JP4830731B2 - ガス溶解水供給装置 - Google Patents
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Description
従来、複数の洗浄機にガス溶解水を供給する場合、濃度の安定性を重視し、洗浄を実施していないときでも、洗浄時に必要な水量のガス溶解水を常に全量送水していた。系内の清浄度を保つために一定以上の送水は必要であるが、水使用量削減の観点から、洗浄を実施していないときの送水量低減に課題があった。
このようなニーズに対して、ガス溶解水を洗浄機へ供給する配管の途中に、ガス溶解水を貯留するバッファータンクを有することを特徴とするガス溶解水供給装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この技術によれば、洗浄機に連結する枝管にバッファータンクを設け、バッファータンクにガス溶解水を貯留しておき、必要時にガス溶解水を洗浄機へ供給することが可能となった。しかし、この特許文献には節水の仕方については開示がなく、節水に関しては、必ずしも十分に満足し得るとはいえなかった。また、複数の洗浄機へ送水する場合、それぞれの洗浄機毎にバッファータンクが必要であり、装置が複雑化する問題があり、また、貯留中にガス溶解水の溶存ガス濃度が低下する問題があった。
すなわち、本発明は、
[1]水にガスを溶解させるガス溶解装置と、所定の保有水量を貯留可能なバッファータンクと、前記ガス溶解装置で得られたガス溶解水を前記バッファータンクに送水する送水配管と、前記バッファータンクのガス溶解水を複数の洗浄機に供給可能な供給配管と、該供給配管に設けられる供給ポンプとを備えたガス溶解水供給装置であって、
前記バッファータンクは、供給配管とは別に設けた余剰のガス溶解水を排出する排出水路を有し、ガス溶解装置で得られたガス溶解水を、所定の送水量で連続的にバッファータンクに送水し、稼動中の洗浄機に必要量のガス溶解水を供給配管を介して供給可能とすると共に、バッファータンクの保有水量より余剰のガス溶解水は、排出水路から排出可能としたことを特徴とするガス溶解水供給装置、
[2]ガス溶解装置から連続的にバッファータンクに送水される送水量は、複数の洗浄機が同時に運転されたと仮定した際のガス溶解水の全必要水量よりも少なく、かつ平均使用水量よりも多い上記[1]項に記載のガス溶解水供給装置、
[3]バッファータンクの保有水量は、洗浄機への供給水量が、該バッファータンクに連続的に送水される送水量より多い場合に、その不足分を補うことができ、かつ送水されるガス溶解水の滞留時間が5分以内となる量である上記[1]又は[2]項に記載のガス溶解水供給装置、
[4]バッファータンクのガス溶解水を複数の洗浄機に供給可能な供給配管に、稼動洗浄機への供給水量を所定量に維持する水量維持手段を設けてなる上記[1]〜[3]項のいずれかに記載のガス溶解水供給装置、
[5]水量維持手段が、供給配管に設けた供給ポンプと、圧力計と、圧力計測定値を所定値に維持するように供給ポンプを制御する制御器とから構成される上記[4]項に記載のガス溶解水供給装置、
[6]水量維持手段が、供給配管に設けた供給ポンプと、各洗浄機に供給されるガス溶解水の流量を測定する各洗浄機に対応して設けられた複数の流量計と、流量計測定値を所定値に維持するように供給ポンプを制御する制御器とから構成される上記[4]項に記載のガス溶解水供給装置、
[7]供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなり、かつ、供給ポンプと圧力計とが供給主配管に設けられてなる上記[5]項に記載のガス溶解水供給装置、
[8]供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなるか、あるいはバッファータンクから洗浄機へ直接連結する複数の供給枝配管からなり、かつ、供給ポンプと流量計とが供給枝配管に設けられてなる上記[6]項に記載のガス溶解水供給装置、
[9]供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなり、さらに該供給主配管の他端と一端が連結し、その他端がバッファータンクに連結する戻り配管を有し、バッファータンク、供給主配管、戻り配管からなる循環経路が形成され、かつ水量維持手段として循環経路に背圧弁が設けられてなる上記[4]項に記載のガス溶解水供給装置、
[10]さらに、バッファータンクの下流側に設けた溶存ガス濃度計と、溶存ガス濃度計測定値に基づき、ガス溶解装置で製造するガス溶解水の濃度を所望値に制御する制御器とを有する上記[1]〜[4]項のいずれかに記載のガス溶解水供給装置、
[11]余剰のガス溶解水を排出する排出水路が、オーバーフローによる排出水路である上記[1]〜[10]項のいずれかに記載のガス溶解水供給装置、
[12]オーバーフロー水を回収して再利用する上記[1]〜[11]項のいずれかに記載のガス溶解水供給装置、及び
[13]ガスがオゾンである上記[1]〜[12]項のいずれかに記載のガス溶解水供給装置、
を提供するものである。
ところで、洗浄機が稼動するには、ガス溶解水が必要であり、ガス溶解水は洗浄機毎に供給できるように各洗浄機近傍の供給配管に設けられている栓を開にして供給するので、洗浄機の稼働率を開栓率と言い換えることができる。
全洗浄機が同時に稼動してガス溶解水が全洗浄機に供給されている場合を仮定して(現実的にはないか、あっても僅かの時間のみ)、その場合に必要なガス溶解水の全量に相当する水量(全必要水量という)を供給することを、開栓率100%といい、開栓率30%は全必要水量の30%を供給する状態をいう。
上述のように、開栓率(稼働率)は30〜40%程度であることが多く、工場等の状況を把握することにより、開栓率を推定することができる。
なお、平均的な開栓率のときの供給水量を、平均使用水量という。
本発明は、開栓率が高くないことに着目してなされたものであり、洗浄機に供給するガス溶解水は、全必要水量を供給可能とするのではなく、開栓率よりやや多い水量を常時供給可能とすることにより、節水を図るものである。
そして、前記バッファータンクにおいては、供給配管とは別に設けた余剰のガス溶解水を排出する排出水路を有し、ガス溶解装置で得られたガス溶解水を、所定の送水量で連続的にバッファータンクに送水し、稼動中の洗浄機に必要量のガス溶解水を供給配管を介して供給可能とすると共に、バッファータンクの保有水量より余剰のガス溶解水は、排出水路から排出可能である。
本発明の装置においては、前記ガス溶解装置から連続的にバッファータンクに送水される送水量は、複数の洗浄機が同時に運転されたと仮定した際のガス溶解水の全必要水量よりも少なく、かつ平均使用水量よりも多くすることができ、また、バッファータンクの保有水量は、洗浄機への供給水量が、該バッファータンクに連続的に送水される送水量より多い場合に、その不足分を補うことができ、かつ送水されるガス溶解水の滞留時間が5分以内となる量にすることができる。
本発明においては、このように、ガス溶解水の供給配管にバッファータンクを設け、バッファータンクに常時送水するガス溶解水の送水量を制限している。
バッファータンクを設けたことにより、ガス溶解装置で生産されたガス溶解水を常時バッファータンクに送ることができ、バッファータンクの保有水を、洗浄機の稼動状態に合わせて求められる水量を洗浄機へ常に供給することができる。
本発明では、開栓率よりやや多めのガス溶解水をバッファータンクに送っているので、ユースポイントにおいて支障なく洗浄機を運転することができる。
突発的に開栓率より多い水量が要求されることがあっても、大概の場合は短時間のことであり、バッファータンクに保有されたガス溶解水で補うことができる。
本発明では、ガス溶解水の送水量は、開栓率の水量よりやや多いものの全必要水量から見れば大幅な低減であり、節水効果は高い。
本発明ではバッファータンクに余剰のガス溶解水(送水量−そのときの洗浄機への供給水量)を排出する排出水路を設け、バッファータンクの保有水量を超えた余剰分はバッファータンクから排出され、バッファータンク内のガス溶解水は常にガス溶解装置で生成された新しいガス溶解水と置換されることになる。新しいガス溶解水のバッファータンク内の滞留時間は、バッファータンクの保有水量(水の貯蔵可能容量)/送水量である。滞留時間が長くなれば、溶存ガスが自己分解などにより、溶存ガス濃度を低下させることになるが、本発明ではタンク内の水を更新して、また、滞留時間を5分以内とすることができるので、濃度低下があまりないほぼ一定濃度のガス溶解水をタンク内に保有でき、その結果、洗浄機へほぼ濃度が一定のガス溶解水を供給することができる。
ガス溶解水をバッファータンクから洗浄機に供給する場合、洗浄機の稼動数が変わり、バッファータンクからの供給水量が変化すると、例えば、一つの洗浄機にガス溶解水を供給しているときに、もう一つの洗浄機が洗浄を開始すると、供給配管を流れる水圧が変化(低下)し、洗浄を行っていた洗浄機への水量が低下し、所定量供給できなくなる。また、洗浄を開始した方の洗浄機にも所定量の水量が供給されない。
したがって、本発明の装置においては、当該バッファータンクのガス溶解水を複数の洗浄機に供給可能な供給配管に、稼動洗浄機への供給水量を所定量に維持する水量維持手段を設けることが好ましい。この水量維持手段を設けることにより、前記のようなときでも稼動中の洗浄機には、所定量の水量を供給することができる。
前記(1)の手段では、洗浄機に送られるガス溶解水の水圧を圧力計で測定し、測定値が一定の範囲になるように、供給ポンプの回転数を制御するものである。洗浄機の稼動数が変化し、水圧が変化しても、水圧が所定値に戻るように制御されるから、水圧は一定に保持され、水圧が一定であるから供給水量も一定に保持される。この水量維持手段において、供給主配管にポンプも圧力計も設けることにより、それぞれ1個の機器を設けるだけでよく、装置的に簡素化される。
前記(2)の手段は、各洗浄機へ供給される供給水量を洗浄機毎に測定し、その水量が所定の範囲に維持されるようにポンプの回転数を制御する。したがって、各洗浄機とも必要な水量は維持される。
この水量維持手段においては、供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなるか、あるいはバッファータンクから洗浄機へ直接連結する複数の供給枝配管からなり、かつ供給ポンプと流量計とが供給枝配管に設けられていることが好ましい。この手段では、ガス溶解水を供給する供給配管にポンプと、流量計とを設けるので、設ける機器数が多くなるが、それぞれのポンプ容量は小さくてよく、低価格のポンプを採用することができる。
さらに、前記(3)の手段は、サークル状の配管のときに採用でき、この系内に背圧弁を設ければ、系内の水圧が一定になるよう弁の開度が自動的に調整される。
しかし、後述の例で、稼動する洗浄機の数が3台を超えると、送水量<洗浄側への供給量となり、バッファータンク内の水位が低下していき、低下した分滞留時間は短くなり、さらにだんだん短くなる。
このような滞留時間の長短は、溶存ガス濃度の低下につながり、滞留時間が長くなるときはガス濃度がより低下するので、このような場合には、バッファータンクに送水するガス溶解水の溶存ガス濃度を高くしておくことが望まれる。
なお、溶存ガス濃度の調整は、例えば、オゾンの場合、オゾン発生器の出力を変えることでオゾンガス濃度を調整し、供給オゾンガス濃度に応じて溶存オゾン濃度を調整する。また、ガス溶解装置に供給するオゾンガス流量やオゾンガス圧力を調整しても、溶存オゾン濃度を調整することができる。さらに、オゾン自己分解抑制のために、オゾン水に炭酸ガスなどの分解抑制剤を添加している場合には、その添加量を調整することで溶存オゾン濃度を調整できる。
本発明の装置においては、バッファータンクの保有水量より余剰のガス溶解水は、排出水路から排出可能であるが、前記排出水路は、オーバーフローによる排出水路であることが好ましく、また、オーバーフロー水は回収して再利用することができる。
炭酸ガス含有超純水は、薬品洗浄後のリンス水として使用することができる。超純水に炭酸ガスを溶解して比抵抗を低下させることにより、電子材料表面の帯電を防止することができる。塩素ガス含有超純水は、電子材料表面の金属汚染などの洗浄に使用することができる。
本発明においては、ガス溶解水として、特にオゾン溶解水が好ましい。
図1は、本発明のガス溶解水供給装置の一態様の系統図である。
図1の系統図で示される本発明のガス溶解水供給装置は、ガス溶解に用いられる水の貯槽(ガス溶解用原水槽)1と、水にガスを溶解させるガス溶解装置3と、所定の保有水量を貯留可能なバッファータンク5と、前記ガス溶解装置3で得られたガス溶解水を、前記バッファータンク5に送水する送水配管15と、前記バッファータンク5のガス溶解水を複数の洗浄機C1〜C4に供給可能な供給配管(供給主配管12、供給枝配管13)と、該供給配管に設けられる供給ポンプ9を備えており、また前記バッファータンク5は、供給配管12、13とは別に設けた余剰のガス溶解水を排出する排出水路8aを有している。
原水である超純水は補給水配管Aを経てガス溶解用原水槽1に貯留され、供給ポンプ2でガス溶解装置3へ送水される。ガス溶解装置に制限はなく、例えば、ガスを超純水に直接吹き込んで溶解することができ、あるいは、ガス透過膜モジュールなどを用いて、超純水にガスを溶解することもできる。ガスを直接吹き込む場合、バッファータンク5で気液分離を兼ねることもできる。また、バッファータンク5内の水中にガスを導入する機構14を設置し、ガス供給装置4から、ガス供給配管7aを経てガスを導入する場合、そこでのガス溶解もできる。
ガス溶解装置3へガス供給装置4から、ガス供給配管7bを経てガスが送られる。ガス供給装置に制限はなく、例えば、ガス発生器でガスを発生させ供給することもでき、また、ガスシリンダーのようなガス容器を接続してガス供給装置とすることもできる。
ガス溶解装置3を経たガス溶解水は配管15を経てバッファータンク5へ貯留され、供給ポンプ9、溶存ガスモニター10、圧力計11を経てユースポイントへ送水させる。ここで、溶存ガスモニター10で溶存ガス濃度を測定し、ユースポイントへの送水濃度が一定になるように、例えば、前述のようにガス発生器出力、ガス流量、ガス圧力などを制御する。溶存ガスモニターの設置場所に制限はなく、バッファータンク5の一次側でも二次側でもよいが、バッファータンク5に水位変動がある場合(供給量<使用量となる時間がある場合)はバッファータンク5内でのガス溶解水の滞留時間がかわり、濃度が変動することが考えられるため、二次側が良い。
前記供給ポンプ9は発塵しない構造であることが好ましく、また、該供給ポンプの吐出側には、後で説明する純化装置を設置してもよい。
バッファータンク5からユースポイントへは系内の清浄度を保つために常時少量のガス溶解水が送水されていることが望ましい。この水量は洗浄機1台あたりで、実際に被洗浄物を洗浄するのに必要な水量の10%程度でよい。一方、バッファータンク5へは何台かの洗浄機が同時に洗浄できるのに必要な水量が供給されている。この水量は全ての洗浄機が同時に洗浄するのに必要な水量の50%程度であるため、全ての洗浄機が同時に洗浄するのに必要な水量の40%程度は、洗浄が行われていないときは、余剰となる。この余ったガス溶解水は排出水路8aを経て溶存ガス除去装置6で処理され、リターン配管8bを経てガス溶解用原水槽1へ戻される。溶存ガス除去装置に制限はなく、例えばガス溶解水がオゾン水である場合、活性炭や、白金、パラジウムなどの酸化還元触媒と接触させることにより、あるいは紫外線を照射することにより、オゾンを分解除去する装置などを用いることができる。
なお、ガス溶解用原水槽1やリターン配管8bの材質として耐ガス性のものを用いれば、溶存ガス除去装置6は設置しなくてもよい。また、この余ったガス溶解水は、ガス溶解用原水槽1へ戻さずに捨ててもよい。
図2の系統図で示される本発明のガス溶解水供給装置は、バッファータンク5に一端が開口した供給主配管12と、供給主配管12の他端に連結し、バッファータンク5にガス溶解水を返送する戻り配管18とにより、循環経路(サークル状配管)を形成し、循環経路の任意の位置に圧力計17と背圧調整弁16とが設けられている。供給主配管12からは枝分かれして供給枝配管13が設けられ、供給枝配管13を介して洗浄機C1〜C4へガス溶解水を供給可能となっている。循環経路に設けられた供給ポンプ9は常時作動し、洗浄機に供給するガス溶解水とは別に一定量の水が循環経路を循環している。このような系においては、洗浄機の稼動台数が変動して系の水圧が変わろうとしても、背圧調整弁16の作用により系の水圧を一定に保つことができる。その結果、洗浄機への供給水量は一定に保たれる。
具体的には、原水である超純水は補給水配管Aを経てガス溶解装置3へ送水される。図1での説明同様、ガス溶解装置に制限はない。ガス溶解装置3へガス供給装置4から、ガス供給配管7bを経てガスが送られる。図1での説明同様、ガス供給装置に制限はない。
ガス溶解装置3を経たガス溶解水は、溶存ガスモニター10b及び配管15を経てバッファータンク5へ貯留され、供給ポンプ9、溶存ガスモニター10aを経てユースポイントへ送水され、戻り配管18を経由して、バッファータンク5へ戻る。サークル配管系内の水圧を調整するために背圧調整弁16を設置すると共に、圧力計17が設けられている。
ここで、溶存ガスモニター10aで溶存ガス濃度を測定し、ユースポイントへの送水濃度が一定になるようにガス発生器出力、ガス流量、ガス圧力などを制御する。溶存ガスモニター10aの設置場所に制限はなく、バッファータンク5の一次側でも二次側でもよい。
ユースポイントで使用されなかった余剰のガス溶解水はバッファータンク5へ返送され、ガス溶解水として再びユースポイントへ送水されるため、無駄なく再利用が可能である。
供給ポンプ9は、発塵しない構造であることが好ましく、またその吐出側の供給主配管12には、供給ポンプ9からの発塵物(微粒子)を除去する純化装置19を設けることができる。この純化装置に制限はないが、例えばガス溶解水がオゾン水である場合には、耐オゾン性を有するポリ四フッ化エチレン製メンブレンフィルターなどを装着した装置などを用いることができる。
なお、図2における符号が、図1の符号と同じである場合、図1と同じ意味をもつ。
前記図1及び図2においては、バッファータンク内に散気管を設け、該散気管をガス供給装置にガス供給管を介して連結している。これにより、バッファータンク内のガス溶解水の溶存ガス濃度が低下したときに、ガスを散基管から散気してタンク内の水に溶解させ、溶存ガス濃度を回復させることができる。バッファータンクへのガスの供給は任意であるが、急遽溶存ガス濃度を高める時には有効である。
実施例
下記の条件に従って試験を行った。
ガス溶解水が送水されるバッファータンクがあり、バッファータンクのガス溶解水は5台の洗浄機に供給可能となっている。
洗浄機は、1台当たり、洗浄時に10L/minの水量を使用する(1回の洗浄時間:1分)。
洗浄機には、洗浄運転していないときでも系内の清浄度維持するために少量の水が洗浄機までの配管に流されている。その量(清浄度維持水量)は洗浄時の水量の10%程度でよいが、常時供給されている。
清浄度維持水量=1L/min
全必要水量(全台が同時に稼動したと仮定したときの水量)=10L/min×5台=50L/min
開栓率 30%と設定=50L/min×30%=15L/min(平均使用水量)
全必要水量>バッファータンクへの送水量>平均使用水量
今回の例では、バッファータンクへの送水量=平均使用水量15L/min+α(10)=25L/minとした。
αを10L/minとしたのは次のように決めた。開栓率30%というのは、平均的に見て、洗浄機5台のうち1台がいつも稼動している状態であり、ときどき2台同時に稼動するときがある使われ方といえる。そこで余裕を見て、平均使用量15L/minにもう1台分の稼動を想定して10L/minを追加し、25L/minを送水量とした。
バッファータンク内滞留時間 5分と設定
バッファータンクの保有水量=送水量25L/min×滞留時間5分=125L
このような条件での想定した稼動状態での、洗浄機側への供給水量は、次のようになる。
洗浄機稼動数0台:
供給水量=清浄度維持水量1L/min×5台=5L/min
洗浄機稼動数1台:
供給水量=清浄度維持水量1L/min×4台+1台洗浄10L/min=14L/min
洗浄機稼動数2台:
供給水量=清浄度維持水量1L/min×3台+2台洗浄20L/min=23L/min
洗浄機稼動数3台:
供給水量=清浄度維持水量1L/min×2台+3台洗浄30L/min=32L/min
洗浄機稼動数4台:
供給水量=清浄度維持水量1L/min×1台+4台洗浄40L/min=41L/min
洗浄機稼動数5台:
供給水量=5台洗浄50L/min=50L/min
この結果から、全必要水量は50L/minであり、開栓率(稼動率)30%は平均的にみて、常時1台が稼動しているときといえる。
洗浄機が1台も稼動していないときは、清浄度維持水量5L/minが洗浄機側に供給されるが、25−5=20L/minが余剰となり、バッファータンクから排出される状態である。
第1表〜第4表は、種々の運転状況における水量を表示している。
第1表は、開栓率30%(正確にいえば28%)の運転で、5台の洗浄機が交互に1台づつ運転した状態を示しており、洗浄機へ常時14L/min供給され、送水量25L/minより少ないからタンク内の保有水量は変わらず、余剰分11L/minが排出される。このケースでは何ら支障なく、運転が継続される。
第2表も開栓率30%の運転であるが、5台同時に稼動するケースである。
このケースでは5台同時に稼動したときは、タンクへの送水量では供給水量が不足するが、タンク内の保有水で補うことができ、タンク内の保有水量が一時的に低下するが、同時運転が解消されるとともにタンク内保有水量が回復する。したがって、このケースでも支障なく洗浄運転できる。
第3表も開栓率30%の運転形態の一つであるが、第2表のケースと同様問題なく洗浄できる。
第4表は、開栓率が46%のケースであり、この例では想定していない開栓率のケースである。しかし、このケースもタンク内水量は一時的に25Lまで低下するが、同時洗浄が終了するとともに回復し、洗浄が継続できることを示している。
開栓率が予想外の46%でも対応できたのは、バッファータンクへの送水量を、開栓率30%の平均使用水量15L/minに、余裕を見て10L/minをプラスしたからである。節水効果をできるだけ求めるか、より安全サイドの管理をするかでαの水量を設定することができる。
第1表〜第4表は、4例のケースを記載しているが、洗浄機が常時2台稼動するケースもこの例では対応することができる。
また、送水量を25L/minから20L/minに少なくしても開栓率30%の運転には対応できる。30%の開栓率の平均使用水量は14L/minであるから、20L/minの送水量があれば、タンク内にガス溶解水を貯留することができ、瞬間的に多量の使用水量が求められても対応できる。
ガス溶解水は、オゾンガス溶解膜を用いてオゾン水を製造し、バッファータンクへ貯留した。バッファータンクへのオゾン水の送水は25L/minであり、オゾン水中の溶存オゾン濃度は25mg/Lである。
第1表に示すケースで1ヶ月間連続運転して、洗浄機への送水中の溶存オゾン濃度を20mg/Lに維持することができ、平均使用水量は14L/minであった。
比較例
バッファータンクを用いない場合、送水中の溶存オゾン濃度を20mg/Lに維持するには、全洗浄機に常時10L/minを送水する必要があるため、水使用量は50L/minであった。
2、9 供給ポンプ
3 ガス溶解装置
4 ガス供給装置
5 バッファータンク
6 ガス除去装置
7a、7b ガス供給配管
8a 排出水路(オーバーフロー水配管)
8b リターン配管
10、10a、10b 溶存ガスモニター
11、17 圧力計
12 供給主配管
13 供給枝配管
14 ガスを導入する機構
15 配管
16 背圧調整弁
18 戻り配管
19 純化装置
A 補給水配管
C1〜C4 洗浄機
Claims (13)
- 水にガスを溶解させるガス溶解装置と、所定の保有水量を貯留可能なバッファータンクと、前記ガス溶解装置で得られたガス溶解水を前記バッファータンクに送水する送水配管と、前記バッファータンクのガス溶解水を複数の洗浄機に供給可能な供給配管と、該供給配管に設けられる供給ポンプとを備えたガス溶解水供給装置であって、
前記バッファータンクは、供給配管とは別に設けた余剰のガス溶解水を排出する排出水路を有し、ガス溶解装置で得られたガス溶解水を、所定の送水量で連続的にバッファータンクに送水し、稼動中の洗浄機に必要量のガス溶解水を供給配管を介して供給可能とすると共に、バッファータンクの保有水量より余剰のガス溶解水は、排出水路から排出可能としたことを特徴とするガス溶解水供給装置。 - ガス溶解装置から連続的にバッファータンクに送水される送水量は、複数の洗浄機が同時に運転されたと仮定した際のガス溶解水の全必要水量よりも少なく、かつ平均使用水量よりも多い請求項1に記載のガス溶解水供給装置。
- バッファータンクの保有水量は、洗浄機への供給水量が、該バッファータンクに連続的に送水される送水量より多い場合に、その不足分を補うことができ、かつ送水されるガス溶解水の滞留時間が5分以内となる量である請求項1又は2に記載のガス溶解水供給装置。
- バッファータンクのガス溶解水を複数の洗浄機に供給可能な供給配管に、稼動洗浄機への供給水量を所定量に維持する水量維持手段を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載のガス溶解水供給装置。
- 水量維持手段が、供給配管に設けた供給ポンプと、圧力計と、圧力計測定値を所定値に維持するように供給ポンプを制御する制御器とから構成される請求項4に記載のガス溶解水供給装置。
- 水量維持手段が、供給配管に設けた供給ポンプと、各洗浄機に供給されるガス溶解水の流量を測定する各洗浄機に対応して設けられた複数の流量計と、流量計測定値を所定値に維持するように供給ポンプを制御する制御器とから構成される請求項4に記載のガス溶解水供給装置。
- 供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなり、かつ、供給ポンプと圧力計とが供給主配管に設けられてなる請求項5に記載のガス溶解水供給装置。
- 供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなるか、あるいはバッファータンクから洗浄機へ直接連結する複数の供給枝配管からなり、かつ、供給ポンプと流量計とが供給枝配管に設けられてなる請求項6に記載のガス溶解水供給装置。
- 供給配管が、バッファータンクに一端が開口する供給主配管と、供給主配管から分岐し、他端が洗浄機に開口する複数の供給枝配管とからなり、さらに該供給主配管の他端と一端が連結し、その他端がバッファータンクに連結する戻り配管を有し、バッファータンク、供給主配管、戻り配管からなる循環経路が形成され、かつ水量維持手段として循環経路に背圧弁が設けられてなる請求項4に記載のガス溶解水供給装置。
- さらに、バッファータンクの下流側に設けた溶存ガス濃度計と、溶存ガス濃度計測定値に基づき、ガス溶解装置で製造するガス溶解水の濃度を所望値に制御する制御器とを有する請求項1〜4のいずれかに記載のガス溶解水供給装置。
- 余剰のガス溶解水を排出する排出水路が、オーバーフローによる排出水路である請求項1〜10のいずれかに記載のガス溶解水供給装置。
- オーバーフロー水を回収して再利用する請求項1〜11のいずれかに記載のガス溶解水供給装置。
- ガスがオゾンである請求項1〜12のいずれかに記載のガス溶解水供給装置。
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