JP4824850B2 - ハロゲノピリジンカルボキサミドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲノピリジンカルボキサミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲノピリジンカルボキサミドは、医薬、農薬、あるいは、その他の製品の中間体に使用される有用な化合物である。
【0003】
ハロゲノピリジンカルボキサミドは、一般にハロゲノピリジンカルボン酸クロライドをアミノ化して得る方法が知られているが(J.Org.chem.,13(1948),834-)、この方法では、原料であるハロゲノピリジンカルボン酸クロライドが高価であり、工業的には好ましい方法ではない。
【0004】
一方、ハロゲノシアノピリジンを加水分解してハロゲノピリジンカルボキサミドを得る方法は、強アルカリを用いて高温で反応を行うと、更に加水分解の進んだカルボン酸が生成してしまう(特開昭56−1699672)。また、強酸を用いて加水分解を行うとカルボン酸の生成と同時にハロゲン部位の加水分解を生じるため目的物が得られない。さらに、弱アルカリでは、反応速度が遅すぎて収率をあげることができないという問題があり、実用化が不可能であった。
【0005】
さらに、この種の加水分解反応において、弱アルカリ条件で過酸化水素などの酸化剤を用いる方法が知られているが(Synthesis,1989,949)、多量に酸化剤を使用することが必要であり工業的には適しておらず、アルカリ性で酸化剤自身が分解してしまうため反応の制御が難しく、加えて、ハロゲン基を持つ反応基質の場合、他の置換基のものと比べ収率が落ちるという難点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ハロゲノピリジンカルボキサミドを工業的に適した安価で操作性良く製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ハロゲノピリジンカルボキサミドの製法について検討した結果、ハロゲノシアノピリジンの加水分解を行うに際し、反応系内に酸素ガスを吹き込みながら、反応を行うことにより、副生物の生成を抑制して、収率良くハロゲノピリジンカルボキサミド化合物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0009】
【化3】
Figure 0004824850
(式中、Xは、ハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲノシアノピリジンを、加水分解反応することにより一般式(2)
【0010】
【化4】
Figure 0004824850
(式中、Xは、前記と同じ意味を表す。)で示されるハロゲノピリジンカルボキサミドを製造する方法において、反応液中に酸素を供給しながら反応を行うことを特徴とするハロゲノピリジンカルボキサミドの製造方法に存する。
【0011】
本発明において、原料として使用されるハロゲンノシアノピリジン化合物としては、前示一般式(1)で示される化合物である。Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子が挙げられるが、なかでも塩素原子が好ましい。ハロゲノシアノピリジン化合物の具体例としては、2−クロロ−3−シアノピリジン、2−クロロ−4−シアノピリジン、2−クロロ−5−シアノピリジン、2−クロロ−6−シアノピリジン、3−クロロ−2−シアノピリジン、3−クロロ−4−シアノピリジン、3−クロロ−5−シアノピリジン、3−クロロ−6−シアノピリジン、4−クロロ−3−シアノピリジン、または、4−クロロ−2−シアノピリジン、2−ブロモ−3−シアノピリジン、2−ブロモ−4−シアノピリジン、2−ブロモ−5−シアノピリジン、2−ブロモ−6−シアノピリジン、3−ブロモ−2−シアノピリジン、3−ブロモ−4−シアノピリジン、3−ブロモ−5−シアノピリジン、3−ブロモ−6−シアノピリジン、4−ブロモ−2−シアノピリジン、または、4−ブロモ−3−シアノピリジン、2−フルオロ−3−シアノピリジン、2−フルオロ−4−シアノピリジン、2−フルオロ−5−シアノピリジン、2−フルオロ−6−シアノピリジン、3−フルオロ−2−シアノピリジン、3−フルオロ−4−シアノピリジン、3−フルオロ−5−シアノピリジン、3−フルオロ−6−シアノピリジン、4−フルオロ−2−シアノピリジン、4−フルオロ−3−シアノピリジンなどが挙げられる。
【0012】
本発明の方法は、反応系内に酸素を供給しながら反応を行うことを特徴とする。供給する酸素としては、酸素ガス、空気中の酸素等の気体酸素が好ましい。
本発明における反応液中への酸素の供給方法は、液中へ酸素ガスや空気を吹き込む方法や強く撹拌して上記ガスを液中に抱き込ませる方法等が挙げられる。
その供給形態としては、連続式でも、間欠式でも良い。
反応系内への酸素供給量は、通常、酸素ガス換算で0.01〜200l/M・min、好ましくは、1〜200l/M・minである。
【0013】
本発明では、通常、溶媒として水を用いるのが好ましいが、有機溶媒、あるいは有機溶媒と水の2層系でもよい。 具体的な溶媒の例としては、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、i−ブタノール、n−ブタノール、Sec−ブタノール,t−ブタノール、ペンタノール、および、オクタノールなどの脂肪族アルコール類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、及びオクタンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、および、THFなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジメチル、および、エチレンカーボネートなどのエステル類などであるN,N-ジメチルホルムアミド,N-メチルピロリドンなどのアミド系溶媒,スルホラン,スルホレンなどのイオウ元素含有溶媒などがあげられる。
【0014】
溶媒使用量は、使用する溶媒によって決まるが、全反応物質の撹拌が可能な量で良い。
収率、製品の品質を考慮すると、ハロゲノシアノピリジン化合物に対して、1〜15倍量が好ましい。
【0015】
本発明の方法では、反応系内にアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩を共存させるのが好ましく、上記金属塩の具体的な例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどの水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどの炭酸塩が挙げられる。
上記金属塩の使用量としては、ハロゲノシアノピリジン化合物に対して0.01〜10モル倍量好ましくは0.1〜2モル倍量である。
【0016】
本発明の反応温度は通常、0〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
反応圧力は、常圧でも、加圧でもよい。
【0017】
本発明においては少量の酸化剤を併用しても良く、用いられる酸化剤としては過酸化水素水,過塩素酸及びその塩類,次亜塩素酸及びその塩類があげられる。酸化剤の用いる量は、ハロゲノシアノピリジン化合物に対して0〜0.5モル倍量好ましくは0〜0.1モル倍量である。
【0018】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0019】
実施例1
撹拌機及び還流冷却器、温度計を備えた5Lガラス製反応器に、2-クロロ-5-シアノピリジン 1000gと水2000gを入れ、炭酸カリウム400gを加えた。次に35%過酸化水素水50gを加えた。反応溶液中に空気を毎分30ml通気しながら、80℃まで昇温した。HPLC分析で6-クロロニコチン酸アミドが増加しなくなるまで4時間反応を行った。次に50℃まで冷却してトルエン1200gを加え更に30℃まで冷却後、結晶物をろ取した。ろ過物をろ過器上でトルエン及び水を用いて洗浄した。結晶を減圧下50℃で乾燥して、6-クロロニコチン酸アミド1052gを得た(収率 93.1%)。HPLCで純度分析したところ純度99.9%であった。
【0020】
比較例1
撹拌機及び還流冷却器、温度計を備えた500mLガラス製反応器に、2-クロロ-5-シアノピリジン 100.0gと水200.0gを入れ、炭酸カリウム40gを加えた。次に35%過酸化水素水5gを加えた後、80℃まで昇温した。HPLC分析で6-クロロニコチン酸アミドが増加しなくなるまで10時間反応を行った。次に50℃まで冷却してトルエン120gを加え更に30℃まで冷却後、結晶物をろ取した。ろ過物をろ過器上でトルエン及び水を用いて洗浄した。結晶を減圧下50℃で乾燥して、6-クロロニコチン酸アミド85.6gを得た(収率75.8%)。
【0021】
実施例2
撹拌機及び還流冷却器、温度計を備えた500mLガラス製反応器に、2-クロロ-5-シアノピリジン 100.0gと水200.0gを入れ、炭酸カリウム40gを加えた。反応溶液中に空気を毎分30ml通気しながら、80℃まで昇温した。HPLC分析で6-クロロニコチン酸アミドが増加しなくなるまで10時間反応を行った。次に50℃まで冷却してトルエン120gを加え更に30℃まで冷却後、結晶物をろ取した。ろ過物をろ過器上でトルエン及び水を用いて洗浄した。結晶を減圧下50℃で乾燥して、6-クロロニコチン酸アミド86.0gを得た(収率 76.1%)。
【0022】
比較例2
撹拌機及び還流冷却器、温度計を備えた500mLガラス製反応器に、2-クロロ-5-シアノピリジン 100.0gと水200.0gを入れ、炭酸カリウム40gを加えた。80℃まで昇温し反応を行った。HPLC分析で反応率を測定したところ3時間後に6-クロロニコチン酸アミドの生成率が35.0%まで上がった後、10時間たっても生成率は38%であり増加しなかった。
【0023】
実施例3
撹拌機及び還流冷却器、温度計を備えた500mLガラス製反応器に、2-クロロ-3-シアノピリジン 100.0gと水200.0gを入れ、炭酸ナトリウム25gを加えた。反応溶液中に空気を毎分30ml通気しながら、80℃まで昇温した。HPLC分析で2-クロロニコチン酸アミドが増加しなくなるまで10時間反応を行った。次に50℃まで冷却してトルエン120gを加え更に30℃まで冷却後、結晶物をろ取した。ろ過物をろ過器上でトルエン及び水を用いて洗浄した。結晶を減圧下50℃で乾燥して、2-クロロニコチン酸アミド86.3gを得た(収率 76.4%)。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ハロゲノシアノピリジンから高収率且つ簡便にハロゲノピリジンカルボキサミドを得ることが出来る。

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004824850
    (式中、Xは、ハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲノシアノピリジンを、加水分解反応することにより一般式(2)
    Figure 0004824850
    (式中、Xは、前記と同じ意味を表す。)で示されるハロゲノピリジンカルボキサミドを製造する方法において、溶媒として水を使用し、反応液中に酸素を供給しながら反応を行うことを特徴とするハロゲノピリジンカルボキサミドの製造方法。
  2. 一般式(1)
    Figure 0004824850
    (式中、Xは、ハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲノシアノピリジンを、加水分解反応することにより一般式(2)
    Figure 0004824850
    (式中、Xは、前記と同じ意味を表す。)で示されるハロゲノピリジンカルボキサミドを製造する方法において、酸化剤の共存下で、反応液中に酸素を供給しながら反応を行うことを特徴とするハロゲノピリジンカルボキサミドの製造方法。
  3. ハロゲノピリジンカルボキサミドが、2−クロロ−3−ピリジンカルボキサミド、2−クロロ−4−ピリジンカルボキサミド、2−クロロ−5−ピリジンカルボキサミド、2−クロロ−6−ピリジンカルボキサミド、3−クロロ−2−ピリジンカルボキサミド、3−クロロ−4−ピリジンカルボキサミド、3−クロロ−5−ピリジンカルボキサミド、3−クロロ−6−ピリジンカルボキサミド、4−クロロ−2−ピリジンカルボキサミド及び4−クロロ−3−ピリジンカルボキサミドからなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
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