JP3924388B2 - 熱風乾燥麺塊の製造方法および容器入り熱風乾燥麺の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱湯注加により復元する即席タイプの熱風乾燥麺塊の製造方法および容器入り熱風乾燥麺の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、熱湯の注加により復元して喫食する即席タイプの容器入り熱風乾燥麺は、良好な復元性を得るために、乾燥前のアルファー化麺線はその水分含量をフライ麺の場合に比べて高く調整されることが多い。このため、乾燥前の麺線は柔らかくリテーナーに充填すると麺線の自重によりあたかも麺塊を上方から押さえつけた様な嵩が低く空隙率の低い麺塊になってしまう。その結果、熱風乾燥時に麺塊中心部に熱風が達しにくく、麺塊の表面と内部で水分含量が不均一となり乾燥効率が著しく劣っていた。また、このようにして得られた熱風乾燥麺塊10は嵩が低いため、図4のごとく容器20内にて麺塊側面10aを容器内面に接した状態で保持しようとした場合その接触面積が小さくなり、流通時の振動により、麺塊側面10aによる前記保持状態を維持できず転倒し(鎖線状態参照)破損するという問題が有った。更に喫食に際しても、乾燥が不均一で空隙率が低いため、熱湯での迅速且つ均一な復元性と食感に劣るという問題があった。
【0003】
一方、上記問題点を解決する嵩の高い熱風乾燥麺塊を得る先行発明として特許第2666224号「麺玉を嵩高形状に乾燥させる方法および装置」がある。当該発明では、蒸煮麺を通気孔を有するカップに収容した後の熱風乾燥工程において、所定の水分率になった時点でカップの底面から上方に向けて圧縮空気を噴射して乾燥することにより麺線間の空隙率の高い嵩高形状の熱風乾燥麺塊とするものである。しかしながら、この方法では、圧縮空気を下方から噴射することで麺線を浮上させながら空隙を形成して乾燥させるために、麺塊の下方が上方に比べて過度に乾燥される可能性が有り均一な乾燥が困難である。またこの方法では熱湯復元性に優れた空隙率および空隙構造を有する乾燥麺塊を得ることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術における問題点を解決するものであり、乾燥効率が良く、流通時の破損が少なく、喫食時の熱湯復元性に優れた、熱風乾燥麺としては新規な疎密構造を有する熱風乾燥麺塊の製造方法および容器入り熱風乾燥麺の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載したように、(1)アルファー化麺線を多数の通気孔が形成され底面が開閉自在で下方側が広いテーパー形状を有するリテーナーに麺塊となるよう定量充填し、(2)前記麺塊の下部が保形性を有する程度に乾燥硬化させるため、リテーナーの下方から熱風により一次乾燥させ、(3)次いで前記リテーナーを反転することにより、麺塊上部となった前記乾燥硬化されて保形性を有する部分がリテーナー上部内側面に接して支持され、麺塊下部の麺線が垂下した状態にてリテーナーの下方から二次乾燥する熱風乾燥麺塊の製造方法である。
【0006】
請求項1による本発明によれば、一次乾燥により麺塊下部が保形性を有する程度に乾燥硬化されるため、これをリテーナーごと反転させるとリテーナーの逆テーパー形状を有する側面にて乾燥硬化された麺塊の上部側面が支持され麺塊の下方部分のみが順次垂下した状態となり、この状態でリテーナーの下方から二次乾燥されるため、乾燥終了後の麺塊を、上面が平坦で且つ上部が密で下部が疎なる疎密構造を有する麺塊を形成することができる。
【0007】
また、請求項2に記載したように、前記アルファー化麺線がウエーブ付与されているものとすると、当該ウエーブが保持された状態で一次乾燥および二次乾燥されることとなるので、特に有効に麺線間に空隙を形成することができる。
また、請求項3に記載したように、前記リテーナーの通気孔を底面と上面のみに設けられていることとすると、リテーナー下方から吹き付けられる熱風はリテーナー側面から逃げることなく、常にリテーナー内を下方から上方に向けて通過することとなるため、乾燥効率が良く、特に本発明による疎密構造を有するようように乾燥する点で優れている。
【0008】
更に、請求項4に記載した発明は、(1)アルファー化麺線を多数の通気孔が形成され底面が開閉自在でテーパー形状を有するリテーナーに麺塊となるよう定量充填し、(2)前記麺塊の下部が保形性を有する程度に乾燥硬化させるため、リテーナーの下方から熱風により一次乾燥した後、(3)前記リテーナーを反転することにより、麺塊上部となった前記乾燥硬化されて保形性を有する部分がリテーナー上部内側面に接して支持され、麺塊下部の麺線が垂下した状態にてリテーナーの下方から二次乾燥することにより上面が平坦で且つ上部が密で下部が疎なる疎密構造を有する熱風乾燥麺塊を調製し、次いで、(4)前記乾燥麺塊をリテーナーから取り出した後、(5)麺塊の上部側面と略同テーパー形状を有する容器に、容器内側面に少なくとも麺塊上部側面が接した状態にてその上方および下方に空間を形成するように収容し、(6)容器開口部を蓋材により閉封することを特徴とする容器入り熱風乾燥麺の製造方法である。
【0009】
当該方法によると、容器入り熱風乾燥麺は、容器内側面に少なくとも麺塊上部側面が接した状態にて容器内に収容できるため、容器内での安定性が良く流通時の振動による麺塊のガタツキが無く麺塊が破損することが無い収納状態を得ることができる。また麺塊上面が平坦で麺線が密に形成されているため、乾燥具材等を麺塊上部に充填すると容器内の下方に落下すること無く麺塊上面に載置された状態を維持することができ見映えが良好である。更に、喫食における熱湯復元時には、麺塊下方に形成された空間と麺塊の疎密構造が相俟って、熱湯の対流効果により迅速且つ均一に復元調理することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<(1)定量充填>
図1のように、アルファー化麺線1が上面と底面に多数の通気孔3が形成され側面において下方側が広くなったテーパー形状を有するリテーナー2に定量充填される。リテーナー2は円錐台形状または角錐台形状等のテーパー形状を有し、底面となる底蓋4は開閉自在に設置され、通気孔3は底面と上面に穿設等の方法にて形成されている。尚、前記通気孔は側面に設けることも可能であるが、麺塊の乾燥効率および本発明の疎密構造を形成する点で底面と上面のみに設けることが好ましい。
前記アルファー化麺線1とは、うどん、そば、中華麺、スパゲティー等を実質的にアルファー化した麺線である。アルファー化処理は、常法により得られる生麺線を蒸し・茹で処理するものでありこれにより麺線の水分含量を約60〜70%に調整する。尚、前記アルファー化麺線はウエーブ付与された麺線であることが熱風乾燥時の麺線間の空隙形成の点で特に好ましい。また、前記アルファー化麺線を水洗処理することにより、麺線表面に溶出した澱粉類を除去し且つ水分含量を75%程度にまで高めておくことが、後工程の熱風乾燥による疎密構造・麺線間の空隙の形成および乾燥後の復元性・食感を向上させる点でより好適である。
<(2)一次乾燥>
前記アルファー化麺線を底面が開閉自在で下方側が広いテーパー形状を有するリテーナー2に一食毎、定量充填する。リテーナー2に充填されたアルファー化麺線1はその自重により底面が平坦で且つ下部が密で上部が疎の状態の麺塊となる。この状態でリテーナー2の下方通気孔3から熱風を吹き付けることにより麺塊の下部が保形性を有する程度に乾燥硬化させる。
<(3)二次乾燥>
前記一次乾燥後リテーナー2を反転する。この反転にて図2の如く前記乾燥硬化された麺塊上部側面がテーパー形状を有するリテーナーの上部内側面に接して支持され、麺塊下部の麺線が順次垂下した状態となる。この状態にてリテーナーの下方から熱風を吹き付けることにより麺塊全体を乾燥させる。
【0011】
前記一次乾燥および二次乾燥の温度と時間は、乾燥させる麺の種類、麺線の厚さ、麺線の水分含量等により適宜設定されるが、通常80〜120℃の熱風にて、一次乾燥と二次乾燥の乾燥時間の比率を3:8から4:6に調整することが麺塊の疎密形成の点でより好適である。前記乾燥工程により麺塊の水分含量は5%以下に調整される。
【0012】
以上の工程により、乾燥麺塊をリテーナーから取り出すことにより、上面が平坦で且つ上部が密で下部が疎なる疎密構造を有する熱風乾燥麺塊を得ることができる。
<熱風乾燥麺塊の容器への収容>
次いで、前記乾燥麺塊を、図3のように麺塊5の少なくとも上部側面5aと略同テーパー形状を有する容器6に、その容器内側面6aに少なくとも麺塊上部側面5aが接した状態にてその上方および下方に空間C、C′を形成するように収容し、容器開口部を蓋材8により閉封し容器入り熱風乾燥麺とする。
更に、必要に応じて、収容された麺塊5の上部に具材7またはスープ等を適宜収容可能である。容器の材質としては、プラスチック、紙、アルミニウム等の金属、またはそれらの積層体等が適宜採用可能である。蓋材は容器フランジ部にヒートシールすることにより行われるが、その他、高周波、超音波またはマイクロ波等を利用した内部加熱によるシールまたは食品衛生上影響の無い接着剤により密封することができる。また、蓋材を容器開口部に着脱自在に嵌合して閉封してもよい。
【0013】
【実施例】
小麦粉を主成分とする原料粉に、かん水、食塩、ポリリン酸塩等を配合した練水を添加し、ミキサーにて混捏して麺生地とした後、複合ロールを用いて麺帯とした。次いで当該麺帯を圧延ロールで圧延して厚さを1mmとし、#14角の切刃ロールで切り出して麺線とし、2分間蒸煮後、麺線長15cmに切断し、1.5分間茹で処理してアルファー化麺線とした。次にこの麺線を冷水にて30分間水洗し水分含量75%に調整した。次いで水切りした後、所定量(約170g)を後述のカップ状容器の内側面と略同テーパー形状を有するリテーナーに投入した。当該リテーナーはステンレス製で、上面と底面には、通気孔が多数形成され、底面は開閉自在に設置されていると共に下方側が広いテーパー形状を有している。表1に示す時間にて、前記リテーナー下方から、約90℃の熱風で所定時間一次乾燥した後、反転し、前記同様にリテーナー下方から、約90℃の熱風にて所定時間二次乾燥し実施例1〜3にて試料1〜3を得た。またこれら実施例と比較すべく一次乾燥のみに依存した比較例により比較試料を得た。前記試料の嵩高さおよび疎密構造を測定・観察した。
【0014】
その結果を表1に示してある。
【0015】
【表1】
Figure 0003924388
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、熱湯復元性および食感に優れた疎密構造を有する嵩高な乾燥麺塊を得ることできる。また、本発明による熱風乾燥麺塊は、容器入り即席麺タイプとして使用する場合、特に、麺塊の側面が容器の内側面に接した状態にて麺塊の上方と下方に空間を形成するように収容して保持する場合には、従来の麺塊に比べて嵩高く容器内側面との接触面積が大きいため、容器内でしっかり保持されるため、流通時の振動により麺塊が容器内で転倒して破損することもない。
【0017】
また麺塊上面が平坦で麺線が密に形成されているため、乾燥具材等を麺塊上部に充填すると容器内の下方に落下すること無く麺塊上面に載置された状態を維持することができ見映えが良好である。更に、喫食における熱湯復元時には、麺塊下方に形成された空間と麺塊の疎密構造が相俟って、熱湯の対流効果により迅速且つ均一に復元調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一次乾燥時の説明図である。
【図2】二次乾燥時の説明図である。
【図3】本発明による容器入り熱風乾燥麺の縦断面図である。
【図4】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 アルファー化麺線
2 リテーナー
3 通気孔
4 底蓋
5 麺塊
5a 麺塊の上部側面
6 容器
6a 容器内面側
7 具材
8 蓋材
C,C′ 空間

Claims (4)

  1. 熱風乾燥麺塊の製造方法であり、
    (1)アルファー化麺線を多数の通気孔が形成され底面が開閉自在で下方側が広いテーパー形状を有するリテーナーに麺塊となるよう定量充填する工程
    (2)前記麺塊の下部が保形性を有する程度に乾燥硬化させるため、リテーナーの下方から熱風により一次乾燥させる工程
    (3)前記リテーナーを反転することにより、麺塊上部となった前記乾燥硬化されて保形性を有する部分がリテーナー上部内側面に接して支持され、麺塊下部の麺線が垂下した状態にてリテーナーの下方から二次乾燥する工程
    を含むことを特徴とする熱風乾燥麺塊の製造方法。
  2. 前記アルファー化麺線がウエーブ付与されていることを特徴とする請求項1記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。
  3. 前記リテーナーの通気孔が底面と上面のみに設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。
  4. (1)アルファー化麺線を多数の通気孔が形成され底面が開閉自在で下方側が広いテーパー形状を有するリテーナーに麺塊となるよう定量充填し、
    (2)前記麺塊の下部が保形性を有する程度に乾燥硬化させるため、リテーナーの下方から熱風により一次乾燥した後、
    (3)前記リテーナーを反転することにより、麺塊上部となった前記乾燥硬化されて保形性を有する部分がリテーナー上部内側面に接して支持され、麺塊下部の麺線が垂下した状態にてリテーナーの下方から二次乾燥することにより上面が平坦で且つ上部が密で下部が疎なる疎密構造を有する熱風乾燥麺塊を調製し、
    次いで、
    (4)前記麺塊をリテーナーから取り出した後
    (5)前記麺塊の少なくとも上部側面と略同テーパー形状を有する容器に、その容器内側面に少なくとも麺塊上部側面が接した状態にてその上方および下方に空間を形成するように収容し、
    (6)容器開口部を蓋材により閉封する
    ことを特徴とする容器入り熱風乾燥麺の製造方法。
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