JP4820068B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を、一対のセパレータで挟持する単セルを備え、複数の前記単セルが積層されるとともに、前記単セルの積層方向両端には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、電極触媒と多孔質カーボンからなるアノード側電極及びカソード側電極を対設して構成される電解質膜・電極構造体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。
この燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給される。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
一般的に、燃料電池は、セパレータの積層方向に貫通する流体供給連通孔及び流体排出連通孔が燃料電池内部に設けられた、所謂、内部マニホールドを構成している。そして、流体である燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体は、それぞれの流体供給連通孔から燃料ガス流路、酸化剤ガス流路及び冷却媒体流路に供給された後、それぞれの流体排出連通孔に排出されている。
この種の内部マニホールド型燃料電池では、必要に応じてターミナルプレートやエンドプレートにも、上記の流体供給連通孔及び流体排出連通孔が設けられている。その際、ターミナルプレート等のような金属製プレートでは、生成水や冷却水が接触して電蝕が発生し易くなり、腐食が惹起されるおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている固体高分子電解質型燃料電池が知られている。この特許文献1では、図7に示すように、単電池のセパレータ1の側面に集電板2が配設されるとともに、この集電板2の側面に電気絶縁板3が配設されている。セパレータ1、集電板2及び電気絶縁板3には、積層方向に貫通して貫通孔4が形成され、この貫通孔4には、前記電気絶縁板3に取り付けられた配管接続体5から冷却用流体が供給されている。集電板2には、貫通孔4を周回して絶縁性ブッシュ6が装着されている。
特開平8−130028号公報(図4)
しかしながら、上記の特許文献1では、集電板2に貫通孔4を周回して絶縁性ブッシュ6が装着されており、通常、単一の前記集電板2には、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体用に最低6つの貫通孔4が設けられている。従って、各集電板2毎に最低6つの絶縁性ブッシュ6を用意しなければならず、部品数が増加して経済的ではないという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、ターミナルプレートを良好に絶縁することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を、一対のセパレータで挟持する単セルを備え、複数の前記単セルが積層されるとともに、前記単セルの積層方向両端には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックである。
絶縁部材は、中央部にターミナルプレートが収容される凹部が設けられるとともに、前記凹部の外側には、前記絶縁部材を貫通して少なくとも反応ガス又は冷却媒体を流す流体連通孔が形成されている。
また、反応ガスは、燃料ガス及び酸化剤ガスであり、流体連通孔は、燃料ガス供給連通孔、燃料ガス排出連通孔、酸化剤ガス供給連通孔、酸化剤ガス排出連通孔、冷却媒体供給連通孔及び冷却媒体排出連通孔を有することが好ましい。
本発明では、絶縁部材の凹部にターミナルプレートが収容されるとともに、前記絶縁部材に流体連通孔が設けられるため、このターミナルプレートには、前記流体連通孔が設けられていない。このため、従来、ターミナルプレートに装着されていた絶縁ブッシュ等の絶縁部材が不要になる。これにより、簡単且つ経済的な構成で、ターミナルプレートを良好に絶縁することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10の一部分解概略斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の概略斜視図であり、図3は、前記燃料電池スタック10の一部断面側面図である。
図1に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート(絶縁部材)18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。
積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁プレート(絶縁部材)18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。燃料電池スタック10は、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング24により一体的に保持される。
ターミナルプレート16a、16bの略中央には、図1に示すように、積層方向外方に延在する端子部26a、26bが設けられる。端子部26a、26bは、絶縁性筒体28a、28bに挿入されてエンドプレート20a、20bの外部に突出する(図3参照)。
図3及び図4に示すように、各単セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)30と、前記電解質膜・電極構造体30を挟持する第1及び第2金属セパレータ32、34とを備える。第1及び第2金属セパレータ32、34は、金属製薄板を波形状やディンプル形状等にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有している。なお、第1及び第2金属セパレータ32、34に代替して、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
単セル12の長辺方向(図4中、矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔(流体連通孔)36a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔(流体連通孔)38a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔(流体連通孔)40bが設けられる。
単セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔(流体連通孔)40a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔(流体連通孔)38b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔(流体連通孔)36bが設けられる。
電解質膜・電極構造体30は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するアノード側電極44及びカソード側電極46とを備える。
アノード側電極44及びカソード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜42の両面に形成される。
第1金属セパレータ32の電解質膜・電極構造体30に向かう面32aには、燃料ガス供給連通孔40aと燃料ガス排出連通孔40bとを連通する燃料ガス流路48が形成される。この燃料ガス流路48は、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成される。第1金属セパレータ32の面32bには、冷却媒体供給連通孔38aと冷却媒体排出連通孔38bとを連通する冷却媒体流路50が形成される。この冷却媒体流路50は、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成される。
第2金属セパレータ34の電解質膜・電極構造体30に向かう面34aには、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部からなる酸化剤ガス流路52が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路52は、酸化剤ガス供給連通孔36aと酸化剤ガス排出連通孔36bとに連通する。第2金属セパレータ34の面34bには、第1金属セパレータ32の面32bと重なり合って冷却媒体流路50が一体的に形成される。
第1金属セパレータ32の面32a、32bには、この第1金属セパレータ32の外周端部を周回して第1シール部材54が一体成形される。第1シール部材54は、面32aで燃料ガス供給連通孔40a、燃料ガス排出連通孔40b及び燃料ガス流路48を囲繞してこれらを連通させる一方、面32bで冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b及び冷却媒体流路50を囲繞してこれらを連通させる。第1シール部材54は、面32aに凸状シール部55aを設けるとともに、面32bに凸状シール部55bを設ける。
第2金属セパレータ34の面34a、34bには、この第2金属セパレータ34の外周端部を周回して第2シール部材56が一体成形される。第2シール部材56は、面34aで酸化剤ガス供給連通孔36a、酸化剤ガス排出連通孔36b及び酸化剤ガス流路52を囲繞してこれらを連通させる一方、面34bで冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b及び冷却媒体流路50を囲繞してこれらを連通させる。第2シール部材56は、面34aに凸状シール部58を設ける。
図1及び図5に示すように、絶縁プレート18a、18bは、絶縁性材料、例えば、ポリカーボネート(PC)やフェノール樹脂等で形成されている。絶縁プレート18a、18bは、中央部に矩形状の凹部60a、60bが設けられるとともに、この凹部60a、60bの略中央に孔部62a、62bが形成される。凹部60a、60bには、ターミナルプレート16a、16bが収容され、前記ターミナルプレート16a、16bの端子部26a、26bが絶縁性筒体28a、28bを介装して孔部62a、62bに挿入される。
ケーシング24は、図1に示すように、端板であるエンドプレート20a、20bと、積層体14の側部に配置される複数の側板70a〜70dと、前記側板70a〜70dの互いに近接する端部同士を連結するアングル部材(例えば、Lアングル)72a〜72dと、前記エンドプレート20a、20bと前記側板70a〜70dとを連結するそれぞれ長さの異なる連結ピン74a、74bとを備える。
エンドプレート20a、20bの上下各辺には、それぞれ2つの第1連結部76a、76bが突出形成されるとともに、両側の各辺には、それぞれ1つの第1連結部76c、76dが突出形成される。エンドプレート20a、20bの両側の各辺下端には、マウント用ボス部78a、78bが形成される。このボス部78a、78bが、図示しない搭載部位にボルト等を介して固定されることにより、燃料電池スタック10を、例えば、車両に搭載する。
積層体14の横方向両側に配置される側板70a、70cの長手方向両端には、第2連結部80a、80bが2つずつ形成される。積層体14の上下両側に配置される側板70b、70dの長手方向両端には、第2連結部82a、82bが3つずつ形成される。
側板70a、70cの各第2連結部80a、80b間には、エンドプレート20a、20bの両側の各辺の第1連結部76c、76dが配置されるとともに、これらに短尺な連結ピン74aが一体的に挿入されて、前記側板70a、70cが前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。
同様に、側板70b、70dの第2連結部82a、82bがエンドプレート20a、20bの上辺及び下辺の第1連結部76a、76bと交互に配置されるとともに、これらに長尺な連結ピン74bが一体的に挿入されて、前記側板70b、70dが前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。
側板70a〜70dには、短手方向両端縁部にそれぞれ複数のねじ孔84が形成される一方、アングル部材72a〜72dの各辺には、前記ねじ孔84に対応して孔部86が形成される。各孔部86に挿入される各ねじ88がねじ孔84に螺合することにより、アングル部材72a〜72dを介して側板70a〜70d同士が固定される。これにより、ケーシング24が構成される(図2参照)。
図6に示すように、エンドプレート20aには、流体連通孔である酸化剤ガス供給連通孔36a、冷却媒体供給連通孔38a、燃料ガス排出連通孔40b、燃料ガス供給連通孔40a、冷却媒体排出連通孔38b及び酸化剤ガス排出連通孔36bにそれぞれ絶縁グロメット90が装着される。なお、図6以外の図面では、絶縁グロメット90の図示は省略している。エンドプレート20a、20bの略中央には、孔部92a、92bが形成される(図1参照)。
なお、アングル部材72a〜72dにねじ孔を形成する一方、側板70a〜70dに孔部を形成し、前記アングル部材72a〜72dを前記側板70a〜70dの内方に配置した状態で、これらを一体的にねじ止めしてもよい。また、アングル部材72a〜72dを側板70a〜70dのいずれかに一体化して構成してもよい。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図2に示すように、燃料電池スタック10では、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給連通孔36aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔40aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔38aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単セル12に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が、それぞれ矢印A方向に供給される。
図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔36aから第2金属セパレータ34の酸化剤ガス流路52に導入され、電解質膜・電極構造体30のカソード側電極46に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔40aから第1金属セパレータ32の燃料ガス流路48に導入され、電解質膜・電極構造体30のアノード側電極44に沿って移動する。
従って、各電解質膜・電極構造体30では、カソード側電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極44に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図3参照)。
次いで、カソード側電極46に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔36bに沿って流動した後、エンドプレート20aから外部に排出される。同様に、アノード側電極44に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔40bに排出されて流動し、エンドプレート20aから外部に排出される。
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔38aから第1及び第2金属セパレータ32、34間の冷却媒体流路50に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体30を冷却した後、冷却媒体排出連通孔38bを移動してエンドプレート20aから排出される。
この場合、本実施形態では、図6に示すように、絶縁プレート18aの中央部に矩形状の凹部60aが設けられ、この凹部60aにターミナルプレート16aが収容されている。さらに、凹部60aの外側には、絶縁プレート18aを貫通して酸化剤ガス供給連通孔36a、冷却媒体供給連通孔38a、燃料ガス排出連通孔40b、燃料ガス供給連通孔40a、冷却媒体排出連通孔38b及び酸化剤ガス排出連通孔36bを含む流体連通孔が形成されている。
このため、ターミナルプレート16aには、上記の流体連通孔が設けられておらず、前記ターミナルプレート16aには、各流体連通孔に対応して絶縁ブッシュ等の絶縁部材を装着する必要がない。これにより、エンドプレート20aにのみ絶縁グロメット90を用いるだけでよく、簡単且つ経済的な構成で、ターミナルプレート16aを良好に絶縁することが可能になるという効果が得られる。
なお、本実施形態では、絶縁プレート18bには、上記の連通孔が設けられていないが、必要に応じてこの絶縁プレート18bにも、絶縁プレート18aと同様に前記流体連通孔を設けてもよい。
さらに、燃料電池スタック10では、箱状ケーシング24内に積層体14を収容しているが、これに代替し、例えば、エンドプレート20a、20b間を図示しないタイロッドにより締め付けるように構成してもよい。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解概略斜視図である。 前記燃料電池スタックの概略斜視図である。 前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成する単セルの要部分解斜視図である。 前記燃料電池スタックの要部断面説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する一方のエンドプレート、絶縁プレート及びターミナルプレートとの分解斜視説明図である。 特許文献1の燃料電池の一部断面説明図である。
符号の説明
10…燃料電池スタック 12…単セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18a、18b…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
24…箱状ケーシング 30…電解質膜・電極構造体
32、34…金属セパレータ 36a…酸化剤ガス供給連通孔
36b…酸化剤ガス排出連通孔 38a…冷却媒体供給連通孔
38b…冷却媒体排出連通孔 40a…燃料ガス供給連通孔
40b…燃料ガス排出連通孔 42…固体高分子電解質膜
44…アノード側電極 46…カソード側電極
48…燃料ガス流路 50…冷却媒体流路
52…酸化剤ガス流路 60a、60b…凹部
62a、62b…孔部 70a〜70b…側板
72a〜72d…アングル部材

Claims (2)

  1. 電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を、一対の金属セパレータで挟持する単セルを備え、複数の前記単セルが積層されるとともに、前記単セルの積層方向両端には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックであって、
    前記絶縁部材は、平板状を有し、中央部に前記ターミナルプレートが収容される凹部が設けられるとともに、
    前記凹部の外側には、前記絶縁部材を貫通して少なくとも反応ガス又は冷却媒体を流す流体連通孔が形成される一方、
    前記絶縁部材を介装して前記ターミナルプレートに隣接する前記金属セパレータは、波板状を有し、且つ前記金属セパレータの外周に一体成形されたシール部材が、前記絶縁部材に当接することを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記反応ガスは、燃料ガス及び酸化剤ガスであり、
    前記流体連通孔は、燃料ガス供給連通孔、燃料ガス排出連通孔、酸化剤ガス供給連通孔、酸化剤ガス排出連通孔、冷却媒体供給連通孔及び冷却媒体排出連通孔を有することを特徴とする燃料電池スタック。
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