JP3981623B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を有し、前記電解質・電極構造体とセパレータとを複数積層した積層体を備えるとともに、前記積層体の両端にターミナルプレート、絶縁プレートおよびエンドプレートが配置される燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜を採用している。この電解質膜の両側に、それぞれカーボンを主体とする基材に貴金属系の電極触媒層を接合したアノード側電極およびカソード側電極を対設した電解質膜(電解質)・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより燃料電池が構成されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池は、通常、数十〜数百の単位セルを積層して積層体を構成している。この積層体の両端には、各燃料電池により発電された電力を集電するためのターミナルプレートと、前記積層体および前記ターミナルプレートを積層方向に押圧保持するためのエンドプレートと、前記ターミナルプレートおよび前記エンドプレート間を絶縁するための絶縁プレートとが配設され、燃料電池スタックが構成されている。
【0005】
ところで、燃料電池スタックには、積層方向に貫通して燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体を流すための連通孔が設けられている。その際、ターミナルプレートとエンドプレートとの間には、発電により発生した生成水や冷却媒体等による液絡が発生するという問題がある。そこで、例えば、特許文献1には、プレートの反応ガス連通孔に絶縁性ゴム等のグロメット(筒部材)を挿入する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4,371,433号公報(図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1の技術を採用すると、ターミナルプレート、絶縁プレートおよびエンドプレートを含む各プレート毎にグロメットを装着しなければならない。このため、燃料電池スタック全体として、相当に多数のグロメットが必要となり、コストが高騰するという問題がある。
【0008】
しかも、各プレートの両面には、グロメットを確実かつ良好に取り付けるために連通孔を周回して溝部が形成されており、前記溝部の深さによって前記プレートの最小厚さが決定される。これにより、各プレートの厚さが相当に大きくなってしまい、燃料電池スタック全体を薄型化および軽量化することができないという問題がある。
【0009】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、燃料電池スタック全体を容易に薄型化および軽量化するとともに、組み立て作業性に優れる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池スタックでは、電解質・電極構造体とセパレータとを複数積層した積層体と、この積層体の少なくとも一端に配置されるターミナルプレート、絶縁プレートおよびエンドプレートとには、積層方向に貫通して、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガスまたは冷却媒体のいずれかを流す連通孔が設けられている。そして、連通孔の内周面には、複数のプレートを一体的に跨いで絶縁性筒部材が配設されている。
【0011】
具体的には、ターミナルプレートおよび絶縁プレート、または絶縁プレートおよびエンドプレート、またはターミナルプレート、絶縁プレートおよびエンドプレートには、各連通孔の内周面に沿って単一の絶縁性筒部材が一体に配設されている。そして、絶縁性筒部材は、絶縁性ゴムで構成され、内周面に嵌合するボディの両端にフランジが一体に形成されている。
【0012】
このため、各プレートの両面に絶縁性筒部材を装着するための溝部を形成する必要がなく、前記溝部の数が減少して前記各プレートの厚さを有効に小さくすることができる。従って、各プレートの機能を維持しながら薄肉化を図ることが可能になり、燃料電池スタック全体の薄型化および軽量化が容易に図られる。しかも、絶縁性筒部材の数が削減されるため、製造コストが有効に低減されるとともに、燃料電池スタックの組み立て作業性が良好に向上する。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池スタックでは、絶縁性筒部材が、少なくとも一方の前記フランジの端面にリップ状シール部を設けている。これにより、絶縁性筒部材のシール性が有効に向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の一部分解概略斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の一部断面側面図である。
【0015】
図1に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単位セル12が矢印A方向に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18bおよびエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。燃料電池スタック10は、エンドプレート20a、20bを含むケーシング24を介して一体的に保持される。
【0016】
図2および図3に示すように、各単位セル12は、電解質膜(電解質)・電極構造体30と、前記電解質膜・電極構造体30を挟持する第1および第2セパレータ32、34とを備える。第1および第2セパレータ32、34は、例えば、金属製の板材により構成されている。なお、第1および第2セパレータ32、34はカーボン材等により構成してもよい。電解質膜・電極構造体30と第1および第2セパレータ32、34との間には、後述する連通孔の周囲および電極面の外周を覆って、シール部材35が介装されている。
【0017】
単位セル12の長辺(図3中、矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔36a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔38a、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔40bが設けられる。
【0018】
単位セル12の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔40a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔38b、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔36bが設けられる。
【0019】
電解質膜・電極構造体30は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜42と、該固体高分子電解質膜42を挟持するアノード側電極44およびカソード側電極46とを備える。
【0020】
アノード側電極44およびカソード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されてなる電極触媒層とをそれぞれ有する。電極触媒層は、互いに固体高分子電解質膜42を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜42の両面に接合されている。
【0021】
第1セパレータ32の電解質膜・電極構造体30側の面32aには、燃料ガス供給連通孔40aと燃料ガス排出連通孔40bとを連通する燃料ガス流路48が形成される。この燃料ガス流路48は、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成されている。第1セパレータ32の面32bには、冷却媒体供給連通孔38aと冷却媒体排出連通孔38bとを連通する冷却媒体流路50が形成される。この冷却媒体流路50は、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成されている。
【0022】
第2セパレータ34の電解質膜・電極構造体30側の面34aには、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部からなる酸化剤ガス流路52が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路52は、酸化剤ガス供給連通孔36aと酸化剤ガス排出連通孔36bとに連通する。図1に示すように、ターミナルプレート16a、16bの端部には、面方向に突出する板状の端子部54a、54bが形成される。
【0023】
ケーシング24は、エンドプレート20a、20bと、下板56と、上板58と側板60a、60bとを備える。エンドプレート20a、20bの上下各辺には、それぞれ2つのタブ部62a、62bが突出形成されるとともに、両側の各辺には、それぞれ1つのタブ部62a、62bが突出形成される。エンドプレート20a、20bの両側の各辺下端には、マウント用ボス部64a、64bが形成される。このボス部64a、64bは、図示しない搭載部位にボルト等により固定されることにより、燃料電池スタック10を、例えば、車両に搭載する。
【0024】
下板56および上板58は、断面コ字状に屈曲形成され、それぞれの長手方向両端には、タブ部66a、66bが3つずつ形成される。側板60a、60bの長手方向両端には、タブ部68a、68bが2つずつ形成される。
【0025】
下板56のタブ部66aとエンドプレート20a、20bの下辺のタブ部62a、62bは、交互に配置されるとともに、これらにピン70が一体的に挿入されて、前記下板56が前記エンドプレート20a、20bに組み付けられる。同様に、上板58のタブ部66bがエンドプレート20a、20bの上辺のタブ部62aと交互に配置されるとともに、これらにピン70が一体的に挿入されて、前記上板58が前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。
【0026】
側板60a、60bのそれぞれのタブ部68a、68bは、エンドプレート20a、20bの両側の各辺のタブ部62aと同軸状に配置され、これらにピン72が一体的に挿入されることによって、前記側板60a、60bが前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。これにより、ケーシング24が構成される。
【0027】
図4および図5に示すように、酸化剤ガス供給連通孔36a、酸化剤ガス排出連通孔36b、冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b、燃料ガス供給連通孔40aおよび燃料ガス排出連通孔40bの各内周面には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aを一体的に跨いで第1絶縁グロメット(絶縁性筒部材)74が配設される。
【0028】
第1絶縁グロメット74は、例えば、絶縁ゴムで構成されており、連通孔嵌合部であるボディ76の両端にフランジ78、80が一体的に形成される。フランジ78、80には、外方に向かって突出するリップ状シール部82、84が設けられるとともに、内方に膨出して突部86、88がそれぞれ所定の形状に形成される。エンドプレート20aは、フランジ78の突部86が配置される溝部90を設ける一方、ターミナルプレート16aは、フランジ80の突部88が嵌合する溝部92を設ける。
【0029】
同様に、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18bおよびエンドプレート20bを一体的に跨いで、第2絶縁グロメット(絶縁性筒部材)94が装着される。なお、第2絶縁グロメット94は、第1絶縁グロメット74と同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0030】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0031】
まず、図1に示すように、燃料電池スタック10では、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給連通孔36aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔40aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔38aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数組の単位セル12に対し、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体が矢印A方向に供給される。
【0032】
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔36aから第2セパレータ34の酸化剤ガス流路52に導入され、電解質膜・電極構造体30のカソード側電極46に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔40aから第1セパレータ32の燃料ガス流路48に導入され、電解質膜・電極構造体30のアノード側電極44に沿って移動する。
【0033】
従って、各電解質膜・電極構造体30では、カソード側電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極44に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0034】
次いで、アノード側電極44に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔40bに排出されて流動し、エンドプレート20aから排出される。同様に、カソード側電極46に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔36bに沿って流動した後、エンドプレート20aから排出される。
【0035】
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔38aから第1セパレータ32の冷却媒体流路50に導入された後、矢印B方向に沿って流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体30を冷却した後、冷却媒体排出連通孔38bを移動してエンドプレート20aから排出される。
【0036】
この場合、第1の実施形態では、図4および図5に示すように、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aの連通孔である酸化剤ガス供給連通孔36a、酸化剤ガス排出連通孔36b、冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b、燃料ガス供給連通孔40aおよび燃料ガス排出連通孔40bに生成水や冷却媒体等による液絡を防止するための第1絶縁グロメット74が装着されている。
【0037】
その際、第1絶縁グロメット74は、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aを一体的に跨いで配設されている。このため、第1絶縁グロメット74を取り付ける際には、エンドプレート20aの片面とターミナルプレート16aの片面とに溝部90、92を形成するだけでよい。
【0038】
すなわち、従来のように、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aにそれぞれ絶縁グロメットを装着する場合には、前記ターミナルプレート16a、前記絶縁プレート18aおよび前記エンドプレート20aの両面に溝部を形成する必要がある。これに対し、第1の実施形態では、エンドプレート20aの片面とターミナルプレート16aの片面とに溝部90、92を形成するだけでよく、溝数が大幅に削減される。
【0039】
これにより、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aは、所望の機能を維持して薄肉化を図ることができ、燃料電池スタック10全体の薄型化および軽量化が容易に可能になるという効果が得られる。
【0040】
しかも、第1絶縁グロメット74は、3枚のプレート、すなわち、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aに一体的に跨って装着されることにより、前記第1絶縁グロメット74の数が大幅に(具体的には、1/3に)削減される。従って、製造コストが有効に低減されるとともに、第1絶縁グロメット74の組み付け作業および取り外し作業が簡素化することにより、燃料電池スタック10全体の組み立て作業性が良好に向上するという利点がある。
【0041】
一方、第2絶縁グロメット94は、上記の第1絶縁グロメット74と同様に複数枚のプレートであるターミナルプレート16b、絶縁プレート18bおよびエンドプレート20bに一体的に跨って装着されている。このため、第2絶縁グロメット94の数が大幅に(具体的には、1/4に)削減されるとともに、各プレートの薄肉化および軽量化が容易に図られる。これにより、第2絶縁グロメット94では、第1絶縁グロメット74と同様の効果が得られる。
【0042】
なお、第1の実施形態では、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18aおよびエンドプレート20aを一体的に跨いで第1絶縁グロメット74が配設される一方、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18bおよびエンドプレート20bを一体的に跨いで第2絶縁グロメット94が配設されているが、これに限定されるものではない。例えば、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18bおよびエンドプレート20bに連通孔が設けられていない構造では、第2絶縁グロメット94が不要になり、第1絶縁グロメット74のみが使用される。これは、以下に説明する第2の実施形態でも同様である。
【0043】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック100の要部拡大断面図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
この燃料電池スタック100は、エンドプレート20aに装着される第1絶縁グロメット102aと、ターミナルプレート16aおよび絶縁プレート18aに一体的に跨って装着される第1絶縁グロメット104aと、エンドプレート20bに装着される第2絶縁グロメット102bと、ターミナルプレート16bおよび絶縁プレート18bに一体的に装着される第2絶縁グロメット104bとを備える。
【0045】
エンドプレート20aは、第1絶縁グロメット102aの突部86、86aを収容するために両面に溝部90、90aを備え、絶縁プレート18aは、第1絶縁グロメット104aの突部88aを挿入するための溝部92aを設ける。エンドプレート20b側は、上記のエンドプレート20a側と同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0046】
このように構成される第2の実施形態では、第1絶縁グロメット104aがターミナルプレート16aおよび絶縁プレート18aに一体的に跨って装着されている。このため、ターミナルプレート16aおよび絶縁プレート18aの片面のみに溝部92、92aを形成すればよい。これにより、絶縁グロメット数の削減を図るとともに、ターミナルプレート16aおよび絶縁プレート18aを有効に薄肉化かつ軽量化することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
一方、第2絶縁グロメット104bは、上記の第1絶縁グロメット104aと同様に、ターミナルプレート16bおよび絶縁プレート18bに一体的に跨って装着されている。従って、第2絶縁グロメット104bは、第1絶縁グロメット104aと同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、第2の実施形態では、第1絶縁グロメット104aがターミナルプレート16aおよび絶縁プレート18aに一体的に装着されるとともに、第2絶縁グロメット104bがターミナルプレート16bおよび絶縁プレート18bに一体的に装着されているが、これに限定されるものでない。例えば、エンドプレート20aと絶縁プレート18aとに一体的に跨って絶縁グロメットを装着する一方、エンドプレート20bと絶縁プレート18bとに一体的に跨って絶縁グロメットを装着してもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池スタックでは、積層方向に貫通する連通孔の内周面に、積層体の少なくとも一端に配設されるターミナルプレートおよび絶縁プレート、または前記絶縁プレートおよびエンドプレート、または前記ターミナルプレート、前記絶縁プレートおよび前記エンドプレートには、各連通孔の内周面に沿って単一の絶縁性筒部材が一体に配設される。
【0050】
このため、各プレートの両面に溝部を形成する必要がなく、前記溝部の数が減少して前記各プレートの厚さを有効に小さくすることができる。従って、各プレートの機能を維持して薄肉化を図りながら、燃料電池スタック全体の薄型化および軽量化が可能になる。しかも、絶縁性筒部材の数が削減されるため、製造コストが有効に低減されるとともに、前記絶縁性筒部材の取り付けおよび取り外し等の組み立て作業性が良好に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解概略斜視図である。
【図2】前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。
【図3】前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【図4】各プレートに絶縁グロメットが装着された状態の斜視説明図である。
【図5】燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10、100…燃料電池スタック 12…単位セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18a、18b…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
24…ケーシング 30…電解質膜・電極構造体
32、34…セパレータ 36a…酸化剤ガス供給連通孔
36b…酸化剤ガス排出連通孔 38a…冷却媒体供給連通孔
38b…冷却媒体排出連通孔 40a…燃料ガス供給連通孔
40b…燃料ガス排出連通孔 42…固体高分子電解質膜
44…アノード側電極 46…カソード側電極
48…燃料ガス流路 50…冷却媒体流路
52…酸化剤ガス流路
74、94、102a、102b、104a、104b…絶縁グロメット
76…ボディ 78、80…フランジ
82、84…シール部 86、86a、88、88a…突部
90、90a、92、92a…溝部
Claims (2)
- 電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を有し、前記電解質・電極構造体とセパレータとを複数積層した積層体を備えるとともに、前記積層体の両端にターミナルプレート、絶縁プレートおよびエンドプレートが配置される燃料電池スタックであって、
前記積層体と、前記積層体の少なくとも一端に配置される前記ターミナルプレート、前記絶縁プレートおよび前記エンドプレートとには、積層方向に貫通して、少なくとも燃料ガス、酸化剤ガスまたは冷却媒体のいずれかを流す連通孔が設けられるとともに、
前記ターミナルプレートおよび前記絶縁プレート、または前記絶縁プレートおよび前記エンドプレート、または前記ターミナルプレート、前記絶縁プレートおよび前記エンドプレートには、各連通孔の内周面に沿って単一の絶縁性筒部材が一体に配設され、
前記絶縁性筒部材は、絶縁性ゴムで構成され、前記内周面に嵌合するボディの両端にフランジが一体に形成されることを特徴とする燃料電池スタック。 - 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記絶縁性筒部材は、少なくとも一方の前記フランジの端面にリップ状シール部を設けることを特徴とする燃料電池スタック。
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