以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する)1と、そのMFP1との間で無線通信が行われるアクセスポイント51、PC61、子機71とを含む無線通信システムの電気的構成を示したブロック図である。
この無線通信システムにおいて、MFP1は、無線LAN(WLAN)による無線通信200によりアクセスポイント51との間でデータの送受信を行う無線LAN(WLAN)機能、Bluetooth(BT)による無線通信400によりPC(Personal Computer)61との間でデータの送受信を行うBluetooth(BT)機能、デジタルコードレス電話(DCL)による無線通信500によりデジタルコードレス子機(以下、「子機」と称する)71との間で通話を行うデジタルコードレス電話(DCL)機能、電話回線網100を介して外部の電話機(図示せず)と通話を行う一般電話機能、及び、これらの機能を介して受信した画像データをプリントするプリント機能を有する多機能周辺装置である。
WLANによる無線通信200、BTによる無線通信400、DCLによる無線通信500は、いずれも2.4GHz帯(2.4GHz〜2.5GHz)の周波数帯域を使用する(図5参照)。よって、WLAN機能、BT機能およびDCL機能が同時に使用されると、互いの無線通信200,400,500で使用されるチャンネルにおいて電波が干渉し合い、各無線通信の通信品質が低下する恐れがある。特に、DCL機能ではリアルタイムに音声データを送受信しなければならないため、上述したように、電波干渉の影響を受けやすい。
本実施形態におけるMFP1では、WLAN機能、BT機能、DCL機能に対応しつつ、少なくともDCL機能によって行われる無線通信500に対して電波干渉の影響を抑えることができるように構成されている。
次いで、MFP1の電気的構成について説明する。このMFP1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、操作ボタン15、液晶ディスプレイ(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)」と称する)16、無線LAN通信制御回路(以下、「WLAN通信制御回路」と称する)17、Bluetooth通信制御装置(以下、「BT通信制御回路」と称する)19、デジタルコードレス通信制御回路(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路」と称する)21、送受話器23、音声処理回路24、NCU(Network Control Unit)25、プリンタ26を備えている。
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バスライン27を介して互いに接続されている。また、送受話器23とNCU25とは、音声処理回路24に接続されている。更に、操作ボタン15、LCD16、WLAN通信制御回路17、BT通信制御回路19、DCL通信制御回路21、音声処理回路24、NCU25、プリンタ26、及びバスライン27は、入出力ポート28を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム、或いは、WLAN通信制御回路17、BT通信制御回路19、DCL通信制御回路21、またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート28と接続された各部を制御する演算装置である。
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムや、その制御プログラムで参照される固定値などを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図2のフローチャートに示す通信制御処理、図3のフローチャートに示すDCL−WLAN通信制御処理、及び、図4のフローチャートに示すDCL−BT通信制御処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。CPU11は、これらのプログラムを実行することにより、DCL機能によって行われる無線通信500に対して電波干渉の影響を抑えることができる。
RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、DCL−RSSIメモリ13a、WLAN−RSSIメモリ13b、BT−RSSIメモリ13cが設けられている。
DCL−RSSIメモリ13aは、DCL通信制御回路21に設けられた受信信号強度測定回路(以下、「RSSI(Received Signal Strength Indication)測定回路」と称する)21aによって測定された、DCLによる無線通信500において受信される信号の強度である受信信号強度(以下、「RSSI」と称する)を格納するメモリである。
DCLにおけるRSSIは、CPU11が所定の時間間隔毎にDCL通信制御回路21に対してRSSIの測定指示を行うことにより、RSSI測定回路21aによって測定される。その測定結果は、DCL通信制御回路21からCPU11に通知され、CPU11によって、DCL−RSSIメモリ13aに格納される。
WLAN−RSSIメモリ13bは、WLAN通信制御回路17に設けられたRSSI測定回路17aによって測定された、WLANによる無線通信200において受信される信号の強度であるRSSIを格納するメモリである。
WLANにおけるRSSIは、CPU11が所定の時間間隔毎にWLAN通信制御回路17に対してRSSIの測定指示を行うことにより、RSSI測定回路17aによって測定される。その測定結果は、WLAN通信制御回路17からCPU11に通知され、CPU11によって、WLAN−RSSIメモリ13bに格納される。
BT−RSSIメモリ13cは、BT通信制御回路19に設けられたRSSI測定回路19aによって測定された、BTによる無線通信400において受信される信号の強度であるRSSIを格納するメモリである。
BTにおけるRSSIは、CPU11が所定の時間間隔毎にBT通信制御回路19に対してRSSIの測定指示を行うことにより、RSSI測定回路19aによって測定される。その測定結果は、BT通信制御回路19からCPU11に通知され、CPU11によって、BT−RSSIメモリ13cに格納される。
DCL−RSSIメモリ13aに格納されたDCLにおけるRSSIと、WLAN−RSSIメモリ13bに格納されたWLANにおけるRSSIとは、後述するDCL−WLAN通信制御処理(図3参照)の中で参照され、各々のRSSIの大小関係に応じて、DCLによる無線通信500が行われている場合のWLANによる無線通信300が制御される。
また、DCL−RSSIメモリ13aに格納されたDCLにおけるRSSIと、BT−RSSIメモリ13cに格納されたBTにおけるRSSIとは、後述するDCL−BT通信制御処理(図4参照)の中で参照され、各々のRSSIの大小関係に応じて、DCLによる無線通信500が行われている場合のBTによる無線通信400が制御される。
操作ボタン15は、WLAN機能、DCL機能、BT機能などの各機能の設定や、各種動作の指示を行うための入力ボタンである。LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
WLAN通信制御回路17は、WLAN用アンテナ18を有しており、WLAN用アンテナ51aを有するアクセスポイント51との間で、WLAN規格であるIEEE 802.11b/gに準拠して、無線通信200を行う回路である。
WLANによる無線通信200は、2.4GHz帯を14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)に分割し(図5参照)、そのうちの一の無線LANチャンネルを継続して利用しながら、直接拡散方式により無線通信を行う。
MFP1は、WLAN通信制御回路17を制御することにより、アクセスポイント51の接続されたLAN600と繋がる外部装置(図示せず)や、アクセスポイント51とWLANによる無線通信300を行うPC61との間で、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信するWLAN機能を実現する。
また、WLAN通信制御回路17には、RSSI測定回路17aが設けられている。このRSSI測定回路17aは、WLANによる無線通信200において受信される信号の強度であるRSSIを測定する回路であり、WLAN通信制御回路17がCPU11から送信されるRSSIの測定指示を受け取ると、RSSI測定回路17aは、WLANによる無線通信200におけるRSSIを測定し、その測定結果を、WLAN通信制御回路17を介してCPU11に通知する。そして、上述したように、その測定結果は、CPU11によって、WLAN−RSSIメモリ13bに格納される。
BT通信制御回路19は、BT用アンテナ20を有しており、BT用アンテナ61dを有するPC61のBT通信制御回路61bとの間で、BTによる無線通信400を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号の送受信を行う回路である。MFP1は、このBT通信制御回路19を制御することにより、BT機能を実現する。
BTによる無線通信400は、2.4GHz帯を79のBTチャンネル(bch1〜bch79)に分割し(図5参照)、この79のBTチャンネルの間をホッピング周期(1/1600秒)毎にホッピングする、周波数ホッピング方式によって無線通信を行う。尚、BTによる無線通信400は、1つのWLANチャンネルを継続して使用するWLANによる無線通信200と比較して、その通信速度は小さくなる。通信速度が小さくなる理由として、ホッピング制御に時間を要する、周波数占有幅がWLANと異なり送信できるデータ量が少ないこと等が挙げられる。
また、BT通信制御回路19には、RSSI測定回路19aが設けられている。このRSSI測定回路19aは、BTによる無線通信400において受信される信号の強度であるRSSIを測定する回路であり、BT通信制御回路19がCPU11から送信されるRSSIの測定指示を受け取ると、RSSI測定回路19aは、BTによる無線通信400におけるRSSIを測定し、その測定結果を、BT通信制御回路19を介してCPU11に通知する。そして、上述したように、その測定結果は、CPU11によって、BT−RSSIメモリ13cに格納される。
DCL通信制御回路21は、DCL用アンテナ22を有しており、DCL用アンテナ71bを有する子機71のDCL通信制御回路71aとの間で無線通信500を行いながら、通話による音声データを構成するデジタル信号の送受信を行う回路である。MFP1は、このDCL通信制御回路21を制御することにより、DCL機能を実現する。
DCLによる無線通信500は、2.4GHz帯を89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)に分割し、このうち例えば45(以下、45チャンネルを例として説明する。)のDCLチャンネルの間を所定の周期(ホッピング周期:1/100秒)毎にホッピングする、周波数ホッピング方式によって無線通信を行う。
また、DCL通信制御回路21には、RSSI測定回路21aが設けられている。このRSSI測定回路21aは、DCLによる無線通信500において受信される信号の強度であるRSSIを測定する回路であり、DCL通信制御回路21がCPU11から送信されるRSSIの測定指示を受け取ると、RSSI測定回路21aは、DCLによる無線通信500におけるRSSIを測定し、その測定結果を、DCL通信制御回路21を介してCPU11に通知する。そして、上述したように、その測定結果は、CPU11によって、DCL−RSSIメモリ13aに格納される。
送受話器23は、通話を行うための装置であり、マイクロフォンとスピーカとを有している。音声処理回路24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換する回路であり、子機71から送信されDCL通信制御回路21により受信されたデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。また、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号、及び、外部の電話機(図示せず)から電話回線網100を介してNCU25によって受信されるアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路21へ出力する。尚、DCL通信制御回路21に入力されたデジタル信号(音声データ)は、無線通信500を介して子機71へ送信される。
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などを行って、外部の電話機(図示せず)との通話を制御するものである。MFP1は、このNCU25を制御することにより一般電話機能を実現する。
プリンタ26は、WLANによる無線通信200や、BTによる無線通信400などによって受信された画像をプリンタ26に設けられた給紙カセット(図示せず)内の記録用紙へ印刷するプリント処理を行うものであり、MFP1は、このプリンタ26を制御することによって、プリント機能を実現する。
また、MFP1は、このプリンタ26によって印刷される画像の画像データを、WLANによる無線通信200およびBTによる無線通信400のいずれによっても受信可能に構成されると共に、印刷される画像の画像データを受信中に、その画像データが送受信される無線通信を、WLANによる無線通信200とBTによる無線通信400との間で切り替え可能に構成されている。
次に、アクセスポイント51の電気的構成について説明する。このアクセスポイント51は、WLAN用アンテナ51aを有しており、MFP1のWLAN通信制御回路17との間で無線通信200を可能に構成されていると共に、PC61のWLAN通信制御回路61aとの間で無線通信300を可能に構成されている。また、アクセスポイント51は、LAN600と接続されており、LAN600と、MFP1と、PC61とを互いに接続する中継器として動作する既知の回路を有している。
次に、PC61の電気的構成について説明する。PC61は、WLANによる無線通信300によってアクセスポイント51との間でデータの送受信を行うWLAN機能と、BTによる無線通信400によってMFP1との間でデータの送受信を行うBT機能とを有するコンピュータである。
このPC61は、WLAN通信制御回路61aと、BT通信制御回路61bと、WLAN用アンテナ61cと、BT用アンテナ61dとを有している。WLAN通信制御回路61aは、WLAN用アンテナ61cを用いて、アクセスポイント51との間で無線通信300を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。PC61は、このWLAN通信制御回路61aを制御し、通信先をMFP1に指定することによって、アクセスポイント51を介して、MFP1との間でWLANによる無線通信200,300を行うことができる。これにより、MFP1とPC61との間でデータの送受信が行われる。
BT通信制御回路61bは、BT用アンテナ61dを用いて、MFP1のBT通信制御回路19との間で無線通信400を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。BT通信制御回路61bは、BTチャンネルをMFP1のBT通信制御回路19と同期させながらホッピングさせることにより、MFP1との間で無線通信400を行う。このように、PC61は、WLAN機能およびBT機能のいずれによっても、MFP1との間でデータの送受信が行えるように構成されている。
次に、子機71の電気的構成について説明する。子機71は、MFP1との間で行われる無線通信500を介して、MFP1や電話回線網100を介して接続される外部の電話機(図示せず)との間で通話を行うための装置である。子機71は、DCL通信制御回路71aと、DCL用アンテナ71bとを有している。
DCL通信制御回路71aは、DCL用アンテナ71bを用いて、親機として機能するMFP1のDCL通信制御回路21との間で無線通信500を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号を送受信する回路である。DCL通信制御回路71aは、DCLチャンネルをMFP1のDCL通信制御回路21と同期させながらホッピングさせることにより、MFP1との間で無線通信500を行う。
次いで、図2を参照して、MFP1で実行される通信制御処理の処理フローについて説明する。図2は、この通信制御処理を示すフローチャートである。この処理は、WLAN機能、BT機能、DCL機能といった各種無線通信機能を制御する処理で、MFP1の電源がオンされると、CPU11によってこの処理が起動され、電源がオフされるまで繰り返し実行される。
この通信制御処理では、まず、DCL通信制御回路21によって、子機71からDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信したか否か、或いは、子機71に対してDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を送信したか否かを判断する(S1)。
そして、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S1:Yes)、DCL通信制御回路21に対して、DCLによる無線通信500を行うよう指示するなど、DCLによる無線通信500を行うための処理を実行する(S2)。これにより、DCLによる無線通信500が子機71との間で行われる。
S2の処理の後、WLAN通信制御回路17によって、アクセスポイント51からWLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS(Request to Send)信号を受信したか否か、或いは、アクセスポイント51に対してWLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を送信したか否かを判断する(S3)。
そして、WLAN通信制御回路17によって、WLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S3:Yes)、DCL−WLAN通信制御処理(図3参照)を実行する(S4)。その後、S3の処理に回帰して、S3以降の処理を再び実行する。
このS4のDCL−WLAN通信制御処理によって、DCLによる無線通信500が行われている期間に、WLANによる無線通信200の通信開始要求があった場合に、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、WLANによる無線通信200が制御される。このDCL−WLAN通信制御処理の詳細については、図3を参照して後述する。
一方、S3の処理の結果、WLAN通信制御回路17によって、WLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S3:No)、次いで、BT通信制御回路19によって、PC61からBTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を受信したか否か、或いは、PC61に対してBTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を送信したか否かを判断する(S5)。
そして、BT通信制御回路19によって、BTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S5:Yes)、DCL−BT通信制御処理(図4参照)を実行する(S6)。その後、S3の処理に回帰して、S3以降の処理を再び実行する。
このS6のDCL−BT通信制御処理によって、DCLによる無線通信500が行われている期間に、BTによる無線通信400の通信開始要求があった場合に、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、BTによる無線通信400が制御される。このDCL−BT通信制御処理の詳細については、図4を参照して後述する。
一方、S5の処理の結果、BT通信制御回路19によって、BTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S5:No)、次いで、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500が引き続き行われているか否かを判断する(S7)。
そして、DCLによる無線通信500が引き続き行われていると判断される場合には(S7:Yes)、S3の処理に回帰して、S3以降の処理を再び実行する。また、S7の処理の結果、DCLによる無線通信500が行われていないと判断される場合には(S7:No)、DCLによる無線通信500が終了したと判断し、S1の処理へ回帰して、再びS1以降の処理を実行する。
これに対し、S1の処理の結果、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S1:No)、次いで、WLAN通信制御回路17によって、アクセスポイント51からWLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を受信したか否か、或いは、アクセスポイント51に対してWLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を送信したか否かを判断する(S8)。
そして、WLAN通信制御回路17によって、WLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S8:Yes)、WLAN通信制御回路17に対して、WLANによる無線通信200を行うよう指示するなど、WLANによる無線通信200を行うための処理を実行する(S9)。これにより、DCLによる無線通信500が子機71との間で行われていない場合には、WLANによる無線通信200がアクセスポイント51との間で行われる。
S9の処理の後、DCL通信制御回路21によって、子機71からDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信したか否か、或いは、子機71に対してDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を送信したか否かを判断する(S10)。
そして、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S10:Yes)、DCLによる無線通信500を行うための処理を実行した後(S11)、S4の処理へ移行し、DCL−WLAN通信制御処理(図3参照)を実行する。
これにより、WLANによる無線通信200が行われている期間に、DCLによる無線通信500の通信開始要求があり、その無線通信500が開始された場合にも、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、WLANによる無線通信200が制御される。
一方、S10の処理の結果、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S10:No)、次いで、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S12)。この判断は、WLANによる無線通信200の通信開始要求信号であるRTS信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。
そして、S12の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S12:Yes)、S9の処理に回帰し、再びS9以降の処理が実行される。これにより、S10の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S10:Yes)、S11の処理を経て、S4の処理であるDCL−WLAN通信制御処理が実行される。
また、S12の処理の結果、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S12:No)、WLANによる無線通信200が終了したと判断し、S1の処理へ回帰して、再びS1以降の処理を実行する。
一方、S8の処理の結果、WLAN通信制御回路17によって、WLANによる無線通信200の通信開始を要求するRTS信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S8:No)、次いで、BT通信制御回路19によって、PC61からBTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を受信したか否か、或いは、PC61に対してBTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を送信したか否かを判断する(S13)。
そして、BT通信制御回路19によって、BTによる無線通信400の通信開始を要求する信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S13:Yes)、BT通信制御回路19に対して、BTによる無線通信400を行うよう指示するなど、BTによる無線通信400を行うための処理を実行する(S14)。これにより、DCLによる無線通信500が子機71との間で行われていない場合には、BTによる無線通信400がPC61との間で行われる。
S14の処理の後、DCL通信制御回路21によって、子機71からDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信したか否か、或いは、子機71に対してDCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を送信したか否かを判断する(S15)。
そして、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信し、或いは、送信したと判断される場合には(S15:Yes)、DCLによる無線通信500を行うための処理を実行した後(S16)、S6の処理へ移行し、DCL−BT通信制御処理(図4参照)を実行する。
これにより、BTによる無線通信400が行われている期間に、DCLによる無線通信500の通信開始要求があり、その無線通信500が開始された場合にも、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、BTによる無線通信400が制御される。
一方、S15の処理の結果、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500の通信開始を要求する信号を受信も送信もしていないと判断される場合には(S15:No)、次いで、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S17)。
この判断は、BTによる無線通信400の通信開始要求信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。また、後述するように、WLANによる無線通信200からBTによる無線通信400に切り替えてデータの送受信が行われている場合には、WLANによる無線通信200の通信開始要求信号であるRTS信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。
そして、S17の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S17:Yes)、S14の処理に回帰し、再びS14以降の処理が実行される。これにより、S15の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S15:Yes)、S16の処理を経て、S6の処理であるDCL−BT通信制御処理が実行される。
一方、S17の処理の結果、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S17:No)、BTによる無線通信400が終了したと判断し、S1の処理へ回帰して、再びS1以降の処理を実行する。
以上、通信制御処理がMFP1によって実行されると、WLANによる無線通信200、BTによる無線通信400、DCLによる無線通信500それぞれの通信状況や、それらの通信開始要求信号の発生状況に応じ、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、WLANによる無線通信200およびBTによる無線通信400を制御することができる。
次いで、図3を参照して、MFP1で実行されるDCL−WLAN通信制御処理の処理フローについて説明する。図3は、このDCL−WLAN通信制御処理を示すフローチャートである。この処理は、DCLによる無線通信500が行われている期間中に、WLANによる無線通信200の通信開始要求があった場合、若しくは、WLANによる無線通信200が行われている期間中に、DCLによる無線通信500が開始された場合に、WLANによる無線通信200を制御する処理で、上述したように、通信制御処理の中で実行される(図2のS4参照)。
このDCL−WLAN通信制御処理では、まず、DCL−RSSIメモリ13aに格納されたDCLにおけるRSSIと、WLAN−RSSIメモリ13bに格納されたWLANにおけるRSSIとを比較し、DCLにおけるRSSIがWLANにおけるRSSIよりも大きいか否かを判断する(S21)。
そして、DCLにおけるRSSIがWLANにおけるRSSIよりも大きいと判断される場合には(S21:Yes)、WLAN通信制御回路17に対して、WLANによる無線通信200を行うよう指示するなど、WLANによる無線通信200を行うための処理を実行する(S22)。これにより、DCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことが可能である場合には、WLANによる無線通信200がDCLによる無線通信500と同時に行われる。よって、特別な制御を行わずして通話品質を確保したDCLによる無線通信を行うことができる。また、後述するDCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことが不可能である場合のように、WLANによる無線通信200が一時的に中止されたり、BTによる無線通信400へ切り替えられたりする場合と比較して、DCLによる無線通信500の受信状態が良い状況下では、PC61といった外部装置との間のデータの送受信を高速に行うことができる。
S22の処理の後、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500が引き続き行われているか否かを判断する(S23)。そして、DCLによる無線通信500が引き続き行われていると判断される場合には(S23:Yes)、更に、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S24)。この判断は、通信制御処理のS12の処理と同様に、WLANによる無線通信200の通信開始要求信号であるRTS信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。
そして、S24の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S24:Yes)、S21の処理に回帰し、再びS21以降の処理が実行される。これにより、S21の処理によって、DCLにおけるRSSIとWLANにおけるRSSIとの大小比較が再び行われ、その大小関係に応じて、WLANによる無線通信200に対して適切な制御を行うことができる。
一方、S24の処理の結果、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S24:No)、DCLによる無線通信500が引き続き行われている状況で、WLANによる無線通信200が終了したと判断し、このDCL−WLAN通信制御処理を終了する。これにより、通信制御処理に戻って、通信制御処理のS3以降の処理(図2参照)が実行される。
また、S23の処理の結果、DCLによる無線通信500が行われていないと判断される場合にも(S23:No)、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S25)。
そして、S25の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S25:Yes)、このDCL−WLAN通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS9の処理へ移行し(図2参照)、この通信制御処理のS9以降の処理を実行する。これにより、S10の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S10:Yes)、S11の処理を経て、再度、DCL−WLAN通信制御処理が実行される。
一方、S25の処理の結果、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S25:No)、DCLによる無線通信500およびWLANによる無線通信200が終了したと判断し、このDCL−WLAN通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS1の処理(図2参照)へ移行する。これにより、再びS1以降の処理が実行される。
これに対し、S21の処理の結果、DCLにおけるRSSIがWLANにおけるRSSI以下であると判断される場合には(S21:No)、次いで、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータがPC61との間で送受信されるデータであり、BTによる無線通信400によってもそのデータの送受信を行うことが可能か否かを判断する(S26)。例えば、WLANによる無線通信200によってPC61との間で送受信されるデータが、プリンタ26によって印刷される画像の画像データであれば、そのデータをBTによる無線通信400によっても送受信が行えるデータとして判断する。
そして、S26の処理の結果、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータが、BTによる無線通信400によっては送受信不可能であると判断される場合には(S26:No)、S22の処理をスキップすると共に、S23の処理へ移行して、S23以降の処理が実行される。
これにより、DCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことができず、更に、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータが、BTによる無線通信400によっては送受信不可能である場合には、WLANによる無線通信200が一時的に中止される。よって、DCLによる無線通信500で使用されるDCLチャンネルが、WLANによる無線通信200で継続して使用されるWLANチャンネルにより電波干渉の影響を受けることを抑制でき、従って、DCLによる無線通信500の通話品質が劣化するのを防止できる。
一方、S26の処理の結果、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータが、BTによる無線通信400によっても送受信可能であると判断される場合には(S26:Yes)、WLANによる無線通信200からBTによる無線通信400へ切り替えてデータの送受信を行うことを要求する切替要求信号をPC61に対して送信するように、WLAN通信制御回路17に指示する(S27)。そして、BT通信制御回路19に対して、BTによる無線通信400を行うよう指示するなど、BTによる無線通信400を行うための処理を実行する(S28)。
これにより、DCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことができない一方、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータが、BTによる無線通信400によっても送受信可能である場合には、そのWLANによる無線通信200によって送受信されるデータをBTによる無線通信400に切り替えて送受信することができる。
ここで、DCLによる無線通信500は、周波数ホッピング方式によって無線通信が行われる一方、BTによる無線通信400も周波数ホッピング方式によって無線通信が行われる。即ち、DCLによる無線通信500で使用されるDCLチャンネル、及び、BTによる無線通信400で使用されるBTチャンネルは、いずれも、それぞれのホッピング周期でランダムに切り替えられるので、DCLチャンネルとBTチャンネルとの間で電波干渉が生じる可能性は、DCLチャンネルとWLANによる無線通信200で使用されるWLANチャンネルとの間で電波干渉が生じる可能性よりも低くなる。
そして、WLANによる無線通信200によって継続して使用される周波数帯域をなくす、又は減少させることが可能となるため、電波干渉を抑えつつ使用できるDCLチャンネルの数を増加可能で、これにより、より一層、電波干渉の発生を抑えることができる。よって、受信状況が悪いDCLによる無線通信500に対して、電波干渉の影響を受け、その通話品質が更に低下することを抑制できる。
次いで、S28の処理の後、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500が引き続き行われているか否かを判断する(S29)。そして、DCLによる無線通信500が引き続き行われていると判断される場合には(S29:Yes)、更に、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S30)。この判断は、BTによる無線通信400に切り替える前にWLAN通信制御回路17によって送受信された、WLANによる無線通信200の通信開始要求信号であるRTS信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。
そして、S30の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S30:Yes)、このDCL−WLAN通信制御処理を抜け、通信制御処理のS6の処理へ移行し、DCL−BT通信制御処理を実行する。これにより、DCLによる無線通信500と、BTによる無線通信400とが同時に行われている場合に、DCLによる無線通信500において電波干渉による影響が抑制されるように、BTによる無線通信400が制御される。
一方、S30の処理の結果、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S30:No)、DCLによる無線通信500が引き続き行われている状況で、BTによる無線通信400が終了したと判断し、このDCL−WLAN通信制御処理を終了する。これにより、通信制御処理に戻って、通信制御処理のS3以降の処理(図2参照)が実行される。
また、S29の処理の結果、DCLによる無線通信500が行われていないと判断される場合にも(S29:No)、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S31)。
そして、S31の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S31:Yes)、DCLによる無線通信500が終了しているので、BTによる無線通信400からWLANによる無線通信200へ切り替えて、残りのデータの送受信を行うことを要求する切替要求信号をPC61に対して送信するように、WLAN通信制御回路17に指示する(S32)。
これにより、S27の処理によってBTによる無線通信400に切り替えられていたPC61との間のデータの送受信を、WLANによる無線通信200に切り替えて行うことができる。また、DCLによる無線通信500が行われていない期間中は、その無線通信500において電波干渉の影響は問題とならず、しかも、WLANによる無線通信200を使用してPC61とのデータの送受信が行われるので、そのデータの送受信を高速に行うことができる。
S32の処理が終了すると、DCL−WLAN通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS9の処理へ移行し(図2参照)、この通信制御処理のS9以降の処理を実行する。これにより、S10の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S10:Yes)、S11の処理を経て、再度、DCL−WLAN通信制御処理が実行される。
一方、S31の処理の結果、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S31:No)、DCLによる無線通信500が終了し、且つ、BTによる無線通信400によって、WLANによる無線通信200で送受信されるべきデータが全て送受信されたと判断できるので、このDCL−WLAN通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS1の処理(図2参照)へ移行する。これにより、再びS1以降の処理が実行される。
以上、このDCL−WLAN通信制御処理は、DCLによる無線通信500が行われている期間中に、WLANによる無線通信200の通信開始要求があった場合、若しくは、WLANによる無線通信200が行われている期間中に、DCLによる無線通信500が開始された場合に、通信制御処理(図2参照)の中で実行される。
そして、WLANによる無線通信200によって送受信されるデータが、BTによる無線通信400によっても送受信可能である場合には、そのWLANによる無線通信200によって送受信されるデータがBTによる無線通信400に切り替えて送受信される。これにより、無線通信中であるDCLによる無線通信500において、電波干渉が問題となる場合に、適切にそのデータの送受信により電波干渉の影響を抑えることができる。
また、このDCL−WLAN通信制御処理によって、WLAN通信制御装置17から無線通信200による通信の開始を要求するRTS信号を送信する場合だけでなく、PC61からWLAN通信制御装置17に対してRTS信号が送信された場合であっても、そのRTS信号により開始が要求されたWLANによる無線通信200によって送受信されるデータがBTによる無線通信400によって送受信可能であれば、PC61に対して、BTによる無線通信400への切替要求信号が送信される。これにより、そのデータの送受信をBTによる無線通信400によって行わせることができる。換言すれば、WLANによる無線通信200によるPC61とのデータの送受信を阻害することなく、このような場合でも、DCLによる無線通信200において電波干渉の影響が生じることを抑えることができる。
次いで、図4を参照して、MFP1で実行されるDCL−BT通信制御処理の処理フローについて説明する。図4は、このDCL−BT通信制御処理を示すフローチャートである。この処理は、DCLによる無線通信500が行われている期間中に、BTによる無線通信400が開始される場合、若しくは、BTによる無線通信400が行われている期間中に、DCLによる無線通信300が開始される場合に、BTによる無線通信400を制御する処理で、上述したように、通信制御処理の中で実行される(図2のS6参照)。
このDCL−BT通信制御処理では、まず、DCL−RSSIメモリ13aに格納されたDCLにおけるRSSIと、BT−RSSIメモリ13cに格納されたBTにおけるRSSIとを比較し、DCLにおけるRSSIがBTにおけるRSSIよりも大きいか否かを判断する(S41)。
そして、DCLにおけるRSSIがBTにおけるRSSIよりも大きいと判断される場合には(S41:Yes)、BT通信制御回路19に対して、BTによる無線通信400を行うよう指示するなど、BTによる無線通信400を行うための処理を実行する(S42)。これにより、DCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことが可能である場合には、BTによる無線通信400がDCLによる無線通信500と同時に行われる。
S42の処理の後、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500が引き続き行われているか否かを判断する(S43)。そして、DCLによる無線通信500が引き続き行われていると判断される場合には(S43:Yes)、更に、BTによる無線通信200で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S44)。
この判断は、通信制御処理のS17の処理と同様に、BTによる無線通信400の通信開始要求信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。また、上述したDCL−WLAN通信制御処理により、WLANによる無線通信200からBTによる無線通信400に切り替えてデータの送受信が行われている場合には、WLANによる無線通信200の通信開始要求信号であるRTS信号に含まれる送受信すべきデータ量と、実際に送受信されたデータ量とを比較することにより行われる。
そして、S44の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S44:Yes)、S41の処理に回帰し、再びS41以降の処理が実行される。これにより、S41の処理によって、DCLにおけるRSSIとBTにおけるRSSIとの大小比較が再び行われ、その大小関係に応じて、BTによる無線通信400に対して適切な制御を行うことができる。
一方、S44の処理の結果、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S44:No)、DCLによる無線通信500が引き続き行われている状況で、BTによる無線通信400が終了したと判断し、このDCL−WLAN通信制御処理を終了する。これにより、通信制御処理に戻って、通信制御処理のS3以降の処理(図2参照)が実行される。
また、S43の処理の結果、DCLによる無線通信500が行われていないと判断される場合にも(S43:No)、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っているか否かを判断する(S45)。
そして、S45の処理の結果、送受信されるべきデータが残っていると判断される場合には(S45:Yes)、このDCL−BT通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS14の処理へ移行し(図2参照)、この通信制御処理のS14以降の処理を実行する。これにより、S15の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S15:Yes)、S16の処理を経て、再度、DCL−BT通信制御処理が実行される。
一方、S45の処理の結果、BTによる無線通信400で送受信されるべきデータが残っていないと判断される場合には(S45:No)、DCLによる無線通信500およびBTによる無線通信400が終了したと判断し、このDCL−BT通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS1の処理(図2参照)へ移行する。これにより、再びS1以降の処理が実行される。
これに対し、S41の処理の結果、DCLにおけるRSSIがBTにおけるRSSI以下であると判断される場合には(S41:No)、BTによる無線通信400を中断することを指示する中断指示信号をPC61に対して送信するように、BT通信制御回路19に指示する(S46)。
これにより、DCLによる無線通信500を良好な受信状態で行うことができない場合には、BTによる無線通信400によってデータの送受信が行われないので、DCLによる無線通信500によって使用されるDCLチャンネルと、BTによる無線通信400によって使用されるBTチャンネルとの間で電波干渉が生じるのを完全に回避することができる。よって、DCLによる無線通信500において、通話品質が劣化するのを確実に防止することができる。
S46の処理の後、DCL通信制御回路21によって、DCLによる無線通信500が引き続き行われているか否かを判断する(S47)。そして、DCLによる無線通信500が引き続き行われていると判断される場合には(S47:Yes)、S41の処理に回帰し、再びS41以降の処理が実行される。これにより、S41の処理によって、DCLにおけるRSSIとBTにおけるRSSIとの大小比較が再び行われ、その大小関係に応じて、BTによる無線通信400に対して適切な制御を行うことができる。
一方、S47の処理の結果、DCLによる無線通信500が行われていないと判断される場合には(S47:No)、BTによる無線通信400を再開することを指示する再開指示信号をPC61に対して送信するように、BT通信制御回路19に指示する(S48)。これにより、DCLによる無線通信500が行われていない期間中は、その無線通信500において電波干渉の影響は問題とならず、しかも、BTによる無線通信400が再開されるので、PC61とのデータの送受信を行うことができる。
S48の処理が終了すると、このDCL−BT通信制御処理を抜けて、通信制御処理のS14の処理へ移行し(図2参照)、この通信制御処理のS14以降の処理を実行する。これにより、S15の処理によってDCLによる無線通信500の通信開始要求信号の有無を再び判断することができ、DCLによる無線通信500の通信開始要求信号が送受信された場合には(S15:Yes)、S16の処理を経て、再度、DCL−WLAN通信制御処理が実行される。
このように、DCL−BT通信制御処理がCPU11によって実行されることにより、DCLによる無線通信500の受信状況が良好である場合には、DCLによる無線通信500とBTによる無線通信400とが同時に行われても、DCLによる無線通信500において電波干渉の影響を大きく受けない。よって、DCLによる無線通信500とBTによる無線通信400とが同時に行わるように制御される。一方、DCLによる無線通信500の受信状況が悪い場合には、DCLによる無線通信500が終了するか、若しくは、無線通信500の受信状況が良好となるまで、BTによる無線通信400が中断される。これにより、DCLによる無線通信500において、BTによる無線通信400との間に生じる電波干渉の影響を確実に抑えることができ、通話品質が劣化するのを確実に防止することができる。このように、DCL−BT通信制御処理によって、DCLによる無線通信500における電波干渉の影響を抑制しながら、BTによる無線通信400を制御することができる。
以上、本実施形態におけるMFP1によれば、PC61といった外部装置との間で送受信されるデータが、WLANによる無線通信200とBTによる無線通信400とのいずれによっても送受信可能である場合には、そのデータの送受信をBTによる無線通信400によって行わせることができる。上述したように、WLANによる無線通信200は、1つのWLANチャンネルを継続して使用するのに対し、BTによる無線通信400とDCLによる無線通信500とは、使用するBTチャンネル若しくはDCLチャンネルがホッピングされるので、BTによる無線通信400とDCLによる無線通信500との間で電波干渉の生じる可能性は、WLANによる無線通信200とDCLによる無線通信500との間で電波干渉の生じる可能性よりも低くなる。よって、WLAN機能、BT機能、DCL機能に対応しつつ、少なくともDCL機能によって行われる無線通信500に対して電波干渉の影響を抑えることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施形態において、本発明の第1無線通信方式の一例として、DCLによる無線通信方式について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その他の周波数ホッピング方式による無線通信方式を採用してもよい。例えば、Bluetoothによる無線通信方式であってもよい。尚、本発明の第1無線通信方式として、データの再送機能を有しておらず、電波干渉によって、受信データにエラーが混入したり、データを受信できない場合に、そのデータの再送が行えないものを適用すれば、より本発明の効果を享受することができる。また、本発明の第1無線通信方式として、リアルタイム性が要求されるデータの送受信が行われる無線通信方式を適用しても、より本発明の効果を享受することができる。
また、上記実施形態において、本発明の第2無線通信方式の一例として、BTによる無線通信方式について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その他の周波数ホッピング方式による無線通信方式を採用してもよい。
更に、上記実施形態において、本発明の第3無線通信方式の一例として、WLANによる無線通信方式について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1つのチャンネルを継続して使用する無線通信方式であれば適用可能である。
また、上記実施形態では、DCL−WLAN通信制御処理において、DCLにおけるRSSIとWLANにおけるRSSIの大小関係を比較し、DCLにおけるRSSIがWLANにおけるRSSIよりも大きい場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が良好であると判断し、DCLにおけるRSSIがWLANにおけるRSSI以下の場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が悪いと判断して、WLANによる無線通信200を制御する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、WLANにおけるRSSIの大きさに応じて閾値を設定し、DCLにおけるRSSIがその閾値よりも大きい場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が良好であると判断し、DCLにおけるRSSIがその閾値以下の場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が悪いと判断して、WLANによる無線通信200を制御してもよい。また、その閾値は、WLANにおけるRSSIの大きさと関係なく、固定の値であってもよいし、ユーザによって任意の値に設定されるものであってもよい。
同様に、上記実施形態では、DCL−BT通信制御処理において、DCLにおけるRSSIとBTにおけるRSSIの大小関係を比較し、DCLにおけるRSSIがBTにおけるRSSIよりも大きい場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が良好であると判断し、DCLにおけるRSSIがBTにおけるRSSI以下の場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が悪いと判断して、BTによる無線通信400を制御する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、BTにおけるRSSIの大きさに応じて閾値を設定し、DCLにおけるRSSIがその閾値よりも大きい場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が良好であると判断し、DCLにおけるRSSIがその閾値以下の場合には、DCLによる無線通信500の受信状況が悪いと判断して、BTによる無線通信200を制御してもよい。また、その閾値は、BTにおけるRSSIの大きさと関係なく、固定の値であってもよいし、ユーザによって任意の値に設定されるものであってもよい。
更に、上記実施形態では、DCL、WLAN、BTそれぞれにおけるRSSIを測定して比較する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、DCL、WLAN、BTそれぞれにおけるビットエラーレイト(BER:Bit Error Rate)を測定して比較してもよい。この場合、BERの値が小さいほうが、受信状態が良好であると判断できる。尚、BERを測定する場合には、MFP1のWLAN通信制御回路17、BT通信制御回路19およびDCL通信制御回路21にそれぞれBER測定回路を設けると共に、アクセスポイント51、PC61および子機71に、それぞれBER測定用電波送信回路を設ければよい。そして、アクセスポイント51、PC61および子機7それぞれのBER測定用電波送信回路からBER測定用の電波を送信し、WLAN通信制御回路17、BT通信制御回路19およびDCL通信制御回路21それぞれにおいて、対応するBER測定用の電波を受信した上で、各BER測定回路において、受信した電波のBERを測定すればよい。