JP4832421B2 - ノンフライ麺の乾燥方法 - Google Patents

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本発明は、蒸し加工後の柔軟な麺線(麺の塊)をそのままバスケットに収容して乾燥・固化を行うノンフライ麺の乾燥方法に関する。
係る従来のノンフライ麺の乾燥方法としては、例えば以下の特許文献1などに開示されているように、蒸し加工後の麺線をバスケットに収容した後、このバスケットを乾燥室内で所定時間移動させながら、この麺線に対して70〜90℃程度の熱風を吹き付け、その麺線の水分を8〜12%程度になるまで乾燥して固化する方法が一般的である。
一方、この乾燥処理前の蒸し加工直後の麺線は、その表面がα化した澱粉質(成分)に起因する接着力によってバスケットの内壁や底面に貼り付いてしまう性質があるため、この熱風乾燥の終了時には、バスケットに衝撃を加えることでバスケットに貼り付いているの麺線を分離してバスケットから取り出している。しかし、バスケットに衝撃を加えると、その衝撃によって麺線の一部が欠けてしまい、その品質を大きく損なうことがある。
そのため、本発明者は以下の特許文献2に示すように、ノンフライ麺の乾燥処理に際して、その麺線の品質の低下を未然に回避できる新規なノンフライ麺の乾燥方法および装置を提案している。
すなわち、このノンフライ麺の乾燥方法は、麺線を収容したバスケットの底部に多数の通気穴を形成しておき、そのバスケットに対してその下方から乾燥空気を吹き付けてバスケット内の麺線の表面とそのバスケットの内壁との間にその乾燥空気を流すことでその麺線が直接そのバスケットの内壁に接触しないように浮かせた状態で乾燥を行うようにしたものであり、これによって乾燥後のバスケットへの麺線の固着を回避するようにしたものである。
特開2001−321105号公報 特開2005−160401号公報
ところで、この特許文献2に開示されているようなバスケットに対してその下方から乾燥空気を吹き付けるようなノンフライ麺の乾燥方法では、その麺線内を上方に抜ける乾燥空気によってその麺線がばらけてしまい、その麺の塊の上面側が大きく膨らんだり、凹凸が生じてしまうことがある。
そして、このように乾燥・固化後の麺線の上面側が大きく膨らんだり、凹凸が生じてしまうと、次の不都合が生じることが分かった。
つまり、従来の乾燥装置から排出されてくる麺の塊は、乾燥装置のバスケットを反転させて下向きに排出されるため、倒立した状態で次の工程まで搬送されることになる。そのため、従来の通りに次の工程まで搬送するには麺の塊を下向きのまま安定した状態で搬送する必要があるが、麺の塊の上面に凹凸があると、麺の塊を上下逆にして搬送する際に倒立した麺の塊が不安定となるため、所定の姿勢で次の工程に搬入できないという不都合がある。一方、麺の塊をその上面を上に向けて搬送するようにするには、乾燥装置以後の工程に用いる装置の大規模な変更が必要となるため、経済的でない。
また、麺の塊を物の上面を滑らせて搬送して位置決めする際に、その位置決めを物の上面の凹凸に係合して行わせる場合には、下向きになった麺の塊の上面が物の上面の凹凸にうまく係合できないことがあって位置決めが不正確になるといった不都合がある。
さらに、上面が凹凸になった麺の塊をカップ容器に収容した状態では、麺の塊の上面が凹凸であるため見栄えが悪く、また、製造工程で調味料などの小袋をカップ容器内の麺の塊の上に滑り込ませるときに小袋が麺線に引っ掛かってうまく供給できないという不都合がある。さらにまた麺の塊の上面が凹凸であると麺線の密度が低くて粗くなるため、カップ容器内の麺の塊の上に乾燥した具などをバラのまま供給すると具などの麺線の間に入り込んでしまって商品としての見栄えが悪いなどといった不都合がある。
そこで、本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、特に乾燥工程時に麺線上面の膨らみや凹凸の発生を防止することができる新規なノンフライ麺の乾燥方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1の発明は、
蒸し加工後の柔軟な麺線を乾燥して固化するノンフライ麺の乾燥方法であって、前記蒸し加工後の柔軟な麺線を、少なくともその底部に多数の通気孔を有するバスケット内に収容すると共に、当該バスケットの上部開口部を通風可能な平蓋で覆った後、前記バスケットに対してその下方から上方に向けて乾燥空気を吹き付け、当該乾燥空気により当該バスケット内の麺線を浮上させて当該麺線により形成される麺の塊の上面側を前記平蓋側に押し付けて平坦に加工しながら当該麺線を乾燥して固化することを特徴とするノンフライ麺の乾燥方法である。
また、請求項2の発明は、
請求項1に記載のノンフライ麺の乾燥方法において、前記麺線が次第に固化して麺の塊の形状が復元しなくなるまで乾燥空気を上方に向けて吹き付けて麺の塊を前記平蓋側に押し付けることを特徴とする特徴とするノンフライ麺の乾燥方法である。
また、請求項3の発明は、
請求項1または2に記載のノンフライ麺の乾燥方法において、前記乾燥空気として80〜200℃の熱風を用いると共に、当該乾燥空気を前記バスケットに対して20〜30m/秒の風速で吹き付けることを特徴とするノンフライ麺の乾燥方法である。
本発明のノンフライ麺の乾燥方法によれば、蒸し加工後の柔軟な麺線を乾燥空気によって浮上させてその麺線により形成される麺の塊の上面側をバスケットの平蓋側に押し付けて平坦に加工しながら乾燥して固化するようにしたため、乾燥のための空気を利用して麺の塊の上面側が膨らんだり、凹凸が生じてしまうようなことを防止できる。
また、請求項2の乾燥方法によれば、麺の塊を平蓋側に押し付けるのは、麺の塊の形状が復元しなくなるまで固まるまでであって、その後は風速を弱めて前記の押し付けを解除するなど、任意の乾燥方法とすることで乾燥効率、経済効率などを考慮した乾燥方法とすることができる。
そして、具体的には、乾燥空気として80〜200℃の熱風を用いると共に、その乾燥空気をバスケットに対して20〜30m/秒の風速で吹き付けることで請求項1の発明の効果を確実に得ることができる。
以下、本発明に係るノンフライ麺の乾燥方法に用いる乾燥装置100について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、このノンフライ麺の乾燥装置100を示す側面概略図であり、図2は図1のII−II矢視断面図である。
図示するようにこの乾燥装置100は、外観直方体形状とした乾燥室10の側面外側に沿って一対の搬送チェーン20,20が水平に配置されており、これら搬送チェーン20,20間に、ハンガー30が複数、その搬送方向に所定の間隔を隔てて架け渡されている。
そして、これら各ハンガー30,30…には、複数(本実施の形態にあっては5個)のバスケット40,40…が所定の間隔を隔てて支持されている。
また、この搬送チェーン20,20は、図示しない駆動装置によって図1の左側から右側に向けて移動するようになっており、これら各ハンガー30,30…に支持された各バスケット40,40…が図1の左側から右側に向けて搬送されるようになっている。
そして、この乾燥装置100に入る直前のバスケット40には、例えば蒸し加工後の柔軟な麺線(または麺の塊、以下同じ)Nがシュート50を介して収容されるようになっており、この麺線Nを収容したバスケット40がこの搬送チェーン20,20によって乾燥室10内を搬送されるようになっている。
また、この乾燥室10の側面には、複数の乾燥空気供給装置60,60…複数(本実施の形態にあっては4個)、その搬送方向に沿って所定間隔を隔てて配置されており、その乾燥室10内に乾燥空気(熱風)を供給すると共に、供給された乾燥空気をその上部空間および下部空間に循環するようになっている。
また、この乾燥室4の搬送方向上流位置Haには、麺線Nを収容したバスケット40に向けてその下方から乾燥空気を吹き付けるための乾燥空気吹付部70がそのバスケット40の搬送方向に前記位置Haの範囲に亘って連続して設置されている。
これら乾燥空気吹付部70は、図2に示すように風量が増大した乾燥空気を供給する強風発生部71と、強風発生部71から供給された乾燥空気を乾燥室4の幅方向に導く導風部72とを備えており、この導風部72には、ハンガー30に支持されて搬送方向上流位置Haに移動してきた各バスケット40の下面に向けてそれぞれ強風発生部71で発生した高温の乾燥空気(熱風)を吹き出すための吹出口73が設けられている。
一方、図3および図4に示すように、これらバスケット40は、上方に広がった筒状のバスケット本体41の底部42が金網状に形成されていると共に、その上部開口部には同じく平板状の金網からなる平蓋43が開閉自在に取り付けられており、乾燥空気吹付部70の各吹出口73a〜73eから吹き出した高温の乾燥空気がその底部42からそのバスケット本体41内に流れ込み、そのままその内部を垂直上方に流れてからその上部開口部から上方に抜け出すようになっている。
なお、このバスケット40のバスケット本体41の上縁部には、鍔部44が設けられており、この鍔部44がハンガー30に形成された収容穴31の縁部に係合することでこのバスケット40がハンガー30に取り付けられるようになっている。また、ハンガー30,バスケット本体41,平蓋43などの上記の各構成については図示のものに限定されるものではない。
次に、このような構成をしたノンフライ麺の乾燥装置100の作用およびその乾燥方法について説明する。
先ず、図1に示すように、搬送チェーン20によって順に乾燥室10側に搬送される各バスケット40,40…は、その直前でシュート50から投入される蒸し加工直後の柔軟な状態の麺線Nをそれぞれ収容した後、平蓋43を閉じてその上部開口部を塞いでから順次その乾燥室10内に搬送されていく。
そして、この乾燥室10内に搬送された各バスケット40,40…は、その乾燥室10の搬送方向上流位置Ha側に配置された乾燥空気吹付部70を通過中に、その下方から高温の乾燥空気が勢いよく吹き付けられて乾燥室10内をその下流側に搬送される。
このとき、バスケット40内に投入された麺線Nは、柔軟であるため、図5(1)に示すようにその底部42の金網に載った状態となっているが、乾燥空気吹付部70を通過中に、その下方から勢いよく吹き付けられる高温の乾燥空気によって同図(2)に示すようにそのバスケット40内を浮上し、その麺線Nの上面側がバスケット40の上部開口部に設けられた平蓋43の下面側に押さえ付けられた状態で乾燥が行われる。
そして、このバスケット40が乾燥室10の搬送方向上流位置Haに配置された乾燥空気吹付部70を通過することによって、その麺線Nの上面側がバスケット40の平蓋43の下面側に押し付けられた平坦に加工されながら乾燥して水分量が減少し、ゆっくりと固形化することになる。このとき、麺線Nの上面側は麺の密度が高く、逆に下面側は密度が低く、且つ凹凸に形成される。
その後、これら各バスケット40は、搬送方向上流位置Haよりさらに下流側に搬送され、乾燥空気供給装置60から供給される乾燥空気によって各バスケット40に収容されている麺線Nがさらに所定の水分量、例えば乾燥後残水分量が9〜10%程度となるまで乾燥されていくことになる。この段階では麺線Nは固形化されているため、下からの空気圧が減少しても径の小さな下方には大きく低下しない。
ここで、この搬送方向上流位置Ha側の乾燥工程で使用される乾燥空気の温度や風速としては、このようにその麺線Nの上面側がバスケット40の平蓋43の下面側に押さえ付けられて平坦状に変形できるような風速であって効率的にその麺線Nを乾燥できる条件であれば特に限定されるものではないが、例えば、乾燥前の麺線Nの重量が73.0gである場合には、80〜200℃の熱風を用いると共に、その風速としては、20〜30m/秒であることが望ましい。
すなわち、この乾燥空気の温度が80℃未満であると、温度が低すぎてその乾燥時間が長時間になってしまい、反対にその温度が200℃を超えると、表面だけが過乾燥して所定の残水分量(9〜10%程度)が維持できなくなってしまうからである。また、この乾燥空気の風速が20m/秒未満であると、麺線Nを浮上させることは可能であるもののそのバスケット40の平蓋43への押し付け圧力が弱いため、その麺線Nの上面の形状は平坦になり難いからである。一方、この乾燥空気の風速が30m/秒を超えると、その麺線Nの上面の形状は平坦になるが、その下面などがばらけたりして全体に凹凸が生じ易くなる上に、食感の滑らかさが微妙に落ちてしまうからである。
従って、この乾燥空気の最適な温度は150℃前後で、その風速は25m/秒前後である。
また、全体の乾燥時間も特に限定されるものでないが、前記の乾燥条件で乾燥後残水分量を9〜10%程度とするには、約9〜10分前後要し、そのうち、前記搬送方向上流位置Ha側の乾燥工程としては、約4分前後要した。
なお、この乾燥工程が終了して乾燥室10を出たバスケット40は、次工程に送り出すために平蓋43を開いて収容している麺線Nを取り出すことになるが、この麺線Nはバスケット40の内壁や底部に貼り付いたりすることはないため、衝撃等を加えずにバスケット40を傾けるだけで簡単に取り出すことができる。
このように本発明はバスケット40内に収容した麺線Nを高温の乾燥空気によって乾燥・固化処理するに際し、その麺線Nの上面側をバスケット40の平蓋43側に押し付けて平坦に加工しながら乾燥してようにしたため、乾燥・固化後は、図5(3)に示すようにその麺線Nの上面側が平坦になった状態となり、従来のように乾燥・固化後の麺線Nの上面側が大きく膨らんだり、凹凸が生じてしまうようなことを防止できる。
これによって、例えば、前述したようにその後にこの麺線Nをカップ容器(図示せず)に収容する際に、その麺線Nを逆さにしてカップ容器を被せて搬送する際などに不安定となってそのカップ容器の転倒を招いてしまったり、あるいは、カップ容器にこの麺線Nを収容した際にその上面が凹凸だったり、あるいは上部空間が狭くなって、かやくやスープの素などが入った小袋などが確実に投入できなくなってしまうなどといった不都合を未然に回避することができる。
なお、本実施の形態では、バスケット40内の麺線Nを浮上しながら乾燥させるための乾燥空気吹付部70による処理を確実に行うために、各バスケット40を連続的に搬送するようにしたが、各バスケット40がこの乾燥空気吹付部70で所定時間停止してから下流側に順次ステップ状に移動するように搬送チェーン20を制御するようにしても良い。
さらに、前記搬送方向上流位置Haの乾燥空気吹付部70は、同位置Haの距離に亘ってノズルを多数並べることによって下から上に向けて乾燥空気を高速に吹き付けているが、個別の吹付ノズルをバスケット40の移動に同期させて移動させるこのより、移動するバスケット40の下から乾燥空気を移動しながら吹き付けるようにしても良い。
本発明に係るノンフライ麺の乾燥装置100の実施の一形態を示す側面概略図である。 図1のII−II矢視断面図である。 本発明に適用可能なバスケット40の一例を示す縦断面図である。 本発明に適用可能なバスケット40の一例を示す平面図である。 本発明方法の乾燥工程を示す概念図である。
符号の説明
100…ノンフライ麺の乾燥装置
10…乾燥室
20…搬送チェーン
30…ハンガー
40…バスケット
41…バスケット本体
42…底部(金網)
43…平蓋(金網)
50…シュート
60…乾燥空気供給装置
70…乾燥空気吹付部
N…麺線(麺の塊)

Claims (3)

  1. 蒸し加工後の柔軟な麺線を乾燥して固化するノンフライ麺の乾燥方法であって、
    前記蒸し加工後の柔軟な麺線を、少なくともその底部に多数の通気孔を有するバスケット内に収容すると共に、当該バスケットの上部開口部を通風可能な平蓋で覆った後、
    前記バスケットに対してその下方から上方に向けて乾燥空気を吹き付け、当該乾燥空気により当該バスケット内の麺線を浮上させて当該麺線により形成される麺の塊の上面側を前記平蓋側に押し付けて平坦に加工しながら当該麺線を乾燥して固化することを特徴とするノンフライ麺の乾燥方法。
  2. 請求項1に記載のノンフライ麺の乾燥方法において、
    前記麺線が次第に固化して麺の塊の形状が復元しなくなるまで乾燥空気を上方に向けて吹き付けて麺の塊を前記平蓋側に押し付けることを特徴とする特徴とするノンフライ麺の乾燥方法。
  3. 請求項1または2に記載のノンフライ麺の乾燥方法において、
    前記乾燥空気として80〜200℃の熱風を用いると共に、当該乾燥空気を前記バスケットに対して20〜30m/秒の風速で吹き付けることを特徴とするノンフライ麺の乾燥方法。
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