JP5443205B2 - 多段バンド式汚泥乾燥装置 - Google Patents

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本発明は、汚泥、畜糞、食品、食品残渣、化成品、肥料などの粘性物を効率的に乾燥することができるバンド式粘性物乾燥装置に関するものである。
汚泥などの粘性物の有効利用や製品化等を図る場合、先ずは汚泥などの粘性物を乾燥させる処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
そこで、そのような汚泥などの粘性物の乾燥処理のために、海産物等の乾燥に利用されているバンド式乾燥装置を用いることが考えられる。バンド式乾燥装置は、特許文献2や特許文献3等に記載されているが、その一例を図4に示すように、海産物等の被乾燥物を搬送する網目状のコンベアベルト(バンド)50を上下方向に複数段備えており、それらのバンド50で搬送されている被乾燥物に対して熱風や温風を送風することで、被乾燥物を乾燥するようになっている。その際、被乾燥物は各段のバンド50の折り返し点で落下して次の段のバンド50に載り移る。
なお、特許文献2に記載のバンド式乾燥装置(多段バンド式乾燥装置)では、熱風や温風が装置の上方から下方に向けて通風するようになっており、特許文献3のバンド式乾燥装置(多段バンド式乾燥装置)では、熱風や温風が装置の下方から上方に向けて通風するようになっている。
ちなみに、バンド式乾燥装置は、バンドが一段のみの場合もある。
特開2008−050458号公報 特開平02−069135号公報 実開平06−031479号公報
しかしながら、特許文献2、3に記載のバンド式乾燥装置を用いて汚泥などの粘性物を乾燥させようとした場合、以下のような問題が生じる。
すなわち、粘性物は付着性が高いので、乾燥途中の1段目バンドの折り返し点でバンド面から離脱しないことが起こる。バンドから離脱しなかった粘性物が一巡してくると、その上に新たに供給された粘性物が載ってしまい、その結果、被乾燥物の厚みが増して、乾燥が非効率になる。
それに対して、1段目バンドの折り返し点で汚泥などの粘性物がバンドから離脱する程度まで充分に乾燥させる方法、つまり、送風温度の上昇や風量の増大、あるいは、バンド長さを長くすることによって滞留時間を長くするなどの方策が考えられるが、この場合、乾燥に要する消費エネルギーや乾燥装置の設置面積が増加してしまう。
また、1段目バンドの折り返し点にスクレーパを設ける対策が考えられるが、この場合、1段目バンドからの離脱は促進されるものの、一部はスクレーパで押し潰され、バンドの網目が汚泥で埋まってしまう。その結果、通風に偏流や圧力損失の増大が見られ、乾燥が非効率になる。また、バンドの網目のクリーニング頻度が高くなる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、汚泥、畜糞、食品、食品残渣、化成品、肥料などの粘性物を効率的に乾燥することができるバンド式粘性物乾燥装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
[1]汚泥を乾燥するための多段バンド式汚泥乾燥装置であって、前記汚泥の成形ノズルと、前記成形ノズルで成形された汚泥を搬送する複数段のバンドと、前記バンドで搬送されている汚泥該装置の上方から下方に向けて温風を送風する温風送風手段と、前記成形ノズルによって成形された汚泥が1段目バンドに載る前に170〜240℃の温風を吹き付ける温風吹き付け手段とを備え、
前記1段目バンドの送り速度を2段目以降のバンドの送り速度よりも速く設定したことを特徴とする多段バンド式汚泥乾燥装置。
本発明においては、汚泥、畜糞、食品、食品残渣、化成品、肥料などの粘性物を効率的に乾燥することができる。
本発明の実施形態1を示す図である。 本発明の実施形態2を示す図である。 本発明の実施形態における基本的な考え方を示す図である。 通常の多段バンド式乾燥装置を示す図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは、汚泥を乾燥する場合を例にして述べる。
図3は、本発明の実施形態における基本的な考え方を示す図である。汚泥を多段バンド式乾燥装置で乾燥する場合、汚泥を所定の形状(例えば、板状、棒状)にしてから1段目バンドに載せることになるが、本発明の実施形態においては、図3に示すように、汚泥成形ノズル14によって成形された汚泥(成形汚泥)2が1段目バンド12に載る前に、1段目バンド12に接する側の成形汚泥2表面に温風吹き付けノズル21によって温風を吹き付けるようにしている。
このように、1段目バンド12に載る直前の成形汚泥2に対して、1段目バンド12に接する側の表面に温風を吹き付けて僅かに乾燥させることで、バンドへの付着力は小さくなる。したがって、汚泥2全体の平均的な含水率は比較的高くとも、1段目バンド12の折り返し点では、バンドから離脱しやすくなる。
上記のような基本的な考え方に基づいた本発明の実施形態1、2を以下に示す。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る多段バンド式汚泥乾燥装置10Aを示す図である。図1に示すように、この実施形態1に係る多段バンド式汚泥乾燥装置10Aは、乾燥装置本体11の内部に複数段のバンド(ここでは、1段目バンド12と2段目バンド13)を備えているとともに、脱水汚泥1が貯留されている汚泥貯留槽7から汚泥ポンプ8によって供給されてきた汚泥を所定の形状に成形する成形ノズル14と、乾燥後の汚泥を排出する乾燥汚泥排出装置15を備えている。温風は、温風発生熱交換器19で未利用排熱などと熱交換して所定の温度とし、乾燥装置本体11に送風されて、1段目バンド12および2段目バンド13で搬送されている汚泥2を乾燥するようになっている。その際、汚泥2からの臭気をできるだけ抑制しながら乾燥するためには、170〜240℃の温風によって汚泥2の表面に殻を形成させるようにする。なお、温風は、大半は循環ファン18によって温風発生熱交換器19と乾燥装置本体11内を循環され、一部は空気導入ファン17によって大気から導入され、一部は図示しない排気処理装置によって排気される。
その上で、この実施形態1においては、汚泥成形ノズル14と1段目バンド12との間に、吹き付けノズル21と温風発生機22が設置されていて、汚泥成形ノズル14によって成形された汚泥2が1段目バンド12に載る前に、1段目バンド12に接する側の汚泥表面に吹き付けノズル21から温風を吹き付けるようになっている。
これによって、汚泥2の1段目バンド12への付着力は小さくなり、1段目バンド12の折り返し点では、バンドから離脱しやすくなる。その結果、効率的に汚泥を乾燥することができるようなる。
なお、温風吹き付けノズル21から吹き付ける温風の温度は、汚泥2からの臭気を抑制できる170〜240℃が望ましいが、バンドへの付着が抑制される範囲においては、それ以下の温度であっても構わない。
そして、この実施形態1では、図1に示すように、温風発生熱交換器19で発生させた温風を乾燥装置本体11の上方から下方に向けて通風するようにしているが、それは以下のような理由である。
すなわち、前述したように、汚泥2からの臭気をできるだけ抑制しながら乾燥するためには、170〜240℃の温風によって汚泥2の表面に殻を形成する必要がある。その際に、特許文献3のように、乾燥装置の下方から上方に向けて通風させる場合は、1段目バンドでの温風温度を170〜240℃にするためには、乾燥装置の下方から通風される温風の温度をそれ以上に高くすることになるので、最下段バンド上の比較的含水率の低い汚泥が焦げたり、発火したりする恐れがある。
それに対して、1段目バンドについては下方から上方に温風を通風させ、2段目以降のバンドについては上方から下方に温風を通風させるように、1段目バンドと2段目バンドの間に温風通風用のノズルを設置する方策が考えられるが、この場合は、乾燥装置内の構造が複雑になってしまい、乾燥装置のコストの上昇や、メンテナンス性が難しくなる恐れがある。
したがって、汚泥全体の乾燥用の温風は乾燥装置の上方から下方に向けて通風することが望ましい。
[実施形態2]
図2は、本発明の実施形態2に係る多段バンド式汚泥乾燥装置10Bを示す図である。図2に示すように、この実施形態2に係る多段バンド式汚泥乾燥装置10Bは、上記の実施形態1に係る多段バンド式汚泥乾燥装置10Aとほぼ同じであるが、実施形態1における温風発生機22からの吹き付けノズル21への温風供給に替えて、温風発生熱交換器19で発生させた温風の一部を抽出して、吹き付けノズル21から汚泥表面に吹き付けるようにしている。
実施形態1のように、独立した温風発生機22から温風を吹き付けノズル21に供給する場合は、その温風の温度や風量の調整が行い易いという利点があるが、実施形態2のように、汚泥乾燥用の温風の一部を吹き付けノズル21に供給する場合は、軽微な装置フローの変更で対応できるという利点がある。
そして、上記の実施形態1、2では、複数段のバンドを備えているが、本発明は、1段のみのバンドの場合にも同様に実施することができる。
また、上記の実施形態1、2では、汚泥を乾燥する場合を例にして述べたが、本発明は、畜糞、食品、食品残渣、化成品、肥料などの他の粘性物を乾燥する場合にも適用することができる。
本発明の有効性を確認するために、上記の多段バンド式汚泥乾燥装置10Aを用いて、1段目バンド12の折り返し点での汚泥2の離脱性能について検証した。その際に、汚泥乾燥用の温風の温度は200℃とした。
そして、本発明例として、吹き付けノズル21から温風を汚泥2の表面に吹き付けた。吹き付けた温風の温度は200℃で、風量は全風量の3〜4%程度とした。これに対して、比較例として、吹き付けノズル21からの温風の吹き付けを行わなかった。
その結果、比較例では、汚泥2を1段目バンド12から離脱させるためには、1段目バンド12上での滞留時間を8分程度要したのに対して、本発明例では、1段目バンド12上での滞留時間を3分に短縮することが可能であった。
通常、多段バンド式乾燥装置の設置スペースはバンドの長さと幅で概ね決定されるので、本発明における1段目バンド上での滞留時間の短縮効果によって、バンドの長さを短くすることができるようになり、設置面積を低減することが可能になる。
また、既存の乾燥装置に本発明を適用することで、1段目バンドの送り速度を速くして滞留時間を短くすることでき、乾燥装置の処理量増大を図ることが可能になる。上記の検証結果から、これらは約6割の滞留時間の短縮、あるいは処理量の増大と言える。
ただし、1段目バンドの折り返し点での汚泥の平均的な含水率は高くなるので、所定の含水率の乾燥汚泥を排出するためには、2段目以降のバンドの送り速度を小さくして滞留時間を長くする。
このようにして、本発明においては、汚泥を効率的に乾燥することができる。
1 脱水汚泥
2 成形汚泥
7 汚泥貯留槽
8 汚泥ポンプ
10A 多段バンド式汚泥乾燥装置
10B 多段バンド式汚泥乾燥装置
11 乾燥装置本体
12 1段目バンド
13 2段目バンド
14 汚泥成形ノズル
15 乾燥汚泥排出装置
17 空気導入ファン
18 循環ファン
19 温風発生熱交換器
21 温風吹き付けノズル
22 温風発生機
50 コンベアベルト(バンド)

Claims (1)

  1. 汚泥を乾燥するための多段バンド式汚泥乾燥装置であって、前記汚泥の成形ノズルと、前記成形ノズルで成形された汚泥を搬送する複数段のバンドと、前記バンドで搬送されている汚泥該装置の上方から下方に向けて温風を送風する温風送風手段と、前記成形ノズルによって成形された汚泥が1段目バンドに載る前に170〜240℃の温風を吹き付ける温風吹き付け手段とを備え、
    前記1段目バンドの送り速度を2段目以降のバンドの送り速度よりも速く設定したことを特徴とする多段バンド式汚泥乾燥装置。
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