JP3151779B2 - 多段ブームの伸縮速度制御装置 - Google Patents

多段ブームの伸縮速度制御装置

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JP3151779B2 JP30227193A JP30227193A JP3151779B2 JP 3151779 B2 JP3151779 B2 JP 3151779B2 JP 30227193 A JP30227193 A JP 30227193A JP 30227193 A JP30227193 A JP 30227193A JP 3151779 B2 JP3151779 B2 JP 3151779B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多段ブームの伸縮速度制
御装置に関し、特にワイヤー同期伸縮機構を備えた多段
ブームにおいて、水平ブームを伸縮する油圧シリンダに
供給する油量を制御することによって、フックを取り付
けた先端ブームの伸縮速度をオペレータの操作し易い所
定値に制御することができる多段ブームの伸縮速度制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リーチタワークレーンを車両に搭
載した移動式クレーン車としては、例えば実開昭63−
41092号公報が知られている。すなわち、車両に垂
直ブームを起立姿勢と倒伏姿勢とに上下回動自在に取り
付け、この垂直ブームに水平ブームを上下回動自在に連
結して、走行時には垂直ブームを倒伏姿勢とすると共
に、水平ブームを垂直ブームに重ねて格納し、クレーン
作業時には垂直ブームを起立姿勢とすると共に、水平ブ
ームを上下回動するようにしたものが知られている。
【0003】このようなリーチタワークレーンの水平ブ
ームは、作業半径をできるだけ大きくするために多段テ
レスコピック式に構成して、水平ブームを長く伸長でき
るようにしている。そのため、水平ブームの先端部に位
置するブームは強度上できるだけ軽く構成する必要があ
り、少なくとも一段のワイヤー同期伸縮機構を採用して
構造を簡素化している。しかし、前記ワイヤー同期伸縮
機構を駆動するブームの油圧シリンダは荷重容量的にそ
の断面積を決定しなければならないため、その前段の油
圧シリンダとほぼ同じ断面積となる。すなわち、各油圧
シリンダの断面積は荷重容量的に第1ブームの油圧シリ
ンダから徐々に小さくなるように構成される。そのた
め、各油圧シリンダに供給する油量を一定にすると、各
油圧シリンダの伸縮速度は先端になる程徐々に増速され
るが、ワイヤー同期伸縮機構を有する先端ブームの伸縮
速度は、このワイヤー同期伸縮機構を駆動する油圧シリ
ンダの伸縮速度の(ワイヤー同期伸縮機構の段数+1)
倍になる。
【0004】以上について、第3ブームまでを油圧シリ
ンダにより伸縮し、第4ブームと第5ブームとをワイヤ
ー同期伸縮機構により伸縮する五段ブームの伸縮装置に
例をとって説明する。図2に示すように位置検出器40
から第5ブーム20先端までの長さは、第3ブームまで
の油圧シリンダが全てストロークエンドまで収縮したと
きはl0 、第1ブームの油圧シリンダだけがストローク
エンドまで伸長したときはl1 、第1ブームの油圧シリ
ンダと第2ブームの油圧シリンダとがストロークエンド
まで伸長したときはl2 、第3ブームまでの油圧シリン
ダ全てがストロークエンドまで伸長したときはl5 とな
るように伸縮する。図9に示すように、第5ブーム20
の先端位置は第1ブームの油圧シリンダによりS0 とS
1 との間で伸縮し、第2ブームの油圧シリンダによりS
1 とS2 との間で伸縮し、第3ブームの油圧シリンダと
二段ワイヤー同期伸縮機構によりS3とQ5 との間で伸
縮する。従って、ワイヤー同期伸縮機構によりブームが
伸縮し始めると、第5ブーム20の伸縮速度が急に早く
なるため、減速の必要な場合にはオペレータは操作弁を
操作して所定の伸縮速度に操作するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術による
と、ワイヤー同期伸縮機構を有する先端ブームの伸縮速
度は、このワイヤー同期伸縮機構を駆動する油圧シリン
ダの伸縮速度の(ワイヤー同期伸縮機構の段数+1)倍
になるため、ワイヤー同期伸縮機構によりブームが伸縮
し始めて先端ブームの伸縮速度が急に早くなると、オペ
レータの操作感覚が変化すると共に、オペレータは操作
弁を操作して所定の伸縮速度に操作しなければならない
ため、オペレータの操作性を害する問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記従来の技術
における課題を解決するためになされたもので、基端ブ
ーム内に第1ブームを嵌合し、この第1ブーム内に第2
ブームを嵌合し、以後同様に順次先端にブームを嵌合す
るテレスコピック式ブームのうち、油圧シリンダにより
伸縮する基端ブーム側の少なくとも一つのブームと、こ
の油圧シリンダにより伸縮するブームの内で最も先端に
位置するブームを駆動ブームとし、この駆動ブームの先
端に枢着する第1シーブと、この第1シーブに巻装さ
れ、前記駆動ブームの前段ブームと次段ブームとにその
各端部を固定した伸長ワイヤーと、前記駆動ブームの後
端に枢着する第2シーブと、この第2シーブに巻装さ
れ、前記駆動ブームの前段ブームと次段ブームとにその
各端部を固定した縮小ワイヤーとよりなるワイヤー同期
伸縮機構を少なくとも一つ備えた多段ブームの伸縮装置
において、この多段ブームの伸縮装置の内で最も先端に
位置する先端ブームの基端ブームに対する位置検出器
と、この位置検出器の検出信号に応じて前記先端ブーム
の伸縮速度が所定値となるように、前記ワイヤー同期伸
縮機構の、油圧シリンダにより伸縮する駆動ブームの伸
縮速度を制御するコントローラとよりなる。
【0007】前記油圧シリンダにより伸縮する先端ブー
ムの伸縮速度を油圧ポンプの吐出管路に介装した流量制
御弁により制御するか、アクチュエータの操作弁を制御
する油圧パイロット弁の元圧により制御するか、または
油圧ポンプの吐出量により制御することができる。
【0008】前記油圧シリンダにより伸縮するブームが
第1ブームと、第2ブームと、第3ブームであり、これ
ら各ブームは基端ブーム側から前段ブームの伸長完了後
に次のブームが伸長し始め、先端ブーム側から先端ブー
ムの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるように構成
され、前記第3ブームの先端に設置する第4ブームと第
5ブームからなる二段のワイヤー同期伸縮機構を備えた
5段ブームの伸縮装置において、前記第3ブームの油圧
シリンダが伸縮し始めてからの第5ブームの伸縮速度
が、第2ブームの伸縮速度とほぼ同じになるように第3
ブームの油圧シリンダに供給する油量を制御するコント
ローラより構成してもよい。
【0009】前記油圧シリンダにより伸縮するブームが
第1ブームと、第2ブームと、第3ブームであり、これ
ら各ブームは基端ブーム側から前段ブームの伸長完了後
に次のブームが伸長し始め、先端ブーム側から先端ブー
ムの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるように構成
され、前記第3ブームの先端に設置する第4ブームと第
5ブームからなる二段のワイヤー同期伸縮機構を備えた
5段ブームの伸縮装置において、前記第2ブームの伸縮
速度が第1ブームの伸縮速度とほぼ同じになるように、
第2ブームの油圧シリンダに供給する油量を制御すると
共に、前記第3ブームの油圧シリンダが伸縮し始めてか
らの第5ブームの伸縮速度と第2ブームの伸縮速度とが
ほぼ同じになるように、第3ブームの油圧シリンダに供
給する油量を制御するコントローラより構成してもよ
い。
【0010】
【作用】ブームを伸縮する油圧シリンダの断面積は荷重
容量的に決定されるため、それぞれの油圧シリンダによ
り伸縮する多段ブームの伸縮速度は異なると共に、この
油圧シリンダにより伸縮するブームの内で最も先端のブ
ームを駆動ブームとする、ワイヤー同期伸縮機構の先端
に位置する先端ブームの伸縮速度は、(ワイヤー同期伸
縮機構の段数+1)倍になる。そのため基端ブームに対
する先端ブームの位置を位置検出器により検出し、その
検出信号に応じてコントローラにより油圧シリンダの伸
縮速度を制御することによって、最先端ブームの伸縮速
度をオペレータの操作し易い所定値に制御することがで
きる。
【0011】前記油圧シリンダにより伸縮する先端ブー
ムの伸縮速度は油圧ンプの吐出管路に介装した流量制御
弁により制御するか、アクチュエータ操作弁を制御する
油圧パイロット弁の元圧により制御するか、または油圧
ンプの吐出量により制御することができる。
【0012】基端ブーム側から前段ブームの伸長完了後
に次のブームが伸長し始め、また、先端ブーム側から先
端ブームの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるよう
に構成された、前記油圧シリンダにより伸縮する基端ブ
ーム側の第1ブームと、第2ブームと、第3ブームと、
この第3ブームの先端に設置した、第4ブームと第5ブ
ームからなるワイヤー同期伸縮機構を備えた5段ブーム
の伸縮装置において、この第5ブームの基端ブームに対
する位置検出信号に応じて、コントローラにより第3ブ
ームの油圧シリンダに供給する油量を制御して、第3ブ
ームの油圧シリンダが伸縮し始めてからの第5ブームの
伸縮速度が第2ブームの伸縮速度とほぼ同じになるよう
に制御することができる。
【0013】基端ブーム側から前段ブームの伸長完了後
に次のブームが伸長し始め、また、先端ブーム側から先
端ブームの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるよう
に構成された、前記油圧シリンダにより伸縮する基端ブ
ーム側の第1ブームと、第2ブームと、第3ブームと、
この第3ブームの先端に設置した、第4ブームと第5ブ
ームからなるワイヤー同期伸縮機構を備えた5段ブーム
の伸縮装置において、この第5ブームの基端ブームに対
する位置検出信号に応じて、コントローラにより第2ブ
ームの油圧シリンダに供給する油量を制御して、第2ブ
ームの伸縮速度が第1ブームの伸縮速度とほぼ同じにな
るように制御すると共に、第3ブームの油圧シリンダに
供給する油量を制御して、第3ブームの油圧シリンダが
伸縮し始めてからの第5ブームの伸縮速度を第2ブーム
の伸縮速度とほぼ同じに制御することができ、結局、第
5ブームの全伸縮範囲においてその伸縮速度をほぼ一定
に保持することができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明における多段ブームの伸縮速度
制御装置に関する実施例につき添付図面により詳述す
る。図1は本発明の実施例における多段ブームの伸縮速
度制御装置を搭載した移動式クレーン車の垂直ブームと
水平ブームを起立した状態を示す図、図2は図1の状態
から垂直ブームと水平ブームを伸長した状態を示す図、
図3は本発明の実施例における水平ブーム伸縮機構の原
理を示す図、図4は本発明における水平ブームを伸縮す
る油圧シリンダ駆動用油圧回路の第1実施例を示す図、
図5は本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリン
ダ駆動用油圧回路の第2実施例を示す図、図6は本発明
における水平ブームを伸縮する油圧シリンダ駆動用油圧
回路の第3実施例を示す図、図7は本発明における水平
ブームを伸縮する油圧シリンダ駆動用油圧回路のコント
ローラの第1実施例を示す図、図8は本発明における水
平ブームを伸縮する油圧シリンダ駆動用油圧回路のコン
トローラの第2実施例を示す図、図9は本発明の実施例
における水平ブーム先端位置の経時変化と、従来の技術
との関係を示す図である。
【0015】垂直ブームと水平ブームを共に起立した状
態を示す図1において、1はテレスコピック式ブーム
で、垂直ブーム2と水平ブーム3よりなり、4は垂直ブ
ーム2の起伏シリンダ、5は水平ブーム3の起伏シリン
ダ、6は主フック、7は補助フック、8はテレスコピッ
ク式ブーム1を搭載した車両で、まだ垂直ブーム2と水
平ブーム3は収縮状態であり、アウトリガー9により車
輪10を地面から浮かせた状態にあることを示す。
【0016】垂直ブーム2と水平ブーム3を共に伸長さ
せた状態を示す図2において、垂直ブーム2は基端ブー
ム11、第1ブーム12、第2ブーム13、第3ブーム
14からなり、水平ブーム3は基端ブーム15、第1ブ
ーム16、第2ブーム17、第3ブーム18、第4ブー
ム19、第5ブーム20からなる。垂直ブーム2を構成
する各ブーム11〜14はその内部に図示しない公知の
伸縮シリンダが設置されており、この伸縮シリンダによ
り伸縮作動する。また、水平ブーム3を構成する各ブー
ム15〜20はその内部に設置されている、図3に示す
原理図のような公知の三段伸縮シリンダと二段ワイヤー
同期伸縮機構により伸縮作動する。また、水平ブーム3
の基端ブーム15には第5ブーム20の位置検出器40
が取り付けられており、この位置検出器40と第5ブー
ム20先端部のH点間にはワイヤ41が張設され、補助
フック7が装着された第5ブーム20の基端ブーム15
に対する位置を検出するように構成されている。
【0017】水平ブーム伸縮機構の原理を示す図3にお
いて、第1油圧シリンダ21はロッド端22を基端ブー
ム15に、シリンダを第1ブームに枢着し、第2油圧シ
リンダ24はロッド端25を第1ブーム16に、シリン
ダ24を第2ブーム17に枢着し、第3油圧シリンダ2
7はロッド端28を第2ブーム17に、シリンダ27を
第3ブーム18に枢着している。前記各油圧シリンダ2
1,24,27は第1油圧シリンダ21の伸長完了後に
第2油圧シリンダ24が伸長し始め、第2油圧シリンダ
24の伸長完了後に第3油圧シリンダ27が伸長し始
め、また、第3油圧シリンダ27の収縮完了後に第2油
圧シリンダ24が収縮し始め、第2油圧シリンダ24の
収縮完了後に第1油圧シリンダ21が収縮し始めるよう
に図示しない公知の構成により形成されている。
【0018】前記第3ブーム18先端部A点に枢着した
シーブ30には第2ブーム17先端部B点と第4ブーム
19付根部C点とに固定された伸長ワイヤ31(実線)
が巻装され、また第3ブーム18付根部D点に枢着した
シーブ32には第2ブーム17先端部B点と第4ブーム
19付根部C点とに固定された収縮ワイヤ33(破線)
が巻装されて一段目ワイヤー同期伸縮機構34を構成し
ている。また、第4ブーム19先端部E点に枢着したシ
ーブ35には第3ブーム18先端部A点と第5ブーム2
0付根部F点とに固定された伸長ワイヤ36(実線)が
巻装され、第4ブーム19付根部G点に枢着したシーブ
37には第3ブーム18先端部A点と第5ブーム20付
根部F点とに固定された収縮ワイヤ38(破線)が巻装
されて二段目ワイヤー同期伸縮機構39を構成してい
る。
【0019】以上のように、水平ブーム3は三段の油圧
シリンダ21,24,27と、二段のワイヤー同期伸縮
機構34,39により伸縮駆動される五段ブーム16乃
至20から構成されている。従って、図2に示すように
位置検出器40から第5ブーム20先端までの長さは、
三段の油圧シリンダ21,24,27が全てストローク
エンドまで収縮したときはl0 、第1油圧シリンダ21
だけがストロークエンドまで伸長したときはl1 、第1
油圧シリンダ21と第2油圧シリンダ24とがストロー
クエンドまで伸長したときはl2 、三段の油圧シリンダ
21,24,27全てがストロークエンドまで伸長した
ときはl5 となるように伸縮する。
【0020】水平ブーム3を伸縮する油圧シリンダ駆動
用油圧回路の第1実施例を示す図4において、42は油
圧ポンプ、43は操作弁で、水平ブーム3を伸縮する油
圧シリンダ21,24,27の速度を操作する。44乃
至46は4ポートのソレノイド式開閉弁で、水平ブーム
3の伸長時には第1油圧シリンダ21がストロークエン
ドまで伸長した後に第2油圧シリンダ24が伸長し始
め、第2油圧シリンダ24がストロークエンドまで伸長
した後に第3油圧シリンダ27が伸長し始めると共に、
水平ブーム3の収縮時には第3油圧シリンダ27がスト
ロークエンドまで収縮した後に第2油圧シリンダ24が
収縮し始め、第2油圧シリンダ24がストロークエンド
まで収縮した後に第1油圧シリンダ21が収縮し始める
ように順次作動する。このソレノイド式開閉弁44,4
5,46の順次作動は、各油圧シリンダ21,24,2
7のピストンロッドの動きにより作動する図示しないリ
ミットスイッチの切換により行われるが、各油圧シリン
ダ21,24,27のピストンロッドの動きにより機械
的に作動する開閉弁によって順次作動させてもよいこと
は勿論である。これら各油圧シリンダ21,24,27
の順次作動については公知のため詳細な説明は省略す
る。
【0021】また、47は油圧ポンプ42と操作弁43
間に介装されたソレノイド式比例流量制御弁で、そのソ
レノイドに供給される電気信号v1,v2,v3 によって制
御流量を換えることができる。48はパイロットポン
プ、49はこのパイロットポンプ48の圧力を一定に保
持するためのリリーフ弁、50はパイロットポンプ48
の元圧をその操作量に応じたパイロット圧に減圧するパ
イロット弁、51はタンクである。
【0022】水平ブーム3を伸縮する油圧シリンダ駆動
用油圧回路の第2実施例を示す図5は、図4のソレノイ
ド式比例流量制御弁47の代わりに、パイロットポンプ
48の圧力を、そのソレノイドに供給される電気信号v
1,v2,v3 によって決まる一定圧に保持するためのリリ
ーフ弁52を設置する以外は、図4と同じであるため同
一符号を付してその説明は省略する。
【0023】水平ブーム3を伸縮する油圧シリンダ駆動
用油圧回路の第3実施例を示す図6は、図4のソレノイ
ド式比例流量制御弁47の代わりに、可変容量型油圧ポ
ンプ53、可変容量型油圧ポンプ53の容量を制御する
ためのレギュレータ54、このレギュレータ54の制御
圧により可変容量型油圧ポンプ53の容量を制御するた
めのサーボシリンダ55を設置する以外は、図4と同じ
であるため同一符号を付してその説明は省略する。
【0024】前記水平ブーム3を伸縮する油圧シリンダ
駆動用油圧回路における制御信号v2,v3 を出力するコ
ントローラの第1実施例を示す図7において、図2の位
置検出器40から出力される水平ブーム3の先端位置信
号li がコントローラ56に入力すると、比較器57に
おいてその位置信号li を設定値l3 ,l5 と比較して
l3 ≦li ≦l5 の条件に適合するときのみv1 信号発
生器58に発生信号Yを出力する。従って、v1 信号発
生器58はこの発生信号Yを入力している間だけ、前記
ソレノイド式比例流量制御弁47、リリーフ弁52、あ
るいはレギュレータ54の各ソレノイドにv1 信号を発
生する。
【0025】同様に前記水平ブーム3を伸縮する油圧シ
リンダ駆動用油圧回路における制御信号v2,v3 を出力
するコントローラの第2実施例を示す図8において、図
2の位置検出器40から出力される水平ブーム3の先端
位置信号li がコントローラ60に入力すると、比較器
61においてその位置信号li を設定値l2 ,l3 と比
較して、l2 ≦li <l3 の条件に適合するときのみv
2 信号発生器62に発生信号Yを出力する。従って、v
2 信号発生器62は発生信号Yを入力している間だけ、
前記ソレノイド式比例流量制御弁47、リリーフ弁5
2、あるいはレギュレータ54の各ソレノイドにv2 信
号を発生する。また、比較器63において前記位置信号
li を設定値l3 ,l5 と比較してl3≦li ≦l5 の
条件に適合するとき、v3 信号発生器64に発生信号Y
を出力する。従って、v3 信号発生器62は発生信号Y
を入力している間だけ、前記ソレノイド式比例流量制御
弁47、リリーフ弁52、あるいはレギュレータ54の
各ソレノイドにv3 信号を発生する。
【0026】次に図4の作用について図9を参照しなが
ら説明する。先ず、水平ブーム3を伸長するためにパイ
ロット弁50を操作して操作弁43をa位置に操作する
と、油圧ポンプ42が吐出する一定量の吐出油はソレノ
イド式比例流量制御弁47を介して第1油圧シリンダ2
1に供給されるため、第1油圧シリンダ21はそのスト
ロークエンドまで一定速度で伸長する。従って、水平ブ
ーム3の先端位置は第1油圧シリンダ21のストローク
分、すなわち、図2における位置検出器40から出力す
る位置信号li がl0 からl1 までは、油圧ポンプ42
の吐出油量と第1油圧シリンダ21の断面積によって決
まる一定速度で、図9に示すS0 からS1 の範囲を伸長
する。
【0027】第1油圧シリンダ21がストロークエンド
に達すると、油圧ポンプ42が吐出する一定量の吐出油
は第2油圧シリンダ24に供給されるが、第2油圧シリ
ンダ24の断面積は荷重容量的に第1油圧シリンダ21
より所定量小さく構成されているため、その断面積の減
少分だけ第2油圧シリンダ24は第1油圧シリンダ21
より伸長速度が増加して、水平ブーム3の第5ブームの
先端位置は第2油圧シリンダ24のストローク分、すな
わち、図2における位置検出器40から出力される位置
信号li がl1 からl2 までは、油圧ポンプ42の吐出
油量と第2油圧シリンダ24の断面積によって決まる一
定速度により、図9に示すS1 からS2の範囲を伸長す
る。
【0028】第2油圧シリンダ24がストロークエンド
に達して、油圧ポンプ42の吐出する一定量の吐出油が
第3油圧シリンダ27に供給されると、第3油圧シリン
ダ27の断面積は荷重容量的に第2油圧シリンダ24の
断面積より所定量小さく構成されているため、その断面
積の減少分だけ第3油圧シリンダ27は第2油圧シリン
ダ24より伸長速度が増加する。この伸長速度の増加は
前記第2油圧シリンダ24のときと同様に僅かであるた
め、オペレータの操作感覚にとっては特に問題はない
が、第3油圧シリンダ27により第3ブームが伸縮する
ときは、第5ブームは二段のワイヤー同期伸縮機構3
4,39を介して伸縮するため、第3油圧シリンダ27
の伸縮速度の3倍で伸縮することになる。従って、第2
油圧シリンダ24がストロークエンドに達すると、急に
第5ブームの伸縮速度が変化するためオペレータの操作
感覚を害するという問題がある。
【0029】そこで、第5ブームの伸縮速度が第2油圧
シリンダ24の伸縮速度と同じになるような電気信号v
1 をソレノイド式比例流量制御弁47のソレノイドに出
力して、油圧ポンプ42の吐出する一定量の吐出油をソ
レノイド式比例流量制御弁47により減少制御して第3
油圧シリンダ27に供給するようにしている。すなわ
ち、第5ブームの先端位置は第3油圧シリンダ27のス
トロークの約3倍分、すなわち、図2における位置検出
器40から出力される位置信号li がl2からl5 まで
は、前記第2油圧シリンダ24の速度と同じ速度によ
り、図9に示すS2 からS5 の範囲を伸長する。また、
水平ブーム3を収縮させるときの作動についても伸長す
るときと同様のためその説明を省略する。
【0030】次に、図4の油圧回路において図8に示す
コントローラ60によりソレノイド式比例流量制御弁4
7を制御するようにすれば、図9におけるS0 からS5
までの全範囲のブーム伸縮速度を一定に制御することが
できる。先ず、図4において水平ブーム3を伸長するた
めにパイロット弁50を操作して操作弁43をa位置に
操作すると、油圧ポンプ42が吐出する一定量の吐出油
はソレノイド式比例流量制御弁47を介して第1油圧シ
リンダ21に供給されるため、第1油圧シリンダ21は
そのストロークエンドまで一定速度で伸長する。従っ
て、水平ブーム3の先端位置は第1油圧シリンダ21の
ストローク分、すなわち、図2における位置検出器40
から出力する位置信号li がl0 からl1 までは、油圧
ポンプ42の吐出油量と第1油圧シリンダ21の断面積
によって決まる一定速度で、図9に示すS0 からS1 の
範囲を伸長する。
【0031】第1油圧シリンダ21がストロークエンド
に達して、油圧ポンプ42の吐出する一定量の吐出油が
第2油圧シリンダ24に供給されると、第2油圧シリン
ダ24の断面積は荷重容量的に第1油圧シリンダ21の
断面積より所定量小さく構成されているため、その断面
積の減少分だけ第2油圧シリンダ24は第1油圧シリン
ダ21より伸長速度が増加することになる。そこで、第
2油圧シリンダ24の伸縮速度が第1油圧シリンダ21
の伸縮速度と同じになるような電気信号v2 をソレノイ
ド式比例流量制御弁47のソレノイドに出力して、油圧
ポンプ42の吐出する一定量の吐出油をソレノイド式比
例流量制御弁47により減少制御して第2油圧シリンダ
24に供給するようにしている。すなわち、第5ブーム
の先端位置は図2における位置検出器40から出力され
る位置信号li がl1 からl2 までは、前記第1油圧シ
リンダ21の速度と同じ速度により、図9に示すS1 か
らP2 の範囲を伸長する。
【0032】第2油圧シリンダ24がストロークエンド
に達して、前記油圧ポンプ42から吐出され、ソレノイ
ド式比例流量制御弁47により制御された吐出油が第3
油圧シリンダ27に供給されると、第3油圧シリンダ2
7の断面積は荷重容量的に第2油圧シリンダ24の断面
積より所定量小さく構成されているため、その断面積の
減少分だけ第3油圧シリンダ27は第2油圧シリンダ2
4より伸長速度が増加する。この第3油圧シリンダ27
の第2油圧シリンダ24に対する伸長速度の増加分はそ
れほど大きくはないが、第3油圧シリンダ27により第
3ブームが伸縮すると、第5ブームは二段のワイヤー同
期伸縮機構34,39を介して伸縮するため、第3油圧
シリンダ27の伸縮速度の3倍で伸縮することになる。
従って、第2油圧シリンダ24がストロークエンドに達
すると、急に第5ブームの伸縮速度が変化するためオペ
レータの操作感覚を害するという問題がある。
【0033】そこで、第5ブームの伸縮速度が第2油圧
シリンダ24の伸縮速度と同じになるような電気信号v
3 をソレノイド式比例流量制御弁47のソレノイドに出
力して、油圧ポンプ42の吐出する吐出油をソレノイド
式比例流量制御弁47により減少制御して第3油圧シリ
ンダ27に供給するようにしている。すなわち、第5ブ
ームの先端位置は第3油圧シリンダ27のストロークの
約3倍分、すなわち、図2における位置検出器40から
出力される位置信号li がl2からl5 までは、前記第
2油圧シリンダ24の速度と同じ速度により、図9に示
すP2 からP5 の範囲を伸長する。また、水平ブーム3
を収縮させるときの作動についても伸長するときと同様
のためその説明を省略する。
【0034】図5の作用についも図4と同様に、リリー
フ弁52のソレノイドに供給する電気信号v1 により第
3油圧シリンダ27に供給される油量を制御すれば、図
2における位置検出器40から出力される位置信号li
がl2 からl5 までの間、第5ブーム20は第2油圧シ
リンダ24と同じ伸縮速度により、図9に示すS2 から
S5 の範囲を伸縮する。また、リリーフ弁52のソレノ
イドに供給する電気信号v2 により第2油圧シリンダ2
7に供給される油量を制御すれば、前記位置信号li が
l1 からl2 までの間、第2油圧シリンダ24は第1油
圧シリンダ21と同じ伸縮速度により、図9に示すS1
からP2 の範囲を伸縮する。リリーフ弁52のソレノイ
ドに供給する電気信号v3 により第3油圧シリンダ27
に供給される油量を制御すれば、前記位置信号li がl
2 からl5 までの間、第5ブーム20は第2油圧シリン
ダ24と同じ伸縮速度により、図9に示すP2からP5
の範囲を伸縮する。
【0035】図6の作用についても図4と同様に、レギ
ュレータ54のソレノイドに供給する電気信号v1 によ
り第3油圧シリンダ27に供給される油量を制御すれ
ば、図2における位置検出器40から出力される位置信
号li がl2 からl5 まの間、第5ブーム20は第2油
圧シリンダ24と同じ伸縮速度により、図9に示すS2
からS5 の範囲を伸縮する。また、レギュレータ54の
ソレノイドに供給する電気信号v2 により第2油圧シリ
ンダ27に供給される油量を制御すれば、前記位置信号
li がl1 からl2 までの間、第2油圧シリンダ24は
第1油圧シリンダ21と同じ伸縮速度により、図9に示
すS1 からP2 の範囲を伸縮する。レギュレータ54の
ソレノイドに供給する電気信号v3 により第3油圧シリ
ンダ27に供給される油量を制御すれば、前記位置信号
li がl2 からl5 までの間、第5ブーム20は第2油
圧シリンダ24と同じ伸縮速度によって、図9に示すP
2 からP5 の範囲を伸縮する。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によるときは
次のような効果を得ることができる。 (1)水平ブーム先端をワイヤー同期伸縮機構により構
成を簡素化して軽量化すると、大きい作業半径を得るた
めに水平ブームを長く伸長してもブームの強度を保持す
ることができる。 (2)ワイヤー同期伸縮機構を設置すると最先端ブーム
の伸縮速度は(ワイヤー同期伸縮機構の数+1)倍にな
るが、最先端ブームの位置に応じてコントローラにより
油圧シリンダの伸縮速度を制御することによって、最先
端ブームの伸縮速度を油圧シリンダにより直接伸縮する
ブームとほぼ同じ伸縮速度とすることができるので、オ
ペレータの操作し易い所定値に制御できるため操作性の
向上を図ることができる。 (3)また、多段ブームの伸縮速度を常に一定になるよ
うに制御すれば、オペレータは同じ操作感覚で作業する
ことができるため操作性をより向上することができる。
【図面の簡単説明】
【図1】本発明の実施例における多段ブームの伸縮速度
制御装置を搭載した移動式クレーン車の垂直ブームと水
平ブームを起立した状態を示す図である。
【図2】図1の状態から垂直ブームと水平ブームを伸長
した状態を示す図である。
【図3】本発明実施例における水平ブーム伸縮機構の原
理を示す図である。
【図4】本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリ
ンダ駆動用油圧回路の第1実施例を示す図である。
【図5】本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリ
ンダ駆動用油圧回路の第2実施例を示す図である。
【図6】本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリ
ンダ駆動用油圧回路の第3実施例を示す図である。
【図7】本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリ
ンダ駆動用油圧回路のコントローラの第1実施例を示す
図である。
【図8】本発明における水平ブームを伸縮する油圧シリ
ンダ駆動用油圧回路のコントローラの第2実施例を示す
図である。
【図9】本発明の実施例における水平ブーム先端位置の
経時変化と、従来の技術との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…テレスコピック式ブーム、2…垂直ブーム、3…水
平ブーム、4,5…起伏シリンダ、6…主フック、7…
補助フック、11,15…基端ブーム、12,16…第
1ブーム、13,17…第2ブーム、14,18…第3
ブーム、19…第4ブーム、20…第5ブーム、21…
第1油圧シリンダ、22,25,28…ロッド端、24
…第2油圧シリンダ、27…第3油圧シリンダ、30,
32,35,37…シーブ、31,36…伸長ワイヤ、
33,38…収縮ワイヤ、34…一段目ワイヤー同期伸
縮機構、39…二段目ワイヤー同期伸縮機構、40…位
置検出器、41…ワイヤー、42…油圧ポンプ、43…
操作弁、44〜46…ソレノイド式開閉弁、47…ソレ
ノイド式比例流量制御弁、48…パイロットポンプ、4
9…リリーフ弁、50…パイロット弁、51…タンク、
52…リリーフ弁、53…可変容量型油圧ポンプ、54
…レギュレータ、55…サーボシリンダ、56,60…
コントローラ、57…比較器、58…v1 信号発生器、
61…比較器、62…v2 信号発生器、63…比較器、
64…v3 信号発生器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B66C 23/68

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端ブーム内に第1ブームを嵌合し、こ
    の第1ブーム内に第2ブームを嵌合し、以後同様に順次
    先端にブームを嵌合するテレスコピック式ブームのう
    ち、油圧シリンダにより伸縮する基端ブーム側の少なく
    とも一つのブームと、この油圧シリンダにより伸縮する
    ブームの内で最も先端に位置するブームを駆動ブームと
    し、この駆動ブームの先端に枢着する第1シーブと、こ
    の第1シーブに巻装され、前記駆動ブームの前段ブーム
    と次段ブームとにその各端部を固定した伸長ワイヤー
    と、前記駆動ブームの後端に枢着する第2シーブと、こ
    の第2シーブに巻装され、前記駆動ブームの前段ブーム
    と次段ブームとにその各端部を固定した縮小ワイヤーと
    よりなるワイヤー同期伸縮機構を少なくとも一つ備えた
    多段ブームの伸縮装置において、この多段ブームの伸縮
    装置の内で最も先端に位置する先端ブームの基端ブーム
    に対する位置検出器と、この位置検出器の検出信号に応
    じて前記先端ブームの伸縮速度が所定値となるように、
    前記ワイヤー同期伸縮機構の、油圧シリンダにより伸縮
    する駆動ブームの伸縮速度を制御するコントローラとよ
    りなることを特徴とする多段ブームの伸縮速度制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記ワイヤー同期伸縮機構の、油圧シリ
    ンダにより伸縮する駆動ブームの伸縮速度を油圧ポンプ
    の吐出管路に介装した流量制御弁により制御することを
    特徴とする請求項1の多段ブームの伸縮速度制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ワイヤー同期伸縮機構の、油圧シリ
    ンダにより伸縮する駆動ブームの伸縮速度をアクチュエ
    ータ操作弁を制御する油圧パイロット弁の元圧により制
    御することを特徴とする請求項1の多段ブームの伸縮速
    度制御装置。
  4. 【請求項4】 前記ワイヤー同期伸縮機構の、油圧シリ
    ンダにより伸縮する駆動ブームの伸縮速度を油圧ンプの
    吐出量により制御することを特徴とする請求項1の多段
    ブームの伸縮速度制御装置。
  5. 【請求項5】 前記油圧シリンダにより伸縮するブーム
    が第1ブームと、第2ブームと、第3ブームであり、こ
    れら各ブームは基端ブーム側から前段ブームの伸長完了
    後に次のブームが伸長し始め、先端ブーム側から先端ブ
    ームの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるように構
    成され、前記第3ブームの先端に設置する第4ブームと
    第5ブームからなる二段のワイヤー同期伸縮機構を備え
    た5段ブームの伸縮装置において、前記第3ブームの油
    圧シリンダが伸縮し始めてからの第5ブームの伸縮速度
    が、第2ブームの伸縮速度とほぼ同じになるように第3
    ブームの油圧シリンダに供給する油量を制御するコント
    ローラよりなることを特徴とする請求項1の多段ブーム
    の伸縮速度制御装置。
  6. 【請求項6】 前記油圧シリンダにより伸縮するブーム
    が第1ブームと、第2ブームと、第3ブームであり、こ
    れら各ブームは基端ブーム側から前段ブームの伸長完了
    後に次のブームが伸長し始め、先端ブーム側から先端ブ
    ームの収縮完了後に次のブームが収縮し始めるように構
    成され、前記第3ブームの先端に設置する第4ブームと
    第5ブームからなる二段のワイヤー同期伸縮機構を備え
    た5段ブームの伸縮装置において、前記第2ブームの伸
    縮速度が第1ブームの伸縮速度とほぼ同じになるよう
    に、第2ブームの油圧シリンダに供給する油量を制御す
    ると共に、前記第3ブームの油圧シリンダが伸縮し始め
    てからの第5ブームの伸縮速度と第2ブームの伸縮速度
    とがほぼ同じになるように、第3ブームの油圧シリンダ
    に供給する油量を制御するコントローラよりなることを
    特徴とする請求項1の多段ブームの伸縮速度制御装置。
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