JP4827104B2 - イカを用いたねり製品の製造方法、およびイカを用いたねり製品 - Google Patents

イカを用いたねり製品の製造方法、およびイカを用いたねり製品 Download PDF

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Description

本発明は、イカを用いたねり製品(例えば、蒲鉾)の製造方法、およびイカを用いたねり製品(例えば、蒲鉾)に関するものである。
長崎県は、国内有数の漁獲高を誇る水産県であり、種々の魚介類が水揚げされると共に、それらの魚介類を用いた水産加工品の製造も盛んである。中でも、県内産漁獲物から生産されるすり身等の魚肉ねり製品は、重要な水産加工品となっている。
すり身および蒲鉾等の魚肉ねり製品の主な原料魚としては、従来からマイワシや以西底曳網漁獲物(例えば、エソ、グチ等)(以下、「従来主原料魚」という。)が用いられている。しかしながら、近年、これらの従来主原料魚は漁獲高が減少しているため、魚肉ねり製品の原料魚は不足しつつあり、代替原料の開発が望まれている。
一方、定置網等で漁獲されるスルメイカの約三割は、その外観に傷を有している。これは、漁獲時にスルメイカが互いに噛み合いを起こすためである。スルメイカは、国内で漁獲されるイカ類の中でも最も安価であるが、このようにして外観に傷を有するに至ったスルメイカは、商品としての価値が下がり、さらに安価で取引がなされることとなる。そして、このように傷を有して安価で取引がなされたスルメイカは、現在、養殖魚用の餌、あるいはサキイカの原料等として利用されているにすぎず、その付加価値向上策が求められている。
上記のように「ねり製品」の原料は不足しており、スルメイカ(特に、外傷を有するスルメイカ)については付加価値向上策が求められていることから、このスルメイカを「ねり製品」の原料として用いることができれば、双方の問題点を解決することが可能となる。
しかしながら、スルメイカがねり製品の原料として適していないことは古くから知られている。具体的には、スルメイカを原料として用いても、魚肉の場合とは大きく異なったボソボソした食感を有する、極めて脆いねり製品(例えば、蒲鉾)しか調製することができない。つまり、スルメイカをねり製品の原料として用いることは非常に困難である。
市場には「イカ蒲鉾」と呼ばれるねり製品も存在するが、これは、単に魚肉蒲鉾の中にイカの切身が混ぜ合わされたものである(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−168375号公報
上述したように、良好な魚肉ねり製品の原料となる原料魚(マイワシ等の従来主原料魚)の漁獲高は年々減少しているため、これ(従来主原料魚)にかわる代替原料(代替原料魚)が求められている。一方では、外傷を有するスルメイカ等は、養殖魚用の餌、あるいはサキイカの原料等として安価で取引されており、その付加価値向上策が求められている。つまり、一方では、ねり製品の原料不足という問題が存在し、他方では、スルメイカ等の有効な利用法が求められているという問題が存在する。
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、スルメイカ等のイカを用いて、魚肉から作るねり製品並みの弾力性を有するねり製品を製造する、イカを用いたねり製品の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、魚肉から作るねり製品並みの弾力性を有する、イカを用いたねり製品を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程とを備えたことを特徴としている。より具体的には、本発明は、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、比較的大きめの孔径を有するプレートを用いてミンチ処理を行うミンチ工程と、前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、高速カッタを用いて擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程とを備えたことを特徴としている。
イカから採取したイカ肉に対してミンチ処理を行う場合、従来主原料魚等のミンチ処理を行うのと同様の孔径(例えば、2mm〜5mm程度)のプレートを用いると、イカの表皮や繊維がプレートの孔に詰まってしまい、適切なミンチ処理を行うことができない(生産レベルには不適である)。プレートの目詰まりが起こると、イカ肉が排出されにくくなることから、ミンチ機のモータは過負荷状態となり、イカ肉の品温が著しく上昇する。イカ肉の品温が上昇すると、内在する酵素(蛋白質分解酵素)が活性化するため、従来主原料魚等を用いて形成したねり製品と比較して、極めて脆い物性のねり製品になってしまう(物性が劣化する)。したがって、イカを用いたねり製品の製造を行う場合には、目詰まりおよび品温上昇を防止するために、比較的大きめの孔径(例えば、8mm〜15mm程度)を有するプレートを用いてミンチ処理を行うことが好ましい。このように、比較的大きめの孔径を有するプレートを用いてミンチ処理を行えば、ミンチ機のプレートにおけるイカ肉(表皮、繊維)の目詰まりを回避して、イカ肉の品温の上昇を抑えることができる。
ただし、このようにプレートの孔径を大きくすると、ミンチ工程後のイカ肉が比較的大きい状態であるため、ミンチ工程後の可溶化に時間を要することとなる。例えば、石臼式の擂潰機等を用いて、ミンチ工程後の擂潰処理を行うとすれば、擂潰処理に時間を要する(石臼式の擂潰機を用いた場合には30分程度を要する)ため、イカ肉の品温が上昇してしまう。上述したように、イカ肉の品温が上昇すると、内在する酵素(蛋白質分解酵素)が活性化するため、従来主原料魚等を用いて形成したねり製品と比較して、極めて脆い物性のねり製品になってしまう。そこで、本発明においては、高速カッタを用いて擂潰処理が行われる構成が好ましい。高速カッタ等のカッタ類を用いれば、擂潰工程の時間を3分〜15分程度(石臼式の1/10〜1/2程度)に短縮することができるため、イカ肉の品温上昇を抑え、イカ肉に内在する酵素の影響を緩和することが可能となる。
上述したように、イカを用いたねり製品を製造する場合には、イカ肉に内在する酵素の働きを抑制することが重要である。そこで、本発明においては、この酵素の働きを抑制すべく、擂潰工程中のイカに対して有機酸塩を添加する、有機酸塩添加工程を行うこととしている。本発明によれば、このように有機酸塩添加工程を行うことによって、イカの筋原繊維蛋白質の溶解および安定化を図ることができる。
本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法によれば、上述したような「ミンチ工程」、「擂潰工程」、および「有機酸塩添加工程」を有するため、イカ肉の目詰まりを防止すると共に、擂潰工程の時間を短縮することによって、イカ肉の品温の上昇を抑制することができる。つまり、イカ肉の品温上昇の抑制と、有機酸塩の添加とによって、イカ肉に内在する酵素の活性化を緩和することができる。加えて、有機酸塩の添加により、イカ肉の可溶化を促進することもできる。したがって、本発明によれば、イカ肉に内在する酵素の影響を緩和しつつ、適切なねり製品(例えば、蒲鉾)を製造することができる。また、酵素の影響を緩和するためには、高温加熱処理(加熱工程)する直前までは、品温は低く保つことが好ましい。ただし、凍結状態になるとイカの筋原繊維タンパク質は変性すること、および、30℃以上になると、タンパク質が変性し凝固してしまうことから、具体的には、0℃〜30℃に保持することが好ましい。
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第一有機酸塩添加工程と、前記第一有機酸塩添加工程後のイカ肉を凍結して保管する凍結保管工程と、前記凍結保管工程後のイカ肉を解凍して擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第二有機酸塩添加工程とを備えたことを特徴としている。
このような構成によれば、ねり製品の製造時において、凍結保管を行う必要がある場合であっても、前記第一有機酸塩添加工程によって加えられた有機酸塩の作用により、凍結保管中の品質劣化を抑えることが可能となる。すなわち、本発明によれば、品質劣化を抑えながら、イカ肉からねり製品への製造途中で凍結保管を行うことが可能となることから、ねり製品の安定した生産や生産効率を高めるという効果を得ることができる。
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行う第一ミンチ工程と、原料となる魚から採取した魚肉に対し、ミンチ処理を行う第二ミンチ工程と、前記第一ミンチ工程後のイカ肉および前記第二ミンチ工程後の魚肉に対し、擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中あるいは前記第二ミンチ工程後の魚肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程とを備えたことを特徴としている。本発明に示すように、必要に応じて、イカ肉に直接的に有機酸塩を添加するのではなく、イカ肉と混合される魚肉に対して有機酸塩を添加してもよく、あるいは擂潰工程中の混合物(イカ肉と魚肉との混合物)に対して有機酸塩を添加してもよい。つまり、擂潰工程までの間に、何等かの手段によってイカ肉に対して有機酸塩が添加される構成であればよい。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記擂潰工程中に(前記擂潰工程中のイカ肉あるいは混合物(イカ肉と魚肉との混合物)に対し)食塩を添加する、食塩添加工程を有する構成が好ましい。
イカ肉に対して単に食塩を添加すると、イカ肉に内在する酵素が活性化される。したがって、イカ肉のみを用いてねり製品を製造する場合には、従来主原料魚等を用いてねり製品を製造する場合と同様の感覚で、食塩を添加することは好ましくない(イカ肉に内在する蛋白質分解酵素が食塩によって活性化し、ねり製品の物性を劣化させる)。しかしながら、原料の可溶化を促進すると共に、ねり製品の「味」を調えるためには、原料としてイカを用いる場合であっても、食塩を添加することが好ましい。そこで、本発明においては、前記有機酸塩添加工程と前記食塩添加工程とを複合的に行うこととした。このように、有機酸塩と食塩とを添加すれば、食塩を添加することによる問題点(酵素の活性化)を抑制して、良好な味を有するねり製品を製造することができる。ただし、当然のことながら、食塩を添加することなく、有機酸塩を添加して、イカを用いたねり製品を製造することも可能である。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記有機酸塩添加工程において、前記有機酸塩が約1%〜20%添加される構成であることが好ましい。また、高濃度の有機酸塩はイカの味を損なうため、前記有機酸塩添加工程において添加される有機酸塩は、約1%〜8%であることが好ましい。さらに、イカの味が強く感じられるようにするには、約1.5%〜5%のより低濃度の有機酸塩を添加するのが好ましい。つまり、より良好なイカの味を有するねり製品を製造するためには、より低濃度の有機酸塩を添加することが好ましい。
本件発明者らの実験結果によれば、有機酸塩と食塩とを両方添加してねり製品の製造を行う場合には、食塩よりも有機酸塩を多めに添加する方が、酵素の活性化の抑制、可溶化の促進、および味の調製を適切に行うことが可能であることを確認している。したがって、本発明によれば、食塩が約0.3%〜6%添加されるのに対して、有機酸塩が約1.5%〜20%添加される構成が好ましい。より具体的には、例えば、有機酸塩としてクエン酸塩を用いる場合、クエン酸塩は、酵素の活性化の抑制、および、ミオシンの可溶化を行う両方の作用を有しているため、クエン酸塩の添加濃度を基本として、味の調節を行いながら、食塩の添加量を決定した方が良い。本発明によれば、クエン酸塩が約1.5%〜5%添加されるのに対して、食塩が約0.3%〜1.5%添加される構成が、最も好ましい。これらの濃度は、内在する酵素の作用を不完全ながら抑制し、良好な弾力のねり製品が出来ると同時に、イカ肉の味を阻害しない濃度である。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記有機酸塩として、クエン酸塩、グルコン酸塩、およびコハク酸塩の少なくとも一つが用いられる構成が好ましい。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記擂潰工程中のイカに対し、約2%〜20%の澱粉を添加する澱粉添加工程を有することが好ましい。
イカを用いてねり製品を製造する場合、従来主原料魚等を用いてねり製品を製造する場合と比較して、加熱後の離水が多い。そこで、本発明においては、前記澱粉を添加することによって、その離水を防止した。このように澱粉を添加すれば、ねり製品における加熱後の離水を効果的に防止すると共に、弾力性のあるねり製品を製造することが可能となる。2%以上の澱粉を添加すれば、ねり製品における加熱後の離水を効果的に防止し、弾力性のあるねり製品を製造することが可能となる。しかし、20%を超える澱粉を添加すると、イカ肉らしい味が感じ難くなる。また、2%未満の澱粉を添加しても、効果的な離水防止機能を得ることができない。これらのことから、本発明にかかる澱粉添加工程においては、約2%〜20%の澱粉を添加している。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記イカとして、金属プロテアーゼを含有するイカが用いられる構成が好ましい。金属プロテアーゼを含有するイカとしては、例えば、スルメイカ、ソデイカ、アメリカオオアカイカ、ケンサキイカ等が用いられる。また、「イカ肉」としては、これらのイカから採取された、外套膜肉、脚肉、および鰭肉の全て、あるいは少なくとも一つが利用される。
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程と,前記擂潰工程中のイカ肉に対し、食塩を添加する食塩添加工程を備え、前記有機酸塩添加工程にて、クエン酸塩が1%〜8%添加され、前記食塩添加工程にて食塩が0.3%〜3%添加されることを特徴としている。
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、イカを用いたねり製品の製造方法であって、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第一有機酸塩添加工程と、前記第一有機酸塩添加工程後のイカ肉を凍結して保管する凍結保管工程と、前記凍結保管工程後のイカ肉を解凍して擂潰処理を行う擂潰工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第二有機酸塩添加工程と、前記擂潰工程中のイカ肉に対し、食塩を添加する食塩添加工程とを備え、前記有機酸塩としてクエン酸塩が用いられ、前記第一有機酸塩添加工程にて前記クエン酸塩が0.2%〜1.5%添加され、前記第一有機酸塩添加工程および前記第二有機酸塩添加工程にて前記クエン酸塩が1%〜8%添加され、前記食塩添加工程にて前記食塩が0.3%〜3%添加されることを特徴としている。
イカを用いたねり製品を製造するには、イカの味を残すこと、イカ肉に内在する酵素の働きを抑制すること、イカ肉中のミオシン(蛋白質)を溶解させること、これら3つの現象を同時に解決する必要があり、これは、擂潰工程中に、有機酸塩添加工程および食塩添加工程(少なくとも有機酸塩添加工程)を行うことにより、可能となる。
イカの味を残すためには、添加物の量を出来る限り低く抑える必要がある。また、前記食塩添加工程においては、低濃度の食塩(0.3%〜1.5%)を加えた方が、イカらしい味となり、好ましい。
イカ肉中の酵素の働きを抑制するには、有機酸塩が効果を示し、有機酸塩の中ではクエン酸塩が最も効果的である。しかし、酵素の働きを完全に抑制するためには、高濃度のクエン酸塩(約7%以上)が、必要である。高濃度のクエン酸塩を加えると、イカの味が感じられないイカねり製品となる。そこで、本発明においては、有機酸塩添加工程にて加えるクエン酸塩の添加濃度を低濃度側に調整し、イカ肉中の酵素の働きを、不完全ながらある程度抑制する濃度に低下させることにより、イカを用いたねり製品に、イカの味を残すことが可能となる。
イカ肉中のミオシンを溶解するには、食塩が最も効果的である。しかし、食塩のみ加えると、イカ肉中の酵素は活性化される。有機酸塩は食塩と同様に、ミオシンの溶解作用を示し、有機酸塩の中では、クエン酸塩が最も低濃度でミオシンを溶解する作用を有している。また、クエン酸塩がミオシンを溶解する濃度は、食塩の場合の濃度とほぼ同じであり、クエン酸塩と食塩は、ミオシンの溶解性に協同的に働く、つまり、一般的なねり製品にミオシンの溶解の目的で添加されている食塩濃度である1.5%以上と同様に、有機酸塩添加工程と食塩添加工程とにおけるクエン酸塩と食塩との合計が、1.5%以上であれば、ミオシンを溶解することは可能である。
本発明によれば、上述したように、クエン酸塩を加える「有機酸塩添加工程」、および食塩を加える「食塩添加工程」を行うことによって、イカ肉中の酵素作用を調節しながら、イカミオシンを溶解することが可能となり、さらに、イカの味を維持したねり製品を製造することができる。
さらに、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記クエン酸塩の代わりに、前記クエン酸塩添加量の50%を超えない範囲で、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等の他の有機酸塩に置き換えてもよい。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記イカ肉の一部を、50%を超えない範囲で魚肉に置き換えて、前記擂潰工程を行ってもよい。
さらに、本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、前記擂潰工程後のイカ肉を成型して加熱する加熱工程を有することが好ましい。本発明にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、イカ肉に内在する酵素の影響を緩和するため、加熱工程の直前までの品温は、0℃〜30℃の低温に保持することが好ましい。
また、本発明にかかるイカを用いたねり製品は、上記課題を解決するためになされたものであって、上述したいずれかの方法によって得られたことを特徴としている。
さらに、本発明にかかるイカを用いたねり製品は、金属プロテアーゼを含有するイカと、有機酸塩と、食塩と、澱粉とを用いて構成されたことを特徴としている。より具体的には、本発明にかかるイカを用いたねり製品は、前記有機酸塩として、例えば、クエン酸塩が用いられる。
本発明によれば、スルメイカ等のイカを用いて、魚肉から作るねり製品並みの弾力性を有するねり製品を製造する、イカを用いたねり製品の製造方法を得ることができる。また、本発明によれば、魚肉から作るねり製品並みの弾力性を有する、イカを用いたねり製品を得ることができる。つまり、本発明によれば、イカを用いて良好なねり製品を製造することが可能となるため、イカ(特に、外傷を有するスルメイカ等)の付加価値を向上させると共に、ねり製品の原料不足という問題も解決することができる。
有機酸塩および食塩がイカ肉の自己消化(筋肉に内在する酵素(金属プロテアーゼ)による筋肉蛋白質の分解)に及ぼす影響を示すグラフである。 有機酸塩および食塩がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフである。 有機酸塩および食塩がねり製品の物性(実際に蒲鉾状のねり製品を調製した場合の物性)に与える影響を示したグラフである。 有機酸塩および食塩が共存する場合において、イカ肉の自己消化(筋肉に内在する酵素(金属プロテアーゼ)による筋肉蛋白質の分解)にどのような影響を及ぼすかを示すグラフである。図4(a)は、クエン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図4(b)は、グルコン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図4(c)は、コハク酸ナトリウムと食塩とが共存する場合を示している。 有機酸塩および食塩が共存する場合において、イカ肉蛋白質の溶解性にどのような影響を及ぼすかを示すグラフである。図5(a)は、クエン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図5(b)は、グルコン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図5(c)は、コハク酸ナトリウムと食塩とが共存する場合を示している。 澱粉がイカ肉ねり製品に及ぼす影響を示すグラフである。図6(a)は、澱粉添加量と離水率とを示すグラフであり、図6(b)は、澱粉添加量と破断強度とを示すグラフである。
符号の説明
L11 クエン酸ナトリウム(濃度)がイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L12 グルコン酸ナトリウム(濃度)がイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L13 コハク酸ナトリウム(濃度)がイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L14 食塩(濃度)がイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L21 クエン酸ナトリウム(濃度)がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L22 グルコン酸ナトリウム(濃度)がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L23 コハク酸ナトリウム(濃度)がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L24 食塩(濃度)がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L31 クエン酸ナトリウム(濃度)がねり製品の物性に与える影響を示すグラフ
L32 グルコン酸ナトリウム(濃度)がねり製品の物性に与える影響を示すグラフ
L34 食塩(濃度)がねり製品の物性に与える影響を示すグラフ
L41a クエン酸ナトリウム(2.9%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L42a クエン酸ナトリウム(7.4%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L43a クエン酸ナトリウム(14.7%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L44 食塩(濃度)がイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L41b グルコン酸ナトリウム(2.2%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L42b グルコン酸ナトリウム(5.5%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L43b グルコン酸ナトリウム(10.9%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L41c コハク酸ナトリウム(1.6%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L42c コハク酸ナトリウム(4.1%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L43c コハク酸ナトリウム(8.1%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉の自己消化に及ぼす影響を示すグラフ
L50a クエン酸ナトリウム(1.5%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L51a クエン酸ナトリウム(2.9%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L52a クエン酸ナトリウム(7.4%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L53a クエン酸ナトリウム(14.7%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L54 食塩(濃度)がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L51b グルコン酸ナトリウム(2.2%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L52b グルコン酸ナトリウム(5.5%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L53b グルコン酸ナトリウム(10.9%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L51c コハク酸ナトリウム(1.6%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L52c コハク酸ナトリウム(4.1%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L53c コハク酸ナトリウム(8.1%)と食塩(濃度)とが共存する場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフ
L61a 馬鈴薯製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の離水率を示すグラフ
L62a 小麦製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の離水率を示すグラフ
L61b 馬鈴薯製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の破断強度を示すグラフ
L62b 小麦製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の破断強度を示すグラフ
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、従来、養殖魚用の餌、あるいはサキイカの原料等として安価で取引がなされている「スルメイカ(特に外傷を有するスルメイカ)」を用いて、「ねり製品」を製造する技術に関するものである。つまり、本実施形態は、これまで有効利用されていなかった「スルメイカ(特に外傷を有するスルメイカ)」を原料(従来から用いられているマイワシ等の代替原料)として、魚肉並みの弾力性を有する良好な「ねり製品」を得るための技術に関するものである。
本実施形態にかかる「ねり製品」を製造する際の原料としては、安価で取引がなされている「スルメイカ(外観に傷があるもの、規格外の大きさのもの)」が用いられる。より具体的には、スルメイカの肉、一定量にカットしたスルメイカ肉の残りの部分、スルメイカの鰭や脚肉等、どのような態様の「イカ」でも用いることが可能である。
さて、先にも説明した通り、定置網で漁獲されるスルメイカは、集中して漁獲される際に、スルメイカ同士が噛み合いを起こすため、外套膜等に傷のあるスルメイカが多数発生する。このように外傷を有するスルメイカは、鮮魚価値が低いため、これまで付加価値を向上させる手段が模索されてきた。その一つの手段としては、原料の外観が製品品質に影響を及ぼさない、ねり製品化があげられる。イカ肉は、特有の風味を有し、呈味成分を多く含むため、ねり製品としての製品化が可能であれば、魅力ある商品となり、外傷を有するスルメイカの付加価値を向上させることができる。
しかしながら、イカ肉からなるねり製品(例えば、蒲鉾)は、一般的な魚肉を用いたねり製品に比べると、著しく脆い物性を有し、従来からイカ肉単独でのねり製品化は困難であるといわれている。
そこで、本件発明者らは、イカ肉からなるねり製品が著しく脆い物性を有する原因を探るべく、種々の実験等を行った。その結果、本件発明者らは、イカ肉からなるねり製品が著しく脆い物性を有する原因が、ミオシン重鎖等に起因することに想到した。具体的には、本件発明者らは、イカ肉は魚肉の場合と異なり、予備加熱を行ってもミオシン重鎖が多量化せず、逆に予備加熱によって自己消化による分解が起こることを確認し、これが原因となって、イカ肉からなるねり製品が著しく脆い物性を有することに想到した。つまり、これらの実験・検討等の結果から、本件発明者らは、イカ肉からなるねり製品の物性を向上させるためには、ミオシンの分解を抑制することが重要であることに想到した。
ねり製品の原料として使用される魚肉では、10℃以下の温度に維持することにより、ミオシン重鎖の分解は起こらないが、イカ(スルメイカ)肉の場合には、内在する酵素(金属プロテアーゼ)の働きにより、5℃付近の低温度保存下においても、ミオシン重鎖が分解される。この酵素(金属プロテアーゼ)の働きは、温度が上昇するほど活性化されるため、通常のねり製品製造工程において、この酵素の働きを抑制し、ミオシンの分解を抑えることは非常に困難である。
以上のことに鑑み、本件発明者らは、食品添加物として使用可能なものの中から、この酵素(金属プロテアーゼ)の作用を阻害する物質を探して、その阻害物質をイカ肉に添加すると共に、種々の工夫を凝らして、「スルメイカ(金属プロテアーゼを含有するイカ)」単独で、良好な「ねり製品」を製造することを可能とした。本件発明者らの実験・検討等の結果から、この阻害物質としては、有機酸塩が適用可能であることが明らかとなった。また、有機酸塩としては、クエン酸塩、グルコン酸塩、およびコハク酸塩の少なくとも一つが用いられることが好ましい。さらに、イカ肉に含まれる酵素の働きを抑えるためには、加熱処理する加熱工程の直前までの品温は、0℃〜30℃の低温に保持することが好ましい。
以下、より具体的に、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法について説明する。
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態においては、原料として金属プロテアーゼを含有するイカである「スルメイカ」を用いた。前処理として、このスルメイカの内蔵、鰭部、頭脚部を除去して、外套膜肉を採取した。なお、ねり製品の色をより白くしたい場合には、表皮も除くことが好ましい。また、必要に応じて、鰭部、頭脚部等も併せて利用してもよい。
次いで、採取した外套膜肉に対し、ミンチ機(肉挽機)を用いてミンチ処理を行った(本発明の「ミンチ工程」に相当)。ここでは、穿孔されている孔径が10mm程度のプレートを用いてミンチ処理を行った。本実施形態においては、このプレートに穿孔されている孔径は、比較的大きめであることが好ましい。具体的には、プレートに穿孔されている孔径は8mm〜15mm程度であることが好ましい。
このように「比較的大きめ」の孔径を有するプレートを用いてミンチ工程を行えば、イカ肉が目詰まりを起こすことがないため、連続してミンチ処理を行うことができる。通常、魚肉に対するミンチ処理を行う場合には、孔径が2mm〜5mm程度のプレートが用いられるが、このようなプレートを用いると、イカ肉はすぐに目詰まりを起こすため(イカ表皮による目詰まりを起こすため)、連続的なミンチ処理を行うことができない。そこで、本実施形態においては、上述したように、プレートに穿孔されている孔径は8mm〜15mm程度であることが好ましい。
また、本実施形態においては、「比較的大きめ」の孔径を有するプレートを用いてミンチ工程を行っているため、通常の孔径(2mm〜5mm程度)を有するプレートを用いる場合よりも負荷がかかりにくい。したがって、イカ肉の品温上昇を抑えることができる。例えば、2.5℃程度のイカ肉にミンチ処理を行う場合、2mm程度の孔径を有するプレートを用いた場合には、1回のミンチ処理で品温が5℃を超えて7℃程度にまで上昇し、2回のミンチ処理で品温は10℃を超える。また、5mm程度の孔径を有するプレートを用いた場合には、1回のミンチ処理で品温は5℃程度となり、2回のミンチ処理で8℃程度にまで上昇する。スルメイカに内在している金属プロテアーゼは5℃程度でも作用するため、品温は可能な限り低温(5℃以下)に維持したいが、上記の通り、2mm〜5mm程度の孔径を有するプレートを用いた場合には、品温上昇が激しい。これに対して、本実施形態にかかる方法のように、孔径が10mm程度のプレートを用いた場合には、3回のミンチ処理を行っても、その品温は5℃程度までしか上昇しない。つまり、本実施形態にかかる方法(比較的大きめの孔径を有するプレートを用いてのミンチ工程)によれば、イカ肉の品温上昇を抑えて、金属プロテアーゼの影響を緩和し、ミオシンの分解を抑制することができる。また、あまりに大きな孔径(例えば、20mm以上等)を有するプレートを用いると、次の擂潰工程時における処理時間が長くなるため、好ましくない。
次いで、本実施形態においては、ミンチ工程後のイカ肉に対し、高速カッタを用いて擂潰処理を行った(本発明の「擂潰工程」に相当)。具体的には、ミンチ工程にて粗めに砕いたイカ肉(ミンチ肉)を短時間(3分〜15分程度)で細かくすることが可能な高速カッタを用いた擂潰処理が行われる。この擂潰工程を行う場合には、イカ肉を入れた容器の外側に冷却ジャケット等を設けることが好ましい。この冷却ジャケットを設けることによって、品温上昇をより効果的に抑えることができる。このように、本実施形態においては、品温上昇を抑える構成を有することが好ましく、加熱処理する加熱工程の直前までの品温は、例えば、0℃〜30℃の低温に保持することが好ましい。より好ましくは、品温を、3℃〜10℃の低温に保持することである。
このように「高速カッタ」を用いるのは、擂潰工程に要する時間を短縮して、金属プロテアーゼの影響を緩和するためである。例えば、石臼式の擂潰機を用いて、同様の擂潰工程を行うとすれば、30分程度の時間を要するため、この間に品温が上昇し、金属プロテアーゼが活性化してしまう。これに対し、本実施形態によれば、高速カッタを用いることによって、短時間で擂潰工程を行うことができるため、金属プロテアーゼの影響を緩和し、ミオシンの分解を抑制することができる。
次いで、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、上記擂潰工程中に、「有機酸塩」を添加する有機酸塩添加工程が行われる。
有機酸塩添加工程を行うのは、主に金属プロテアーゼの影響を緩和するためである。また、有機酸塩は、金属プロテアーゼの影響を緩和させる機能と共に、イカ肉の可溶化を促進する機能も有している。
有機酸塩添加工程時には、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、およびコハク酸ナトリウムの少なくとも一つが、擂潰工程中のイカ肉内に添加される。この際、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムのそれぞれを単独で添加しても、また、これらを複合的に添加してもよい。
ここで、図1は、有機酸塩(有機酸ナトリウム)および食塩がイカ肉の自己消化(筋肉に内在する酵素(金属プロテアーゼ)による筋肉蛋白質の分解)に及ぼす影響を示すグラフである。この図1においては、縦軸がHC含量(HCとは筋肉に存在するミオシン(蛋白質)の重鎖)を示し、横軸が添加される有機酸塩(有機酸ナトリウム等)の濃度(%)を示している。この図1においては、HC含量が高いほどミオシンが分解されていないこととなる。
また、この図1中において、「○」で記された実線のグラフL11がクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL12がグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL13がコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL14が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。そして、「◇」が、コントロール(有機酸塩および食塩を添加する前のイカ肉試料中に含まれているHC含量)を示している。
この図1に示すように、イカ肉に食塩を0.5%〜3%程度添加すると、HC含量が大きく低減することから、食塩はイカ肉の自己消化を促進していることが明らかである。例えば、食塩の添加濃度が0.58%のときにはHC含量が10.1%となり、1.75%のときにはHC含量が0.4%となり、2.34%のときにはHC含量が0.8%となり、2.92%のときにはHC含量が0.9%となる。食塩の添加濃度を高めれば(例えば、10%濃度以上に高めれば)、食塩であっても自己消化抑制効果があるとも考えられるが、一般的なねり製品の製造工程において、食塩の添加濃度を3%以上にも高めることはあり得ない。したがって、ねり製品を製造する際においては、食塩はイカ肉の自己消化を促進する作用を有するといえる。
これに対し、図1から明らかなように、有機酸塩はイカ肉の自己消化を抑制する機能を有する。例えば、図1において、イカ肉中の塩濃度と同程度の食塩濃度である0.58%でのHC含量(10.1%)を基準とし、これ以上のHC含量を有すれば、自己消化抑制効果があると判断すれば、クエン酸ナトリウムの場合には約1.5%以上、グルコン酸ナトリウムの場合には約11%以上、コハク酸ナトリウムの場合には約12%以上添加することによって、イカ肉の自己消化を抑制することができるといえる。
上記の通り、食塩はイカ肉の自己消化を促進するため、弾力性のあるねり製品を製造するためには添加しない方が好ましいとも考えられるが、食塩はイカ肉の蛋白質の可溶化を行うという機能も有するため、通常、ねり製品の製造を行う際には、その添加は避けられない。例えば、魚肉の場合には、蛋白質の溶解のため、一般的に1.5%〜3%程度の食塩を添加する。
しかしながら、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法によれば、食塩を添加することなく、ねり製品を製造することが可能である。なぜならば、上述したように、有機酸塩が、イカ肉の可溶化を促進する機能も有しているからである。
ここで、図2は、有機酸塩(有機酸ナトリウム)および食塩がイカ肉蛋白質の溶解性に及ぼす影響を示すグラフである。この図2においては、縦軸が濁度を示し、横軸が添加される有機酸塩(有機酸ナトリウム等)の濃度(%)を示している。濁度は蛋白質の溶解性の指標であり、数値が低い程蛋白質が溶解されていることを示すこととなる。
また、この図2中において、「○」で記された実線のグラフL21がクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL22がグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL23がコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL24が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
先述したように、例えば、魚肉の場合には、蛋白質の溶解のため、一般的に1.5%〜3%程度の食塩を添加する。図2においては、この一般的な量の食塩を添加した場合、その濁度は「0.5」程度となる。つまり、イカ肉を用いてねり製品を製造する場合においても、濁度が「0.5」程度となるくらいまで、可溶化させる必要がある。
図2によれば、上記濁度の条件を満たすためには、クエン酸ナトリウムであれば約2%〜15%程度、グルコン酸ナトリウムであれば約7%以上、コハク酸ナトリウムであれば約4%〜16%程度が必要であることが明らかである。つまり、本実施形態によれば、これらの有機酸塩を添加することによって、食塩を添加することなく、イカ肉蛋白質を適切に溶解することができる。
本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、上述した「前処理」、「ミンチ工程」、「擂潰工程」、および擂潰工程中の「有機酸塩添加工程」を経て、イカを用いた肉糊を得ることができる。
次いで、本実施形態においては、得られた肉糊に対して、予備加熱を行うことなく、直ちに高温加熱処理を行う(「加熱工程」)。ここでは、90℃前後のお湯で20分〜30分間程度ボイルする(茹でる)、あるいは160℃〜180℃程度の油で10分間程度揚げる、高温加熱処理が行われる。
本実施形態においては、上述したように、予備加熱を行うことなく、直ちに加熱工程を行っている。これは、予備加熱を行うと、イカ肉蛋白質が分解され、完成したねり製品の物性が劣化するからである。
加熱工程が終了した後は、室温に置く等して放冷し、その後、包装して製品(イカを用いたねり製品)とする。
以上説明したように、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、イカ肉に対して悪影響(内在する酵素(金属プロテアーゼ)の活性化)を及ぼす食塩を用いることなく、有機酸塩を添加することによって、良好な弾力性を有するねり製品を得ることが可能となった。このことを、以下の図3を用いて具体的に説明する。
図3は、有機酸塩(有機酸ナトリウム)および食塩がねり製品の物性(モデル的に蒲鉾状のねり製品を調製した場合の物性)に与える影響を示したグラフである。この図3においては、縦軸が破断強度、横軸が添加される有機酸塩(有機酸ナトリウム)の濃度(%)を示している。破断強度については、その数値が高い程、弾力性等の物性は優れているものと考えられる。
また、この図3中において、「○」で記された実線のグラフL31がクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL32がグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL34が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
この図3に示すように、食塩を添加した場合(グラフL34)には、添加する濃度が増すほど、その物性は劣化した。これは、食塩を添加することによって、金属プロテアーゼが活性化して、イカ肉内において自己消化が起こったためであると考えられる。
これに対し、有機酸塩を添加した場合(グラフL31,L32)には、添加する濃度が増すほど、その物性は向上した。具体的には、5%以上のクエン酸ナトリウム、および8%以上のグルコン酸ナトリウムを添加した場合には、無添加の場合(縦軸上)よりも有意(p<0.01)に高い値となった。
なお、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、原料のイカに対して、有機酸塩を1.5%〜20%程度添加することが好ましい。また、本実施形態において、有機酸塩として「クエン酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、1.5%〜15%程度添加することが好ましい。また、有機酸塩として「グルコン酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、7%〜20%程度添加することが好ましい。さらに、有機酸塩として「コハク酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、4%〜16%程度添加することが好ましい。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
本発明の第二実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法は、基本的には、第一実施形態と同様の構成を有し、擂潰工程中に、食塩を添加する「食塩添加工程」を行う点のみが、第一実施形態と異なる。そこで、以下においては、主に、この異なる部分について説明する。
本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、第一実施形態と同様に、「前処理」、「ミンチ工程」、および「擂潰工程」が行われ、この擂潰工程中に、「有機酸塩添加工程」と「食塩添加工程」とが行われる。
第一実施形態においては、イカ肉に内在する酵素(金属プロテアーゼ)の影響を緩和すべく有機酸塩を添加し、イカ肉蛋白質の可溶化もこの有機酸塩にて行った。つまり、イカ肉に対して悪影響を及ぼす可能性の高い食塩を用いることなく、ねり製品を製造した。しかしながら、食塩は蛋白質の溶解作用を促すだけではなく、ねり製品製造時の「調味料」としての機能も有するため、可能であれば(悪影響を抑えることができれば)、添加したいところである。
そこで、本件発明者らは、有機酸塩と食塩とを併用することによって、金属プロテアーゼを活性化させるという食塩の悪影響を抑え、可溶化促進および調味料として食塩を使用することを可能とした。つまり、有機酸塩と食塩とを適切な割合で添加することによって、より良好なねり製品を製造することを可能とした。
ここで、図4は、有機酸塩(有機酸ナトリウム)および食塩が共存する場合において、イカ肉の自己消化(筋肉に内在する酵素(金属プロテアーゼ)による筋肉蛋白質の分解)にどのような影響を及ぼすかを示すグラフである。図4(a)は、クエン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図4(b)は、グルコン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図4(c)は、コハク酸ナトリウムと食塩とが共存する場合を示している。この図4においては、縦軸がHC含量(HCとは筋肉に存在するミオシン(蛋白質)の重鎖)を示し、横軸が添加される食塩の濃度(%)を示している。この図1においては、HC含量が高いほどミオシンが分解されていないこととなる。
図4(a)中においては、「○」で記された実線のグラフL41aが2.9%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL42aが7.4%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL43aが14.7%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL44が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。そして、「◇」が、コントロール(有機酸塩および食塩を添加する前のイカ肉試料中に含まれているHC含量)を示している。
また、図4(b)中においては、「○」で記された実線のグラフL41bが2.2%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL42bが5.5%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL43bが10.9%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL44が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
さらに、図4(c)中においては、「○」で記された実線のグラフL41cが1.6%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL42cが4.1%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL43cが8.1%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL44が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
この図4から明らかなように、食塩のみを添加する場合と比較して、有機酸塩と食塩とを併用した場合の方が、イカ肉の自己消化を抑制することがわかる。例えば、クエン酸ナトリウムを併用した場合は、食塩濃度に関係なく、自己消化抑制効果を有することが明らかとなった(図4(a)参照)。また、グルコン酸ナトリウム、あるいはコハク酸ナトリウムを併用した場合も、食塩のみを添加した場合よりも、自己消化抑制効果を有する傾向があることが明らかとなった(図4(b)、図4(c)参照)。
次に、食塩と有機酸塩(有機酸ナトリウム)とを併用した場合におけるイカ肉蛋白質の溶解性について説明する。
ここで、図5は、有機酸塩(有機酸ナトリウム)および食塩が共存する場合において、イカ肉蛋白質の溶解性にどのような影響を及ぼすかを示すグラフである。図5(a)は、クエン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図5(b)は、グルコン酸ナトリウムと食塩とが共存する場合、図5(c)は、コハク酸ナトリウムと食塩とが共存する場合を示している。この図5においては、縦軸が濁度を示し、横軸が添加される食塩の濃度(%)を示している。濁度は蛋白質の溶解性の指標であり、数値が低い程蛋白質が溶解されていることを示すこととなる。
図5(a)中においては、「◇」で記された実線のグラフL50aが1.5%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「○」で記された実線のグラフL51aが2.9%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL52aが7.4%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL53aが14.7%のクエン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL54が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
また、図5(b)中においては、「○」で記された実線のグラフL51bが2.2%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL52bが5.5%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL53bが10.9%のグルコン酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL44が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
さらに、図5(c)中においては、「○」で記された実線のグラフL51cが1.6%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「△」で記された実線のグラフL52cが4.1%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「□」で記された実線のグラフL53cが8.1%のコハク酸ナトリウムを添加した場合を示し、「×」で記された破線のグラフL44が食塩(NaCl)を添加した場合を示している。
この図5においても、先に説明した図2と同様に、可溶化の基準を濁度「0.5」程度とすると、クエン酸ナトリウムの場合は、その濃度が1.5%の場合(グラフL50a)には、食塩濃度が1.5%程度以上であれば、適切に蛋白質を溶解させることができる。また、クエン酸ナトリウムの濃度が2.9%、7.4%、14.7%の場合(グラフL51a,L52a,L53a)には、食塩濃度に関係なく、適切に蛋白質を溶解させることができる。
グルコン酸ナトリウムの場合には、その濃度が2.2%、5.5%の場合(グラフL51b,L52b)には、食塩濃度が1.5%以上であれば、適切に蛋白質を溶解させることができる。また、グルコン酸ナトリウムの濃度が10.9%の場合(グラフL53b)には、食塩濃度に関係なく、適切に蛋白質を溶解させることができる。
コハク酸ナトリウムの場合には、その濃度が1.6%の場合(グラフL51c)には、食塩濃度が1.5%以上であれば、適切に蛋白質を溶解させることができる。また、コハク酸ナトリウムの濃度が4.1%の場合(グラフL52c)には、食塩濃度が0.6%以上であれば、適切に蛋白質を溶解させることができる。さらに、コハク酸ナトリウムの濃度が8.1%の場合(グラフL53c)には、食塩濃度に関係なく、適切に蛋白質を溶解させることができる。
上述したように、本実施形態にかかる方法によれば、食塩と有機酸塩(有機酸ナトリウム)とを併用することによって、イカ肉に対する悪影響(金属プロテアーゼの活性化)を抑えつつ、イカ肉蛋白質の可溶化およびねり製品の調味料として、食塩を効果的に利用することが可能となる。
本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、上述した「前処理」、「ミンチ工程」、「擂潰工程」、および擂潰工程中の「有機酸塩添加工程」と「食塩添加工程」とを経て、イカを用いた肉糊を得ることができる。
次いで、本実施形態においては、得られた肉糊に対して、予備加熱を行うことなく、直ちに高温加熱処理を行う(「加熱工程」)。ここでは、90℃前後のお湯で20分〜30分間程度ボイルする(茹でる)、あるいは160℃〜180℃程度の油で10分間程度揚げる、高温加熱処理が行われる。また、本実施形態においては、イカ肉に含まれる酵素の働きを緩和するために、加熱工程の直前までは、品温を3℃〜10℃の低温に維持することが好ましい。
本実施形態においても、第一実施形態と同様、予備加熱を行うことなく、直ちに加熱工程を行っている。これは、予備加熱を行うと、イカ肉蛋白質が分解され、完成したねり製品の物性が劣化するからである。
加熱工程が終了した後は、室温に置く等して放冷し、その後、包装して製品(イカを用いたねり製品)とする。
以上説明したように、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、有機酸塩と食塩とを併用することによって、食塩のイカ肉に対する悪影響(金属プロテアーゼの活性化)を緩和すると共に、食塩のねり製品に対する好影響(溶解作用、調味料)を利用して、よりおいしく且つ良好な弾力性を有するねり製品を得ることが可能となった。
なお、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、食塩と有機酸塩とを併用する場合、原料のイカに対して、有機酸塩を約1%〜20%添加すると共に、食塩を約0.3%〜6%添加することが好ましい。また、有機酸塩として「クエン酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、クエン酸ナトリウムを約1%〜15%添加すると共に、食塩を約0.3%〜6%添加することが好ましい。また、有機酸塩として「グルコン酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、グルコン酸ナトリウムを約2%〜20%添加すると共に、食塩を約0.3%〜6%添加することが好ましい。さらに、有機酸塩として「コハク酸ナトリウム」を用いる場合には、原料のイカに対して、コハク酸ナトリウムを約2%〜16%添加すると共に、食塩を約0.3%〜6%添加することが好ましい。
ところで、ねり製品を食品として製造する場合には、溶解性や自己消化の抑制等も重要であるが、このような製品の物性への影響だけではなく、総合的な「味」というものも重要である。そこで、上述した結果を踏まえて、イカを用いたねり製品を製造する際における、有機酸塩の適合割合について検討した。ここでは、溶解性および自己消化抑制に最も高い効果を示したクエン酸ナトリウムの添加を基本とした。
クエン酸ナトリウムは高濃度になるほど苦味を発現し、10%になると食に適する味ではないと感じられた。イカ肉の重量に対しては、クエン酸ナトリウムの添加量が1%〜8%(重量)であれば、イカ肉の味を損なわずに、良好な物性を保っていると判断された。
そこで、クエン酸ナトリウムの添加量を3%として、食塩添加による影響を比較考量した。クエン酸ナトリウムの添加重量に対して、10%〜30%(重量)の食塩を加えた状態であれば、イカらしい「味」と感じられた。この食塩の添加量をクエン酸ナトリウムの添加重量に対して40%以上とすると、塩辛く感じられた。
また、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等を加えることにより、クエン酸ナトリウム単独で添加する場合よりも、クエン酸ナトリウムの味を目立たなくできるのではないかと考え、それぞれ複合的な添加を試みた。具体的には、イカ肉に添加するクエン酸ナトリウムを3%として、他の有機酸塩を共存させた。
その結果、クエン酸ナトリウムの添加重量に対して、5%〜20%(重量)のクエン酸ナトリウム以外の有機酸塩を添加した方が、好ましい味になると感じられた。この範囲内であれば、有機酸塩の種類やその比率等は特に限定されるものではない。ただし、グルタミン酸ナトリウムについては、クエン酸ナトリウムの添加重量に対して、50%程度加えても好ましい味になると感じられる。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
本発明の第三実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法は、基本的には、第一実施形態と同様の構成を有し、擂潰工程中に、澱粉を添加する「澱粉添加工程」を行う点のみが、第一実施形態と異なる。そこで、以下においては、主に、この異なる部分について説明する。
本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法においては、第一実施形態と同様に、「前処理」、「ミンチ工程」、および「擂潰工程」が行われ、この擂潰工程中に、「有機酸塩添加工程」と「澱粉添加工程」とが行われる。
イカを用いてねり製品を製造する場合、従来主原料魚等を用いてねり製品を製造する場合と比較して、加熱後の離水が多い。そこで、本実施形態においては、擂潰工程中のイカ肉に澱粉を添加することによって、その離水を防止した。このように澱粉を添加すれば、ねり製品における加熱後の離水を効果的に防止すると共に、弾力性のあるねり製品を製造することが可能となる。
ここで、図6は、澱粉がモデル的に調製した蒲鉾状のねり製品の品質に及ぼす影響を示すグラフである。図6(a)は、澱粉添加量と離水率とを示すグラフであり、図6(b)は、澱粉添加量と破断強度とを示すグラフである。図6(a)において、縦軸はイカ肉ねり製品の離水率を示し、横軸は澱粉添加量を示している。図6(b)において、縦軸はイカ肉ねり製品の破断強度を示し、横軸は澱粉添加量を示している。なお、本実施形態にかかるイカ肉ねり製品は、約3%のクエン酸ナトリウムを添加して蒲鉾状に構成されている。つまり、本実施形態は、有機酸塩添加工程にて、約3%のクエン酸ナトリウムが添加された状態を示している。
図6(a)中においては、「◇」が澱粉が無添加状態のイカ肉ねり製品の離水率を示し、「○」で記された実線のグラフL61aが馬鈴薯製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の離水率を示し、「△」で記された実線のグラフL62aが小麦製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の離水率を示している。
また、図6(b)中においては、「◇」が澱粉が無添加状態のイカ肉ねり製品の破断強度を示し、「○」で記された実線のグラフL61bが馬鈴薯製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の破断強度を示し、「△」で記された実線のグラフL62bが小麦製の澱粉が添加された状態のイカ肉ねり製品の破断強度を示している。
この図6から明らかなように、馬鈴薯製あるいは小麦製のいずれの澱粉を用いる場合であっても、5%程度の澱粉を添加することによって、イカ肉ねり製品における加熱後の離水をほぼ抑えることが可能となる。また、破断強度についても、澱粉の種類にかかわらず、澱粉の添加量を増せば増すほど、強度が高まることが明らかとなった。
上述の通り、5%程度以上の澱粉を添加すれば、イカ肉ねり製品における加熱後の離水をほぼ完全に抑えることができる。しかしながら、あまりに多くの澱粉を添加すると、イカ肉の味を感じにくくなる。したがって、離水率を抑えて、破断強度を高めると共に、良好な味のねり製品を得るためには、イカ肉重量に対する澱粉の添加量は、5%〜10%程度であることが好ましい。
さらに、第一実施形態〜第三実施形態までの結果を総合的に判断して、本件発明者らは、イカを用いたねり製品を製造する際には、クエン酸ナトリウム、食塩、クエン酸ナトリウム以外の有機酸塩、および澱粉を以下に示す割合にて配合することが好ましいことに想到した。また、加熱工程の直前までは、品温を5℃前後の低温に保持する。
(1)クエン酸ナトリウム:1%〜8%(イカ肉の重量に対して)
(2)食塩:10%〜30%(クエン酸ナトリウムの添加重量に対して)
(3)クエン酸ナトリウム以外の有機酸塩:5%〜20%(クエン酸ナトリウムの添加重量に対して)
(4)澱粉:5%〜10%(イカ肉の重量に対して)
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
本発明の第四実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法は、基本的には、第一実施形態と同様の構成を有するが、有機酸塩添加工程を二段階に分け、本発明の第一有機酸塩添加工程の後に、イカ肉を凍結して保管する「凍結保管工程」(「冷凍すり身化」工程)を行い、ねり製品化する際に適宜解凍して、解凍したイカ肉に対して擂潰工程を行い、この擂潰工程時に第二有機酸塩添加工程を行う点が、第一実施形態と異なる。より具体的には、本実施形態にかかるイカを用いたねり製品の製造方法は、原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、ミンチ工程後のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第一有機酸塩添加工程と、第一有機酸塩添加工程後のイカ肉を凍結して保管する凍結保管工程と、凍結保管工程後のイカ肉を解凍して擂潰処理を行う擂潰工程と、擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第二有機酸塩添加工程とを備えたことを特徴としている。
そこで、以下においては、主に、この異なる部分について説明する。
ねり製品を計画的に生産するためには、原料であるイカの凍結保管と併せて、擂潰前の段階で凍結保管が出来ると、安定的に、あるいは効率的に、ねり製品を生産することが可能である。すなわち、原料のイカから「冷凍すり身化」までと、冷凍すり身から「ねり製品化」までとの、二段階に分けて、生産を行う体制が有効である。
本実施形態においては、第一実施形態と同様に、「前処理」、および「ミンチ工程」が行われ、このミンチ工程後に、「冷凍すり身化工程」が行われる。すり身を凍結保管すると、すり身中のミオシンが変性する現象が、魚肉などで明らかにされており、ミオシンが変性すると最終製品であるねり製品の物性が劣化する。そこで、本実施形態においては、冷凍変性を防止するため、第一有機酸塩添加工程を行う。すなわち、ミンチ工程後のイカ肉に対し、そのイカ肉に対して添加される有機酸塩の一部(例えば、クエン酸ナトリウムの一部(0.2%〜1.5%))を添加した後に、「冷凍すり身化工程(凍結保管工程)」が行われる。
ミオシンの冷凍変性は、冷凍すり身の品質指標ともなっており、ねり製品の弾力に直接影響する。そこで、実際に−20℃で6ケ月間凍結保管し、クエン酸ナトリウムがねり製品の弾力に及ぼす影響を調べ、ごく僅かな0.2%のクエン酸ナトリウムを凍結保管前に加えることで、弾力を維持する効果を有することが確認された。また、クエン酸ナトリウムが3%以上になると、ミオシンの溶解が起こり、すり身として形を維持することが出来ず、現実的には利用出来ない状態であった。図2に示したように、溶解が起こる濃度は、クエン酸ナトリウムであれば約2%〜15%程度、グルコン酸ナトリウムであれば約7%以上、コハク酸ナトリウムであれば約4%〜16%程度が必要である。しかしながら、本件発明者らは、凍結保管工程前の第一有機酸塩添加工程においては、図2で示した値よりも少ない量の有機酸塩を添加することが適切であることを見出すに至った。つまり、図2にて示した範囲内の有機酸塩を添加しても、その後凍結保管する場合には、すり身として形を維持できないことがある。したがって、凍結保管工程前の第一有機酸塩添加工程においては、図2にて示した範囲にかかわらず、その値以下(図2にて示した範囲も含む)の有機酸塩を添加することが好ましいことが明らかとなった。例えば、第一有機酸塩添加工程にてクエン酸ナトリウムを添加する場合には、上述したように、約0.2%〜3%未満のクエン酸ナトリウムを添加することが好ましい。
本実施形態においては、「冷凍すり身化工程(凍結保管工程)」を行うことによって、「イカ冷凍すり身」を得ることができる。そして、ねり製品を製造する際には、イカ冷凍すり身を解凍し、「擂潰工程」および「第二有機酸塩添加工程」が行われる。この「第二有機酸塩添加工程」においては、第一実施形態等の「有機酸塩添加工程」で示した添加量から、「第一有機酸塩添加工程」にて添加した量を差し引いた残りの量の有機酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)が添加される。
なお、本実施形態においては、第二実施形態および第三実施形態にて説明した「食塩添加工程」および「澱粉添加工程」を行うことが好ましい。このような構成とすれば、本実施形態は、上述した本実施形態にかかる特有の効果に加えて、第一実施形態〜第三実施形態にて説明された効果を得ることができる。
本件発明者らは、以上の結果を踏まえ、第一実施形態〜第四実施形態までの結果を総合的に判断して、イカを用いたねり製品を製造する際には、クエン酸ナトリウム、食塩、および澱粉を以下に示す割合にて配合することが好ましいことに想到した。また、加熱工程の直前までは、品温を5℃前後の低温に保持する。
(1)クエン酸ナトリウム(第一クエン酸ナトリウム添加工程時):0.2%〜1.5%(イカ肉の重量に対して)
(2)クエン酸ナトリウム(第二クエン酸ナトリウム添加工程時):0%〜2.8%(イカ肉の重量に対して)
(3)食塩:10%〜30%(クエン酸ナトリウムの添加重量に対して)
(4)澱粉:2%〜20%(イカ肉の重量に対して)
<実施例>
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例においては、原料として金属プロテアーゼを含有するイカである「スルメイカ」を用いた。前処理として、このスルメイカの内蔵、鰭部、頭脚部を除去して、外套膜肉を採取した。
次いで、採取した外套膜肉に対し、ミンチ機を用いてミンチ処理を行った(本発明の「ミンチ工程」に相当)。ここでは、穿孔されている孔径が10mmのプレートを用いてミンチ処理を行った。
次いで、本実施例においては、ミンチ工程後のイカ肉に対し、高速カッタを用いて擂潰処理を行った(本発明の「擂潰工程」に相当)。具体的には、ミンチ工程にて粗めに砕いたイカ肉(ミンチ肉)を短時間(3分〜15分程度)で細かくすることが可能な高速カッタを用いた擂潰処理を行った。
次いで、本実施例においては、上記擂潰工程中に、クエン酸ナトリウム、食塩、グルタミン酸ナトリウム、および澱粉を以下の割合(イカ肉の重量に対して)で添加した(本発明の「有機酸塩添加工程」「食塩添加工程」「澱粉添加工程」に相当)。
(1)クエン酸ナトリウム:1.5%(イカ肉の重量に対して)
(2)グルタミン酸ナトリウム:0.3%(イカ肉の重量に対して)
(3)食塩:0.5%(イカ肉の重量に対して)
(4)澱粉:5%(イカ肉の重量に対して)
次いで、本実施例においては、前処理、ミンチ工程、擂潰工程、有機酸塩添加工程、食塩添加工程、および澱粉添加工程を経て得られたイカを用いた肉糊に対して、予備加熱を行うことなく、直ちに高温加熱処理(加熱工程)を行った。ここでは、160℃〜180℃程度の油で10分間程度揚げる、高温加熱処理を行った。なお、加熱工程の直前までは、品温を5℃前後の低温に保持する。
最後に、加熱工程が終了した後は、室温に置く等して放冷し、その後、包装して製品(イカを用いたねり製品)が完成した。
以上のようにして得られたねり製品に対し、官能評価(23名)を行った。
その結果、官能評価に参加した全員が、「おいしい」と評価した。また、「イカらしい」、「イカの味がする」、「今までにない蒲鉾」等の好意的な意見が多かった。
本実施例にて得られた「ねり製品」の味については、官能評価の通りであり、また、その弾力性等の物性についても、魚肉から作るねり製品並みの弾力性を有するねり製品を得ることに成功した。
なお、本発明は上記各実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記以外のものであっても必要に応じて種々の変更を行うことが可能である。
上記実施形態および実施例においては、原料となるイカとして「スルメイカ」を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。つまり、本発明にかかる技術は、金属プロテアーゼを有するイカ等の魚介類を原料とするねり製品を製造する場合には、どのような原料を利用する場合にも適用可能である。
上記実施形態および実施例においては、クエン酸塩として「クエン酸ナトリウム」を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。つまり、本発明にかかる技術である、金属プロテアーゼを抑制するためのクエン酸塩の作用は、陰イオンであるクエン酸による金属キレート作用と推定されるものであり、陽イオンの種類は限定されるものではなく、いかなる種類のクエン酸塩を用いても適用可能である。
また、上記実施形態および実施例においては、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム)を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、クエン酸塩の代わりに、クエン酸塩添加量の50%を超えない範囲で、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等の他の有機酸塩に置き換えてもよい。
また、上記各実施形態および実施例においては、それぞれの製造工程時における温度等については特に言及しなかったが、本発明における加熱工程までの全ての工程については、可能な限り低温を保持する方が好ましい。
また、本発明においては、必要に応じて、擂潰工程終了前に、真空ポンプ等を用いて、イカ肉内部の脱気処理を行うことが好ましい。これは、含気作用の強いイカ肉糊中に含まれる気泡を可能な限り取り除くためである。このように、イカ肉糊中から気泡を取り除けば、イカを原料として、より弾力性のあるねり製品を製造することができる。

Claims (7)

  1. イカを用いたねり製品の製造方法であって、
    原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、
    前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、擂潰処理を行う擂潰工程と、
    前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程と
    を備え、
    前記ミンチ工程が、8mm〜15mmの孔径を有するプレートを用いて行われ、
    前記擂潰工程が、高速カッタを用いて行われ、
    前記有機酸塩添加工程にて添加される前記有機酸塩がクエン酸塩であって、前記クエン酸塩が、2%〜5%添加される
    ことを特徴とするイカを用いたねり製品の製造方法。
  2. イカを用いたねり製品の製造方法であって、
    原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行うミンチ工程と、
    前記ミンチ工程後のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第一有機酸塩添加工程と、
    前記第一有機酸塩添加工程後のイカ肉を凍結して保管する凍結保管工程と、
    前記凍結保管工程後のイカ肉を解凍して擂潰処理を行う擂潰工程と、
    前記擂潰工程中のイカ肉に対し、有機酸塩を添加する第二有機酸塩添加工程と
    を備え、
    前記ミンチ工程が、8mm〜15mmの孔径を有するプレートを用いて行われ、
    前記擂潰工程が、高速カッタを用いて行われ、
    前記第一有機酸塩添加工程にて添加される前記有機酸塩がクエン酸塩であって、前記クエン酸塩が、0.2%〜1.5%添加され、
    前記第二有機酸塩添加工程にて添加される前記有機酸塩がクエン酸塩であって、前記クエン酸塩が、1%〜2.8%添加される
    ことを特徴とするイカを用いたねり製品の製造方法。
  3. イカを用いたねり製品の製造方法であって、
    原料となるイカから採取したイカ肉に対し、ミンチ処理を行う第一ミンチ工程と、
    原料となる魚から採取した魚肉に対し、ミンチ処理を行う第二ミンチ工程と、
    前記第一ミンチ工程後のイカ肉および前記第二ミンチ工程後の魚肉に対し、擂潰処理を行う擂潰工程と、
    前記擂潰工程中、あるいは前記第二ミンチ工程後の魚肉に対し、有機酸塩を添加する有機酸塩添加工程と
    を備え、
    前記第一ミンチ工程が、8mm〜15mmの孔径を有するプレートを用いて行われ、
    前記擂潰工程が、高速カッタを用いて行われ、
    前記有機酸塩添加工程にて添加される前記有機酸塩がクエン酸塩であって、前記クエン酸塩が、2%〜5%添加される
    ことを特徴とするイカを用いたねり製品の製造方法。
  4. 前記擂潰工程中に食塩を添加する、食塩添加工程を有し、前記食塩が、0.3%〜1.5%添加される
    請求項1から3のいずれか1項に記載のイカを用いたねり製品の製造方法。
  5. 前記擂潰工程中のイカ肉に対し、2%〜20%の澱粉を添加する澱粉添加工程を有する
    請求項1から4のいずれか1項に記載のイカを用いたねり製品の製造方法。
  6. 前記イカとして、金属プロテアーゼを含有するイカが用いられる
    請求項1から5のいずれか1項に記載のイカを用いたねり製品の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかの方法によって得られた
    ことを特徴とするイカを用いたねり製品。
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