JP4824737B2 - 電気防食用陽極体および該陽極体を備えたコンクリート構造物、ならびに電気防食用陽極体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート内の鉄筋などの鋼材の防食に用いられる電気防食用陽極体および該陽極体を備えたコンクリート構造物、ならびに電気防食用陽極体の製造方法に関する。
一般的に、コンクリート構造物内がアルカリ性の環境である場合には、内設されている鉄筋鋼材の腐食は進行しないが、沿岸部に建設された道路橋や鉄道橋などのコンクリート構造部では、塩化カルシウムなどのハロゲン化物がコンクリート内に侵入して、鉄筋鋼材の腐食が生じることがある。このような鉄筋鋼材の腐食が進行すると、生成した鉄の水酸化物などによって体積が膨張し、これに伴なって周囲のコンクリートに応力が作用してひび割れが生じ、さらにはコンクリート構造物の一部が脱落してしまうという事態まで発展してしまう虞があった。
そこで、近年、このようなコンクリート構造物内の鉄筋鋼材の腐食を防止する手段として、鉄筋鋼材を陰極とするとともに、コンクリート構造部の表面に陽極部を形成して電流を流し、これにより鉄筋の腐食を防止するようにした電気防食方法が用いられいる。また、例えば特許文献1には、帯状の陽極部をモルタルまたはコンクリートで角棒状に被覆したプレキャスト製品のアノード陽極体が開示され、このアノード陽極体が、それぞれの端部から露出された接続片同士をスポット溶接等により接続した状態で、コンクリート構造物の表面に配設されることが記載されている。
この種の電気防食方法を適用した従来の電気防食システムについて、図7を参照にしながら説明する。同図において、コンクリート構造物100内の鉄筋鋼材101は、リード線102aを介して外部電源103の陽極に接続されている。また、コンクリート構造物100の表面に形成された溝部には、チタン(Ti)などを用いて帯状に形成された不溶性電極104が陽極体として敷設されている。この不溶性電極104は、リード線102bを介して外部電源103の陰極に接続され、モルタル105によって被覆されている。そして、鉄筋鋼材101に対して外部電源103から防食電流を供給することにより、腐食環境下にある鉄筋鋼材101の電位を腐食が生じない(または進行しない)側に変化させ、電気化学的に鉄筋鋼材を不活性化状態にして防食を実現している。
このような外部電源方式の陽極体の装着工法としては、現場設置工法またはプレキャスト工法が用いられており、陽極体(不溶性電極)の形状により、面状タイプ、帯状(線状)タイプ、点状タイプなどに分類されている。例えば、点状タイプの陽極体をコンクリート構造物に装着する場合には、ドリルなどを用いたコアリング作業により、既設構造物のコンクリート表面から内部に向かって径(φ)10〜30mm、深さ(d)50〜500mm程度の細孔を形成し、該細孔に陽極を挿入してその周りの空間をバックフィル材などで充填する現場設置工法が用いられている。
特開2003−213804号公報
しかしながら、上述したような現場設置工法では、陽極を挿入する細孔や陽極同士を接合するチタン製ワイヤの切削溝を専用の電動工具などを用いてコンクリート構造物の内部または表面に形成する必要がある。特に、既にコンクリート構造物の劣化が進行し、内部の鉄筋鋼材部分までコンクリートがはつり取られ、躯体がモルタル等によって再補修されるような箇所では、一度正規の寸法にするために断面補修を施し、その後、再削孔または再切削作業を行わなければならないので、作業効率が悪かった。また、新設のコンクリート構造物に陽極体を装着する場合にも、コンクリートによる躯体を築造してからでなければ装着作業に入れないため、作業効率が悪かった。
一方、プレキャスト工法により装着される陽極体としては、上述した特許文献1に開示されるような帯状タイプのものが知られている。しかしながら、この工法では、製品同士を連続させた状態で帯状の陽極部を形成しなければならないので、各製品の端部から露出している不溶性金属同士を特殊な溶接機で接続する必要があり、その作業工程のために現場において時間および労力を要してしまう、という問題があった。
また、このような帯状タイプの陽極体のプレキャスト製品では、陽極部が帯状の不溶性金属を有しているだけの状態であり、これらを接合して連続させた状態で各部に同等レベルの電流を供給するためには、この不溶性金属自体の抵抗による電流低下を考慮して、電流を供給する部材を適切な間隔毎に配設する必要があった。
さらに、この種の帯状タイプの陽極体のプレキャスト製品を既設のコンクリート構造物に対して装着する場合、コンクリート構造物内の鉄筋鋼材のかぶり厚がプレキャスト製品(帯状の陽極体)の厚さより小さい箇所では、物理的にこれらを装着するのが不可能であるため、別途適切な防食機構による処置を施す必要性が生じてしまう、という問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、劣化補修中または新設中のコンクリート構造物に対して短時間で容易に装着することができるとともに、低コストで製造可能である電気防食用陽極体、および該陽極体を備えたコンクリート構造物、ならびに電気防食用陽極体の製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、コンクリート構造物の鉄筋鋼材を陰極とする電気防食システムの陽極として用いられる電気防食用陽極体において、電流供給用可撓線との締込接続部を有する電気抵抗体と、前記電気抵抗体に電気的に接続された筒状または帯状の不溶性電極と、前記締込接続部のみを露出した状態で前記電気抵抗体および前記不溶性電極を内包するように成形されたモルタル部材とを備えていることにより、達成される。
また、上記目的は、前記不溶性電極が、チタンまたはチタンを主成分とした合金からなる薄板、またはこれらの金属からメッシュ状に形成されたものであることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、コンクリート構造物の鉄筋鋼材を陰極とする電気防食システムの陽極として用いられる電気防食用陽極体の製造方法において、電流供給用可撓線との締込接続部を有する電気抵抗体と筒状または帯状の不溶性電極とを電気的に接続するステップと、前記電気抵抗体および前記不溶性電極を、前記締込接続部のみが露出するように型枠内に配置するステップと、前記型枠内にモルタルを充填してモルタル部材を成形するステップとを含むことにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、チタンまたはチタンを主成分とした合金からなる薄板、またはこれらの金属からメッシュ状に形成されたものから、前記不溶性電極を形成することにより、効果的に達成される。
本発明に係る電気防食用陽極体、および該陽極体を備えたコンクリート構造物、ならびに電気防食用陽極体の製造方法によれば、筒状または帯状の不溶性電極および該不溶性電極に電気的に接続された電気抵抗体が、該電気抵抗体に設けられた電流供給用可撓線との締込接続部のみを露出した状態でモルタル部材に内包されている。このように、不溶性電極および電気抵抗体が事前にモルタル部材と一体化されたプレキャストタイプの電気防食用陽極体を製造することにより、劣化補修中または新設中のコンクリート構造物の施工現場において、この電気防食システムの陽極体をコンクリート構造物に対して短時間で容易に装着することができる。この結果、劣化補修中または新設中のコンクリート構造物に対して電気防食システムを施す場合に、これらの作業効率を格段に向上させることができ、施工費用の低減化を図ることができる。
また、本発明に係る電気防食用陽極体の製造方法は、電気的に接続された状態の不溶性電極および電気抵抗体を型枠内の所定の位置に配置し、該型枠内にモルタルを充填してモルタル部材を成形するだけでよいので、低コストで効率良く製造することができる。
以下、図面を参照にしながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気防食用陽極体を示す上面図である。また、図2の(A),(B),(C)は、それぞれ、図1中のA−A線,B−B線,C−C線に沿った断面図である。本実施形態に係る電気防食用陽極体1は、コンクリート構造物の鉄筋鋼材を陰極とする電気防食システムの陽極として用いられるプレキャストタイプの陽極体であり、後述する電流供給用可撓線との締込接続部2aを有する電気抵抗体2と、該電気抵抗2に接続された筒状の不溶性電極3と、電気抵抗体2の締込接続部2aのみを露出した状態で電気抵抗体2および不溶性電極3を内包するリング状(ドーナツ型)のモルタル部材4とを備えている。
電気抵抗体2は、不溶性電極3よりも抵抗値が高い素材から形成され、先端部の締込接続部2aは、本体先端部2bに形成されたネジ溝と螺合するナット2cと、本体先端部2bに形成された電流供給用可撓線用の配線溝2dとから構成されている。配線溝2dには、各陽極体1間を接続する電流供給用可撓線が配され、この状態でナット2cを締結することによって電気抵抗体2と電流供給用可撓線とが電気的に接続される。このように、ナット2cによる締付によって一体化する配線接続構造を採用することにより、溶接作業などの煩雑な工程を省略することができる。
不溶性電極3は、チタンまたはチタンを主成分とした合金からなる薄板、またはこれらの金属からメッシュ状に形成されたものを筒状に接合したものであり、モルタル部材4の側面および締込接続部2a側の上面に対向する底面から少なくとも15mmの距離を有する状態、すなわち図2(A)に示す各外面との離隔d1,d2が何れも15mm以上になるように、モルタル部材4内に配されている。例えば、鉄筋鋼材が高密度に入り組んでいるような箇所に電気防食システムの陽極部を設置する場合、陽極部と鉄筋鋼材との距離が近すぎることにより電流のショートが生じ、これにより、その箇所に防食電流が集中して他の箇所へ十分に電流が行き渡らなくなることが懸念される。しかしながら、本実施形態に係る電気防食用陽極体1では、陽極部である不溶性電極3がモルタル部材4の側面および締込接続部側の上面に対向する底面から15mm以上の離隔を確保した状態でモルタル部材4内に配されているので、防食電流のショートが発生することを防止することができる。
モルタル部材4は、格子状に組まれている鉄筋鋼材に対して、樹脂等からなる伸縮性および絶縁性を有する紐状部材を介して固定できるように、中空部を有するリング形状(ドーナツ形状)で形成されている。また、モルタル部材4の外面には、上述した紐状部材と係合可能な凹部4aが、中空内周面4bに沿って所定の角度毎(ここでは90°毎)に形成されている。
また、不溶性電極3の短手方向は、モルタル部材4の高さ方向に対して略平行な位置関係でモルタル部材4内に配されている。すなわち、電気防食陽極体1が上述した紐状部材などによってモルタル部材4が鉄筋鋼材に固定された際に、不溶性電極3と格子状に組まれた鉄筋鋼材とが極力平行にならないようになっている。一般に、ある一定の長さの電流発生部分を有する不溶性電極3を鉄筋鋼材と平行な位置関係で配置した場合、コンクリートの抵抗値が金属と比べると高いことから、防食電流の大部分がコンクリートの介在量が少ない鉄筋鋼材に集中する傾向がある。これに対して、本実施形態に係る電気防食用陽極体1のように、不溶性電極3が鉄筋鋼材に対して極力平行にならないように配されることにより、上述したような電流方向の偏りを軽減することができる。この結果、陽極体1を中心にして、より遠方の位置にある鉄筋鋼材に対しても電流を供給することができるので、陽極体1の配置間隔を大きく設定し、設置数を減らしても十分な防食効果を維持することが可能である。
また、モルタル部材4の寸法は、任意の平面方向に対して150mm以下になるように設定されている。一般的なコンクリート構造物では、格子状に組まれた鉄筋鋼材の間隔は150mmよりも大きく設定されているので、任意の平面方向に対して150mm以下になるようにモルタル部材4を成形することにより、設置箇所の制約を受けないようにすることができる。したがって、例えば、鉄筋鋼材のかぶり厚が小さいような箇所においても、電気防食用陽極体1を鉄筋鋼材間のコンクリート部分に適切な深度で設置することが可能である。
図3は、本実施形態に係る電気防食用陽極体の製造方法に関する説明図である。同図に示すように、電気防食用陽極体1は、樹脂製の型枠5内に、電気的に接続された電気抵抗体2および筒状の不溶性電極3を所定の位置に配し、コンクリートと特性が近似しているモルタルを充填することにより成形される。また、同図に示す型枠5の内部断面は、図1のB−B線に沿ったものであり、この型枠5の内面には、上述したように不溶性電極3とモルタル部材4の外面との各離隔が15mm以上になり、かつ、鉄筋鋼材に取り付けられた際の不溶性電極3と鉄筋鋼材との位置関係が略垂直になる位置に筒状の不溶性電極3を容易に配置できるように、凹凸形状5aが形成されている。この型枠5の素材は、特に限定されるものではないが、成形された電気防食用陽極体1の取り出し易さなどの利便性、および材料コストなどを考慮すると、ゴム・PETなどの樹脂や紙類などが好ましい。
図4Aないし図4Dは、それぞれ、本実施形態に係る電気防食用陽極体の変形例を示す上面図である。これらの図において、上述した実施形態に係る電気防食用陽極体と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4Aに示される電気防食用陽極体1Aでは、電気抵抗体2に電気的に接続された不溶性電極3Aが断面楕円形の筒状に形成され、この電気抵抗体2および不溶性電極3Aは、電気抵抗体2の締込接続部2aのみを露出した状態で、不溶性電極3Aの形状に合わせて成形された断面楕円形のリング状モルタル部材4Aに内包されている。この電気防食用陽極体1Aの不溶性電極3Aは、上述した実施形態に係る電気防食用陽極体1と同様、モルタル部材4Aの外面との各離隔が15mm以上になり、かつ、鉄筋鋼材に取り付けられた際の鉄筋鋼材との位置関係が略垂直になるようにモルタル部材4A内に配され、かつ、モルタル部材4Aの外面には、固定用の紐状部材と係合可能な凹部4Aaが、中空内周面4Abに沿って所定の角度毎(ここでは90°毎)に形成されている。
また、図4Bに示される電気防食用陽極体1Bでは、電気抵抗体2に電気的に接続された不溶性電極3Bが断面S字形状に形成され、この電気抵抗体2および不溶性電極3Bは、電気抵抗体2の締込接続部2aのみを露出した状態で、不溶性電極3Bの形状に合わせて成形された断面8字形状のモルタル部材4Bに内包されている。この電気防食用陽極体1Bの不溶性電極3Bは、上述した実施形態に係る電気防食用陽極体1と同様、モルタル部材4Bの外面との各離隔が15mm以上になり、かつ、鉄筋鋼材に取り付けられた際の鉄筋鋼材との位置関係が略垂直になるようにモルタル部材4B内に配され、かつ、モルタル部材4Bの外面には、固定用の紐状部材と係合可能な凹部4Baが、2つの中空内周面4Bb,4Bbに沿って形成されている。
また、図4Cに示される電気防食用陽極体1Cでは、電気抵抗体2に電気的に接続された不溶性電極3Cが断面X字形状に形成され、この電気抵抗体2および不溶性電極3Cは、電気抵抗体2の締込接続部2aのみを露出した状態で、不溶性電極3Cの形状に合わせて成形された断面X字形状のモルタル部材4Cに内包されている。この電気防食用陽極体1Cの不溶性電極3Cは、上述した実施形態に係る電気防食用陽極体1と同様、モルタル部材4Cの外面との各離隔が15mm以上になり、かつ、鉄筋鋼材に取り付けられた際の鉄筋鋼材との位置関係が略垂直になるようにモルタル部材4C内に配され、かつ、モルタル部材4Cの外面には、固定用の紐状部材と係合可能な凹部4Caが形成されている。
さらに、図4Dに示される電気防食用陽極体1Dでは、電気抵抗体2に電気的に接続された不溶性電極3Dが断面ジグザグ形状に形成され、この電気抵抗体2および不溶性電極3Dは、電気抵抗体2の締込接続部2aのみを露出した状態で、断面矩形状のモルタル部材4Dに内包されている。この電気防食用陽極体1Dの不溶性電極3Dは、上述した実施形態に係る電気防食用陽極体1と同様、モルタル部材4Dの外面との各離隔が15mm以上になり、かつ、鉄筋鋼材に取り付けられた際の鉄筋鋼材との位置関係が略垂直になるようにモルタル部材4D内に配され、かつ、モルタル部材4Dの外面には、固定用の紐状部材と係合可能な凹部4Daが形成されている。
図5は、本実施形態に係る電気防食用陽極体をコンクリート構造物に装着した様子を示す説明図である。同図に示すように、本実施形態に係る電気防食用陽極体1は、劣化補修中または新設中でコンクリート打設前の状態であるコンクリート構造物6に装着されるものであり、具体的には、各電気防食用陽極体1の凹部4aに係合された伸縮性を有する紐状部材7を介して、格子状に組まれた鉄筋鋼材8に適宜間隔毎に固定される。
鉄筋鋼材8に固定された各電気防食用陽極体1は、それぞれの締込接続部2を介して電流供給用可撓線9に接続される。この電流供給用可撓線9は、直流電源または交流を整流する電源、および電流計を含む電流調整機構などが設けられた外部電源装置10の陽極10aに接続されている。一方、外部電源装置10の陰極10bには、コンクリート構造物6の鉄筋鋼材8が、リード線11を介して接続されている。そして、電気防食用陽極体1の固定および各種電気的な接続作業が完了した段階で、コンクリートの打設作業が実施される。なお、図5では、電気防食用陽極体1が鉄筋鋼材8の格子間に位置するように装着されているが、本発明はこれに限定されず、例えば紐状部材7などを用いて電気防食用陽極体1が鉄筋鋼材8に直接取り付けられてもよい。
図6は、本実施形態に係る電気防食用陽極体が装着されたコンクリート構造物の劣化補修作業について説明するための要部断面図である。同図に示すように、鉄筋鋼材8の腐食により劣化したコンクリート構造物6の欠陥部分(図6下部)を修復する場合、その欠陥部分からコンクリート材をはつり取って除去し、埋設されていた鉄筋鋼材8を露出させる。その後、その露出された鉄筋鋼材8の格子間に、上述した本実施形態に係る電気防食用陽極体1が装着され、各電気防食用陽極体1の締込接続部2aに電流供給用可撓線9が接続される。そして、各電気防食用陽極体1の設置および電気的接続が完了すると、その欠陥部分の周囲に枠板12が配設され、この枠板により形成された空間内にコンクリート材が注入されてコンクリート構造物6の除去部が充填される。
一方、コンクリート構造物6の劣化していない部分(図6上部)については、コンクリート表面から内部に向かって、直径10〜30mm、深さ50〜500mm程度の細孔が形成され、該細孔内に既存の内部挿入式ロッド型陽極体13が埋設される。この各ロッド型陽極体13は、電気防食用陽極体1の締込接続部2aと同様の接続部13aを有し、該接続部13aには各電気防食用陽極体1に接続された電流供給用可撓線9が接続されている。すなわち、本実施形態に係る電気防食用陽極体1は、電流供給用可撓線9を介して、コンクリート構造物6の劣化していない部分に適用される内部挿入式ロッド型陽極体13と同一の回路を形成することが可能である。このように、内部挿入式ロッド型陽極体13を適用するのが困難であるコンクリート構造物6の欠陥部分などには、本実施形態に係る電気防食用陽極体1を適用し、この電気防食用陽極体1とそれ以外の部分に適用された内部挿入式ロッド型陽極体13とを同一の回路を形成することにより、コンクリート構造物6の劣化補修および電気防食システムの施工作業の効率を向上させることができ、工期の短縮化および製造・施工コストの低減化を図ることができる。
以上のように、本実施形態に係る電気防食用陽極体1では、電気抵抗体2と不溶性電極3とを電気的に接続してモルタル部材4内に内包させたプレキャストタイプになっているので、伸縮性の紐状部材7などを介して鉄筋鋼材8に容易に装着できるようになっている。これにより、コンクリート構造物6に対して削孔などを施す必要がなくなり、劣化補修中または新設中のコンクリート構造物6に対して電気防食システムを施工する際の作業効率を大幅に向上することができる。
また、本実施形態に係る電気防食用陽極体1は、点状タイプのアノード陽極体であるため、各陽極体1に不溶性電極3の抵抗値より大きい抵抗値を有する電気抵抗体2を備えることにより、回路延長を形成する同種の電流供給用可撓線9の抵抗値増大によって陽極部である不溶性電極3への電流供給のバラツキを抑制することができる。すなわち、帯状タイプの陽極体においては陽極部への電流供給のバラツキが生じるため、回路内に別途電流を供給する部材を配設する必要があったが、本実施形態に係る電気防食用陽極体1では、基本的にはこのような部材が不要となり、この結果、製造コストおよび施工コストの低減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明の実施形態に係る電気防食用陽極体を示す上面図である。 (A)は、図1中のA−A線に沿った断面図であり、(B)は、図1中のB−B線に沿った断面図であり、かつ、(C)は、図1中のC−C線に沿った断面図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体の製造方法に関する説明図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体の変形例を示す上面図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体の変形例を示す上面図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体の変形例を示す上面図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体の変形例を示す上面図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体をコンクリート構造物に装着した様子を示す説明図である。 本実施形態に係る電気防食用陽極体が装着されたコンクリート構造物の劣化補修作業について説明するための要部断面図である。 従来の電気防食システムの一例を示す概略図である。
符号の説明
1・・・電気防食用陽極体
2・・・電気抵抗体
2a・・・締込接続部
3・・・不溶性電極(陽極部)
4・・・モルタル部材
4a・・・凹部
5・・・型枠
6・・・コンクリート構造物
7・・・紐状部材
8・・・鉄筋鋼材
9・・・電流供給用可撓線
10・・・外部電源装置
10a・・・陽極
10b・・・陰極
11・・・リード線

Claims (4)

  1. コンクリート構造物の鉄筋鋼材を陰極とする電気防食システムの陽極として用いられる電気防食用陽極体であって、
    電流供給用可撓線との締込接続部を有する電気抵抗体と、
    前記電気抵抗体に電気的に接続された筒状または帯状の不溶性電極と、
    前記締込接続部のみを露出した状態で前記電気抵抗体および前記不溶性電極を内包するように成形されたモルタル部材と
    を備えていることを特徴とする電気防食用陽極体。
  2. 前記不溶性電極は、チタンまたはチタンを主成分とした合金からなる薄板、またはこれらの金属からメッシュ状に形成されたものである請求項1に記載の電気防食用陽極体。
  3. コンクリート構造物の鉄筋鋼材を陰極とする電気防食システムの陽極として用いられる電気防食用陽極体の製造方法であって、
    電流供給用可撓線との締込接続部を有する電気抵抗体と筒状または帯状の不溶性電極とを電気的に接続するステップと、
    前記電気抵抗体および前記不溶性電極を、前記締込接続部のみが露出するように型枠内に配置するステップと、
    前記型枠内にモルタルを充填してモルタル部材を成形するステップと
    を含むことを特徴とする電気防食用陽極体の製造方法。
  4. チタンまたはチタンを主成分とした合金からなる薄板、またはこれらの金属からメッシュ状に形成されたものから、前記不溶性電極を形成する請求項に記載の電気防食用陽極体の製造方法。
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