JP2003231733A - 1液型のエポキシ系水性樹脂組成物、および該水性樹脂組成物を含有する1液型のエポキシ系水性接着剤及び水性コーティング剤 - Google Patents

1液型のエポキシ系水性樹脂組成物、および該水性樹脂組成物を含有する1液型のエポキシ系水性接着剤及び水性コーティング剤

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JP2003231733A
JP2003231733A JP2002032425A JP2002032425A JP2003231733A JP 2003231733 A JP2003231733 A JP 2003231733A JP 2002032425 A JP2002032425 A JP 2002032425A JP 2002032425 A JP2002032425 A JP 2002032425A JP 2003231733 A JP2003231733 A JP 2003231733A
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epoxy
isocyanate
compound
anionic group
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JP2002032425A
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English (en)
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Kentaro Suzuki
堅大郎 鈴木
Kuniharu Harada
邦治 原田
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Konishi Co Ltd
Original Assignee
Konishi Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1液型であっても貯蔵安定性に優れ、且つ塗
布作業性も良好で、また密着性及び強靱性が優れている
1液型のエポキシ系水性樹脂組成物を得る。 【解決手段】 1液型のエポキシ系水性樹脂組成物は、
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる。
(A)アニオン性基非含有で且つ複数のイソシアネート
反応性基を含有する化合物(A1-a)、アニオン性基及び
複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-
b)及びポリイソシアネート化合物(A1-c)の反応によ
り得られるアニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)と、エポキシ基を1つ以上含有し且つイソシアネ
ート反応性基を1つ以上含有するイソシアネート反応性
基含有エポキシ化合物(A2)とを、前記アニオン性基含
有ウレタン系プレポリマー(A1)の末端がイソシアネー
ト基からエポキシ基に変成されるエポキシ化率が10〜
70モル%となるように反応させて得られる末端部分的
エポキシ化ポリマーを、さらに鎖延長剤(A3)により鎖
延長して得られるアニオン性基含有エポキシ基末端ポリ
マー;(B)塩基性化合物;(C)水

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1液型のエポキシ
系水性樹脂組成物及び1液型のエポキシ系水性接着剤並
びに1液型のエポキシ系水性コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ウレタン系ポリマーの強靱性と、
エポキシ系ポリマーの機械的特性との良さを兼ね備えた
水性接着剤や水性塗料などとして、エポキシとウレタン
とをハイブリッド化したものが種々開発されている。例
えば、特開平9−176291号公報では、片末端にイ
ソシアネート基を有するポリエチレングリコール骨格の
ウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するエポ
キシ樹脂を反応させ、さらに過剰のアミンを添加して得
られるアミン変成エポキシ樹脂組成物が提案されてい
る。該アミン変成エポキシ樹脂組成物は、2液硬化型の
水性エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものであ
り、硬化時には2液を混合しなければならず、作業性が
低い。
【0003】1液型のものとしては、例えば、特開平8
−311145号公報記載の1液型水性エポキシ樹脂が
挙げられる。該1液型水性エポキシ樹脂は、カルボン酸
塩を有するウレタンプレポリマーにエポキシ樹脂を添加
し、均一に攪拌後、水を入れてエポキシ樹脂とウレタン
プレポリマーとは反応していない水分散液を得る。分散
後、アミンを添加して、1液型水性エポキシ樹脂を得
る。しかしながら、この手法では、疎水性のエポキシ樹
脂を分散させるために、ゆっくりと水を滴下する必要が
あり、その間にウレタンプレポリマーの末端のイソシア
ネート基が加水分解され、アミンによる鎖延長が十分に
行えない。しかも、エポキシ樹脂とウレタンプレポリマ
ーとは反応しておらず、ウレタンプレポリマーは相溶化
剤または分散剤として利用されているに過ぎない。
【0004】一方、エポキシ樹脂に親水性を持たせる技
術が、特開昭58−219213号公報や特開昭58−
219212号公報等で開示されている。これらの公報
では、カチオン性基またはノニオン性親水基を有するウ
レタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を1つ以上有す
るエポキシ系化合物を付加させ、さらに、これを水に分
散させ、ジアミンによって架橋させることが提案されて
いる。しかしながら、ノニオン性のものは耐水性が低
く、カチオン性のものはエポキシ基をウレタンプレポリ
マーに付加させる際に、エポキシ基がウレタンプレポリ
マーのカチオン性により重合し、製造中にゲル化してし
まう危険性がある。
【0005】そこで、アニオン性のウレタンプレポリマ
ーを利用するものとしては、特開平9−12996号公
報に記載の接着剤を例示できる。該特開平9−1299
6号公報では、「50〜90重量部のエポキシ樹脂と、
ジメチロールプロピオン酸を含有する10〜50重量部
のポリウレタンと水に可溶なアミン系硬化剤とを具備す
ることを特徴とする水分散型ウレタン変性エポキシ接着
剤」が記載されている。しかしながら、該特開平9−1
2996号公報では、水分散型ウレタン変性エポキシ接
着剤は、1液型とも、2液型とも明確に記載されておら
ず、全文を通してもいずれであるか判断できない。しか
も、該公報の特許請求の範囲における請求項1又は実施
例に記載されている配合比でエポキシ化ウレタン系ポリ
マーを合成し、エチレンジアミン(アミン系硬化剤とし
て一般的に利用されている)で架橋させても、安定な1
液型の水性エポキシ樹脂組成物は得ることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、1液型であっても貯蔵安定性に優れており、優れた
作業性で塗布することが可能な1液型のエポキシ系水性
樹脂組成物、および該エポキシ系水性樹脂組成物を含有
する1液型のエポキシ系水性接着剤及び1液型のエポキ
シ系水性コーティング剤を提供することにある。本発明
の他の目的は、さらに、優れた密着性を有し且つ優れた
強靱性を有している1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物、および該エポキシ系水性樹脂組成物を含有する1液
型のエポキシ系水性接着剤及び1液型のエポキシ系水性
コーティング剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を有して
いるアニオン性基含有エポキシ基末端ポリマーを含有す
るエポキシ系水性樹脂組成物は、1液タイプであるにも
かかわらず、貯蔵安定性が優れ、長期間にわたり貯蔵し
ても、硬化又はゲル化せず、さらに、該エポキシ系水性
樹脂組成物を接着剤やコーティング剤等として用いる
と、1液型であるので優れた作業性で塗布することがで
き、しかも、優れた接着性又は付着性を有し且つ優れた
強靱性を発揮することができることを見出し、本発明を
完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、下記(A)成分、
(B)成分及び(C)成分からなる1液型のエポキシ系
水性樹脂組成物である。 (A)アニオン性基非含有で且つ複数のイソシアネート
反応性基を含有する化合物(A1-a)、アニオン性基及び
複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-
b)及びポリイソシアネート化合物(A1-c)の反応によ
り得られるアニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)と、エポキシ基を1つ以上含有し且つイソシアネ
ート反応性基を1つ以上含有するイソシアネート反応性
基含有エポキシ化合物(A2)とを、前記アニオン性基含
有ウレタン系プレポリマー(A1)の末端がイソシアネー
ト基からエポキシ基に変成されるエポキシ化率が10〜
70モル%となるように反応させて得られる末端部分的
エポキシ化ポリマーを、さらに鎖延長剤(A3)により鎖
延長して得られるアニオン性基含有エポキシ基末端ポリ
マー (B)塩基性化合物 (C)水
【0009】前記鎖延長剤(A3)としては、アミン系鎖
延長剤を好適に用いることができる。
【0010】本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物としては、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)によ
り中和された水性エポキシ基末端ポリマーからなってい
ることが好ましい。
【0011】アニオン性基としてはカルボキシル基が好
適である。また、アニオン性基及び複数のイソシアネー
ト反応性基を含有する化合物(A1-b)としては、ジメチ
ロールアルカン酸を好適に用いることができる。
【0012】本発明には、前記1液型のエポキシ系水性
樹脂組成物を含有する1液型のエポキシ系水性接着剤や
1液型のエポキシ系水性コーティング剤も含まれる。
【0013】本発明において、「1液型のエポキシ系水
性接着剤」等の「1液型」とは、エポキシ系接着剤の分
野で一般的にいわれている「1液型エポキシ系接着剤や
2液型エポキシ系接着剤」における「1液型」のことを
意味している。具体的には、1液型のエポキシ系水性接
着剤や1液型のエポキシ系水性コーティング剤とは、例
えば、1つの容器に入れられた状態で水性接着剤や水性
コーティング剤として実質的に販売可能なものを意味
し、室温で長期間貯蔵(又は保管)されても、ゲル化や
硬化がほとんど又は全く生じず、実質的に初期状態(初
期の分散状態)を長期間保持することができるものを意
味している。従って、1液型のエポキシ系水性接着剤や
1液型のエポキシ系水性コーティング剤は、使用する際
に他の成分(硬化剤など)と混合する必要がなく、その
まま所定部位に塗布することにより、接着又はコーティ
ングすることができる。なお、貯蔵に係る長期間として
は、例えば、6月以上、1年以上、1年6月以上など適
宜選択可能であるが、少なくとも6月以上であることが
好ましい。
【0014】一方、2液型のエポキシ系水性接着剤や2
液型のエポキシ系水性コーティング剤とは、ポリマー成
分と、硬化剤又は助剤等の他の成分とが、それぞれ異な
る容器に入れられている状態で販売され、使用する際
に、これらのポリマー成分と、該ポリマー成分と異なる
容器に入れられた硬化剤又は助剤等の他の成分とを混合
し、この混合物を所定の部位に塗布して、使用されるも
のを意味している。従って、2液型のエポキシ系水性接
着剤や2液型のエポキシ系水性コーティング剤は、使用
する際に2液を混合して1液としているだけであって、
1液にすると硬化又はゲル化が生じるため、実質的な貯
蔵安定性がなく、1液型としては実質的に販売は不可能
なものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、アニオン性基含有エ
ポキシ基末端ポリマー(A)は、特定のアニオン性基含
有ウレタン系プレポリマー(A1)と、エポキシ基を1つ
以上含有し且つイソシアネート反応性基を1つ以上含有
するイソシアネート反応性基含有エポキシ化合物(A2)
とを、特定のエポキシ化率となるように反応させ、さら
に、鎖延長剤(A3)により鎖延長して得ることができ
る。前記アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A
1)は、アニオン性基非含有で且つ複数のイソシアネー
ト反応性基を含有する化合物(A1-a)、アニオン性基及
び複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1
-b)及びポリイソシアネート化合物(A1-c)の反応によ
り調製される。
【0016】[アニオン性基非含有・複数のイソシアネ
ート反応性基含有化合物(A1-a)]アニオン性基非含有
で且つ複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物
(A1-a)(以下、「イソシアネート反応性化合物(A1-
a)」と称する場合がある)は、分子内にアニオン性基
を有しておらず、かつ分子内に少なくとも2つのイソシ
アネート反応性基を有する化合物であれば特に制限され
ない。該イソシアネート反応性基としては、イソシアネ
ート基に対する反応性を有する基であれば特に制限され
ず、例えば、ヒドロキシル基、第1級アミノ基(無置換
アミノ基)、第2級アミノ基(モノ置換アミノ基)、メ
ルカプト基などが挙げられる。本発明では、該イソシア
ネート反応性基としては、ヒドロキシル基、第1級アミ
ノ基又は第2級アミノ基が好ましく、特にヒドロキシル
基が好適である。従って、イソシアネート反応性化合物
(A1-a)としては、例えば、アニオン性基非含有ポリオ
ール化合物、アニオン性基非含有ポリアミン化合物、ア
ニオン性基非含有ポリチオール化合物(好ましくは、ア
ニオン性基非含有ポリオール化合物)などを用いること
ができる。イソシアネート反応性化合物(A1-a)は単独
で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】イソシアネート反応性化合物(A1-a)とし
てのアニオン性基非含有ポリオール化合物(A1-a)(以
下、「ポリオール(A1-a)」と称する場合がある)とし
ては、例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオ
ール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオ
ール、ヒマシ油などが挙げられる。
【0018】ポリオール(A1-a)において、多価アルコ
ールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレ
ンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メ
チル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタ
メチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−
ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタ
メチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタ
メチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類
(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノ
ール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キ
シリトールやソルビトールなど)などが含まれる。
【0019】ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレ
ングリコールの他、エチレンオキシド−プロピレンオキ
シド共重合体などのモノマー成分として複数のアルキレ
ンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキ
レンオキサイド)共重合体などが挙げられる。
【0020】ポリエステルポリオールとしては、例え
ば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;
環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコー
ル、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分に
よる反応物などを用いることができる。多価アルコール
と多価カルボン酸との縮合重合物において、多価アルコ
ールとしては、前記例示の多価アルコールを用いること
ができる。一方、多価カルボン酸としては、例えば、マ
ロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメ
リット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。ま
た、環状エステルの開環重合物において、環状エステル
としては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ
−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられ
る。3種類の成分による反応物において、多価アルコー
ル、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示
のものなどを用いることができる。
【0021】ポリカーボネートポリオールとしては、例
えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸
エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物
などが挙げられる。具体的には、多価アルコールとホス
ゲンとの反応物において、多価アルコールとしては、前
記例示の多価アルコールを用いることができる。また、
環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカ
ーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、
トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネー
ト、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。な
お、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネ
ート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物で
あればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を
有していてもよい。
【0022】ポリオレフィンポリオールは、オレフィン
を重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且
つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも
2つ有するポリオールである。前記オレフィンとして
は、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例
えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)
であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重
結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)で
あってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、
イソプレンなど)であってもよい。
【0023】ポリアクリルポリオールは、(メタ)アク
リレートを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成
分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少
なくとも2つ有するポリオールである。(メタ)アクリ
レートとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アク
リル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなど
の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルなど]が
好適に用いられる。
【0024】なお、ポリオレフィンポリオールやポリア
クリルポリオールにおいて、分子内にヒドロキシル基を
導入するために、オレフィンや(メタ)アクリレートの
共重合成分として、ヒドロキシル基を有するα,β−不
飽和化合物[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル
等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなど]を用
いることができる。
【0025】ポリオール(A1-a)としては、ポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネ
ートポリオールを好適に用いることができる。
【0026】なお、イソシアネート反応性化合物(A1-
a)としての、アニオン性基非含有ポリアミン化合物や
アニオン性基非含有ポリチオール化合物としては、例え
ば、前記例示のアニオン性基非含有ポリオール化合物
(A1-a)に対応するアニオン性基非含有ポリアミン化合
物やアニオン性基非含有ポリチオール化合物などが挙げ
られる。イソシアネート反応性化合物(A1-a)としての
アニオン性基非含有ポリアミン化合物やアニオン性基非
含有ポリチオール化合物は、鎖延長剤(A3)として用い
ることもできる。もちろん、逆に、鎖延長剤(A3)のう
ちアニオン性基を有していないポリアミン化合物やポリ
チオール化合物は、イソシアネート反応性化合物(A1-
a)として用いることもできる。イソシアネート反応性
化合物(A1-a)として、アニオン性基非含有ポリアミン
化合物やアニオン性基非含有ポリチオール化合物を用い
る場合、これらの化合物とともに、アニオン性基非含有
ポリオール化合物を用いてもよい。
【0027】[アニオン性基及び複数のイソシアネート
反応性基含有化合物(A1-b)]アニオン性基及び複数の
イソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-b)(以
下、「イソシアネート反応性化合物(A1-b)」と称する
場合がある)は、分子内に少なくとも1つのアニオン性
基を有しており、かつ分子内に少なくとも2つのイソシ
アネート反応性基を有する化合物であれば特に制限され
ない。イソシアネート反応性化合物(A1-b)において、
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホ基を好
適に用いることができ、中でもカルボキシル基が最適で
ある。また、イソシアネート反応性化合物(A1-b)にお
いて、イソシアネート反応性基としては、イソシアネー
ト基に対する反応性を有する基であれば特に制限され
ず、例えば、ヒドロキシル基、第1級アミノ基又は第2
級アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。本発明で
は、該イソシアネート反応性基としては、ヒドロキシル
基、第1級アミノ基又は第2級アミノ基が好ましく、特
にヒドロキシル基が好適である。従って、イソシアネー
ト反応性化合物(A1-b)としては、例えば、アニオン性
基含有ポリオール化合物、アニオン性基含有ポリアミン
化合物、アニオン性基含有ポリチオール化合物(好まし
くは、アニオン性基含有ポリオール化合物)などを用い
ることができる。イソシアネート反応性化合物(A1-b)
は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ
る。
【0028】イソシアネート反応性化合物(A1-b)とし
てのアニオン性基含有ポリオール化合物(A1-b)(以
下、「ポリオール(A1-b)」と称する場合がある)とし
ては、例えば、前記ポリオール(A1-b)の項で例示のポ
リオールにカルボキシル基が導入されたカルボキシル基
含有ポリオールなどが挙げられる。本発明では、ポリオ
ール(A1-b)としては、アニオン性基を有する低分子量
のポリオールが好ましく、特に、下記式(1)で表され
るポリヒドロキシカルボン酸を好適に用いることができ
る。 (HO)XL(COOH)Y (1) (但し、式(1)において、Lは炭素数1〜12の炭化
水素部位を示す。Xは2以上の整数であり、Yは1以上
の整数である。)
【0029】前記式(1)において、Lの炭化水素部位
としては、脂肪族炭化水素部位であることが好ましく、
直鎖状又は分岐鎖状の形態のいずれであってもよい。ま
た、X,Yは同一であってもよく、異なっていてもよ
い。2つ以上のヒドロキシル基は、同一の炭素原子に結
合していてもよく、異なる炭素原子に結合していてもよ
い。さらに、Yが2以上である場合、2つ以上のカルボ
キシル基は、同一の炭素原子に結合していてもよく、異
なる炭素原子に結合していてもよい。
【0030】このようなポリヒドロキシカルボン酸とし
ては、特に、ジメチロールアルカン酸(なかでも、2,
2−ジメチロールアルカン酸)が好適である。ジメチロ
ールアルカン酸としては、例えば、2,2−ジメチロー
ルプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,
2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘ
キサン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−
ジメチロールオクタン酸、2,2−ジメチロールノナン
酸、2,2−ジメチロールデカン酸などが挙げられる。
【0031】なお、イソシアネート反応性化合物(A1-
b)としての、アニオン性基含有ポリアミン化合物やア
ニオン性基含有ポリチオール化合物としては、例えば、
前記例示のアニオン性基含有ポリオール化合物(A1-b)
に対応するアニオン性基含有ポリアミン化合物(前記式
(1)で表されるポリヒドロキシカルボン酸に対応する
ポリアミンカルボン酸など)やアニオン性基含有ポリチ
オール化合物(前記式(1)で表されるポリヒドロキシ
カルボン酸に対応するポリチオールカルボン酸など)な
どが挙げられる。
【0032】[ポリイソシアネート化合物(A1-c)]ポ
リイソシアネート化合物(A1-c)(以下、「ポリイソシ
アネート(A1-c)」と称する場合がある)は、分子内に
少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であ
れば特に制限されない。ポリイソシアネート(A1-c)に
は、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイ
ソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族
ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネー
ト(A1-c)は単独で又は2種以上組み合わせて使用する
ことができる。
【0033】脂肪族ポリイソシアネートとしては、例え
ば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−
テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチ
レンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソ
シアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−
ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブ
チレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシア
ネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチ
ル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メ
チル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,
4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメ
チルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族
ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】脂環式ポリイソシアネートとしては、例え
ば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4
−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘ
キサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−
3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネー
ト、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシア
ネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネ
ート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘ
キサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロ
ヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナン
ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートなどが挙
げられる。
【0035】芳香族ポリイソシアネートとしては、例え
ば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレン
ジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−
ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−
1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイ
ソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルジイソシアネ−
ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、
2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4
´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロ
ジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−
ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、
3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイ
ソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシア
ネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−
ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネートなどが挙
げられる。
【0036】芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、
例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4
−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω´−ジイソシア
ネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1
−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,
4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベ
ンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネー
トメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネートな
どが挙げられる。
【0037】ポリイソシアネート(A1-c)としては、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、4,4´−
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,
3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサ
ン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジ
イソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3
−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジ
イソシアネ−ト、ノルボルナンジイソシアネート、1,
3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベ
ンゼンを好適に用いることができる。なお、ポリイソシ
アネート(A1-c)として、脂肪族ポリイソシアネートや
芳香脂肪族ポリイソシアネートを用いると、変色の少な
い樹脂を得ることができる。
【0038】なお、本発明では、ポリイソシアネート
(A1-c)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−
ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ
−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三
量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタ
ンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロール
プロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、
トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネ
ートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシ
アネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエス
テルポリイソシアネートなど)なども用いることができ
る。
【0039】また、本発明では、ポリイソシアネート
(A1-c)とともに、ジイソチオシアネート系化合物(例
えば、フェニルジイソチオシアネートなど)を併用する
ことができる。
【0040】[アニオン性基含有ウレタン系プレポリマ
ー(A1)]アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)は、イソシアネート反応性化合物(A1-a)、イソ
シアネート反応性化合物(A1-b)及びポリイソシアネー
ト(A1-c)の反応生成物であり、分子内にイソシアネー
ト反応性化合物(A1-b)に由来するアニオン性基と、主
鎖の末端にポリイソシアネート(A1-c)に由来するイソ
シアネート基とを有するポリマーである。本発明では、
アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)として
は、イソシアネート反応性化合物(A1-a)としてのポリ
オール(A1-a)、イソシアネート反応性化合物(A1-b)
としてのポリオール(A1-b)、及びポリイソシアネート
(A1-c)の反応生成物であるアニオン性基含有ウレタン
プレポリマーが好ましい。
【0041】より具体的には、前記アニオン性基含有ウ
レタン系プレポリマー(A1)は、イソシアネート反応性
化合物(A1-a)、イソシアネート反応性化合物(A1-b)
及びポリイソシアネート(A1-c)の反応生成物であり、
該反応は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合
物とを反応させてウレタンプレポリマーを調製する公知
乃至慣用の方法に準じて行うことができる。該アニオン
性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)としては、末端
がイソシアネート基となっているものが好ましい。ま
た、ポリオール(A1-a)とともに、アニオン性基非含有
ポリアミン化合物が用いられていてもよい。
【0042】なお、イソシアネート反応性化合物(A1-
a)、イソシアネート反応性化合物(A1-b)及びポリイ
ソシアネート(A1-c)を混合又は反応する際には、反応
促進のために重合触媒を用いることができる。また、反
応又は混合は溶媒中で行うことができる。
【0043】重合触媒としては、例えば、ポリオール化
合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際に用
いられる公知乃至慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いる
ことができる。より具体的には、重合触媒としては、有
機錫化合物、金属錯体、アミン化合物などの塩基性化合
物、有機燐酸化合物などが挙げられる。有機錫化合物に
は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレ
ート、ジブチル錫フタレート、オクチル酸第一錫、ジブ
チル錫メトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、
ジブチル錫ジバーサテートなどが含まれる。また、金属
錯体としては、テトラブチルチタネート、テトライソプ
ロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート等
のチタネート化合物類;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、
ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等のカルボン
酸金属塩;アルミニウムアセチルアセトナート錯体、バ
ナジウムアセチルアセトナート錯体等の金属アセチルア
セトナート錯体などが挙げられる。さらに、アミン化合
物等の塩基性化合物には、例えば、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン等のアミノシラン類;テトラメチルアンモニウム
クロライド、ベンザルコニウムクロライド等の第四級ア
ンモニウム塩類;三共エアプロダクツ社製の商品名「D
ABCO」シリーズや「DABCO BL」シリーズ、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−
エン等の複数の窒素原子を含む直鎖或いは環状の第三級
アミン又は第四級アンモニウム塩などが含まれる。さら
にまた、有機燐酸化合物としては、モノメチル燐酸、ジ
−n−ブチル燐酸、燐酸トリフェニル等が挙げられる。
【0044】なお、混合に際しては、各成分の混合順序
は問わず、各成分の種類に応じて適宜混合の順序を選択
することができる。例えば、イソシアネート反応性化合
物(A1-a)としてポリオール(A1-a)を用い且つイソシ
アネート反応性化合物(A1-b)としてポリオール(A1-
b)を用いる場合で、アニオン性基非含有ポリアミン化
合物(A1-a)及びアニオン性基含有ポリアミン化合物
(A1-b)を用いない場合において、アニオン性基含有ウ
レタン系プレポリマー(A1)を効率よく得るためには、
まず、ポリオール(A1-a)及びポリオール(A1-b)の混
合物に、ポリイソシアネート(A1-c)を加え、さらに必
要に応じて重合触媒を加えて反応させる方法などが挙げ
られる。
【0045】本発明において、イソシアネート反応性化
合物(A1-a)、イソシアネート反応性化合物(A1-b)、
ポリイソシアネート(A1-c)の各成分の割合は特に制限
されない。例えば、ポリイソシアネート(A1-c)と、イ
ソシアネート反応性化合物(A1-a)及びイソシアネート
反応性化合物(A1-b)との割合としては、[ポリイソシ
アネート(A1-c)におけるイソシアネート基]/[イソ
シアネート反応性化合物(A1-a)及びイソシアネート反
応性化合物(A1-b)におけるイソシアネート反応性基]
(NCO/NCO反応性基)(当量比)が1より大きく
2.0以下(好ましくは1より大きく1.5以下、さら
に好ましくは1より大きく1.2以下)となるような範
囲から選択することができる。該NCO/NCO反応性
基の比が大きすぎると(例えば、2.0(当量比)を越
えると)、エポキシ系水性樹脂組成物の安定性が低下す
る。一方、該NCO/NCO反応性基の比が小さすぎる
と(例えば、1以下(当量比)であると)、エポキシ基
を導入することができなくなり、また、水性接着剤又は
水性コーティング剤の接着性又は密着性が低下する。
【0046】あるいは、ポリイソシアネート(A1-c)
は、アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)中
のイソシアネート基の含有量が、0.3〜7.0質量%
(好ましくは0.4〜4.0質量%、さらに好ましくは
0.5〜3.0質量%)となるような割合で含まれてい
ることが好ましい。イソシアネート基の含有量は、多す
ぎると(例えば、7.0質量%を越えると)、鎖延長す
る際の反応(架橋反応)の制御が困難になり、分散性が
低下する。一方、イソシアネート基の含有量が、少なす
ぎると(例えば、0.3質量%未満であると)、鎖延長
とエポキシ基導入が充分にできなくなる。
【0047】[イソシアネート反応性基含有エポキシ化
合物(A2)]エポキシ基を1つ以上含有し且つイソシア
ネート反応性基を1つ以上含有するイソシアネート反応
性基含有エポキシ化合物(A2)(以下、「イソシアネー
ト反応性基含有エポキシ化合物(A2)」と称する場合が
ある)としては、分子内に少なくとも1つのイソシアネ
ート反応性基を有しており、かつ分子内に少なくとも1
つのエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば特に制
限されない。イソシアネート反応性基含有エポキシ化合
物(A2)は単独で又は2種以上組み合わせて使用するこ
とができる。
【0048】イソシアネート反応性基含有エポキシ化合
物(A2)において、イソシアネート反応性基の数として
は、1以上であれば特に制限されないが、1又は2(好
ましくは1)が好ましい。また、イソシアネート反応性
基含有エポキシ化合物(A2)中のエポキシ基の数として
も、1以上であれば特に制限されないが、1〜3(好ま
しくは1又は2)が好ましい。
【0049】イソシアネート反応性基としては、イソシ
アネート基に対して反応性を有している基であれば特に
制限されないが、ヒドロキシル基が好適である。従っ
て、本発明では、イソシアネート反応性基含有エポキシ
化合物(A2)としては、ヒドロキシル基及びエポキシ基
をそれぞれ1つ以上有しているヒドロキシル基含有エポ
キシ化合物(A2-1)を好適に用いることができる。
【0050】ヒドロキシル基含有エポキシ化合物(A2-
1)としては、例えば、グリシドールや、各種ポリオー
ル化合物のヒドロキシル基の一部をエポキシ基に変成さ
せたエポキシ変成ポリオール化合物などが挙げられる。
前記エポキシ変成ポリオール化合物としては、例えば、
前記ポリオール(A1-a)として例示した多価アルコール
とグリシドールとを多価アルコールのヒドロキシル基が
少なくとも1つ残存するようにエーテル化反応して得ら
れるヒドロキシル基及びエポキシ基含有エーテル類に対
応するヒドロキシル基含有エポキシ化合物などが挙げら
れる。具体的には、多価アルコールによるエポキシ変成
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコー
ルモノグリシジルエーテル、ジエチレングリコールモノ
グリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシ
ジルエーテル、ジプロピレングリコールモノグリシジル
エーテル、トリメチレングリコールモノグリシジルエー
テル、1,4−テトラメチレンジオールモノグリシジル
エーテル、1,3−テトラメチレンジオールモノグリシ
ジルエーテル、2−メチル−1,3−トリメチレンジオ
ールモノグリシジルエーテル、1,5−ペンタメチレン
ジオールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコ
ールモノグリシジルエーテル、1,6−ヘキサメチレン
ジオールモノグリシジルエーテル、3−メチル−1,5
−ペンタメチレンジオールモノグリシジルエーテル、
2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオールモ
ノグリシジルエーテルなどの脂肪族ジオールとグリシド
ールとのモノエーテル類;グリセリン(モノ又はジ)グ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパン(モノ又は
ジ)グリシジルエーテル、トリメチロールエタン(モノ
又はジ)グリシジルエーテルなどの脂肪族ポリオールと
グリシドールとのヒドロキシル基及びエポキシ基含有エ
ーテル類;シクロヘキサンジオールのモノグリシジルエ
ーテル類(1,4−シクロヘキサンジオールモノグリシ
ジルエーテルなど)などの脂環式ジオールとグリシドー
ルとのモノエーテル類;ビスフェノールのモノグリシジ
ルエーテル類(例えば、ビスフェノールAモノグリシジ
ルエーテルなど)などの芳香族ポリオールとグリシドー
ルとのヒドロキシル基及びエポキシ基含有エーテル類;
糖アルコール(キシリトールやソルビトールなど)とグ
リシドールとのエーテル化反応によるヒドロキシル基及
びエポキシ基含有エーテル類などが挙げられる。
【0051】また、エポキシ変成ポリオール化合物に
は、例えば、前記ポリオール(A1-a)として例示したポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
カーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、
ポリアクリルポリオールなどのポリオールと、グリシド
ールや前記多価アルコールによるエポキシ変成ポリオー
ル化合物とのエーテル化反応によるヒドロキシル基及び
エポキシ基含有エーテル類も含まれる。
【0052】さらにまた、各種ポリオール化合物とグリ
シド酸とのエステル化反応によるヒドロキシル基及びエ
ポキシ基含有エステル類に対応するヒドロキシル基含有
エポキシ化合物も含まれる。
【0053】本発明では、ヒドロキシル基含有エポキシ
化合物(A2-1)としては、商品名「エピクロンEXA−
7120」(大日本インキ化学工業社製)、商品名「エ
ピコート834」(ジャパンエポキシ社製)等も用いる
ことができる。
【0054】[鎖延長剤(A3)]鎖延長剤(A3)として
は、公知乃至慣用の鎖延長剤であれば特に制限されない
が、例えば、アミン系鎖延長剤(A3-1)、チオール系鎖
延長剤(A3-2)などを用いることができる。鎖延長剤
(A3)は単独で又は2種以上組み合わせて使用すること
ができる。鎖延長剤(A3)としては、アミン系鎖延長剤
(A3-1)が好適である。
【0055】アミン系鎖延長剤(A3-1)としては、分子
内に第3級アミノ基(ジ置換アミノ基)以外のアミノ基
(第1級アミノ基や第2級アミノ基など)を1つ有する
アミン系化合物であってもよいが、分子内に第3級アミ
ノ基以外のアミノ基を複数有するポリアミンを好適に用
いることができる。このようなポリアミンの分子内にお
ける第3級アミノ基以外のアミノ基(官能性アミノ基)
の数は、少なくとも2つであれば特に制限されないが、
例えば、2〜6(好ましくは2〜4、さらに好ましくは
2〜3)の範囲から選択することができる。アミン系鎖
延長剤(A3-1)には、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環
式ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミ
ン、ヒドラジン及びその誘導体などが含まれる。
【0056】具体的には、アミン系鎖延長剤(A3-1)に
おいて、脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレン
ジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テ
トラメチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミ
ン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサ
メチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,
2−ブチレンジアミン、2,3−ブチレンジアミン、
1,3−ブチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペン
タメチレンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタメチ
レンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキ
サメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの他、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが
挙げられる。
【0057】脂環式ポリアミンとしては、例えば、1,
3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサン
ジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1−アミ
ノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、1−アミノ−1−メチル−4−アミノメチル
シクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−3−アミノ
メチルシクロヘキサン、4,4´−メチレンビス(シク
ロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−メ
チル−シクロヘキシルアミン)、メチル−2,3−シク
ロヘキサンジアミン、メチル−2,4−シクロヘキサン
ジアミン、メチル−2,6−シクロヘキサンジアミン、
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4
−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジ
アミン、ノルボルナンジアミン等の脂環式ジアミンなど
が挙げられる。
【0058】芳香族ポリアミンとしては、m−フェニレ
ンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレ
ンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ナフチレン−
1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、
4,4´−ジフェニルジアミン、4,4´−ジフェニル
メタンジアミン、2,4´−ジフェニルメタンジアミ
ン、4,4´−ジフェニルエ−テルジアミン、2−ニト
ロジフェニル−4,4´−ジアミン、2,2´−ジフェ
ニルプロパン−4,4´−ジアミン、3,3´−ジメチ
ルジフェニルメタン−4,4´−ジアミン、4,4´−
ジフェニルプロパンジアミン、3,3´−ジメトキシジ
フェニル−4,4´−ジアミン等の芳香族ジアミンなど
が挙げられる。
【0059】芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、
1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジア
ミン、α,α,α´,α´−テトラメチル−1,3−キ
シリレンジアミン、α,α,α´,α´−テトラメチル
−1,4−キシリレンジアミン、ω,ω´−ジアミノ−
1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−アミノ
−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−ア
ミノ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス
(α,α−ジメチルアミノメチル)ベンゼン等の芳香脂
肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0060】ヒドラジン及びその誘導体としては、例え
ば、ヒドラジンや、ジヒドラジド系化合物などが挙げら
れる。ジヒドラジド系化合物には、例えば、カルボジヒ
ドラジド(カルボヒドラジド)、シュウ酸ジヒドラジ
ド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グ
ルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどの
脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジド類;イソフタル酸ジヒ
ドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドなどの芳香族ジカ
ルボン酸ジヒドラジド類;1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジヒドラジドなどの脂環式ジカルボン酸ジヒド
ラジド類などが含まれる。
【0061】アミン系鎖延長剤(A3-1)としては、エチ
レンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、1,
6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、4,4´−メチレンビス(シ
クロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−
メチル−シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノル
ボルナンジアミン、1,3−キシリレンジアミン等の脂
肪族、脂環式及び芳香脂肪族ポリアミンや、ヒドラジ
ン、カルボジヒドラジド等のヒドラジン及びその誘導体
を好適に用いることができる。
【0062】また、チオール系鎖延長剤(A3-2)として
は、例えば、前記アミン系鎖延長剤(A3-1)として例示
の脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリア
ミン、芳香脂肪族ポリアミンなどのアミン系化合物に対
応するチオール化合物を用いることができる。
【0063】[アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマ
ー(A)]前述のように、アニオン性基含有エポキシ基
末端ポリマー(A)は、アニオン性基含有ウレタン系プ
レポリマー(A1)と、イソシアネート反応性基含有エポ
キシ化合物(A2)と、鎖延長剤(A3)との反応生成物で
あり、具体的には、アニオン性基含有ウレタン系プレポ
リマー(A1)と、イソシアネート反応性基含有エポキシ
化合物(A2)とを、前記アニオン性基含有ウレタン系プ
レポリマー(A1)の末端のイソシアネート基が10〜7
0モル%の割合で部分的にエポキシ化させて得られる末
端部分的エポキシ化ポリマーを、さらに鎖延長剤(A3)
と反応させて鎖延長されたアニオン性基含有エポキシ基
末端ポリマーである。従って、アニオン性基含有エポキ
シ基末端ポリマー(A)は、分子内にアニオン性基含有
ウレタン系プレポリマー(A1)に由来するウレタン結合
部位及びアニオン性基と、主鎖の末端にイソシアネート
反応性基含有エポキシ化合物(A2)に由来するエポキシ
基とを有するとともに、アニオン性基含有ウレタン系プ
レポリマー(A1)に由来するイソシアネート基と鎖延長
剤(A3)の官能基(アミノ基など)との反応による結合
部位(尿素結合部位など)を有している。
【0064】アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)と、イソシアネート反応性基含有エポキシ化合物
(A2)との反応では、アニオン性基含有ウレタン系プレ
ポリマー(A1)の末端がイソシアネート基からエポキシ
基に変成されるエポキシ化率が10〜70モル%(好ま
しくは、15〜60モル%、さらに好ましくは20〜5
5モル%)となるようにエポキシ化反応させて、末端部
分的エポキシ化ポリマーが得られる。このエポキシ化率
(すなわち、アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)の末端がイソシアネート基からエポキシ基に変成
されるエポキシ化率)が10〜70モル%とは、前記ア
ニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)の末端に
おけるイソシアネート基のうち10〜70モル%のイソ
シアネート基が、イソシアネート反応性基を1つ以上含
有するイソシアネート反応性基含有エポキシ化合物(A
2)のイソシアネート反応性基との反応により、エポキ
シ基に変成される割合のことを意味している。従って、
このエポキシ化反応では、アニオン性基含有ウレタン系
プレポリマー(A1)の末端におけるイソシアネート基の
うち90〜30モル%のイソシアネート基がエポキシ基
に変成されず、残存している。すなわち、エポキシ化率
が10〜70モル%とは、イソシアネート基残存率が9
0〜30モル%に相当する。
【0065】このように本発明では、エポキシ化率と
は、前記アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A
1)の末端におけるイソシアネート基のうちエポキシ基
に変成されるイソシアネート基の割合のことを意味して
いる。従って、エポキシ化率(モル%)は、「エポキシ
化率(モル%)={[イソシアネート反応性基含有エポ
キシ化合物(A2)のイソシアネート反応性基のモル数]
/[アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)の
イソシアネート基のモル数]}×100」の式で表すこ
とができる。
【0066】より具体的には、例えば、前記アニオン性
基含有ウレタン系プレポリマー(A1)を、イソシアネー
ト反応性基含有エポキシ化合物(A2)として、1つのイ
ソシアネート反応性基および1つのエポキシ基を有する
イソシアネート反応性基含有エポキシ化合物を用いてエ
ポキシ変成する場合のエポキシ化率と、1つのイソシア
ネート反応性基および2つのエポキシ基を有するイソシ
アネート反応性基含有エポキシ化合物を用いてエポキシ
変成する場合のエポキシ化率とは、同じエポキシ化率を
示す。すなわち、1つのイソシアネート基が、1つのエ
ポキシ基に変成される場合と、2つのエポキシ基に変成
される場合とは、同じエポキシ化率となる。
【0067】また、例えば、前記アニオン性基含有ウレ
タン系プレポリマー(A1)を、イソシアネート反応性基
含有エポキシ化合物(A2)として、2つのイソシアネー
ト反応性基および1つのエポキシ基を有するイソシアネ
ート反応性基含有エポキシ化合物を用いてエポキシ変成
する場合のエポキシ化率と、2つのイソシアネート反応
性基および2つのエポキシ基を有するイソシアネート反
応性基含有エポキシ化合物を用いてエポキシ変成する場
合のエポキシ化率とは、同じエポキシ化率を示す。すな
わち、2つのイソシアネート基が、1つのエポキシ基に
変成される場合と、2つのエポキシ基に変成される場合
とは、同じエポキシ化率となる。
【0068】従って、末端部分的エポキシ化ポリマー
は、アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)の
末端におけるイソシアネート基のうち10〜70モル%
のイソシアネート基がイソシアネート反応性基含有エポ
キシ化合物(A2)のイソシアネート反応性基との反応に
よりエポキシ基に変成され、90〜30モル%のイソシ
アネート基がイソシアネート反応性基含有エポキシ化合
物(A2)のイソシアネート反応性基と反応せずに残存し
ているポリマーである。
【0069】また、末端部分的エポキシ化ポリマーと鎖
延長剤(A3)との鎖延長の反応では、末端部分的エポキ
シ化ポリマー中の残存しているイソシアネート基と、鎖
延長剤(A3)の官能基(アミノ基など)とが主に反応し
ており、末端部分的エポキシ化ポリマー中のエポキシ基
と鎖延長剤(A3)の官能基(アミノ基など)とは全く又
はほとんど反応していないと思われる。
【0070】より具体的には、アニオン性基含有ウレタ
ン系プレポリマー(A1)と、イソシアネート反応性基含
有エポキシ化合物(A2)との反応(エポキシ化反応)
は、両者を混合し、必要に応じて加熱することにより行
うことができる。該反応により、前記アニオン性基含有
ウレタン系プレポリマー(A1)の末端のイソシアネート
基が部分的にエポキシ化されて、末端部分的エポキシ化
ポリマーを調製することができる。
【0071】この混合又は反応に際しては、アニオン性
基含有ウレタン系プレポリマー(A1)の調製時と同様の
重合触媒を加えることができる。また、混合又は反応に
際しては、溶媒を用いることができる。
【0072】なお、アニオン性基含有ウレタン系プレポ
リマー(A1)と、イソシアネート反応性基含有エポキシ
化合物(A2)との反応では、アニオン性基含有ウレタン
系プレポリマー(A1)の末端がイソシアネート基からエ
ポキシ基に変成されるエポキシ化率が10〜70モル%
(好ましくは、15〜60モル%、さらに好ましくは2
0〜55モル%)となるような割合で、アニオン性基含
有ウレタン系プレポリマー(A1)と、イソシアネート反
応性基含有エポキシ化合物(A2)とを用いることが重要
である。前記エポキシ化率は、10モル%未満であって
も、70モル%を越えても、エポキシ系水性樹脂組成物
の貯蔵安定性が低下し(例えば、ゲル化し)、1液型の
エポキシ系水性接着剤や1液型の水性コーティング剤と
して実質的に利用することができなくなる。
【0073】さらに、前記末端部分的エポキシ化ポリマ
ーと、鎖延長剤(A3)との反応(鎖延長反応)は、両者
を混合し、必要に応じて加熱することにより行うことが
できる。該反応により、前記末端部分的エポキシ化ポリ
マー中の残存している末端のイソシアネート基と、前記
鎖延長剤(A3)の官能基(アミノ基など)とが反応し
て、前記末端部分的エポキシ化ポリマーが鎖延長され
て、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)が
調製される。この混合又は反応に際しては、前述と同様
に重合触媒を加えることができる。重合触媒としては、
例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物
とを反応させる際に用いられる公知乃至慣用の重合触媒
(硬化触媒)を用いることができる。
【0074】特に、前記末端部分的エポキシ化ポリマー
と、鎖延長剤(A3)との混合又は反応は、前記末端部分
的エポキシ化ポリマーの水(C)への分散前、分散中ま
たは分散後のいずれであってもよいが、分散中又は分散
後が好ましい。すなわち、末端部分的エポキシ化ポリマ
ーを水(C)に分散させる際に、鎖延長剤(A3)(特に
アミン系鎖延長剤(A3-1))を水(C)とともに添加す
るか、又は水(C)に分散させた後に、鎖延長剤(A3)
(特にアミン系鎖延長剤(A3-1))を添加して混合し
て、末端部分的エポキシ化ポリマーと、鎖延長剤(A3)
(特にアミン系鎖延長剤(A3-1))とを反応させること
が好ましい。
【0075】このようにして、アニオン性基含有エポキ
シ基末端ポリマー(A)が調製されうる。アニオン性基
含有エポキシ基末端ポリマー(A)を効率よく得るため
には、まず、イソシアネート反応性化合物(A1-a)及び
イソシアネート反応性化合物(A1-b)の混合物に、ポリ
イソシアネート(A1-c)を加え、さらに必要に応じて重
合触媒を加えて反応させて、アニオン性基含有ウレタン
プレポリマー(A1)を調製した後に、該反応混合液にイ
ソシアネート反応性基含有エポキシ化合物(A2)を加え
て、アニオン性基含有ウレタンプレポリマー(A1)の末
端がイソシアネート基からエポキシ基に変成されるエポ
キシ化率が10〜70モル%となるように反応させるこ
とにより、末端部分的エポキシ化ポリマーを調製し、さ
らにその後に、鎖延長剤(A3)を水(C)とともに加え
て、末端部分的エポキシ化ポリマーを水に分散させる際
に、末端部分的エポキシ化ポリマーを鎖延長剤(A3)に
より鎖延長させて、アニオン性基含有エポキシ基末端ポ
リマー(A)を調製することが好ましい。
【0076】本発明において、アニオン性基含有エポキ
シ基末端ポリマー(A)中のアニオン性基の含有量とし
ては、0.2〜4.0質量%(好ましくは0.5〜3.
6質量%、さらに好ましくは0.8〜3.0質量%)で
あることが好ましい。該アニオン性基の含有量が多すぎ
ると(例えば、4.0質量%を越えると)、エポキシ系
水性樹脂組成物の粘度が高くなり、水性接着剤又は水性
コーティング剤の塗布作業性が低下する。一方、該アニ
オン性基の含有量が少なすぎると(例えば、0.2質量
%未満であると)、エポキシ系水性樹脂組成物中の樹脂
成分の分散安定性が低下する。
【0077】また、アニオン性基含有エポキシ基末端ポ
リマー(A)中のエポキシ基含有量としては、0.1〜
10質量%(好ましくは0.2〜5.0質量%、さらに
好ましくは0.5〜2.5質量%)であることが好まし
い。該エポキシ基の含有量は、多すぎても(10質量%
を越えると)、少なすぎても(0.1質量%未満である
と)、エポキシ系水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下す
る。
【0078】さらに、鎖延長剤(A3)の使用量は、アニ
オン性基含有ウレタン系プレポリマー(A1)と、イソシ
アネート反応性基含有エポキシ化合物(A2)との反応に
より得られる末端部分的エポキシ化ポリマーにおける末
端のイソシアネート基(エポキシ化されずに残存してい
る末端のイソシアネート基)およびエポキシ基と当量で
あることが好ましいが、例えば、該イソシアネート基お
よびエポキシ基1当量に対して0.8〜1.2当量の範
囲から選択してもよい。
【0079】[塩基性化合物(B)]塩基性化合物
(B)としては、塩基性無機化合物であってもよく、塩
基性有機化合物であってもよい。塩基性化合物(B)は
単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ
る。塩基性無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属
炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカ
リ金属酢酸塩などのアルカリ金属化合物や、水酸化マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシ
ウム等のアルカリ土類金属炭酸塩などのアルカリ土類金
属化合物の他、アンモニアを好適に用いることができ
る。
【0080】一方、塩基性有機化合物としては、例え
ば、脂肪族アミン、芳香族アミン、塩基性含窒素複素環
化合物などのアミン系化合物を好適に用いることができ
る。脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソ
プロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルア
ミン、トリs−ブチルアミン、トリt−ブチルアミン、
トリペンチルアミン、トリヘキシルアミンなどのトリア
ルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブ
チルアミンなどのジアルキルアミン;メチルアミン、エ
チルアミン、ブチルアミンなどのモノアルキルアミン;
トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプ
ロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリ
ブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリイソ
ペンタノールアミン、トリヘキサノールアミンなどのト
リアルコールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノー
ルアミンなどのジアルコールアミン;メタノールアミ
ン、エタノールアミンなどのモノアルコールアミンなど
の他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどが
挙げられる。芳香族アミンには、例えば、N,N−ジメ
チルアニリンなどが含まれる。塩基性含窒素複素環化合
物としては、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリ
ジンなどの環状アミンの他、ピリジン、α−ピコリン、
β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、N−メチルモ
ルホリンなどが挙げられる。
【0081】本発明では、塩基性化合物(B)として
は、アンモニアやアミン系化合物を好適に用いることが
できる。アミン系化合物の中でも、トリアルキルアミン
やトリアルコールアミンなどの第三級アミン化合物が好
適である。
【0082】[水(C)]本発明では、水(C)として
は、水道水、イオン交換水や純水などを用いることがで
きる。
【0083】[1液型のエポキシ系水性樹脂組成物]本
発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物は、アニオン
性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)と、塩基性化合
物(B)と、水(C)とからなっている。具体的には、
1液型のエポキシ系水性樹脂組成物は、アニオン性基含
有エポキシ基末端ポリマー(A)、塩基性化合物(B)
及び水(C)の混合物であってもよく、該混合によりア
ニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)と、塩基
性化合物(B)とが反応した反応生成物を含む反応組成
物であってもよい。アニオン性基含有エポキシ基末端ポ
リマー(A)と、塩基性化合物(B)との反応として
は、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)に
おけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により部分的
に又は全体的に中和される中和反応が挙げられる。すな
わち、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)
と、塩基性化合物(B)との反応により、アニオン性基
含有エポキシ基末端ポリマー(A)におけるアニオン性
基が塩となっている。
【0084】従って、前記アニオン性基含有エポキシ基
末端ポリマー(A)と、塩基性化合物(B)とが反応し
た反応生成物としては、アニオン性基含有エポキシ基末
端ポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物
(B)により中和されてアニオン性基の塩となっている
水性エポキシ化ポリマーであってもよい。1液型のエポ
キシ系水性樹脂組成物としては、前記水性エポキシ化ポ
リマーを含む1液型のエポキシ系水性樹脂組成物である
ことが好ましい。
【0085】このように、本発明では、1液型のエポキ
シ系水性樹脂組成物は、アニオン性基含有エポキシ基末
端ポリマー(A)と、塩基性化合物(B)と、水(C)
とを混合して調製することができ、その混合の順序は特
に制限されない。1液型のエポキシ系水性樹脂組成物と
しては、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)に、塩基性化合物(B)及び水(C)を配合し
て、望ましくは激しい攪拌などを行って、中和反応や加
水分解反応等の反応を促進させることにより、水溶液又
は水分散液として、調製することができる。
【0086】なお、本発明では、塩基性化合物(B)や
水(C)は、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)を調製する際に予め用いることができる。具体的
には、例えば、アニオン性基含有ウレタン系プレポリマ
ー(A1)とイソシアネート反応性基含有エポキシ化合物
(A2)とを反応させる際に、塩基性化合物(B)を加え
ることにより、塩基性化合物(B)の存在下、前記反応
を行うことができる。また、例えば、アニオン性基含有
ウレタン系プレポリマー(A1)とイソシアネート反応性
基含有エポキシ化合物(A2)とを反応させて得られる末
端部分的エポキシ化ポリマーを、鎖延長剤(A3)(アミ
ン系鎖延長剤(A3-1)など)と反応させて鎖延長させる
際に又はその前に、水(C)を加えることにより、末端
部分的エポキシ化ポリマーの水への分散中又は分散後
に、前記鎖延長の反応を行うことができる。
【0087】本発明では、塩基性化合物(B)の使用量
としては、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)中のアニオン性基に対して50〜120モル%
(好ましくは80〜110モル%)程度の範囲から選択
することができる。
【0088】また、本発明では、水(C)の使用量とし
ては、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)
100質量部に対して65〜900質量部(好ましくは
100〜400質量部)程度の範囲から選択することが
できる。
【0089】本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物において、カルボキシル基などのアニオン性基の中和
率は、特に制限されないが、例えば、80%以上(好ま
しくは90〜100%)であることが望ましい。さらに
また、樹脂分としては、特に制限されないが、例えば、
10〜60質量%(好ましくは20〜50質量%)程度
の範囲から選択することができる。
【0090】なお、1液型のエポキシ系水性樹脂組成物
としては、有機溶剤を全く含まない完全に水性である1
液型のエポキシ系水性樹脂組成物の形態であってもよ
い。なお、1液型のエポキシ系水性樹脂組成物には、そ
の水溶液又は水分散液の粘度調整等のために、ケトン
類、低級アルコールなどの親水性の有機溶剤(水溶性有
機溶剤)が含まれていてもよい。該有機溶剤は単独で又
は2種以上組み合わせて使用することができる。具体的
には、ケトン類には、アセトンなどが含まれる。また、
低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、
イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール等の1価アルコール;エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等の多
価アルコールなどが挙げられる。また、水溶性有機溶剤
としては、プロピレンカーボネート;ジメチルカーボネ
ート;トリメチルホスフェート;ポリオキシエチレンの
ジエーテル、ジエステル或いはジアリルエーテル類;グ
リコールのジエーテル或いはジアセテート類;1,3−
ジオキソラン;N−メチル−2−ピロリドンなどを用い
ることができる。このような有機溶剤の使用量として
は、調整する粘度の大きさ等により適宜選択することが
でき、例えば、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマ
ー(A)100質量部に対して0〜100質量部(好ま
しくは1〜50質量部)程度の範囲から選択することが
できる。
【0091】また、1液型のエポキシ系水性樹脂組成物
には、濡れ性改質親水性溶剤が含まれていてもよい。該
濡れ性改質親水性溶剤としては、特に制限されず、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルなどが挙げられる。
【0092】本発明では、1液型のエポキシ系水性樹脂
組成物には、充填材、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤(顔料や染料な
ど)、防かび剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、香料、各種
タッキファイヤー(エマルジョンタッキファイヤーな
ど)、カップリング剤(チタネート系カップリング剤、
アルミニウム系カップリング剤など)、光硬化触媒、乳
化剤、界面活性剤、エマルジョンやラテックス、架橋剤
などの各種添加剤又は成分、溶剤などが含まれていても
よい。例えば、充填材としては、炭酸カルシウムや各種
処理が施された炭酸カルシウム、フュームドシリカ、ク
レー、タルク、各種バルーン、ノイブルシリカ、カオリ
ン、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。また、可塑
剤には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートな
どのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、セバ
シン酸ジブチルなどの脂肪族カルボン酸エステルなどが
含まれる。タッキファイヤーとしては、例えば、安定化
ロジンエステル、重合ロジンエステル、テルペンフェノ
ール、石油系樹脂等のエマルジョンタッキファイヤーな
どが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架
橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ア
ジリジン系架橋剤、ポリエチレンイミン系架橋剤、メラ
ミン系架橋剤、コロイダルシリカの他、オキサゾリン化
合物、無機系化合物(例えば、亜鉛、カルシウム系多価
錯体等の無機系多価錯体など)などを用いることができ
る。なお、溶剤としては、アニオン性基含有エポキシ基
末端ポリマー(A)、塩基性化合物(B)、水(C)な
どと相溶性がいいものであれば特に制限されず、いずれ
の溶剤を用いてもよい。
【0093】本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物は、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)、塩基性化合物(B)及び水(C)からなり、し
かも、前記アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)が、アニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
(A1)を、イソシアネート反応性基含有エポキシ化合物
(A2)により適度なエポキシ化率で末端をエポキシ化
し、さらに鎖延長剤(A3)(アミン系鎖延長剤(A3-1)
など)により鎖延長して得られたものであるので、1液
タイプのエポキシ系水性樹脂組成物であるにもかかわら
ず、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)又
はその塩[アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー
(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)によ
り中和された水性エポキシ化ポリマー]中のエポキシ基
が非常に安定に存在している。この理由は定かではない
が、1液型のエポキシ系水性樹脂組成物中では、アニオ
ン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)の末端のフリ
ーなエポキシ基は、アニオン性基含有エポキシ基末端ポ
リマー(A)粒子の内部に取り込まれ、一方、鎖延長剤
(A3)[特に、アミン系鎖延長剤(A3-1)]は水分子に
より溶媒和(ブロック)されているため、フリーなエポ
キシ基が鎖延長剤(A3)の官能基と反応せずに安定に存
在していると思われる。そして、水の量が揮発等により
減少していくと、アニオン性基含有エポキシ基末端ポリ
マー(A)の粒子中に取り込まれていたエポキシ基が該
粒子表面に出てくるとともに、鎖延長剤(A3)[特に、
アミン系鎖延長剤(A3-1)]も水分子による溶媒和(ブ
ロック)作用が低減してブロックされにくくなるので、
アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)の末端
のエポキシ基と、鎖延長剤(A3)の官能基(特に、アミ
ノ基)との反応による架橋反応が進行して、硬化してい
ると思われる。
【0094】このように、本発明の1液型のエポキシ系
水性樹脂組成物は、系中の水が蒸発又は揮発等により乾
燥して減少する条件下(例えば、開放面に塗布した場合
など)では、素速く硬化する。また、水の減少により架
橋反応が進行することができ、この架橋反応は水がある
程度存在していても進行し、水を保持したままでも、凝
集力を発現することが可能である。さらに、アニオン性
基含有エポキシ基末端ポリマー(A)が、鎖延長剤(A
3)としてのアミン系鎖延長剤(A3-1)により鎖延長さ
れている場合は、尿素結合を分子内に(特に、分子鎖の
中央部分又はその付近に)有しているので、凝集力をよ
り一層高めることができる。
【0095】さらにまた、水性化するためにアニオン性
基含有エポキシ基末端ポリマー(A)の分子内に導入さ
れたイオンセンター(カルボン酸塩等のアニオン性基の
塩)が、エポキシ基と鎖延長剤(A3)の官能基との間に
おける架橋反応の促進触媒として機能して、該架橋反応
が促進されていると思われる。
【0096】しかも、1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物は、水性タイプであるので(特に、有機溶剤を全く含
まない完全な水性であってもよいので)、取り扱い性や
作業性が優れており、人体や環境に対して安全性が高
い。
【0097】特に、優れた密着性を有しており、しかも
ダンベル物性における引っ張り強度及び伸度(伸び)が
優れており、優れた強靱性を発現させることができる。
【0098】従って、本発明の1液型のエポキシ系水性
樹脂組成物は、分子内にウレタン結合部位と、末端にエ
ポキシ基とを有するエポキシ−ウレタン系樹脂による水
溶液又は水分散液であるにもかかわらず、安定性が極め
て優れており、長期間(例えば、6月以上、1年以上、
1年6月以上などの期間)にわたりゲル化や粘度変化を
全く又はほとんど生じさせず、実質的に1液型とするこ
とができる。また、硬化させる際には、他の成分と混合
させる必要がなく、塗布するだけで優れた硬化速度で硬
化させることができる。しかも、優れた密着性を発現す
るとともに、優れた強靱性(引っ張り強度および伸度)
を有している。
【0099】本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物は、従来のエポキシ系樹脂組成物が用いられている用
途であれば特に制限なく使用することができる。具体的
には、例えば、1液型の水性接着剤(例えば、自動車内
装用接着剤、各種車両用接着剤(例えば、電車等の車両
に用いられる接着剤)、建築内装工事用接着剤、建材用
接着剤、電気・電子部品用接着剤、家具用接着剤、家庭
用接着剤など)、1液型の水性コーティング剤(例え
ば、水性塗料、水性トップコート剤、水性フロアポリッ
シュなど)の他、1液型のバインダ(例えば、水性イン
キ、顔料プリント、セラミック材料、不織布、繊維収束
剤、ゴム、木粉等におけるバインダ)、パテ材、ポッテ
ィング材などとして用いることができる。このように、
本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物は、1液タ
イプのエポキシ系水性樹脂組成物であるにもかかわら
ず、安定性が優れており、使用時に他の液(硬化剤な
ど)と混合する必要がなく、そのまま塗布すればよい。
従って、従来の2液タイプのエポキシ系水性樹脂組成物
に比べて、優れた塗布作業性で使用することができると
ともに、作業時間を大幅に短縮することができる。もち
ろん、硬化させる際には、加熱せずに常温で硬化させて
もよく、または加熱により硬化を促進させてもよい。
【0100】特に本発明では、1液型のエポキシ系水性
樹脂組成物は、1液型の水性接着剤や1液型の水性コー
ティング剤(1液型の水性塗料など)として好適に用い
ることができる。なお、1液型の水性接着剤として利用
する場合は、被着体(適用基材)としては、少なくとも
一方が多孔質であることが好ましい。なお、接着時に用
いられる被着体としては、同一の素材からなる被着体同
士であってもよく、異なる素材からなる被着体であって
もよい。また、1液型の水性コーティング剤として利用
する場合は、塗布層を形成させる被塗布体(適用基材)
は、特に制限されず、多孔質、非多孔質のいずれであっ
てもよい。
【0101】より具体的には、本発明の1液型のエポキ
シ系水性樹脂組成物は、種々の用途(接着や塗膜形成な
ど)において、例えば、木材、合板、チップボード、パ
ーチクルボード、ハードボードなどの木質材料;スレー
ト板、珪カル板、モルタル、タイルなどの無機質材料;
メラミン樹脂化粧板、ベークライト板、発泡スチロー
ル、各種プラスチックフィルム又は成形品(例えば、ポ
リ塩化ビニル;ポリアミド(ナイロン);ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエ
ステル;ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合樹脂(ABS)等のスチレン系樹脂;
ポリウレタン;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレ
フィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹
脂などの各種プラスチックによるフィルム又は成形品
等)などのプラスチック材料;天然ゴム、合成ゴム、シ
リコンゴム等のゴム材料;段ボール紙、板紙、クラフト
紙などの紙質材料の他、加工紙(例えば、防湿紙などの
表面処理された加工紙など)などの難接着紙材料、ガラ
ス材料、磁器材料、金属材料(例えば、鉄、アルミニウ
ム、ステンレス、銅など)、皮革材料、布、不織布など
の繊維質材料などの各種の基材に対して適用することが
できる。なお、これら基材に適用する際には、刷毛やロ
ーラー等による塗布、噴霧、浸漬等の方法を採用するこ
とができる。
【0102】
【発明の効果】本発明の1液型のエポキシ系水性樹脂組
成物は、1液型であるにもかかわらず貯蔵安定性に優れ
ており、使用に際しては他の液を混合する必要がなく、
各種用途で優れた作業性を発揮させることができる。し
かも、優れた密着性を有しているとともに、優れた強靱
性も有している。また、水性接着剤や水性コーティング
剤などとして幅広い用途で利用することができる。
【0103】さらにまた、本発明の1液型のエポキシ系
水性樹脂組成物は水性であるので、人体や環境に対して
優れた安全性を有しており、各種用途で安全に利用する
ことができる。
【0104】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」
は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。実施例及
び比較例で用いた材料は下記の通りである。
【0105】[アニオン性基非含有で且つ複数のイソシ
アネート反応性基を含有する化合物] (1)商品名「PTMG1000」[三菱化学社製、ポ
リテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量:
1000、水酸基価:110.6mg−KOH/g;
「イソシアネート反応性化合物(A1-a1)」と称する場
合がある] (2)商品名「PTMG650」[三菱化学社製、ポリ
テトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量:6
50、水酸基価:171.2mg−KOH/g;「イソ
シアネート反応性化合物(A1-a2)」と称する場合があ
る]
【0106】[アニオン性基及び複数のイソシアネート
反応性基を含有する化合物] (1)2,2−ジメチロールブタン酸[水酸基価:75
8.1mg−KOH/g;「イソシアネート反応性化合
物(A1-b1)」と称する場合がある]
【0107】[ポリイソシアネート化合物] (1)イソホロンジイソシアネート[イソシアネート含
有率(NCO含有率):37.8%、IPDI;「ポリ
イソシアネート(A1-c1)」と称する場合がある]
【0108】[イソシアネート反応性基含有エポキシ化
合物] (1)商品名「エピクロンEXA−7120」[大日本
インキ化学工業社製、1分子中にエポキシ基を2つ、且
つヒドロキシル基を1つ有している;「エポキシ化合物
(A2-a1)」と称する場合がある] (2)グリシドール(「エポキシ化合物(A2-a2)」と
称する場合がある) (3)商品名「エピコートE834」[ジャパンエポキ
シ社製、1分子中にエポキシ基を2つ、且つヒドロキシ
ル基を平均1つ有している;「エポキシ化合物(A2-a
3)」と称する場合がある]
【0109】[アミン系鎖延長剤] (1)1,6−ヘキサメチレンジアミン[「鎖延長剤
(A3-a1)」と称する場合がある] (2)1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
[「鎖延長剤(A3-a2)」と称する場合がある]
【0110】[塩基性化合物] (1)トリエチルアミン
【0111】[水] (1)イオン交換水(脱イオン水)
【0112】(実施例1)攪拌装置、窒素導入管、温度
計及びコンデンサーを付けた4つ口セパラブルフラスコ
に、イソシアネート反応性化合物(A1-a1):75部、
イソシアネート反応性化合物(A1-b1):11.2部、
ポリイソシアネート(A1-c1):44.4部、及びアセ
トン(希釈剤):10部を配合し、75〜80℃の温度
で窒素気流下3時間反応を行い、残存イソシアネート基
が3.2%のカルボキシル基含有イソシアネート基末端
ポリマーを含む反応混合物を得た。次に、このカルボキ
シル基含有イソシアネート基末端ポリマーの反応混合物
全量に、エポキシ化合物(A2-a1):11.6部及びア
セトン(希釈剤):10部を配合して混合した後、75
〜80℃の温度で窒素気流下1時間反応を行い、カルボ
キシル基含有イソシアネート基及びエポキシ基末端ポリ
マーを含む反応混合物を得た。さらに、このカルボキシ
ル基含有イソシアネート基及びエポキシ基末端ポリマー
を含む反応混合物を40℃まで冷却した後、トリエチル
アミン:7.6部を配合し、高速攪拌下、予め鎖延長剤
(A3-a1):6.8部を脱イオン水に溶解した水溶液を
加えて、カルボキシル基含有エポキシ基末端ポリマー
(カルボキシル基は塩の形態を有していてもよい)を含
有している分散液を得た。この分散液を減圧下、45〜
50℃でアセトンを留去した後、脱イオン水により固形
分を35%に調整した1液型のエポキシ系水性樹脂組成
物を得た。
【0113】(実施例2〜7)表1又は2に示す組成と
したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実
施例2〜7に係る1液型のエポキシ系水性樹脂組成物を
得た。
【0114】(比較例1〜2)表2に示す組成としたこ
と以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、比較例1
〜2に係る1液型のエポキシ系水性樹脂組成物を得た。
【0115】なお、実施例1〜7や比較例1〜2に係る
1液型のエポキシ系水性樹脂組成物に関する各種の特性
や割合などについて、表1又は表2に示した。表1又は
表2において、「NCO/NCO反応性基(当量比)」
は、ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート
基(NCO)と、アニオン性基非含有で且つ複数のイソ
シアネート反応性基を含有する化合物及びアニオン性基
及び複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物に
おけるイソシアネート反応性基(NCO反応性基:−O
Hや−NH2など)との割合(NCO/NCO反応性
基)(当量比)を示している。「NCOの割合(%)」
は、カルボキシル基含有イソシアネート基末端ポリマー
中のイソシアネート基(NCO)の含有量(%)を示し
ている。「カルボキシル基含有率(%)」は、カルボキ
シル基含有エポキシ基末端ポリマー中のカルボキシル基
(COOH)の含有率(%)を示している(なお、カル
ボキシル基が塩の形態となっている場合は、塩の形態を
有していないものとみなしている)。「エポキシ化率
(モル%)」は、カルボキシル基含有イソシアネート基
末端ポリマーの末端がイソシアネート基からエポキシ基
に変成される割合(モル%)を示している。「エポキシ
基含有率(%)」は、カルボキシル基含有エポキシ基末
端ポリマー中のエポキシ基の含有率(%)を示してい
る。「中和率(%)」は、カルボキシル基含有エポキシ
基末端ポリマー中のカルボキシル基がトリエチルアミン
により中和されて塩となった割合(%)を示している。
「鎖延長剤架橋率(%)」は、カルボキシル基含有イソ
シアネート基及びエポキシ基末端ポリマーにおける末端
のイソシアネート基が鎖延長剤により鎖延長又は架橋さ
れた割合を示している。「樹脂分(%)」は、1液型の
エポキシ系水性樹脂組成物中のエポキシ系樹脂の割合
(%)を示している。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】(接着剤としての評価)実施例1〜7及び
比較例1〜2に係る1液型のエポキシ系水性樹脂組成物
について、下記の貯蔵安定性の評価、接着強さの測定、
ダンベル物性の評価を行って、1液型のエポキシ系水性
樹脂組成物の貯蔵安定性、接着性、ダンベル物性を評価
した。なお、評価結果は表1〜2に併記した。
【0119】[貯蔵安定性の評価方法]1液型のエポキ
シ系水性樹脂組成物を、50℃で60日間放置した後、
1液型のエポキシ系水性樹脂組成物の状態を目視で観察
して、下記の評価基準により評価した。 (評価基準) ○:60日間放置後の状態は、放置前と同様の状態であ
り、粘度変化やゲル化等の変化が生じておらず、変化な
し ×:60日間放置後の状態は、放置前の状態と異なり、
粘度変化やゲル化等の変化が生じている
【0120】[接着強さの測定方法]被着体として、ア
サダ材/アサダ材(それぞれ、100mm×25mm×
5mm)を用い、前記貯蔵安定性の評価を行った1液型
のエポキシ系水性樹脂組成物を、片方の被着体の表面に
塗布し(塗布面積:25mm×25mm;塗布量:約8
0g/m2)、直ちに他方の被着体を貼り合わせて固定
し、温度:23℃、湿度:55%RHの条件下で7日間
養生した後、引張せん断試験(JIS K 6850に
準じる)を行って、接着強さの測定を行い、下記の評価
基準により接着性を評価した。 (評価基準) ○:接着強度が2N/mm2以上である ×:接着強度が2N/mm2未満である
【0121】[ダンベル物性の評価方法]前記貯蔵安定
性の評価を行った1液型のエポキシ系水性樹脂組成物
を、乾燥後の厚みが2mmとなるように塗布し、23
℃、50%RHで7日間養生した。その後、JIS K
6251に準じ2号ダンベルを用いて引っ張り強さ及び
伸びを測定し、下記の基準により引っ張り強さ及び伸び
を評価した。 (引っ張り強度の評価基準) ○:引っ張り強度が10N/mm2以上である ×:引っ張り強度が10N/mm2未満である (伸びの評価基準) ○:伸びが300%以上である ×:伸びが300%未満である
【0122】表1及び2より、実施例に係る1液型のエ
ポキシ系水性樹脂組成物は、50℃で60日という過酷
な条件であっても、ゲル化や硬化などの変化が生じず、
貯蔵安定性が優れている。そのため、例えば、室温であ
れば、より一層長期間にわたり優れた安定性を発揮し続
けることが可能である。また、接着性(密着性)、強靱
性も良好である。しかも、1液型であるので、接着剤と
して使用する際には、他の成分と混合する必要がなく、
塗布作業性が優れている。
【0123】一方、比較例1に係るエポキシ系水性樹脂
組成物は、エポキシ化率が80%と高いため、貯蔵安定
性が低く、貯蔵中にエポキシ基同士の反応が生じたため
かゲル化が生じている。また、比較例2に係るエポキシ
系水性樹脂組成物は、エポキシ化率が5%と低いため、
貯蔵安定性が低く、イソシアネート基同士の反応が生じ
たためかゲル化が生じている。そのため、比較例に係る
エポキシ系水性樹脂組成物については、接着性や、引っ
張り強度及び伸びを測定することができなかった。
【0124】(コーティング剤としての評価)実施例1
〜7に係るエポキシ系水性樹脂組成物を樹脂分が30%
になるように脱イオン水で希釈し、水性コーティング剤
とした。この水性コーティング剤について、下記の付着
性の評価を行って、水性コーティング剤の付着性を評価
した。なお、評価結果は表1〜2に併記した。
【0125】[付着性の評価方法] (碁盤目テープ法:JIS K 5400に準拠)実施
例1〜7に係る水性コーティング剤をコンクリート板ま
たは鋼板の一方の面にアプリケーターを用いて乾燥後の
膜厚が30μmとなるように塗布し、室温(23℃、6
5%RH)で7日間乾燥させて、コンクリート板または
鋼板上にコーティング層を形成させて、試験片(コーテ
ィング層を有するコンクリート板または鋼板)を作製し
た。試験片のうち、コーティング層を有するコンクリー
ト板または鋼板に、コーティング層の表面上に1mm間
隔で碁盤目状(10×10個)の切り傷を付けた後、碁
盤目状に切り傷を有するコーティング層の表面上(塗膜
表面)にセロハン粘着テープ(JIS Z 1522に
規定)を貼り付けて、手指で押さえて密着させてからテ
ープを引きはがし、コンクリート板または鋼板に塗膜が
付着したままの升目の数を数えて、各水性コーティング
剤の付着性(密着性)を、下記の基準により評価した。 (評価基準) ○:全升目で塗膜が付着している(100%塗膜付着) ×:全升目のうち1%以上の升目で、塗膜がコンクリー
ト板または鋼板との界面で剥離している
【0126】実施例に係るエポキシ系水性樹脂組成物を
1液型のエポキシ系水性コーティング剤として用いた場
合、そのコーティング層の付着性は良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 163/00 C09D 163/00 175/04 175/04 C09J 163/00 C09J 163/00 175/04 175/04 Fターム(参考) 4J002 CK021 DE056 DE076 DE226 DE236 EG026 EN026 EN036 EN066 EU046 EU076 EU236 GH00 GJ01 4J034 BA05 BA07 BA08 CA01 CA03 CA04 CA05 DA01 DB03 DB04 DF01 DF02 DF19 DF20 DG03 DG04 DG05 DP12 DP18 DP19 FB01 FC02 FC03 FC04 FD01 FD03 GA01 GA05 HA01 HA07 HC01 HC12 HC16 HC17 HC61 HC63 HC64 KA01 LA07 LA32 MA03 MA14 RA07 RA08 4J038 DB481 DG291 MA08 4J040 EC401 EF321

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分、(B)成分及び(C)
    成分からなる1液型のエポキシ系水性樹脂組成物。 (A)アニオン性基非含有で且つ複数のイソシアネート
    反応性基を含有する化合物(A1-a)、アニオン性基及び
    複数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-
    b)及びポリイソシアネート化合物(A1-c)の反応によ
    り得られるアニオン性基含有ウレタン系プレポリマー
    (A1)と、エポキシ基を1つ以上含有し且つイソシアネ
    ート反応性基を1つ以上含有するイソシアネート反応性
    基含有エポキシ化合物(A2)とを、前記アニオン性基含
    有ウレタン系プレポリマー(A1)の末端がイソシアネー
    ト基からエポキシ基に変成されるエポキシ化率が10〜
    70モル%となるように反応させて得られる末端部分的
    エポキシ化ポリマーを、さらに鎖延長剤(A3)により鎖
    延長して得られるアニオン性基含有エポキシ基末端ポリ
    マー (B)塩基性化合物 (C)水
  2. 【請求項2】 鎖延長剤(A3)がアミン系鎖延長剤であ
    る請求項1記載の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 1液型のエポキシ系水性樹脂組成物が、
    アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)におけ
    るアニオン性基が塩基性化合物(B)により中和された
    水性エポキシ基末端ポリマーからなっている請求項1又
    は2記載の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アニオン性基がカルボキシル基である請
    求項1〜3の何れかの項に記載の1液型のエポキシ系水
    性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アニオン性基及び複数のイソシアネート
    反応性基を含有する化合物(A1-b)が、ジメチロールア
    ルカン酸である請求項1〜4の何れかの項に記載の1液
    型のエポキシ系水性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 塩基性化合物(B)の割合が、アニオン
    性基含有エポキシ基末端ポリマー(A)中のアニオン性
    基に対して50〜120モル%である請求項1〜5の何
    れかの項に記載の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリイソシアネート化合物(A1-c)と、
    アニオン性基非含有で且つ複数のイソシアネート反応性
    基を含有する化合物(A1-a)及びアニオン性基及び複数
    のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-b)と
    の割合が、[ポリイソシアネート化合物(A1-c)におけ
    るイソシアネート基]/[アニオン性基非含有で且つ複
    数のイソシアネート反応性基を含有する化合物(A1-a)
    及びアニオン性基及び複数のイソシアネート反応性基を
    含有する化合物(A1-b)におけるイソシアネート反応性
    基](当量比)が1より大きく2.0以下となるような
    割合である請求項1〜6の何れかの項に記載の1液型の
    エポキシ系水性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 アニオン性基含有エポキシ基末端ポリマ
    ー(A)中のアニオン性基の含有量が、0.2〜4.0
    質量%である請求項1〜7の何れかの項に記載の1液型
    のエポキシ系水性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記請求項1〜8の何れかの項に記載の
    1液型のエポキシ系水性樹脂組成物を含有することを特
    徴とする1液型のエポキシ系水性接着剤。
  10. 【請求項10】 前記請求項1〜8の何れかの項に記載
    の1液型のエポキシ系水性樹脂組成物を含有することを
    特徴とする1液型のエポキシ系水性コーティング剤。
JP2002032425A 2002-02-08 2002-02-08 1液型のエポキシ系水性樹脂組成物、および該水性樹脂組成物を含有する1液型のエポキシ系水性接着剤及び水性コーティング剤 Pending JP2003231733A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010506008A (ja) * 2006-10-05 2010-02-25 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド ガラス結合用プライマー組成物
JP2015115296A (ja) * 2013-12-16 2015-06-22 三洋化成工業株式会社 負極用結着剤
JP2017171782A (ja) * 2016-03-24 2017-09-28 第一工業製薬株式会社 水性組成物およびコーティング剤

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