JP4830000B2 - 内燃機関の流体通路構造 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の流体通路構造に関し、特にオイルクーラに流体を流通させるための内燃機関の流体通路構造に関する。
特許文献1には、オイルと冷却水との間で熱交換を行うコア部と、コア部の内燃機関取付側から側方に張り出してフランジ部を形成するエンドプレートと、を備え、コア部の内燃機関取付面と反対側の面に2本の冷却水配管部をロウ付けしたオイルクーラが開示されている。
また、特許文献2には、クランクケースの下面に、該クランクケースとは別体のオイルパンを取り付け、オイルポンプからオイル供給経路を介してエンジン内の各注油箇所にオイルを供給し、注油後のオイルを前記オイルパンに戻す自動二輪車用エンジンにおいて、前記オイル供給経路の途中に配置されるオイルクーラを、前記オイルパンの前面、側面又は後面に取り付けることが開示されている。
特開2008−144977号公報 特開2007−077925号公報
しかしながら、特許文献1に記載のオイルクーラは、コア部の内燃機関取付面と反対側の面に冷却水配管がロウ付けされているため、オイルクーラの高さ寸法が大きい。そのため、内燃機関の周囲にある配管や補機やフレーム等と干渉し易く、取付箇所に制約があり、レイアウトの自由度が少なかった。また、レイアウトの自由度を得ようとすると、内燃機関の大型化を招き易く、コンパクトな設計が困難であった。
また、仮に、コア部の内燃機関と反対側の面に冷却水配管をロウ付けすることをやめて、内燃機関本体の内部にオイルの通路と冷却水の通路の両方を形成しようとした場合、オイルクーラには、潤滑油と冷却水のそれぞれについて、流入通路と流出通路が必要であるため、内燃機関の内部における冷却水通路と潤滑油通路の構造が複雑になり、内燃機関本体の大型化や製造コストの増大などを招くおそれがある。
また、車体に取り付けられた内燃機関の前面、側面又は後面には、様々な配管や補機やフレーム等が配置されているため、内燃機関を車体に取り付けたままの状態でオイルクーラのメンテナンスを行うことが困難であった。
本発明は、これらの点に鑑みて成されたものであり、内燃機関本体内部の流体通路を複雑にすることなくオイルクーラを小型化することが可能な内燃機関の流体通路構造を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、オイルクーラのメンテナンスが容易な内燃機関の流体通路構造を提供することを第2の課題とする。
本発明は、内燃機関本体の下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルパンと、前記内燃機関本体の各潤滑部に前記オイルパンから吸入した前記潤滑油を送出するオイルポンプと、前記オイルパンに取り付けられ、前記潤滑油を冷却するオイルクーラと、前記オイルパンと前記オイルポンプと前記オイルクーラと前記各潤滑部とを接続して前記潤滑油を流通させる潤滑油通路と、前記オイルクーラに冷媒を供給する冷媒通路と、を備えた内燃機関の流体通路構造であって、前記オイルクーラは、前記潤滑油が流通する潤滑油流通部と前記冷媒が流通する冷媒流通部との間で熱交換を行うコア部と、前記コア部の前記オイルパン取付側の端部から周囲に張り出すフランジ部と、を有し、前記コア部の前記オイルパン取付側には、前記潤滑油流通部と前記潤滑油通路とを連通する潤滑油用連通口と、前記冷媒流通部と前記冷媒通路とを連通する冷媒用連通口と、が形成され、前記フランジ部には、前記オイルパン取付側の面から前記コア部側の面へ貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔には、前記コア部側の面から、前記冷媒通路が配管され、前記オイルクーラが取り付けられる前記オイルパンの表面には、前記冷媒用連通口と、前記貫通孔とを接続する凹溝が形成され、前記オイルパンの底部には、前記底部の一部を窪ませた窪部が形成され、前記窪部には、前記凹溝が形成されているとともに、前記オイルクーラが前記フランジ部を介して取り付けられていることを特徴とする。
かかる構成によれば、冷媒が流通する配管が、オイルクーラのフランジ部に接続されており、この配管から、オイルパンの表面に形成された凹溝を通って、オイルクーラに冷媒が導入及び/又は導出されることとなる。
つまり、オイルクーラのフランジ部付近のデッドスペースに冷媒用の配管を配置するので、内燃機関の周囲にある配管や補機やフレーム等との干渉を避けることができ、レイアウトの自由度の向上と、内燃機関の小型化を図ることができる。
また、オイルパンの表面に凹溝を形成するとともに、オイルクーラのフランジ部に貫通孔を設けるという簡易な構成で実現できるので、冷媒通路と潤滑油通路の両方を内燃機関の内部に形成する場合に比較して、構造が簡素化でき、内燃機関の大型化や製造コストの増大を抑制することができる。
また、コア部を加工する必要がほとんどないので、特殊なコア部を作成する必要がなく、材料コストを抑制することができる。
また、かかる構成によれば、オイルパンに形成した窪部にオイルクーラを配置するので、前記した作用効果に加えて、オイルパンからの着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。また、オイルパンの下方には通常他部品を配置しないので、オイルクーラが他部品と干渉することがなく、オイルクーラの容量を大きくすることが容易である。
また、本発明は、内燃機関本体の下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルパンと、前記内燃機関本体の各潤滑部に前記オイルパンから吸入した前記潤滑油を送出するオイルポンプと、前記オイルパンに取り付けられ、前記潤滑油を冷却するオイルクーラと、前記オイルパンと前記オイルポンプと前記オイルクーラと前記各潤滑部とを接続して前記潤滑油を流通させる潤滑油通路と、前記オイルクーラに冷媒を供給する冷媒通路と、を備えた内燃機関の流体通路構造であって、前記オイルクーラは、前記潤滑油が流通する潤滑油流通部と前記冷媒が流通する冷媒流通部との間で熱交換を行うコア部と、前記コア部の前記オイルパン取付側の端部から周囲に張り出すフランジ部と、を有し、前記コア部の前記オイルパン取付側には、前記潤滑油流通部と前記潤滑油通路とを連通する潤滑油用連通口と、前記冷媒流通部と前記冷媒通路とを連通する冷媒用連通口と、が形成され、前記フランジ部には、前記オイルパン取付側の面から前記コア部側の面へ貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔には、前記コア部側の面から、前記潤滑油通路が配管され、前記オイルクーラが取り付けられる前記オイルパンの表面には、前記潤滑油用連通口と、前記貫通孔とを接続する凹溝が形成され、前記オイルパンの底部には、前記底部の一部を窪ませた窪部が形成され、前記窪部には、前記凹溝が形成されているとともに、前記オイルクーラが前記フランジ部を介して取り付けられていることを特徴とする。
かかる構成によれば、潤滑油が流通する配管が、オイルクーラのフランジ部に接続されており、この配管から、オイルパンの表面に形成された凹溝を通って、オイルクーラに潤滑油が導入及び/又は導出されることとなる。
つまり、オイルクーラのフランジ部付近のデッドスペースに潤滑油用の配管を配置するので、内燃機関の周囲にある配管や補機やフレーム等との干渉を避けることができ、レイアウトの自由度の向上と、内燃機関の小型化を図ることができる。
また、オイルパンの表面に凹溝を形成するとともに、オイルクーラのフランジ部に貫通孔を設けるという簡易な構成で実現できるので、冷媒通路と潤滑油通路の両方を内燃機関の内部に形成する場合に比較して、構造が簡素化でき、内燃機関の大型化や製造コストの増大を抑制することができる。
また、コア部を加工する必要がほとんどないので、特殊なコア部を作成する必要がなく、材料コストを抑制することができる。
また、かかる構成によれば、オイルパンに形成した窪部にオイルクーラを配置するので、前記した作用効果に加えて、オイルパンからの着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。また、オイルパンの下方には通常他部品を配置しないので、オイルクーラが他部品と干渉することがなく、オイルクーラの容量を大きくすることが容易である。
また、前記オイルパンは、上側オイルパンと、前記上側オイルパンの下方に取り付けられた下側オイルパンとから構成され、前記オイルクーラは、前記上側オイルパンの底部であって、前記下側オイルパンが取り付けられていない部分に取り付けられている構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、上下に二分割されるタイプのオイルパンの上側に配置される上側オイルパンの底部のうち、オイル貯留部となる下側オイルパンが取り付けられない部分にオイルクーラが取り付けられているので、オイルクーラの配管が下側オイルパンの底部より下方に突出しないレイアウトが可能となり、内燃機関本体のコンパクト化が可能となる。
また、前記貫通孔には、前記コア部側の面から、前記冷媒通路が配管され、前記凹溝は、前記冷媒用連通口と前記貫通孔とを接続し、前記潤滑油用連通口は、前記オイルパンの内部に一体形成されたオイルパン一体型潤滑油通路部に接続され、前記オイルパン一体型潤滑油通路部は、前記オイルパンの一端側に取り付けられたケース部材内に設けられた前記オイルポンプと前記潤滑油用連通口とを接続している構成とするのが好ましい。
かかる構成によれば、内燃機関本体の外部に配置した冷媒用の配管からオイルクーラに冷媒を供給するとともに、オイルパンに一体に形成したオイルパン一体型潤滑油通路部を介してオイルクーラに潤滑油を供給する構成としたので、流体通路の複雑化を防止し、内燃機関本体の大型化を抑制することができる。また、オイルクーラの取付面となるオイルパンの底部を横断するようにオイルパン一体型潤滑油通路部が形成されているので、オイルパンの底部を補強することができる。
本発明によれば、内燃機関本体内部の流体通路を複雑にすることなくオイルクーラを小型化することが可能な内燃機関の流体通路構造を提供することができる。
本実施形態に係る内燃機関の流体通路構造を備える自動車のエンジンの側面図である。 オイルクーラの斜視図である。 オイルパン及びオイルクーラを斜め下方から見上げた状態を示す分解斜視図である。 図1のI−I線におけるオイルパン及びオイルクーラの断面図である。 オイルパンの底部とシリンダブロックの側壁を斜め上方から見下ろした状態を示す斜視図である。 図5のII−II線断面図である。
本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。第1実施形態では、本発明を自動車のエンジンに適用した場合を例にとって説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の流体通路構造を備える自動車のエンジンの側面図である。
図1に示すように、内燃機関本体を構成する自動車用のエンジン1は、下から順に、オイルパン2と、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4と、シリンダヘッドカバー5と、を積み重ねて構成されている。エンジン1の側面には、チェーンケース6が設けられており、図示しないタイミングチェーン等を覆っている。
オイルパン2は、潤滑油を貯留する部材であり、内燃機関本体から流下してきた潤滑油を受ける上側オイルパン21と、この上側オイルパン21の下側に取り付けられ、潤滑油を貯留する下側オイルパン22と、の2部材で構成されている。
上側オイルパン21の底部21aの一部には、下側オイルパン22を取り付けるための取付開口部21bが突設されている。下側オイルパン22は、この取付開口部21bを塞ぐように取り付けられている。
上側オイルパン21の底部21aの取付開口部21bが形成されていない部分は、オイルパン2の底部の一部を窪ませた窪部23を形成している。本実施形態では、この窪部23の底部(すなわち、上側オイルパン21の底部21a)には、潤滑油を冷却するためのオイルクーラ7が設置されている。
シリンダブロック3は、複数のシリンダが配設されるとともに各種の運動部品を収納する部材である。シリンダブロック3の内部には、クランクシャフト31が回転可能に設置されている。なお、図示は省略するが、クランクシャフト31には、コンロッドを介してピストンが連結されており、このピストンがシリンダ内を上下に摺動することで、クランクシャフト31が回転する。
クランクシャフト31の両端部31a,31bのうち、一方の端部31aには、オイルポンプ8と、図示しない駆動側スプロケットホイールが取り付けられている。
シリンダヘッド4は、主に、燃焼室と、この燃焼室に空気を供給する吸気ポートと、燃焼室から排気を排出する排気ポートと、を構成する部材である。シリンダヘッド4の側部には、排気ポートからの排気を外部に導出するためのエキゾーストマニホールド41が取り付けられている。また、シリンダヘッド4の反対側の側部には、吸気ポートに空気を導入するためのインテークマニホールド(図示省略)が取り付けられている。
シリンダヘッドカバー5は、シリンダヘッド4の上部に設置され、図示しないカムシャフトを含む動弁機構を備えたカムホルダを覆う部材である。このカムシャフトは、カムホルダに回転自在に保持されており、その一端側には従動側スプロケットホイール(図示省略)が設置されている。
チェーンケース6は、前記した駆動側スプロケットホイールと従動側スプロケットホイールに巻き掛けられたタイミングチェーンを覆う部材である。チェーンケース6の内部には、オイルポンプ8と、このオイルポンプ8を覆って潤滑油通路を形成するケース部材たるオイルポンプケース9が配置されている。
また、チェーンケース6の下端側には、潤滑油を濾過するためのオイルフィルタ10が配置されている。
図2は、オイルクーラの斜視図である。図3は、オイルパン及びオイルクーラを斜め下方から見上げた状態を示す分解斜視図である。図4は、図1のI−I線におけるオイルパン及びオイルクーラの断面図である。
オイルクーラ7は、冷媒である冷却水で潤滑油を冷却する装置であり、図2に示すように、板状のベースプレート71と、ベースプレート71の下側に取り付けられた略直方体形状のコア部72と、を備えている。ベースプレート71は後記するコア部72の蓋としての機能を有している。ベースプレート71の周縁部は、コア部72の側方から張り出しており、この張り出した部分がフランジ部73を構成している。フランジ部73には、複数のボルト穴73aが形成されている。オイルクーラ7は、図3に示すように、複数のボルト穴73aに複数のボルトBを挿通して上側オイルパン21の底部21aに締結することで、オイルパン2の窪部23に固定されている。
ベースプレート71のフランジ部73よりも内側の部分には、コア部72に潤滑油を導入し、又は、コア部72から潤滑油を導出するための一対の潤滑油用連通口74a,74bが貫通形成されている。一対の潤滑油用連通口74a,74bは、コア部72の一方の対角線上にある一対の角部に対応する位置にそれぞれ配置されている。
また、ベースプレート71のフランジ部73よりも内側の部分には、コア部72に冷却水を導入し、又は、コア部72から冷却水を導出するための一対の冷却水用連通口75a,75bが貫通形成されている。一対の冷却水用連通口75a,75bは、コア部72の他方の対角線上にある一対の角部に対応する位置にそれぞれ配置されている。
また、ベースプレート71のフランジ部73には、オイルパン2側の面からコア部72側の面に貫通する一対の貫通孔76a,76bが形成されている。貫通孔76a,76bは、冷却水用連通口75a,75bの近傍にそれぞれ形成されている。
フランジ部73に形成された貫通孔76a,76bのコア部72側には、冷却水通路を構成する略L字状のパイプP1,P2が配管されている。パイプP1,P2は、オイルクーラ7のフランジ部73に例えばロウ付けされている。パイプP1,P2のフランジ部73と反対側の端部は、例えば、図示しない接続用ホースを介して、エンジン1の内部に形成されたウォータージャケットなどの冷却水通路に接続されている。
図4に示すように、コア部72は、潤滑油が流通する潤滑油流通部72aと、冷却水が流通する冷却水流通部72bと、を有している。潤滑油流通部72aと冷却水流通部72bとは、隔壁79によって互いに区画されており、例えば上下方向に交互に層状に配置されている。
冷却水流通部72bの上流側は、導入側の冷却水用連通口75aと接続されており、冷却水流通部72bの下流側は、導出側の冷却水用連通口75bと接続されている。
同様に、図示は省略するが、潤滑油流通部72aの上流側は、導入側の潤滑油用連通口74aと接続されており、潤滑油流通部72aの下流側は、導出側の潤滑油用連通口74bと接続されている。
このような構造によって、潤滑油流通部72aを流通する潤滑油の熱が、隔壁79を介して冷却水流通部72bを流通する冷却水に伝熱され、潤滑油が冷却されることとなる。なお、コア部72の構造は特に限定されるものではないことは勿論である。
図3及び図4に示すように、上側オイルパン21の底部21aの表面(下面)には、オイルクーラ7の導入側の冷却水用連通口75aと貫通孔76aに対応する位置に、第1の凹溝25aが形成されている。また、上側オイルパン21の底部21aの表面(下面)には、オイルクーラ7の導出側の冷却水用連通口75bと貫通孔76bに対応する位置に、第2の凹溝25bが形成されている。
つまり、図4に示すように、第1の凹溝25aは、上側オイルパン21の底部21aにオイルクーラ7を取り付けた状態において、導入側の冷却水用連通口75aと貫通孔76aとを接続している。また、第2の凹溝25bは、導出側の冷却水用連通口75bと貫通孔76bとを接続している。
これにより、図4に示すように、パイプP1と、貫通孔76aと、第1の凹溝25aと、冷却水用連通口75aと、コア部72内の冷却水流通部72bと、冷却水用連通口75bと、第2の凹溝25bと、貫通孔76aと、パイプP2と、がこの順番に連通して冷却水通路(の一部)が構成されることとなる。
また、図3に示すように、上側オイルパン21の底部21aには、オイルクーラ7の潤滑油用連通口74a,74b(図2参照)に対応する位置に、潤滑油通路の開口部26a,26bがそれぞれ形成されている。これにより、上側オイルパン21の底部21aにオイルクーラ7を取り付けた状態において、エンジン1の内部に形成された潤滑油通路とオイルクーラ7の潤滑油用連通口74a,74bとが接続されることとなる。
なお、第1の凹溝25a、第2の凹溝25bの周囲には、楕円環状のシール溝28a,28bが形成されている。また、潤滑油通路の開口部26a,26bの周囲には、円環状のシール溝27a,27bが形成されている。
これらのシール溝27a,27b,28a,28bには、潤滑油又は冷却水の漏出を防止するためのシール部材S(図4参照)が設置される。
ちなみに、上側オイルパン21の底部21aには、オイルクーラ7のフランジ部73に形成された複数のボルト穴73aに対応する位置に、ボルトBと螺合する雌ねじ穴21cが形成されている。
図5は、オイルパンの底部とチェーンケースの側壁を斜め上方から見下ろした状態を示す斜視図である。図6は、図5のII−II線断面図である。
図5及び図6に示すように、チェーンケース6の側壁63のシリンダブロック3側の面には、オイルポンプケース9が取り付けられている。オイルポンプケース9には、オイルポンプ8が取り付けられたクランクシャフト31の一方の端部31aを挿通するための挿通穴93aが形成されている。
そして、この挿通穴93aの周囲であって、側壁63とオイルポンプケース9(図1参照)との間には、オイルポンプ8の設置空間を兼ねる潤滑油通路となるオイルポンプ用流通部94が形成されている。また、側壁63とオイルポンプケース9との間には、オイルパン2の内部とオイルフィルタ10の流入口とを連通する潤滑油通路となるオイルフィルタ用流通部95が形成されている。さらに、側壁63とオイルポンプケース9との間には、オイルフィルタ10の流出口とメインギャラリ36とを連通する潤滑油通路となるメインギャラリ用流通部97が形成されている。
ここで、メインギャラリ36は、シリンダブロック3の内部に形成された潤滑油通路の一部であり、シリンダブロック3の内部に設けられたベアリングキャップやオイルジェット等の各潤滑部に潤滑油を供給可能に接続されている。また、図示は省略するが、メインギャラリ36は、シリンダヘッド4に形成された油路を介してカムシャフトの摺動部(潤滑部)にも潤滑油を供給できるようになっている。
なお、オイルポンプケース9には、オイルポンプ用流通部94の流入口94aと流出口94bを接続するリリーフバルブ通路98が形成されており、リリーフバルブ通路98の内部には、リリーフバルブ(図示省略)が設置されている。
オイルパン2の内部には、下側オイルパン22に貯留された潤滑油を吸い上げるための吸入管22aが設置されている。吸入管22aの一端側は、図示しないオイルストレーナに接続されており、吸入管22aの他端側は、オイルポンプ用流通部94の流入口94aに接続されている。
図5及び図6に示すように、オイルクーラ7が取り付けられている上側オイルパン21の底部21aの上面には、オイルポンプ用流通部94の流出口94bとオイルクーラ7の導入側の潤滑油用連通口74aとを連結する第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211が、上側オイルパン21と一体に形成されている。オイルパン一体型潤滑油通路部211は、上側オイルパン21の底部21aの上面を蒲鉾状に盛り上げたような外形を呈しており、内部は中空に形成されている。
また、上側オイルパン21の底部21aの上面には、オイルクーラ7の導出側の潤滑油用連通口74bとオイルフィルタ用流通部95の流入口95aとを連結する第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212が、上側オイルパン21と一体に形成されている。なお、第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212は、第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211と略同様の構造を呈しているので、図示を省略する。
これにより、図5に示すように、吸入管22aと、オイルポンプ用流通部94と、第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211と、潤滑油用連通口74aと、コア部72内の潤滑油流通部72aと、潤滑油用連通口74bと、第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212と、オイルフィルタ用流通部95と、オイルフィルタ10と、メインギャラリ用流通部97と、がこの順番に連通して潤滑油通路(の一部)が構成されることとなる。
第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211及び第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212は、例えばクランクシャフト31の軸方向と平行に形成されている。
また、第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211及び第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212は、例えば、上側オイルパン21を鋳造成形する際に、中空部となる部分に中子を配置することで、上側オイルパン21と一体形成されている。
なお、第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211は、図6及び図4に示すように、第2の凹溝25bを跨いで形成されている。
本実施形態に係る内燃機関の流体通路構造は、基本的に以上のように構成されるが、引き続き、図1乃至図6を参照して本実施形態に係る内燃機関の油路構造の動作及び作用効果について説明する。
図示しないラジエータから送出された冷却水は、図4に示すように、パイプP1と、貫通孔76aと、第1の凹溝25aと、冷却水用連通口75aと、を通って、コア部72の冷却水流通部72bに流入する。冷却水流通部72bに流入した冷却水は、潤滑油流通部72aを流通する潤滑油から熱を奪い取って昇温した後、冷却水用連通口75bと、第2の凹溝25bと、貫通孔76bと、パイプP2と、を通って、ラジエータに還流する。
一方、オイルパン2に貯留された潤滑油は、図5に示すように、オイルポンプ8が駆動することによって、吸入管22aを介して吸い上げられる。吸入管22aに吸い上げられた潤滑油は、図6に示すように、オイルポンプ用流通部94と、第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211と、潤滑油用連通口74aと、を通って、コア部72の潤滑油流通部72aに流入する。
コア部72の潤滑油流通部72aに流入した潤滑油は、冷却水流通部72bを流通する冷却水に熱を奪い取られて冷却された後、潤滑油用連通口74bと、第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212と、オイルフィルタ用流通部95と、を通って、オイルフィルタ10に流入する。オイルフィルタ10で不純物を濾過された潤滑油は、メインギャラリ用流通部97を通ってメインギャラリ36に圧送される。
メインギャラリ36に圧送された潤滑油は、エンジン1の各潤滑部に供給され、各潤滑部において摩擦を緩和する。潤滑部に供給された潤滑油は、図示しないドレン用流路等を通ってオイルパン2に還流する。
このような内燃機関の流体通路構造を有するエンジン1によれば、冷却水が流通するパイプP1,P2が、オイルクーラ7のフランジ部73に接続されており、このパイプP1,P2から、上側オイルパン21の底部21aの表面に形成された第1の凹溝25aと第2の凹溝25bとを通って、オイルクーラ7のコア部72に冷却水が導入及び導出されることとなる。
つまり、オイルクーラ7のフランジ部73付近のデッドスペースに冷却水用のパイプP1,P2が配置されるので、エンジン1の周囲にある配管や補機やフレーム等との干渉を避けることができ、レイアウトの自由度の向上と、内燃機関の小型化を図ることができる。
また、上側オイルパン21の底部21aの表面に第1の凹溝25aと第2の凹溝25bとを形成するとともに、オイルクーラ7のフランジ部73に貫通孔76a,76bを設けるという簡易な構成で冷却水通路を実現できるので、オイルクーラ7に通じる冷却水通路と潤滑油通路の両方をエンジン1の内部に形成する場合に比較して、構造が簡素化でき、エンジン1の大型化や製造コストの増大を抑制することができる。
また、コア部72を加工する必要がほとんどないので、特殊なコア部72を作成する必要がなく、材料コストを抑制することができる。
また、オイルパン2に形成した窪部23にオイルクーラ7が配置されているので、前記した作用効果に加えて、オイルクーラ7をエンジン1から着脱することが容易となり、メンテナンス性が向上する。また、オイルパン2の下方には他部品がほとんど配置されないので、オイルクーラ7が他部品と干渉することがなく、オイルクーラ7の容量を大きくすることが容易である。
また、オイルクーラ7のパイプP1,P2が下側オイルパン22の底部より下方に突出しないレイアウトが可能となり、エンジン1のコンパクト化が可能となる。
また、オイルクーラ7の取付面となる上側オイルパン21の底部21aの表面(上面)を横断するように第1のオイルパン一体型潤滑油通路部211及び第2のオイルパン一体型潤滑油通路部212が形成されているので、上側オイルパン21の底部21aを補強することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、フランジ部73に形成した貫通孔76a,76bとオイルパン2の底部に形成した第1の凹溝25a及び第2の凹溝25bを介してオイルクーラ7に冷却水を流通させるとともに、オイルパン2内に設けた潤滑油通路からオイルクーラ7に潤滑油を流通させることとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、フランジ部73に形成した貫通孔76aとオイルパン2の底部に形成した第1の凹溝25a及び第2の凹溝25bに、潤滑油を流通させるとともに、オイルパン2内に設けた冷却水通路からオイルクーラ7に冷却水を流通させるようにしてもよい。
このようにすれば、冷却水通路や潤滑油通路の構造に応じて、エンジン1の外部からオイルクーラ7に流通させる流体を適宜に変更することができるので、レイアウト性を向上させることができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、チェーンケース6とオイルポンプケース9との間に潤滑油通路を形成したが、本発明はこれに限られるものではなく、オイルポンプケース9単独で潤滑油通路を形成してもよい。
また、本実施形態では、自動車用のエンジン1を例にとって説明したが、本発明に係る内燃機関の流体通路構造は、自動車以外の内燃機関に適用可能であるのは勿論である。
1 エンジン
2 オイルパン
21 上側オイルパン
22 下側オイルパン
23 窪部
25a 第1の凹溝
25b 第2の凹溝
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 シリンダヘッドカバー
6 チェーンケース
7 オイルクーラ
71 ベースプレート
72 コア部
72a 潤滑油流通部
72b 冷却水流通部
73 フランジ部
73a ボルト穴
74a,74b 潤滑油用連通口
75a,75b 冷却水用連通口
76a,76b 貫通孔
8 オイルポンプ
9 オイルポンプケース
10 オイルフィルタ

Claims (4)

  1. 内燃機関本体の下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルパンと、
    前記内燃機関本体の各潤滑部に前記オイルパンから吸入した前記潤滑油を送出するオイルポンプと、
    前記オイルパンに取り付けられ、前記潤滑油を冷却するオイルクーラと、
    前記オイルパンと前記オイルポンプと前記オイルクーラと前記各潤滑部とを接続して前記潤滑油を流通させる潤滑油通路と、
    前記オイルクーラに冷媒を供給する冷媒通路と、を備えた内燃機関の流体通路構造であって、
    前記オイルクーラは、前記潤滑油が流通する潤滑油流通部と前記冷媒が流通する冷媒流通部との間で熱交換を行うコア部と、前記コア部の前記オイルパン取付側の端部から周囲に張り出すフランジ部と、を有し、
    前記コア部の前記オイルパン取付側には、前記潤滑油流通部と前記潤滑油通路とを連通する潤滑油用連通口と、前記冷媒流通部と前記冷媒通路とを連通する冷媒用連通口と、が形成され、
    前記フランジ部には、前記オイルパン取付側の面から前記コア部側の面へ貫通する貫通孔が形成され、
    前記貫通孔には、前記コア部側の面から、前記冷媒通路が配管され、
    前記オイルクーラが取り付けられる前記オイルパンの表面には、前記冷媒用連通口と、前記貫通孔とを接続する凹溝が形成され、
    前記オイルパンの底部には、前記底部の一部を窪ませた窪部が形成され、
    前記窪部には、前記凹溝が形成されているとともに、前記オイルクーラが前記フランジ部を介して取り付けられていることを特徴とする内燃機関の流体通路構造。
  2. 内燃機関本体の下部に設けられ、潤滑油を貯留するオイルパンと、
    前記内燃機関本体の各潤滑部に前記オイルパンから吸入した前記潤滑油を送出するオイルポンプと、
    前記オイルパンに取り付けられ、前記潤滑油を冷却するオイルクーラと、
    前記オイルパンと前記オイルポンプと前記オイルクーラと前記各潤滑部とを接続して前記潤滑油を流通させる潤滑油通路と、
    前記オイルクーラに冷媒を供給する冷媒通路と、を備えた内燃機関の流体通路構造であって、
    前記オイルクーラは、前記潤滑油が流通する潤滑油流通部と前記冷媒が流通する冷媒流通部との間で熱交換を行うコア部と、前記コア部の前記オイルパン取付側の端部から周囲に張り出すフランジ部と、を有し、
    前記コア部の前記オイルパン取付側には、前記潤滑油流通部と前記潤滑油通路とを連通する潤滑油用連通口と、前記冷媒流通部と前記冷媒通路とを連通する冷媒用連通口と、が形成され、
    前記フランジ部には、前記オイルパン取付側の面から前記コア部側の面へ貫通する貫通孔が形成され、
    前記貫通孔には、前記コア部側の面から、前記潤滑油通路が配管され、
    前記オイルクーラが取り付けられる前記オイルパンの表面には、前記潤滑油用連通口と、前記貫通孔とを接続する凹溝が形成され、
    前記オイルパンの底部には、前記底部の一部を窪ませた窪部が形成され、
    前記窪部には、前記凹溝が形成されているとともに、前記オイルクーラが前記フランジ部を介して取り付けられていることを特徴とする内燃機関の流体通路構造。
  3. 前記オイルパンは、上側オイルパンと、前記上側オイルパンの下方に取り付けられた下側オイルパンとから構成され、
    前記オイルクーラは、前記上側オイルパンの底部であって、前記下側オイルパンが取り付けられていない部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の流体通路構造。
  4. 前記潤滑油用連通口は、前記オイルパンの内部に一体形成されたオイルパン一体型潤滑油通路部に接続され、
    前記オイルパン一体型潤滑油通路部は、前記オイルパンの一端側に取り付けられたケース部材内に設けられた前記オイルポンプと前記潤滑油用連通口とを接続していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の流体通路構造。
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