JP4382637B2 - シリンダブロック、エンジン、自動車両およびシリンダブロックの製造方法 - Google Patents

シリンダブロック、エンジン、自動車両およびシリンダブロックの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリンダブロックおよびその製造方法に関し、特に、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロックおよびその製造方法に関する。また、本発明は、そのようなシリンダブロックを有するエンジンや自動車両にも関する。
近年、エンジンの軽量化を目的としてシリンダブロックのアルミニウム合金化が進んでいる。シリンダブロックには、高い強度や高い耐磨耗性が要求されるため、シリンダブロック用のアルミニウム合金としては、シリコンを多く含有するアルミニウム合金が有望視されている。
シリンダブロックは、オープンデッキ型とクローズドデッキ型とに大別される。図9(a)および(b)に、オープンデッキ型のシリンダブロック100を示す。シリンダブロック100は、シリンダボア102を画定する壁部(「シリンダボア壁」と呼ぶ)103と、シリンダボア壁103を包囲し、シリンダブロック100の外郭を構成する壁部(「シリンダブロック外壁」と呼ぶ)104とを有している。シリンダボア壁103とシリンダブロック外壁104との間には、冷却液を保持する空間(「ウォータジャケット」と呼ばれる)105が設けられている。
オープンデッキ型のシリンダブロック100は、図9(a)および(b)に示すように、ウォータジャケット105の上端部(シリンダヘッド側の端部)が外部に開放されているため、ダイキャスト法によって一体成形することが容易である。
しかしながら、オープンデッキ型のシリンダブロック100では、シリンダボア壁103がその下端部だけでシリンダブロック100に固定されているので、シリンダボア壁103の剛性を確保しにくく、剛性を確保するためにはシリンダボア壁103を厚く形成する必要がある。シリンダボア壁103を厚く形成することは、冷却性の低下を招いてしまう。
そこで、図10に示すように、ウォータジャケット105の上端部において、シリンダボア壁103とシリンダブロック外壁104とを連結するように複数の連結部材108をシリンダブロック100に溶接する手法が提案されている(例えば特許文献1)。
この手法によれば、シリンダボア壁103はその上端部においてもシリンダブロック100に固定されるので、シリンダボア壁103の剛性を確保しやすく、シリンダボア壁103の薄肉化を図ることができる。なお、ウォータジャケット105の上端部のうち、連結部材108が設けられていない部分は、冷却液をシリンダヘッド側に導く通路として機能する。
国際公開第2004/002658号パンフレット (第23−24頁、第13図)
しかしながら、本願発明者がアルミニウム合金製のシリンダブロックに上記の手法を試用したところ、溶接を歩留まりよく行えないことがわかった。これは、上記の手法を用いた場合、連結部材108を1つずつ溶接していくことになり、連結部材108ごとに溶接条件が変化してしまうからである。また、アルミニウム合金が一般的な鉄鋼材料に比べて溶接が難しいことも原因である。シリコンの含有率が高いアルミニウム合金は特に溶接性が悪く、溶接むらが発生しやすいため、シリコンの含有率が高いアルミニウム合金からシリンダブロックを形成する場合には、上述したような溶接の歩留まりの低下はさらに顕著となる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロックを歩留まりよく製造することができるシリンダブロックの製造方法を提供することにある。
本発明によるシリンダブロックの製造方法は、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロック本体であって、シリンダボアを画定するシリンダボア壁と、前記シリンダボア壁を包囲するシリンダブロック外壁と、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間に設けられ、上端部が開放されたウォータジャケットとを有するシリンダブロック本体を用意する工程(a)と、前記ウォータジャケットの上端部の略全部を覆うように蓋部材を配置した後、前記蓋部材を前記シリンダボア壁および前記シリンダブロック外壁に溶接する工程(b)と、前記工程(b)の後に、冷却液を通すための少なくとも1つの開口部を前記蓋部材に形成する工程(c)とを包含し、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体は、シリンダヘッドを前記シリンダブロック本体に取り付けるためのボルトを通すボルト孔を有し、前記工程(b)において、前記開口部は、前記シリンダボアの中心軸と前記ボルト孔とを結ぶ直線上に形成される。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体の上方から見たとき、前記少なくとも1つの開口部の面積の合計は、前記蓋部材の前記開口部以外の部分の面積よりも小さい。
ある好適な実施形態において、前記シリンダボア壁は、シリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記シリンダボア壁は、シリコンを16質量%以上含むアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記蓋部材は、前記シリンダボア壁を形成するアルミニウム合金よりもシリコン含有率の低いアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体は、前記蓋部材が配置される部分において、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間隔がシリンダヘッド側に向かうにつれて広くなる形状を有している。
ある好適な実施形態において、前記蓋部材は、シリンダヘッド側に向かうにつれて幅が狭くなる形状を有している。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体はダイキャスト法によって一体成形されている。
本発明によるエンジンは、上記のシリンダブロックの製造方法によって製造されたシリンダブロックを有している。
本発明による自動車両は、上記構成を有するエンジンを備えている。
本発明によるシリンダブロックは、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロック本体であって、シリンダボアを画定するシリンダボア壁と、前記シリンダボア壁を包囲するシリンダブロック外壁と、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間に設けられ、上端部が開放されたウォータジャケットとを有するシリンダブロック本体と、前記ウォータジャケットの上端部を覆うように前記シリンダブロック本体に溶接された蓋部材とを有し、前記シリンダブロック本体は、シリンダヘッドを前記シリンダブロック本体に取り付けるためのボルトを通すボルト孔を有し、前記蓋部材は、冷却液を通すための少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部は、前記シリンダボアの中心軸と前記ボルト孔とを結ぶ直線上に位置している。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体の上方から見たとき、前記少なくとも1つの開口部の面積の合計は、前記蓋部材の前記開口部以外の部分の面積よりも小さい。
ある好適な実施形態において、前記シリンダボア壁は、シリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記シリンダボア壁は、シリコンを16質量%以上含むアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記蓋部材は、前記シリンダボア壁を形成するアルミニウム合金よりもシリコン含有率の低いアルミニウム合金から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記シリンダブロック本体はダイキャスト法によって一体成形されている。
本発明によるエンジンは、上記の構成を有するシリンダブロックを有している。
本発明による自動車両は、上記の構成を有するエンジンを備えている。
本発明によるシリンダブロックの製造方法では、まず、ウォータジャケットの上端部が開放されたシリンダブロック本体を用意し、次に、ウォータジャケットの上端部の略全部を覆うように蓋部材を配置してこの蓋部材をシリンダボア壁およびシリンダブロック外壁に溶接し、その後、冷却液を通すための開口部を蓋部材に形成する。そのため、蓋部材の接合工程においては、断続的にではなく連続的に溶接を行うことができる。従って、溶接条件のばらつきによる溶接むらの発生を抑制することができ、歩留まりよくシリンダブロックを製造することができる。
以下、図面を参照しながら本実施形態におけるシリンダブロックの製造方法を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロック本体を用意する。図1および図2に、本工程において用意するシリンダブロック本体の一例を示す。
図1および図2に例示するシリンダブロック本体10は、シリンダボア2を画定するシリンダボア壁3と、シリンダボア壁3を包囲し、シリンダブロック本体10の外郭を構成するシリンダブロック外壁4とを有している。シリンダボア壁3とシリンダブロック外壁4との間には、冷却液を保持するウォータジャケット(クーリングジャケットとも呼ばれる)5が設けられている。ウォータジャケット5の上端部(シリンダヘッド側の端部)は、何にも覆われていない。つまり、ウォータジャケット5の上端部は開放されている。
本実施形態におけるシリンダブロック本体10は、ダイキャスト法によって一体成形されている。すなわち、シリンダボア壁3およびシリンダブロック外壁4は、シリンダブロック本体10の他の部分とともに一体的に形成されている。
また、シリンダブロック本体10は、図2に示すように、シリンダブロックの完成後にシリンダヘッドをシリンダブロックに取り付けるためのボルトを通すボルト孔6を有している。ボルト孔6は、シリンダブロック外壁4に形成されており、1つのシリンダボア2が4つのボルト孔6によって囲まれるように配置されている。
次に、図3に示すような蓋部材20をウォータジャケット5の上端部の全部を覆うように配置した後、この蓋部材20をシリンダボア壁3およびシリンダブロック外壁4に溶接する。以下、この工程を図3および図4(a)〜(c)を参照しながらより詳しく説明する。
図3に示すように、蓋部材20は、上方から見たときのウォータジャケット5の上端部の形状(シリンダボア壁3の外周とシリンダブロック外壁4の内周とによって規定される形状)とほぼ一致するような底面形状を有している。本実施形態における蓋部材20は、アルミニウム合金から形成されている。この蓋部材20を、図4(a)に示すように、ウォータジャケット5の上端部の全部を覆う(閉塞する)ように配置する。
次に、図4(b)に示すように、蓋部材20をシリンダボア壁3およびシリンダブロック外壁4に溶接する。このとき、溶接は、蓋部材20の内周および外周に沿って連続的に行われる。溶接法としては、ミグ(MIG)溶接法、ティグ(TIG)溶接法、レーザ溶接法および電子ビーム溶接法などを好適に用いることができる。典型的には、その後、図4(c)に示すように、シリンダヘッドとの合せ面(シリンダヘッド側の端面)を研削して平坦化する。
このようにして蓋部材20のシリンダブロック本体10への溶接が行われた後、図4(d)に示すように、冷却液を通すための開口部20aを蓋部材20に形成する。開口部20aの形成は、例えば図4(d)に示すようにドリル50を用いて行われる。
完成したシリンダブロック1を図5に示し、エンジンに組み込まれた状態のシリンダブロック1を図6に示す。図5に示すように、開口部20aは、蓋部材20に局所的に(すなわち蓋部材20の一部に)形成されており、シリンダボア壁3とシリンダブロック外壁4とは、蓋部材20の開口部20a以外の部分(以下では「梁部」とも呼ぶ)20bによって連結されている。従って、シリンダボア壁3は、その下端部だけでなく、上端部においてもシリンダブロック1に固定されているので、高い剛性を確保することができ、シリンダボア壁3の薄肉化を実現できる。なお、図5には、開口部20aが、シリンダボア2の中心軸2aとボルト孔6とを結ぶ直線(図中右から2番目のシリンダボア2について破線で示している)上に形成されている場合を例示している。
シリンダブロック1には、図6に示すように、シリンダヘッド30がガスケット31を介してボルトによって締結される。ガスケット31には、蓋部材20の開口部20aに相当する位置に孔が設けられている。シリンダヘッド30には、シリンダブロック1のウォータジャケット5に蓋部材20の開口部20aおよびガスケット31の孔を介して連続するような空間5’が設けられている。この空間5’には、蓋部材20の開口部20aを通じて冷却液が流れ込み、空間5’はシリンダヘッド30を冷却するウォータジャケットとして機能する。
上述したシリンダブロックの製造方法によると、図4(b)に示した蓋部材20の接合工程において、断続的にではなく連続的に溶接を行うことができるので、溶接条件のばらつきによる溶接むらの発生を抑制することができる。そのため、歩留まりよくシリンダブロックを製造することができる。
本発明によるシリンダブロックの製造方法により製造されたシリンダブロックは、乗用車、オートバイ、バス、トラック、トラクター、飛行機、モーターボート、土木車両などの各種自動車両用のエンジンに広く用いられる。
なお、開口部20aの位置は、図5に例示した位置に限定されない。例えば、図7に示すように、シリンダボア2の中心軸2aとボルト孔6とを結ぶ直線上ではない位置に形成されてもよい。ただし、シリンダボア2の真円度を高く保つ観点からは、開口部20aは、図5に示すように、シリンダボア2の中心軸2aとボルト孔6とを結ぶ直線上に形成されることが好ましい。この理由を以下に説明する。
シリンダヘッド30をシリンダブロック1に取り付ける際、シリンダブロック外壁4のボルト孔6近傍の部分はボルトの締結力によって内側(シリンダボア2側)に向かって変形する。そのため、シリンダボア2の中心軸2aとボルト孔6とを結ぶ直線上に蓋部材20の梁部20bが存在していると、内側へ変形したシリンダブロック外壁4によって梁部20bが内側に押し出され、それによってシリンダボア壁3が変形してシリンダボアの真円度が低下することがある。
これに対し、図5に示したように、シリンダボア2の中心軸2aとボルト孔6とを結ぶ直線上に開口部20aが形成されていると、シリンダブロック外壁4のボルト孔6近傍の部分が内側に向かって変形しても、その変位が開口部20aによって吸収される。従って、シリンダボア壁3の変形が抑制され、シリンダボア2の真円度を高く保つことができる。
開口部20aの大きさは、シリンダヘッド30のウォータジャケット5’に十分な量の冷却液を導くことができる限り特に制限はないが、シリンダブロック1の上方から見たとき、開口部20aの面積の合計が、蓋部材20の梁部(開口部20a以外の部分)20bの面積よりも小さいことが好ましい。言い換えると、開口部20aの面積の合計が、蓋部材20の上面全体の面積の半分以下であることが好ましい。このように蓋部材20において開口部20aの占める比率を梁部20bの占める比率よりも低くすることによって、シリンダボア壁3を梁部20bによって強固に支持することができ、シリンダボア壁3をより薄く形成して冷却性能を向上することが可能になる。シリンダボア壁3の厚さは、8mm以下であることが好ましい。
次に、シリンダブロック本体10の材料や形成方法について説明する。
シリンダブロック本体10の材料としては、種々の組成のアルミニウム合金を用いることができ、シリンダブロック本体10は種々の方法で形成することができる。シリンダブロック本体10において、シリンダボア壁3のシリンダボア2側の面はピストンとの摺動面となる(図6参照)ので、シリンダボア壁3は、高い強度と高い耐磨耗性を有することが好ましい。
本願出願人が特願2004−54582号に提案している技術を用いると、アルミニウムのマトリクス中に微小なシリコン結晶粒が分散した構造が得られ、それによってシリンダボア壁3の強度および耐磨耗性を高くすることができる。上記特願2004−54582号に提案されている技術では、アルミニウム合金として、例えば73.4質量%以上79.6質量%以下のアルミニウム、18質量%以上22質量%以下のシリコンおよび2.0質量%以上3.0質量%以下の銅を含むアルミニウム合金が用いられている。
アルミニウム合金は、シリコンの含有率が高くなると溶接性が悪くなる傾向がある。そのため、シリンダボア壁3がシリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金(特にシリコンを16質量%以上含むアルミニウム合金)から形成されている場合には、従来の製造方法では溶接の歩留まりが低下することがある。しかし、本発明による製造方法によると、シリンダボア壁3がそのようなアルミニウム合金から形成されていても溶接を歩留まりよく行うことができる。つまり、シリンダボア壁3がシリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金(特にシリコンを16質量%以上含むアルミニウム合金)から形成されている場合に、本発明による製造方法を用いる効果が高い。
シリンダブロック本体10は、例えばダイキャスト法によって一体成形することができる。ダイキャスト法としては、例えば、特許文献1に開示されている方法を好適に用いることができる。ダイキャスト法を用いる場合には、シリンダボア壁3をシリコン含有率の高いアルミニウム合金から形成すると、必然的にシリンダブロック外壁4もシリコン含有率の高いアルミニウム合金から形成されるので、本発明による製造方法を用いる効果がさらに高い。
また、シリンダボア2の上部では、特に多くの熱が発生するので、冷却液による冷却に加え、シリンダボア壁3から蓋部材20を介してシリンダブロック外壁4に熱を速やかに伝達して効率よく熱を放散することが望ましい。アルミニウム合金の熱伝導率は、シリコン含有率が高くなるほど低下するので、蓋部材20を、シリンダボア壁3を形成するアルミニウム合金よりもシリコン含有率の低いアルミニウム合金から形成することによって、シリンダボア壁3に発生した熱をシリンダブロック外壁4に逃がしやすくなる。また、シリコン含有率が低いほどアルミニウム合金の溶接性は良いので、蓋部材20の溶接が容易になるという利点も得られる。
また、シリンダブロック本体10は、図4(a)、図8(a)および(b)に示すように、蓋部材20が配置される部分(すなわちウォータジャケット5の上端部)において、シリンダボア壁3とシリンダブロック外壁4との間隔Sがシリンダヘッド30側に向かうにつれて広くなる形状を有していることが好ましい。さらに、蓋部材20は、図4(a)および図8(a)に示すように、シリンダヘッド30側に向かうにつれて幅Wが狭くなる形状(例えば図示するような上底よりも下底が長い台形状の断面形状)を有していることが好ましい。
言い換えると、シリンダブロック本体10および蓋部材20は、蓋部材20をウォータジャケット5の上端部に配置したときに、シリンダブロック本体10と蓋部材20との間にいわゆる「開先」が形成されるような形状を有していることが好ましい。アルミニウム合金は、一般的な鉄鋼材料に比べて溶接性が悪いが、シリンダブロック本体10および蓋部材20の少なくとも一方が上述した形状であることによって、溶接面を広く取ってシリンダボア壁3と蓋部材20との間やシリンダブロック外壁4と蓋部材20との間により多くの溶接材を保持することができ、歩留まりをさらに高くすることができる。
勿論、必ずしもシリンダブロック本体10および蓋部材20の両方が上述した形状である必要はない。例えば、蓋部材20は、図8(b)に示すように、幅Wが一定である形状を有していてもよい。図8(b)に示すような幅Wが一定な蓋部材20は、平板を打ち抜くだけで形成できるため、図8(a)に示すような幅Wが一定ではない蓋部材20に比べ、作製が容易である。
本発明によると、アルミニウム合金から形成されたシリンダブロックを歩留まりよく製造することができるシリンダブロックの製造方法が提供される。
本発明によるシリンダブロックの製造方法によって製造されたシリンダブロックは、各種自動車両用のエンジンに広く用いられる。
本発明によるシリンダブロックの製造方法に用いられるシリンダブロック本体の一例を示す斜視図である。 本発明によるシリンダブロックの製造方法に用いられるシリンダブロック本体の一例を示す上面図である。 シリンダブロック本体のウォータジャケット上端部を覆うための蓋部材を模式的に示す斜視図である。 (a)〜(d)は、本発明によるシリンダブロックの製造方法の一部の工程を模式的に示す工程断面図である。 完成したシリンダブロックを模式的に示す上面図である。 エンジンに組み込まれた状態のシリンダブロックを模式的に示す断面図である。 蓋部材に形成される開口部の他の配置を示す図である。 (a)および(b)は、シリンダブロック本体および蓋部材の好ましい形状の一例を示す断面図である。 (a)および(b)は、従来のオープンデッキ型のシリンダブロックを模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。 シリンダボア壁とシリンダブロック外壁とを連結する連結部材が設けられたシリンダブロックを模式的に示す上面図である。
符号の説明
2 シリンダボア
3 シリンダボア壁
4 シリンダブロック外壁
5 ウォータジャケット
5’ ウォータジャケット
6 ボルト孔
10 シリンダブロック本体
20 蓋部材
20a 開口部
20b 蓋部材の開口部以外の部分(梁部)
30 シリンダヘッド
31 ガスケット

Claims (13)

  1. アルミニウム合金から形成されたシリンダブロック本体であって、シリンダボアを画定するシリンダボア壁と、前記シリンダボア壁を包囲するシリンダブロック外壁と、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間に設けられ、上端部が開放されたウォータジャケットとを有するシリンダブロック本体を用意する工程(a)と、
    前記ウォータジャケットの上端部の略全部を覆うように蓋部材を配置した後、前記蓋部材を前記シリンダボア壁および前記シリンダブロック外壁に溶接する工程(b)と、
    前記工程(b)の後に、冷却液を通すための少なくとも1つの開口部を前記蓋部材に形成する工程(c)と、を包含し、
    前記シリンダボア壁は、シリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金から形成されており、
    前記蓋部材は、前記シリンダボア壁を形成するアルミニウム合金よりもシリコン含有率の低いアルミニウム合金から形成されているシリンダブロックの製造方法。
  2. 前記シリンダブロック本体は、シリンダヘッドを前記シリンダブロック本体に取り付けるためのボルトを通すボルト孔を有し、
    前記工程(b)において、前記開口部は、前記シリンダボアの中心軸と前記ボルト孔とを結ぶ直線上に形成される請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法。
  3. 前記シリンダブロック本体の上方から見たとき、前記少なくとも1つの開口部の面積の合計は、前記蓋部材の前記開口部以外の部分の面積よりも小さい請求項1または2に記載のシリンダブロックの製造方法。
  4. 前記シリンダブロック本体は、前記蓋部材が配置される部分において、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間隔がシリンダヘッド側に向かうにつれて広くなる形状を有している請求項1からのいずれかに記載のシリンダブロックの製造方法。
  5. 前記蓋部材は、シリンダヘッド側に向かうにつれて幅が狭くなる形状を有している、請求項1からのいずれかに記載のシリンダブロックの製造方法。
  6. 前記シリンダブロック本体はダイキャスト法によって一体成形されている請求項1からのいずれかに記載のシリンダブロックの製造方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載のシリンダブロックの製造方法によって製造されたシリンダブロックを有するエンジン。
  8. 請求項に記載のエンジンを備えた自動車両。
  9. アルミニウム合金から形成されたシリンダブロック本体であって、シリンダボアを画定するシリンダボア壁と、前記シリンダボア壁を包囲するシリンダブロック外壁と、前記シリンダボア壁と前記シリンダブロック外壁との間に設けられ、上端部が開放されたウォータジャケットとを有するシリンダブロック本体と、
    前記ウォータジャケットの上端部を覆うように前記シリンダブロック本体に溶接された蓋部材と、を有し、
    前記シリンダブロック本体は、シリンダヘッドを前記シリンダブロック本体に取り付けるためのボルトを通すボルト孔を有し、
    前記蓋部材は、冷却液を通すための少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部は、前記シリンダボアの中心軸と前記ボルト孔とを結ぶ直線上に位置しており、
    前記シリンダボア壁は、シリコンを9質量%以上含むアルミニウム合金から形成されており、
    前記蓋部材は、前記シリンダボア壁を形成するアルミニウム合金よりもシリコン含有率の低いアルミニウム合金から形成されているシリンダブロック。
  10. 前記シリンダブロック本体の上方から見たとき、前記少なくとも1つの開口部の面積の合計は、前記蓋部材の前記開口部以外の部分の面積よりも小さい請求項に記載のシリンダブロック。
  11. 前記シリンダブロック本体はダイキャスト法によって一体成形されている請求項9または10に記載のシリンダブロック。
  12. 請求項から11のいずれかに記載のシリンダブロックを有するエンジン。
  13. 請求項12に記載のエンジンを備えた自動車両。
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