JP3877567B2 - コンクリート構造物の破壊工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気エネルギーを用いて柱状や梁状のコンクリート構造物を破壊するコンクリート構造物の破壊工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者等は、コンデンサなどに蓄積した電気エネルギーを短時間に金属細線に供給して放電させ、金属細線とその周辺の物質を急激に溶融気化させることにより、その膨張力を利用して構造物を破壊する工法を多数提案している。
【0003】
ところで、たとえば建築物を建設する際に地中に打ち込まれる場所打ちコンクリート製の基礎杭は、その杭頭部で泥水や沈殿物などが混じって浮上しコンクリートと共に固化するため、コンクリートの品質が低下する。このため杭頭の余盛部を除去することが行われている。
【0004】
場所打ち基礎杭の杭頭を処理する工法として、従来ではハンドピックやブレーカなどの小型破壊機を使用して作業員により杭頭を破壊して撤去するものが主流である。また特開平8−105041号公報には、余盛コンクリート中にカット板を水平に挿入しておき、コンクリートが硬化後に打撃を加えてコンクリートをカット板面に沿って割裂させる工法や、特開平5−59721号工法に、カット面に薬液注入管を配置しておき、カット面上方の鉄筋に被い材を被せ、コンクリートを注入して固化後、注入管に封入されて所定時間後に膨張する膨張破壊剤により、注入管を拡径して杭をカット面で切断するものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、作業員による従来工法では、騒音が激しく市街地には適さないとともに、破壊機を使用する作業員への負担が大きいという問題があった。またカット板を挿入する工法では、コンクリートの打設作業が中断され打設作業が複雑になるとともに、カット板は板状で複数の透孔が形成されるものの、不純物の浮上の障害となるため、カット板下部のコンクリートの品質が低下する恐れがある。さらに、膨張破壊剤を使用する工法では、膨張破壊剤が有害性の薬剤であるため、その取り扱いが難しく、慎重な作業が要求されるという問題があった。
【0006】
本発明者等は、放電破壊工法に着目して上記問題点を解決し、柱材や梁材などのコンクリート構造物を破壊面に沿って精度良く破壊できるコンクリート構造物の破壊工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、放電カートリッジを使用して、横断面が略円形または略複数角形のコンクリート構造物を破壊面に沿って破壊するに際し、コンクリート打設前に、予め、破壊面上で外周位置から横断面中心側に向く略放射方向の複数の装填容器を、当該装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う装填容器に対する角度が90°未満となるように配置しておき、破壊面上で装填容器間に、破壊面の外面から装填容器孔の先端部より浅い位置に亀裂連結用の空孔容器をコンクリート構造物にそれぞれ内在させ、コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれぞれ放電カートリッジを装填し、前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを短時間で供給し金属細線を急激に溶融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿ってコンクリート構造物を破壊するものである。
上記構成によれば、略円形断面または略多角形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、コンクリートの打設前に予め、横断面中心の外側で放電カートリッジを装填する第1装填容器を破壊面上の外面から横断面中心に向く放射方向で、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置するとともに、横断面中心間で放電カートリッジを装填する第2装填容器を破壊面上の外面から横断面中心線に向き、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置することにより、コンクリート硬化後に第1装填容器および第2装填容器に放電カートリッジをそれぞれ装填するだけで、破壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれら第1,第2装填容器に装填された隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。また亀裂は、被破壊物の強度の低い部位を通過する傾向にあり、破壊面の装填容器間に亀裂連結用の空孔容器を配置することにより、放電カートリッジによる装填容器間での亀裂を空孔容器を介して容易に連結させることができ、特に装填容器間の距離が大きい場合であっても、隣り合う装填容器を良好に接続でき、破壊面の破壊を良好に行うことができる。
【0008】
上記構成によれば、略円形断面または略多角形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、コンクリートの打設前に予め、横断面中心の外側で放電カートリッジを装填する第1装填容器を破壊面上の外面から横断面中心に向く放射方向で、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置するとともに、横断面中心間で放電カートリッジを装填する第2装填容器を破壊面上の外面から横断面中心線に向き、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置することにより、コンクリート硬化後に第1装填容器および第2装填容器に放電カートリッジをそれぞれ装填するだけで、破壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれら第1,第2装填容器に装填された隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。
【0009】
請求項2の発明は、放電カートリッジを使用して、横断面が略長方形または略長円形のコンクリート構造物を破壊面に沿って破壊するに際し、前記破壊面に、横断面上で長手方向の両側に位置する2つの横断面中心と、これら横断面中心を結ぶ横断面中心線とを設定し、コンクリート打設前に、横断面上で長手方向の両側の外面から横断面中心側に向く略放射方向の複数の第1装填容器を、当該第1装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する第1装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う第1装填容器との角度が90°未満となるように配置してコンクリート構造物に内在させ、コンクリート打設前に、前記横断面中心間の外面から破壊面中心線に向く複数の第2装填容器を、当該第2装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する第2装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う第2装填容器との角度がそれぞれ0°となるように互いに平行にコンクリート構造物に内在させ、前記第1装填容器間および第1装填容器と第2装填容器の間ならびに第2装填容器間に、それぞれ破壊面の外面から第1装填容器および第2装填容器の先端部より浅い位置に亀裂連結用の空孔容器をコンクリート構造物に内在させ、コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれぞれ放電カートリッジを装填し、前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを短時間に供給し金属細線を急激に溶融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿ってコンクリート構造物を破壊するものである。
【0010】
上記構成によれば、略長方形断面または略長円形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、放電カートリッジを装填する装填容器を、コンクリートの打設前に予め、破壊面上の外面から横断面中心に向く放射方向で、90°未満となるように配置することにより、コンクリート硬化後に装填容器に放電カートリッジを装填するだけで、破壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれら破壊容器に装填されて隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。また亀裂は、被破壊物の強度の低い部位を通過する傾向にあり、破壊面の第1装填容器間および第1装填容器と第2装填容器の間ならびに第2装填容器間に亀裂連結用の空孔容器を配置することにより、放電カートリッジによる装填容器間での亀裂を第1,第2空孔容器を介して容易に連結させることができ、特に第1,第2装填容器間の距離が大きい場合であっても、亀裂を隣り合う第1,第2装填容器を良好に接続でき、破壊面の破壊を良好に行うことができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、装填容器に装填した放電カートリッジ間の最大距離を、該放電カートリッジの破壊可能領域未満としたものである。
【0012】
上記構成によれば、ここで、放電カートリッジの放電可能領域は、金属細線から周方向に均等に広がる直径を示しており、隣接する破壊孔にそれぞれ装填された放電カートリッジの放電可能領域を連続させることにより、破壊孔を連結してより確実に破壊面に沿って破壊することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、コンクリート構造物に内在される鉄筋のうち、コンクリート打設前に、破壊されて撤去される破壊部の少なくとも縦筋を縁切り材で被覆しておくとともに、該破壊部の破壊面近傍の縦筋に破壊時に縦筋の変形を防ぐフープ筋を取り付けておくものである。
【0015】
上記構成によれば、この時、予め破壊部で破壊面に略垂直方向の縦筋に予め縁切り材を被覆しておくことにより、縦筋とコンクリートの密着力を大幅に軽減できるので、縦筋により破壊面に対して圧縮方向および離間方向に働く破壊力が阻害されること無く有効に作用させることができ、またフープ筋により縦筋の変形が防止できるので、破壊面の周囲の角部に割れや亀裂が生じるのを未然に防止することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、コンクリート構造物を場所打ちコンクリート杭の頭部としたものである。
上記構成によれば、破壊装置を構成する放電カートリッジにより、場所打ちコンクリート杭の頭部を破壊面に沿って破壊することにより、市街地における騒音や作業員の過重な労働をなくし、かつ破壊装置の取り扱いも容易で、破壊作業を能率的に精度良く実施することができる。
【0017】
【実施の形態】
ここで、本発明に係るコンクリート構造物の破壊工法の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0018】
ここで対象となる被破壊物はコンクリート構造物である。特に好適な具体例は、場所打ちコンクリート工法により現場施工される場所打ち杭である。このコンクリート杭は、掘削された孔に鉄筋を挿入配置し、トレミー管を孔内に挿入してコンクリートを打設し、基礎用の杭を構築するもので、コンクリート硬化後に杭頭部が所定の破壊面で破壊されて撤去される。
【0019】
まず破壊工法に用いる破壊装置を図1,図2を参照して説明する。すなわち、構造物Sの破壊孔2に装填される放電衝撃破壊具である放電用カートリッジ1は、たとえば圧力伝達物質である充填剤(水や油等の液体やゼラチンなどのゼリー状の凝固剤、場合によっては爆発性物質)3が充填された合成ゴムや防水処理紙、プラスチックなどの材質からなる円筒状容器本体4と、この容器本体4の天蓋4aを貫通して充填剤3中にスペーサなどにより互いに平行に保持された一対の電極5と、これら電極5の先端部間に連結された電気良導体である金属細線(たとえば金属ではCu)6とで構成されている。なお、金属細線以外の電気良導体には、所定形状に形成した金属小片やカーボンなどが採用される。
【0020】
また被破壊物Sから離れて配置される電源装置11は、放電スイッチ(高電圧スイッチ)12aが介在されて電極5に接続される一対のリード線12と、このリード線12を介して電極5に電気エネルギーを供給するエネルギー供給回路13とを具備し、エネルギー供給回路13には、リード線12間に接続されて直流高電圧電源13aから充電制御回路13bを介して大容量の電気エネルギーを蓄積するコンデンサ13cが設けられている。
【0021】
この電源装置11のエネルギー供給回路13からリード線12および放電スイッチ12aを介して放電用カートリッジ1に、短時間に大きい電気エネルギーが供給されると、金属細線6が瞬時に溶融気化しその金属ガスの体積膨張と、その周囲の充填剤の蒸気化による正圧空洞などが要因となって、瞬時に大きい衝撃波が発生し、衝撃波による破壊力により被破壊物Sが破壊可能領域Mfの範囲で破壊される。
【0022】
ところで、金属細線6が気化した瞬間には、放電カートリッジ1の金属細線6から発生する衝撃波により破壊される破壊可能領域Mfのイメージは、図2に示すように、金属細線6の横断面方向に均等な円形を描き、また金属細線6を含む面内では、金属細線6の長さに対応した長円形を描き、その立体的には、両端面が半球の円柱体状となる。しかしながら、容器本体4による反射やその他の要因により、全体として破壊可能領域Mfが放電カートリッジ1の表面から垂直に外側に広がる端部半球の円柱体と見なすことができる。したがって、被破壊物Sに、破壊可能領域Mfがつながるように放電カートリッジ2を装填する複数の破壊孔2を形成し、電源装置11から放電カートリッジ1の金属細線6に電気エネルギーを短時間に供給して金属細線6を急激に溶融気化させることにより、破壊力を充填剤3を介して容器本体4からコンクリート構造物Sに伝達して破壊する。この場合、図3に示すように、隣り合う放電カートリッジ1の破壊可能領域Mfがつながっておれば、隣り合う破壊孔2が連続して破壊面Bfに沿って破壊される。
【0023】
しかしながら、自由面Fである外周面に隣接する破壊孔2の放電カートリッジ1から放出される衝撃波は、破壊可能領域Mfの範囲で広がることから、略45°前後で最も亀裂が広がり、残存させたい健全部Csの破壊面Bfの周囲角部が面取り状の割れcが発生する。
【0024】
これは、たとえば場所打ち杭頭部の除去にあっては、後工程で新たな良質のコンクリートを充填して杭頭部を接続することから、その破壊面Bfが平坦でないと良好な接続が不可能となるという問題が生じる。
【0025】
そこで、本発明者等は、放電カートリッジ1から発生する衝撃波により、破壊孔2間に大きい破壊力を与えて最初に破壊孔2間を破壊面Bfを破壊することで、他の方向に伝播される衝撃波による破壊力をこの破壊部分から放出することにより、他の部分への破壊を防止できることに着目した。
【0026】
本発明に係る第1の破壊工法は、横断面がエッジ付きやコーナーアール付き、コーナ面取り付きを含む正方形(縦横比率が大きく相違しない長方形を含む)、円形や楕円形、多角形の支柱状や梁状のコンクリート構造物で、横断面上に外面から略均等距離に位置する1つの横断面中心O1を有するものが破壊対象となる。
【0027】
すなわち、図4および図5に示すように、放電カートリッジ1を使用して、たとえば円形断面の構造物S1をその中心線に対して直交する破壊面Mf(中心線に対して90°以外で傾斜する横断方向であってもよい)に沿って破壊するに際し、破壊面Mfの外面Mfから横断面中心(その近傍でもよい)に向く放射方向の複数の破壊孔2を、隣り合う破壊孔2に対する形成角度θ1が90°未満となるように穿孔し、これら各破壊孔2にそれぞれ放電カートリッジ1を装填して給電し、破壊面Mfに沿って破壊するものである。
【0028】
図6(a)に示すように、放電カートリッジ1から発生する衝撃波によって発生する破壊力については、そのベクトルを考察するとよくわかる。すなわち、隣り合う破壊孔2,2間の破壊面Bf上で、両破壊孔2,2の放電カートリッジ1,1から均等に広がる衝撃波による破壊力F1,F2は、半径方向外方に向かう半径方向の破壊分力F3と、両破壊孔2,2にそれぞれ向かう接線方向の穿孔間の破壊分力F4とに分けて考えることができる。そして破壊力F3を発生す衝撃波が半径方向外方に伝達されると、構造物S1の横断面中心O1から外周の自由面Fに向かう破壊力となるで、破壊面Bfから離れて自由面Fに広がる亀裂が生じると考えられる。また穿孔間の破壊分力F4は、相対方向のベクトルで表されており、通常、力学上のベクトルでは、相対方向に生じたベクトルは打ち消し合うが、衝撃波では、圧縮力および剥離力を伴う波動エネルギーが、被破壊物Sに周期的に作用し、破壊分力F4は相対する2つの衝撃エネルギーの総和と考えられるため、穿孔間の破壊分力F4は両破壊孔2,2間で破壊面Bfに働く破壊力となる。
【0029】
したがって、破壊面Bf以外の部分を破壊しないためには、穿孔間の破壊分力F4を、半径方向の破壊分力F3より大きくなるように放電カートリッジ1を装填する破壊孔2の形成方向を設定すればよい。
【0030】
図6(a)に示すように、隣り合う破壊孔2,2の形成角度θ1=90°で発生した放電カートリッジ1の衝撃波による破壊力F1,F2は、金属細線6から円柱状に均等に広がって破壊孔2に直交する方向に伝達される。そして破壊力F1=F2とすると、
半径方向の破壊分力F3=2×F1・cos[(180−θ1)/2]…▲1▼式、
穿孔間の破壊分力F4=2×F1・cos[θ1/2]…▲2▼式となる。
【0031】
したがって、▲1▼式および▲2▼式から、θ=90°とすると、F3=F4となって、半径方向の破壊分力F3と穿孔間の破壊分力F4とが等しくなる。このため、半径方向の破壊分力F3により破壊面Mf外周の角部に割れや亀裂が発生することになる。
【0032】
図6(b)に示すように、θ1<90°となると、F3<F4となって、穿孔間の破壊分力F4が半径方向の破壊分力F3より大きくなり、破壊面Bfが先に破壊される。そして半径方向の破壊分力F3がこの破壊部分から外へ放出されるため、破壊面Mf外周の角部に割れや亀裂が発生することがない。
【0033】
図6(c)に示すように、θ1>90°となると、F3>F4となって、半径方向の破壊分力F3が穿孔間の破壊分力F4より大きくなり、破壊面Mf外周の角部に割れや亀裂が発生する。
【0034】
したがって、破壊孔2の形成角度θが90°未満とすることで、F3<F4となり、破壊孔2間の破壊面Bfを良好に破壊して、半径方向の破壊分力F3を破壊面Mfから漏出させることができ、破壊面Mf外周の角部に割れや亀裂が発生することがない。
【0035】
破壊後の構造物S1について、図5に示すように、破壊して除去する破壊部Csは問題がないが、破壊せずに残す健全部Bsがある場合、健全部Bsに破壊力が及ぶと都合が悪い。したがって、健全部Bsの長さを破壊可能領域Mfの1/2より大きく設定することで健全部Bsが破壊されることがない。破壊可能領域Mfは破壊条件などにより変動するおそれがあるので、好ましくは健全部Bsを破壊可能領域Mf以上の長さを確保するとよい。これにより隣接する破壊孔2(放電カートリッジ1)同士が、最も近い距離となることから、まず破壊孔2,2間で破壊が行われ、健全部Bsに亀裂や割れが進展されることがない。
【0036】
上記構造物S1を円形断面で説明したが、図7に示す正方形断面の構造物S1aや図8に示す正六角形断面の構造物S1bのように、外面からほぼ均等な位置に1つの横断面中心がある略多角形断面や、扁平率の小さい楕円形などの構造物も同様に構成される。もちろん、上記横断面では角部がエッジ状に形成されているが、面取り状やアール状の多角形断面であっても問題はない。また、上記では、構造物S1の中心線に垂直な横断面に沿って破壊面Bfを設定したが、中心線に所定の角度をもって横断する横断方向の破壊面Bfであってもよい。
【0037】
次に被破壊物が横長の長方形断面、長円形断面、扁平率が大きい楕円形断面などで、中心線に直交する横断面上で長手方向の両側で、外面からほぼ等しい距離に位置する2つの横断面中心O2,O3を有するもののうち、たとえば長円形断面の構造物S2について図9を参照して説明する。
【0038】
このような長円形断面の構造物S2の場合、横断面で長手方向の両側で、外面から略均等距離に2つの横断面中心O2,O3が設定され、破壊面Bf上でこれら横断面中心O2,O3の端部外側周囲には、隣り合う破壊孔2Aに対して形成角度が90°未満となるように配置された第1破壊孔2Aが穿孔される。また、横断面中心O2,O3間の外面から横断面中心O1,O2を結ぶ中心線(横断面中心線)CLに向かって複数の第2破壊孔2Bがたとえば直角に交差するように穿孔される。これら第2破壊孔2Bは、隣接する破壊孔2Bに対して平行で、形成角が0°となるように穿孔されることにより、装填された放電カートリッジ1,1から発生された衝撃波により発生するすべての破壊力を、穿孔間の破壊力F4として働かせることができる。もちろん第1破壊孔2A、第2破壊孔2Bに装填された放電カートリッジ1の最大距離が、放電カートリッジ1の破壊可能領域内であることはいうまでもなく、また隣接する第2破壊孔2Bに対して90°未満の形成角θを有していてもよい。
【0039】
すなわち、本発明に係る第2の破壊工法は、放電カートリッジ1を使用して、横断面が略略長円形の構造物S2を中心に直交する破壊面Bfに沿って破壊するに際し、前記破壊面Bfに、横断面上で長手方向の両端側に位置する2つの横断面中心O1,O2と、これら横断面中心O1,O2を結ぶ横断面中心線CLとを設定し、破壊面Bf上で長手方向の両側の外面から横断面中心O1,O2側に向く略放射方向の複数の第1破壊孔2Aと、横断面中心O1,O2間の外面から横断面中心線CLに向く複数の第2破壊孔2Bとを、隣り合う破壊孔2A,2Bに対する形成角度がそれぞれ90°未満となるように穿孔し、第1破壊孔2Aおよび第2破壊孔2Bにそれぞれ放電カートリッジ1を装填して、構造物S2を破壊面Bfに沿って破壊するものである。もちろん、第1破壊孔2A間や第2破壊孔2B間に空孔21を形成することは、先の破壊工法と同様である。
【0040】
したがって、放電カートリッジ1が放出される破壊力により、構造物S2を破壊面Bfに沿ってほぼ平面的に破壊することができて、破壊面の角部分に亀裂が生じることがない。
【0041】
なお、図10に示すように、長方形断面の構造物S2aであっても同様である。
つぎに、本発明に係る放電破壊工法で上記の両被破壊物S1,S2に共通する詳細技術を説明する。
【0042】
まず構造物S1,S2(S1a,S1b,S2aを含む)の径が大きくなると、破壊孔2間の距離が大きくなり、たとえば円形断面の構造物S1で、隣接する破壊孔2の形成角度θ=60°で直径が0.5mであった場合、最大の破壊孔2,2間の距離は直線で0.25m(円弧で約0.4m)であるが、直径が1mとなると、最大の破壊孔2,2間の距離は直線で0.5mにもなる。
【0043】
したがって、図3,図4に示すように、破壊孔2,2間の距離は直線で0.5mが破壊可能領域Mf内にある場合、構造物Sの横断面中心O1〜O3に近い破壊面Bfでは、破壊孔2,2間の距離Lbが短いため破壊孔2が良好につながるが、外周部では、破壊面Bfにおける破壊孔2,2間の距離Laが長く亀裂が迷走してつながることになる。破壊面Mfは、その後の処理などの工程を考慮すると、亀裂が迷走しない方がのぞましい。
【0044】
このため、本発明では、図4および図7〜10に示すように、隣接する破壊孔は破壊可能領域Mf内にあるが、破壊孔2間の距離が長い場合、迷走状の亀裂を裂けるために、破壊孔2間に破壊面Bfに沿って外周面から横断面中心O1,O2,O3または横断中心線CLに向かう略放射方向の単数または複数の空孔21を形成している。破壊時に生じる亀裂は構造物Sの強度の弱いところを通過するため、この空孔21を通過して、破壊孔2間の距離が長い場合であっても、空孔21により亀裂を良好に案内して良好な破壊面Bfを形成することができる。もちろん、空孔21の数が多いほうが、より平面的な破壊面Bfを形成することができる。
【0045】
また、通常コンクリート構造物S1,S2には鉄筋が内在されている。図3,図4,図11に示すように、コンクリート構造物S1(S2)を立設された場所打ちコンクリートの杭頭部として説明すると、破壊されずに残される健全部Csには、周方向に所定間隔をあけて配置された複数の縦筋R1と、周方向のフープ筋(横筋)R2とが結束線により連結されて内在されているが、破壊撤去される破壊部Bsには、破壊されたコンクリート片を容易に取り出すために、健全部Csから連続する縦筋R1のみが配設されており、通常フープ筋は設けられていない。しかしながら、放電カートリッジ1による破壊時に、縦筋R1に衝撃波による破壊力が加わって縦金R1が変形し外周側に押出されることがある。この結果、健全部Csの破壊面Bfの外周部に亀裂が生じて、破壊面Mfの品質を低下させることになる。
【0046】
このため、本発明では、破壊面Bf近傍の破壊部Bsに、各縦金R1に結束線などを介して連結された単数または複数の破壊部フープ筋R3を内在させている。もちろん破壊面Bf近傍の健全部Csにもフープ筋R2は内在されている。したがって、破壊時に衝撃波により破壊力が破壊面Bfに沿って縦筋R1に負荷されても、フープ筋R2,R3により縦筋R1の変形が阻止されて、破壊面Bf外周の角部に亀裂や割れができるのを未然に防止することができる。
【0047】
また、構造物S1,S2に介在される鉄筋R1,R2のコンクリートに対する密着力が放電カートリッジ1による衝撃波の伝達を阻害し、破壊面Bfの破壊が進展しないことがある。そのため、本発明では、図11に示すように、予めコンクリートの打設前に、破壊部Bsに対応して内在された特に縦筋R1に縁切り材31を被覆する。この縁切り材31これにより、縦筋R1とコンクリートとの密着度を低下させたり、またはコンクリートの変位を容易にし、あるいは縦筋R1とコンクリートとの間に介在された空気層により、コンクリートの破壊面Mfに垂直な方向の変位を許容して、破壊面Bfを良好に破壊することができる。
【0048】
好適な縁切り材31としてたとえば下記のものがある。
1.密着度を低下させるもの、油やシリコンなどの潤滑油、
2.変位を容易にするもの、軟質プラスチック、合成ゴム、木材、
3.空気層を有するもの、発泡スチロール、スポンジ、エアキャップシート、段ボール
上記のように、破壊面Bfに垂直な縦鉄R1に縁切り材31を被覆する手法は、既設のコンクリート構造物を破壊する場合には適用が困難であるが、新設のコンクリート構造物で予め破壊撤去が決まっている部分に適用が可能であり、場所打ち杭の杭頭部には、破壊のための準備を事前に行うことができるため、最適である。
【0049】
さらに構造物S1,S2が場所打ち杭頭である場合、破壊孔2,2A,2Bおよび空穴21などは、コンクリートが硬化後に、ドリルなどの穿孔装置を使用して穿孔するが、騒音などの発生する現場作業になるとともに多くの作業時間を要する。また穿孔装置により誤って縦筋R1を損傷させるようなことも考えられる。このため、この穿孔作業を削除して作業時間を短縮するために、図11に示すように、図13に示す固定具51〜53を使用して放電カートリッジ1を挿入可能な装填容器41を破壊面Bfに沿って縦筋R1に固定しておく。これら装填容器41は、放電カートリッジ1による衝撃波に影響を与えずに容易に破壊されるプラスチックや紙、木製パイプにより形成され、本体部41aの先端部が半球面状に閉塞された円筒状で、基端開口部に開閉蓋41bが装着されている。そして、これら装填容器41の配置条件は破壊孔2と同様に、隣り合う装填容器41との形成角度が90°未満として、コンクリートの打設後に、開閉蓋41bが構造物の外面に露出するように配置される。
【0050】
図13(a)に示す固定具51は、破壊面Bfに接近した位置で、縦筋R1の内側または外側に針金などにより取り付けられる大径の外リング材51aと、外リング材51aの内側に同心上に配置される小径の内リング材51bと、内外リング材51b,51aを連結する連結材51とで構成され、内外リング材51b,51aの上面または下面に装填容器41および空孔容器42が針金などにより所定位置に取り付けられる。また図13(b)に示す固定具52は、破壊面Bfに接近した位置に縦筋R1の内側または外側に取り付けられるリング板により構成され、このリング板の上面または下面の所定位置に装填容器41および空孔容器42が取り付けられる。さらに図13(c)に示す固定具53は、破壊面Bfに接近した位置で複数の縦筋R1間に張り巡らされた線材53a〜53cにより構成され、線材53a〜53cの上面または下面の所定位置に装填容器41および空孔容器42が取り付けられる。
【0051】
そして、構造物S1,S2に打設されたコンクリートが凝固した後、地盤を掘り出して破壊面Bfの外周部を露出させ、装填容器31の開閉蓋31bを開けて放電カートリッジ1をそれぞれ装填し、シード線9を接続して引き出し、放電カートリッジ1の装着作業を終えることができる。したがって、破壊孔2,2A,2Bの穿孔作業を削除することができる。
【0052】
また、装填容器41間の距離が長い場合には、亀裂連結用空孔に代わる空孔容器42を配置する。これら空孔容器42は、装填容器41と同様に、放電カートリッジ1による衝撃波に影響を与えずに容易に破壊される材質のものが採用され、コンクリート硬化後にそのまま構造物S1,S2に内在された状態で破壊作業が実施される。
【0053】
図14は、長円形断面のコンクリート構造物S2の場合であり、第1破壊孔2Aと第2破壊孔2Bに対応して、第1装填容器41Aと第2装填容器41Bとを配置したもので、同一部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
上記実施の形態によれば、先に説明した円形断面のコンクリート構造物S1と同様に破壊することができる。
さらに前記装填容器41,41A,41Bに代えて、直接放電カートリッジ1を埋め込んでもよい。コンクリート打設前に、縦筋R1に固定して破壊孔2,2Aと同じ位置に放電カートリッジ1を固定具51〜53を使用して配置し、コンクリートを打設することにより放電カートリッジ1をコンクリート構造物S1,S2に内在させることもできる。なお、放電カートリッジ1に接続されるリード線9は、縦筋R1に沿わせて構造物S1,S2の上端部に導き出せばよい。これにより、放電カートリッジ1の装填作業も削除することができ、更に破壊作業時間を短縮できて効率的な破砕が実施できる。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたごとく請求項1記載の発明によれば、略円形断面または略多角形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、コンクリートの打設前に予め、横断面中心の外側で放電カートリッジを装填する第1装填容器を破壊面上の外面から横断面中心に向く放射方向で、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置するとともに、横断面中心間で放電カートリッジを装填する第2装填容器を破壊面上の外面から横断面中心線に向き、隣り合う装填容器に対して90°未満となるように配置することにより、コンクリート硬化後に第1装填容器および第2装填容器に放電カートリッジをそれぞれ装填するだけで、破壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれら第1,第2装填容器に装填された隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。また亀裂は、被破壊物の強度の低い部位を通過する傾向にあり、破壊面の装填容器間に亀裂連結用の空孔容器を配置することにより、放電カートリッジによる装填容器間での亀裂を空孔容器を介して容易に連結させることができ、特に装填容器間の距離が大きい場合であっても、亀裂を隣り合う装填容器を良好に接続でき、破壊面の破壊を良好に行うことができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、略長方形断面または略長円形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、放電カートリッジを装填する装填容器を、コンクリートの打設前に予め、破壊面上の外面から横断面中心に向く放射方向で、90°未満となるように配置することにより、コンクリート硬化後に装填容器に放電カートリッジを装填するだけで、破壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれら破壊容器に装填されて隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。また亀裂は、被破壊物の強度の低い部位を通過する傾向にあり、破壊面の第1装填容器間および第1装填容器と第2装填容器の間ならびに第2装填容器間に亀裂連結用の空孔容器を配置することにより、放電カートリッジによる第1,第2装填容器間での亀裂を空孔容器を介して容易に連結させることができ、特に第1,第2装填容器間の距離が大きい場合であっても、亀裂を隣り合う第1,第2装填容器を良好に接続でき、破壊面の破壊を良好に行うことができる。
【0057】
請求項3記載の発明によれば、ここで、放電カートリッジの放電可能領域は、金属細線から周方向に均等に広がる直径を示しており、隣接する破壊孔にそれぞれ装填された放電カートリッジの放電可能領域を連続させることにより、破壊孔を連結してより確実に破壊面に沿って破壊することができる。
【0059】
請求項4記載の発明によれば、この時、予め破壊部で破壊面に略垂直方向の縦筋に予め縁切り材を被覆しておくことにより、縦筋とコンクリートの密着力を大幅に軽減できるので、縦筋により破壊面に対して圧縮方向および離間方向に働く破壊力が阻害されること無く有効に作用させることができ、またフープ筋により縦筋の変形が防止できるので、破壊面の周囲の角部に割れや亀裂が生じるのを未然に防止することができる。
【0060】
請求項5記載の発明によれば、破壊装置を構成する放電カートリッジにより、場所打ちコンクリート杭の頭部を破壊面に沿って破壊することにより、市街地における騒音や作業員の過重な労働をなくし、かつ破壊装置の取り扱いも容易で、破壊作業を能率的に精度良く実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物の破壊工法の実施の形態を示し、破壊装置を示す構成図である。
【図2】同放電カートリッジの作用を説明する断面図である。
【図3】同放電カートリッジによる破壊状態を説明する説明図である。
【図4】同円形断面の構造物に形成する破壊穴および空孔を示す横断面図である。
【図5】同破壊穴および空孔を示す側面図である。
【図6】(a)〜(c)は、それぞれ破壊穴の形成角の相違により異なる、放電カートリッジの衝撃波による破壊力の作用を示す説明図である。
【図7】同正方形断面の構造物に形成する破壊穴および空孔を示す横断面図である。
【図8】同正六角形断面の構造物に形成する破壊穴および空孔を示す横断面図である。
【図9】同長円形断面の構造物に形成する破壊穴および空孔を示す横断面図である。
【図10】同長方形断面の構造物に形成する破壊穴および空孔を示す横断面図である。
【図11】同構造物の縦筋に対する処理および破壊部フープ筋を示す説明図である。
【図12】同円形断面のコンクリート構造物への装填容器および空孔容器の配置を示す説明図である。
【図13】(a)〜(c)は、装填容器および空孔容器を取り付ける固定具を示す平面図である。
【図14】同長円形断面のコンクリート構造物への装填容器および空孔容器の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
S,S1,S2 コンクリート構造物
Mf 破壊可能領域
Bf 破壊面
Cs 健全部
Bs 破壊部
O1,O2,O3 横断面中心
CL 横断面中心線
θ 形成角度
1 放電カートリッジ
2 破壊孔
3 充填剤
5 電極
6 金属細線
11 電源装置
12 リード線
13 エネルギー供給回路
21 空孔
31 縁切り材
41 装填容器
42 空孔容器
51〜53 固定具
Claims (5)
- 放電カートリッジを使用して、横断面が略円形または略複数角形のコンクリート構造物を破壊面に沿って破壊するに際し、
コンクリート打設前に、予め、破壊面上で外周位置から横断面中心側に向く略放射方向の複数の装填容器を、当該装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う装填容器に対する角度が90°未満となるように配置しておき、
破壊面上で装填容器間に、破壊面の外面から装填容器孔の先端部より浅い位置に亀裂連結用の空孔容器をコンクリート構造物にそれぞれ内在させ、
コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれぞれ放電カートリッジを装填し、
前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを短時間で供給し金属細線を急激に溶融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿ってコンクリート構造物を破壊する
ことを特徴とするコンクリート構造物の破壊工法。 - 放電カートリッジを使用して、横断面が略長方形または略長円形のコンクリート構造物を破壊面に沿って破壊するに際し、
前記破壊面に、横断面上で長手方向の両側に位置する2つの横断面中心と、これら横断面中心を結ぶ横断面中心線とを設定し、
コンクリート打設前に、横断面上で長手方向の両側の外面から横断面中心側に向く略放射方向の複数の第1装填容器を、当該第1装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する第1装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う第1装填容器との角度が90°未満となるように配置してコンクリート構造物に内在させ、
コンクリート打設前に、前記横断面中心間の外面から破壊面中心線に向く複数の第2装填容器を、当該第2装填容器に装填した放電カートリッジから隣接する第2装填容器に向かって発生する破壊力が、前記横断面中心から放射方向に外面に向かって発生する破壊力より大きくなるように、隣り合う第2装填容器との角度がそれぞれ0°となるように互いに平行にコンクリート構造物に内在させ、
前記第1装填容器間および第1装填容器と第2装填容器の間ならびに第2装填容器間に、それぞれ破壊面の外面から第1装填容器および第2装填容器の先端部より浅い位置に亀裂連結用の空孔容器をコンクリート構造物に内在させ、
コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれぞれ放電カートリッジを装填し、
前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを短時間に供給し金属細線を急激に溶融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿ってコンクリート構造物を破壊する
ことを特徴とするコンクリート構造物の破壊工法。 - 装填容器に装填した放電カートリッジ間の最大距離を、該放電カートリッジの破壊可能領域未満とした
ことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート構造物の破壊工法。 - コンクリート構造物に内在される鉄筋のうち、コンクリート打設前に、破壊されて撤去される破壊部の少なくとも縦筋を縁切り材で被覆しておくとともに、
該破壊部の破壊面近傍の縦筋に破壊時に縦筋の変形を防ぐフープ筋を取り付けておく
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート構造物の破壊工法。 - コンクリート構造物を場所打ちコンクリート杭の頭部とした
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート構造物の破壊工法。
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