JP2003120051A - コンクリート構造物の破壊工法 - Google Patents
コンクリート構造物の破壊工法Info
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Abstract
良く破壊する。 【解決手段】放電カートリッジ1を使用して、横断面が
略円形のコンクリート構造物S1を破壊面Mfに沿って
破壊するに際し、前記破壊面Mf上で外面から横断面中
心O1に向く略放射方向の複数の装填容器41を、隣り
合う装填容器41に対する形成角度θがそれぞれ90°
未満となるように穿孔し、前記各装填容器41にそれぞ
れ放電カートリッジ1を装填し、前記放電カートリッジ
1内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを
短時間で供給し金属細線を急激に溶融気化させて破壊力
を発生させ、この破壊力を充填剤を介してコンクリート
構造物S1に伝達させて破壊面Mfに沿って破壊する。
Description
用いて柱状や梁状のコンクリート構造物を破壊するコン
クリート構造物の破壊工法に関する。
た電気エネルギーを短時間に金属細線に供給して放電さ
せ、金属細線とその周辺の物質を急激に溶融気化させる
ことにより、その膨張力を利用して構造物を破壊する工
法を多数提案している。
地中に打ち込まれる場所打ちコンクリート製の基礎杭
は、その杭頭部で泥水や沈殿物などが混じって浮上しコ
ンクリートと共に固化するため、コンクリートの品質が
低下する。このため杭頭の余盛部を除去することが行わ
れている。
て、従来ではハンドピックやブレーカなどの小型破壊機
を使用して作業員により杭頭を破壊して撤去するものが
主流である。また特開平8−105041号公報には、
余盛コンクリート中にカット板を水平に挿入しておき、
コンクリートが硬化後に打撃を加えてコンクリートをカ
ット板面に沿って割裂させる工法や、特開平5−597
21号工法に、カット面に薬液注入管を配置しておき、
カット面上方の鉄筋に被い材を被せ、コンクリートを注
入して固化後、注入管に封入されて所定時間後に膨張す
る膨張破壊剤により、注入管を拡径して杭をカット面で
切断するものが提案されている。
従来工法では、騒音が激しく市街地には適さないととも
に、破壊機を使用する作業員への負担が大きいという問
題があった。またカット板を挿入する工法では、コンク
リートの打設作業が中断され打設作業が複雑になるとと
もに、カット板は板状で複数の透孔が形成されるもの
の、不純物の浮上の障害となるため、カット板下部のコ
ンクリートの品質が低下する恐れがある。さらに、膨張
破壊剤を使用する工法では、膨張破壊剤が有害性の薬剤
であるため、その取り扱いが難しく、慎重な作業が要求
されるという問題があった。
記問題点を解決し、柱材や梁材などのコンクリート構造
物を破壊面に沿って精度良く破壊できるコンクリート構
造物の破壊工法を提供することを目的とする。
に請求項1記載の発明は、放電カートリッジを使用し
て、横断面が略円形または略複数角形のコンクリート構
造物を破壊面に沿って破壊するに際し、コンクリート打
設前に、予め、破壊面上で外周位置から横断面中心側に
向く略放射方向の複数の装填容器を、隣り合う装填容器
に対する角度が90°未満となるように配置しておき、
コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれ
ぞれ放電カートリッジを装填し、前記放電カートリッジ
内で充填剤に浸漬された金属細線に電気エネルギーを短
時間で供給し金属細線を急激に溶融気化させて衝撃力を
発生させ、この衝撃力を充填剤を介してコンクリート構
造物に伝達させて破壊面に沿ってコンクリート構造物を
破壊するものである。
角形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するときに、
コンクリートの打設前に予め、横断面中心の外側で放電
カートリッジを装填する第1装填容器を破壊面上の外面
から横断面中心に向く放射方向で、隣り合う装填容器に
対して90°未満となるように配置するとともに、横断
面中心間で放電カートリッジを装填する第2装填容器を
破壊面上の外面から横断面中心線に向き、隣り合う装填
容器に対して90°未満となるように配置することによ
り、コンクリート硬化後に第1装填容器および第2装填
容器に放電カートリッジをそれぞれ装填するだけで、破
壊作業を実施することができ、作業時間を大幅に短縮す
ることができる。またこれら第1,第2装填容器に装填
された隣り合う放電カートリッジからの衝撃波により破
壊力を発生させ、これら破壊力のうち、破壊孔間方向に
働く破壊力を、半径方向外方に働く破壊力よりも大きく
して破壊孔間の破壊面を最初に破壊し、被破壊物を破壊
面に沿って良好に破壊することができる。しかも、破壊
面が先に破壊されることで、他方向に働く破壊力を既に
破壊された破壊面部分から逃がすことができるので、破
壊面の角部に亀裂が発生したり欠けることなく、平面状
の破壊面を良好に形成できる。
用して、横断面が略長方形または略長円形のコンクリー
ト構造物を破壊面に沿って破壊するに際し、前記破壊面
に、横断面上で長手方向の両側に位置する2つの横断面
中心と、これら横断面中心を結ぶ横断面中心線とを設定
し、コンクリート打設前に、横断面上で長手方向の両側
の外面から横断面中心側に向く略放射方向の複数の第1
装填容器と、前記横断面中心間の外面から破壊面中心線
に向く複数の第2装填容器とを、隣り合う装填容器との
形成角が90°未満となるように配置してコンクリート
構造物に内在させ、コンクリートが打設されて硬化後、
前記装填容器にそれぞれ放電カートリッジを装填し、前
記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線に
電気エネルギーを短時間に供給し金属細線を急激に溶融
気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を介
してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿ってコ
ンクリート構造物を破壊するものである。
長円形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊するとき
に、放電カートリッジを装填する装填容器を、コンクリ
ートの打設前に予め、破壊面上の外面から横断面中心に
向く放射方向で、90°未満となるように配置すること
により、コンクリート硬化後に装填容器に放電カートリ
ッジを装填するだけで、破壊作業を実施することがで
き、作業時間を大幅に短縮することができる。またこれ
ら破壊容器に装填されて隣り合う放電カートリッジから
の衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のう
ち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く
破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊
し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することがで
きる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向
に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすこ
とができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠け
ることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。
記載の構成において、装填容器に装填した放電カートリ
ッジ間の最大距離を、該放電カートリッジの破壊可能領
域未満としたものである。
ッジの放電可能領域は、金属細線から周方向に均等に広
がる直径を示しており、隣接する破壊孔にそれぞれ装填
された放電カートリッジの放電可能領域を連続させるこ
とにより、破壊孔を連結してより確実に破壊面に沿って
破壊することができる。
いずれかに記載の構成において、破壊面上で装填容器間
に、亀裂連結用の空孔容器を配置したものである。上記
構成によれば、亀裂は、被破壊物の強度の低い部位を通
過する傾向にあり、破壊面の装填容器間に亀裂連結用の
空孔容器を配置することにより、放電カートリッジによ
る装填容器間での亀裂を空孔容器を介して容易に連結さ
せることができ、特に装填容器間の距離が大きい場合で
あっても、隣り合う装填容器を良好に接続でき、破壊面
の破壊を良好に行うことができる。
いずれかに記載の構成において、コンクリート構造物に
内在される鉄筋のうち、コンクリート打設前に、破壊さ
れて撤去される破壊部の少なくとも縦筋を縁切り材で被
覆しておくとともに、該破壊部の破壊面近傍の縦筋に破
壊時に縦筋の変形を防ぐフープ筋を取り付けておくもの
である。
破壊面に略垂直方向の縦筋に予め縁切り材を被覆してお
くことにより、縦筋とコンクリートの密着力を大幅に軽
減できるので、縦筋により破壊面に対して圧縮方向およ
び離間方向に働く破壊力が阻害されること無く有効に作
用させることができ、またフープ筋により縦筋の変形が
防止できるので、破壊面の周囲の角部に割れや亀裂が生
じるのを未然に防止することができる。
いずれかに記載の構成において、コンクリート構造物を
場所打ちコンクリート杭の頭部としたものである。上記
構成によれば、破壊装置を構成する放電カートリッジに
より、場所打ちコンクリート杭の頭部を破壊面に沿って
破壊することにより、市街地における騒音や作業員の過
重な労働をなくし、かつ破壊装置の取り扱いも容易で、
破壊作業を能率的に精度良く実施することができる。
物の破壊工法の実施の形態を図1〜図13に基づいて説
明する。
構造物である。特に好適な具体例は、場所打ちコンクリ
ート工法により現場施工される場所打ち杭である。この
コンクリート杭は、掘削された孔に鉄筋を挿入配置し、
トレミー管を孔内に挿入してコンクリートを打設し、基
礎用の杭を構築するもので、コンクリート硬化後に杭頭
部が所定の破壊面で破壊されて撤去される。
2を参照して説明する。すなわち、構造物Sの破壊孔2
に装填される放電衝撃破壊具である放電用カートリッジ
1は、たとえば圧力伝達物質である充填剤(水や油等の
液体やゼラチンなどのゼリー状の凝固剤、場合によって
は爆発性物質)3が充填された合成ゴムや防水処理紙、
プラスチックなどの材質からなる円筒状容器本体4と、
この容器本体4の天蓋4aを貫通して充填剤3中にスペ
ーサなどにより互いに平行に保持された一対の電極5
と、これら電極5の先端部間に連結された電気良導体で
ある金属細線(たとえば金属ではCu)6とで構成され
ている。なお、金属細線以外の電気良導体には、所定形
状に形成した金属小片やカーボンなどが採用される。
装置11は、放電スイッチ(高電圧スイッチ)12aが
介在されて電極5に接続される一対のリード線12と、
このリード線12を介して電極5に電気エネルギーを供
給するエネルギー供給回路13とを具備し、エネルギー
供給回路13には、リード線12間に接続されて直流高
電圧電源13aから充電制御回路13bを介して大容量
の電気エネルギーを蓄積するコンデンサ13cが設けら
れている。
3からリード線12および放電スイッチ12aを介して
放電用カートリッジ1に、短時間に大きい電気エネルギ
ーが供給されると、金属細線6が瞬時に溶融気化しその
金属ガスの体積膨張と、その周囲の充填剤の蒸気化によ
る正圧空洞などが要因となって、瞬時に大きい衝撃波が
発生し、衝撃波による破壊力により被破壊物Sが破壊可
能領域Mfの範囲で破壊される。
は、放電カートリッジ1の金属細線6から発生する衝撃
波により破壊される破壊可能領域Mfのイメージは、図
2に示すように、金属細線6の横断面方向に均等な円形
を描き、また金属細線6を含む面内では、金属細線6の
長さに対応した長円形を描き、その立体的には、両端面
が半球の円柱体状となる。しかしながら、容器本体4に
よる反射やその他の要因により、全体として破壊可能領
域Mfが放電カートリッジ1の表面から垂直に外側に広
がる端部半球の円柱体と見なすことができる。したがっ
て、被破壊物Sに、破壊可能領域Mfがつながるように
放電カートリッジ2を装填する複数の破壊孔2を形成
し、電源装置11から放電カートリッジ1の金属細線6
に電気エネルギーを短時間に供給して金属細線6を急激
に溶融気化させることにより、破壊力を充填剤3を介し
て容器本体4からコンクリート構造物Sに伝達して破壊
する。この場合、図3に示すように、隣り合う放電カー
トリッジ1の破壊可能領域Mfがつながっておれば、隣
り合う破壊孔2が連続して破壊面Bfに沿って破壊され
る。
接する破壊孔2の放電カートリッジ1から放出される衝
撃波は、破壊可能領域Mfの範囲で広がることから、略
45°前後で最も亀裂が広がり、残存させたい健全部C
sの破壊面Bfの周囲角部が面取り状の割れcが発生す
る。
あっては、後工程で新たな良質のコンクリートを充填し
て杭頭部を接続することから、その破壊面Bfが平坦で
ないと良好な接続が不可能となるという問題が生じる。
1から発生する衝撃波により、破壊孔2間に大きい破壊
力を与えて最初に破壊孔2間を破壊面Bfを破壊するこ
とで、他の方向に伝播される衝撃波による破壊力をこの
破壊部分から放出することにより、他の部分への破壊を
防止できることに着目した。
エッジ付きやコーナーアール付き、コーナ面取り付きを
含む正方形(縦横比率が大きく相違しない長方形を含
む)、円形や楕円形、多角形の支柱状や梁状のコンクリ
ート構造物で、横断面上に外面から略均等距離に位置す
る1つの横断面中心O1を有するものが破壊対象とな
る。
放電カートリッジ1を使用して、たとえば円形断面の構
造物S1をその中心線に対して直交する破壊面Mf(中
心線に対して90°以外で傾斜する横断方向であっても
よい)に沿って破壊するに際し、破壊面Mfの外面Mf
から横断面中心(その近傍でもよい)に向く放射方向の
複数の破壊孔2を、隣り合う破壊孔2に対する形成角度
θ1が90°未満となるように穿孔し、これら各破壊孔
2にそれぞれ放電カートリッジ1を装填して給電し、破
壊面Mfに沿って破壊するものである。
ジ1から発生する衝撃波によって発生する破壊力につい
ては、そのベクトルを考察するとよくわかる。すなわ
ち、隣り合う破壊孔2,2間の破壊面Bf上で、両破壊
孔2,2の放電カートリッジ1,1から均等に広がる衝
撃波による破壊力F1,F2は、半径方向外方に向かう
半径方向の破壊分力F3と、両破壊孔2,2にそれぞれ
向かう接線方向の穿孔間の破壊分力F4とに分けて考え
ることができる。そして破壊力F3を発生す衝撃波が半
径方向外方に伝達されると、構造物S1の横断面中心O
1から外周の自由面Fに向かう破壊力となるで、破壊面
Bfから離れて自由面Fに広がる亀裂が生じると考えら
れる。また穿孔間の破壊分力F4は、相対方向のベクト
ルで表されており、通常、力学上のベクトルでは、相対
方向に生じたベクトルは打ち消し合うが、衝撃波では、
圧縮力および剥離力を伴う波動エネルギーが、被破壊物
Sに周期的に作用し、破壊分力F4は相対する2つの衝
撃エネルギーの総和と考えられるため、穿孔間の破壊分
力F4は両破壊孔2,2間で破壊面Bfに働く破壊力と
なる。
しないためには、穿孔間の破壊分力F4を、半径方向の
破壊分力F3より大きくなるように放電カートリッジ1
を装填する破壊孔2の形成方向を設定すればよい。
2,2の形成角度θ1=90°で発生した放電カートリ
ッジ1の衝撃波による破壊力F1,F2は、金属細線6
から円柱状に均等に広がって破壊孔2に直交する方向に
伝達される。そして破壊力F1=F2とすると、 半径方向の破壊分力F3=2×F1・cos[(180−θ1)/2]…式、 穿孔間の破壊分力F4=2×F1・cos[θ1/2]…式となる。
0°とすると、F3=F4となって、半径方向の破壊分
力F3と穿孔間の破壊分力F4とが等しくなる。このた
め、半径方向の破壊分力F3により破壊面Mf外周の角
部に割れや亀裂が発生することになる。
なると、F3<F4となって、穿孔間の破壊分力F4が
半径方向の破壊分力F3より大きくなり、破壊面Bfが
先に破壊される。そして半径方向の破壊分力F3がこの
破壊部分から外へ放出されるため、破壊面Mf外周の角
部に割れや亀裂が発生することがない。
なると、F3>F4となって、半径方向の破壊分力F3
が穿孔間の破壊分力F4より大きくなり、破壊面Mf外
周の角部に割れや亀裂が発生する。
°未満とすることで、F3<F4となり、破壊孔2間の
破壊面Bfを良好に破壊して、半径方向の破壊分力F3
を破壊面Mfから漏出させることができ、破壊面Mf外
周の角部に割れや亀裂が発生することがない。
ように、破壊して除去する破壊部Csは問題がないが、
破壊せずに残す健全部Bsがある場合、健全部Bsに破
壊力が及ぶと都合が悪い。したがって、健全部Bsの長
さを破壊可能領域Mfの1/2より大きく設定すること
で健全部Bsが破壊されることがない。破壊可能領域M
fは破壊条件などにより変動するおそれがあるので、好
ましくは健全部Bsを破壊可能領域Mf以上の長さを確
保するとよい。これにより隣接する破壊孔2(放電カー
トリッジ1)同士が、最も近い距離となることから、ま
ず破壊孔2,2間で破壊が行われ、健全部Bsに亀裂や
割れが進展されることがない。
図7に示す正方形断面の構造物S1aや図8に示す正六
角形断面の構造物S1bのように、外面からほぼ均等な
位置に1つの横断面中心がある略多角形断面や、扁平率
の小さい楕円形などの構造物も同様に構成される。もち
ろん、上記横断面では角部がエッジ状に形成されている
が、面取り状やアール状の多角形断面であっても問題は
ない。また、上記では、構造物S1の中心線に垂直な横
断面に沿って破壊面Bfを設定したが、中心線に所定の
角度をもって横断する横断方向の破壊面Bfであっても
よい。
断面、扁平率が大きい楕円形断面などで、中心線に直交
する横断面上で長手方向の両側で、外面からほぼ等しい
距離に位置する2つの横断面中心O2,O3を有するも
ののうち、たとえば長円形断面の構造物S2について図
9を参照して説明する。
合、横断面で長手方向の両側で、外面から略均等距離に
2つの横断面中心O2,O3が設定され、破壊面Bf上
でこれら横断面中心O2,O3の端部外側周囲には、隣
り合う破壊孔2Aに対して形成角度が90°未満となる
ように配置された第1破壊孔2Aが穿孔される。また、
横断面中心O2,O3間の外面から横断面中心O1,O
2を結ぶ中心線(横断面中心線)CLに向かって複数の
第2破壊孔2Bがたとえば直角に交差するように穿孔さ
れる。これら第2破壊孔2Bは、隣接する破壊孔2Bに
対して平行で、形成角が0°となるように穿孔されるこ
とにより、装填された放電カートリッジ1,1から発生
された衝撃波により発生するすべての破壊力を、穿孔間
の破壊力F4として働かせることができる。もちろん第
1破壊孔2A、第2破壊孔2Bに装填された放電カート
リッジ1の最大距離が、放電カートリッジ1の破壊可能
領域内であることはいうまでもなく、また隣接する第2
破壊孔2Bに対して90°未満の形成角θを有していて
もよい。
は、放電カートリッジ1を使用して、横断面が略略長円
形の構造物S2を中心に直交する破壊面Bfに沿って破
壊するに際し、前記破壊面Bfに、横断面上で長手方向
の両端側に位置する2つの横断面中心O1,O2と、こ
れら横断面中心O1,O2を結ぶ横断面中心線CLとを
設定し、破壊面Bf上で長手方向の両側の外面から横断
面中心O1,O2側に向く略放射方向の複数の第1破壊
孔2Aと、横断面中心O1,O2間の外面から横断面中
心線CLに向く複数の第2破壊孔2Bとを、隣り合う破
壊孔2A,2Bに対する形成角度がそれぞれ90°未満
となるように穿孔し、第1破壊孔2Aおよび第2破壊孔
2Bにそれぞれ放電カートリッジ1を装填して、構造物
S2を破壊面Bfに沿って破壊するものである。もちろ
ん、第1破壊孔2A間や第2破壊孔2B間に空孔21を
形成することは、先の破壊工法と同様である。
れる破壊力により、構造物S2を破壊面Bfに沿ってほ
ぼ平面的に破壊することができて、破壊面の角部分に亀
裂が生じることがない。
構造物S2aであっても同様である。つぎに、本発明に
係る放電破壊工法で上記の両被破壊物S1,S2に共通
する詳細技術を説明する。
S2aを含む)の径が大きくなると、破壊孔2間の距離
が大きくなり、たとえば円形断面の構造物S1で、隣接
する破壊孔2の形成角度θ=60°で直径が0.5mで
あった場合、最大の破壊孔2,2間の距離は直線で0.
25m(円弧で約0.4m)であるが、直径が1mとな
ると、最大の破壊孔2,2間の距離は直線で0.5mに
もなる。
壊孔2,2間の距離は直線で0.5mが破壊可能領域M
f内にある場合、構造物Sの横断面中心O1〜O3に近
い破壊面Bfでは、破壊孔2,2間の距離Lbが短いた
め破壊孔2が良好につながるが、外周部では、破壊面B
fにおける破壊孔2,2間の距離Laが長く亀裂が迷走
してつながることになる。破壊面Mfは、その後の処理
などの工程を考慮すると、亀裂が迷走しない方がのぞま
しい。
10に示すように、隣接する破壊孔は破壊可能領域Mf
内にあるが、破壊孔2間の距離が長い場合、迷走状の亀
裂を裂けるために、破壊孔2間に破壊面Bfに沿って外
周面から横断面中心O1,O2,O3または横断中心線
CLに向かう略放射方向の単数または複数の空孔21を
形成している。破壊時に生じる亀裂は構造物Sの強度の
弱いところを通過するため、この空孔21を通過して、
破壊孔2間の距離が長い場合であっても、空孔21によ
り亀裂を良好に案内して良好な破壊面Bfを形成するこ
とができる。もちろん、空孔21の数が多いほうが、よ
り平面的な破壊面Bfを形成することができる。
には鉄筋が内在されている。図3,図4,図11に示す
ように、コンクリート構造物S1(S2)を立設された
場所打ちコンクリートの杭頭部として説明すると、破壊
されずに残される健全部Csには、周方向に所定間隔を
あけて配置された複数の縦筋R1と、周方向のフープ筋
(横筋)R2とが結束線により連結されて内在されてい
るが、破壊撤去される破壊部Bsには、破壊されたコン
クリート片を容易に取り出すために、健全部Csから連
続する縦筋R1のみが配設されており、通常フープ筋は
設けられていない。しかしながら、放電カートリッジ1
による破壊時に、縦筋R1に衝撃波による破壊力が加わ
って縦金R1が変形し外周側に押出されることがある。
この結果、健全部Csの破壊面Bfの外周部に亀裂が生
じて、破壊面Mfの品質を低下させることになる。
破壊部Bsに、各縦金R1に結束線などを介して連結さ
れた単数または複数の破壊部フープ筋R3を内在させて
いる。もちろん破壊面Bf近傍の健全部Csにもフープ
筋R2は内在されている。したがって、破壊時に衝撃波
により破壊力が破壊面Bfに沿って縦筋R1に負荷され
ても、フープ筋R2,R3により縦筋R1の変形が阻止
されて、破壊面Bf外周の角部に亀裂や割れができるの
を未然に防止することができる。
R1,R2のコンクリートに対する密着力が放電カート
リッジ1による衝撃波の伝達を阻害し、破壊面Bfの破
壊が進展しないことがある。そのため、本発明では、図
11に示すように、予めコンクリートの打設前に、破壊
部Bsに対応して内在された特に縦筋R1に縁切り材3
1を被覆する。この縁切り材31これにより、縦筋R1
とコンクリートとの密着度を低下させたり、またはコン
クリートの変位を容易にし、あるいは縦筋R1とコンク
リートとの間に介在された空気層により、コンクリート
の破壊面Mfに垂直な方向の変位を許容して、破壊面B
fを良好に破壊することができる。
ものがある。 1.密着度を低下させるもの、油やシリコンなどの潤滑
油、 2.変位を容易にするもの、軟質プラスチック、合成ゴ
ム、木材、 3.空気層を有するもの、発泡スチロール、スポンジ、
エアキャップシート、段ボール 上記のように、破壊面Bfに垂直な縦鉄R1に縁切り材
31を被覆する手法は、既設のコンクリート構造物を破
壊する場合には適用が困難であるが、新設のコンクリー
ト構造物で予め破壊撤去が決まっている部分に適用が可
能であり、場所打ち杭の杭頭部には、破壊のための準備
を事前に行うことができるため、最適である。
ある場合、破壊孔2,2A,2Bおよび空穴21など
は、コンクリートが硬化後に、ドリルなどの穿孔装置を
使用して穿孔するが、騒音などの発生する現場作業にな
るとともに多くの作業時間を要する。また穿孔装置によ
り誤って縦筋R1を損傷させるようなことも考えられ
る。このため、この穿孔作業を削除して作業時間を短縮
するために、図11に示すように、図13に示す固定具
51〜53を使用して放電カートリッジ1を挿入可能な
装填容器41を破壊面Bfに沿って縦筋R1に固定して
おく。これら装填容器41は、放電カートリッジ1によ
る衝撃波に影響を与えずに容易に破壊されるプラスチッ
クや紙、木製パイプにより形成され、本体部41aの先
端部が半球面状に閉塞された円筒状で、基端開口部に開
閉蓋41bが装着されている。そして、これら装填容器
41の配置条件は破壊孔2と同様に、隣り合う装填容器
41との形成角度が90°未満として、コンクリートの
打設後に、開閉蓋41bが構造物の外面に露出するよう
に配置される。
fに接近した位置で、縦筋R1の内側または外側に針金
などにより取り付けられる大径の外リング材51aと、
外リング材51aの内側に同心上に配置される小径の内
リング材51bと、内外リング材51b,51aを連結
する連結材51とで構成され、内外リング材51b,5
1aの上面または下面に装填容器41および空孔容器4
2が針金などにより所定位置に取り付けられる。また図
3(a)に示す固定具52は、破壊面Bfに接近した位
置に縦筋R1の内側または外側に取り付けられるリング
板により構成され、このリング板の上面または下面の所
定位置に装填容器41および空孔容器42が取り付けら
れる。さらに図3(c)に示す固定具53は、破壊面B
fに接近した位置で複数の縦筋R1間に張り巡らされた
線材53a〜53cにより構成され、線材53a〜53
cの上面または下面の所定位置に装填容器41および空
孔容器42が取り付けられる。
ンクリートが凝固した後、地盤を掘り出して破壊面Bf
の外周部を露出させ、装填容器31の開閉蓋31bを開
けて放電カートリッジ1をそれぞれ装填し、シード線9
を接続して引き出し、放電カートリッジ1の装着作業を
終えることができる。したがって、破壊孔2,2A,2
Bの穿孔作業を削除することができる。
は、亀裂連結用空孔に代わる空孔容器42を配置する。
これら空孔容器42は、装填容器41と同様に、放電カ
ートリッジ1による衝撃波に影響を与えずに容易に破壊
される材質のものが採用され、コンクリート硬化後にそ
のまま構造物S1,S2に内在された状態で破壊作業が
実施される。
物S2の場合であり、第1破壊孔2Aと第2破壊孔2B
に対応して、第1装填容器41Aと第2装填容器41B
とを配置したもので、同一部材には同一の符号を付して
説明を省略する。
形断面のコンクリート構造物S1と同様に破壊すること
ができる。さらに前記装填容器41,41A,41Bに
代えて、直接放電カートリッジ1を埋め込んでもよい。
コンクリート打設前に、縦筋R1に固定して破壊孔2,
2Aと同じ位置に放電カートリッジ1を固定具51〜5
3を使用して配置し、コンクリートを打設することによ
り放電カートリッジ1をコンクリート構造物S1,S2
に内在させることもできる。なお、放電カートリッジ1
に接続されるリード線9は、縦筋R1に沿わせて構造物
S1,S2の上端部に導き出せばよい。これにより、放
電カートリッジ1の装填作業も削除することができ、更
に破壊作業時間を短縮できて効率的な破砕が実施でき
る。
によれば、略円形断面または略多角形断面の被破壊物を
破壊面に沿って破壊するときに、コンクリートの打設前
に予め、横断面中心の外側で放電カートリッジを装填す
る第1装填容器を破壊面上の外面から横断面中心に向く
放射方向で、隣り合う装填容器に対して90°未満とな
るように配置するとともに、横断面中心間で放電カート
リッジを装填する第2装填容器を破壊面上の外面から横
断面中心線に向き、隣り合う装填容器に対して90°未
満となるように配置することにより、コンクリート硬化
後に第1装填容器および第2装填容器に放電カートリッ
ジをそれぞれ装填するだけで、破壊作業を実施すること
ができ、作業時間を大幅に短縮することができる。また
これら第1,第2装填容器に装填された隣り合う放電カ
ートリッジからの衝撃波により破壊力を発生させ、これ
ら破壊力のうち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方
向外方に働く破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面
を最初に破壊し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊
することができる。しかも、破壊面が先に破壊されるこ
とで、他方向に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分
から逃がすことができるので、破壊面の角部に亀裂が発
生したり欠けることなく、平面状の破壊面を良好に形成
できる。
たは略長円形断面の被破壊物を破壊面に沿って破壊する
ときに、放電カートリッジを装填する装填容器を、コン
クリートの打設前に予め、破壊面上の外面から横断面中
心に向く放射方向で、90°未満となるように配置する
ことにより、コンクリート硬化後に装填容器に放電カー
トリッジを装填するだけで、破壊作業を実施することが
でき、作業時間を大幅に短縮することができる。またこ
れら破壊容器に装填されて隣り合う放電カートリッジか
らの衝撃波により破壊力を発生させ、これら破壊力のう
ち、破壊孔間方向に働く破壊力を、半径方向外方に働く
破壊力よりも大きくして破壊孔間の破壊面を最初に破壊
し、被破壊物を破壊面に沿って良好に破壊することがで
きる。しかも、破壊面が先に破壊されることで、他方向
に働く破壊力を既に破壊された破壊面部分から逃がすこ
とができるので、破壊面の角部に亀裂が発生したり欠け
ることなく、平面状の破壊面を良好に形成できる。
電カートリッジの放電可能領域は、金属細線から周方向
に均等に広がる直径を示しており、隣接する破壊孔にそ
れぞれ装填された放電カートリッジの放電可能領域を連
続させることにより、破壊孔を連結してより確実に破壊
面に沿って破壊することができる。
破壊物の強度の低い部位を通過する傾向にあり、破壊面
の装填容器間に亀裂連結用の空孔容器を配置することに
より、放電カートリッジによる装填容器間での亀裂を空
孔容器を介して容易に連結させることができ、特に装填
容器間の距離が大きい場合であっても、隣り合う装填容
器を良好に接続でき、破壊面の破壊を良好に行うことが
できる。
め破壊部で破壊面に略垂直方向の縦筋に予め縁切り材を
被覆しておくことにより、縦筋とコンクリートの密着力
を大幅に軽減できるので、縦筋により破壊面に対して圧
縮方向および離間方向に働く破壊力が阻害されること無
く有効に作用させることができ、またフープ筋により縦
筋の変形が防止できるので、破壊面の周囲の角部に割れ
や亀裂が生じるのを未然に防止することができる。
構成する放電カートリッジにより、場所打ちコンクリー
ト杭の頭部を破壊面に沿って破壊することにより、市街
地における騒音や作業員の過重な労働をなくし、かつ破
壊装置の取り扱いも容易で、破壊作業を能率的に精度良
く実施することができる。
実施の形態を示し、破壊装置を示す構成図である。
ある。
説明図である。
孔を示す横断面図である。
相違により異なる、放電カートリッジの衝撃波による破
壊力の作用を示す説明図である。
空孔を示す横断面図である。
び空孔を示す横断面図である。
空孔を示す横断面図である。
び空孔を示す横断面図である。
ープ筋を示す説明図である。
器および空孔容器の配置を示す説明図である。
を取り付ける固定具を示す平面図である。
容器および空孔容器の配置を示す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】放電カートリッジを使用して、横断面が略
円形または略複数角形のコンクリート構造物を破壊面に
沿って破壊するに際し、 コンクリート打設前に、予め、破壊面上で外周位置から
横断面中心側に向く略放射方向の複数の装填容器を、隣
り合う装填容器に対する角度が90°未満となるように
配置しておき、 コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれ
ぞれ放電カートリッジを装填し、 前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線
に電気エネルギーを短時間で供給し金属細線を急激に溶
融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を
介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿って
コンクリート構造物を破壊することを特徴とするコンク
リート構造物の破壊工法。 - 【請求項2】放電カートリッジを使用して、横断面が略
長方形または略長円形のコンクリート構造物を破壊面に
沿って破壊するに際し、 前記破壊面に、横断面上で長手方向の両側に位置する2
つの横断面中心と、これら横断面中心を結ぶ横断面中心
線とを設定し、 コンクリート打設前に、横断面上で長手方向の両側の外
面から横断面中心側に向く略放射方向の複数の第1装填
容器と、前記横断面中心間の外面から破壊面中心線に向
く複数の第2装填容器とを、隣り合う装填容器との形成
角が90°未満となるように配置してコンクリート構造
物に内在させ、 コンクリートが打設されて硬化後、前記装填容器にそれ
ぞれ放電カートリッジを装填し、 前記放電カートリッジ内で充填剤に浸漬された金属細線
に電気エネルギーを短時間に供給し金属細線を急激に溶
融気化させて衝撃力を発生させ、この衝撃力を充填剤を
介してコンクリート構造物に伝達させて破壊面に沿って
コンクリート構造物を破壊することを特徴とするコンク
リート構造物の破壊工法。 - 【請求項3】装填容器に装填した放電カートリッジ間の
最大距離を、該放電カートリッジの破壊可能領域未満と
したことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリ
ート構造物の破壊工法。 - 【請求項4】破壊面上で装填容器間に、亀裂連結用の空
孔容器を配置したことを特徴とする請求項1乃至3のい
ずれかに記載のコンクリート構造物の破壊工法。 - 【請求項5】コンクリート構造物に内在される鉄筋のう
ち、コンクリート打設前に、破壊されて撤去される破壊
部の少なくとも縦筋を縁切り材で被覆しておくととも
に、 該破壊部の破壊面近傍の縦筋に破壊時に縦筋の変形を防
ぐフープ筋を取り付けておくことを特徴とする請求項1
乃至4のいずれかに記載のコンクリート構造物の破壊工
法。 - 【請求項6】コンクリート構造物を場所打ちコンクリー
ト杭の頭部としたことを特徴とする請求項1乃至5のい
ずれかに記載のコンクリート構造物の破壊工法。
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-
2001
- 2001-10-12 JP JP2001314670A patent/JP3877567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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