JP4860073B2 - シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物及び該水性組成物を含有する水性接着剤並びに水性コーティング剤 - Google Patents
シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物及び該水性組成物を含有する水性接着剤並びに水性コーティング剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物及びシリル化ウレタン系速硬化型水性接着剤並びにシリル化ウレタン系速硬化型水性コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水性接着剤は、硬化の律速段階が、水性接着剤中に含まれる水の蒸発速度と大きく関係しており、通常の使用形態では、水の蒸発には時間を要するので、初期の接着強さが低い。そのため、水性接着剤としては、使用時において、貼り合わせた後、有効な接着強さが発現するまで、養生または仮押さえする時間を必要としており、作業性に優れていない。なお、速乾型の水性接着剤も知られているが、このような従来の速乾型の水性接着剤は、高固形分化により若干硬化速度を速めているに過ぎない。
【0003】
また、反応型の水性接着剤として、本発明者らは先に水性シリル化ウレタン系接着剤を開発した。この水性シリル化ウレタン系接着剤は、水の蒸発とともに、架橋反応が生じて硬化する水性接着剤であり、非反応型の水性接着剤に比べ、硬化速度が速い。しかしながら、この水性シリル化ウレタン系接着剤であっても、優れた作業性を与えるほど硬化速度が十分に速いとは言い難い。そのため、より一層硬化速度が速く、初期の接着強さが大きく、養生や、仮押さえの時間が短く、作業性に優れた各種被着材に対する接着性及び耐水性が良好な水性接着剤の開発が望まれている。また、常温で架橋させて硬化させることができるものが好ましい。
【0004】
さらにまた、より一層硬化速度が速く、初期の付着性が良好で、養生などに要する時間が短く、作業性に優れた各種被着材に対する付着性及び耐水性が良好な水性塗料等の水性コーティング剤などの開発も望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、硬化速度が速く、初期の密着性が高く、硬化に際して養生や仮押さえに要する時間が短く、優れた作業性を付与することができ、各種被着材に対する密着性および耐水性が優れた速硬化型水性組成物及び速硬化型水性接着剤並びに速硬化型水性コーティング剤を提供することにある
本発明の他の目的は、さらに、常温で架橋する速硬化型水性組成物及び速硬化型水性接着剤並びに速硬化型水性コーティング剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、硬化速度が極めて速く、しかも高い密着性を発現し、さらに、該シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を接着剤やコーティング剤等として用いると、養生や仮押さえ等に要する時間が短く、優れた作業性を発揮することができ、さらにまた各種被着材(被着体)に対する優れた密着性及び良好な耐水性を発揮することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなるシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物である。
(A)アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)、ポリイソシアネート化合物(A3)、第1級アミノ基を1つのみ有するアミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)と、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)とのマイケル付加反応により得られる第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)、およびアミン系鎖延長剤(A5)を反応して得られるアニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー
(B)塩基性化合物
(C)水
【0008】
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物において、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)が、アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)及びポリイソシアネート化合物(A3)の反応により得られるアニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)との反応により、前記アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基が部分的にアルコキシシリル化されて得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを、さらにアミン系鎖延長剤(A5)により、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマー中の残存しているイソシアネート基と、前記アミン系鎖延長剤(A5)のアミノ基とを反応させて鎖延長したアルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーであってもよい。
【0009】
このような速硬化型水性組成物としては、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物が、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により中和され、且つ末端のアルコキシシリル基が水(C)により加水分解された水性シラノール化ウレタンプレポリマー組成物からなっていることが好適である。
【0010】
また、本発明では、第1級アミノ基を1つのみ有するアミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)としては、下記式(1)で表されるアミノアルキルアルコキシシラン
【化2】
(式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3は、アルキレン基を示す。また、mは1〜3の整数である。)
が好ましく、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)としては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルが好ましい。
【0011】
さらにまた、アニオン性基としてはカルボキシル基であることが好ましい。アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)としては、ジメチロールアルカン酸であることが好ましい。
塩基性化合物(B)の割合としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基に対して50〜120モル%が好ましい。
ポリイソシアネート(A3)と、ポリオール(A1)及びポリオール(A2)との割合としては、ポリイソシアネート(A3)におけるイソシアネート基/ポリオール(A1)及びポリオール(A2)におけるヒドロキシル基(NCO/OH)(当量比)が1より大きく2.0以下となるような割合であることが好ましい。
アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基の含有量としては、0.2〜3.0質量%が好ましい。
アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のケイ素原子の含有量としては、0.05〜1.0質量%が好ましい。
第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)としては、上記式(4)(式中、R 1 、R 2 は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R 3 は、アルキレン基を示す。R 4 、R 6 、R 7 は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、R 5 はアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。)で表される化合物が好ましい。
【0012】
なお、本発明には、前記シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を含有するシリル化ウレタン系速硬化型水性接着剤やシリル化ウレタン系速硬化型水性コーティング剤も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物において、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)は、アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)、ポリイソシアネート化合物(A3)、第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)、およびアミン系鎖延長剤(A5)の反応により得られる。
【0014】
[アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)]
アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)(以下、「ポリオール(A1)」と称する場合がある)は、分子内にアニオン性基を有しておらず、かつ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリオール(A1)としては、例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオール、ヒマシ油などが挙げられる。ポリオール(A1)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0015】
ポリオール(A1)において、多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、ソルビトールなどが含まれる。
【0016】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコールの他、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などのモノマー成分として複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体などが挙げられる。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などを用いることができる。多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物において、多価アルコールとしては、前記例示の多価アルコールを用いることができる。一方、多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
【0018】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。具体的には、多価アルコールとホスゲンとの反応物において、多価アルコールとしては、前記例示の多価アルコールを用いることができる。また、環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0019】
ポリオレフィンポリオールは、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールである。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい。
【0020】
ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリレートを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールである。(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルなど]が好適に用いられる。
【0021】
なお、ポリオレフィンポリオールやポリアクリルポリオールにおいて、分子内にヒドロキシル基を導入するために、オレフィンや(メタ)アクリレートの共重合成分として、ヒドロキシル基を有するα,β−不飽和化合物[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなど]を用いることができる。
【0022】
ポリオール(A1)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを好適に用いることができる。
【0023】
なお、本発明では、ポリオール(A1)とともに、アニオン性基を有していないポリチオール化合物や、アニオン性基を有していないポリアミン化合物を併用することができる。
【0024】
[アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)]
アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)(以下、「ポリオール(A2)」と称する場合がある)は、分子内に少なくとも1つのアニオン性基を有しており、かつ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリオール(A2)において、アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホ基を好適に用いることができ、中でもカルボキシル基が最適である。ポリオール(A2)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
ポリオール(A2)としては、例えば、前記ポリオール(A1)の項で例示のポリオールにカルボキシル基が導入されたカルボキシル基含有ポリオールなどが挙げられる。本発明では、ポリオール(A2)としては、アニオン性基を有する低分子量のポリオールが好ましく、特に、下記式(2)で表されるポリヒドロキシカルボン酸を好適に用いることができる。
(HO)XL(COOH)Y (2)
(但し、式(2)において、Lは炭素数1〜12の炭化水素部位を示す。Xは2以上の整数であり、Yは1以上の整数である。)
【0026】
前記式(2)において、Lの炭化水素部位としては、脂肪族炭化水素部位であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の形態のいずれであってもよい。また、X,Yは同一であってもよく、異なっていてもよい。2つ以上のヒドロキシル基は、同一の炭素原子に結合していてもよく、異なる炭素原子に結合していてもよい。さらに、Yが2以上である場合、2つ以上のカルボキシル基は、同一の炭素原子に結合していてもよく、異なる炭素原子に結合していてもよい。
【0027】
このようなポリヒドロキシカルボン酸としては、特に、ジメチロールアルカン酸(なかでも、2,2−ジメチロールアルカン酸)が好適である。ジメチロールアルカン酸としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸、2,2−ジメチロールノナン酸、2,2−ジメチロールデカン酸などが挙げられる。
【0028】
なお、本発明では、ポリオール(A2)とともに、アニオン性基を有するポリチオール化合物や、アニオン性基を有するポリアミン化合物を併用することができる。
【0029】
[ポリイソシアネート化合物(A3)]
ポリイソシアネート化合物(A3)(以下、「ポリイソシアネート(A3)」と称する場合がある)は、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート(A3)には、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート(A3)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0031】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0032】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0033】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】
ポリイソシアネート(A3)としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼンを好適に用いることができる。なお、ポリイソシアネート(A3)として、脂肪族ポリイソシアネートや芳香脂肪族ポリイソシアネートを用いると、変色の少ない樹脂を得ることができる。
【0035】
なお、本発明では、ポリイソシアネート(A3)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる
【0036】
また、本発明では、ポリイソシアネート(A3)とともに、ジイソチオシアネート系化合物(例えば、フェニルジイソチオシアネートなど)を併用することができる。
【0037】
[第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)]
第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)(以下、「アミノ基含有アルコキシシラン(A4)」と称する場合がある)は、第1級アミノ基を1つのみ有するアミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)(以下、「第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)」と称する場合がある)と芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)(以下、「芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)」と称する場合がある)との反応生成物である。アミノ基含有アルコキシシラン(A4)は、第2級アミノ基を1つ含有するとともに、分子内に少なくとも1つのアルコキシ基を有しており、且つ前記第2級アミノ基の窒素原子に芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)に由来するエステル結合を有する基が結合しているシラン化合物である。アミノ基含有アルコキシシラン(A4)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)としては、分子内に1つの第1級アミノ基(無置換アミノ基)を有しており、かつ分子内に少なくとも1つのアルコキシ基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基などのC1-4アルコキシ基を好適に用いることができる。さらに好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(なかでもメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。このようなアルコキシ基は、通常、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)のケイ素原子に結合しており、その数は、通常、1〜3個(好ましくは2又は3個)である。なお、アルコキシ基は単独で又は2種以上組み合わせられていてもよい。すなわち、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)のケイ素原子には、同一のアルコキシ基が結合されていてもよく、異なるアルコキシ基が2種以上組み合わせられて結合されていてもよい。
【0039】
第1級アミノ基は、ケイ素原子に直接結合していてもよいが、2価の基を介して結合していることが好ましい。このような2価の基としては、例えば、アルキレン基、アリレン基、アルキレン−アリレン基、アルキレン−アリレン−アルキレン基等の炭化水素基のみにより構成される2価の炭化水素基;アルキレン−オキシ−アルキレン基、アルキレン−カルボニル−オキシ−アルキレン基、アルキレン−オキシ−カルボニル−アルキレン基、アルキレン−ポリ(オキシアルキレン)基等の炭化水素基と他の基(オキシ基、カルボニル−オキシ基など)との種々の組み合わせにより構成される各種の2価の基などが挙げられる。従って、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)は、例えば、アミノアルキル基の形態としてアミノ基を含有していてもよい。このようなアミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、1−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基等のアミノ−C1-3アルキル基などが挙げられる。
【0040】
本発明では、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)としては、下記式(1)で表されるアミノ基含有アルコキシシランを好適に用いることができる。
【化3】
(式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3は、アルキレン基を示す。また、mは1〜3の整数である。)
【0041】
前記式(1)において、R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4程度のアルキル基が好適である。また、R2のアルキル基としては、R1のアルキル基と同様のアルキル基を用いることができるが、メチル基やエチル基が好ましい。R3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜3程度のアルキレン基が好適である。また、mは1〜3の整数である。
【0042】
さらに具体的には、前記式(1)で表されるアミノ基含有アルコキシシランとしては、例えば、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリプロポキシシラン、β−アミノエチルトリイソプロポキシシラン、β−アミノエチルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン等のアミノアルキルトリアルコキシシラン;β−アミノエチルメチルジメトキシシラン、β−アミノエチルメチルジエトキシシラン、β−アミノエチルメチルジプロポキシシラン、β−アミノエチルメチルジイソプロポキシシラン、β−アミノエチルメチルジブトキシシラン、β−アミノエチルエチルジメトキシシラン、β−アミノエチルエチルジエトキシシラン、β−アミノエチルエチルジプロポキシシラン、β−アミノエチルエチルジイソプロポキシシラン、β−アミノエチルエチルジブトキシシラン、β−アミノエチルプロピルジメトキシシラン、β−アミノエチルプロピルジエトキシシラン、β−アミノエチルプロピルジプロポキシシラン、β−アミノエチルプロピルジイソプロポキシシラン、β−アミノエチルプロピルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジプロポキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルエチルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルプロピルジプロポキシシラン、γ−アミノプロピルプロピルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルプロピルジブトキシシラン等の(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシランや、これらに対応するアミノアルキルジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0043】
本発明では、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)としては、反応のし易さ、広く市販され入手のし易さなどの点から、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランを好適に用いることができる。
【0044】
また、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)としては、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のカルボン酸基(カルボキシル基)がエステルの形態となっている化合物であれば、特に制限されない。芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
前記芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)としては、炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子に直接カルボキシル基又はそのエステル(例えば、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)が結合している化合物が好適である。このような化合物としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、2−ブテン酸エステル、3−メチル−2−ブテン酸エステル、2−ペンテン酸エステル、2−オクテン酸エステル等を用いることができる。
【0046】
芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)において、エステル部位としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル等の脂肪族炭化水素によるエステル(アルキルエステルなど);シクロヘキシルエステル、イソボルニルエステル、ボルニルエステル、ジシクロペンタジエニルエステル、ジシクロペンタニルエステル、ジシクロペンテニルエステル、トリシクロデカニルエステル等の脂環式炭化水素によるエステル(シクロアルキルエステルなど);フェニルエステル、ベンジルエステル等の芳香族炭化水素によるエステル(アリールエステルなど)などが挙げられる。
【0047】
芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)としては、前記例示の芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステルの中でもアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(以下、これらを「(メタ)アクリル酸エステル」と総称する場合がある)を好適に用いることができる。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
【0048】
第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)と芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)との反応生成物[アミノ基含有アルコキシシラン(A4)]としては、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)の炭素−炭素二重結合におけるβ位の炭素原子が、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)おける第1級アミノ基の窒素原子に少なくとも結合した化合物等が挙げられる。すなわち、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)は、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)におけるアミノ基の窒素原子が、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)の不飽和結合(炭素−炭素二重結合)に対してマイケル付加反応を行うことにより得られる化合物である。なお、該反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。また、反応に際しては加熱や加圧を行ってもよい。
【0049】
具体的には、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)としては、例えば、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)が前記式(1)で表される第1級アミノ基を有しているアミノ基含有アルコキシシランであり、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)が下記式(3)で表される芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステルである場合、下記式(4)で表すことができる。
【0050】
【化4】
(式(3)において、R4、R6、R7は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。R5はアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基を示す。)
【0051】
【化5】
(式(4)において、R1〜R7およびmは前記に同じ。)
【0052】
前記式(3)、(4)において、R1〜R3およびmは前記と同様である。また、R4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜2程度のアルキル基などが挙げられる。R5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基が挙げられる。また、R5のアリール基としては、フェニル基が挙げられ、R5のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基などが挙げられる。R6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6程度のアルキル基が挙げられる。さらにまた、R7のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜2程度のアルキル基などが挙げられる。
【0053】
[アミン系鎖延長剤(A5)]
アミン系鎖延長剤(A5)としては、分子内に第3級アミノ基(ジ置換アミノ基)以外のアミノ基(第1級アミノ基や第2級アミノ基など)を1つ有するアミン系化合物であってもよいが、分子内に第3級アミノ基以外のアミノ基を複数有するポリアミンを好適に用いることができる。このようなポリアミンの分子内における第3級アミノ基以外のアミノ基(官能性アミノ基)の数は、少なくとも2つであれば特に制限されないが、例えば、2〜6(好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3)の範囲から選択することができる。アミン系鎖延長剤(A5)には、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、ヒドラジン及びその誘導体などが含まれる。アミン系鎖延長剤(A5)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
具体的には、アミン系鎖延長剤(A5)において、脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、2,3−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンの他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。
【0055】
脂環式ポリアミンとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−4−アミノメチルシクロヘキサン、1−アミノ−1−メチル−3−アミノメチルシクロヘキサン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−メチル−シクロヘキシルアミン)、メチル−2,3−シクロヘキサンジアミン、メチル−2,4−シクロヘキサンジアミン、メチル−2,6−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環式ジアミンなどが挙げられる。
【0056】
芳香族ポリアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、4,4´−ジフェニルジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジアミン、2,4´−ジフェニルメタンジアミン、4,4´−ジフェニルエ−テルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジアミン、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジアミン、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジアミン、4,4´−ジフェニルプロパンジアミン、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジアミン等の芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0057】
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、α,α,α´,α´−テトラメチル−1,3−キシリレンジアミン、α,α,α´,α´−テトラメチル−1,4−キシリレンジアミン、ω,ω´−ジアミノ−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−アミノ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルアミノメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0058】
ヒドラジン及びその誘導体としては、例えば、ヒドラジンや、ジヒドラジド系化合物などが挙げられる。ジヒドラジド系化合物には、例えば、カルボジヒドラジド(カルボヒドラジド)、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどの脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジド類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドなどの芳香族ジカルボン酸ジヒドラジド類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジドなどの脂環式ジカルボン酸ジヒドラジド類などが含まれる。
【0059】
アミン系鎖延長剤(A5)としては、エチレンジアミン、1,3−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4´−メチレンビス(3−メチル−シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−キシリレンジアミン等の脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族ポリアミンや、ヒドラジン、カルボジヒドラジド等のヒドラジン及びその誘導体を好適に用いることができる。
【0060】
[アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)]
前述のように、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)は、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)、ポリイソシアネート(A3)、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)、およびアミン系鎖延長剤(A5)の反応生成物であり、分子内にポリオール(A2)に由来するアニオン性基と、主鎖の末端にアミノ基含有アルコキシシラン(A4)に由来するアルコキシシリル基とを有し、さらに、ポリイソシアネート(A3)に由来するイソシアネート基とアミン系鎖延長剤(A5)のアミノ基との反応による尿素結合部位を有するウレタンプレポリマーである。さらに、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)は、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)に由来するエステル基(エステル結合を有する基)を有している。アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)としては、例えば、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)及びポリイソシアネート(A3)の反応生成物であるアニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)との反応により、前記アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基が部分的にアルコキシシリル化されて得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを、さらにアミン系鎖延長剤(A5)により、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマー中の残存しているイソシアネート基と、前記アミン系鎖延長剤(A5)のアミノ基とを反応させて鎖延長したアルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーが好ましい。
【0061】
より具体的には、前記アニオン性基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)及びポリイソシアネート(A3)の反応生成物であり、該反応は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを調製する公知乃至慣用の方法に準じて行うことができる。該アニオン性基含有ウレタンプレポリマーとしては、末端がイソシアネート基となっているものが好ましい。なお、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)及びポリイソシアネート(A3)を混合又は反応する際には、反応促進のために重合触媒を用いることができる。また、反応又は混合は溶媒中で行うことができる。
【0062】
また、アニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)との反応は、両者を混合し、必要に応じて加熱することにより行うことができる。該反応により、前記アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基が部分的にアルコキシシリル化されて、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを調製することができる。なお、末端のイソシアネート基を部分的にアルコキシル化する割合は特に制限されないが、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のケイ素原子の含有量が0.05〜1.0質量%となるような割合であることが好ましい。この混合又は反応に際しては、前述のように重合触媒を加えることができる。重合触媒としては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際に用いられる公知乃至慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いることができる。より具体的には、重合触媒としては、有機錫化合物、金属錯体、アミン化合物などの塩基性化合物、有機燐酸化合物などが挙げられる。有機錫化合物には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジブチル錫フタレート、オクチル酸第一錫、ジブチル錫メトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、ジブチル錫ジバーサテートなどが含まれる。また、金属錯体としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート等のチタネート化合物類;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸金属塩;アルミニウムアセチルアセトナート錯体、バナジウムアセチルアセトナート錯体等の金属アセチルアセトナート錯体などが挙げられる。さらに、アミン化合物等の塩基性化合物には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類;三共エアプロダクツ社製の商品名「DABCO」シリーズや「DABCO BL」シリーズ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等の複数の窒素原子を含む直鎖或いは環状の第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などが含まれる。さらにまた、有機燐酸化合物としては、モノメチル燐酸、ジ−n−ブチル燐酸、燐酸トリフェニル等が挙げられる。また、混合又は反応に際しては溶媒を用いることができる。
【0063】
さらに、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミン系鎖延長剤(A5)との反応は、両者を混合し、必要に応じて加熱することにより行うことができる。該反応により、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマー中の残存している末端のイソシアネート基と、前記アミン系鎖延長剤(A5)のアミノ基とが反応して、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーが鎖延長されて、アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーであるアニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)を調製することができる。この混合又は反応に際しては、前述と同様に重合触媒を加えることができる。重合触媒としては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際に用いられる公知乃至慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いることができる。
【0064】
特に、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミン系鎖延長剤(A5)との混合又は反応は、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの水(C)への分散前、分散中または分散後のいずれであってもよいが、分散中又は分散後が好ましい。すなわち、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを水(C)に分散させる際に、アミン系鎖延長剤(A5)を水(C)とともに添加するか、又は水(C)に分散させた後に、アミン系鎖延長剤(A5)を添加して混合して、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミン系鎖延長剤(A5)とを反応させることが好ましい。
【0065】
このようにして、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)が調製されうる。なお、これらの混合に際しては、各成分の混合順序は問わない。しかし、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)を効率よく得るためには、まず、ポリオール(A1)及びポリオール(A2)の混合物に、ポリイソシアネート(A3)を加え、さらに必要に応じて重合触媒を加えて反応させて、アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを調製した後に、該反応混合液にアミノ基含有アルコキシシラン(A4)を加えて反応させることにより、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを調製し、さらにその後に、アミン系鎖延長剤(A5)を水(C)とともに加えて、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを水に分散させる際に、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーをアミン系鎖延長剤(A5)により鎖延長させて、アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを調製することが好ましい。
【0066】
本発明において、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)、ポリイソシアネート(A3)、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)、アミン系鎖延長剤(A5)の各成分の割合は特に制限されない。例えば、ポリイソシアネート(A3)と、ポリオール(A1)及びポリオール(A2)との割合としては、ポリイソシアネート(A3)におけるイソシアネート基/ポリオール(A1)及びポリオール(A2)におけるヒドロキシル基(NCO/OH)(当量比)が、1より大きく2.0以下(好ましくは1.02〜1.5、さらに好ましくは1.05〜1.4)となるような範囲から選択することができる。該NCO/OHの比が大きすぎると(例えば、2.0(当量比)を越えると)、鎖延長する際の反応(架橋反応)の制御が困難になり、分散性が低下する。一方、該NCO/OHの比が小さすぎると(例えば、1以下(当量比)であると)、鎖延長とシリル基導入が充分にできなくなり、耐水性が低下し、さらに硬化速度も遅くなる。
【0067】
あるいは、ポリイソシアネート(A3)は、アニオン性基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の含有量が、0.3〜7.0質量%(好ましくは0.4〜4.0質量%、さらに好ましくは0.5〜3.0質量%)となるような割合で含まれていることが好ましい。イソシアネート基の含有量は、多すぎると(例えば、7.0質量%を越えると)、鎖延長する際の反応(架橋反応)の制御が困難になり、分散性が低下する。一方、イソシアネート基の含有量が、少なすぎると(例えば、0.3質量%未満であると)、鎖延長とシリル基導入が充分にできなくなり、耐水性が低下し、さらに硬化速度も遅くなる。
【0068】
また、ポリオール(A2)は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基の含有量が、0.2〜3.0質量%(好ましくは0.5〜2.5質量%、さらに好ましくは0.8〜2.0質量%)となるような割合で含まれていることが好ましい。該アニオン性基の含有量が多すぎると(例えば、3.0質量%を越えると)、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、硬化後の耐水性も低下する。一方、該アニオン性基の含有量が少なすぎると(例えば、0.2質量%未満であると)、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物中の樹脂成分の分散安定性が低下する。
【0069】
さらにまた、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のケイ素原子の含有量が、0.05〜1.0質量%(好ましくは0.1〜0.8質量%、さらに好ましくは0.2〜0.7質量%)となるような割合で含まれていることが好ましい。該ケイ素含有量が多すぎると(例えば、1.0質量%を越えると)、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物の安定性が低下し、一方、少なすぎると(例えば、0.05質量%未満であると)、硬化速度が低下して、十分に速い硬化速度が得られなくなる。
【0070】
アミノ基含有アルコキシシラン(A4)において、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)の使用量は、第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)に芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)を作用させてなるアミノ基含有アルコキシシランが、少なくとも第2級アミノ基を1つ残す量であることが望ましい。例えば、前記第1アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)における第1級アミノ基1モルに対して0.8〜2モル程度の範囲から選択することができる。なお、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)は、少なくとも第2級アミノ基が残存するような条件で反応させて用いることができる。
【0071】
さらに、アミン系鎖延長剤(A5)の使用量は、アニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)との反応により得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーにおける末端のイソシアネート基(アルコキシシリル化されずに残存している末端のイソシアネート基)と当量であることが好ましいが、例えば、該イソシアネート基1当量に対して0.8〜1当量の範囲から選択してもよい。
【0072】
[塩基性化合物(B)]
塩基性化合物(B)としては、塩基性無機化合物であってもよく、塩基性有機化合物であってもよい。塩基性化合物(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。塩基性無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩などのアルカリ金属化合物や、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩などのアルカリ土類金属化合物の他、アンモニアを好適に用いることができる。
【0073】
一方、塩基性有機化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、塩基性含窒素複素環化合物などのアミン系化合物を好適に用いることができる。脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリs−ブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミンなどのトリアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのジアルキルアミン;メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミンなどのモノアルキルアミン;トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、トリイソペンタノールアミン、トリヘキサノールアミンなどのトリアルコールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミンなどのジアルコールアミン;メタノールアミン、エタノールアミンなどのモノアルコールアミンなどの他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。芳香族アミンには、例えば、N,N−ジメチルアニリンなどが含まれる。塩基性含窒素複素環化合物としては、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリジンなどの環状アミンの他、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、N−メチルモルホリンなどが挙げられる。
【0074】
本発明では、塩基性化合物(B)としては、アンモニアやアミン系化合物を好適に用いることができる。アミン系化合物の中でも、トリアルキルアミンやトリアルコールアミンなどの第三級アミン化合物が好適である。
【0075】
[水(C)]
本発明では、水(C)としては、イオン交換水や純水などを用いることができる。
【0076】
[シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物]
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)と、水(C)とからなっている。具体的には、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び水(C)の混合物であってもよく、該混合によりアニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)及び水(C)とが反応した反応生成物を含む反応組成物であってもよい。アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)との反応としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により部分的に又は全体的に中和される中和反応が挙げられる。すなわち、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)との反応により、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩となっている。
【0077】
一方、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、水(C)との反応としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)における末端のアルコキシシリル基が水(C)により加水分解される加水分解反応が挙げられる。すなわち、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、水(C)との反応により、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)における末端のアルコキシシリル基が部分的に又は全体的にシラノール基及び/又はシロキサン結合となっている。すなわち、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)における末端のアルコキシシリル基のうち少なくとも1つのアルコキシル基が水(C)との加水分解反応の影響を受けている。なお、シラノール基とは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するケイ素原子からなる基のことを意味しており、アルコキシ基などの置換基を有していてもよい。
【0078】
従って、前記アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)及び水(C)とが反応した反応生成物としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により中和されてアニオン性基の塩となっており、且つ末端のアルコキシシリル基が部分的に又は全体的に水(C)により加水分解されてシラノール基及び/又はシロキサン結合となっている水性シラノール化ウレタンプレポリマーが挙げられる。すなわち、本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物としては、前記水性シラノール化ウレタンプレポリマーを含む速硬化型の水性シリル化ウレタン系組成物であることが好ましい。
【0079】
このように、本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)と、塩基性化合物(B)と、水(C)とを混合して調製することができ、その混合の順序は特に制限されない。本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)に、塩基性化合物(B)及び水(C)を配合して、望ましくは激しい攪拌などを行って、中和反応や加水分解反応等の反応を促進させることにより、水溶液又は水分散液として、調製することができる。
【0080】
なお、本発明では、塩基性化合物(B)や水(C)は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)を調製する際に予め用いることができる。具体的には、例えば、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)及びポリイソシアネート(A3)の反応生成物と、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)とを反応させる際に、塩基性化合物(B)を加えることにより、塩基性化合物(B)の存在下、前記反応を行うことができる。
【0081】
また、水(C)は、例えば、ポリオール(A1)、ポリオール(A2)及びポリイソシアネート(A3)の反応生成物と、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)とを反応させて得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを、さらにアミン系鎖延長剤(A5)と反応させて鎖延長させる際に又はその前に、水(C)を加えることにより、末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの水への分散中又は分散後に、前記鎖延長の反応を行うことができる。
【0082】
本発明では、塩基性化合物(B)の使用量としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基に対して50〜120モル%(好ましくは80〜110モル%)程度の範囲から選択することができる。
【0083】
また、本発明では、水(C)の使用量としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して65〜900質量部(好ましくは100〜400質量部)程度の範囲から選択することができる。
【0084】
本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物において、その水酸基価(OHV)としては、特に制限されず、例えば、60〜400mg−KOH/g(好ましくは80〜350mg−KOH/g)程度の範囲から選択することができる。また、カルボキシル基などのアニオン性基の中和率は、特に制限されないが、例えば、80%以上(好ましくは90〜100%)であることが望ましい。さらにまた、樹脂分としては、特に制限されないが、例えば、10〜60質量%(好ましくは20〜50質量%)程度の範囲から選択することができる。
【0085】
なお、本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物としては、有機溶剤を全く含まない完全に水性であるシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物の形態であってもよい。なお、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物には、その水溶液又は水分散液の粘度調整等のために、ケトン類、低級アルコールなどの親水性の有機溶剤(水溶性有機溶剤)が含まれていてもよい。該有機溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。具体的には、ケトン類には、アセトンなどが含まれる。また、低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール。s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。また、水溶性有機溶剤としては、プロピレンカーボネート;ジメチルカーボネート;トリメチルホスフェート;ポリオキシエチレンのジエーテル、ジエステル或いはジアリルエーテル類;グリコールのジエーテル或いはジアセテート類;1,3−ジオキソラン;N−メチル−2−ピロリドンなどを用いることができる。このような有機溶剤の使用量としては、調整する粘度の大きさ等により適宜選択することができ、例えば、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0〜100質量部(好ましくは1〜50質量部)程度の範囲から選択することができる。
【0086】
また、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物には、濡れ性改質親水性溶剤が含まれていてもよい。該濡れ性改質親水性溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0087】
本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物には、充填材、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤(顔料や染料など)、防かび剤、濡れ促進剤、粘性改良剤、香料、各種タッキファイヤー(エマルジョンタッキファイヤーなど)、カップリング剤(チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など)、光硬化触媒、乳化剤、界面活性剤、エマルジョンやラテックス、架橋剤などの各種添加剤又は成分、溶剤などが含まれていてもよい。例えば、充填材としては、炭酸カルシウムや各種処理が施された炭酸カルシウム、フュームドシリカ、クレー、タルク、各種バルーン、ノイブルシリカ、カオリン、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。また、可塑剤には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族カルボン酸エステルなどが含まれる。タッキファイヤーとしては、例えば、安定化ロジンエステル、重合ロジンエステル、テルペンフェノール、石油系樹脂等のエマルジョンタッキファイヤーなどが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ポリエチレンイミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、コロイダルシリカなどを用いることができる。なお、溶剤としては、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び水(C)からなるシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物と相溶性がいいものであれば特に制限されず、いずれの溶剤を用いてもよい。
【0088】
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)、塩基性化合物(B)及び水(C)からなり、しかも、前記アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)が第1級アミノ基を1つのみ有するアミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)と、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)との反応により得られる第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)を用いて調製されているので、水中であるにもかかわらず、水性シラノール化ウレタンプレポリマーのシラノール基が非常に安定に存在している。この理由は定かではないが、系中に多量に存在する水分子により、シラノール基が保護されているために、シラノール基間の縮合反応が抑制又は防止され、安定性が高められていることが考えられる。また、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)に由来するアミノ基の窒素原子に結合している置換基(例えば、芳香環非含有不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル(A4-1b)に由来する長鎖の置換基又はそのエステル部位など)により、シラノール基が保護されているために、シラノール基間の縮合反応がより一層抑制又は防止されて、安定性がより一層高められていると思われる。しかも、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)に係る置換基(特に、長鎖の置換基又はエステル部位)としては、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)に由来する置換基であるので、不飽和脂肪族多価カルボン酸エステルや、芳香環を有する不飽和脂肪族カルボン酸のエステル等に由来する置換基とは異なって、置換基中のエステル結合部位や該エステル結合部位から末端にかけての部位の自由度が高くなっており、より一層優れたレベルでシラノール基を保護することが可能となっている。
【0089】
なお、アミノ基含有アルコキシシラン(A4)に由来する第2級アミノ基の窒素原子に結合し、且つシラノール基を保護している置換基としては、該置換基の主鎖を構成している原子(炭素原子や酸素原子など)の数が6以上(好ましくは8以上)である長鎖の置換基が挙げられる。
【0090】
また、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、系中の水が蒸発又は揮発等により乾燥して減少する条件下(例えば、開放面に塗布した場合など)では、素速く硬化する。しかも、この硬化する硬化速度の水の乾燥速度への依存性は小さく、特に、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を水性接着剤や水性コーティング剤(水性塗料など)として用いた場合、該水性接着剤や水性コーティング剤の硬化速度の水の乾燥速度に対する依存性は、従来の水性接着剤や水性コーティング剤よりも小さい。これは、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を塗布した後、該水性組成物中の水が蒸発して減少すると、水性組成物中の水性シラノール化ウレタンプレポリマーにおけるシラノール基が縮合反応を起こすことにより、硬化(架橋)が生じるからである。すなわち、水性組成物中の水性シラノール化ウレタンプレポリマーにおけるシラノール基の縮合反応が、主として硬化に関与しているためであると思われる。
【0091】
また、水の減少により架橋反応が進行しており、この架橋反応は水がある程度存在していても進行し、水を保持したままでも、凝集力を発現することが可能である。
【0092】
さらに、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)は、アミン系鎖延長剤により鎖延長されているので、尿素結合を分子内に(特に、分子鎖の中央部分又はその付近に)有しており、凝集力が非常に高まっている。
【0093】
従って、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、硬化速度が極めて速く、優れた速硬化性を有しており、初期の密着性が高くなっている。
【0094】
さらにまた、硬化速度が速く、初期の密着性が高くなっていることには、水性化するために水性シラノール化ウレタンプレポリマーの分子内に導入されたイオンセンター(カルボン酸塩等のアニオン性基の塩)が、シラノール基間における縮合反応の促進触媒として機能していることも関係していると思われる。
【0095】
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、水性接着剤(例えば、自動車内装用接着剤、各種車両用接着剤(例えば、電車等の車両に用いられる接着剤)、建築内装工事用接着剤、建材用接着剤、電気・電子部品用接着剤、家具用接着剤、家庭用接着剤など)、水性コーティング剤(例えば、水性塗料、水性トップコート剤、水性フロアポリッシュなど)の他、バインダ(例えば、水性インキ、顔料プリント、セラミック材料、不織布、繊維収束剤、ゴム、木粉等におけるバインダ)、ラミネート、シーラー、プライマー、サイジング剤、シーリング材等として用いることができる。このように、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、幅広い基材に対して密着性を有しているとともに、速硬化性を有しているので、従来のウレタン系エマルジョンなどの他の水性樹脂組成物に比べて、作業時間を大幅に短縮することができる。また、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は低粘度であるので、優れた作業性で使用することができる。しかも、硬化させる際に、加熱を必要とせず、常温であっても硬化させることができる。
【0096】
特に本発明では、シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、水性接着剤や水性コーティング剤(水性塗料など)として好適に用いることができる。しかも、1液架橋型タイプの水性接着剤又は水性コーティング剤等とすることができる。特に、従来の水性接着剤や水性コーティング剤などとして市販されているものには若干有機溶剤が含まれているのが実情ではあるが、本発明におけるシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を含有する水性接着剤や水性コーティング剤などでは有機溶剤が全く含まれていなくてもよい。
【0097】
このようなシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を含有する水性接着剤や水性コーティング剤は、硬化速度が極めて速く、例えば、水性接着剤の場合、接着に際しての養生や仮押さえに要する時間が短く、被着体同士を接着させる作業性が良好であり、作業時間を大幅に短縮することができる。一方、水性コーティング剤の場合、塗布層(塗膜)の形成に際しての養生に要する時間が短く、この場合も、被塗布体に塗布層を形成させる作業性が良好であり、作業時間を大幅に短縮することができる。
【0098】
なお、水性接着剤として利用する場合は、被着体(適用基材)としては、少なくとも一方が多孔質であることが好ましい。また、水性コーティング剤として利用する場合は、塗布層を形成させる被塗布体(適用基材)は、特に制限されず、多孔質、非多孔質のいずれであってもよい。
【0099】
より具体的には、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、種々の用途(接着や塗膜形成など)において、例えば、各種プラスチック材料[例えば、ポリ塩化ビニル;ポリアミド(ナイロン);ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)等のスチレン系樹脂;ポリウレタン;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂など]、ゴム材料(例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴムなど)、金属材料(例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレスなど)、紙質材料(例えば、紙、紙類似物質など)、木質材料(例えば、木材、MDFなどの木質ボード、合板など)、繊維材料(例えば、不織布、織布など)、革材料、無機材料(例えば、石、コンクリートなど)、ガラス材料、磁器材料などの各種の基材に対して適用することができる。なお、これら基材に適用する際には、刷毛やローラー等による塗布、噴霧、浸漬等の方法を採用することができる。
【0100】
【発明の効果】
本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は、安定性が優れているだけでなく、硬化速度が極めて速く、しかも高い初期密着性を発現させることができる。また、硬化に際して養生や仮押さえに要する時間が短く又は必要とせず、各種用途で優れた作業性を発揮させることができる。さらに、水性接着剤や水性コーティング剤などとして幅広い用途で利用することができる。
【0101】
さらにまた、本発明のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物は水性であるので、人体や環境に対して優れた安全性を有しており、各種用途で安全に利用することができる。また、硬化後の耐水性及び耐熱性も優れている。
【0102】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。実施例及び比較例で用いた材料は下記の通りである。
【0103】
[アニオン性基非含有ポリオール化合物]
(1)商品名「プラクセル220EC」[ダイセル化学工業社製、ポリカーボネート系ジオール、数平均分子量:2000、水酸基価:56.1mg−KOH/g;「ポリオール(A1-1)」と称する場合がある]
(2)商品名「NS2471」[旭電化工業社製、ポリエステルジオール、数平均分子量:2000、水酸基価:56.1mg−KOH/g;「ポリオール(A1-2)」と称する場合がある]
(3)商品名「PTMG2000」[三菱化学社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量:2000、水酸基価:56.1mg−KOH/g;「ポリオール(A1-3)」と称する場合がある]
(4)商品名「スミフェン1600」[住化バイエルウレタン社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量:1000、水酸基価:112.2mg−KOH/g;「ポリオール(A1-4)」と称する場合がある]
(5)商品名「NS5400」[旭電化工業社製、ポリエステルジオール、数平均分子量:5000、水酸基価:22.4mg−KOH/g;「ポリオール(A1-5)」と称する場合がある]
(6)1,4−ブタンジオール[「ポリオール(A1-6)」と称する場合がある]
【0104】
[アニオン性基含有ポリオール化合物]
(1)2,2−ジメチロールブタン酸[水酸基価:758.1mg−KOH/g;「ポリオール(A2-1)」と称する場合がある]
【0105】
[ポリイソシアネート化合物]
(1)イソホロンジイソシアネート[イソシアネート含有率(NCO含有率):37.8%、IPDI;「ポリイソシアネート(A3-1)」と称する場合がある]
【0106】
[アミノ基含有アルコキシシラン化合物]
(1)商品名「KBM903」[信越化学工業社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン]:1モルに対して、2−エチルヘキシルアクリレート:1モルの割合で用い、混合して、50℃で7日間反応させて反応生成物[「アミノ基含有アルコキシシラン(A4-a)」と称する場合がある]を得た。
(2)商品名「KBM903」[信越化学工業社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン]:1モルに対して、n−ブチルアクリレート:1モルの割合で用い混合して、50℃で7日間反応させて反応生成物[「アミノ基含有アルコキシシラン(A4-b)」と称する場合がある]を得た。
(3)商品名「KBM903」[信越化学工業社製、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;「アミノ基含有アルコキシシラン(A4-c)」と称する場合がある]
【0107】
[鎖延長剤]
(1)エチレンジアミン[「鎖延長剤(A5-1)」と称する場合がある]
(2)1,6−ヘキサメチレンジアミン[「鎖延長剤(A5-2)」と称する場合がある]
(3)イソホロンジアミン[「鎖延長剤(A5-3)」と称する場合がある]
(4)エチレングリコール[「鎖延長剤(A5-4)」と称する場合がある]
【0108】
[塩基性化合物]
(1)トリエチルアミン
【0109】
[水]
(1)イオン交換水(脱イオン水)
【0110】
(実施例1)
窒素導入管、温度計、コンデンサー及び撹拌装置の付いた4つ口フラスコに、ポリオール(A1-1):100部、ポリオール(A1-6):6部、ポリオール(A2-1):8部、ポリイソシアネート(A3-1):46.4部及びアセトン:100部を配合し、75〜80℃の温度で窒素気流下6時間反応を行い、残存イソシアネート基が2.0%のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
次に、このカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの反応混合物全量に、アミノ基含有アルコキシシラン(A4-a):11.1部を配合して混合した後、75〜80℃の温度で窒素気流下1時間反応を行い、カルボキシル基含有イソシアネート基及びアルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
さらに、このカルボキシル基含有イソシアネート基及びアルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を40℃まで冷却した後、トリエチルアミン:5.5部を配合し、高速攪拌下、予め鎖延長剤(A5-1):1.38部を脱イオン水に溶解した水溶液を加えて、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(カルボキシル基は塩の形態を有していてもよい)を含有している分散液を得た。この分散液を減圧下、45〜50℃でアセトンを留去した後、脱イオン水により固形分を42%に調整した水性シラノール化ウレタン樹脂組成物を得た。
【0111】
(実施例2〜13)
表1又は2に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜13に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物を得た。
【0112】
(比較例1)
実施例1と同様の反応装置に、ポリオール(A1-1):100部、ポリオール(A1-6):6部、ポリオール(A2-1):8部、ポリイソシアネート(A3-1):46.4部及びアセトン:100部を配合し、75〜80℃の温度で窒素気流下6時間反応を行い、残存イソシアネート基が2.0%のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
次に、このカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの反応混合物全量に、アミノ基含有アルコキシシラン(A4-a):27.8部を配合して混合した後、75〜80℃の温度で窒素気流下1時間反応を行って、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
さらに、このカルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を40℃まで冷却した後、トリエチルアミン:5.5部を配合し、高速攪拌下、脱イオン水:267部を加えて、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(カルボキシル基は塩の形態を有していてもよい)を含有している分散液を得た。この分散液を減圧下、45〜50℃でアセトンを留去した後、脱イオン水により固形分を42%に調整し、鎖延長を行わずに、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物を得た。
【0113】
(比較例2〜3)
表3に示す組成としたこと以外は、比較例1と同様にして、それぞれ、比較例2〜3に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物とした。
【0114】
(比較例4)
実施例1と同様の反応装置に、ポリオール(A1-1):100部、ポリオール(A1-6):6部、ポリオール(A2-1):8部、ポリイソシアネート(A3-1):46.4部及びアセトン:100部を配合し、75〜80℃の温度で窒素気流下6時間反応を行い、残存イソシアネート基が2.0%のカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
次に、このカルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの反応混合物全量に、アミノ基含有アルコキシシラン(A4-a):11.1部、鎖延長剤(A5-4):1.42部を配合して混合した後、75〜80℃の温度で窒素気流下2時間反応を行い、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を得た。
さらに、このカルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を40℃まで冷却した後、トリエチルアミン:5.5部を配合し、高速攪拌下、脱イオン水を加えて、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(カルボキシル基は塩の形態を有していてもよい)を含有している分散液を得た。この分散液を減圧下、45〜50℃でアセトンを留去した後、脱イオン水により固形分を42%に調整した水性シラノール化ウレタン系樹脂組成物を得た。
【0115】
(比較例5)
表3に示す組成としたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例5に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物とした。
【0116】
(比較例6〜7)
表4に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、比較例6〜7に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物とした。
【0117】
(比較例8)
接着剤として、市販の酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤(商品名「ボンド木工用速乾」コニシ社製)を用いた。
【0118】
(比較例9)
接着剤として、市販の水性クロロプレン系接着剤(商品名「ボンド水性G」コニシ社製)を用いた。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
なお、表1〜4において、「OHV(mg−KOH/g)」は、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物の水酸基価(mg−KOH/g)を示している。「NCO/OH(当量比)」は、ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート基と、アニオン性基非含有ポリオール化合物及びアニオン性基含有ポリオール化合物におけるヒドロキシル基との割合(NCO/OH)(当量比)を示している。「NCOの割合(%)」は、カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基(NCO)の含有量(%)を示している。「カルボキシル基含有率(%)」は、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基(COOH)の含有率(%)を示している(なお、カルボキシル基が塩の形態となっている場合は、塩の形態を有していないものとみなしている)。「シリル化率(%)」は、カルボキシル基含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と、アミノ基含有アルコキシシラン化合物との反応率(%)を示している。「中和率(%)」は、カルボキシル基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基がトリエチルアミンにより中和されて塩となっている割合(%)を示している。「樹脂分(%)」は、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物中の水性シラノール化ウレタンプレポリマーの割合(%)を示している。「鎖延長剤架橋率(%)」は、カルボキシル基含有イソシアネート基及びアルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーにおける末端のイソシアネート基が鎖延長剤により鎖延長又は架橋された割合を示している(なお、比較例1〜3では、鎖延長をしていないので、鎖延長剤架橋率(%)は0%である)。「Si含有率(%)」は、水性シラノール化ウレタンプレポリマー中のケイ素原子(Si)の含有率(%)を示している。
【0124】
(接着剤としての評価)
実施例1〜13及び比較例1〜9に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物又は接着剤について、下記の初期接着強さの測定、貯蔵安定性の評価、耐水性の評価を行って、水性シラノール化ウレタン系樹脂組成物等の硬化速度、貯蔵安定性、耐水性を評価した。なお、評価結果は表1〜4に併記した。
さらに、実施例1及び2、比較例4に関しては、下記の被着体接着性試験を行って、プラスチックや金属等の被着体に対する接着性(密着性)を評価した。評価結果は表5に示した。
【0125】
[初期接着強さの測定方法]
被着体として、アサダ材/アサダ材(それぞれ、100mm×25mm×5mm)を用い、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物又は接着剤を片方の被着体の表面に塗布し(塗布量:約80g/m2)、直ちに他方の被着体を貼り合わせて固定し、温度:23℃、湿度:55%RHの条件下、所定の時間放置した後、引張せん断試験(JIS K 6850に準じる)を行って、初期接着強さの測定を行い、下記の評価基準により評価した。
(評価基準)
○:接着強度が0.5N/mm2以上である
△:接着強度が0.2N/mm2以上0.5N/mm2未満である
×:接着強度が0.2N/mm2未満である
【0126】
[貯蔵安定性の評価方法]
水性シラノール化ウレタン樹脂組成物又は接着剤を、50℃で60日間放置した後、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物又は接着剤の状態を目視で観察して、下記の評価基準により評価した。
○:60日間放置後の状態は、放置前と同様の状態であり、変化なし
×:60日間放置後の状態は、放置前の状態と異なり、変化している
【0127】
[耐水性の評価方法]
被着体として、アサダ材/アサダ材(それぞれ、100mm×25mm×5mm)を用い、温度:23℃且つ湿度:55%RHの条件下で、水性シラノール化ウレタン樹脂組成物又は接着剤を片方の被着体の片面に塗布(塗布量:約80g/m2)し、直ちに両被着体を貼り合わせて固定し、該貼着された被着体を温度:23℃且つ湿度:55%RHの条件下で7日間養生させた。該7日間養生後の貼着されている被着体について、引張剪断試験(JIS K 6850に準じる)を行って、接着強度を求め、該接着強度を常態接着強度とした。
また、7日間養生後の貼着されている被着体を、温度:20℃の水中に24時間放置した後、引張剪断試験(JIS K 6850に準じる)を行って、接着強度を求め、該接着強度を求め、下記の評価基準により耐水性を評価した。
(評価基準)
○:水中に放置後の接着強度が常態接着強度の50%以上の大きさである
×:水中に放置後の接着強度が常態接着強度の50%未満の大きさである
【0128】
[被着体接着性試験]
一方の被着体としてアサダ材(100mm×25mm×5mm)を用い、他方の被着体として各種被着体(アサダ材板、アクリル系樹脂板、ポリ塩化ビニル板、アルミニウム板、ステンレス板、亜鉛メッキ鋼板)を用いて、各種被着体に対する実施例1〜2および比較例4に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物の接着性を評価した。
具体的には、実施例1〜2および比較例4に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物をアサダ材の表面に塗布し(塗布量:約80g/m2)、直ちに他方の被着体である各種被着体(アサダ材、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、アルミニウム、ステンレス、亜鉛メッキ鋼板)を貼り合わせて固定し、温度:23℃、湿度:55%RHの条件下、7日間養生させた。該養生後、引張せん断試験(JIS K 6850に準じる)を行って、引張せん断接着強さ(N/mm2)の測定を行ったところ、表5に示される結果が得られた。
【0129】
【表5】
【0130】
表1〜4より明らかなように、本発明に相当する実施例1〜13に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物は、硬化速度が速く初期接着性が優れており、速硬化性が優れている。従って、水性接着剤として用いた場合は、養生や仮押さえに要する時間が短く、該水性接着剤を塗布した後、直ちに被着体を貼り合わせて接着させることができる。従って、貼り合わせの作業性が優れている。また、人体や環境に対して安全性が高い。
【0131】
さらに、貯蔵安定性も優れており、速硬化性と貯蔵安定性とを両立している。しかも、硬化後は、耐水性も良好である。
【0132】
また、表5より、本発明に相当する実施例1〜13に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物は、各種の被着体(各種のプラスチックや各種の金属など)に対して良好な接着性を有しており、幅広い種類の被着体に対して、水性接着剤として用いることが可能である。
【0133】
(コーティング剤としての評価)
実施例1、実施例6、比較例4及び比較例7に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物を樹脂分が40%になるように脱イオン水で希釈し、水性コーティング剤を得た。なお、該水性コーティング剤を、それぞれ、実施例14、実施例15、比較例10、比較例11とする。
実施例14、実施例15、比較例10及び比較例11に係る水性コーティング剤について、下記の付着性の評価、耐水性の評価、乾燥時間の測定を行って、水性コーティング剤の付着性、耐水性、速乾性を評価した。なお、評価結果は表6に示した。
【0134】
[付着性の評価方法]
(碁盤目テープ法:JIS K 5400に準拠)
実施例14、実施例15、比較例10及び比較例11に係る水性コーティング剤を鋼板及びスレート板の一方の面にアプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、室温(23℃、65%RH)で7日間乾燥させて、鋼板及びスレート板上にコーティング層を形成させて、試験片(コーティング層を有する鋼板、コーティング層を有するスレート板)を作製した。
試験片のうち、コーティング層を有する鋼板については、コーティング層の表面上に1mm間隔で碁盤目状(10×10個)の切り傷を付け、コーティング層を有するスレート板については、コーティング層の表面上に2mm間隔で碁盤目状(5×5個)の切り傷を付けた後、碁盤目状に切り傷を有するコーティング層の表面上(塗膜表面)にセロハン粘着テープ(JIS Z 1522に規定)を貼り付けて、手指で押さえて密着させてからテープを引きはがし、鋼板又はスレート板に塗膜が付着したままの升目の数を数えて、各水性コーティング剤の付着性(密着性)を評価した。
【0135】
[耐水性の評価方法]
(耐水性の評価方法:JIS K 5400に準拠)
実施例14、実施例15、比較例10及び比較例11に係る水性コーティング剤をガラス板(200×100mm)の一方の面にアプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、室温(23℃、65%RH)で7日間乾燥させて、ガラス板上にコーティング層を形成させて、試験片を作製し、該試験片を40℃の温水に24時間浸せきした後、塗膜の状態の変化を目視で観察して、耐水性(耐温水性)を評価した。
【0136】
[乾燥時間の測定方法]
(指触乾燥時間、硬化乾燥時間の評価:JIS K 5400に準拠)
実施例14、実施例15、比較例10及び比較例11に係る水性コーティング剤をガラス板(200×100mm)の一方の面にアプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、室温(23℃、65%RH)の条件下で所定時間放置し、指触乾燥時間及び硬化乾燥時間などの乾燥時間の測定を行って、速乾性を評価した。なお、「指触乾燥時間」とは、試験片の塗膜表面上の中央部分に指先が軽く触れた時に、指先が汚れない状態になるまで乾燥するのに要する時間のことを意味している。また、「硬化乾燥時間」とは、試験片の塗膜表面上の中央部分を親指と人差し指とで強く挟んだ時に、塗面に指紋が付かず、また、塗膜の動きが感じられず、さらにまた、塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすっても塗面にすり後がつかない状態になるまで乾燥するのに要する時間のことを意味している。なお、表6では、硬化乾燥時間(b)と、指触乾燥時間(a)との差[硬化乾燥時間(b)−指触乾燥時間(a)]を求め、指触乾燥を経て硬化乾燥まで至る時間[(b)−(a)]も示している。
【0137】
【表6】
【0138】
表6から明らかなように、本発明に相当する実施例14及び15に係る水性シラノール化ウレタン樹脂組成物は、付着性、耐温水性において比較例10及び11より優れていることが判る。また、実施例14及び15は、比較例10及び11より乾燥速度において指触乾燥時間が速いだけでなく、硬化乾燥時間が大幅に速い。つまり、指触乾燥を経て硬化乾燥まで至る時間(b−a)が大幅に短くなっている。
これは、本発明における水性シラノール化ウレタン樹脂組成物の硬化機構が、従来の水性コーティング剤の様に硬化速度が水の蒸発のみに依存せず、水の蒸発と同時にシラノール基同士の縮合反応が起こるため、ある程度水を保持したままでも凝集力を発現し、全体的に硬化するためである。したがって、膜厚が比較的厚い場合、強制乾燥等の状況下においても従来の水性コーティング剤と比較して全体的に硬化が進行するため、塗膜表面が皺になりにくい特徴を有している。
Claims (14)
- 下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなるシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
(A)アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)、ポリイソシアネート化合物(A3)、第1級アミノ基を1つのみ有するアミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4-1a)と、芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)とのマイケル付加反応により得られる第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)、およびアミン系鎖延長剤(A5)を反応して得られるアニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー
(B)塩基性化合物
(C)水 - アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)が、アニオン性基非含有ポリオール化合物(A1)、アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)及びポリイソシアネート化合物(A3)の反応により得られるアニオン性基含有ウレタンプレポリマーと、第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物(A4)との反応により、前記アニオン性基含有ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基が部分的にアルコキシシリル化されて得られる末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーを、さらにアミン系鎖延長剤(A5)により、前記末端部分的アルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマー中の残存しているイソシアネート基と、前記アミン系鎖延長剤(A5)のアミノ基とを反応させて鎖延長したアルコキシシリル化アニオン性基含有ウレタンプレポリマーである請求項1記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- シリル化ウレタン系速硬化型水性組成物が、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)におけるアニオン性基が塩基性化合物(B)により中和され、且つ末端のアルコキシシリル基が水(C)により加水分解された水性シラノール化ウレタンプレポリマー組成物からなっている請求項1又は2記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- 芳香環を有していない不飽和脂肪族モノカルボン酸のエステル(A4-1b)が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルである請求項1〜4の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- アニオン性基がカルボキシル基である請求項1〜5の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- アニオン性基含有ポリオール化合物(A2)が、ジメチロールアルカン酸である請求項1〜6の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- 塩基性化合物(B)の割合が、アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基に対して50〜120モル%である請求項1〜7の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- ポリイソシアネート(A3)と、ポリオール(A1)及びポリオール(A2)との割合としては、ポリイソシアネート(A3)におけるイソシアネート基/ポリオール(A1)及びポリオール(A2)におけるヒドロキシル基(NCO/OH)(当量比)が1より大きく2.0以下となるような割合である請求項1〜8の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のアニオン性基の含有量が、0.2〜3.0質量%である請求項1〜9の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- アニオン性基含有アルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマー(A)中のケイ素原子の含有量が、0.05〜1.0質量%である請求項1〜10の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物。
- 前記請求項1〜12の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を含有することを特徴とするシリル化ウレタン系速硬化型水性接着剤。
- 前記請求項1〜12の何れかの項に記載のシリル化ウレタン系速硬化型水性組成物を含有することを特徴とするシリル化ウレタン系速硬化型水性コーティング剤。
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