JP4833141B2 - 異染性複合マルチフィラメント糸、それを用いた織編物および織編物の製造方法 - Google Patents

異染性複合マルチフィラメント糸、それを用いた織編物および織編物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊細な霜降り色調を有する異染性複合マルチフィラメント糸、それを用いた織編物および織編物の製造方法に関する。
従来から異染性を有する繊維群を組み合わせ、片染めによる霜降り調の色調を表現する手段が試みられてきており、分散染料可染性のポリエステル繊維と分散染料不染性の天然繊維や再生繊維のレーヨン繊維などとの組み合わせによる複合糸などが、公知の技術として知られている。
特許文献1には、アセテート繊維マルチフィラメントをアルカリ処理すると脱アセチル反応により減量されることを利用して、セルローストリアセテート繊維とセルロースジアセテート繊維を組み合わせて複合糸とした後、セルロースジアセテート繊維の内層を鹸化させずに表層を鹸化処理することで直接染料や反応染料等の片染めを可能とする方法が記載されている。
さらには、特許文献2には、アセテート繊維の最内層に至るまで鹸化する方法が記載されており、この場合、分散染料での染色によっても片染めの効果が得られることは容易に推察できる。
特開昭59−094674号公報 特開昭60−173162号公報
しかし再生繊維のレーヨン繊維などとの組み合わせによる複合マルチフィラメント糸などの場合、繊度は工業生産での製造安定性や製造コストの面から細繊度品種に限度があり、繊度が25デシテックス未満の再生繊維は容易に得られず、然るに天然繊維を含めて細繊度品種のセルロース系繊維から得られる異染性複合マルチフィラメント糸の色調は知られていなかった。
特に薄地衣料などでは用いる複合マルチフィラメント糸自体の繊度が小さく、複合マルチフィラメント糸に占める両成分の繊度比を大きくできないため、得られる布帛は分散染料不染成分による無着色部が多く見える色調のものとなり、繊細な霜降り色調を有するものは得られなかった。
特許文献1の方法では、アセテート繊維マルチフィラメントの芯部が鹸化されていないため、分散染料にて染色され、十分な無着色効果が得られず、霜降り調とならない。
また特許文献2の方法では、アルカリ処理後の繊度が大きく、分散染料にて染色した布帛は無着色部が過度に多い色調であり、微細な無着色部を有する霜降り色調のものは得られていなかった。
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するものであり、微細な異染色部あるいは無着色部を有する異染性複合マルチフィラメント糸及びその織編物を提供するものである。
本発明の第1の要旨は、セルロース系繊維マルチフィラメントと、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとからなり下記式
5000/√Dtex≦Tw≦27000/√Dtex
(但し、Twは撚数(回/m)、Dtex(デシテックス)は複合マルチフィラメント糸の総繊度を示す。)
を満足する撚りが施された複合マルチフィラメント糸であって、以下のa、bの条件を満たす異染性複合マルチフィラメント糸にある。
a.セルロース系繊維マルチフィラメントの繊度が5デシテックス以上25デシテックス未満
b.セルロース系繊維マルチフィラメントの混率が5質量%以上30質量%以下
また本発明の第2の要旨は、前記異染性複合マルチフィラメント糸を用いてなる織編物にある。
また本発明の第3の要旨は、以下の(1)〜(4)の工程を順に施すことを特徴とする織編物の製造方法にある。
(1)アセテート系繊維マルチフィラメントと、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとで複合マルチフィラメント糸とする工程
(2)前記複合マルチフィラメント糸に下記式を満足する撚りを施す工程
5000/√Dtex≦Tw≦27000/√Dtex
(但し、Twは撚数(回/m)、Dtex(デシテックス)は複合マルチフィラメント糸の総繊度を示す。)
(3)前記複合マルチフィラメント糸の撚糸を用いて織編物とする工程
(4)前記織編物をアルカリ処理し、複合マルチフィラメント糸におけるアセテート系繊維マルチフィラメントを、繊度が5デシテックス以上25デシテックス未満、混率が5質量%以上30質量%以下のセルロース系繊維マルチフィラメントとする工程
本発明は、繊細な霜降り色調を有する異染性複合マルチフィラメント糸および織編物が得られる。
本発明の異染性複合マルチフィラメント糸は、セルロース系繊維マルチフィラメントと、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとからなる撚りが施された複合マルチフィラメント糸であるが、セルロース系繊維マルチフィラメントの繊度が5デシテックス以上25デシテックス未満で、かつセルロース系繊維マルチフィラメントの混率が5質量%以上30質量%以下であることが必要である。
セルロース系繊維マルチフィラメントの繊度が25デシテックス未満であると、分散染料による片染めにて得られる布帛はセルロース系繊維マルチフィラメントによる無着色部が細かく分散した繊細な色調のものが得られる。一方、セルロース系繊維マルチフィラメントの繊度が5デシテックス以上の場合、無着色部が明確に識別でき、霜降り調としての効果が得られる。
また前記セルロース系繊維マルチフィラメントの混率が5質量%以上であると、分散染料による片染めにて得られる布帛の無着色部が判断でき、霜降り調としての効果が得られる。一方、前記セルロース系繊維マルチフィラメントの混率が30質量%以下の場合、分散染料による片染めにて得られる布帛はセルロース系繊維マルチフィラメントによる無着色部が細かく分散した繊細な色調のものが得られる。
セルロース系繊維マルチフィラメントは、細繊度糸を混繊することも可能であるが、取り扱いが困難で、さらに製造そのものが困難であるため、本発明に用いるセルロース系繊維マルチフィラメントは、アルカリ減量を伴う後加工により得られるものがより好ましい。
繊度が5デシテックス以上、25デシテックス未満であるセルロース系繊維マルチフィラメントは、40デシテックス以下のアセテート繊維マルチフィラメントをアルカリ処理して得ることも可能である。アセテート繊維マルチフィラメントが40デシテックス以下の繊度の場合、アルカリ処理後の繊度を25デシテックス未満とするためには減量率を高くする必要がなく、処理条件が広く取れるため好ましい。
また、アルカリ処理の方法は限定されるものではないが、好ましいものとしてアセテート系繊維マルチフィラメントの最内層に至るまで鹸化する方法が挙げられる。アセテート系繊維マルチフィラメントの最内層に至るまで鹸化するとは、繊維のアルカリ処理後の減量率において、セルロースジアセテート繊維では、38質量%程度、セルローストリアセテート繊維では、42質量%程度まで、鹸化による減量を施すことをいう。
アルカリ処理は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ化合物を用い、かかるアルカリ化合物の溶液にアセテート系繊維を浸漬、パッデイング等により含浸させて処理する。アルカリ処理における処理液濃度、処理温度、処理時間は、用いるアルカリ化合物により、また目的物により異なるが、好ましいセルロースジアセテート繊維のアルカリ処理条件を挙げるならば、水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、水酸化ナトリウム濃度は5質量%を超えない濃度、処理温度は40〜80℃、処理時間は60分以内であり、減量率で38質量%を目安に処理する。かかるアルカリ処理により、アセテート系繊維より本発明に用いるセルロース系繊維、および、本発明の複合マルチフィラメント糸または、織編物を得ることができる。
また、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントは、ポリエステル繊維やナイロン繊維といった直接染料や反応染料に不染性の繊維のマルチフィラメントであれば特に限定されるものではない。さらにはアセテート系繊維マルチフィラメントとしてセルロースジアセテート繊維マルチフィラメントを用い、アルカリ処理によってセルロース系繊維マルチフィラメントとする場合は、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとしてセルローストリアセテート繊維マルチフィラメントを用いることも可能である。
複合マルチフィラメント糸、撚数Tw(回/m)5000/√Dtex以上27000/√Dtex以下の範囲で、撚りが施され、撚糸として用いる。
撚数Tw(回/m)が5000/√Dtex以上であると、セルロース系繊維マルチフィラメントと、このセルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとが適度にこなれて、ナチュラルなビジュアル感を有する繊細な霜降り調の布帛が得られる。一方、撚数Tw(回/m)が27000/√Dtex以下であると適度なドレープ性により、優雅なシルエットを有する繊細な霜降り調の布帛が得られる。
また、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントは、霜降り調の色調を強調させる目的で、アセテート系繊維マルチフィラメントと複合して複合糸とする工程に先立って、エアー交絡または撚糸を施すことが好ましい。さらにはアセテート系繊維マルチフィラメントとセルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとの複合方法として、引き揃え、合撚、またはエアー交絡を施す方法が考えられるが、特に限定されるものではない。
セルロース系繊維マルチフィラメントが、アセテート系繊維マルチフィラメントアルカリ処理したものである場合、アセテート系繊維マルチフィラメントの紡出糸を巻き取る工程において、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントを加えて巻き取ることもなんら問題はない。
本発明の異染性複合マルチフィラメント糸を用いた織編物は、他の繊維と交織・交編または交撚等により複合しても良く、本発明の異染性複合マルチフィラメント糸が布帛において20質量%以上含まれていることが好ましい。20質量%以上であると無着色部が識別でき、霜降り調としての効果が得られる。
なお各評価は以下の方法に従った。
(繊度)
JIS L−1015(参考法:振動法) に従い、自動繊度測定器(LENZING社製 VIBROSKOP400)を用いて測定した。
(布帛の異色特性)
布帛の異色特性は目視にて評価する。評価方法は、前記布帛を、セルロース系繊維マルチフィラメントを無染、前記セルロース系繊維マルチフィラメントとは染色性を異にする長繊維マルチフィラメントを黒色染色し、無着色部の多さを目視判定する。例えばポリエステル繊維やセルロースアセテート繊維等の分散染料可染型繊維の場合、分散染料(Dianix Black TA・N200%、三菱化成ヘキスト社製)を12質量%対繊維質量、染色助剤(DISPER TL 明成化学社製) 0.5g/リットル及び(URTRA MT−N2、大和化学社製)0.5g/リットル、加工温度130℃×時間60分の条件下で黒色に染色する。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。
水酸基の80.3%が酢酸化されているセルロースジアセテートを塩化メチレン/メタノールの混合溶剤に溶解し、固形分濃度が22.1質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を公知の乾式紡糸装置により紡糸を行い、30デシテックス(以下、Dtexと標記)7フィラメント(以下、fと標記)であるセルロースジアセテート繊維マルチフィラメント(以下、DAと標記)を得た。
得られた繊維とセルローストリアセテート繊維マルチフィラメント(三菱レイヨン株式会社製、60Dtex15f(以下、TAと標記))にS撚り合撚600T/M(撚り係数:5692)を施し、DAが33質量%、TAが67質量%から成る繊度90Dtexの合撚糸を得た。得られた合撚糸を下記の織物条件で経および緯に用いた織物を製織した。
織物条件 組織:平織物
経密度:65羽/3本入れ
通し巾:140cm
緯密度:74本/2.54cm
引き続き、下記のアルカリ処理条件下で液流減量機にてアルカリ処理を実施した。アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は25質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維には変化が無かった。
アルカリ処理条件
アルカリの種類:水酸化ナトリウム
濃度:10g/L
処理温度、時間:60℃×30分
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で分散染料(Dianix Black TA・N200%、三菱化成ヘキスト社製)を12質量%対繊維質量、染色助剤(DISPER TL、明成化学社製) 0.5g/リットル及び(URTRA MT−N2、大和化学社製)0.5g/リットル、加工温度130℃×時間60分の条件下で黒色に染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾119cm、緯密度83本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有する繊細な霜降り調の布帛であった。
実施例1に記載のDAと、ポリエステル繊維マルチフィラメント(三菱レイヨン株式会社製、84Dtex36f)にS撚り合撚600T/M(撚係数:6406)を施し、セルロースジアセテート繊維が26質量%、ポリエステル繊維が74質量%からなる繊度114デシテックスの合撚糸を得た。
得られた合撚糸を下記の条件下で経および緯に用いた織物を製織し実施例1に記載のアルカリ処理条件にてアルカリ処理を実施した。アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は19質量%であった。また、ポリエステル繊維には変化が無かった。
織物条件 組織:平織物
経密度:58羽/3本入れ
通し巾:140cm
緯密度:65本/2.54cm
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1と同様に黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾115cm、緯密度73本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有する繊細な霜降り調の布帛であった。
水酸基の97%が酢酸化されているセルローストリアセテートの紡糸原液と、実施例1に記載のセルロースジアセテートの紡糸原液とを隣り合う紡糸錘にてそれぞれ公知の乾式紡糸装置により紡糸を行い、60Dtex15fであるTAにエアー交絡にて絡みを加え、30Dtex7fであるDAを引き揃えて複合糸を得た後、S撚Tw=600T/M(撚係数:5692)の追撚糸とした。
得られた追撚糸を実施例1に記載の条件にて製織、アルカリ処理を実施した。アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は25質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾119cm、緯密度83本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有し、実施例1よりやや強調された霜降り調を有する布帛であった。
実施例3で得られた引き揃え複合糸と33Dtex12fのサイドバイサイド型ポリエステル複合繊維マルチフィラメント(三菱レイヨン製)とに合撚を施し、撚り数1600T/M(撚係数:17745)のS撚糸の合撚糸およびZ撚糸の合撚糸を得た。
得られたそれぞれの合撚糸を下記の条件で経および緯にS、Z撚糸合撚糸を2本交互に用いた織物を製織し、実施例1に記載のあるアルカリ処理条件下で液流減量機にてアルカリ処理を実施した。
織物条件 組織:経二重織り
経密度:45羽/4本入れ
通し巾:140cm
緯密度:84本/2.54cm
アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は18質量%となった。また、セルローストリアセテート繊維及び、ポリエステル繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾85cm、緯密度107本/2.54cmの霜降り調織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有する繊細な霜降り調の色調であった。
DAとして、17Dtex4f、TAとして、67Dtex16fを同供給率にてエアー交絡処理し、84Dtex20fの複合マルチフィラメント糸とした。前記複合マルチフィラメント糸にポリエステル繊維マルチフィラメント33Dtex12fを合糸し、村田機械社製ダブルツイスターDT310−Cタイプを使用しS撚、及びZ撚方向にそれぞれTw=1400T/M(撚係数:15143)の撚糸を施し、バキュームヒートセッターを用い70℃の雰囲気温度にて40分間の撚止めセットを行い、125Dtex34fの合撚糸を得た。
得られた前記合撚糸を織物の経糸及び緯糸としてS撚及びZ撚の配列が2本交互即ち、SSZZSSZZ・・・・となるようにして平織組織に製織した。実施例1に記載のあるアルカリ処理条件下で液流減量機にてアルカリ処理を実施した。アルカリ処理後、DAは10Dtex4fのセルロース系繊維となっており、合撚糸中のセルロース系マルチフィラメントの混率は9質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維及び、ポリエステル繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の経105本/吋、緯70本/吋の霜降調織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有し、得られた織物は無着色部を適度に有する繊細な霜降り調の色調であった。
(比較例1)
実施例1と同様に60Dtex15fであるDAを得た。
得られたDAと、TA(三菱レイヨン株式会社製、60Dtex15f)にS撚りTw=600T/M(撚係数:6573)を施し、DAが50質量%、TAが50質量%からなる繊度120Dtex30fの合撚糸を得た。
得られた合撚糸を下記の条件で経および緯に用いた織物を製織し実施例1に記載のあるアルカリ処理条件にてアルカリ処理を施した。
織物条件 組織:平織物
経密度:56羽/3本入れ
通し巾:140cm
緯密度:64本/2.54cm
アルカリ処理後、DAは40Dtex15fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は40質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾118cm、緯密度72本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は無着色部を過度に有し、繊細さに欠けた色調であった。
(比較例2)
実施例1と同様に30Dtex7fであるDAを得た。
得られたDAと、TA(三菱レイヨン株式会社製、60Dtex15f)にS撚りTw=300T/M(撚り係数:3286)を施し、DAが33質量%、TAが67質量%からなる繊度90Dtex22fの合撚糸を得た。
得られた合撚糸を実施例1に記載の織物条件で織物を製織、アルカリ処理を実施した。
アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は25質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾120cm、緯密度83本/2.54cmの織物を得た。得られた織物は無着色部を適度に有するものであったが、色調にムラがあり繊細さに欠けたものであった。
(比較例3)
実施例4と同様の方法で、撚り数を、Tw=2600T/M(撚係数:28835)に変更し、S撚糸の合撚糸およびZ撚糸の合撚糸を得た。
得られたそれぞれの合撚糸を実施例4に記載の織物条件で織物を製織、アルカリ処理を実施した。
アルカリ処理後、DAは20Dtex7fのセルロース系繊維マルチフィラメントとなり、合撚糸中のセルロース系繊維マルチフィラメントの混率は18質量%であった。また、セルローストリアセテート繊維及び、ポリエステル繊維には変化が無かった。
アルカリ処理後の布帛を液流染色機で実施例1に記載の方法で、黒色染色加工を行い、セルロース系繊維が無染の仕上げ巾88cm、緯密度110本/2.54cmの織物を得た。
得られた織物は無着色部を有する繊細な霜降り調の色調であったが、風合いが硬く衣料用としては不適なものであった。

Claims (4)

  1. セルロース系繊維マルチフィラメントと、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとからなり下記式
    5000/√Dtex≦Tw≦27000/√Dtex
    (但し、Twは撚数(回/m)、Dtex(デシテックス)は複合マルチフィラメント糸の総繊度を示す。)
    を満足する撚りが施された複合マルチフィラメント糸であって、以下のa、bの条件を満たす異染性複合マルチフィラメント糸。
    a.セルロース系繊維マルチフィラメントの繊度が5デシテックス以上25デシテックス未満
    b.セルロース系繊維マルチフィラメントの混率が5質量%以上30質量%以下
  2. 請求項1に記載の異染性複合マルチフィラメント糸を用いてなる織編物。
  3. 以下の(1)〜(4)の工程を順に施すことを特徴とする織編物の製造方法。
    (1)アセテート系繊維マルチフィラメントと、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントとで複合マルチフィラメント糸とする工程
    (2)前記複合マルチフィラメント糸に下記式を満足する撚りを施す工程
    5000/√Dtex≦Tw≦27000/√Dtex
    (但し、Twは撚数(回/m)、Dtex(デシテックス)は複合マルチフィラメント糸の総繊度を示す。)
    (3)前記複合マルチフィラメント糸の撚糸を用いて織編物とする工程
    (4)前記織編物をアルカリ処理し、複合マルチフィラメント糸におけるアセテート系繊維マルチフィラメントを、繊度が5デシテックス以上25デシテックス未満、混率が5質量%以上30質量%以下のセルロース系繊維マルチフィラメントとする工程
  4. 工程(1)に先立って、セルロース系繊維とは染色性を異にする繊維のマルチフィラメントにエアー交絡または撚糸を施す請求項3に記載の織編物の製造方法。
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