JP3600910B2 - 電食用杭芯材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部に用いる杭芯材に関し、詳しくは杭芯材を部分電食して脆性化する電食用杭芯材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、補強コンクリート構造物の解体方法は、削岩機や解体用重機等の機械的破壊方法が用いられ、特殊なケースでは爆薬による破壊が行われている。しかし、地中に構築された土留め壁などのように、土圧・水圧に晒されており、解体により地山崩壊の危険がある補強コンクリート構造物の解体方法では種々の問題があった。この顕著な事例はシールド工法である。
【0003】
シールド工法では、地下深い個所で立坑から発進、到着を行う。 深い立坑の土留壁には、大きな土圧、水圧が作用することから、その構造は一般的に鉄筋コンクリート連壁あるいはH形鋼を連結してソイセメントで固化した泥水固化壁等による強固なものとなっている。従来、これらの立坑からのシールド機の発進、到着では、土留壁背面の地盤に地盤改良のための薬液を注入したり凍結管を複数地盤内に挿入し凍土または凍土壁等を形成して自立させる防護工を施工して地山崩壊を抑えてから、土留壁を人力あるいは重機で取り壊すことによってきた。
【0004】
しかしこの方法では地盤の改良にかなりの工期と費用がかかる問題があった。また、地盤や深度によっては、これらの地盤改良によっては所定の強度や、止水性の確保が難しい場合もあった。またこれらの背面地盤の改良のためには、地山の露出、開放を伴うことから、安全性面からの問題もあった。
【0005】
シールド機のディスクカッターで立坑の土留壁を直接切削、開口して発進到達ができれば、経済的であり、また安全でもある。しかし、立坑の土留壁には杭芯材として鉄筋や鋼材が埋設されており、シールド機のカッターで切削することはできなかった。これらの問題を解決するため、鉄筋や鋼材に代わる杭芯材として高強度の炭素繊維強化プラスティックを用い、石灰砕石を粗骨材とするシールド機で切削可能な土留壁が知られている。しかし杭芯材の高強度の炭素繊維強化プラスティックが高価であるため経済性に問題があった。
【0006】
前記問題を解決するため、本発明人は、破壊予定個所を有する補強コンクリート構造物の構築が施工しやすく、高価な部材を用いることなく経済性に優れ、短期間で容易に且つ確実に破壊可能にし、また、シールド工法において、シールド機のディスクカッターで切削可能な立坑またはシールド機の掘削進路を遮る土留め壁を提供し、シールド工法の発進・到達の際の立坑における防護工の不要化と、安全性の確保と工期の短縮を目的とする電食によって杭芯材を溶解して補強コンクリートの仮壁部を脆性化する技術を特願平11−269291号で開示している。
【0007】
図11は、前記特願平11−269291号記載の従来技術のシールド工法の立坑を示す断面図である。このシールド工法では、周囲の構造よりも脆弱な構造に変化可能な仮壁部110を有した発進立坑50及び到達立坑を発進位置および到達位置にそれぞれ施工する。なお、到達立坑は仮壁部を発進立坑50側に向ける以外は発進立坑と同じであるため図示を省略してある。この施工の後、まず、発進立坑50の仮壁部110を上述したアノード溶解によって脆弱化した後、発進立坑50からシールド機200を駆動して仮壁部110を切削破壊する。そして到達立坑に向かってシールド機200を前進させながらシールドトンネル210を施工し、シールド機200が到達立坑に到達したとき、到達立坑の仮壁部110を上述したアノード溶解によって脆弱化する。その後シールド機200により仮壁部110を切削破壊してシールドトンネル210との連結を行う。このシールド工法によれば、シールド機200のディスクカッター205で切削可能な発進・到達立坑を用いて安全性の確保、防護工の不要化、工期の短縮を図ることができるものである。図11で、5は直流電源、40は電解液槽、41は電解液の送出ポンプ、4aは電解液の給入口、4bは排出口、6a、6bは液送パイプ、23,24は直流電源との接続部である。
【0008】
図10は杭芯材1を示す断面図である。この杭芯材1は、中空の外部材2及び外部材2内に間隔を有して遊挿された電極部材3とにより形成されている。前記外部材2と電極部材3との間に電解質4を介在させた状態で外部材2と電極部材3との間に電圧を印加して外部材2の内壁21をアノード溶解する。前記外部材2の上下の開口は絶縁部材からなるキャップ25a,25bで密閉されている。
【0009】
絶縁層22は外部材2の上下の端部で外部材2の導電材を覆うように形成されており、絶縁層22の形成部位以外の外部材2の内壁は導電材が露出した露出部となっている。かかる絶縁層部分は、アノード電食防止部となり、導電材の露出部のみをアノード溶解する。この絶縁層と導電材の露出部分とを外部材2の内壁に上下左右交互に配置することによって絶縁層を格子状とすることにより、絶縁層で覆われた部分のみ破片として外部材2の脆性化の目的をはたすことができると共に、全体を電食させるのではなく部分電食となるため脆性化の時間を短縮することができる。
【0010】
しかしながら、前述の外部材の内面壁に絶縁層を設けるには、管内の塗装が難しい問題があった。このため、外部材を矩形とし、各々の壁面に絶縁塗装をしてから溶接する方法で製作することになるが、絶縁層に用いる絶縁塗料は耐熱性に乏しく溶接時の熱により絶縁塗料が損傷したり、H形鋼など外部材2の上下の端部に接続される杭芯材との溶接熱により絶縁層22が損傷してしまい、計画外の部分が電食されて劣化してしまう問題があった。
【0011】
更に、図9(a)に示すように、外部材2内に電食予定部2aを露出させ、非電食部のみに絶縁層22を形成した時、図9(b)に示すように電食予定部2aの周囲が電極部材3に近い部分ほど電食され、拡大電食部2bに示すように広範囲となる。このため、外部材2の厚さが厚くなるほど予定外の拡大電食部2bの面積が電食する深さに応じて非常に大きくなり、脆性化のための時間が長く、工期が長期化して費用がかかる問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたもので、補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部を短期間で確実に脆性化することのできる電食用杭芯材を提供することを目的とする。
【0013】
また、設計上の破壊予定部位以外の部分の電食を防止し、安全なシールド発進到達立坑を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明は、補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部に用いる杭芯材であって、該杭芯材は、上下の蓋で密閉された中空の外部材と、この外部材の四面の内壁に圧接して設けた複数の可動電極とにより形成し、外部材と可動電極間に電解質溶液を介在させて電圧を印加し、外部材内壁の電食溶解の進行に従って可動電極が外部材内壁面に接近し、外部材内壁面を可動電極の形状に部分電食して杭芯材を脆性化することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、外部材内壁の電食溶解の進行に従って可動電極が外部材壁面に接近し、電食された外部材内壁と電極との距離を一定間隔に保つため、外部材壁面を可動電極の形状に部分電食できる。このため、破壊予定部位の仮壁部を短期間で確実に脆性化することができる。
【0016】
請求項2の発明は請求項1記載の電食用杭芯材であって、前記可動電極は、円筒または方形枠形状の絶縁性の電極支持枠と、その上部に巻回して設けた導電性金属材の帯状電極と、電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接する押圧手段とからなることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、外部材の外形寸法及び破壊予定部位に応じて電極支持枠の配設場所、個数を容易に変えることができる。このため、その都度可動電極を設計製作することなく、標準化してコストを下げることができる。
【0018】
請求項3の発明は請求項1または2記載の電食用杭芯材であって、前記押圧手段は前記電極支持枠の上部を覆う押圧板と、その押圧板を外部材内壁面方向に付勢する押圧バネと、外部材内壁面に立設され押圧バネを圧縮保持する可動電極取付棒とからなることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、押圧バネによる付勢の単純な構造であるため、組立が容易である。また、単純な構造であるため工期中の故障を起こす恐れがない。
【0020】
請求項4の発明は請求項1または2記載の電食用杭芯材であって、前記押圧手段は前記電極支持枠の上部を覆う押圧板と、その押圧板を外部材内壁面方向に付勢する弾性材と、外部材内壁面に立設され前記弾性材を引張り保持する取付フックとからなることを特徴とする。この発明によれば、ゴムひもなどの弾性材で引張り保持する単純な構造であるため組立てが容易であり、且つ部材費を引き下げることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1記載の発明であって、前記可動電極は、内部に注入した水圧によって膨張させることのできる弾性材からなる風船状の加圧部材と、その加圧部材の周囲に取付けた導電性金属材の板状電極と、前記板状電極の外側面に一定間隔で取付けられた絶縁材からなる複数の電極支持枠とからなり、前記外部材の中空部に挿入し、加圧部材を膨張させて電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、予め四隅を溶接して中空状とした外部材に、可動電極を挿入してから、風船状の加圧部材を膨張させて電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接するため外部材に可動電極を取付ける作業工程が1工程で行うことができる。また、押圧板を均等に外部材内壁に圧接することができる。
【0023】
請求項6の発明は請求項1ないし5のいずれかに記載の電食用杭芯材であって、前記杭芯材は、上下の蓋で密閉された中空の外部材に電解質溶液を供給排出する出入口と、外部材及び可動電極に直流電源との接続部とを備えていることを特徴とする。
【0024】
以上の発明によれば、補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部を短期間で確実に脆性化することのできる電食用杭芯材を用いた仮壁の構築を可能とし、また、設計上の破壊予定部位以外の部分の電食を防止し、安全なシールド発進到達立坑を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1ないし図8を参照して詳細に説明する。従来技術の説明と同様の構成は同一の符号を付して説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施の形態の電食用杭芯材1を示し、(a)は断面図、(b)は(a)のA部拡大図、(c)は(a)のAA−AA面の平面を示す図である。図1(a)の電食用杭芯材1は、絶縁材で形成した上下の蓋25a、25bで密閉された中空の外部材2と、この外部材2の四面の内壁2aに圧接して設けた複数の可動電極10とにより形成されている。この実施の形態では、図1(c)AA−AAの平面図に示すように外部材2は鋼板を溶接した矩形管で、上部と下部に電解質給入口4aと排出口4bを備え電解質溶液4を外部材2と可動電極10間に介在させ、直流電源5の陽極と接続した外部材2に設けた接続部23と、直流電源5の陰極に接続した接続部24より配線24aで可動電極10に配線し複数の可動電極10間を導線11bで接続して電圧を印加し、外部材2内壁面を可動電極10の形状に部分電食して杭芯材1を脆性化する。
【0027】
この発明によれば、外部材2内壁面の電食溶解の進行に従って可動電極10が外部材2内壁面に接近し、電食された外部材2内壁面と電極11との距離を一定間隔に保つため、外部材2内壁面を可動電極10の形状に部分電食できる。このため、破壊予定部位の仮壁部110を短期間で確実に脆性化することができる。
【0028】
図1(b)は図1(a)のA部拡大図で、外部材2に可動電極10が取付けられている状態を示す。可動電極10は、円筒または方形枠形状の絶縁性の電極支持枠12と、その上部に巻回して設けた銅板などの導電性金属材の帯状電極11と、電極支持枠12の下部を外部材2内壁面に圧接する押圧手段13とからなっている。
【0029】
図1(c)に示すように、前記可動電極10は外部材2の内面の4面に複数個取付け帯状電極11の形状に部分電食させる。図2は可動電極10の一実施の形態を示し押圧手段13に押圧バネ15を用いた形態である。
【0030】
図2(a)は、可動電極10の断面図で、絶縁材からなる円筒形の電極支持枠12の上部に巻回して設けた帯状の銅板からなる帯状電極11と、電極支持枠12の上部を覆う絶縁材で形成した押圧板14と、その押圧板14を外部材2内壁面方向に付勢する押圧バネ15と、外部材2内壁面に立設され押圧バネ15を圧縮保持する可動電極取付棒13aとからなる。可動電極取付棒13aは、外部材2に接着等で固定された絶縁材の下部ナット13cに螺合して立設させ、押圧板14の貫通孔14aを通し、押圧板14を押すように押圧バネ15を圧縮させた状態で上部ナット13bで固定し、電極支持枠12を外部材2に押圧させている。以上の押圧手段13の部材は、電圧の印加により溶解しない絶縁性材料で構成することが望ましい。
【0031】
図2(b)は(a)の平面図を示す。この形態では可動電極10は円筒形の電極支持枠12の外周に沿って帯状電極11が設けられ、押圧板14の中心の貫通孔14aを通して押圧手段13が備えられている。なおこの形態では、電極支持枠12と押圧板14を一体に成形したものとして、例えば塩化ビニール管に用いられるキャップ部材などを利用することができる。
【0032】
図3(a)は別の実施の形態を示し、電極支持枠12が方形枠形状の形態を示す。押圧手段13は前記と同様なので説明を省略する。(b)は帯状電極11の平面図を示し、隣接して配置された可動電極10同士を導線11aで接続するため、帯状電極11の4辺中央に直流電源5の陰極と接続する接続端子11aを設けた形態である。
【0033】
図4は、別の押圧手段13を用いた実施の形態を示す。この形態の押圧手段13は電極支持枠12の上部を覆う押圧板14と、その押圧板14を外部材2内壁面方向に付勢する弾性材16と、外部材2内壁面に立設され前記弾性材16を引張り保持する取付フック16bとからなる。この形態では、予め外部材2に取付フック16bを接着などで固定し、ゴムバンド等の弾性材16を取付フック16bに結んでおき、押圧板14の貫通孔14aを通して弾性材16を引張りながら弾性材押え16aで固定する簡単な工程で可動電極を取付けることができる。この発明によれば、ゴムひもなどの弾性材16で引張り保持する単純な構造であるため組立が容易であり、且つ部材費を引き下げることができる。
【0034】
図5は、さらに別の実施の形態の電食用杭芯材1の断面図を示し、外部材2の中空部に挿入し、内部に注入した水圧によって膨張させることのできる弾性材からなる風船状の加圧部材17と、その加圧部材17の周囲に取付けた導電性金属材の板状電極18と、板状電極18の外側面に一定間隔で取付けられた絶縁材からなる複数の電極支持枠12とからなり、外部材2の中空部に挿入し、加圧部材17を膨張させて電極支持枠12の下部を外部材2内壁に圧接することにより、外部材2内壁の電食溶解の進行に従って板状電極18が外部材2内壁面に接近し、電食された外部材2内壁と板状電極18との距離を一定間隔に保つため、外部材2内壁面を板状電極18の形状に部分電食をすることができる。
【0035】
電極支持枠12の上部は絶縁材からなる押圧板14で覆い、前記板状電極18に接着等で取付ける。この電極支持枠12と押圧板14は一体に成形したものとして、例えば塩化ビニール管に用いられるキャップ部材などを利用することができる。また、板状電極18は、電極支持枠との接着部と部分電蝕する部分以外を打ち抜き加工して用いることが望ましい。
【0036】
前記加圧部材17は、ゴム等の弾性部材で風船状のに形成されており、上部に液体を注入して加圧するための加圧口19を備え、外部材2に挿入してから膨張させる。加圧部材17の膨張により加圧部材の周囲に配置された板状電極18を電極支持枠12を介して外部材2の内壁面に一定距離を保つように押し付けることができる。このため、電食の進行に合わせて板状電極18が外部材2に近づき部分電食する。
【0037】
図5(b)は(a)のB−B平面を示し、加圧部材17の上部に板状電極18を接着部17aで吊下げるように取付け、完全に膨張させない状態で矩形の外部材2内に挿入する状態を示す。
【0038】
この発明によれば、予め四隅を溶接して中空状とした外部材に、可動電極を挿入してから、風船状の加圧部材を膨張させて電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接するため外部材に可動電極を取付ける作業工程が1工程で行うことができる。また、押圧板を均等に外部材内壁に圧接することができる。
【0039】
次に、本発明の電食用杭芯材1の可動電極10を用いた電食の進行状況を図6により説明する。
【0040】
図6(a)は電食開始前の電食用杭芯材の一部断面を示し、外部材2の内面に複数の可動電極10が取付けられている。可動電極10,10の間の2a部分が帯状電極11,11で電食させたい電食予定部分である。電食用杭芯材1の内部に電解質溶液を注入し、外部材2に陽極、帯状電極11に陰極を接続し電圧を印可すると外部材2の電食が行われる。図6(b)は電食が進行した状態を示す。押圧手段13により可動電極10が外部材2に付勢されているため、電食予定部2aの電食の進行に伴い電極支持枠12の下部が沈み、帯状電極11を外部材2の電食予定部2aに近付ける。このため、電蝕予定部のみを効率よく溶解脆性化することができる。
【0041】
次に、本発明の電食用杭芯材を用いた立坑の実施の形態を図を用いて説明する。
図7(a)は、本発明の電食用杭芯材1を用いた仮壁部110を備えた立坑50の平面図である。この立坑50は実験用に構築した実施例であるため周囲は鋼矢板とし、梁103で補強した構造である。(b)は仮壁部の杭芯材を示す正面図である。電食用杭芯材1はシールド機の掘削外径となる範囲の高さ位置になるように、上下を接合部102でボルト止めなどでH形鋼101の杭芯材と接合して用いる。
【0042】
図8(a)は、立坑50にシールド機200を据え付けた状態を示す側面図である。仮壁部110の内側のシールド機200の発進口には坑口コンクリート111が設けられている。(b)は(a)の正面図である。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する。請求項1の発明によれば、外部材内壁面の電食溶解の進行に従って可動電極が外部材内壁面に接近し、電食された外部材内壁面と電極との距離を一定間隔に保つため、外部材内壁面を可動電極の形状に部分電食できる。このため、破壊予定部位の仮壁部を短期間で確実に脆性化することができる。
【0044】
請求項2ないし4の発明によれば、外部材の外形寸法及び破壊予定部位に応じて電極支持枠の配設場所、個数を容易に変えることができる。このため、その都度可動電極を設計製作することなく、標準化してコストを下げることができる。
【0045】
請求項5の発明によれば、予め四隅を溶接して中空状とした外部材に、可動電極を挿入してから、風船状の加圧部材を膨張させて電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接するため外部材に可動電極を取付ける作業工程が1工程で行うことができる。また、押圧板を均等に外部材内壁に圧接することができる。
【0046】
さらに、本発明によれば、補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部を短期間で確実に脆性化することのできる電食用杭芯材を用いた仮壁の構築を可能とし、また、設計上の破壊予定部位以外の部分の電食を防止し、安全なシールド発進到達立坑を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の電食用杭芯材の断面図、(b)は(a)のA部拡大断面図、(c)は、(a)のAA−AAの平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態の可動電極を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明の別の実施の形態の可動電極を示し、(a)は断面図、(b)は(a)の電極を示す平面図である。
【図4】本発明の別の実施の形態の可動電極の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の別の実施の形態の電食用杭芯材の内部を示す断面図、(b)は(a)のB−B部の平面図である。
【図6】本発明の電食用杭芯材の電食の進行状況を示し,(a)は電食開始時、(b)は電食途中を示す断面図である。
【図7】(a)は、本発明の電食用杭芯材1を用いた仮壁部110を備えた立坑50の平面図、(b)は仮壁部の杭芯材を示す正面図である。
【図8】(a)は、立坑50にシールド機200を据え付けた状態を示す側面図である、(b)は(a)の正面図である。
【図9】従来技術の電食用杭芯材の電食の進行状況を示し,(a)は電食開始時、(b)は電食終了時を示す断面図である。
【図10】従来技術の電食用杭芯材の断面図である。
【図11】従来技術のシールド工法の立坑を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電食用杭芯材
2 外部材
2a 電食予定部
2b 拡大電食部
3 電極部材
4 電解質溶液
4a、4b 電解質給入口、排出口
5 直流電源
6a、6b 液送パイプ
10 可動電極
11 帯状電極
11a 接続端子
11b 導線
12 電極支持枠
13 押圧手段
13a 可動電極取付棒
13b 上部ナット
13c 取付ネジ
13d 下部ナット
14 押圧板
14a 貫通孔
15 押圧バネ
16 弾性材
16a 弾性材押え
16b 取付フック
17 加圧部材
18 板状電極
19 加圧口
25a,b 蓋
50 立坑
110 仮壁部
101 H形鋼
102 接合部
103 梁
104 底盤
111 坑口コンクリート
200 シールド機

Claims (6)

  1. 補強コンクリート構造物の破壊予定部位の仮壁部に用いる杭芯材であって、該杭芯材は、上下の蓋で密閉された中空の外部材と、この外部材の四面の内壁に圧接して設けた複数の可動電極とにより形成し、外部材と可動電極間に電解質溶液を介在させて電圧を印加し、外部材内壁の電食溶解の進行に従って可動電極が外部材内壁面に接近し、外部材内壁面を可動電極の形状に部分電食して杭芯材を脆性化することを特徴とする電食用杭芯材。
  2. 前記可動電極は、円筒または方形枠形状の絶縁性の電極支持枠と、その上部に巻回して設けた導電性金属材の帯状電極と、電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接する押圧手段とからなることを特徴とする請求項1記載の電食用杭芯材。
  3. 前記押圧手段は前記電極支持枠の上部を覆う押圧板と、その押圧板を外部材内壁面方向に付勢する押圧バネと、外部材内壁面に立設され押圧バネを圧縮保持する可動電極取付棒とからなることを特徴とする請求項1または2記載の電食用杭芯材。
  4. 前記押圧手段は前記電極支持枠の上部を覆う押圧板と、その押圧板を外部材内壁面方向に付勢する弾性材と、外部材内壁面に立設され前記弾性材を引張り保持する取付フックとからなることを特徴とする請求項1または2記載の電食用杭芯材。
  5. 前記可動電極は、内部に注入した水圧によって膨張させることのできる弾性材からなる風船状の加圧部材と、その加圧部材の周囲に取付けた導電性金属材の板状電極と、前記板状電極の外側面に一定間隔で取付けられた絶縁材からなる複数の電極支持枠とからなり、前記外部材の中空部に挿入し、加圧部材を膨張させて電極支持枠の下部を外部材内壁に圧接することを特徴とする請求項1記載の電食用杭芯材。
  6. 前記杭芯材は、上下の蓋で密閉された中空の外部材に電解質溶液を供給排出する出入口と、外部材及び可動電極に直流電源との接続部とを備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電食用杭芯材。
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