルミニウム合金製のピストンに鋳込まれる場合に、前述した開口周りでの剥離が生じ易くなるが、開口形成位置が前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることにより、剥離したとしても剥離の拡大を阻止できる。
請求項7に記載のピストン冷却流路形成用環状体では、請求項6に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は、ピストンの外周面に一部が露出する耐摩環の背後に一体化されて前記冷却流路を形成した状態にて鋳込まれることにより、ピストン内に埋設されるものであることを特徴とする。
このようにピストン冷却流路形成用環状体は、耐摩環と共に冷却流路を形成した状態にてピストン内に埋設されるものとすることができ、小型のピストン内の狭隘な場所にも容易に配置できると共に、前述したごとく剥離の拡大を阻止できる。
請求項8に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体を、ピストン内に埋設した後に、ピストン底面側からドリル刃により前記開口形成位置に向けて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行う連通路及び前記開口を形成することを特徴とする。
このようなピストン用クーリングチャンネル形成方法により、前述したピストン冷却流路形成用環状体をピストン内に埋設してクーリングチャンネル用の空間を形成した後にドリル刃により開口形成位置に向けて穿孔した場合に開口周りに剥離が生じたとしても、前述したごとく剥離の拡大を阻止できる。
したがってピストン内にクーリングチャンネルが存在していても、上述のごとくクーリングチャンネルが形成されることにより、冷却効率が高く、かつ耐久性の高いピストンにすることができる。
請求項9に記載の内燃機関用ピストンは、請求項8に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法にて形成されたピストン用クーリングチャンネルを有することを特徴とする。
このようなピストン用クーリングチャンネルを有することにより、冷却効率が高く、かつ耐久性の高い内燃機関用ピストンを実現できる。
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたピストン2の縦断面図である。このピストン2は、内燃機関、ここではディーゼルエンジンに用いられるものであり、アルミニウム合金からなるピストン本体4にクーリングチャンネル付耐摩環6を鋳込んである。
クーリングチャンネル付耐摩環6は耐摩環本体8とピストン冷却流路形成用環状体10とから構成されている。
耐摩環本体8は図2に示すごとくの鉄合金製の環状体であり、外周面8aにはトップリング溝8bが形成されている。図2の(a)は正面図、(b)は斜視図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
ピストン冷却流路形成用環状体10は、ピストン2に埋設される前の形状は、図3に示すごとくの鉄合金製の環状体であり、板材を曲げ加工して断面U字状に形成されている。図3の(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図、(d)は平面図、(e)は底面図である。このピストン冷却流路形成用環状体10には、底面側に軸回りに150°の間隔で2ヶ所、開口形成位置12が設けられている。
図4の拡大縦断面図に示すごとく、各開口形成位置12は、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の中心軸Xに沿った方向に、開口形成位置12における壁部全体が内側に窪んだ凹部14を形成している。このことにより、各開口形成位置12は、中心軸Xに沿った方向に形成された軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状となっている。尚、図4の(a)は図3におけるA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。又、前記図1の断面図についても、この2ヶ所の開口形成位置12を通過する断面にて示している。
図2に示した構成の耐摩環本体8の内周面8cに対して、ピストン冷却流路形成用環状体10は外周端縁部10a,10bを接合することにより耐摩環本体8と一体化され、図5に示すごとくのクーリングチャンネル付耐摩環6を形成している。この接合は、例えば溶接にてなされる。この接合により、耐摩環本体8とピストン冷却流路形成用環状体10との間には、図6の縦断面図に示すごとく環状の冷却流路用空間18が形成されることになる。
このクーリングチャンネル付耐摩環6がアルミニウム合金にて鋳込まれ、更に切削などの加工により外形が加工されて、図6に示したごとくのピストン本体4が形成される。このようにクーリングチャンネル付耐摩環6が鋳込まれているピストン本体4に対して、図7の(a)、(b)に示す部分拡大図のごとく、下方からドリル刃20にて2ヶ所の開口形成位置12に向かって穿孔加工することにより、図1に示したごとくのオイル導入孔22及びオイル排出孔24とを形成する。
軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている2ヶ所の開口形成位置12は、それぞれオイル導入孔22及びオイル排出孔24の穿孔加工の最後に開口される。このように各開口形成位置12は、外部と冷却媒体(ここではオイル)の給排を行う開口を形成するための開口形成位置となっている。
したがってドリル加工において、ドリル刃20の先端はピストン本体4を穿孔した最後に、図7の(b)に示したごとく各開口形成位置12を貫通する。このことにより図8の拡大図(a)に示すごとく、環状の冷却流路用空間18に開放する開口22a,24aを形成して、冷却流路用空間18への連通路としてオイル導入孔22及びオイル排出孔24を完成する。このことにより冷却流路用空間18は実際に冷却流路26となる。
このようにして図1に示したピストン2が完成する。このピストン2を内燃機関、ここではディーゼルエンジンに適用することにより、オイル導入孔22には下方のシリンダブロック側に設けられた破線(図1)で示すオイル噴射口28からオイル噴射がなされ、オイル導入孔22から開口22aを介して冷却流路26内にオイルが導入される。そして冷却流路26内を流れたオイルは、開口24aからオイル排出孔24を介して、ピストン2の下側に排出される。
ピストン冷却流路形成用環状体10は次のように成形される。すなわち、まず、図9の平面図に示すごとく、鉄合金製の金属板である板状環状体30に対して、前述したごとくに開口22a,24aを形成するための開口形成位置12にプレス加工にて凹部14を形成する。
このように凹部14が形成された板状環状体30を、凹部14以外の部分についてプレスやロールなどによる曲げ加工により、図3,4に示したピストン冷却流路形成用環状体10の全体形状に加工する。
尚、板状環状体30の全体に対する曲げ加工の後に、プレス加工にて凹部14を形成しても良い。
このように形成されたピストン冷却流路形成用環状体10を、耐摩環本体8の内周面8cに溶接することによりクーリングチャンネル付耐摩環6が完成する。
このクーリングチャンネル付耐摩環6は、前述したごとく耐摩環本体8の外周面8aが外側に露出した状態でピストン本体4内に鋳込まれる。
このようにして形成されたピストン本体4が内燃機関に適用されると、内燃機関運転時にはピストン本体4に鋳込まれたクーリングチャンネル付耐摩環6はその全体の軸方向(中心軸Xと同じ)において振動する。このことによりピストン冷却流路形成用環状体10の開口形成位置12に対してもピストン冷却流路形成用環状体10全体の中心軸Xに沿った方向での振動が加えられることになる。
ピストン冷却流路形成用環状体10の開口形成位置12においては、図7に示したごとくドリル加工によりピストン本体4の下側から開口22a,24aが穿孔されており、図8の(a)に示したごとく開口22a,24a周りにおいて壁部の縁部22b,24bがピストン本体4から剥離している可能性がある。図8の(a)では、鋳込み時に開口形成位置12に注入されたアルミニウム合金溶湯により形成されたピストン本体4の凸部4aの先端面4bから、ピストン冷却流路形成用環状体10の縁部22b,24bが開口22a,24a周りにて剥離している状態を示している。
この状態で内燃機関のシリンダ内にてピストン2が往復運動することにより慣性力振動がピストン冷却流路形成用環状体10に加わると、縁部22b,24bの慣性力により凸部4aの先端面4bに対して縁部22b,24bを垂直に分離する力、すなわち剥離力が生じ、縁部22b,24bと先端面4bとの間の剥離が外側に拡大する。
そして剥離が先端面4bの外周側の角部Pに到達すると、ピストン冷却流路形成用環状体10とピストン本体4との接合面は、軸方向壁部16と凸部4aの外周面4cとの間となる。この外周面4cは鋳込み時に軸方向壁部16の形状に対応したものとなっており、軸方向(中心軸X方向と同じ)に沿った面である。このためピストン2の往復運動により縁部22b,24bの慣性力により生じる力は、剥離力ではなく剪断力となる。
この剪断力は、軸方向壁部16と凸部4aとを接合面に沿って破壊する力であるが、この剪断破壊には極めて大きな力が必要となる。このため実際には、凸部4aに対するピストン冷却流路形成用環状体10の分離は外側の角部Pの位置で停止することになる。
背景技術における前記特許文献2では、開口形成位置周りの段差は、剥離拡大を対策するためのものではないので、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部とは異なる壁部がある。このため前記特許文献2の構成では、本実施の形態のごとくの剥離力の大きな低減効果は生じることはなく、剥離の拡大を阻止できない。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ピストン冷却流路形成用環状体10は、その壁部に形成された開口形成位置12が、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の軸(中心軸X)方向に沿った方向に形成された軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている。したがって前述したごとく、ピストン本体4内に埋設された状態のピストン冷却流路形成用環状体10に対して、その開口形成位置12に、図7に示したごとく機械加工(ここではドリル加工)にて開口22a,24aを形成した場合に、開口22a,24a周りの壁部は、ピストン本体4との接合面から剥がれることがある。
このような剥がれが図8の(a)に示したごとく生じると、この剥がれ部分が、内燃機関のピストン2として往復運動することにより次第に拡大するおそれがある。
しかし図8の(b)に示したごとく、その剥がれが周囲の軸方向壁部16に到達すると、振動する慣性力は、軸方向壁部16に対して剥離力を生じない方向、すなわち剪断力となる。このため軸方向壁部16を凸部4aから剥離する力はほとんど無くなり、あるいは全く無くなり、軸方向壁部16とピストン本体4との接合面の剥離はこれ以上拡大しない。
このことからピストン冷却流路形成用環状体10をピストン本体4に埋設することにより形成したピストン2は、ドリル加工などの機械加工によってピストン冷却流路形成用環状体10に開口22a,24aを形成しても、開口22a,24a周りでの接合面の剥離を拡大させることがない。
(ロ).開口形成位置12は、その壁部全体が中心軸X方向にて内側に窪んだ凹部14として形成されている。このことにより、プレス加工などにより、開口形成位置12が軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状を、容易に実現することができる。
更にピストン冷却流路形成用環状体10において、開口形成位置12以外の形状については、プレスやロールなどによる曲げ加工にて容易に形成することができる。
(ハ).ピストン2は、鉄合金製のピストン冷却流路形成用環状体10がアルミニウム合金製のピストン本体4に鋳込まれることで形成されている。このため開口22a,24aを穿孔する際に前述した剥離が生じ易くなるが、このような場合も、開口形成位置12が軸方向壁部16を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることにより、剥離したとしても前述のごとく剥離拡大を阻止できる。
(ニ).ピストン冷却流路形成用環状体10は、耐摩環本体(請求項の耐摩環に相当)8と共に冷却流路26を形成した状態にてピストン本体4内に埋設されている。このためピストン2が小型化されたものであっても、そのピストン2内の狭隘な場所にも容易に配置できると共に、効果的に剥離拡大を阻止できる。
(ホ).前述したごとくピストン用クーリングチャンネル形成方法として、ピストン冷却流路形成用環状体10をピストン本体4内に埋設してクーリングチャンネル用の冷却流路用空間18を形成し、その後にドリル刃20により開口形成位置12に向けて穿孔することでピストン用クーリングチャンネルを形成している。このようなピストン用クーリングチャンネル形成方法により、前述した剥離が生じたとしても、前述したごとくその拡大を阻止できる。したがってクーリングチャンネルを備えたピストンとして冷却効率が高いと共に、耐久性の高い内燃機関用のピストン2を実現できる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1においては、凹部14は、ピストン冷却流路形成用環状体10全体の中心軸Xに沿った方向にて、その壁部全体を内側に窪ませたものであったが、外側に突出させたものであっても良い。このことによっても開口形成位置がピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状を実現することができる。この形状では冷却流路を狭めないので、冷却流路内でのオイルの流れが、より円滑なものとなる。
更に凹部14は円柱状に窪ませていたが、他の形状、例えば角柱状にあるいは楕円柱状に窪ませても良く、他の断面形の柱状としても良い。
(b).前記実施の形態1ではピストン冷却流路形成用環状体10は耐摩環本体8と一体化されたクーリングチャンネル付耐摩環6がピストン本体4内に鋳込まれることにより埋設されていたが、冷却流路用空間を内部に有するピストン冷却流路形成用環状体を、ピストン本体内に単独に鋳込んだ構成としても良い。
(c).前記実施の形態1ではディーゼルエンジンに適用したピストンの例を示したが、ガソリンエンジンのピストンにも適用できる。
実施の形態1のピストンの縦断面図。 実施の形態1の耐摩環本体の構成説明図。 実施の形態1のピストン冷却流路形成用環状体の構成説明図。 実施の形態1のピストン冷却流路形成用環状体の拡大縦断面図。 実施の形態1のクーリングチャンネル付耐摩環の構成説明図。 実施の形態1のオイル導入孔、オイル排出孔及び開口形成前のピストン本体及びクーリングチャンネル付耐摩環の縦断面図。 実施の形態1のピストン本体及びクーリングチャンネル付耐摩環に対するオイル導入孔、オイル排出孔及び開口の形成説明図。 実施の形態1の作用・効果の説明図。 実施の形態1の板状環状体の平面図。
符号の説明
2…ピストン、4…ピストン本体、4a…凸部、4b…先端面、4c…外周面、6…クーリングチャンネル付耐摩環、8…耐摩環本体、8a…外周面、8b…トップリング溝、8c…内周面、10…ピストン冷却流路形成用環状体、10a,10b…外周端縁部、12…開口形成位置、14…凹部、16…軸方向壁部、18…冷却流路用空間、20…ドリル刃、22…オイル導入孔、24…オイル排出孔、22a,24a…開口、22b,24b…縁部、26…冷却流路、28…オイル噴射口、30…板状環状体、P…角部、X…中心軸。

Claims (9)

  1. ピストン内に埋設されることでピストン内部に冷却媒体流通のための冷却流路を形成するピストン冷却流路形成用環状体であって、
    外部と冷却媒体の給排を行う開口を形成するために壁部に設けられた開口形成位置は、この開口形成位置が、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向に形成された軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  2. 請求項1に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、前記開口形成位置は、ピストン冷却流路形成用環状体全体の中心軸に沿った方向にて前記開口形成位置の壁部全体が内側に窪んだ凹部を形成していることにより、前記軸方向壁部を介して段差状態で周囲の壁部に包囲されている形状であることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  3. 請求項1又は2に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は金属製であり、前記開口形成位置及び前記軸方向壁部の形状はプレス加工により形成されていることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は金属製であり、前記開口形成位置及び前記軸方向壁部以外の形状は金属板を曲げ加工することにより形成されていることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  5. 請求項4に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、前記曲げ加工は、プレス加工又はロール加工であることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストンはアルミニウム合金製であり、鉄合金製のピストン冷却流路形成用環状体自身が鋳込まれることで前記ピストン内に埋設されるものであることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  7. 請求項6に記載のピストン冷却流路形成用環状体において、ピストン冷却流路形成用環状体自身は、ピストンの外周面に一部が露出する耐摩環の背後に一体化されて前記冷却流路を形成した状態にて鋳込まれることにより、ピストン内に埋設されるものであることを特徴とするピストン冷却流路形成用環状体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストン冷却流路形成用環状体を、ピストン内に埋設した後に、ピストン底面側からドリル刃により前記開口形成位置に向けて穿孔することで外部と前記冷却流路との間で冷却媒体の給排を行う連通路及び前記開口を形成することを特徴とするピストン用クーリングチャンネル形成方法。
  9. 請求項8に記載のピストン用クーリングチャンネル形成方法にて形成されたピストン用クーリングチャンネルを有することを特徴とする内燃機関用ピストン。
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