JP4818911B2 - 自己架橋性水性ポリウレタン分散液 - Google Patents

自己架橋性水性ポリウレタン分散液 Download PDF

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Description

本発明は、自己架橋性水性ポリウレタン分散液に関する。
硬化剤、例えば、多官能性イソシアネート(室温で又はわずかに高い温度で)又はアミノ樹脂(一般的には100℃を上回る温度で)の添加を伴わずに硬化されて、架橋塗膜を形成する水性ポリウレタン分散液は、文献からすでに既知である。特許文献1では、ケトン基を含有するアクリル単量体でグラフトすることにより官能化され、且つ外部の硬化剤の添加を伴わずに分散液中に溶解されたジヒドラジド、例えば、アジピン酸ジヒドラジドと架橋する水性ポリウレタン分散液が記載されている。しかしながら、これらの分散液の乾燥性は、未だに満足のいくものではない。
欧州特許出願公開第0,649,865号 ドイツ特許出願公開第2,928,552号 米国特許第3,124,605号 米国特許第3,358,010号 米国特許第3,903,126号 米国特許第3,903,127号 米国特許第3,976,622号 米国特許出願公開第4,324,879号 ドイツ特許出願公開第2,020,905号 ドイツ特許出願公開第2,314,513号 ドイツ特許出願公開第3,124,784号 欧州特許出願公開第0,120,466号 ドイツ特許出願公開第2,811,913号 米国特許第3,412,054号 米国特許第3,640,924号 ドイツ特許出願公開第2,624,442号 ドイツ特許出願公開第2,744,544号 ドイツ特許出願公開第3,644,371号
本発明の目的は、より迅速に乾燥し、そして短時間後にすでに改善された耐化学薬品性を示す類似のポリウレタン分散液を提供することである。
この目的は、側方又は末端に結合されたカルボニル基を有するポリウレタン分子を含有する自己架橋性水性ポリウレタン分散液により達成される。
本発明は、自己架橋性ポリウレタンの水性分散液であって、ポリイソシアネートA、少なくとも400g/molの数平均モル質量Mを有するポリオールB、必要に応じて400g/mol未満のMを有する低モル質量ポリオールC、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも2つの基及び陰イオンを生成し得る少なくとも1つの基を有する化合物D、イソシアネート基に対して反応性である他の基を保有しない低モル質量ポリオールE、イソシアネートに対して反応性である少なくとも1つの基及び少なくとも1つのアルデヒド様又はケトン様カルボニル基を含有する化合物F、イソシアネートに対して単官能性であるか又は異なる反応性を有する活性水素を含有し、化合物Eとは異なる化合物G、並びに、必要に応じて、B、C、D、E、F及びGとは異なり、NCO基と反応する少なくとも2つの基を含有する化合物Hから誘導される構造単位を含有するポリウレタンの水性分散液に関する。
水性分散液は、ジアミンI1及びジヒドラジドI2からなる群から選択される架橋剤Iも含有する。
カルボニル基は化合物F中に組入れられ、そして二価基−X−によりポリウレタン中のポリマー鎖に結合される。この場合、基−X−は好ましくは、各々少なくとも2、好ましくは3〜20個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖及び環状アルキレン基及びアラルキレン基からなる群から選択され、2つの結合部位は同一C原子上であってはならない。ヒドロキシル、アミン及びメルカプタン基から選択されるイソシアネート反応性基は、芳香族炭素原子(例えば、フェノール性ヒドロキシル基)に、又は好ましくは脂肪族炭素原子に結合され得る。
基−X−は、好ましくは、構造式:−CR−CR−;−CR−CR−CR−又は−CR−CR−CR−CR−(式中、ラジカルR〜Rは、相互に異なるか又は同一であり、また、環状構造が形成されるように共に結合され得る)を有する1,2−、1,3−又は1,4−アルキレンラジカルである。しかし、直鎖構造、例えば、以下の型の群:−CH−CH−;−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−から選ばれることが好ましい。
好ましい化合物Fは、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ブタノン、特に3−アセチル−1−プロパノール、2−アセチル−1−エタノール、4−アセチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド及びジヒドロ−5−ヒドロキシメチル−2(3H)−フラノンである。
〜Rは、H−、−OH、1〜4個のC原子を有するアルキル、1〜4個のC原子を有する−O−アルキル及びハロゲンから選択される。
架橋剤Iとして、ジアミンI1及び/又はジヒドラジドI2がポリウレタンの水性分散液に添加される。
本発明は、自己架橋性水分散性ポリウレタン樹脂を製造する方法であって、
ポリイソシアネートAを、少なくとも400g/molの数平均モル質量Mを有するポリオールB、必要に応じて低モル質量ポリオールC、カルボニル基を有する化合物F、並びにイソシアネート基に対して反応性である少なくとも2つの基及び陰イオンを生成し得る少なくとも1つの基を有する化合物Dを反応させて、少なくとも11cm/g、好ましくは少なくとも13cm/g、特に好ましくは少なくとも18cm/gのシュタウディンガー指数Jを有する遊離NCO基を含有するプレポリマーを生成することによるイソシアネート官能性プレポリマーを合成する工程、
陰イオン基、即ち水中の前記プレポリマーの分散液を生成するための陰イオンの生成が可能な化合物D中の基の少なくとも部分的な中和をする工程、及び
中和されたプレポリマーと、イソシアネート基に対して反応性である他の基を保有しない低モル質量ポリオールE(これらの化合物は過剰量で用いられる)、イソシアネートに対して単官能性であるか又は異なる反応性を有する活性水素を含有し、化合物Eとは異なる化合物G、並びに、必要に応じて、B、C、D、E、F及びGとは異なり、NCO基と反応する少なくとも2つの基を含有する化合物Hから選択される構成成分の少なくとも1つと反応させる工程、及び
ジアミンI1及びジヒドラジドI2から選択される架橋剤Iを添加する工程
を有する自己架橋性水分散性ポリウレタン樹脂を製造する方法にも関する。
「シュタウディンガー指数」としてDIN 1342、パート2.4で言及されている、いわゆる「極限粘度数」Jは、漸減濃度及び剪断応力を有するシュタウディンガー関数Jの極限値であり、この場合、Jは、溶解物質Bの質量濃度β=m/V(溶液の体積V中の物質の質量m)で割った粘度の相対変化であり、言い換えれば、J=(η−1)/βである。ここでη−1は、η−1=(η−η)/ηに係る粘度の相対変化を意味する。相対粘度ηは、検討中の溶液の粘度ηと純粋溶媒の粘度ηの商(quotient)である(固有粘度の物理学的意味は、無限希釈時及び静止時の溶媒和ポリマータングルの比流体力学体積の粘度である)。Jに関して一般的に用いられる単位は、「cm/g」であり、しばしば「ml/g」又は「dl/g」でもある。
本発明は、結合剤としてこれらの自己架橋性水分散性ポリウレタン樹脂を含有する塗料にも関する。この場合、その他の結合剤も、必要に応じて付加的に、これらのポリウレタン樹脂と組合せて用いられ得る。また、これらの塗料を用いて生成されるコーティングにも関する。
イソシアネートAは少なくとも二官能性であり、芳香族及び脂肪族の直鎖、環状又は分枝鎖イソシアネート、特にジイソシアネートから選択され得る。芳香族イソシアネートが用いられる場合、それらは好ましくは、引用された脂肪族イソシアネートと組合せて用いられる。芳香族イソシアネートの割合は、混合物中にそれらにより導入されるイソシアネート基の数が、生成されたプレポリマー中、第一工程後に残存するイソシアネート基の数より少なくとも5%少ないように選択されることが好ましい。ジイソシアネートが好ましいが、この場合、それらの質量の5%までが、三官能性又は多官能性イソシアネートにより置換することができる。
ジイソシアネートは、好ましくは式Q(NCO)(式中、Qは、4〜40個のC原子、特に4〜20個のC原子を有する炭化水素ラジカル、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素ラジカル、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカル、又は7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素ラジカルを意味する)を有する。好ましく用いられるようなジイソシアネートの例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4’−ジイソシアナトベンゼン、2,4−又は2,6−ジイソシアナトトルエン又はこれらの異性体の混合物、4,4’−又は2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、p−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチル−m−又はp−キシリレンジイソシアネート、並びにこれらの化合物を含む混合物である。
これらの簡単なポリイソシアネートのほかに、イソシアネート基に結合されるラジカル中に異種原子を含有するものも適している。それらの例は、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アシル化尿素基又はビウレット基を示すポリイソシアネートである。さらなる適切なポリイソシアネートについては、特許文献2が例として参照される。
ヘキサメチレンジイソシアネート又は1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−4−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)及び/又はビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンをベースにした「塗料ポリイソシアネート」、特に専らヘキサメチレンジイソシアネートをベースにしたものも適している。これらのジイソシアネートをベースにした「塗料ポリイソシアネート」は、それらの調製後に、既知の方法で、好ましくは蒸留により、必要な場合には、過剰量の初期ジイソシアネートから遊離されて、0.5%未満の残留質量分率にまで減少する、ビウレット、ウレタン、ウレトジオン及び/又はイソシアヌレート基を示すそれ自体既知のこれらのジイソシアネートの誘導体であると理解される。本発明に用いるための好ましい脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6又は特許文献7に記載された方法により得られるような、上記の判定基準を満たし、ビウレット基を有し、N,N,N−トリス−(6−イソシアナトヘキシル)ビウレットと二次的な量のその高級同族体との混合物からなるヘキサメチレンジイソシアネートをベースにしたポリイソシアネート、及び、特許文献8により得られるような、上記の基準に対応し、二次的な量のその高級同族体と混合される実質的にN,N,N−トリス−(6−イソシアナトヘキシル)イソシアヌレートからなるヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体が挙げられる。特に好ましいのは、引用された基準に対応し、トリアルキルホスファンを用いてヘキサメチレンジイソシアネートの触媒的オリゴマー化により生成されるような、ウレトジオン及び/又はイソシアヌレート基の混合物を示すヘキサメチレンジイソシアネートをベースにしたポリイソシアネートである。23℃で50〜20,000mPa・sの粘度及び2.0〜5.0のNCO官能性を有する最後の混合物が、特に好ましい。
しかし、好ましくは、上記の脂肪族ポリイソシアネートと組合せて、本発明に用いるのに同様に適している芳香族ポリイソシアネートは、特に、2,4−ジイソシアナトトルエン又は2,6−ジイソシアナトトルエンとのその技術的混合物をベースにした、又は4,4−ジイソシアナトジフェニルメタン又はその異性体及び/又は高級同族体との混合物をベースにした「塗料ポリイソシアネート」である。このような芳香族塗料ポリイソシアネートは、例えば、ウレタン基を有するイソシアネートであり、例えば、過剰量の2,4−ジイソシアナトトルエンと多価アルコール、例えば、トリメチロールプロパンとの反応と、おそらくはその後の未反応の過剰なジイソシアネートの蒸留による除去により得られる。その他の芳香族塗料ポリイソシアネートは、例えば、例として引用された単量体ジイソシアネートの三量体、即ち、対応するイソシアナトイソシアヌレートであり、これはそれらの調製後に、好ましくは蒸留により、過剰な単量体ジイソシアネートから遊離することができる。芳香族及び(脂環式)脂肪族イソシアネートの混合物では、これら2つの構成成分の量は、確実にプレポリマー中のイソシアネート基が専ら、又は少なくとも90%(脂環式)脂肪族的に結合されるよう、選択される。
さらにポリイソシアネート構成成分Aは、例として引用されたポリイソシアネートの任意の混合物からなることができる。
ポリイソシアネートA由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、一般的にポリウレタン樹脂の質量をベースにして約10%〜50%、好ましくは20%〜35%である。
ポリオールBは好ましくは、400g/mol〜5,000g/mol、特に800g/mol〜2,000g/molの数平均モル質量Mを有する。それらのヒドロキシル価は、一般的に30mg/g〜280mg/g、好ましくは40mg/g〜200mg/g、特に好ましくは50mg/g〜160mg/gである。二官能性ポリオールBが好ましくは専ら用いられる。しかし、5%までの質量のポリオールBが、三価又は多価ポリオールによって置換されてもよい。
ヒドロキシル価は、DIN 53 240に従って、検査されるべき試料と同数のヒドロキシル基を正確に示す水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量m(溶液又は分散液の場合は試料中の固体物質の質量)の商として定義され、その一般的単位は「mg/g」である。
ポリウレタン化学から既知の化合物であるこのようなポリオールの例は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリアミドアミドポリオール、エポキシ樹脂ポリオール、及びCOとのそれらの反応生成物、ポリアクリレートポリオール等である。一緒に混合されて用いられ得るこのようなポリオールは、例えば、特許文献許9、特許文献10及び特許文献11に、並びに特許文献12に記載されている。ヒマシ油もポリオール構成成分として用いられ得る。
これらのポリオールのうち、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールが好ましく、特に末端OH基のみを示し、3未満、好ましくは2.8〜2、特に2つの官能性を有するものが好ましい。
ここに引用され得るポリエーテルポリオールの例は、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシブチレンポリオール、及び好ましくは末端OH基を有するポリテトラヒドロフランである。
本発明に係る特に好ましいポリエステルポリオールは、有機ジ−及び必要に応じてポリ−(トリ−、テトラ−)ヒドロキシ化合物、並びにジ−及び必要に応じてポリ(トリ−、テトラ−)カルボン酸又はヒドロキシカルボン酸又はラクトンの既知の重縮合物である。低級アルコールの対応する無水ポリカルボン酸又は対応するポリカルボン酸エステルも、遊離ポリカルボン酸の変わりに用いられ、ポリエステルを調製し得る。適切なジオールの例は、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、また1,2−及び1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール又はヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステルである。トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼン又はトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートが、必要に応じて付加的に用いられ得る分子中に3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールの例として本明細書中で引用され得る。
芳香族及び脂環式ジカルボン酸、直鎖及び分枝鎖アルキル及びアルケニルジカルボン酸及び二量体脂肪酸は、ジカルボン酸として適している。例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸、2,2−ジメチルコハク酸、オクテニルコハク酸及びドデセニルコハク酸が挙げられる。これらの酸の無水物(存在する場合)も、用いられ得る。「酸」という表現は、本明細書中では無水物を含む。二次的な量(全酸の物質量をベースにして10%までの物質量分率)のモノカルボン酸、例えば、安息香酸及びヘキサンカルボン酸も用いられ得る。飽和脂肪族酸又は飽和芳香族酸、例えば、アジピン酸又はイソフタル酸が好ましい。特許文献13に記載されるようなトリメリチン酸、トリメシン酸、ピロメリチン酸及びポリ無水物、又はこのような化合物のうちの2つ以上の混合物が、より少量で、必要に応じて付加的に用いられ得るポリカルボン酸として本明細書中に引用される。
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの調製に反応相手として用いられ得るヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸である。ポリエステルポリオールの合成に用いられ得る適切なラクトンとしては、とりわけ、カプロラクトン、ブチロラクトン及びバレロラクトンが挙げられる。
構成成分B由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、一般的にはポリウレタン樹脂の質量をベースにして15%〜80%、好ましくは40%〜60%である。
ポリウレタン樹脂の合成に必要に応じて用いられる低モル質量ポリオールCは、通常はポリマー鎖の硬化をもたらす。ポリオールCは一般的に、約60g/mol〜400g/mol、好ましくは60g/mol〜200g/molのモル質量、及び200mg/g〜1,500mg/gのヒドロキシル価を有する。また、ポリオールCは、脂肪族、脂環式又は芳香族基を含有し得る。ポリオールCの質量分率は、用いられる場合、ヒドロキシル基含有構成成分B〜Dの質量をベースにして、一般的に0.5%〜20%、好ましくは1%〜10%である。分子当たり約20個までの炭素原子を有する低モル質量ポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−及び1,3−ブチレングリコール、1,2−及び1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)及びそれらの混合物、並びにトリオールとしてトリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンが適している。ジオールは好ましくは、専ら、又は少なくとも主として(一般的に質量の90%より多く、好ましくは95%より多く)用いられる。
三官能性又は多官能性化合物が化合物A、B及び/又はCとして用いられる場合、プレポリマーの合成中の任意のゲル化を防止することが重要である。これは、単官能性化合物を、例えば、三官能性又は多官能性化合物と一緒に用いることにより防止され得るが、この場合、単官能性化合物の量は、好ましくは、この構成成分の平均的官能性が2.3を超えない、好ましくは2.2、特に2.1を超えないよう選択される。
アニオノゲニック化合物Dは、イソシアネートと反応する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの基、例えば、ヒドロキシル、アミノ及びメルカプタン基、並びに水溶液又は分散液中で少なくとも部分的に中和された場合に陰イオンを生成する少なくとも1つの酸基を含有する。このような化合物は、例えば、特許文献14及び特許文献15に、並びに特許文献16及び特許文献17(これらの記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に記載されている。この目的のために特に適しているのは、分子当たり少なくとも1個のカルボキシル基を、一般的には1〜3個のカルボキシル基を含有するポリオール、好ましくはジオールである。スルホン酸基又はホスホン酸基も、陰イオンを生成し得る基として適している。化合物Dの例は、特にジヒドロキシカルボン酸、例えば、α,α−ジアルキロールアルカン酸、特にα,α−ジメチロールアルカン酸、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸及び酒石酸異性体、またポリヒドロキシ酸、例えば、グルコン酸である。これらのうち、2,2−ジメチロールプロピオン酸は特に好ましい。アミノ基を含有する化合物Dは、例えば、2,5−ジアミノ吉草酸(オルニチン)及び2,4−ジアミノトルエンスルホン酸−(5)である。引用化合物Dの混合物も用いられ得る。化合物D由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、ポリウレタン樹脂の質量をベースにして一般的に2%〜20%、好ましくは4%〜10%である。
化合物Eは、主に、好ましくは70%〜90%の程度に、分子の鎖端に位置し、それらに終止する(連鎖停止剤)。好適なポリオールは、分子中に少なくとも3個の、好ましくは3又は4個のヒドロキシル基を有する。ここに引用される例は、グリセロール、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンであり、これらの最後のものが好ましい。連鎖停止剤として、構成成分Eが、過剰量で、言い換えれば、用いられる構成成分Eの量中のヒドロキシル基の数がプレポリマーABCD中に依然として存在するイソシアネート基の数より多いような量で、用いられる。構成成分E由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、一般的にはポリウレタン樹脂の質量をベースにして2%〜15%、好ましくは5%〜15%である。構成成分E由来の構造単位は、必要に応じて、ポリウレタン樹脂中のG及び/又はH由来の構造単位と一緒に混合される。
化合物Gは、NCO基と反応する単官能性化合物、例えば、モノアミン、特にモノ第二級アミン又はモノアルコールである。例として、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−及びジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル−及びジメチルアミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン又はこれらの適切に置換された誘導体、ジ第一級アミン及びモノカルボン酸のアミドアミン、並びにジ第一級アミン及び第一級/第三級アミンのモノケトイミン、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンが挙げられる。
NCO基に対して異なる反応性を有する活性水素を含有する化合物は、好ましくはGに、特に第一級アミノ基のほかに第二級アミノ基も有する、又はOH基のほかにCOOH基も有する、又は(第一級又は第二級)アミノ基のほかにOH基も含有するような化合物にも適しており、後者が特に好ましい。これらの例としては、第一級/第二級アミン、例えば、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン;モノヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシ酢酸、乳酸又はリンゴ酸、またアルカノールアミン、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミン及び特に好ましくはジエタノールアミンが挙げられる。イソシアネート基に対して反応性である基のほかにオレフィン二重結合も含有する化合物Gも、必要に応じて用いられ得る。このようにして得られるポリウレタンは、高エネルギー放射線、例えば、UV光線又は電子ビームへの曝露により支持体に適用された後に、架橋され得る。
このようにして、化合物Eを用いる場合とまさに同様に、所望の場合には、付加的官能基はポリマー最終生成物中に組入れられ、硬化剤に対してより反応性にする。構成成分G由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、ポリウレタン樹脂の質量をベースにして一般的には2%〜20%、好ましくは3%〜10%である。
化合物Hは、いわゆる連鎖延長剤である。適切な例は、好ましくは、NCO基と反応し、B、C、D、E、F及びGと同一でなく、たいていは400g/molまでの数平均モル質量を有する、この目的に関して既知である二官能性化合物である。水、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンが例として本明細書中で引用される。この場合、アミンは、置換基、例えば、OH基も保有する。このようなポリアミンは、例えば、特許文献18に記載されている。構成成分H由来のポリウレタン樹脂中の構造単位の質量分率は、ポリウレタン樹脂の質量をベースにして一般的には1%〜10%、好ましくは2%〜5%である。
架橋剤Iは、物理的乾燥中に、ポリウレタン樹脂中のカルボニル基と反応してシッフ塩基を生成するジアミンIIであり得る。好ましくは2〜40個の炭素原子を有するジカルボン酸の、特に脂肪族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸,アジピン酸又は二量体脂肪酸のジヒドラジドI2が、同様に適している。
本発明によるポリウレタン樹脂の調製は、好ましくは、ポリイソシアネートA、Bによるポリオール、化合物F、並びに必要に応じて低モル質量ポリオールC及び化合物Dから、分子当たり平均で少なくとも1.7、好ましくは2〜2.5個の遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを先ず調製し、次に、このプレポリマーを、非水性系中で、必要に応じて少量の化合物Hとの混合物において、化合物E及び/又はGと反応させるが、この場合、構成成分Eは化学量論的過剰量(E中のヒドロキシル基の数は、第一工程で調製されるプレポリマー中のイソシアネート基の数より多い)で用いられ、そして次に、完全に反応したポリウレタン樹脂は好ましくは中和され、水性系に転化される。Gとの反応は、必要に応じて水性系への転化後にも実施され得る。プレポリマーは、すでに高モル質量を有するものである必要があり、好ましくは少なくとも11cm/g、好ましくは少なくとも13cm/g、特に好ましくは少なくとも18cm/gのシュタウディンガー指数Jを有する。
第一工程におけるポリウレタンプレポリマーの調製は、既知の方法により実施される。多官能性イソシアネートAは、ポリオールB〜Dをベースにして過剰量で用いられて、遊離イソシアネート基を有する中間体を生成する。これらのイソシアネート基は、末端性及び/又は側方性であり、好ましくは末端性である。ポリイソシアネートAの量は、ここでは一般的には、用いられるポリオールB〜D中のOH基の総数に対する、用いられる構成成分Aの量におけるイソシアネート基の数の比が、1.05〜1.4、好ましくは1.1〜1.3である。
プレポリマーを調製するための反応は、一般的には触媒の存在を伴わずに、しかし好ましくはイソシアネートに対して不活性である溶媒の存在下で、用いられるイソシアネートの反応性により、普通は55℃〜95℃、好ましくは60℃〜75℃の温度で実施される。適切な例は、特に、水と相溶性である溶媒、例えば、エーテル、ケトン及びエステル(以下に引用)、並びにN−メチルピロリドンである。この溶媒の質量分率は、各々の場合、ポリウレタン樹脂及び溶媒の総質量に対して、一般的には30%を超えず、好ましくは5%〜20%の範囲である。ポリイソシアネートは、一般的には他の構成成分の溶液に添加される。しかしながら第一段階でポリイソシアネートAを、ポリオールB、化合物F及び必要に応じてCに添加して、このようにして生成されるプレポリマーABFCを構成成分Dと反応させ、これを、イソシアネートに不活性である溶媒、好ましくはN−メチルピロリドン又はケトン中に溶解して、プレポリマーABFCDを生成することも可能である。
プレポリマーABFCD又はその溶液は次に、E及び/又はGによる化合物と反応させられて、必要に応じてHと混合されるが、この場合、温度は、一般的には50℃〜160℃、好ましくは70℃〜140℃の範囲であり、反応混合物中のNCO含量が事実上ゼロになるまで反応させる。化合物Eが用いられる場合、それは過剰量で添加される(E中のヒドロキシル基の数は、プレポリマーABFCD中のイソシアネート基の数を上回る)。Eの量は、ここでは、E中の反応性基の数に対する、プレポリマーABFCD又はプレポリマーABFCD(G/H)(これは予め必要に応じてすでにG及び/又はHによる化合物と反応されている)中のNCO基の数の比が1:1.05〜1:5、好ましくは1:1〜1:3であると有利である。G及び/又はHの質量は、ここではEの質量をベースにして0%〜90%、好ましくは2%〜20%であり得る。
このようにして調製されるポリウレタン中の結合された(非中和)酸基の一部、好ましくは5%〜30%は、必要に応じて、二官能性酸基反応性化合物、例えば、ジエポキシドと反応され得る。
第三級アミン、例えば、各アルキルラジカル中に1〜12、好ましくは1〜6個のC原子を有するトリアルキルアミンは、好ましくはCOOH基を含有する得られたポリウレタンを中和するために特に好適である。これらの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミンである。アルキルラジカルは、ジアルキルモノアルカノール、アルキルジアルカノール及びトリアルカノールアミンの場合のように、ヒドロキシル基も保有し得る。この一例はジメチルエタノールアミンであり、これは好ましくは中和剤として用いられる。
連鎖延長が有機相で実施される場合、又は中和及び連鎖延長が単一工程で分散液と共同してなされる場合、無機塩基、例えば、アンモニア又はナトリウム又はカリウムの水酸化物も必要に応じて中和剤として用いられ得る。
中和剤は、大部分は、プレポリマー中の酸基の量に対する、水性溶液中に生成されるアミノ基又はヒドロキシルイオンの量の比が約0.3:1〜1.3:1、好ましくは約0.5:1〜1:1であるような量で用いられる。
一般的に室温から110℃で起こる中和は、任意の手段により、例えば、含水中和剤がポリウレタン樹脂に添加されるか又はその逆の方法で実施され得る。しかしながら、まずポリウレタン樹脂に中和剤を添加し、そして次に水だけを添加することも可能である。このようにして、20%〜70%、好ましくは30%〜50%の分散液中の固体の質量分率が一般的に得られる。
本発明のポリウレタン樹脂は、単独結合剤として、又は他の結合剤、例えば、従来の非自己架橋性ポリウレタン樹脂若しくはその他の水性物理的乾燥性結合剤、又は室温若しくは高温で活性である硬化剤の添加により架橋される結合剤と組合せて、水性コーティング化合物の処方に適している。水性コーティング化合物中の本発明のポリウレタン樹脂の質量分率は、コーティング化合物の総質量をベースにして一般的に5%〜40%、好ましくは15%〜30%である。
本発明のポリウレタン樹脂が単独結合剤として用いられる場合、硬化剤、例えば、多官能性イソシアネート(室温又はわずかに高い温度で硬化する)を用いて、硬化速度を増大することが同様に可能である。結合剤としてアミノ樹脂又はブロックイソシアネートを用いた加熱ワンパック結合剤としての処方も、可能であり、有益である。
水性コーティング化合物の調整では、塗料技術で既知であるような従来の補助物質及び添加剤が、ポリウレタン樹脂の水性分散液中に組入れられ得る。これらの例としては、消泡剤、レベリング剤、顔料及び顔料分散のための分散剤が挙げられる。
このようにして得られる本発明のコーティング化合物は、上質な特性を有する溶媒含有、溶媒無含有又はその他の種類の水性塗料及びコーティング系が、今日用いられる事実上全ての用途に適しており、この場合、被覆される支持体は、金属、無機物質、例えば、石灰、セメント又は石膏、繊維セメント建築材料、コンクリート、木材又は木材ベースの材料、紙、アスファルト、瀝青、種々の種類のプラスチック、テキスタイル又は皮革であり得る。全ての場合における金属支持体は、好ましくは車である。
本発明を、以下の実施例で説明する。ここでは、上記の本文中と同様に、別記しない限り、単位「%」を有する値は全て、質量分率(関与する物質の質量と混合物の質量の商(cg/g))を意味する。「%」で示される濃度は、溶液中の溶解物質の質量分率である(溶解物質の質量を溶液の質量で割る(cg/g))。
(実施例1:ポリエステルジオール)
二量体脂肪酸(プリポール(登録商標)1009)322g、1,6−ヘキサンジオール1,199g、アジピン酸740.4g、イソフタル酸446.3g及びトリメチロールプロパン91.5gを、充填カラムを有する4リットル三口フラスコ中に入れて、100℃に加熱した。反応体は、このプロセス中に融解した。ジブチルスズオキシド0.5gをこの温度で添加し、約150℃で蒸留が開始するまで、混合物をさらに加熱した。樹脂の酸価が10mg/g未満になるまで、温度を220℃に上げながら蒸留を継続した。次に反応容器中の圧力を約100hPa(約100mbar)に低減し、酸価が2mg/g未満になるまで、このレベルを保持した。約113mg/gのヒドロキシル価及び約9.6cm/gのシュタウディンガー指数(クロロホルム中で測定)を有する粘性樹脂を得た。
(実施例2:ポリカーボネートジオール)
ジエチレングリコール493g及び1,6−ヘキサンジオール1,084gを、充填カラムを有する2リットル三口フラスコ中に入れて、窒素雰囲気下で150℃に加熱した。チタン酸テトライソプロピル1.3gをこの温度で、保護ガス下で添加し、次に混合物をさらに200℃に加熱した。一定温度で、炭酸ジメチル1,091gを、混合物の表面下に添加した。添加速度を、カラム上部の温度が62.5℃を超えないように調整した。添加完了時に、温度を200℃でさらに1時間保持した。次に生成物の温度を180°Cに下げて、約100hPa(約100mbar)の減圧下で、さらに1時間保持した。170mg/gのヒドロキシル価を有する粘性樹脂を得た。
(実施例3:自己架橋性ポリエステルウレタン分散液)
実施例1のポリエステルジオール192.6g、ジメチロールプロピオン酸30.7g及び3−アセチル−1−プロパノール37.7gを、還流冷却器及び計量装置を有する2リットル三口フラスコに入れて、120℃で均質に混合した。生成物の温度が124℃を超えないような方法で、トルイレンジイソシアネート51.6gをこの均質混合物中で計量した。この添加の終了時に、遊離イソシアネート基の質量分率が0.04%未満になるまで、115℃〜120℃で撹拌を継続した。次にイソホロンジイソシアネート63.4gを添加し、遊離イソシアネートの質量分率がもう一度0.04%以下に下がるまで、温度を再び115℃〜120℃に保持した。樹脂を95℃に冷却後、70℃〜80℃の温度で脱イオン水480g中のアンモニア水11.7gの溶液(水溶液中25%)を、樹脂の分散中に30分間に亘って添加した。80℃でさらに1時間の付加的撹拌段階後、アジピン酸ジヒドラジド26gを添加し、同様に30分間撹拌した。室温に冷却し、25μmの不織布フィルターを通して濾過後、微細粒子分散液(粒子サイズ約35nm)を得た。固体の質量分率42%、酸価約15mg/g、アミン価約8.5mg/g、動的粘度約360mPa・s、及びpH7.4(10%の固体の質量分率を有する分散液中で測定)。
(実施例4:自己架橋性高モル質量ポリエステルウレタン分散液)
実施例1のポリエステルジオール192.6g、ジメチロールプロピオン酸30.7g及び3−アセチル−1−プロパノール37.7gを、還流冷却器及び計量装置を有する2リットル三口フラスコに入れて、120℃で均質に混合した。生成物の温度が124℃を超えないような方法で、トルイレンジイソシアネート51.6gをこの均質混合物中で計量した。この添加の終了時に、遊離イソシアネート基の質量分率が0.04%未満になるまで、115℃〜120℃で撹拌を継続した。次にイソホロンジイソシアネート78.4gを添加し、遊離イソシアネートの質量分率がもう一度0.6%になるまで、温度を再び115℃〜120℃に保持した。樹脂を95℃に冷却後、トリエチルアミン17.4gを添加し、混合物を15分間撹拌した。樹脂を、70℃〜80℃の温度で脱イオン水727gを用いて約10分間分散させた。70℃〜80℃でさらに10分間の付加的撹拌段階後、脱イオン水23.2g中のエチレンジアミン1.57gの溶液を添加し、混合物を撹拌した。1時間の付加的撹拌段階後、アジピン酸ジヒドラジド26gを添加し、同様に30分間撹拌した。室温に冷却し、25μmの不織布フィルターを通して濾過後、微細粒子分散液(粒子サイズ約24nm)を得た。固体の質量分率34%、酸価約12.5mg/g、アミン価約10.3mg/g、動的粘度約93mPa・s、及びpH7.9(10%の固体の質量分率を有する分散液中で測定)。
(実施例5:自己架橋性ポリカーボネートウレタン分散液)
実施例2のポリカーボネートジオール184.5g、ジメチロールプロピオン酸14.3g、トリメチロールプロパン4g及び3−アセチル−1−プロパノール33.6gを、還流冷却器及び計量装置を有する2リットル三口フラスコに入れて、120℃で均質に混合した。生成物の温度が124℃を超えないような方法で、ヘキサメチレンジイソシアネート95.3gをこの均質混合物中で計量した。この添加の終了時に、遊離イソシアネート基の質量分率が0.04%未満になるまで、115℃〜120℃で撹拌を継続した。樹脂を95℃に冷却後、ジメチルエタノールアミン5.7gを添加し、20分間撹拌した。樹脂を、70℃〜80℃の温度で脱イオン水280gを用いて約30〜45分間に亘って分散させた。70℃〜80℃で20分間の付加的撹拌段階後、アジピン酸ジヒドラジド23.2gを添加し、同様に30分間撹拌した。室温に冷却し、25μmの不織布フィルターを通して濾過後、微細粒子分散液(粒子サイズ約66nm)を得た。固体の質量分率41%、酸価約7.4mg/g、アミン価約6.4mg/g、動的粘度約840mPa・s、及びpH7.8(10%の固体の質量分率を有する分散液中で測定)。
(実施例6:自己架橋性油ベースのポリウレタン分散液)
ヒマシ油90g、ジメチロールプロピオン酸18.2g、3−アセチル−1−プロパノール22.3g及びN−メチルピロリドン13.4gを、還流冷却器及び計量装置を有する1リットル三口フラスコに入れて、120℃で均質に混合した。生成物の温度が124℃を超えないような方法で、トルイレンジイソシアネート30.5gをこの均質混合物中で計量した。この添加の終了時に、遊離イソシアネート基の質量分率が0.04%未満になるまで、115℃〜120℃で撹拌を継続した。次にイソホロンジイソシアネート37.5gを添加し、遊離イソシアネートの質量分率がもう一度0.6%になるまで、温度を再び115℃〜120℃に再び保持した。樹脂を95℃に冷却後、70℃〜80℃の温度で脱イオン水292g中のアンモニア水6.9gの溶液(水溶液中25%)を30〜45分間に亘って添加して、樹脂を分散した。70℃〜80℃で30分間の付加的撹拌段階後、アジピン酸ジヒドラジド15.4gを添加し、同様に30分間撹拌した。室温に冷却し、25μmの不織布フィルターを通して濾過後、微細粒子分散液(粒子サイズ約124nm)を得た。固体の質量分率33.5%、酸価約15.2mg/g、アミン価約8.4mg/g、動的粘度約6500mPa・s、及びpH7.0(10%の固体の質量分率を有する分散液中で測定)。
比較のために、ケトン基を含有するアクリル単量体でグラフト化され、同様にアジピン酸ジヒドラジドを架橋剤として含有するポリエステルウレタン分散液を調製した。
(実施例7(比較))
ヘキサンジオール−1,6、イソフタル酸及びアジピン酸から調製され、88mg/gのヒドロキシル価及び2mg/g未満の酸価を有するポリエステル232.0gを、ジメチロールプロピオン酸23.0g、ヘキサンジオール−1,6 10.9g及びN−メチルピロリドン−2 82.8gとともに90℃に加熱した。次にイソホロンジイソシアネート73.9gを、撹拌しながら25〜30分間に亘って計量した。さらに60分後、メチルメタクリレート80.0g及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.2gを90℃の温度で迅速に添加し、混合物を均質化した。次にイソホロンジイソシアネート41.3gを10分間に渡って添加し、反応混合物の質量をベースにして遊離イソシアネート基の質量分率が1.11%になるまで、混合物を90℃で撹拌した。このようにして得たプレポリマー溶液中に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.9gを導入した。さらなる遊離イソシアネート基が検出され得ないようになるまで、反応を継続させた。さらなるメチルメタクリレート37.3g、ジアセトンアクリルアミド16.0g及びジメチルエタノールアミン11.4gを添加後、70℃の温度で水658.0gを強力に撹拌しながらプレポリマー溶液に添加した。次にtert−ブチルヒドロペルオキシド0.7g(80%溶液として)を80℃の温度で迅速に滴下した。さらに30分後、アスコルビン酸1.3g及び水130.0gの溶液を90分間に亘って計量した。
得られたポリウレタン−アクリルハイブリッド分散液を室温(23℃)に冷却し、5μmフィルター布を通して濾過した。次に撹拌しながら、水100g中に溶解したアジピン酸ジヒドラジド8.2gを添加した。分散液は、36%の固体の質量分率及び7.5のpHを示した。
塗布特性の比較
Figure 0004818911

* 無塵乾燥時間: 圧力を掛けずに塗料表面を清潔な乾燥した指先で軽く触れた場合、痕跡が残らない塗料の塗布後の時間として測定。
+ 無粘着性乾燥時間(木材塗装): 塗料表面を清潔な乾燥した指先で軽く押した場合、痕跡が残らない塗料の塗布後の時間として測定。
RT: 室温(20℃)。
DI水: 脱イオン水。
塗膜: OKは、不規則性、例えば、斑点、曇り等が裸眼で検出可能でないことを意味する。

Claims (10)

  1. 自己架橋性水性ポリウレタン分散液であって、
    ジアミンI1及びジヒドラジドI2から選択される架橋剤I、並びに、
    ポリイソシアネートA;少なくとも400g/molの数平均モル質量Mを有するポリオールB;イソシアネートに対して反応性である少なくとも2つの基及び陰イオンを生成し得る少なくとも1つの基を有する化合物D;イソシアネートに対して反応性である少なくとも1つの基及び少なくとも1つのアルデヒド様又はケトン様カルボニル基を含有する化合物Fであって、該化合物F中のカルボニル基は、構造式:−CR−CR−CR−又は−CR−CR−CR−CR−(式中、R〜RはH−、−OH、1〜4個のC原子を有するアルキル、1〜4個のC原子を有する−O−アルキル及びハロゲンから選択され、さらに、相互に異なるか又は同一であり、また、環状構造が形成されるように共に結合され得る)を有する1,3−又は1,4−アルキレンラジカルである二価基−X−により、ポリウレタン中のポリマー鎖に結合される化合物F;及び必要に応じて、グリセロール、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンからなる群から選ばれるイソシアネート基に対して反応性である他の基を保有しない低モル質量ポリオールE;及び必要に応じて、イソシアネートに対して単官能性であるか又は異なる反応性を有する活性水素を含有し化合物Eとは異なる化合物G;から誘導される構造単位を有するポリウレタン、
    からなることを特徴とするポリウレタン分散液。
  2. 前記ポリウレタンが、400g/mol未満のMを有する低モル質量ポリオールCから誘導される構造単位をさらに含有する請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液。
  3. 前記ポリウレタンが、B、D、E、F及びGとは異なり、NCO基と反応する少なくとも2つの基を含有する化合物Hから誘導される構造単位をさらに含有する請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液。
  4. 前記化合物Fに組入れられるカルボニル基が、基−X−によりポリウレタン中のポリマー鎖に結合され、基−X−が、3〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖又は環状アルキレン基又はアラルキレン基からなる群から選択され、2つの結合部位が同一C原子上にない請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液。
  5. 前記化合物Fが、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ブタノン、3−アセチル−1−プロパノール、4−アセチル−1−ブタノール、及びジヒドロ−5−ヒドロキシメチル−2(3H)−フラノンからなる群から選択される請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液。
  6. 脂肪族ジカルボン酸のジヒドラジドが架橋剤として用いられる請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液。
  7. 請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液の製造方法であって、
    分子当たり平均で少なくとも1.7個の遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを、先ずポリイソシアネートA、ポリオールB、化合物F、及び化合物Dから調製する工程、
    次に必要に応じて、前記プレポリマーを化合物E及び/又はGと非水性系中で反応させる工程からなり、
    成分E中のヒドロキシル基の数が第一の工程で調製されたプレポリマー中のイソシアネート基の数より多くなるような量で構成成分Eが使用され、及び
    次に完全に反応したポリウレタン樹脂が中和されて、水性系に転化される、
    ことを特徴とするポリウレタン分散液の製造方法。
  8. 少なくとも11cm/gのシュタウディンガー指数を有するポリウレタンプレポリマーが、第一段階で調製される請求項7記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液の製造方法。
  9. 請求項1記載の自己架橋性水性ポリウレタン分散液を含有する水性自己架橋性コーティング化合物。
  10. さらに、ブロックイソシアネート及びアミノ樹脂から選択される硬化剤を含有する請求項9記載の水性自己架橋性コーティング化合物。
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