JP4829430B2 - クレーンのフック水平移動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブームの伸縮作動とウインチの巻上巻下作動を連動して行いフックを水平に移動させるようにしたクレーンのフック水平移動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基端側のブームセクション内に順次先端側のブームセクションを伸縮自在に嵌挿してなり伸縮制御弁からの制御油により順次伸縮作動する複数の伸縮シリンダで伸縮作動し起伏制御弁からの制御油により伸縮作動する起伏シリンダで起伏作動するブーム、ウインチ制御弁からの制御油により正逆作動するウインチモータで巻上巻下作動するウインチ、および、ウインチからのワイヤーロープを介してブーム先端に巻上巻下作動可能に吊下したフックとを具備してなり、前記複数の伸縮シリンダのそれぞれが、互いに異なるブームセクションの伸縮作動を担当するよう構成したクレーンは、移動式クレーンあるいはトラック搭載型のクレーンとして良く知られている。移動式クレーンあるいはトラック搭載型クレーンでは、走行車輛のフレームに旋回作動自在に取りつけた旋回台に、前記ブームが起伏作動自在に取りつけられている。
【0003】
この種のクレーンでは、旋回台の旋回作動、ブームの起伏ならびに伸縮作動、および、ウインチによるフックの巻上巻下作動を併用してフックに吊下した荷物を三次元空間内の任意の位置に移動させるクレーン作業が行われる。
【0004】
ところで、この種のクレーンでは、ブームの伸縮作動とウインチによるフックの巻上巻下作動を併用操作してフックに吊下した荷物を作業半径増減方向へ水平に移動させるクレーン作業(以下、単にフック水平移動作業という)が行われる。この場合、クレーンオペレータが、フックに吊下した荷物の作動軌跡がクレーンの作業半径増減方向へ水平に移動するよう、ブームの伸縮作動を制御する伸縮制御弁とウインチの巻上巻下作動を制御するウインチ制御弁の双方を個別に制御する必要がり、その操作が煩雑であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記したクレーン、すなわち、基端側のブームセクション内に順次先端側のブームセクションを伸縮自在に嵌挿してなり伸縮制御弁からの制御油により順次伸縮作動する複数の伸縮シリンダで伸縮作動し起伏制御弁からの制御油により伸縮作動する起伏シリンダで起伏作動するブーム、ウインチ制御弁からの制御油により正逆作動するウインチモータで巻上巻下作動するウインチ、および、ウインチからのワイヤーロープを介してブーム先端に巻上巻下作動可能に吊下したフックとを具備してなり、前記複数の伸縮シリンダのそれぞれが、互いに異なるブームセクションの伸縮作動を担当するよう構成したクレーンに適用され、クレーンオペレータが伸縮制御弁の切換方向と切換制御量を指示するのみで、フック水平移動作業を行うことができるフック平行移動装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明における請求項記載の発明は、上記クレーンにおける複数の伸縮シリンダのそれぞれが、伸縮制御弁の同一の切換制御量で実現し得るブームの伸縮速度を異にするようブームに関連配置してなるクレーンに使用されるフック水平移動装置であり、
・伸縮制御弁の切換方向と切換制御量を指示する水平移動操作信号を出力する水平移動操作手段、
・ブームの起伏角度を検出して検出起伏角信号を出力する起伏角度検出手段、
・ブームがいずれの伸縮シリンダによる伸縮作動域にあるかを検出して検出作動域信号を出力する作動域検出手段、
・および、これら各手段からの信号を受け取り、伸縮制御弁、および、ウインチ制御弁に制御信号を出力するコントローラ、とからなり、コントローラは、水平移動操作手段から水平移動操作信号を受け取ったときには、下記の(1)および(2)の処理を行うよう構成してあることを特徴とするものである。
(1)水平移動操作手段からの水平移動操作信号に対応して伸縮制御弁を切換制御するための伸縮制御弁制御信号を生成し、これを伸縮制御弁に出力する。
(2)水平移動操作手段からの水平移動操作信号または伸縮制御弁の切換状態信号、起伏角度検出手段からの検出起伏角信号、および、作動域検出手段からの作動域検出信号とから、検出起伏角度にあるブームが上記(1)による伸縮制御弁制御信号で切換制御された伸縮制御弁からの制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程を変動させないためのウインチの巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号を生成し、これをウインチ制御弁に出力する。
【0007】
上記の如く構成した請求項記載の発明におけるフック水平移動装置によれば、水平移動操作手段から水平移動操作信号(伸縮制御弁の切換方向と切換制御量を指示する信号)を受け取ったコントローラは、
(1)水平移動操作手段からの水平移動操作信号に対応して伸縮制御弁を切換制御するための伸縮制御弁制御信号を生成し、これを伸縮制御弁に出力する。
(2)水平移動操作手段からの水平移動操作信号または伸縮制御弁の切換状態信号、起伏角度検出手段からの検出起伏角度信号、および、作動域検出手段からの検出作動域信号とから、検出起伏角度にあるブームが上記(1)による伸縮制御弁制御信号で切換制御された伸縮制御弁からの制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程を変動させないためのウインチの巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号を生成し、これをウインチ制御弁に出力する。その結果、クレーンオペレータが水平移動操作手段を操作するのみで、ブームの伸縮作動とウインチによるフックの巻上巻下作動が連動して行われ、フックに吊下した荷物をクレーンの作業半径増減方向へ水平に移動させるフック水平移動作業を行うことができるのである。
【0008】
なお、当該請求項におけるフック水平移動制御装置の適用対象としてのクレーンは、上述したように、複数の伸縮シリンダのそれぞれが、伸縮制御弁の同一の切換制御量で実現し得るブームの伸縮速度が異なるようブームに関連配置してなるものであるが、上記(1)によってコントローラが生成出力する伸縮制御弁制御信号は、水平移動操作手段からの水平移動操作信号にのみ依存するものであるから、ブームがいずれの伸縮シリンダによる伸縮作動域かによってブームの伸縮速度が変化するようになる。しかしながら、上記(2)によってコントローラが生成出力するウインチ制御弁制御信号は、ブームがいずれの伸縮シリンダによる伸縮作動域にあるかを示す検出作動域信号を取りこんで生成出力されるものであるから、ウインチは、ブームがいずれの伸縮シリンダによる伸縮作動域にあっても、フックを水平に移動させるに必要な方向と速度で巻上巻下作動することになる。このため、水平移動操作手段を操作するのみで、フック水平作業を行うことができるのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る第1ないし第3実施形態のフック水平移動制御装置を図1〜図4に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)請求項1に対応した第1実施形態におけるフック水平移動制御装置を、図1〜図3に基づいて説明する。
【0011】
図1および図2は、第1実施形態におけるフック水平移動制御装置の適用対象としてのクレーンの説明図である。図1はクレーンの全体図を示すものであり、図1に示すようにクレーン1は、左右のアウトリガ2,2によって支持される基台3上に、旋回作動自在にポスト4が取り付けられ、このポスト4の上端部にブーム5の基端部が起伏自在に枢着されている。ブーム5は、後述する複数の伸縮シリンダ6,7によって伸縮作動され、起伏シリンダ8によって起伏作動するようになっている。
【0012】
また、ブーム5の基端側たる前記ポスト4には、ウインチモータ9で巻上巻下作動されるウインチ10が配置されており、このウインチ10により巻取繰出作動されるワイヤーロープ11でもってブーム5の先端部にフック12を巻上巻下作動自在に吊下している。
【0013】
前記ブーム5は、基端側のブームセクション5a内に順次先端側のブームセクション5b,5cを伸縮自在に嵌挿した多段伸縮式のブームであり、前記複数の伸縮シリンダ6,7により伸縮作動するようになっている。
【0014】
前記複数の伸縮シリンダ6,7のうち伸縮シリンダ6は、ブーム5の基端側のブームセクション5aとその次段位のブームセクション5bとの間に配置され、ブームセクション5aに対しブームセクション5bを伸縮作動するものである。
【0015】
また、伸縮シリンダ7は、ブームセクション5bとその次段位のブームセクション5cとの間に配置され、ブームセクション5bに対しブームセクション5cを伸縮作動させるものである。
【0016】
図2は、図1に示したクレーンの駆動制御回路を示している。図2において、複数の伸縮シリンダ6,7は、単一の伸縮制御弁13(四方向三位置型の油圧切換弁)で給排制御される作動油により順次伸縮作動するようになっている。伸縮シリンダ6および7の伸縮駆動回路をより詳しく説明すると次の通りである。
【0017】
伸縮制御弁13の一対の制御ポートの一方は、伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6aおよび伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7aに、それぞれ伸長動作側圧油路13a1および13a2を介して接続され、伸縮制御弁13の一対の制御ポートの他方は、伸縮シリンダ6の縮小動作側圧油室6bおよび伸縮シリンダ7の縮小動作側圧油室7bに、縮小動作側圧油路13bを介して接続されている。
【0018】
前記伸長動作側圧油路13a1には、伸縮制御弁13側から伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6a側への作動油の流れを常時許容し、その逆流は伸縮シリンダ7が最縮小したときにのみ許容するメカニカルチェック弁(伸縮シリンダ7の最縮小時に開放されるよう伸縮シリンダ7に機械的に関連させたメカニカルチェック弁)14が介装されている。また、前記伸長動作側圧油路13a2には、伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7a側から伸縮制御弁13側への作動油の流れを常時許容し、その逆流は伸縮シリンダ6が最伸長したときにのみ許容するメカニカルチェック弁(伸縮シリンダ6の最伸長時に開放されるよう伸縮シリンダ6に機械的に関連させたメカニカルチェック弁)15が介装されている。
【0019】
このように構成した伸縮駆動回路の作用について説明する。今、伸縮シリンダ6および7が縮小している状態で伸縮制御弁13を伸長側に切り換えると、伸縮制御弁13から伸長動作側圧油路13a1を通って伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6aへ作動油が供給され、伸縮シリンダ6の縮小動作側圧油室6bの作動油は、縮小動作側圧油路13bを通って伸縮制御弁13へ排出される。これにより、伸縮シリンダ6が伸長作動する。伸縮シリンダ6が最伸長するまでは、伸長動作側圧油路13a2に介装したメカニカルチェック弁15により、伸縮制御弁13から伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7aへの作動油の流れが阻止されているため、伸縮シリンダ7は伸長作動しない。
【0020】
伸縮シリンダ6が最伸長すると、メカニカルチェック弁15が開放されるので伸縮シリンダ7が伸長作動する。このとき伸縮シリンダ7の縮小動作側圧油室7bの作動油は、縮小動作側圧油路13bを通って伸縮制御弁13へ排出される。
【0021】
伸縮シリンダ6および7が伸長している状態で、伸縮制御弁13を縮小側に切り換えると、伸縮制御弁13から縮小動作側圧油路13bを通って伸縮シリンダ6の縮小動作側圧油室6aおよび伸縮シリンダ7の縮小動作側圧油室7aへ作動油が供給される。伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7aの作動油は、伸長動作側圧油路13a2を通って伸縮制御弁13へ排出され、これにより伸縮シリンダ7は縮小作動する。伸縮シリンダ7が最縮小するまでは、伸長動作側圧油路13a1に介装したメカニカルチェック弁14により、伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6aの作動油は、伸縮制御弁13に排出されないので伸縮シリンダ6は縮小作動しない。
【0022】
伸縮シリンダ7が最縮小すると、メカニカルチェック弁14が開放されるので伸縮シリンダ6が縮小作動する。
【0023】
このように、伸縮シリンダ6および伸縮シリンダ7が、それぞれ異なるブームセクションの伸縮作動を行う(伸縮シリンダ6はブームセクション5aに対するブームセクション5bの伸縮作動を行い、伸縮シリンダ7はブームセクション5bに対するブームセクション5cの伸縮作動を行う)ようになっており、これら複数の伸縮シリンダ6および7は伸縮制御弁13からの制御油により順次伸縮作動するようになっている。
【0024】
起伏シリンダ8は、起伏制御弁16(四方向三位置型の油圧切換弁)で給排制御される作動油により作動するようになっている。
【0025】
前記ウインチ10(ウインチモータ9)は、ウインチ制御弁17(四方向三位置型の油圧切換弁)で給排制御される作動油により巻上巻下作動するようになっている。
【0026】
伸縮制御弁13、起伏制御弁16、および、ウインチ制御弁17は、クレーンオペレータによりその切換方向と切換制御量を任意に操作できるようになっている。すなわち、伸縮制御弁13は、伸縮単独操作手段18から伸縮操作信号18aを受けた伸縮制御信号出力部19が出力する伸縮制御弁制御信号19aにより切換制御されるようになっている。より詳細に説明すると、伸縮単独操作手段18は、クレーンオペレータの操作によりブーム5の伸縮方向と速度を示す伸縮操作信号18aを出力するものである。伸縮制御信号出力部19は、伸縮操作信号18aを受け取り、当該伸縮操作信号18aが示す伸縮方向と速度でブーム5を伸縮作動させるに必要な伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を求め、伸縮制御弁13をこの求めた切換方向と切換制御量に切換制御するための伸縮制御弁制御信号19aを出力するものである。この伸縮制御弁制御信号19aは、伸縮制御弁13をブーム伸長側へ切り換えるための信号19a1と、ブーム縮小側へ切り換えるための信号19a2を含んでいる。
【0027】
また、起伏制御弁16は、起伏単独操作手段20から起伏操作信号20aを受けた起伏制御信号出力部21が出力する起伏制御弁制御信号21aにより切換制御されるようになっている。より詳細に説明すると、起伏単独操作手段20は、クレーンオペレータの操作によりブーム5の起伏方向と速度を示す起伏操作信号20aを出力するものである。起伏制御信号出力部21は、起伏操作信号20aを受け取り、当該起伏操作信号20aが示す起伏方向と速度でブーム5を起伏作動させるに必要な起伏制御弁16の切換方向と切換制御量を求め、起伏制御弁16をこの求めた切換方向と切換制御量に切換制御するための起伏制御弁制御信号21aを出力するものである。この起伏制御弁制御信号21aは、起伏制御弁16をブーム起仰側へ切り換えるための信号12a1と、ブーム倒伏側へ切り換えるための信号21a2を含んでいる。
【0028】
さらに、ウインチ制御弁17は、ウインチ単独操作手段22からウインチ操作信号22aを受けたウインチ制御信号出力部23が出力するウインチ制御弁制御信号23aにより切換制御されるようになっている。より詳細に説明すると、ウインチ単独操作手段22は、クレーンオペレータの操作によりウインチ10の巻上巻下方向(フック12の巻上巻下方向)と速度を示すウインチ操作信号22aを出力するものである。ウインチ制御信号出力部23は、ウインチ操作信号22aを受け取り、当該ウインチ操作信号22aが示す巻上巻下方向と速度でウインチ10を巻上巻下作動させるに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を求め、ウインチ制御弁17をこの求めた切換方向と切換制御量に切換制御するためのウインチ制御弁制御信号23aを出力するものである。このウインチ制御弁制御信号23aは、ウインチ制御弁17をフック巻上側へ切り換えるための信号23a1と、フック巻下側へ切り換えるための信号23a2を含んでいる。
【0029】
本実施形態におけるフック水平移動装置の適用対象たるクレーンは、上述したように、複数の伸縮シリンダ6,7のそれぞれが、伸縮制御弁13の同一の切換制御量(換言すれば、伸縮制御弁13からの同一の制御油量)で実現し得るブームの伸縮速度が同じとなるようブーム5に関連配置してなるクレーンである。このような関連配置は、図1および図2に示したように、伸縮シリンダ6をブームセクション5aとブームセクション5b間に配置し、且つ、伸縮シリンダ7をブームセクション5bとブームセクション5c間に配置したものにおいては、複数の伸縮シリンダ6,7の各伸長動作側圧油室6a,7aの有効受圧面積を同じにすることで達成できる。
【0030】
また、図1および図2に示したブーム5におけるブームセクション5c内に、更に先端側のブームセクションを伸縮自在に追加嵌挿し、このブームセクションのブームセクション5cに対する伸縮作動を、ブームセクション5bに対するブームセクション5cの伸縮作動に連動(ブームセクション5b,5c,および、追加嵌挿に係るブームセクションとの間に懸け回したワイヤーロープにより連動)して行うようにしたものにあっては、ブーム5の伸縮シリンダ7による伸縮速度は、伸縮シリンダ7の伸縮速度の2倍になる。この場合には、伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6aの有効受圧面積に対して、伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7aの有効受圧面積を2倍にすることで、伸縮制御弁13の同一の切換制御量(換言すれば、伸縮制御弁13からの同一の制御油量)で実現し得るブームの伸縮速度が同じとなるよう各油圧シリンダ6,7をブーム5に関連配置することができるのである。
【0031】
次に、第1実施形態におけるフック水平移動制御装置を、図3に基づいて説明する。図3は、図2に示し上述したクレーン1の駆動制御回路にフック水平移動制御装置を付加記入したものである。図3において、24は、フック水平移動制御装置を示している。このフック水平移動制御装置24は、
・伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を指示する水平移動操作信号25aを出力する水平移動操作手段25、
・ブーム5の起伏角度を検出して検出起伏角信号26aを出力する起伏角度検出手段26、および、
・これら水平移動操作手段25および起伏角度検出手段26からの各信号25a,26aを受け取って、伸縮制御弁13およびウインチ制御弁17に制御信号を出力するコントローラ27、とで構成している。
【0032】
前記起伏角度検出手段26は、クレーンのブーム5の実際の起伏角度(水平からの起仰角度)θを検出するものである。
【0033】
また、前記コントローラ27は、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aを受け取った時には、下記の(1)および(2)の処理を行うように構成している。
(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aを生成し、これを伸縮制御弁13に出力する。この伸縮制御弁制御信号27aは、伸縮制御弁13をブーム伸長側へ切り換えるための信号27a1と、ブーム縮小側へ切り換えるための信号27a2を含んでいる。
(2)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26aとから、検出起伏角度θにあるブーム5が、上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。このウインチ制御弁制御信号27bは、ウインチ10(フック12)を巻上側に切り換えるための信号27b1と、巻下側に切り換えるための信号27b2とを含んでいる。
【0034】
このように構成した本実施形態におけるフック水平移動制御装置は、フック水平移動作業を行う場合には、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作して、この水平移動操作手段25から水平移動操作信号25a[伸縮制御弁13の切換方向(ブーム5伸長側か縮小側か)とその切換制御量に関する情報が含まれている]をコントローラ27に入力する。
【0035】
するとコントローラ27は、(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aを、伸縮制御弁13へ出力する。その結果、伸縮制御弁13は、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号5aが指示する切換方向と切換制御量に応じて切換られ、伸縮シリンダ6,7が順次伸縮作動する。
【0036】
同時に、コントローラ27は、(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26aとから、検出起伏角度θにあるブーム5が、上記のようにコントローラ27から出力される伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13toの制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。
【0037】
その結果、ウインチ制御弁17は、検出起伏角度θにあるブーム5が、上記のようにしてコントローラ27から出力される伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13toの制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上速度を実現させるのに必要な切換方向と切換制御量だけ切換制御されることになる。
【0038】
したがって、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作するのみで、ブーム5の伸縮作動とウインチ10によるフック12の巻上巻下作動が連動して行われ、フック12に吊下した荷物をクレーンの作業半径増減方向へ水平に移動させるフック水平移動作業を行うことができるのである。
【0039】
この場合、ブーム5の伸縮作動速度は、いずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域であっても、伸縮制御弁13の切換制御量すなわち水平移動操作信号25aが同じであれば同じ値となる。一方、ブーム5が水平移動操作信号25aにのみ依存する伸縮速度で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程を変動させないためのウインチの巻下巻上速度は、ブーム5の伸縮速度(換言すれば水平移動操作信号25a)とブーム起伏角度θの関数として算出できる。このため、水平移動操作手段25を操作するのみで、フック水平作業を行うことができるのである。
【0040】
(第2の実施形態)次に、請求項2に対応した第2実施形態のフック水平移動制御装置を、図4に基づき説明する。当該実施形態におけるフック水平移動制御装置の取り付け対象としてのクレーンは、図1および図2に示し上記した第1実施形態における水平移動制御装置の取り付け対象としてのクレーンに比して、複数の伸縮シリンダ6,7のそれぞれが、伸縮制御弁13の同一の切換制御量(換言すれば、伸縮制御弁13からの同一の制御油量)で実現し得るブームの伸縮速度が異なるよう関連配置されたクレーンである。
【0041】
このような関連配置は、図1および図2に示したように、伸縮シリンダ6をブームセクション5aとブームセクション5b間に配置し、且つ、伸縮シリンダ7をブームセクション5bとブームセクション5c間に配置したものにおいては、複数の伸縮シリンダ6,7の各伸長動作側圧油室6a,7aの有効受圧面積を異にしたものが該当する。この場合、伸縮制御弁13の同一の切換制御量(換言すれば、伸縮制御弁13からの同一の制御油量)で実現し得るブームの伸縮速度は、両伸縮シリンダ6,7の有効受圧面積比に逆比例する。
【0042】
また、図1および図2に示したブーム5におけるブームセクション5c内に、更に先端側のブームセクションを伸縮自在に追加嵌挿し、このブームセクションのブームセクション5cに対する伸縮作動を、ブームセクション5bに対するブームセクション5cの伸縮作動に連動(ブームセクション5b,5c,および、追加嵌挿に係るブームセクションとの間に懸け回したワイヤーロープにより連動)して行うようにしたものにあっては、ブーム5の伸縮シリンダ7による伸縮速度は、伸縮シリンダ7の伸縮速度の2倍になる。この場合には、伸縮シリンダ6の伸長動作側圧油室6aの有効受圧面積に対して、伸縮シリンダ7の伸長動作側圧油室7aの有効受圧面積を2倍にしていないものが該当する。このようなものにおける具体的該当事例としては、伸縮シリンダ6の有効受圧面積と伸縮シリンダ7の有効受圧面積を同じに設定したものがある。この場合、伸縮制御弁13の同一の切換制御量(換言すれば、伸縮制御弁13からの同一の制御油量)で実現し得るブームの伸縮速度は、伸縮シリンダ6によるものに対して伸縮シリンダ7によるものが2倍となる。
【0043】
当該実施形態におけるフック水平移動制御装置は、このようなクレーンをその取り付け対象とするものである。
【0044】
次に、本実施形態におけるフック水平移動制御装置を、図4に基づいて説明する。図4は、図2に示し上述したクレーン1の駆動制御回路に本実施形態におけるフック水平移動制御装置を付加記入したものである。図4において、24は、フック水平移動制御装置を示している。このフック水平移動制御装置24は、
・伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を指示する水平移動操作信号25aを出力する水平移動操作手段25、
・ブーム5の起伏角度θを検出して検出起伏角信号26aを出力する起伏角度検出手段26、
・ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあるかを検出して検出作動域信号28aを出力する作動域検出手段28、および、
・これら各手段25,26,28からの信号を受け取り、伸縮制御弁13、および、ウインチ制御弁17に制御信号を出力するコントローラ27、とで構成されている。
【0045】
前記水平移動操作手段25、および、起伏角度検出手段26は、前記第1実施形態のフック水平移動制御装置における水平移動操作手段25、および、起伏角度検出手段26と同じものである。
【0046】
前記作動域検出手段28は、例えば、基端側のブームセクション5aと最先端側のブームセクション間の距離を検出するブーム長さ検出手段(図示せず)と、このブーム長さ検出手段の検出ブーム長さを監視しブームセクション5bに対しブームセクション5cが伸長状態(少しでも伸長しているかどうか)を判別するコンパレータ(図示せず)で構成したものが用いられる。このように構成した作動域検出手段28が、ブームセクション5bに対しブームセクション5cが伸長状態にあることを検出した場合には、ブーム5が伸縮シリンダ7による伸縮作動域にあり、検出していない場合には、ブーム5が伸縮シリンダ6による伸縮作動域にある判断するようになっている。
【0047】
前記コントローラ27は、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aを受け取ったときには、下記の(1)および(2)の処理を行うよう構成している。
(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aを生成し、これを伸縮制御弁13に出力する。この伸縮制御弁制御信号27aは、伸縮制御弁13をブーム伸長側へ切り換えるための信号27a1と、ブーム縮小側へ切り換えるための信号27a2を含んでいる。
(2)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26a、および、作動域検出手段28からの検出作動域信号28aとから、検出起伏角度θにあるブームが上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。このウインチ制御弁制御信号27bは、ウインチ10(フック12)を巻上側に切り換えるための信号27b1と、巻下側に切り換えるための信号27b2と を含んでいる。
【0048】
このように構成した本実施形態におけるフック水平移動制御装置は、フック水平移動作業を行う場合には、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作して、この水平移動操作手段25から水平移動操作信号25a[伸縮制御弁13の切換方向(ブーム5伸長側か縮小側か)とその切換制御量に関する情報が含まれているコントローラ27に入力する。
【0049】
するとコントローラ27は、(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aを、伸縮制御弁13へ出力する。その結果、伸縮制御弁13は、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aが指示する切換方向と切換制御量に応じて切換られ、伸縮シリンダ6,7が順次伸縮作動する。
【0050】
同時に、コントローラ27は、(2)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26a、および、作動域検出手段28からの検出作動域信号28aとから、検出起伏角度θにあるブームが上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。
【0051】
その結果、ウインチ制御弁17は、検出起伏角度θにあるブーム5が、上記のようにしてコントローラ27から出力される伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上速度を実現させるのに必要な切換方向と切換制御量で切換制御されることになる。
【0052】
したがって、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作するのみで、ブーム5の伸縮作動とウインチ10によるフック12の巻上巻下作動が連動して行われ、フック12に吊下した荷物をクレーンの作業半径増減方向へ水平に移動させるフック水平移動作業を行うことができるのである。
【0053】
なお、本実施形態におけるフック水平移動制御装置は、上記したように伸縮制御弁の同一の切換制御量で実現し得るブームの伸縮速度が伸縮シリンダの伸縮作動域によって異なる如きブームに関連配置したものであるが、上記(1)によってコントローラ27が生成出力する伸縮制御弁制御信号27aは、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aのみに依存するものであるから、ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあるかによってブーム5の伸縮速度が変化するようになる。
【0054】
しかしながら、上記(2)によってコントローラ27が生成出力するウインチ制御弁制御信号27bは、ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあるかを示す検出作動域信号28aを取りこんで生成出力されるものであるから、ウインチ10は、ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあっても、フック12の地上揚程Hを変動させることなく作業半径増減方向に移動させるに必要な方向と速度で巻下巻上作動するのである。このため、水平移動操作手段25を操作するのみで、フック水平作業を行うことができるのである。
【0055】
(第3の実施形態)次に、請求項3に対応した第3実施形態のフック水平移動制御装置を、図4に基づき説明する。当該実施形態におけるフック水平移動制御装置の取り付け対象としてのクレーンは、上記第2実施形態で説明した通りのクレーンである。
【0056】
当該実施形態におけるフック水平移動制御装置24は、上記した第2実施形態のものと同様に、
・伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を指示する水平移動操作信号25aを出力する水平移動操作手段25、
・ブーム5の起伏角度θを検出して検出起伏角信号26aを出力する起伏角度検出手段26、
・ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあるかを検出して検出作動域信号28aを出力する作動域検出手段28、および、
・これら各手段25,26,28からの信号を受け取り、伸縮制御弁13、および、ウインチ制御弁17に制御信号を出力するコントローラ27、とで構成されている。
【0057】
したがって、これら水平移動操作手段25、起伏角度検出手段26、および、作動域検出手段28、および、コントローラ27の配置構成を示す図は、前記第2実施形態の説明で用いた図4を援用する。当該実施形態におけるフック水平移動制御装置24は、そのコントローラ27における演算処理が、前記第2実施形態におけるフック水平移動制御装置24のそれと次の点で異なっている。すなわち、
【0058】
前記コントローラ27は、水平移動操作手段25から水平移動操作信号25aを受け取ったときには、下記の(1)および(2)の処理を行うよう構成している。
(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、作動域検出手段28からの検出作動域信号28aとから、水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aであって、水平移動操作信号25aのレベルが同一であればいずれの伸縮シリンダ6,7の伸縮作動域であっても同一のブーム伸縮速度が得られるよう検出作動域信号28aで補正された伸縮制御弁制御信号27aを生成し、これを伸縮制御弁13へ出力する。この伸縮制御弁制御信号27aは、伸縮制御弁13をブーム伸長側へ切り換えるための信号27a1と、ブーム縮小側へ切り換えるための信号27a2を含んでいる。
(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26aとから、検出起伏角度θにあるブーム5が上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。このウインチ制御弁制御信号27bは、ウインチ10(フック12)を巻上側に切り換えるための信号27b1と、巻下側に切り換えるための信号27b2と を含んでいる。
【0059】
このように構成した第3実施形態におけるフック水平移動制御装置24は、フック水平移動作業を行う場合には、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作して、この水平移動操作手段25から水平移動操作信号25a[伸縮制御弁13の切換方向(ブーム5伸長側か縮小側か)とその切換制御量に関する情報が含まれている]をコントローラ27に入力する。
【0060】
するとコントローラ27は、(1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、作動域検出手段28からの検出作動域信号28aとから、水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aであって、水平移動操作信号25aのレベルが同一であればいずれの伸縮シリンダ6,7の伸縮作動域であっても同一のブーム伸縮速度が得られるよう検出作動域信号28aで補正された伸縮制御弁制御信号27aを生成し、これを伸縮制御弁13へ出力する。この処理によりコントローラ27が生成出力する伸縮制御弁制御信号27aは、水平移動操作信号25aのレベルが同一であればいずれの伸縮シリンダ6,7の伸縮作動域であっても同一のブーム伸縮速度が得られるよう検出作動域信号26aで補正されるものであるから、ブーム5の伸縮作動速度は、いずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域においても(伸縮シリンダ6による伸縮作動域であるか伸縮シリンダ7による伸縮作動域であるかに関わらず)水平移動操作信号25aのみに依存して決定されることになる。
【0061】
同時にコントローラ27は、(2)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25a、および、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26aとから、検出起伏角度θにあるブーム5が上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13からの制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。その結果、ウインチ制御弁17は、検出起伏角度θにあるブーム5が、上記のようにしてコントローラ27から出力される伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13の制御油で伸縮作動した際に、フックの地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上速度を実現させるのに必要な切換方向と切換制御量で切換制御されることになる。
【0062】
したがって、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作するのみで、ブーム5の伸縮作動とウインチ10によるフック12の巻上巻下作動が連動して行われ、フック12に吊下した荷物をクレーンの作業半径増減方向へ水平に移動させるフック水平移動作業を行うことができるのである。
【0063】
なお、当該実施形態におけるフック水平移動制御装置は、前記第2実施形態のものと同様、伸縮制御弁の同一の切換制御量で実現し得るブームの伸縮速度が伸縮シリンダの伸縮作動域によって異なる如きブームに関連配置したものであるが、上記(1)によってコントローラ27が生成出力する伸縮制御弁制御信号は、水平移動操作信号のレベルが同一であればいずれの伸縮シリンダの伸縮作動域であっても同一のブーム伸縮速度が得られるよう検出作動域信号で補正されるものであるから、ブームの伸縮速度は、いずれの伸縮シリンダによる伸縮作動域においても水平移動操作信号のみに依存して決定されることになる。一方、ブームが水平移動操作信号25aにのみ依存する伸縮速度で伸縮作動した際に、フックの地上揚程Hを変動させないためのウインチの巻下巻上速度は、ブームの伸縮速度(換言すれば水平移動操作信号)とブーム起伏角度Θの関数として算出できることは明らかである。このため、第3実施形態におけるフック水平移動装置にあっても、水平移動操作手段を操作するのみで、フック水平作業を行うことができるのである。
【0064】
なお、上記第1および第3実施形態における水平移動操作手段25は、伸縮単独操作手段18を用いるようにしても良いこと勿論である。この場合、伸縮単独操作手段18からの伸縮単独操作信号18aを、切換手段(図示せず)を介して伸縮制御信号出力部19とコントローラ27に選択的に入力できるようにし、フック水平移動作業をしようとするときに、伸縮単独操作信号18aがコントローラ27に入力されるよう前記切換手段を切り換えるようにすれば良い。また、第1および第2実施形態の説明において、コントローラ27がウインチ制御弁制御信号27bを算出出力する際に、水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aを用いるようにしているが、この水平移動操作信号25aに替えて、当該水平移動操作信号25aに一義的に関連する伸縮制御弁13の切換状態信号(伸縮制御弁13に取り付けられ伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を判別可能に検出する検出手段(図示せず)の検出信号を用いるようにしても良いこと勿論である。
【0065】
【効果】
以上の如く構成し、作用する本発明の請求項1ないし請求項3におけるフック水平移動制御装置は、クレーンオペレータが水平移動操作手段25を操作するのみで、ブーム5の伸縮作動とウインチ10の巻下巻上作動を併用したフック水平移動作業を行うことができるので、その操作が簡便となり、クレーン作業の能率向上に寄与するところが大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフック水平移動制御装置の適用対象たるクレーンの説明図である。
【図2】図1のクレーンの制御回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態のフック水平移動制御装置の説明図である。
【図4】本発明の第2および第3実施形態のフック水平移動制御装置の説明図である。
【符号の説明】
1;クレーン、
2;アウトリガ、
3;基台、
4;ポスト、
5;ブーム、
5a〜5c;ブームセクション、
6;伸縮シリンダ、
6a;伸長動作側圧油室、
6b;縮小動作側圧油室、
7;伸縮シリンダ、
7a;伸長動作側圧油室、
7b;縮小動作側圧油室、
8;起伏シリンダ、
9;ウインチモータ、
10;ウインチ、
11;ワイヤーロープ、
12;フック、
13;伸縮制御弁、
13a1;伸長動作側圧油路、
13a2;伸長動作側圧油路、
13b;縮小動作側圧油路、
14;メカニカルチェック弁、
15;メカニカルチェック弁、
16;起伏制御弁、
17;ウインチ制御弁、
18;伸縮単独操作手段、
18a;伸縮操作信号、
19;伸縮制御信号出力部、
19a;伸縮制御弁制御信号、
20;起伏単独操作手段、
20a;起伏操作信号、
21;起伏制御信号出力部、
21a;起伏制御弁制御信号、
22;ウインチ単独操作手段、
22a;ウインチ操作信号、
23;ウインチ制御信号出力部、
23a;ウインチ制御弁制御信号、
24;フック水平移動制御装置、
25;水平移動操作手段、
25a;水平移動操作信号、
26;起伏角度検出手段、
26a;検出起伏角度信号、
27;コントローラ、
27a;伸縮制御弁制御信号、
27b;ウインチ制御弁制御信号、
28;作動域検出手段、
28a;検出作動域信号、

Claims (1)

  1. 基端側のブームセクション5a内に順次先端側のブームセクション5b,5cを伸縮自在に嵌挿してなり伸縮制御弁13からの制御油により順次伸縮作動する複数の伸縮シリンダ6,7で伸縮作動し起伏制御弁16からの制御油により伸縮作動する起伏シリンダ8で起伏作動するブーム5、ウインチ制御弁17からの制御油により正逆作動するウインチモータ9で巻上巻下作動するウインチ10、および、ウインチ10からのワイヤーロープ11を介してブーム5先端に巻上巻下作動可能に吊下したフック12とを具備してなり、前記複数の伸縮シリンダ6,7のそれぞれが、互いに異なるブームセクションの伸縮作動を担当し、且つ、伸縮制御弁13の同一の切換制御量で実現し得るブーム5の伸縮速度を異にするようブーム5に関連配置してなるクレーンのフック水平移動装置であって、
    ・伸縮制御弁13の切換方向と切換制御量を指示する水平移動操作信号25aを出力する水平移動操作手段25、
    ・ブーム5の起伏角度θを検出して検出起伏角信号26aを出力する起伏角度検出手段26、
    ・ブーム5がいずれの伸縮シリンダ6,7による伸縮作動域にあるかを検出して検出作動域信号28aを出力する作動域検出手段28、および、
    ・これら各手段25,26,28からの信号を受け取り、伸縮制御弁13、および、ウインチ制御弁17に制御信号を出力するコントローラ27、とからなり、コントローラ27は、水平移動操作手段25から水平移動操作信号25aを受け取ったときには、下記の(1)および(2)の処理を行うよう構成してあることを特徴とするクレーンのフック水平移動制御装置。
    (1)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aに対応して伸縮制御弁13を切換制御するための伸縮制御弁制御信号27aを生成し、これを伸縮制御弁13に出力する。
    (2)水平移動操作手段25からの水平移動操作信号25aまたは伸縮制御弁13の切換状態信号、起伏角度検出手段26からの検出起伏角信号26a、および、作動域検出手段28からの検出作動域信号28aとから、検出起伏角度θにあるブームが上記(1)による伸縮制御弁制御信号27aで切換制御された伸縮制御弁13の制御油で伸縮作動した際に、フック12の地上揚程Hを変動させないためのウインチ10の巻下巻上方向と速度を実現させるのに必要なウインチ制御弁17の切換方向と切換制御量を算出すると共に、ウインチ制御弁17をこの算出した切換方向と切換制御量に切り換えるためのウインチ制御弁制御信号27bを生成し、これをウインチ制御弁17に出力する。
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