JP4830211B2 - 半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、CDやMDプレーヤに搭載される光ピックアップ装置等の光学読取機構に適用して好適な半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。詳しくは、半導体ウエハから、いわゆる半導体レーザバーを形成する際のダイシング方法を工夫して、所望の端面形状及び端面厚を有した半導体レーザ装置を再現性良く製造できるようにすると共に、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚のばらつき、及び、戻り光ノイズを低減できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD(Compact Disc)やMD(Mini Disc)等の光ディスクや光磁気ディスクなどの情報記録再生用として光ピックアップ装置が使用され、これらの光ディスクの情報記録面に形成されたピット及びグルーブに光スポットを照射して情報の記録やその再生が行われる。
【0003】
このような光ピックアップ装置や、光通信、光情報処理、光計測等における光源として不可欠な半導体レーザ装置は、通常、活性層(発光層)をn−クラッド層及びP−クラッド層で両側から挟んだダブルヘテロ構造が用いられる。
【0004】
図7A及びBは従来例に係る光ピックアップ装置等に適用される半導体レーザ装置の形成例を示す工程図である。図7Aは半導体ウエハ10をダイシング処理した後の断面図である。このダイシング処理は半導体ウエハ10をいわゆる半導体レーザバーに形成する際に行われる。つまり、半導体ウエハ10のへき開の前処理として切り溝部31を形成する工程である。
【0005】
図7Aに示す切り溝部31は半導体ウエハ10をダイシング処理して形成されたものである。この半導体ウエハ10は例えば、n−GaAs基板2にn−クラッド層3、活性層4、P−クラッド層5及びキャップ層6が順次積層されて構成される半導体レーザ素子11を有しており、このn−GaAs基板2に切り溝部31が形成される。この半導体レーザ素子11の一方の面にはn−電極1a,1bが画定され、他方の面にはp−電極7a,7bが画定されている。
【0006】
この切り溝部31を形成するに当たって、ダイシング位置Qが設定される。この半導体ウエハ10で切り溝部31を形成する領域の開口幅をAとし、この開口幅Aよりも狭い刃幅Bのダイシング用の台形状の刃を使用する場合であって、この開口幅Aの領域の一端に基準位置P0を設定したとき、ダイシング位置Qはこの基準位置P0を起点にしてダイシング用の刃の幅Bの位置に設定される。
【0007】
その後、このダイシング位置Qにダイシング用の刃の一側端面(ダイシングブレードの垂直面)を位置合わせた状態で半導体ウエハ10をダイシングすると、図7Aに示した切り溝部31を形成することができる。そして、図7Bにおいて、半導体ウエハ10の切り溝部31内を所定のエッチング溶液により等方性エッチング処理する。この際のエッチング処理はダイシング処理時に発生したn−GaAs基板2等の切削粉を除去するために行われる。この等方性エッチング処理によって、台形状の切り溝部31は放物線状の切り溝部31に容姿を変えるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来方式に係る半導体レーザ装置10の形成例によれば、図7Bに示したエッチング処理の後に、ダイシング位置Qに設定されたへき開位置で半導体ウエハ10をへき開している。従って、以下のような問題が生ずる。
【0009】
▲1▼ 本来ならば、半導体ウエハのへき開後は、図8Aに示すような端面形状で所定端面厚Tを有した半導体レーザ装置10’が得られるはずである。しかしながら、切り溝部31のエッチング処理が必要なことから、実際には図8Bに示すような断面形状になってしまう。
【0010】
この断面形状によれば、放物線状の切り溝部31の最下部(底部)よりも左側に上がった位置で半導体レーザ素子11がへき開されているので、放物線状の切り溝部31の左側部分において、n−GaAs基板2が突起(爪)状にせり上がって残存する形状になってしまう。これにより、光出射面となる端面9の厚みがばらついてしまい、端面厚大のチップが増えてしまう。
【0011】
▲2▼ 図8Bに示したような当該半導体レーザ装置10’を光学読取機構に実装した場合に、当該半導体レーザ素子11の発光点(丸印)8から出射したレーザ光が光学系から戻ってきたとき、突起状にせり上がった端面位置(三角印)にその戻り光L’が入射してしまい、ノイズ発生の原因となってしまう。従って、戻り光ノイズ対策が必要とされる半導体レーザ装置の品質及び信頼性が低下してしまう。
【0012】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚のばらつき、及び戻り光ノイズを低減できるようにした半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は所定形状の光反射面を有した半導体レーザ素子を備え、光反射面の形状は素子分離前の半導体ウエハで所定方向に形成された切り溝部内をエッチング処理することにより画定され、この半導体レーザ素子はエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部に設定されたへき開位置で半導体ウエハをへき開されて成ることを特徴とする半導体レーザ装置によって解決される。
【0014】
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、エッチング処理により画定された例えば、スロープ状の光反射面によって戻り光を再現性良く反射できるので、従来例に比べてノイズを低減することができる。また、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて光出射面の端面厚のばらつきを無くすことができる。
【0015】
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法は半導体ウエハの所定方向に切り溝部を形成し、その切り溝部内をエッチング処理することによって当該半導体レーザ素子の光出射面の形状が画定される半導体レーザ装置の製造方法であって、素子分離前の半導体ウエハのエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部にへき開位置を設定することを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、ダイシング位置からオフセット距離を差し引いた位置にへき開位置を設定できるので、半導体ウエハのエッチング処理により浸食された切り溝部内の底部で半導体レーザ素子をへき開することがきる。従って、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚のばらつきが無く、しかも、戻り光ノイズを低減可能な所望の端面形状及び端面厚を有した半導体レーザ装置を製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明に係る半導体レーザ装置及びその製造方法の一実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101の構造例を示す斜視図である。
この実施形態では半導体ウエハの所定方向に形成された切り溝部内をエッチング処理することにより当該半導体レーザ素子の光反射面の形状を画定し、このエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部にへき開位置を設定し、このへき開位置で半導体レーザ素子をへき開して、所望の端面形状及び端面厚を有した半導体レーザ装置を再現性良く製造できるようにすると共に、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚のばらつき、及び、戻り光ノイズを低減できるようにしたものである。
【0018】
図1Aに示す半導体レーザ装置101は光ピックアップ等の光学読取機構に適用して好適な半導体レーザ素子11を有している。この半導体レーザ素子11の一方の面にはn−電極1が設けられ、他方の面にはp−電極7が設けられている。n−電極1及びp−電極7には所定の電圧が印加され、駆動電流(注入電流)が供給される。レーザ光Lを発振させるためである。半導体レーザ素子11は例えば、n−GaAs基板2にn−クラッド層3、活性層4、P−クラッド層5及びキャップ層6が順次積層されて構成される。キャップ層6はp−電極7との抵抗を小さくするためのものである。
【0019】
このn−電極1及びp−電極7に挟まれた半導体レーザ素子11の端面9の側は所定の形状を成している。端面9はレーザ光Lを出射する光出射面9bとその戻り光L’を反射させる光反射面9aから構成される。レーザ光Lと戻り光L’の間隔は従来例を同じ離隔距離Yである。
【0020】
この装置101では端面中央部からn−電極1側にかけてはスロープ状を成しており、この部分は鏡面仕上げが施されて光反射面9aを構成する。このスロープ形状は当該半導体レーザ装置101の素子分離前の半導体ウエハ100の段階で、所定方向に形成された切り溝部内をエッチング処理することにより画定されたものである。
【0021】
この端面中央部からp−電極7側にかけては垂直状を成しており、この部分が光出射面9bを構成する。光出射面9bは発光点(○印)8を有している。三角印は戻り光L’の到達位置である。光出射面9bの端面厚はT’である。この光出射面9bは図1Bに示す工程#1の半導体レーザ素子11のエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部に設定された位置(以下でへき開位置P2という)でへき開されて成るものである。
【0022】
この半導体レーザ素子11は半導体ウエハ100のダイシング位置P1からオフセット距離ΔFを差し引いた位置にへき開位置P2が設定され、図1Bに示す工程#2でほぼこのへき開位置P2において半導体レーザ素子11がへき開されたものである。
【0023】
ここで、半導体レーザ装置101の動作原理を説明する。例えば、バンドギャップの小さい活性層4、バンドギャップの大きいn−クラッド層3、P−クラッド層5に順方向電圧をかけると、n−クラッド層4から電子が活性層4に流れ込み、P−クラッド層5から正孔が活性層4に流れ込む。
【0024】
これらのキャリアは、ヘテロ接合でのバンドギャップ差から生じるエネルギー障壁によって、活性層4内に閉じ込められる。このキャリアの閉じ込めは、効率の良い電子とホールの再結合を促し、自然放出光を発生させる。その自然光がつぎの電子とホールの再結合を促すようになる。
【0025】
一方、活性層4の端面9が光共振器の反射鏡の役目をするので、光が共振器内を往復する間に誘導放出と光増幅が進む。ここで、駆動電流をある程度大きくすると、ついにはレーザ発振に至り、レーザ発光の出力強度が急に大きくなり、その結果、指向性を有しスペクトル幅の狭いレーザ光が発光点8から放射されるようになる。
【0026】
このように、本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101によれば、エッチング処理により画定されたスロープ状の光反射面9aによって戻り光L’を再現性良く反射できるので、従来例に比べてノイズを低減することができる。また、ダイシング位置P1とへき開位置P2とを同じ位置に設定する場合に比べて光出射面9bの端面厚T’のばらつきを無くすことができる。
【0027】
続いて、本発明に係る半導体レーザ装置101の製造方法について説明をする。
図2〜図6は本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101の形成例(その1〜5)を示す工程図である。
この実施形態では半導体ウエハ100の所定方向に切り溝部を形成し、その切り溝部内をエッチング処理することによって当該半導体レーザ素子11の光反射面9aの形状を画定することにより半導体レーザ装置101を製造する場合であって、半導体ウエハ100のエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部にへき開位置を設定する場合を前提とする。また、図示しないダイシング装置には台形断面を有したダイシング用の刃20を使用する場合を想定する。台形断面の刃20を用いるのは光反射面9aを予め粗形状に斜めに画定するためである。
【0028】
これを製造条件にして、まず、図2Aにおいて、半導体レーザ素子11が形成された半導体ウエハ100を準備する。図2Bは図2Aに示した半導体ウエハ100のX1−X2矢視断面図を示している。図2Bにおいて、半導体ウエハ100はn−電極用の金属材料1’及びp−電極用の金属材料7’との間に半導体レーザ素子11が積層されて構成される。この金属材料7’には錫(Sn)が使用される。
【0029】
この半導体レーザ素子11はAl−GaAs系を例にとると、n−GaAs基板2にn−クラッド層(AlxGa(1-x)As)3、活性層(AlyGa(1-y)As)4、P−クラッド層(AlxGa(1-x)As)5及びキャップ層(p−GaAs)6が順次積層されて構成される。半導体レーザ素子11はAl−GaAs系に限られることはなく、In−GaAs系や、AlGaInP系(可視光)、GaN系(青色)であってもよい。
【0030】
次に、半導体ウエハ100から短冊状の半導体レーザバーを形成するために、図3Aにおいて、まず、n−電極用の金属材料1’側の全面にレジスト材料を塗布する。その後、切り溝部形成用の開口幅Aを有したラインパターン及びn−電極用の所定形状のパターンを有したレチクルをマスクにしてレジスト材料を感光及び現像する。
【0031】
このとき、従来例と同じマスクが使用できる。そして、不要なレジスト材料を除去して、半導体ウエハ100上にレジスト膜15a,15b等をパターニングする。その後、半導体ウエハ100上にパターニングされたレジスト膜15a,15b等をマスクにして金属材料1’を選択的に除去する。p−電極用の金属材料7’側も同じように処理する。
【0032】
これにより、図3Bに示すように金属材料1’が素子分離され、半導体ウエハ100の一方の面側で開口幅Aの領域がライン状に画定する。この領域は切り溝を形成する部分である。このとき、半導体レーザ素子11の一方の側でn−電極1a、1bも画定される。このn−電極1aの一端に基準位置P0を設定する。この基準位置P0はダイシング用の刃をシフトするときの基準となる。
【0033】
また、半導体ウエハ100のp−電極用の金属材料7’側も素子分離され、半導体ウエハ100の他方の面側で開口幅Aの領域がライン状に画定する。この領域には切り溝が形成されない。半導体レーザ素子11の他方の側ではp−電極7a、7bが画定される。
【0034】
その後、図4において半導体ウエハ100上にダイシング位置P1を設定する。ここで半導体ウエハ100の開口幅Aよりも狭い刃幅Bのダイシング用の台形状の刃20を使用する場合(B<A)であって、基準位置P0を起点にしてこの刃20の位置をオフセット距離ΔFだけ左側へシフトさせる。この左側はへき開後に隣接する半導体レーザバーにおいてレーザ光の非出射面側となる。
【0035】
ここで切り溝部を形成するダイシング用の刃20の断面の幅をBとし、この刃20のシフト量、つまり、オフセット距離をΔFとしたとき、ダイシング位置P1は基準位置P0からの距離(P0→P1)を(1)式、すなわち、
(P0→P1)=ΔF+B・・・・(1)
によって設定される。図4において白抜き三角印がダイシング位置P1である。
【0036】
このオフセット距離ΔFは半導体ウエハ100で切り溝部21を形成する領域の開口幅をAとしたとき、(2)式、すなわち、
ΔF=B−A/2・・・・(2)
に規定する。このダイシング位置P1からオフセット距離ΔFを差し引いた位置P2にへき開位置を設定する。図4において黒抜き三角印がへき開位置P2である。この例で開口幅Aが240μm程度で、刃幅Bが200μm程度のとき、ΔFは80μm程度である。
【0037】
これらをダイシング及びへき開条件として図5Aに示すように半導体ウエハ100のオリフラ部22を基準にし結晶面に沿って短冊状に切り溝部21を形成する。この例ではオリフラ部22を底辺にして垂線を立てるが如く切り溝部21を形成する。もちろん、ダイシング位置P1に図示しない刃20の一側端面(ダイシングブレードの垂直面)を位置合わせた状態で半導体ウエハ100をダイシングする。ダイシング処理は台形状の刃20を有した高速度カッタ工具等で行われる。
【0038】
図5Bは図5Aに示した半導体ウエハ100のX1−X2矢視断面図であって、波線円内部付近の拡大図を示している。図5Bにおいて、n−電極1a,1bの側の開口幅A’は基準位置P0から刃20の位置をオフセット距離ΔFだけ左側へシフトさせたことにより、p−電極7a,7bの側の開口幅Aに比べてΔAだけ左側へシフトし、A’=A+ΔAとなる。しかも、基準位置P0からΔFだけn−電極1aが形成されていない部分を残すことができる。
【0039】
その後、図6Aにおいて、半導体ウエハ100の切り溝部21内の金属材料1’の切削粉や、n−GaAs基板2等の残滓等を除去するために、当該切り溝部21内を所定のエッチング溶液により等方性エッチング処理する。エッチング溶液にはリン酸:過酸化水素:水=1:2:1を混合した水溶液を用いる。この等方性エッチング処理によって、台形状の切り溝部21はやや非対称の放物線状の切り溝部21に容姿を変えるようになる。
【0040】
このとき、n−電極1aに隣接して基準位置P0からΔFだけが露出していたn−GaAs基板2は切り溝部21の底部にかけてスロープ状に変化する。反対側の面(へき開後に隣接する半導体レーザバーの非出射面)では、n−電極1bがわずかであるが突起して庇状に残り、この庇状部からn−GaAs基板2の壁面が急激に立ち下がり、切り溝部21の底部に至るように容姿が変化する。これはn−電極1bで覆われている部分が多い左側に比べて、n−電極1aで覆われている部分が少ない右側のエッチング処理による浸食が多くなることによる。
【0041】
この例では本発明者らの経験から見出された上述の(1)及び(2)式により規定され、ダイシング位置P1からオフセット距離ΔFを差し引いた位置と、放物線状の切り溝部21の最下部とがほぼ一致する位置にへき開位置P2が設定されている。このへき開位置に関しては、何回か半導体ウエハ100のダイシング−エッチング処理をした結果、p−電極1a、1bの開口幅Aの半分のところにエッチング処理による深さのピークが現れることが、本発明者によって見出されたものである。
【0042】
従って、このへき開位置P2で半導体ウエハ100を図示しないローラ等を用いて、ぱきっと折るが如くへき開すると、図6Bに示すように放物線状の切り溝部21の最下部で半導体レーザ素子11を切断した半導体レーザ装置(半導体レーザバー)101を形成することができる。切り溝部21の最下部に設定されたへき開位置P2で半導体レーザ素子11がへき開されるので、従来例に比べてへき開後の端面厚大を防止できる。
【0043】
このへき開によって、半導体レーザ素子11の端面9でレーザ光Lを出射する光出射面9bとその戻り光L’を反射させる光反射面9aとが画定される。光出射面9bの端面厚はT’となる。従来例の端面厚Tとの関係ではT’<Tとすることができる。一番端面厚が小さくなる位置でへき開が行われるからである。
【0044】
また、端面中央部からn−電極1a側にかけてはスロープ状を成し、この部分が光反射面9aを構成する。この光反射面9aは更に鏡面仕上げをするとよい。もちろん、光学薄膜等の端面保護膜を形成してもよい。
【0045】
また、端面中央部からp−電極7a側にかけては垂直状を成し、この部分が光出射面9bを構成する。光出射面9bには発光点8が画定される。出射光と戻り光の間隔は従来例を同じ離隔距離Yである。戻り光は光反射面9aで反射されるので、n−GaAs基板2内に入射しない。
【0046】
このように、本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101の製造方法によれば、ダイシング位置P1からオフセット距離ΔFを差し引いた位置にへき開位置P2を設定できるので、半導体ウエハ100のエッチング処理により浸食された切り溝部21内の底部で半導体レーザ素子11をへき開することがきる。
【0047】
従って、ダイシング位置P1とへき開位置P2とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚T’のばらつきが無く、しかも、戻り光ノイズ低減可能なスロープ形状及び端面厚T’を有した半導体レーザ装置101を再現性良く製造することができる。
【0048】
また、半導体レーザ素子11の端面厚T’のばらつきが無くなることから、半導体レーザ装置101の製造歩留りを向上させることができる。しかも、ノイズ対策チップを安定に供給することができる。また、半導体レーザ装置自身でノイズ発生を抑えるので、光学系が簡素化でき、MD用光ピックアップなどの光学読取機構の品質向上及びそのコストダウンを図ることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る半導体レーザ装置によれば、所定形状の光反射面を有した半導体レーザ素子を備え、この光反射面の形状は素子分離前の半導体ウエハの所定方向に形成された切り溝部内をエッチング処理することにより画定され、半導体レーザ素子はこのエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部に設定されたへき開位置で半導体ウエハを切断されて成るものである。
【0050】
この構造によって、エッチング処理により画定された例えば、スロープ状の光反射面によって戻り光を再現性良く反射できるので、従来例に比べてノイズを低減することができる。また、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて光出射面の端面厚のばらつきを無くすことができる。
【0051】
本発明に係る半導体レーザ装置の製造方法によれば、半導体ウエハの所定方向に切り溝部を形成し、その切り溝部内をエッチング処理することによって当該半導体レーザ素子の光反射面の形状が画定される半導体レーザ装置の製造する場合に、この半導体ウエハのエッチング処理によって浸食が予測される切り溝部内の底部にへき開位置を設定するようになされる。
【0052】
この構成によって、ダイシング位置からオフセット距離を差し引いた位置にへき開位置を設定できるので、半導体ウエハのエッチング処理により浸食された切り溝部内の底部で半導体レーザ素子をへき開することがきる。従って、ダイシング位置とへき開位置とを同じ位置に設定する場合に比べて端面厚のばらつきが無く、しかも、戻り光ノイズを低減可能な所望の端面形状及び端面厚を有した半導体レーザ装置を製造することができる。
この発明はCDやMDプレーヤに搭載される光ピックアップ装置等の光学読取機構に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101の構造例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る実施形態としての半導体レーザ装置101の形成例(その1)を示す工程図である。
【図3】半導体レーザ装置101の形成例(その2)を示す工程図である。
【図4】半導体レーザ装置101の形成例(その3)を示す工程図である。
【図5】半導体レーザ装置101の形成例(その4)を示す工程図である。
【図6】半導体レーザ装置101の形成例(その5)を示す工程図である。
【図7】A及びBは従来例に係る光ピックアップ装置等に適用される半導体レーザ装置10の形成例を示す工程図である。
【図8】Aはエッチング無し時のへき開後の半導体レーザ装置10’の構造例、Bはエッチング有り時のへき開後の半導体レーザ装置10の構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b・・・n−電極、2・・・n−GaAs基板、3・・・n−クラッド層、4・・・活性層、5・・・P−クラッド層、6・・・キャップ層、7,7a,7b・・・p−電極、8・・・発光点、9・・・端面、9a・・・光反射面、9b・・・光出射面、11・・・半導体レーザ素子、20・・・ダイシング用の刃、21,31・・・切り溝部、100・・・半導体ウエハ、101・・・半導体レーザ装置
Claims (5)
- n−クラッド層、活性層、p−クラッド層及びキャップ層が順次積層されて構成された半導体レーザ素子が形成された半導体ウエハであって前記キャップ層上にp−電極形成用の金属材料が形成され、前記半導体ウエハの前記キャップ層と反対側の面にn−電極形成用の金属材料が形成されたものの、前記n−電極形成用の金属材料及び前記p−電極形成用の金属材料を選択的に除去することにより、オリフラ部を底辺にして垂線を立てるが如く、前記半導体ウエハをダイシングする刃の幅Bに対してA>Bの関係が成立する開口幅Aの、切り溝部形成用のライン状の開口を形成するとともにn−電極及びp−電極を形成し、
前記n−電極の前記オリフラ部に平行な方向の一端に基準位置P0を設定し、前記オリフラ部に平行な方向の前記基準位置P0から前記開口側に距離ΔF+B(ただし、ΔF=B−A/2でΔF>0)の位置をダイシング位置P1とし、前記ダイシング位置P1に前記刃の一側端面を位置合わせした状態で前記半導体ウエハをダイシングすることにより前記オリフラ部を底辺にして垂線を立てるが如く幅Bの切り溝部を形成し、
前記切り溝部内をエッチング溶液により等方性エッチングすることにより、前記オリフラ部に平行な方向の前記切り溝部の断面形状を非対称の放物線状とし、
前記ダイシング位置P1から前記基準位置P0の方向に距離ΔFの位置にへき開位置P2を設定し、前記半導体ウエハを前記へき開位置P2でへき開する半導体レーザ装置の製造方法。 - 前記半導体ウエハをダイシングすることにより形成される前記切り溝部の前記オリフラ部に平行な方向の断面形状が台形である請求項1に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
- 前記半導体ウエハをダイシングすることにより形成される前記切り溝部の前記オリフラ部に平行な方向の断面形状が、前記半導体ウエハの前記ダイシングする面上の、前記オリフラ部に平行な方向の幅Bの辺を下底、前記切り溝部の底の、前記オリフラ部に平行な方向の辺を上底とし、前記半導体ウエハの前記ダイシングする面に対して垂直な辺を一側辺とし、前記切り溝部の深さ方向に前記オリフラ部に平行な方向の幅が直線的に減少する台形である請求項1に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
- 前記開口は、前記n−電極形成用の金属材料及び前記p−電極形成用の金属材料の上にそれぞれパターニングされたレジスト膜を形成し、このレジスト膜をマスクとして前記n−電極形成用の金属材料及び前記p−電極形成用の金属材料を選択的に除去することにより形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
- n−GaAs基板上に前記n−クラッド層、前記活性層、前記p−クラッド層及び前記キャップ層が順次積層されて前記半導体レーザ素子が形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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