JP3701811B2 - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,処理液を用いて基板などを処理する基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば,半導体デバイスの製造工程では,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)を所定の薬液や純水等の洗浄液によって洗浄し,ウェハの表面に付着したパーティクル,有機汚染物,金属不純物等のコンタミネーションを除去する洗浄装置が使用されている。その中でも,洗浄液が充填された洗浄槽内にウェハを浸漬させて洗浄処理を行うウェット型の洗浄装置は,ウェハに付着したパーティクル等を効果的に除去できるため広く普及している。
【0003】
通常,薬液を用いて薬液洗浄を行う薬液洗浄装置と,純水を用いてリンス洗浄を行うリンス洗浄装置を交互に配置しながら多数の洗浄装置を並べている。そして,これら各洗浄装置にウェハを順次搬送することにより,ウェハに対して所定の洗浄工程を施す。この場合には,前の薬液洗浄と次の薬液洗浄との間に,リンス洗浄が行われることになり,前の薬液が綺麗に洗い流されたウェハが,次の薬液洗浄装置に搬入されるようになっている。
【0004】
ここで,薬液洗浄装置は,薬液と純水を洗浄槽に充填し,所定濃度の薬液を生成し,このような薬液中にウェハを浸漬させることにより,ウェハを薬液洗浄するように構成されている。常温の薬液に比べて,高温の薬液の方が高い洗浄能力を示すため,通常の薬液洗浄では所定の処理温度に加熱した薬液を使用している。そこで,薬液洗浄装置は,内部にカートリッジヒータが設置された純水貯留タンクを備えており,この純水貯留タンク内に予め純水を貯留して所定温度にまで加熱できるように構成されている。従って,薬液洗浄の際には,純水貯留タンク内で予め所定温度にまで加熱された純水を,薬液洗浄の開始直前に洗浄槽に充填して薬液と混合することにより,所定の処理温度の薬液を生成し,薬液洗浄を直ぐに開始するようにしている。洗浄槽に充填するまでの間,純水は純水貯留タンク内で加熱され続けられるので,純水を汚染するようなバクテリアが純水中に繁殖するようなことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来の薬液洗浄装置では,純水貯留タンク内の純水を,薬液洗浄の開始直前までの長い間,カートリッジヒータによって加熱し続けなければならず,これをウェハの薬液洗浄毎に繰り返しているので,カートリッジヒータに過大な負担がかかる。このため,カートリッジヒータの製品寿命が短く,しかもカートリッジヒータにかかる電力消費量が高騰していた。
【0006】
一方,カートリッジヒータの負担を減らすために,例えば洗浄槽に充填する一定時間前からカートリッジヒータを作動させていたのでは,加熱が開始されるまでの間,純水中にバクテリアが発生するおそれがあり,純水の清浄度を維持することが難しくなる。
【0007】
従って,本発明の目的は,加熱手段の負担を軽減することができ,しかも処理液中のバクテリアの発生を防止できる基板処理方法及び基板処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明によれば,処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,前記処理液貯留タンク内に処理液を貯留する工程と,前記処理液貯留タンク内に処理液が貯留された後,前記貯留する工程よりも小さい流量で前記処理液貯留タンク内へ処理液を供給しつつ排出する工程と,前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記処理液貯留タンク内への処理液の供給と,前記処理液貯留タンク内からの処理液の排出を停止させ,前記処理液貯留タンク内の処理液を加熱する工程を有することを特徴とする,基板処理方法が提供される。
【0009】
この基板処理方法によれば,処理液を所定温度に加熱することを停止している期間に,処理液を処理液貯留タンク内に供給し,処理液貯留タンク内に処理液が十分に貯留した後も処理液を供給し続け,処理液貯留タンク内から処理液を排出する。その後,処理槽に充填を開始する時刻よりも所定時間前に,処理液の供給と排出を停止させ,加熱手段を作動させて処理液貯留タンク内の処理液を加熱する。
また,処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,前記処理液貯留タンク内に処理液を供給しつつ排出する工程と,前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記処理液を供給しつつ排出する工程よりも大きい流量で前記処理液貯留タンク内へ供給して処理液を所定量貯留する工程と,前記処理液貯留タンク内に処理液が所定量貯留されたら,前記処理液貯留タンク内への処理液の供給を停止させ,前記処理液貯留タンク内の処理液を加熱する工程を有することを特徴とする,基板処理方法が提供される。
【0010】
このように,処理液貯留タンク内に処理液が貯留されてから処理槽に充填が開始されるまでの長い間,常に加熱手段を作動させ続けるのでなく,処理槽に充填を開始する時刻よりも所定時間前に加熱手段を作動させるので,加熱手段の負担を軽減することができる。しかも,加熱手段が作動していない間は,処理液貯留タンク内に処理液を供給して,処理液を常に流動させる状態にするので,処理液貯留タンク内の純水が滞留してバクテリアが発生した状態,いわゆる死水状態になることを防止することができる。
【0011】
前記処理液を所定温度に加熱する際には,少なくとも所定温度に昇温するのに必要な時間,前記処理液の供給と排出とを停止させることが好ましい。かかる方法によれば,少なくとも所定温度に昇温するのに必要な時間,処理液の供給と排出を停止させるので,処理液貯留タンク内の処理液を所定温度に確実に加熱することができる。
【0012】
処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,前記処理液貯留タンク内の処理液を,前記所定温度よりも低い温度に予備加熱して通常待機させ,この通常待機の後に,前記処理液貯留タンク内の処理液を前記所定温度に加熱し,前記処理槽に充填することを特徴とする,基板処理方法を提供する。
【0013】
前記処理液貯留タンク内の処理液を,バクテリアが発生しない温度に予備加熱することが好ましい。かかる基板処理方法によれば,処理液貯留タンク内の処理液を,バクテリアが発生しない温度に予備加熱するので,処理液貯留タンク内に処理液が滞留していても,処理液中にバクテリアが発生することを防止することができる。しかも,処理液を予備加熱するのに必要な熱エネルギーは,処理液を所定温度に加熱する時に比べて少なくて済む。これにより,加熱手段にかかる負担を,所定温度で常に加熱し続ける場合よりも軽減することができる。そして,その後,処理液を所定温度に加熱して処理槽に処理液を充填する。このように,処理液貯留タンク内に貯留してから処理液を処理槽内に充填するまでの長い間,常に加熱手段を全開で作動させることがないので,加熱手段の負担を軽減することができる。
【0014】
処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,前記処理液貯留タンク内を空の状態にさせ,その後に,前記処理液貯留タンク内に処理液を貯留して前記所定温度に加熱し,前記処理槽に充填することを特徴とする,基板処理方法を提供する。
【0015】
処理の前段階においては,処理液貯留タンク内に処理液そのものがないので,バクテリアが発生することもない。そして,その後に,処理の開始時期を見計らって,処理液貯留タンク内に処理液を供給し,処理液を所定温度に加熱して処理槽に処理液を充填する。従って,処理液を加熱する加熱手段の負担を軽減することができる。
【0016】
また本発明によれば,処理液を貯留する処理液貯留タンクと,前記処理液貯留タンク内に処理液を供給する処理液供給回路と,前記処理液貯留タンク内の処理液を所定温度に加熱する加熱手段と,基板を処理する処理槽と,前記処理液貯留タンク内の処理液を前記処理槽に充填する充填回路と,前記処理液貯留タンク内にて所定の高さに開口して処理液を溢れ出させるオーバーフロー管とを備えた基板を処理する装置であって,前記処理液供給回路に設けられた第1の弁と,前記第1の弁が閉じられた時に,前記第1の弁が開かれている時よりも小さい流量で前記処理液貯留タンク内へ処理液を供給させる第2の弁と,前記オーバーフロー管の開口部よりも低い位置に設けられた定量センサと,前記処理液貯留タンク内における処理液の液面が定量センサに達するまでは,前記第1の弁を開いて,前記処理液貯留タンク内における処理液の液面が定量センサに達すると,前記第1の弁を閉じて前記第2の弁を開き,前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記第1の弁と前記第2の弁を閉じて前記処理液貯留タンク内への処理液の供給を停止させ,前記処理液貯留タンク内からの処理液の排出を停止させ,前記加熱手段を作動させるコントローラを有することを特徴とする,基板処理装置が提供される。
【0017】
前記第1の弁の開閉と前記第2の弁の開閉を制御する制御手段を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,まず,処理液貯留タンク内に処理液を供給する際には,制御手段によって,第1の弁を開かせる一方で第2の弁を閉じさせ,第1の弁を通じて処理液を処理液貯留タンク内に供給する。次いで,処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出させる際には,制御手段によって,第1の弁と第2の弁の開閉が切り換えられ,第1の弁を閉じさせる一方で第2の弁を開かせる。このとき,迂回回路を利用して処理液を処理液貯留タンク内に供給することになるので,少ない流量で処理液を処理液貯留タンク内に供給することができる。従って,処理液の使用量を抑えながら,オーバーフロー管を通じて処理液貯留タンク内から処理液を経済的に溢れ出させることができる。最後に,処理液貯留タンク内の処理液を加熱する際には,制御手段によって,第1の弁と第2の弁の何れも閉じさせ,処理液貯留タンク内に処理液を流入させない状態で,加熱手段を作動させる。こうして,好適に実施することができる。
【0018】
前記第1の弁と前記第2の弁は,流量調整機能を有していれば,処理液貯留タンク内に供給される処理液の供給量を微調整することができる。
【0019】
処理液を貯留する処理液貯留タンクと,前記処理液貯留タンク内に処理液を供給する処理液供給回路と,前記処理液貯留タンク内の処理液を所定温度に加熱する加熱手段と,基板を処理する処理槽と,前記処理液貯留タンク内の処理液を前記処理槽に充填する充填回路と,前記処理液貯留タンク内にて所定の高さに開口して処理液を溢れ出させるオーバーフロー管とを備えた基板を処理する装置であって,前記処理液貯留タンクに複数の処理液供給回路が接続され,これら各処理液供給回路に開閉弁を設け,さらに各処理液供給回路を,処理液貯留タンク内に処理液を貯留するための貯留用の処理液供給回路と,処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出せるためのオーバーフロー用の処理液供給回路とに分け,前記オーバーフロー用の処理液供給回路は,前記貯留用の処理液供給回路よりも流量が小さいことをことを特徴とする,基板処理装置を提供する。
【0020】
前記開閉弁を制御する制御手段を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,貯留用の処理液供給回路を通じて処理液を供給し,処理液貯留タンク内に処理液を貯留することができ,オーバーフロー用の処理液供給回路を通じて少量の処理液を供給し,処理液貯留タンク内から処理液を経済的に溢れ出させることができるしかも,処理液貯留タンクに,複数の貯留用の処理液供給回路が接続されると,より多量の処理液を急速に処理液貯留タンクに供給することができる。また,処理液貯留タンクに,複数のオーバーフロー用の処理液供給回路が接続されると,複数箇所から処理液貯留タンク内に処理液を流入させることができる。これにより,処理液貯留タンク内の処理液の流動性を高めることができる。
【0021】
前記開閉弁は,流量調整機能を有していれば,処理液貯留タンク内に供給される処理液の供給量を微調整することができる。
【0022】
前記オーバーフロー管の開口位置よりも高い位置において液面を検出する液面上限センサを設けることが好ましい。従来は,オーバーフロー管よりも低い位置に液面上限センサを設けていたので,処理液貯留タンク内に処理液を十分に貯留すると,液面が液面上限センサにかかり,オーバフローする前に処理液供給回路からの処理液の供給が停止するようになっていた。しかしながら,かかる構成によれば,オーバーフロー管の開口位置よりも高い位置に液面上限センサを設けているので,処理液貯留タンク内に処理液を十分に貯留した後も,処理液供給回路から処理液を供給し続け,オーバーフロー管を通じて処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出させることができる。
【0023】
前記オーバーフロー管よりも低い位置に開口して,前記処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出させる他のオーバーフロー管を有していても良い。かかる構成によれば,他のオーバーフロー管を通じて処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出させる。これにより,オーバーフロー管によって処理液を溢れ出させた時と比べて,処理液を早く溢れ出させることができ,処理液貯留タンク内で流動させる処理液を少量で済ますことができる。従って,処理液の流動効率が上がり,バクテリアの発生を更に押さえることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1は,第1の実施の形態にかかる薬液洗浄装置12,14,16,18を備えた洗浄システム1の斜視図である。この洗浄システム1は,キャリアC単位での基板としてのウェハWの搬入,ウェハWの洗浄,ウェハWの乾燥,キャリアC単位でのウェハWの搬出までを一貫して行うように構成されている。
【0025】
この洗浄システム1において,搬入・取出部2は,洗浄前のウェハWを25枚収納したキャリアCを搬入しウェハWを洗浄に移行させるまでの動作を行う。即ち,搬入部5に載置されたキャリアCを移送装置6によってローダ7へ例えば2個ずつ搬送し,このローダ7でキャリアCからウェハWを取り出す構成になっている。
【0026】
洗浄乾燥処理部10には,搬入・取出部2側から順に,ウェハWを搬送する搬送装置30のウェハチャック30aを洗浄および乾燥するためのウェハチャック洗浄・乾燥装置11,各種の薬液や純水等の洗浄液を用いてウェハWを洗浄する各種洗浄装置12〜19,搬送装置33のウェハチャック33aを洗浄および乾燥するためのウェハチャック洗浄・乾燥装置20,各種洗浄装置12〜19で洗浄されたウェハWを,例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気を用いて乾燥させる乾燥装置21が配列されている。
【0027】
ウェハチャック洗浄・乾燥装置11,20では,例えば純水などを用いてウェハチャック30aとウェハチャック33aの洗浄,乾燥をそれぞれ行う。また,一般的な洗浄プロセスに従い,薬液洗浄とリンス洗浄とが交互に行えるように洗浄乾燥処理部10では,薬液洗浄装置12,14,16,18は薬液洗浄を行うように構成され,リンス洗浄装置13,15,17,19はリンス洗浄を行うように構成されている。その一例として,薬液洗浄装置12では,例えばアンモニア成分を主体としたAPM(NHOH/H/HOの混合液)を用いてSC1洗浄を行って,ウェハWの表面に付着している有機汚染物,パーティクル等の不純物質を除去する。また,薬液洗浄装置16では,例えば塩酸成分を主体としたHPM(HCl/H/HOの混合液)を用いたSC2洗浄を行って,金属イオンを除去する。また,薬液洗浄装置14,18では,何れもフッ酸成分を主体としたDHF(HF/HOの混合液)を用いたDHF洗浄を行って,ウェハWの表面に形成された酸化膜等を除去する。また,リンス洗浄装置13,15,17,19では,純水を用いてウェハWのリンス洗浄を行う。更に,乾燥装置20では,IPA蒸気を利用してウェハWの表面を乾燥処理するように構成されている。
【0028】
なお以上の配列や各種洗浄装置12〜19の組合わせは,ウェハWに対する洗浄処理の種類によって任意に組み合わせることができる。例えば,ある洗浄装置を減じたり,逆にさらに他の種類の薬液を用いる薬液洗浄装置を付加してもよい。
【0029】
装填・搬出部50は,洗浄乾燥処理部10で洗浄,乾燥された25枚のウェハWをキャリアCに装填後キャリアC単位で搬出する。即ち,アンローダ51によって,洗浄後のウェハWが収納されたキャリアCを,移送装置(図示せず)によって,搬出部52にまで搬送する構成になっている。
【0030】
次に,第1の実施の形態にかかる薬液洗浄装置12,14,16,18はいずれも同様の構成を有しているので,図2,3を参照しながら薬液洗浄装置12を各装置の代表として説明する。図2は,APMを用いてSC1洗浄を行う薬液洗浄装置12の回路系統を示す説明図である。図2に示すように,薬液洗浄装置12内に備えられた洗浄槽60はウェハWを収納するのに充分な大きさを有する箱形の内槽61と外槽62から構成されている。外槽62は,内槽61の上端からオーバーフローしたAPMを受けとめるように,内槽61の開口部を取り囲んで装着されている。
【0031】
そして,内槽61と外槽62との間には,ウェハWの薬液洗浄中にAPMを循環流通させる循環回路63が接続されている。この循環回路63の入口は外槽62の底面に接続され,循環回路63の途中には,電磁(ソレノイド)方式の2方口弁である切換弁65,ポンプ66,ダンパ67,ヒータ68,フィルタ69が順に配列され,循環回路63の出口は,内槽61の底部に通じている。SC1洗浄中は,内槽61から外槽62にオーバーフローしたAPMを循環回路63内で循環させる。そして,循環回路63で温調及び浄化した後に再び内槽61内に供給するようになっている。また,洗浄槽60内からAPMを排液するために,内槽61の底面には切換弁70を介して排液回路71が接続され,同様に外槽62の底面には切換弁72を介して排液回路73が接続されている。また,アンモニア水溶液を貯留するタンク74と,ポンプ75とを備えたアンモニア供給系76と,過酸化水素水を貯留するタンク77と,ポンプ78とを備えた過酸化水素水供給系79とが設けられている。
【0032】
この薬液洗浄装置12には,材質が石英から成る純水貯留タンク80が設けられており,この純水貯留タンク80は,最初に純水を洗浄槽60に充填したり,足りなくなった純水を洗浄槽60に適宜補充するために予め純水を貯留するためのものである。純水貯留タンク80の底部には,純水を供給する純水供給回路81が接続され,純水貯留タンク80の内部には,純水貯留タンク80の上部に開口し,純水貯留タンク80内から純水を溢れ出させるオーバーフロー管82が設けられている。
【0033】
純水供給回路81は,純水供給源83に接続回路84を介して接続され,純水供給回路81の途中には第1の弁85が設けられている。この第1の弁85の前後を入出口として,純水供給回路81よりも流量が小さい迂回回路86が純水供給回路81に接続されている。この迂回回路86は,純水供給回路81内を流れる予定の純水を第1の弁85を迂回させた後に純水供給回路81内に送るように構成されており,その途中には第2の弁87が設けられている。従って,第1の弁85を通じてそのまま純水供給回路81から純水を供給するよりも,一旦,迂回回路86で迂回した後に純水供給回路81によって純水を供給するときのほうが,純水の供給量を少なく済ますことができる。
【0034】
第1の弁85と第2の弁87には,コントローラ88からの操作信号が入力されるようになっており,第1の弁85と第2の弁87の開閉は,コントローラ88によって制御される構成となっている。一方,純水貯留タンク80の上部においては,オーバーフロー管82の開口部82aを挟むようにして,オーバーフロー管82の開口部82aよりも高い位置に液面上限センサ89を,オーバーフロー管82の開口部82aよりも低い位置に定量センサ90を設け,これら液面上限センサ89,定量センサ90からの検出信号をコントローラ88に対して出力するようになっている。
【0035】
定量センサ90は,第1の弁85と第2の弁87の開閉の切り換えの時期を,コントローラ88に知らさせるためのものである。即ち,純水貯留タンク80内に純水を十分に貯留する際には,コントローラ88は,第1の弁85を開かせる一方で第2の弁87を閉じさせ,第1の弁85を通じて純水を純水貯留タンク80内に供給する。純水貯留タンク80内に純水が十分に貯留され,液面が定量センサ90の高さに達すると,定量センサ90は,検出信号をコントローラ88に出力する。この検出信号を認識したコントローラ88は,第1の弁85と第2の弁87の開閉を切り換え,第1の弁85を閉じさせる一方で第2の弁87を開かせる。これにより,第2の弁87を通じて少量の純水を純水貯留タンク80内に供給する。液面がオーバーフロー管82の開口部82aにまで上昇すると,オーバーフロー管82を通じて純水貯留タンク80内から純水が溢れ出るようになっている。
【0036】
一方,液面上限センサ89は,オーバーフロー管82の異常を検知するものである。例えば純水の供給中にオーバーフロー管82に異物などが混入して管詰まりを起こすと,オーバーフロー管82の開口部82aを越えて液面が上昇する。このように純水がオーバーフロー管82から流出するのが妨害されると,逃げ場のない純水が純水貯留タンク80から漏水するようになり,漏電などの事故を起こすおそれがある。しかしながら,液面上限センサ89は,前述したようにオーバーフロー管82の開口部82aよりも上方に設置されているので,このような事故を防止することができる。即ち,液面上限センサ89は,液面が同一の高さに達した際にその検出信号をコントローラ88に出力する。検出信号を受け取ったコントローラ88は第1の弁85と共に第2の弁87を完全に閉じ,純水貯留タンク80への純水の供給を完全に停止させるようになっている。もちろん,液面上限センサ89は,オーバーフロー管82の異常がない限り,純水をオーバーフロー管82から溢れ出させるができる構成となっている。
【0037】
純水貯留タンク80の底部には,切換弁91が介装された主排液回路92が接続される一方で,オーバーフロー管82の底部にも排液回路93が接続されており,この排液回路93が主排液回路92に合流している。従って,オーバーフロー管82に流れ込んだ純水は,排液回路93,主排液回路92と流れ,例えば工場の再生ラインへと排液されるようになっている。なお,切換弁91の開閉は,コントローラ88によって制御される。
【0038】
純水貯留タンク80の下部においては,純水貯留タンク80内の純水を所定温度にまで加熱するカートリッジヒータ95が設けられている。このカートリッジヒータ95の加熱時間は,コントローラ88からの操作信号によって制御されるようになっている。カートリッジヒータ95を作動させる際には,第1の弁85,第2の弁87の何れもを閉じさせて,純水貯留タンク80内に新たな純水を供給するようなことはない状態にする。この場合,純水はカートリッジヒータ95で加熱されることになるので,バクテリアが発生することはない。なお,純水を洗浄槽60に充填する際には,後述する充填回路96内を純水が流れている間に放熱作用などによって純水が温度低下を起こすことがあるので,これを見越して,所定温度は,洗浄槽60内で目標とする所定の処理温度よりも高めになるように設定する。例えば,所定の処理温度が80℃のAPMを洗浄槽60内で生成したければ,所定温度を83℃〜85℃とし,純水貯留タンク80内で純水を83℃〜85℃の間で加熱する。
【0039】
純水貯留タンク80の底部には,純水を洗浄槽60に充填する充填回路96が接続されている。また,充填回路96の途中から補充回路97が分岐しており,この補充回路97によって例えば洗浄槽60から蒸発して無くなった純水の分を適宜補充するようになっている。充填回路96の途中には切換弁98が介装され,補充回路97の途中にはポンプ99が介装されている。切換弁98の開閉やポンプのON・OFFもコントローラ88によって制御される。
【0040】
純水貯留タンク80の下部においては,カートリッジヒータ95を間に挟むようにして,カートリッジヒータ95よりも高い位置に第1の液面下限センサ100を,カートリッジヒータ95よりも低い位置に第2の液面下限センサ101を設けている。第1の液面下限センサ100は,カートリッジヒータ95の作動中に,液面が第1の液面下限センサ100よりも下がるようであれば,検出信号をコントローラ88に出力しカートリッジヒータ95の空炊きをやめさせる。また,第2の液面下限センサ101は,所定の純水充填時間内に液面が第2の液面下限センサ101をきることがなければ,切換弁98が異常であることをコントローラ88に知らせる。
【0041】
なお,その他の薬液洗浄装置14,16,18も,薬液洗浄装置12と同様な構成を有しており,ウェハWを薬液洗浄するように構成されている。また,リンス洗浄装置13,15,17,19の構成に,薬液洗浄装置12の構成を適用することも可能である。
【0042】
次に,以上のように構成された薬液洗浄装置12で行われるSC1洗浄について,図1の洗浄システム1におけるウェハWの洗浄工程に基づいて説明する。まず,図示しない搬送ロボットが未だ洗浄されていないウェハWを例えば25枚ずつ収納したキャリアCを搬入・取出部2の搬入部5に複数載置する。そして,この搬入・取出部2によって,例えばキャリアC2個分の50枚のウェハWをキャリアCから取り出し,搬送装置30が,ウェハWを50枚単位で一括して把持する。そして,それらウェハWを搬送装置31,32,33に引き継ぎながら,各種洗浄装置12〜19に順次搬送する。こうして,ウェハWの表面に付着しているパーティクル等の不純物質を除去する洗浄を行う。
【0043】
ここで,ウェハWは,図2に示す薬液洗浄装置12でSC1洗浄される。この時のSC1洗浄の工程の流れを図3(a)〜図3(e)に示す。まず,図3(a)に示すように,カートリッジヒータ95を作動させないで,純水供給回路81から純水を純水貯留タンク80内に供給し続ける。この場合,コントローラ88によって,第1の弁85の開閉と第2の弁87の開閉が制御される。即ち,純水貯留タンク80内に十分に純水が貯留されるまでは,第2の弁87を閉じる一方で第1の弁85を開いて多量の純水を純水貯留タンク80内に供給する。そして,純水が十分に貯留された後は,第1の弁85を閉じる一方で第2の弁87を開いて,少量の純水を純水貯留タンク80内に供給する。これにより,純水の使用量を抑えながら,オーバーフロー管82を通じて純水貯留タンク80から純水を経済的に溢れ出させることができる。
【0044】
その後,純水を洗浄槽60に充填を開始する時刻よりも所定時間前に,純水供給回路81からの純水の供給を停止させて,純水貯留タンク80内から純水を溢れ出させないようにする。この状態で,図3(b)に示すように,カートリッジヒータ95を作動させて純水貯留タンク80内の純水を加熱する。ここで,少なくとも所定温度に昇温するのに必要な時間,純水の供給を停止させるので,処理液貯留タンク内に純水を所定温度に確実に加熱することができる。
【0045】
そして,図3(c)に示すように,所定温度に加熱された純水は,洗浄槽60内に充填され,一方でアンモニア水溶液及び過酸化水素水も洗浄槽60内に充填され,所定濃度及び所定の処理温度のAPMが生成される。その後,図3(d)に示すように,洗浄槽60内にウェハWが収納され,SC1洗浄が施される。このSC1洗浄中においては,図3(e)に示すように,次のSC1洗浄の準備に向けて,純水貯留タンク80内に純水が供給され始める。こうして,パーティクル等が除去されたウェハWは,薬液洗浄装置12から搬出されて次のリンス洗浄装置13に搬送される。以後,薬液洗浄装置12では所定の処理回数又は所定の時間毎に薬液交換が行われ,図3(a)〜図3(e)が繰り返されることになる。
【0046】
このように,純水貯留タンク80内に純水が貯留されてから洗浄槽60に充填が開始されるまでの長い間,常にカートリッジヒータ95を作動させ続けるのでなく,洗浄槽60に充填を開始する時刻よりも所定時間前にカートリッジヒータ95を作動させるので,カートリッジヒータ95の負担を軽減することができる。しかも,カートリッジヒータ95が作動していない間は,純水貯留タンク80内に純水を供給して,純水を常に流動させる状態にするので,純水貯留タンク80内の純水が滞留してバクテリアが発生した状態,いわゆる死水状態になることを防止することができる。なお,第1の弁85と第2の弁87に,流量調整機能を備えさせて,最適な流量で純水を純水貯留タンク80内に適宜供給できるようにしてもよい。
【0047】
かくして,第1の実施の形態の薬液洗浄装置12によれば,カートリッジヒータ95の負担を軽減することができ,しかも純水中のバクテリアの発生を防止できる。従って,純水の清浄度を良好に維持しながらも,カートリッジヒータ95の製品寿命の長期化及び電力消費量の抑制が実現可能となる。
【0048】
以上,薬液洗浄装置12では,純水を十分に貯留した後も純水貯留タンク80内に純水を供給し続けていたが,その他の処理方法として,例えば純水を十分に貯留した後,カートリッジヒータ95によって純水貯留タンク80内の純水を予備加熱するようにしてもよい。図4(a)〜図4(e)は,この時のSC1洗浄の工程の流れを示している。
【0049】
図4(a)に示すように,純水を純水貯留タンク80内に供給して十分貯留した後,純水供給回路81からの純水の供給を停止させる。そして,カートリッジヒータ95を作動させて,純水貯留タンク80内の純水を,所定温度よりも低く,かつバクテリアが発生しない温度(例えば80゜C)に予備加熱し,通常待機させる。これにより,純水貯留タンク80内に純水が滞留することになっても,純水中にバクテリアが発生することを防止することができる。しかも,純水を予備加熱するのに必要な熱エネルギーは,純水を所定温度に加熱する時に比べて少なくて済むので,カートリッジヒータ95にかかる負担を,所定温度で常に加熱し続ける場合よりも軽減することができる。
【0050】
そして,その通常待機の後に,図4(b)では図3(b)と同様に純水の加熱,図4(c)では図3(c)と同様に純水の充填,図4(d)では図3(d)と同様にSC1洗浄,図4(e)では図3(e)と同様に純水の供給を行う。このように,純水貯留タンク80内に貯留してから純水を洗浄槽80内に充填するまでの長い間,常にカートリッジヒータ95を全開で作動させることがないので,カートリッジヒータ95の負担を軽減することができる。なお,以後,薬液洗浄装置12では所定の処理回数又は所定の時間毎に薬液交換が行われるが,純水を通常待機させる期間としては,空の純水貯留タンク80に純水を貯留した時点から,次の薬液交換を行うためにカートリッジヒータ95を全開で作動させる前までの間となる。
【0051】
また,図5(a)〜図5(e)に示すように,純水貯留タンク80を空の状態にしておいてもよい。かかる方法によれば,図5(a)に示すように,純水供給回路81から純水を供給させないで,純水貯留タンク80内を空の状態にさせておく。そして,その後に,SC1洗浄の開始時期を見計らって,図5(b)では純水の供給,図5(c)では純水の加熱,図5(d)では純水の充填,図5(e)ではSC1洗浄をそれぞれ行う。かかる方法によれば,純水貯留タンク80内に純水そのものがないので,バクテリアが発生することもなく,カートリッジヒータ95の負担を軽減することができる。
【0052】
次に,図6を参照しながら第2の実施の形態にかかる薬液洗浄装置110について説明する。この薬液洗浄装置110は,純水貯留タンク80の上部から純水を溢れ出させる前記オーバーフロー管82だけでなく,オーバーフロー管82よりも低い位置に開口し,純水貯留タンク80の中央部から純水を溢れ出させる他のオーバーフロー管111を有している。なお,このオーバーフロー管111を設けた以外は,先に説明した薬液洗浄装置12と同一の構成であるので,図2及び図6において,同一の機能及び構成を有する構成要素については,同一符号を付することにより,重複説明を省略する。
【0053】
図6に示すように,オーバフロー管111の底部には,排液回路112が接続されており,この排液回路112は主排液回路92に合流している。排液回路112の途中には切換弁113が介装されており,この切換弁113の開閉は,コントローラ88によって制御される。
【0054】
かかる薬液洗浄装置110によれば,オーバーフロー管111を通じて純水貯留タンク80内から純水を溢れ出させる。これにより,オーバーフロー管82によって純水を溢れ出させた時と比べて,純水を早く溢れ出させることができ,純水貯留タンク80内で流動させる純水を少量で済ますことができる。従って,薬液洗浄装置12の場合よりも純水の流動効率が上がり,バクテリアの発生を更に押さえることができる。その後,薬液交換開始時期よりも一定の時間前に,コントローラ88が,第1の弁85と第2の弁87との開閉を切り換え,第2の弁87を閉じる一方で第1の弁85を開かせる。さらに,切換弁113も閉じる.これにより,第1の弁85を通じて多量の純水を急速に純水貯留タンク80に供給することができる。そして,純水が純水貯留タンク80に所定量貯留されたら第1の弁85も閉じる。ここで,カートリッジヒータ95を作動させ,その後に所定温度に達するとカートリッジヒータ95を止める。そして,切換弁98を開いて洗浄槽60に純水を充填する。
【0055】
次に,第3の実施の形態については,図7を参照にして説明する。図7に示すように,この第3の実施の形態にかかる薬液洗浄装置120は,材質がPTFE(四フッ化エチレン樹脂)から成る純水貯留タンク121を有している。この純水貯留タンク121内には,カートリッジヒータがない代わりに,材質がPFA(四フッ化エチレンとパーフロロアルキルビニルエーテルの共重合樹脂)から成るコイルチューブ122が設けられている。このコイルチューブ122に対しては,温水供給管123から温水が供給されるようになっており,コイルチューブ122内を流通した温水は,温水排液管124を介してコイルチューブ122から排出されるようになっている。温水は,工場用水のうちで,特に純水を所定温度にまで十分昇温できる程度にまで温かいものが利用される。なお,純水貯留タンク121からは,第1の液面下限センサが取り外されている。
【0056】
かかる構成によれば,温水がコイルチューブ122内を巡ることにより,純水貯留タンク121内の純水を所定温度に加熱することができる。そして,所定温度に加熱された純水によって,ウェハWの表面から効率よく薬液を洗い流すことができる。ここで,温水を用いるので,純水を加熱する際の電力が不要となり,省エネルギー化を図ることができる。さらに,純水貯留タンク121と同様の構成は,薬液を貯留する薬液貯留タンクにも適用することができる。従来の薬液貯留タンクにおいては,タンク内の薬液をカートリッジヒータによって加熱すると,万が一,薬液中に電気が流れるような事態にでもなれば,特に有機溶剤(例えばエチレングリコール)等を含んだ薬液では,発火するおそれがあった。しかしながら,この場合には,薬液をコイルチューブ122によって加熱することになるので,発火の危険性がなくなり安全性を高めることができる。
【0057】
その他,純水貯留タンクに対して純水供給回路を複数接続することが可能であり,その第1の例〜第4の例までを図8〜図11に示す。第1の例として,図8に示すように,前記純水供給源83に接続されている接続回路84から,貯留用の純水供給回路130と,貯留用の純水供給回路130よりも流量が小さいオーバーフロー用の純水供給回路131とが分岐し,これら貯留用の純水供給回路130,オーバーフロー用の純水供給回路131が純水貯留タンク80に接続されている。貯留用の純水供給回路130には第1の弁85が,オーバーフロー用の純水供給回路131には第2の弁87がそれぞれ設けられ,前記第1〜第3の実施の形態と同様に,第1の弁85と第2の弁87とがコントローラ88によって制御される。
【0058】
かかる構成によれば,貯留用の純水供給回路130を通じて純水を供給し,純水貯留タンク80内に純水を貯留することができ,オーバーフロー用の純水供給回路131を通じて少量の純水を供給し,純水貯留タンク80内から純水を経済的に溢れ出させることができる。従って,純水中のバクテリアの発生を防止でき,しかもカートリッジヒータ95の負担を軽減することができる
【0059】
また,第2の例として,図9に示すように,接続回路84から,貯留用の純水供給回路130と,オーバーフロー用の純水供給回路132と,オーバーフロー用の純水供給回路133とが分岐するようにしてもよい。貯留用の純水供給回路130には第1の弁85が,オーバーフロー用の純水供給回路132には第2の弁87が,オーバーフロー用の純水供給回路133には第3の弁134がそれぞれ設けられ,これら第1〜第3の弁85,87,134は,コントローラ88によって制御される。
【0060】
かかる構成によれば,純水貯留タンク80の底部に,2つオーバーフロー用の純水供給回路132,133が接続されるので,この2つの接続箇所から純水貯留タンク80内に純水を流入させることができる。これにより,純水貯留タンク80内の純水の流動性を高めることができる。従って,バクテリアの発生を更に押さえることができる。なお,接続回路84から分岐する純水供給回路の数を,さらに4本,5本と増やすことが可能である。
【0061】
第3及び第4の例として,図10及び図11に示すように,各純水供給回路毎に純水供給源を設けても良い。図10では,貯留用の純水供給回路130が,接続回路84を介して純水供給源83に接続され,オーバーフロー用の純水供給回路131が,接続回路135を介して純水供給源136に接続されている。
【0062】
かかる構成によれば,図9の時と同様に,貯留用の純水供給回路130を通じて純水を供給でき,オーバーフロー用の純水供給回路131を通じて純水を経済的に溢れ出させることができる。この場合も,純水貯留タンク80に接続する純水供給回路の数を,さらに4本,5本と増やすことが可能であるが,貯留用の純水供給回路を複数接続するようにすれば,より多量の純水を急速に純水貯留タンク80に供給することができるようになる。
【0063】
さらに図11では,オーバーフロー用の純水供給回路131の代わりに,オーバーフロー用の純水供給回路132が接続回路135を介して純水供給源136に接続され,オーバーフロー用の純水供給回路133が接続回路137を介して純水供給源138に接続されている。かかる構成によれば,図10の時と同様に,純水の流動効率を向上させることができ,バクテリアの発生を更に押さえることができる。
【0064】
図12に示すように,純水供給回路140に流量調整弁141を設けるだけで済ますようにしても良い。かかる構成によれば,流量調整弁141によって純水供給回路140から供給される純水の流量を調整するので,純水供給回路140を通じて純水の供給から純水をオーバーフローまでを行うことができる。従って,装置を簡素化することができる。
【0065】
なお,本発明は,何れも基板としてウェハWを用いた例について説明したが,基板としてLCD基板,ガラス基板,CD基板,フォトマスク,プリント基板,セラミック基板等を用いることも可能である。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば,加熱手段の負担を軽減することができ,しかも処理液中のバクテリアの発生を防止できる。従って,処理液の清浄度を良好に維持しながらも,例えば処理液を加熱する加熱手段の製品寿命の長期化及び電力消費量の抑制が実現可能となる。
【0067】
本発明によれば,処理液の供給量を微調整することができ,オーバーフロー管を通じて処理液貯留タンク内から処理液を溢れ出させることができる。また,処理液がより死水状態になり難くなり,バクテリアの発生をさらに防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる薬液洗浄装置を備えた洗浄システムの斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる薬液洗浄装置の回路系統を示す説明図である。
【図3】純水貯留タンクに純水を供給し続けた後に純水を所定温度に加熱する場合における,SC1洗浄の工程の流れを示す説明図である。
【図4】純水貯留タンク内の純水を予備加熱した後に純水を所定温度に加熱する場合における,SC1洗浄の工程の流れを示す説明図である。
【図5】純水貯留タンク内を空の状態させておいた後に純水貯留タンク内に純水を供給して純水を所定温度に加熱する場合における,SC1洗浄の工程の流れを示す説明図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる薬液洗浄装置の回路系統を示す説明図である。
【図7】第3の実施の形態にかかる薬液洗浄装置の回路系統を示す説明図である。
【図8】複数の純水供給回路が接続された場合の純水貯留タンクの第1の例の説明図である。
【図9】複数の純水供給回路が接続された場合の純水貯留タンクの第2の例の説明図である。
【図10】複数の純水供給回路が接続された場合の純水貯留タンクの第3の例の説明図である。
【図11】複数の純水供給回路が接続された場合の純水貯留タンクの第4の例の説明図である。
【図12】純水供給回路に流量調整弁が設けられた場合の純水貯留タンクの説明図である。
【符号の説明】
1 洗浄システム
12,14,16,18 薬液洗浄装置
60 洗浄槽
80 純水貯留タンク
81 純水供給回路
82 オーバーフロー管
85 第1の弁
86 迂回回路
87 第2の弁
88 コントローラ
89 液面上限センサ
95 カートリッジヒータ
96 充填回路
W ウェハ
C キャリア

Claims (5)

  1. 処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,
    前記処理液貯留タンク内に処理液を貯留する工程と,
    前記処理液貯留タンク内に処理液が貯留された後,前記貯留する工程よりも小さい流量で前記処理液貯留タンク内へ処理液を供給しつつ排出する工程と,
    前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記処理液貯留タンク内への処理液の供給と,前記処理液貯留タンク内からの処理液の排出を停止させ,前記処理液貯留タンク内の処理液を加熱する工程を有することを特徴とする,基板処理方法。
  2. 処理液貯留タンク内に貯留した処理液を所定温度に加熱し,この加熱された処理液を前記処理液貯留タンク内から処理槽内に充填して該処理槽内にて処理液中に基板を浸漬させることにより基板を処理する方法であって,
    前記処理液貯留タンク内に処理液を供給しつつ排出する工程と,
    前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記処理液を供給しつつ排出する工程よりも大きい流量で前記処理液貯留タンク内へ供給して処理液を所定量貯留する工程と,
    前記処理液貯留タンク内に処理液が所定量貯留されたら,前記処理液貯留タンク内への処理液の供給を停止させ,前記処理液貯留タンク内の処理液を加熱する工程を有することを特徴とする,基板処理方法。
  3. 前記処理液貯留タンク内からの処理液の排出は,オーバーフロー管によってなされることを特徴とする,請求項1または2に記載の基板処理方法。
  4. 処理液を貯留する処理液貯留タンクと,前記処理液貯留タンク内に処理液を供給する処理液供給回路と,前記処理液貯留タンク内の処理液を所定温度に加熱する加熱手段と,基板を処理する処理槽と,前記処理液貯留タンク内の処理液を前記処理槽に充填する充填回路と,前記処理液貯留タンク内にて所定の高さに開口して処理液を溢れ出させるオーバーフロー管とを備えた基板を処理する装置であって,
    前記処理液供給回路に設けられた第1の弁と,
    前記第1の弁が閉じられた時に,前記第1の弁が開かれている時よりも小さい流量で前記処理液貯留タンク内へ処理液を供給させる第2の弁と,
    前記オーバーフロー管の開口部よりも低い位置に設けられた定量センサと,
    前記処理液貯留タンク内における処理液の液面が定量センサに達するまでは,前記第1の弁を開いて,前記処理液貯留タンク内における処理液の液面が定量センサに達すると,前記第1の弁を閉じて前記第2の弁を開き,前記処理槽内に処理液の充填を開始する時刻よりも所定時間前に,前記第1の弁と前記第2の弁を閉じて前記処理液貯留タンク内への処理液の供給を停止させ,前記処理液貯留タンク内からの処理液の排出を停止させ,前記加熱手段を作動させるコントローラを有することを特徴とする,基板処理装置。
  5. 前記第1の弁を迂回するように前記処理液供給回路と並列に設けられた前記処理液供給回路よりも流量が小さい迂回回路を設け,この迂回回路に第2の弁を設けたことを特徴とする,請求項4に記載の基板処理装置。
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