JP4826582B2 - 光拡散板とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プロジェクションテレビおよびマイクロフィルムリーダ等に使用される透過型スクリーン、主としてそれに用いられる光拡散板とその製造方法に関する。
プロジェクションテレビ(PTV)、特に光学エンジン(プロジェクタ)11からの投射光を表面鏡12を介してスクリーン13の背面側に投射して、拡大画像を透過させる方式の背面投射型(リア型)PTV10(図4参照)は、ホームシアターなどの大画面を安価に実現しうるものとして注目されている。上記スクリーン(透過型)13は、図5に示すように、表面鏡からの拡散光を略平行光として出射するフレネルシート2、およびフレネルシート2からの略平行光を水平方向に拡げて出射するレンチキュラーシート3の少なくとも2枚のレンズシートから構成される。さらに、レンズの保護、低反射・アンチグレア、指紋除去などの機能を備えたプロテクター4を、レンチキュラーシート3の出射側に配置した構成も一般的である。31は遮光層である。
上記のようなPTV用スクリーンにおいて、水平の視野角(viewing angle)は上記レンチキュラーシート3のレンズ作用により拡げるのに対し、垂直の視野角の拡大は光拡散材(light diffusion agent)による光拡散性(light diffusion property)を利用している。光拡散材としては、粒径1〜30μm程度の微粒子を含む材料が使用されている。このような微粒子を含む材料としては、例えば、微粒子をプロテクター4中に練込んだ態様、または微粒子を含む拡散膜をプロテクター4に積層した態様がある。
またPTVにおいて、光学エンジンとして、液晶、DMD(Digital Micromirror Device:商品名)などのマトリックス状の画素構造を用いるマイクロディスプレイ(MD)タイプの高精細プロジェクタが普及するに伴い、シンチレーション(scintillation)と称される投影画像内に視覚される不要なぎらつき(ちらつき)現象が顕著化している。ただし、このシンチレーションは、その原理、どの程度が許容されるのかといった点や定量的な評価方法についてまだ確立されていない。
シンチレーション現象の課題を含むMDタイプのPTVに使用しうる光拡散材料の提案がある。なかでも、解像度を低下させずに本来の高精細な画質を確保するために、2種以上の異なる種類の光拡散材料を組合わせることが提案されている。
例えば、フレネルシートおよび/またはレンチキュラーシートの基板に光拡散材を含ませ、かつ各レンズシートが2層の光拡散層(light diffusion layer)を有する場合には、光透過側から形状が均一な有機系材料からなる光拡散層、次いで、シリカなどの無機系材料からなる光拡散層の順にすることが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1には、上記により、レンチキュラーシートの観察者にもっとも近い光拡散層を、不均一な鱗片形状であることが多い無機系材料からなる光拡散層(ハードコート)とすることにより、光拡散層の表面が適度に荒れ、ギラツキが生じない旨記載されている。その実施例として、透明な樹脂基板の片面に、シリカを濃度30%で分散した紫外線硬化性アクリル系樹脂でハードコート層(層厚20μm)を塗布形成し、基板の他面に、MS(アクリルースチレン共重合)架橋ビーズを濃度10%で分散したアクリル系樹脂で有機層(層厚20μm)を塗布形成し、有機層を粘着層としてレンチキュラーシートに積層した構成が示されている。
無機系材料および有機系材料を組合わせる他例として、光透過方向に対して上記と逆に配置させる態様を提案するものもある(特許文献2参照)。この特許文献2には、高精細液晶パネルを用いたPTVでは、CRTタイプのPTVに比べて投影レンズの投射瞳径が小さいため、プロジェクターからの入射光の輝度が局所的に高くなるなどのホットスポット現象およびシンチレーション現象(投影画像面に視覚される不要なちらつき)が起きるのを防止するという課題が記載されている。そして、この課題を解決するために、平均5〜15μmの有機系微粒子を基材中に5〜20wt%含む厚さ500〜1000μmの第1光拡散シートと、平均粒径2〜10μmの無機系微粒子を基材中に1〜10wt%含む厚さ50〜500(または5000)μmの第2光拡散シートとを備えた透過型スクリーンが開示されている。上記第1光拡散シートを観察者側に配置し、第2光拡散シートをプロジェクタ側に配置する態様が示されている(特許文献2の図2B参照)。
さらに、特許文献2と同様にホットスポット現象およびシンチレーション現象の課題を解決し、明るく高解像度で、水平、垂直の両方向で広い視野角を持ち、コントラストに優れ、鮮明な画像が観察できる透過型スクリーンを、比較的低コストで提供するものとして、フレネルシートおよびレンチキュラーシートの少なくとも一方を、シート基板の厚さ方向で光拡散材の分散濃度が異なる2層以上の構造とした透過型スクリーンが提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3には、光拡散層が多層構成であるため、光拡散基板全体として、あるいはレンズシートのレンズ特性に応じた光拡散特性を所望に制御する上で好適である旨記載され、具体的に、透明基板上に、20μmの層厚の2種の光拡散層を積層した構造および拡散材の材質として有機系同士または無機系および有機系の組合わせが開示されている。しかし、濃度分布として具体的に示されているのは、唯一、拡散材を30%で含む層と15%で含む層との組み合わせである。
光拡散材の濃度分布の異なる多層光拡散層を含む上記と同様な目的の透過型スクリーンの他例としては、光拡散材を20〜50重量%含有する第1光拡散層(厚み50〜200μm)と、0.1〜10.0重量%含有する第2光拡散層(厚み500〜5000μm)との2層を含む透過型スクリーンが開示されている(特許文献4参照)。この特許文献4に記載の光拡散材は、いずれの層でも重量平均粒子径1〜12μmの透光性微粒子であり、第1光拡散層に含まれる透光性微粒子は、基材(透光性プラスチック)との屈折率差Δnが0.07〜0.17のものに限定され、第2光拡散層は層全体の曇価50〜85%で規定されている。第2光拡散層に含まれる透光性微粒子の上記Δnについて、第1光拡散層よりも小さい0.01〜0.1の値が例示されている。ここに開示される具体的な層構成は、Δnの小さい光拡散材を少量(0.1〜10重量%)含有する厚い基板(第2光拡散層)上に、Δnが大きい光拡散材を多量(20〜50重量%)に含有する光拡散膜(第1光拡散層)が積層された構造である。
光拡散層を積層する基板としてガラス板を用いることが提案されている(特許文献5参照)。
特開2003−131325号公報 特開2003−131326号公報 特開2002−236319号公報 特開2000−180973号公報 特開2002−357868号公報
上記のような光拡散材を含む層(膜または基材)の厚みおよび光拡散材の量はスクリーン特性との関連性が高い。すなわち、光拡散層を厚くし、光拡散材を光透過方向に多重に存在させれば、視野角の拡大効果が充分得られる。また、光拡散層がある程度の層厚を有することにより該層の剛性も確保できる。一方、光拡散層が厚いと、結像面に厚みがでる(厚み方向での結像回数が多い)ため、本質的に解像度(resolution)は低下し、光透過方向における光拡散材量が多いほどピークゲイン(画面の輝度)は低下する。
シンチレーションの定量的な評価方法は確立されていないが、MDタイプのPTVにおけるシンチレーションの顕著化は、投射光の指向性が強く、特定方向の輝度が高くなるため、スクリーン表面の微細凹凸あるいは拡散材によって散乱された光がぎらついて視覚されやすいためであると推測される。これは、MDタイプのプロジェクタからのRGB光が合成光として直線的にレンチキュラーシートに入射することに起因していると推測される。よって、プロジェクタからのRGB光が各色光が別々の角度でレンチキュラーシート(レンズ)に入射するCRTタイプのPTVに対し、MDタイプのPTVは高コンラスト(高S/N比)で、高精細な画像が得られる一方、シンチレーションが起きやすいといえる。
本発明は、PTVに用いられる透過型スクリーン、特にMDなどの光学エンジンを搭載する高精細なPTVに好適に使用できる透過型スクリーンおよびそれに用いられる光拡散板を提供することを目的としている。特に本発明は、基板としてガラス板を用いた場合は、大型化にも対応できる高剛性の透過型スクリーンおよびそれに用いられる光拡散板を提供することを目的としている。より具体的には、高精細なPTVに使用しても、光拡散層による視野角の拡大とピークゲインのいずれも満たすだけでなく、高解像度および高コントラストを確保し、しかもシンチレーションを低減することができ、耐擦傷性および耐候性などの耐久性にも優れる光拡散板とその製造方法、該拡散板を含む透過型スクリーンおよび該透過型スクリーンを用いた背面投射型プロジェクションテレビを提供することを目的としている。
上記のような課題に鑑みて光拡散材を含む透過型スクリーンを開発する上で、まず、光学エンジンが高度化し、光学エンジンの変更に伴いレンズシートのレンズ設計が変更される可能性、さらにスクリーンの大型化の可能性を考慮すれば、光拡散層を独立形態の拡散板とすることにより、レンズシートの種類にも制限を受けにくく有用性が高いといえる。
また透明基板上に光拡散層を積層した構造とすれば、高剛性の光拡散板が容易に得られる。本発明者は、そのような拡散板に、PTVに求められるスクリーン特性を満たす拡散性、特に高精細PTVにも好適な拡散性をもたせるべく検討した。なお、光拡散材を多量に含ませるか光拡散層を厚くして拡散性を強くすることにより、シンチレーションが抑制されることは公知であるが、ピークゲイン、解像度およびコントラストが低下する課題がある。このため、これら特性と拡散性(視野角拡大)とのバランスを取る必要がある。
本発明者は、ヘイズあるいは視野角などのマクロな指標で表現される拡散性を強くしても、ピークゲインの低下に伴いシンチレーションが目立たなくなるだけであって、必ずしもシンチレーションの抑制効果が充分ではないことを知見した。シンチレーションの抑制効果も含めた良好な拡散性を得るものとして、光拡散材のある特性が重要であると思料した。特に、光透過層を形成するマトリックスと光拡散材との屈折率差(Δn)、すなわち光拡散材の拡散能力に着目して拡散性の均一化方法を検討し、基板上に積層する光拡散層を、Δnが大きい光拡散材を低密度(低体積率)で含む層と、Δnが小さい光拡散材を高密度(高体積率)で含む層との組合わせによる2層構造を着想した。このような積層構造をさらに検討し、上記Δnについて、0.04≦Δn≦0.2を満たす光拡散材を体積率(volume fraction)40%未満の低密度で含む第1光拡散層と、0.005≦Δn<0.04を満たす光拡散材を体積率40%以上の高密度で含む第2光拡散層との2層構造とすることにより、光拡散層全体の層厚を薄くでき、ピークゲインおよび解像度を確保できるとともに、上記特定層の組合わせにより、全体として拡散性を均一化でき、これによりシンチレーションを低減できることを見出した。
なお、拡散の均一性の評価手法としては、例えばCCDカメラ型の輝度計で、画面全体を取り込んで、その輝度のばらつきを評価するなどが考えられる。
また、本明細書において、マトリックスと光拡散材との屈折率差(Δn)とは、マトリックスと光拡散材との屈折率の差の絶対値をいう。
上記のような光拡散層では、Δnが小さい、すなわち拡散能力が小さく、透過光にわずかな屈折を生じさせる光拡散材が高密度に充填されている第2光拡散層により、微小な拡散の回数を多くして拡散の均一化が図れる。さらに、Δnが大きい、すなわち拡散能力の高い光拡散材を含む第1光拡散層により、第2光拡散層とはΔnの違いによる異なる拡散をさせることができ、拡散を均一化し、シンチレーションを低減することができる。しかも、第2光拡散層においては、光拡散材が高密度であることで、層厚が薄くても拡散回数を確保することができる。また、第1光拡散層においては、Δnが大きい光拡散材であれば、これを少量含有する薄膜でも視野角を拡大することができることから、全体として光拡散層の層厚を薄くでき、ピークゲインの低下、解像度およびコントラストを損なわずに、シンチレーションの低減化を達成することができる。上記光拡散層は、基板上に、第1光拡散層、第2光拡散層の順に積層されていることが好ましく、この態様において、第2光拡散層が透過光の入射側に配置されることが特に好ましい。
さらに、第2光拡散層中に光拡散材を複数種類含むことにより、さらにシンチレーションを防止できることを見出した。このような構造の拡散板が、上記特性を満たすものであることを確認し、以下のような本発明を完成するに至った。
本発明に係る光拡散板は、基板と、基板上に形成された光拡散層とを含む光拡散板であって、光拡散層は、第1マトリックスおよび第1マトリックスとの屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含む第1光拡散層と、第2マトリックスおよび第2マトリックスとの屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含む第2光拡散層との少なくとも2層からなり、第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が40%未満であり、かつ第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が40%以上であり、光拡散層の層厚が、合計で、硬化後の層厚で5〜200μmである光拡散板である。
また、本発明に係る光拡散板は、基板と、基板上に形成されてなる光拡散層とを含む光拡散板であって、光拡散層は、第1マトリックスおよび第1マトリックスとの屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含む第1光拡散層と、第2マトリックスおよび第2マトリックスとの屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含む第2光拡散層との少なくとも2層からなり、第1光拡散材および/または第2光拡散材が複数種類の光拡散材を含み、第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が35%未満であり、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が35%以上であり、光拡散層の層厚の合計が、硬化後の層厚で5〜200μmである光拡散板である。
上記のようなΔnおよび体積率で特定される2層構造の光拡散層は知られていない。
例えば特許文献1には、シリカ濃度30%のハードコート層A(20μm)と、MS架橋ビーズ濃度10%の有機層B(20μm)とが、透明樹脂基板の両面に別々に積層された構造が示されている。しかし、この特許文献1では、各層について、Δnおよび体積率をなんら開示していない。特許文献1では、微粒子の形状を利用することが特徴であり、また正面輝度(front brightness)の低下を招くため、光拡散材の濃度を高くすることができない旨の記載があり、本発明とは根本的に異なる。
また特許文献2に開示される、有機系微粒子を5〜20wt%含む第1光拡散シートと、無機系微粒子を1〜10wt%含む第2光拡散シートとからなる2層構造が示されるが第1光拡散シートの厚みだけでも500〜1000μmと厚いものである。
透明基板の片面上に、光拡散材を含む2層の光拡散層(各20μm)を積層した構造を示す特許文献3も、各層についてのΔnおよび体積率は具体的に開示されていない。無機系および有機系を組合わせた光拡散材の使用により、各層でのΔnが異なる場合があっても、Δnの小さい光拡散材を40%超の体積率で高密度に含ませる態様、さらにはその必要性は示されていない。
また、特許文献3で示されているのは、光拡散材を含まない透明樹脂基板の一方の面に、光拡散材を含む樹脂層(光拡散層)を2層以上積層し、透明樹脂基板の他の面がレンチキュラーレンズに面するように、粘着層を介して積層される構成である。この構成においては、レンチキュラーレンズと拡散層との距離が長いため、映像の解像度が低下する課題がある。
さらに、2層構造の各層についてΔnを示す特許文献4の光拡散板では、Δnの小さい光拡散材を低濃度(0.1〜10重量%)で含む基板上に、Δnの大きい拡散材を高濃度(20〜50重量%)で含む層を積層した形態であり、光拡散層全体として少なくとも500μmの厚みを有する。また各層におけるΔnの大小と濃度の高低との関係は、Δnの大きい光拡散材を低密度(低体積率)で含む層と、Δnの小さい光拡散材を高密度(高体積率)で含む層との組合わせによる本発明と逆の組合わせである。
本発明の好ましい態様において、第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が10%以上40%未満であり、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が40%以上60%以下である。
上記基板は、好ましくはガラス板である。上記において、好ましくは第2光拡散層が第1光拡散層に接して、第1光拡散層を介して基板上に形成される。第2光拡散層は、好ましくは透過光の入射側に配置される。
上記のような第1光拡散層および第2光拡散層は、塗膜として形成することができる。
具体的には、基板と、基板上に形成された光拡散層とを含む光拡散板の製造方法であって、第1マトリックス形成成分および第1マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含有し、かつ第1光拡散材の液中体積率が40%未満である第1光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布し、第2マトリックス形成成分および第2マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含有し、かつ第2光拡散材の液中体積率が40%以上である第2光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布することにより光拡散層を形成する光拡散板の製造方法である。
さらに本発明では、フレネルシートおよびレンチキュラーシートとともに上記の光拡散板を含み、フレネルシート、レンチキュラーシートおよび光拡散板の順に、かつ該光拡散板の光拡散層側が前記レンチキュラーシート側に配置された透過型スクリーンを提供する。
本発明に係る透過型スクリーンは、背面投射型プロジェクションテレビ用スクリーンとして好適である。
本発明に係る光拡散板は、ピークゲインを低下させることなく、良好な視野角(拡散性)が得られ、しかもシンチレーションを低減することができる。よって、特に光学エンジンからの投射光の高解像度および高コントラストを確保することが可能となる。
特にガラス板を基板とする光拡散板の態様では、耐擦傷性および耐候性などの耐久性に優れる。また、レンズシートの設計変更の影響を受けにくく、汎用性が高い。このような拡散板を含む本発明の透過型スクリーンは、背面投射型PTV用スクリーン、特に高精細のMDタイプのPTV用スクリーンとして好適である。
本発明の拡散板を示す側断面図である。 本発明の透過型スクリーンの一態様例を模式的に示す斜視図である。 本発明の透過型スクリーンの他の態様例を模式的に示す斜視図である。 背面投射型プロジェクションテレビの説明図である。 従来の透過型スクリーンを模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1…拡散板
2…フレネルシート(レンズシート)
3…レンチキュラーシート(レンズシート)
31…遮光層
10…透過型スクリーン
100…基板
101…第1光拡散層(光拡散層)
102…第2光拡散層(光拡散層)
110…光拡散層
以下、本発明を図を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明に係る光拡散板を模式的に示す側断面図である。図1中、光拡散板1は、基板100と、その表面100a上に形成された、マトリックス中に光拡散材が分散された光拡散層110を有する。なお、拡散層110は、基板100の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。光拡散層110は、マトリックスとの屈折率差Δnが互いに異なる光拡散材を含む少なくとも2層で構成される。具体的には、表面100a上に、上記ΔnとしてのΔnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含む第1光拡散層101と、Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含む第2光拡散層102とからなる光拡散層を有する。図1中、矢印は、光拡散板1をPTV用透過スクリーンなどに適用した場合における光透過方向を示す。なお図1には、基板100上に、第1光拡散層101、第2光拡散層102の順で光拡散層110が積層された好ましい層順序の態様を示すが、この第2光拡散層102と第1光拡散層101の順序が逆の態様、つまり第1光拡散層101が第2光拡散層102を介して積層されてもよい。
なお、本明細書において、マトリックスとは、光拡散層の層そのものを形成する材料をいい、具体的には後述するマトリックス形成成分と、場合によってはマトリックス形成成分の硬化に必要な硬化剤から形成される層成分を意味する。また、マトリックスの屈折率とは、マトリックス形成成分から形成される層(硬化物)の屈折率を意味し、後述する光拡散層形成用塗布液中に含まれるマトリックス形成成分の屈折率とほぼ同一である。
基板は、拡散板としての機能発揮のために透明基板であることが好ましく、具体的には、可視光透過率(JIS K7361−1(1997年))が85%以上であることが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、などの透明樹脂材料からなる基板、またはガラス板などを使用することができる。これらのうちでも、ガラス板は高い透明性および表面平坦性に加え高剛性を有するため好ましい。特に、強化ガラスが衝撃などに対する耐性が高く破損を生じにくいためより好ましい。高剛性を有するガラス板であれば、PTV用スクリーンの大型化(例えば、画面の大きさが40インチ(1016mm)以上)にも容易に対応することができる。また、ガラス板は、耐擦傷性および耐候性などの耐久性にも優れ、気圧の変化および外部からの衝撃などに起因した反りを発生しにくい。よって、拡散板と組合せるレンズシートへの反りによる影響、例えばレンチキュラーシートとフレネルシートとが擦れて互いに削られるなどの不具合を回避することができる。
図1に示す好ましい態様において、基板100の表面100b(光拡散層110が形成されていない面)が拡散板1における観察面になるため、基板100が平坦性が高いガラス板であれば、基板100の表面100bのうねりによる表示画像の画質低下を生じにくく、高級感のある画面を実現することができる。さらに光拡散層110は、後述するようにマトリックス形成成分および光拡散材を分散した光拡散層形成用塗布液(例えば、塗料またはインキ)の塗布などにより形成することができる。基板100の表面100a(光拡散層110が形成されている面)の平坦性が高いと、塗料の均一な塗付が容易となり、均一な厚みで光拡散層110を得ることができ、結果として不均一な層厚(膜ムラ)に起因するシンチレーションを抑制することができる。
基板の厚さは、材質および画面の大きさなどによっても異なるが、ガラス板の場合には1.5〜4.5mmであることが好ましい。基板は、表示画像のコントラストを向上させるために着色されていてもよい。この着色材は、基板が透明樹脂材料からなる場合、染料または顔料であることが好ましい。
光拡散層110のマトリックスを構成するマトリックス形成成分は、層を形成した後に光拡散材の結合剤の働きをする。また、マトリックス形成成分は、層を形成した後に基板との接着性を有する材料であり、かつ透明であることが好ましい。
また、マトリックス形成成分は、塗布による層の形成を可能にする材料が好ましく、特に、熱、紫外線などにより硬化する架橋塗膜材料が好ましい。このようなマトリックス形成成分としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂材料、あるいは金属アルコキシドの加水分解物から得られる架橋物、低融点ガラスなどの無機材料またはこれらの混合物などが挙げられる。
マトリックス形成成分の屈折率は、有機材料で1.42〜1.59、無機材料で1.45〜2.7であることが好ましい。なお、マトリックス形成成分の屈折率は、マトリックス形成成分から形成されるマトリックスの屈折率とほぼ同等である。第1光拡散層101中の第1のマトリックスを構成する第1のマトリックス形成成分の材料と、第2光拡散層102中の第2のマトリックスを形成する第2のマトリックス形成成分の材料とは、同一でも互いに異なっていてもよい。2つのマトリックス形成成分の材料は、同一であることが製造効率の点で好ましい。
光拡散層110に含まれる光拡散材は、透明な、つまり可視光域において吸収がほとんどない微粒子であり、かつ微粒子径が数ミクロン程度の微粒子であれば、その材質は特に制限されない。光拡散材としては、例えば、シリカ、アルミナなどの透明な無機酸化物微粒子、ガラスビーズなどの無機系微粒子、あるいは透明なポリマービーズなどの有機系微粒子またはこれらの混合物が挙げられる。光拡散材は、粒子径が均一な微粒子が得やすいという理由で有機系微粒子が好ましい。有機系微粒子としては、ポリマービーズが例示される。ポリマービーズとしては、アクリル系、スチレン系、シリコーン系樹脂からなるものが挙げられ、特にアクリル(PMMA)樹脂微粒子、MS(アクリルースチレン共重合)樹脂微粒子などの架橋樹脂が耐薬品性の点で好ましい。また、ポリマービーズの形状は真球状であることが塗布膜中に均一に分散できる点で好ましい。
光拡散材の平均粒子径は1〜20μm、特に5〜10μmであることが好ましい。1μm未満では光の屈折率に波長分散が生じやすく、20μm超では面内の輝度分布が粗い膜になりやすいため好ましくない。また、光拡散材の屈折率は、その材料によって値は異なるが、本発明における屈折率差を満たすような値であれば特に限定されない。具体的には、光拡散材の屈折率が1.42〜1.59であることが好ましい。
第1光拡散層101および第2光拡散層102にそれぞれに含まれる第1光拡散材および第2光拡散材の材料は、Δnおよび後述する層中体積率を満たせば、同一でも異なっていてもよい。特に、第2光拡散層における高い体積率を満たすためには、少なくとも第2光拡散層の光拡散材は高密度充填を可能にする真球状のポリマービーズが好ましい。また、第1光拡散材および第2光拡散材ともに、真球状のポリマービーズであることが好ましい。
第1光拡散層に含まれる第1光拡散材は、第1マトリックスとの屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2、好ましくは0.05≦Δn≦0.1となるものが選択される。
また、第2光拡散層に含まれる第2光拡散材は、第2マトリックスとの屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04、好ましくは0.01≦Δn≦0.03となるものが選択される。なお、マトリックスの屈折率は、光拡散剤の屈折率よりも低くてもよいし、高くてもよく特に限定されない。なお、本明細書における屈折率差とは、2種の屈折率の差の絶対値を意味する。第1光拡散層における屈折率差および第2光拡散層における屈折率差を上記範囲とすることで所望の拡散性(視野角)を得ることが可能となる。
第1光拡散材および/または第2光拡散材は、ともに、1種類のみならず、複数種類であってもよい。複数種類である場合、上記ΔnおよびΔnは、光拡散材の種類を光拡散材a、光拡散材b・・とすると、下記の式のように計算される。
Figure 0004826582
なお、[数1]におけるAとは、(層中の光拡散材aの質量含有率/光拡散材aの比重)を意味し、[数1]におけるBとは、(層中の光拡散材bの質量含有率/光拡散材bの比重)を意味する。
上記計算式から、光拡散材aとマトリックスとの屈折率差を、第1光拡散層の場合はΔn1a・・、第2光拡散層の場合はΔn2a・・とすると、個々の光拡散材の屈折率は、必ずしも0.04≦Δn1a≦0.2、0.005≦Δn2a<0.04といった範囲中にある必要はなく、上記数1のような式で求めたΔnおよびΔnを満たすような値であればよい。ただし、複数種類含まれる光拡散材とマトリックスとの屈折率の差は、含まれるすべての光拡散材で、第1拡散層で0.01≦Δn1a≦0.2、第2拡散層で0.005≦Δn1b0.08であることが好ましい。上記範囲を外れると、局所的に拡散の度合いが変化し、拡散に不均一が生じる可能性があるため好ましくない。
さらに、複数種類の光拡散材として2種類の光拡散材を用いる場合、それぞれの光拡散材の屈折率の差は、第1拡散層で0.01〜0.3、第2拡散層で0.005〜0.1であることが、拡散に不均一が生じさせない点で好ましい。
特に、第2光拡散層に複数種類の光拡散材を用いることで、より拡散の均一性が高まる点で好ましい。
第1光拡散層における第1光拡散材の体積率(以下、層中体積率(第1)と略称することもある)は、40%未満、好ましくは10%以上40%未満である。また、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率(以下、層中体積率(第2)と略称することもある)は、40%以上、好ましくは40%以上60%以下である。第1光拡散層における体積率および第2光拡散層における体積率を上記範囲とすることで、微小な拡散を多くさせることができ、結果的に拡散の均一化を図ることができる。
なお各層の光拡散材の体積率(以下、層中体積率と略称することもある)は、層中の光拡散材の体積百分率を、層中の光拡散材の体積百分率およびマトリックスの体積百分率の合計値で割った値である。層中体積率は、SEM等により光拡散層の断面図を観察することで求めることが可能であり、後述する塗布液中の光拡散材の体積率(液中体積率)とほぼ同一である。
なお、第1光拡散材および/または第2光拡散材が複数種類である場合、層中体積率は、各々の光拡散材の層中体積率の和で算出される。また、複数種類の場合、層中体積率(第1)は、35%未満、好ましくは10%以上35%未満である。また、層中体積率(第2)は、35%以上、好ましくは35%以上60%である。第1光拡散層における体積率および第2光拡散層における体積率を上記範囲とすることで、微小な拡散を多くさせることができ、結果的に拡散の均一化を図ることができる。また、光拡散材を複数用いることにより、体積率を若干低下させても、十分な光の均一化の効果が得られる。
また、第2光拡散材は複数種類の光拡散材を用い、第1光拡散材は1種類の光拡散材を用いることがさらに好ましい。第2光拡散材を複数種類とすることで、複数種類の拡散が組み合わさることにより、拡散の均一性が高まるという効果が得られる。
複数種類の光拡散材として2種類の光拡散材を用いる場合、(屈折率の高い光拡散材の層中体積率)<(屈折率の低い光拡散材の層中体積率)であることが、拡散材の充填率を高め、拡散の均一性を維持できる点で好ましい。その場合、屈折率の高い光拡散材の層中体積率は1〜40%であり、屈折率の低い光拡散材の層中体積率は60〜99%であることが好ましい。
本発明に係る光拡散板1において、第1光拡散層および第2光拡散層の少なくとも2層からなる光拡散層の層厚の合計は、硬化後の層厚で5〜200μmであり、好ましくは10〜100μmである。また、硬化後の層厚で、第1光拡散層の層厚は1〜100μm、特に2〜50μm、さらには20〜30μmとなることが好ましく、第2光拡散層の層厚は1〜100μm、特に2〜50μm、さらには20〜30μmとなることが好ましい。また、光拡散板の可視光透過率は、光源からの光をロスなく利用する点で、(JIS K7361−1(1997年))が85%以上であることが好ましい。また、光拡散層において、光拡散材がマトリックス中に均一に分散していることが好ましい。
本発明における光拡散層は、第1光拡散層および第2光拡散層の少なくとも2層からなるが、基板に対して第1光拡散層を介して第2光拡散層を形成してもよいし、逆に第2光拡散層を介して第1光拡散層を形成してもよい。ただし、基板に対して第1光拡散層を介して第2光拡散層を積層することが、シンチレーション低減の点で好ましい。また、本発明の光拡散板において、第1光拡散層および第2光拡散層以外の層を設けてもよい。例えば、埃の吸着を防止するための帯電防止層といった層である。
上記のような層構成の光拡散板は、マトリックス形成成分や光拡散材を分散した光拡散層形成用塗布液(以下、塗布液と略称することもある)を、基板上に塗布することにより形成することができる。塗布は、各々の塗布液で別々に行うことが好ましい。
塗布液は、通常、マトリックス形成成分や光拡散材を液中に分散した組成物であり、均一に分散していることが好ましい。塗布液はさらに必要に応じてマトリックス形成成分の硬化のための硬化剤を含む。塗布液中の硬化剤の含有量は、20質量%以下、好ましくは10質量%であることが、拡散板としての特性を損ねない点で好ましい。さらに塗布液は、本発明の目的を損なわない限り、他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、例えば、基板との接着性を向上させるための成分である補強剤、分散剤、基材への濡れ性を高める界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などが例示される。上記他の成分は、塗布液中に10質量%以下であることが、拡散板としての特性を損ねない点で好ましい。塗布液に用いる溶媒は、材料に応じて、塗布に適した汎用の溶媒を適宜選択できる。
塗布液中の光拡散材の体積率(以下、液中体積率と略称することもある)は、光拡散層の特性を考慮すれば下記に示すような体積率によって表すことが好ましい。
Figure 0004826582
なお、[数2]において、「塗布液中の光拡散材の質量含有率」とは、塗布液中のマトリックス形成成分、硬化剤および光拡散材の合計質量に対する光拡散材の質量含有率を意味し、「塗布液中のマトリックスの質量含有率」とは、塗布液中のマトリックス形成成分、硬化剤および光拡散材の合計質量に対するマトリックス形成成分および硬化剤の合計質量含有率を意味する。また、「光拡散材の比重」とは光拡散材そのものの比重を意味し、「マトリックスの比重」とは、マトリックス形成成分の比重および硬化剤の比重の質量加重平均を意味する。なお、光拡散材の比重は、有機材料で1.1〜1.3、無機材料で1.9〜5.5であることが好ましい。例えば、光拡散材がアクリル(PMMA)微粒子である場合には、比重は1.2である。また光拡散材がMS樹脂である場合には、その構成単位PMMAの比重(1.2)およびPSの比重(1.06)と、各単位の共重合比から算出することができる。また、マトリックス形成成分の比重は、有機材料で1.1〜1.3、無機材料で1.9〜5.5であることが好ましい。例えば、マトリックス形成成分がウレタン系樹脂である場合には、比重は、1.12〜1.24であることが好ましい。硬化剤の比重は1.1〜1.2であることが好ましい。ガラス用接着補強剤の比重は0.9〜1.0であることが好ましい。
また、光拡散材が複数種類の場合、質量含有率は各々の光拡散材の質量含有率の和で計算される。また、光拡散材の比重は、光拡散材の種類を光拡散材a、光拡散材b・・とすると、下記式のように計算される。
Figure 0004826582
第1光拡散層を形成するための第1光拡散層形成用塗布液(以下、第1塗布液と略称することもある)中の光拡散材の体積率(以下、液中体積率(第1)と略称することもある)は1%以上40%未満が好ましい。1%未満では光拡散材が少なすぎて第1拡散層の機能を果たせず、40%以上では光拡散性が大きすぎて、正面輝度が低下するため好ましくない。第2光拡散層を形成するための第2光拡散層形成用塗布液(以下、第2塗布液と略称することもある)中の光拡散材の体積率(以下、液中体積率(第2)と略称することもある)は40%以上60%以下が好ましい。
40%未満では光拡散材が少なすぎてシンチレーション低減が不十分のため好ましくなく、60%超ではマトリックスの割合が少なすぎて基材との密着性が低下しやすくなるため好ましくない。マトリックス形成成分自体が液状である場合には、溶媒を用いることなくそのまま塗布液として使用することもできる。また、実質的な効果を発揮しうる充分な層厚を得るために、塗布液中の全固形分濃度を10質量%以上とすることが好ましい。
また、第1光拡散材および/または第2光拡散材が複数種類である場合、液中体積率は、各光拡散材の質量含有率の和で算出される。また、複数種類の場合、液中体積率(第1)は、35%未満、好ましくは10%以上35%未満である。また、液中体積率(第2)は、35%以上、好ましくは35%以上60%以下である。液中体積率を上記範囲とすることで、微小な拡散を多くさせることができ、結果的に拡散の均一化を図ることができる。
光拡散材として複数種類の光拡散材を用いる場合、光拡散材の種類を光拡散材a、光拡散材b・・とすると、下記の式のように計算される。
Figure 0004826582
なお、数4におけるAとは、(塗布液中の光拡散材aの質量含有率/光拡散材aの比重)を意味し、数4におけるBとは、(塗布液中の光拡散材bの質量含有率/光拡散材bの比重)を意味する。
複数種類の光拡散材として2種類の光拡散材を用いる場合、(屈折率の高い光拡散材の液中体積率)<(屈折率の低い光拡散材の液中体積率)であることが、光拡散材の充填率を高め、拡散の均一性を維持できる点で好ましい。その場合、屈折率の高い光拡散材の体積率は1〜40%であり、屈折率の低い光拡散材の体積率は60〜99%であることが好ましい。
第1塗布液に含まれる第1光拡散材は、第1マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2、好ましくは0.05≦Δn≦0.1となるものが選択される。また、第2塗布液に含まれる第2光拡散材は、第2マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04、好ましくは0.01≦Δn≦0.03となるものが選択される。なお、マトリックス形成成分の屈折率は、光拡散剤の屈折率よりも低くてもよいし、高くてもよく特に限定されない。第1光拡散層における屈折率差および第2光拡散層における屈折率差を上記範囲とすることで所望の拡散性(視野角)を得ることが可能となる。
第1光拡散材および第2光拡散材は、ともに、1種類のみならず、複数種類であってもよい。複数種類である場合、上記ΔnおよびΔnは、光拡散材の種類を光拡散材a、光拡散材b・・とすると、下記の式のように計算される。
Figure 0004826582
なお、数5におけるAとは、(塗布液中の光拡散材aの質量含有率/光拡散材aの比重)を意味し、数5におけるBとは、(塗布液中の光拡散材bの質量含有率/光拡散材bの比重)を意味する。
上記計算式から、光拡散材aとマトリックスとの屈折率差を、第1光拡散層の場合はΔn1a・・、第2光拡散層の場合はΔn2a・・とすると、各々の光拡散材の屈折率は、必ずしも0.04≦Δn1a≦0.2、0.005≦Δn2a<0.04といった範囲中にある必要はなく、上記数5のような式で求めたΔnおよびΔnを満たすような値であればよい。ただし、複数種類含まれる光拡散材とマトリックスとの屈折率の差は、第1拡散層で0.01≦Δn1a≦0.3、第2拡散層で0.005≦Δn1b0.08であることが好ましい。上記範囲を外れると、局所的に拡散の度合いが変化し、拡散に不均一が生じる可能性があるため、好ましくない。
さらに、複数種類の光拡散材として2種類の光拡散材を用いる場合、お互いの光拡散材の屈折率の差は、第1拡散層で0.01〜0.3、第2拡散層で0.005〜0.1であることが、拡散に不均一が生じさせない点で好ましい。
基板がガラス板であると、樹脂板と比較した場合、塗布液を均質に塗布することができるため好ましい。
塗布液の塗付方法は、塗膜形成に使用されるバーコート、スピンコート、ディップコート、スクリーン印刷、ダイコートなどの公知の方法を、特に制限なく適用することができる。特にバーコートであることが好ましい。塗膜の硬化は、必要に応じて加熱または紫外線照射などをマトリックス材料に応じて適宜に選択し、適用することができる。加熱は、あまり高くない温度で行うことが好ましく、大気中において80〜150℃の低温で、5〜60分間の加熱が好ましい。なお、第1(第2)塗布液の塗布後、上記加熱条件で加熱後に第2(第1)塗布液を塗布することが好ましい。
本発明に係る光拡散板は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記基板および光拡散層に加え、他の膜や基板を含む構成であってもよい。例えば、外光の映り込みを防止するための低反射層あるいはアンチグレア処理が施されたフィルム(いずれも図示せず)を基材観察面に積層するか、あるいは基材観察面にアンチグレア処理を施してもよい。上記低反射性、アンチグレア性を付与するための材料もしくは方法は、公知の技術を適宜に適用することができる。
本発明に係る透過型スクリーンは、上記のような光拡散板を含み、光拡散板の光拡散層がレンズシートの光出射側に配置される以外は、特に制限されない。図2は、本発明の透過型スクリーンの一態様における構成を模式的に示す斜視図である。図3は、別態様レンチキュラーシート3を含む透過型スクリーンの構成を模式的に示す斜視図である。
透過型スクリーン10は、フレネルシート2、レンチキュラーシート3および拡散板1の順に配置され、拡散板1は、光拡散層110側がレンチキュラーシート3側に配置されている。なお、各図において、同一符号は、同一または相当部材を示し、その重複説明を省略する。
各図中、矢印は、光学エンジン(図示せず)からの投射光の進行方向を示す。
フレネルシート2は、光学エンジンからの画像光を略平行光として出射し(観察者方向に向け)、画面全体を均一に明るくするためのレンズシートである。レンチキュラーシート3は、フレネルシート2からの略平行光を水平方向に屈折させる凸状のシリンドルカルレンズ群を水平方向に並列に配列したレンズシートであり、観察者の左右方向に画像光を屈折拡散させ、水平方向の視野角(観察領域)を拡げて出射する。
各レンズシートの光透過面には、上記のレンズが形成されているが、これらレンズの形状は、光学エンジンによっても異なり、例えばCRTタイプのPTVに用いられる透過型スクリーンの場合には、図2に示すような両面にレンズが形成されたレンチキュラーシート3が用いられることが多い。また、投影レンズの投射瞳径が小さい液晶などの高精細MDタイプのPTVに用いられる透過型スクリーンの場合には、図3に示すような片面だけにレンズが形成されたレンチキュラーシート3が用いられることが多い。
またレンチキュラーシート3の出射面には、コントラスト向上のために、画像光の通過しない非集光部領域に外光を吸収するストライプ状の遮光層31が形成されていることが好ましい。上記レンズシートは、光学エンジンの種類などに応じて、広く公知のものから適宜のものを選択し、拡散板1と組合わせることができる。
上記のような透過型スクリーンは、背面投射型PTV、特に投射光の指向性が高いMDなどの高精細PTV用透過型スクリーンとして好適である。
本発明の光拡散板は、第2光拡散層の屈折率差Δnを小さい値とすることで、第2光拡散層中の微粒子濃度を高めることができ、かつ光の拡散を均一化することが可能である。さらに、第1光拡散層の屈折率差Δnを大きい値とすることで、輝度の維持と視野角の拡大を両立することが可能となる。また第2光拡散層と異なる拡散をさせることで拡散を均一にさせることができ、シンチレーションを防止することができる。また、層中体積率を好ましい範囲とすることで、微小な拡散を多くさせることができ、結果的に拡散の均一化を図ることができる。
次に本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<塗布液Aの調製>
マトリックス形成成分としてウレタン樹脂溶液(二液硬化型スクリーンインキMAB000、固形分45質量%、樹脂の比重1.2、屈折率1.55)を100g、上記ウレタン樹脂用の硬化剤(210硬化剤、比重1.1)を5g、ガラス用接着補強剤(帝国インキ製造(株)製)を0.5g、光拡散材としてアクリル樹脂微粒子(積水化成品工業(株)製:MBX−8(架橋PMMAの真球状微粒子)、比重1.2、平均粒子径8μm、屈折率1.49)を17.5g混合、撹拌し、塗布液Aを得た。塗布液Aの液中体積率は26%であり、固形分濃度は14質量%であった。
<塗布液Bの調製>
光拡散材として、アクリル樹脂微粒子の代わりにMS樹脂微粒子(積水化成品工業(株)製:SMX−8M(PMMA/PSの真球状微粒子)、比重1.1、平均粒子径8μm、屈折率1.56)を41g用いた以外は、上記と同様にして塗布液Bを得た。塗布液Bの液中体積率は47%であり、固形分濃度は28質量%であった。
なお、液中体積率は[数2]を用いて算出した。[数2]で用いられるマトリックスの比重は、マトリックス形成成分であるウレタン樹脂および硬化剤の比重および含有率から質量加重平均して算出した。このようにして求めた実施例1におけるマトリックスの比重は1.19であった。以下の例でも、上記計算により求めたマトリックスの比重を液中体積率の計算に用いた。
<光拡散層の形成>
30cm角のガラス板(無強化ガラス、厚み3mm、可視光透過率(JIS K7361−1(1997年))91%)の表面に、塗布液Aをバーコーター(No.22)で塗布し、150℃の乾燥機で30分大気中で乾燥して第1光拡散層を形成した。続いて、塗布液Bをバーコーター(No.22)で塗布し、150℃の乾燥機で30分大気中で乾燥して第2光拡散層を積層し、ガラス板の片面に光拡散層を形成し光拡散板を得た。上記光拡散板について、以下の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。なお、得られた光拡散板のコントラストは良好である。
なお、層中体積率はSEM写真により各層の断面を観察することにより求める。また、層厚はマイクロメータにより求めた。
<評価>
正面輝度(ピークゲイン):光拡散層が形成された面を光源側にして、光拡散板をプロジェクター((株)日立製作所製:PJ−TX10−J)によって一定の照度で照らした。
光源と反対側の面での輝度を分光輝度計(コニカミノルタホールディングス(株)製:CS−1000A)により測定した。1100以上であることが実用上好ましい。
拡散性(視野角):上記正面輝度の測定条件において、分光輝度計の光拡散板に対する角度をずらしながら輝度を測定し、正面輝度の半分になる角度(α)を測定した。評価基準は以下のとおりである。○であることが実用上好ましい。
○:α≧11°
△:9°≦α<11°
×:α<9°
シンチレーション:上記正面輝度の測定条件において、シンチレーションを目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:シンチレーションは、鑑賞時全く気にならない。
○:シンチレーションは、鑑賞時気にならない。
△:シンチレーションが発生し、鑑賞時やや気になる。
×:シンチレーションが激しく、鑑賞し辛い。
解像度:上記正面輝度の測定条件において、解像度を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:解像度が高く、輪郭も明瞭である。
△:解像度がやや低く、輪郭が不明瞭である。
×:解像度が低く、画像がぼやけて見える。
(実施例2)
実施例1において、塗布液AおよびBの塗布順序を逆にした以外は、実施例1と同様にしてガラス板の片面に光拡散層を形成し、光拡散板を得た。上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。なお、得られた光拡散板のコントラストは良好である。
(比較例1)
<塗布液の調製>
塗布液Aの光拡散材の量を、表2に示す量とした以外は、塗布液Aの調製と同様にして、塗布液Cを調製した。塗布液Cにおける液中体積率は44%であり、固形分濃度は27質量%であった。また、塗布液Bの光拡散材の量を、表2に示す量とした以外は、塗布液Bの調製と同様にして、塗布液Dを調製した。塗布液Dにおける液中体積率は27%であり、固形分濃度は14質量%であった。
<光拡散層の形成>
実施例1の塗布液Aの代わりに塗布液Cを、塗布液Bの代わりに塗布液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散層を形成し、光拡散板を得た。上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
(比較例2)
実施例1の塗布液Aの代わりに塗布液Dを、塗布液Bの代わりに塗布液Cを用いた以外は、実施例2と同様にして光拡散層を形成し、光拡散板を得た。上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
(比較例3)
塗布液Aの光拡散材の量を、表2に示す量とした以外は、塗布液Aの調製と同様にして、塗布液Eを調製した。塗布液Eの液中体積率は33%であり、固形分濃度は19質量%であった。
30cm角のガラス板(無強化ガラス、厚み3mm、可視光透過率(JIS K7361−1(1997年))91%)の表面に、塗布液Eをバーコーター(No.22)で塗布し、150℃の乾燥機で30分大気中で乾燥して光拡散層を形成し、光拡散板を得た。
上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
(比較例4)
比較例3において、塗布液Eの代わりに塗布液Bを用いる以外は比較例3と同様にして、光拡散板を得た。上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
(比較例5)
塗布液Bの光拡散材の使用量を80gとした以外は、塗布液Bの調製と同様にして塗布液Fを得た。塗布液Fの液中体積率は63%であった。
比較例3において、塗布液Eの代わりに塗布液Fを用いる以外は比較例3と同様にして、光拡散板を得た。上記光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
(比較例6)
市販の光拡散材練込み板について、実施例1と同様に評価した。層構成および評価結果を表1に、塗布液の組成を表2に示す。
なお、形成された光拡散板は、どの例においても、可視光透過率が90%以上である。
また、実施例1、2、後述する実施例3および比較例1〜5の光拡散板は、CCD型の輝度計でばらつきを評価したところ、これらの例について拡散が均一である。また、形成された光拡散板は、どの例においても、耐擦傷性および耐候性などの耐久性に優れている。
Figure 0004826582
Figure 0004826582
表中、*1)二液硬化型スクリーンインキ
*2)硬化剤(210硬化剤)
*3)ガラス用接着補強剤(帝国インキ製造(株)製)
(実施例3)
<塗布液の調製>
実施例1における塗布液Aの光拡散材であるアクリル樹脂微粒子17.5gの代わりに、スチレン樹脂微粒子(積水化成品工業(株)製:SBX−4(架橋ポリスチレンの真球状微粒子)、比重1.06、平均粒子径4μm、屈折率1.59)14.2gを用いた以外は実施例1と同様にして、塗布液A2を調製した。塗布液A2の液中体積率は24%であり、固形分濃度は12質量%であった。このときの、マトリックスと光拡散材との屈折率差Δnは0.04であった。
また、実施例1における塗布液Bの光拡散材であるMS樹脂微粒子41gの代わりに、アクリル樹脂微粒子(積水化成品工業(株)製:MBX−8(架橋PMMAの真球状微粒子)、比重1.2、平均粒子径8μm、屈折率1.49)14gおよびMS樹脂微粒子(積水化成品工業(株)製:SMX−8M(PMMA/PSの真球状微粒子)、比重1.1、平均粒子径8μm、屈折率1.56)20gの2種類の微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、塗布液B2を調製した。このときの、マトリックスと光拡散材との屈折率差Δnは、[数5]を用いて算出すると、0.03であった。
塗布液B2の液中体積率は、[数4]を用いて算出すると、2つの微粒子合計で41%であり、固形分濃度は2つの微粒子合計で24質量%であった。
<光拡散層の形成>
実施例1における塗布液Aの代わりに塗布液A2、塗布液Bの代わりに塗布液B2を用いる以外は実施例1と同様にして、光拡散層を形成し、光拡散板を得た。第1光拡散層における第1光拡散材と第1マトリックスとの屈折率差Δnは0.04であり、第2光拡散層における第2光拡散材と第2マトリックスとの屈折率差Δnは、[数1]を用いて算出すると、0.03であった。
層中体積率は、SEM写真により各層の断面を観察することにより求め、第1光拡散層は24%、第2光拡散層は41%であった。層厚は、マイクロメータの測定により、両方の層とも25μmであった。
この光拡散板について、実施例1と同様の評価を行った。その結果、正面輝度:1400、視野角および解像度は各々○で、シンチレーションは◎であった。なお、得られた光拡散板のコントラストは良好である。
実施例1および2は、屈折率差および体積率が本発明の範囲に入っており、拡散性、シンチレーションおよび解像度が良好である。また、輝度も練込板と同等なレベルであり良好である。
特に実施例3は第2光拡散層に複数の光拡散材を用いているため、より拡散の均一性が高められる結果、拡散性、シンチレーションおよび解像度が良好となる。
これに対し、比較例1〜2は、第2拡散層の屈折率差および体積率が本発明の範囲になく、微小な拡散を多くすることができず、シンチレーションが悪化し好ましくない。また、マトリックスとの屈折率差の大きい微粒子が多く含まれるという理由で輝度が低く、好ましくない。
比較例3〜5は、拡散層を1層のみ設けた層であるが、シンチレーションの特性を満たすことができず、好ましくない。また、比較例6の練込板も光拡散層が2mmと厚く、解像度が悪く好ましくない。
本発明に係る光拡散板は、PTV用透過型スクリーンの光拡散板、液晶表示パネルのバックライト用光拡散板などとして有用である。

なお、2005年6月6日に出願された日本特許出願2005−165908の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. 基板と、基板上に形成されてなる光拡散層とを含む光拡散板であって、
    光拡散層は、第1マトリックスおよび第1マトリックスとの屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含む第1光拡散層と、第2マトリックスおよび第2マトリックスとの屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含む第2光拡散層とで構成され
    第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が40%未満であり、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が40%以上であり、
    光拡散層の層厚の合計が、硬化後の層厚で5〜200μmである光拡散板。
  2. 基板と、基板上に形成されてなる光拡散層とを含む光拡散板であって、
    光拡散層は、第1マトリックスおよび第1マトリックスとの屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含む第1光拡散層と、第2マトリックスおよび第2マトリックスとの屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含む第2光拡散層とで構成され
    第1光拡散材および/または第2光拡散材が複数種類の光拡散材を含み、
    第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が35%未満であり、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が35%以上であり、
    光拡散層の層厚の合計が、硬化後の層厚で5〜200μmである光拡散板。
  3. 第2光拡散材として2種類の光拡散材を用いる場合、それぞれの光拡散材の屈折率の差が0.005〜0.1である請求項2に記載の光拡散板。
  4. 第1光拡散層における第1光拡散材の体積率が10%以上40%未満であり、第2光拡散層における第2光拡散材の体積率が40%以上60%以下である請求項1に記載の光拡散板。
  5. 第1光拡散層の層厚が1〜100μmであり、第2光拡散層の層厚が1〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散板。
  6. 光拡散板の可視光透過率(JIS K7361−1(1997年))が85%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散板。
  7. 基板が、ガラス板である請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散板。
  8. 第2光拡散層が第1光拡散層を介して基板上に形成される請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散板。
  9. フレネルシートおよびレンチキュラーシートとともに請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散板を含み、フレネルシート、レンチキュラーシートおよび光拡散板の順に、かつ該光拡散板の光拡散層側が前記レンチキュラーシート側に配置されている透過型スクリーン。
  10. 請求項9に記載の透過型スクリーンを用いた背面投射型プロジェクションテレビ。
  11. 基板と、基板上に形成された光拡散層とを含む光拡散板の製造方法であって、
    第1マトリックス形成成分および第1マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含有し、かつ下記の[数1]に規定する第1光拡散材の液中体積率が40%未満である第1光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布し、
    第2マトリックス形成成分および第2マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含有し、かつ下記の[数1]に規定する第2光拡散材の液中体積率が40%以上である第2光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布することにより光拡散層を形成する光拡散板の製造方法。
    Figure 0004826582
  12. 基板と、基板上に形成された光拡散層とを含む光拡散板の製造方法であって、
    第1マトリックス形成成分および第1マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.04≦Δn≦0.2である第1光拡散材を含有し、かつ下記の[数2]に規定する第1光拡散材の液中体積率が35%未満である第1光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布し、
    第2マトリックス形成成分および第2マトリックス形成成分との屈折率差Δnが0.005≦Δn<0.04である第2光拡散材を含有し、かつ下記の[数2]に規定する第2光拡散材の液中体積率が35%以上である第2光拡散層形成用塗布液を基板上に塗布し、
    第1光拡散材および/または第2光拡散材が複数種類の光拡散材を含んでいる光拡散板の製造方法。
    Figure 0004826582
    なお、[数2]におけるAとは、第1光拡散材および/または第2光拡散材に含まれる光拡散材の種類を光拡散材a、光拡散材b・・とした場合に、(塗布液中の光拡散材aの質量含有率/光拡散材aの比重)を意味し、[数2]におけるBとは、(塗布液中の光拡散材bの質量含有率/光拡散材bの比重)を意味する。
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