以下、本発明の好ましい第1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における通信装置を有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する)1と、アクセスポイント(以下、「AP」と称する)51と、DCL子機61との電気的構成を示したブロック図である。MFP1およびAP51は、無線通信200を介して互いにデータ通信が可能に構成されており、MFP1(親機)およびDCL子機61は、無線通信300を介して互いに通話が行えるように構成されている。
本実施形態のMFP1は、2.4GHz帯(2.4GHz〜2.5GHz)に設けられている89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)のうち、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される例えば45のDCLチャンネルを選択して、DCL子機61との間で無線通信300を行うものである。
次に、MFP1の電気的構成について説明する。MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、デジタルコードレス通信制御回路(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路」と称する)19、スキャナ21、プリンタ22、送受話器23、音声処理回路24、NCU25を主に有している。
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、送受話器23とNCU25とは、音声処理回路24に接続されている。更に、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、スキャナ21、プリンタ22、音声処理回路24、NCU25、及びバスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御する演算装置である。
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図4(a)のフローチャートに示す通信チャンネル選定処理、および図5のフローチャートに示すDCLチャンネル選定処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
また、ROM12には、チャンネル対応テーブルメモリ12aが設けられている。このチャンネル対応テーブルメモリ12aは、無線LANチャンネル(wch1〜wch14)と周波数帯域が重複するDCLチャンネル(dch1〜dch89)を示すチャンネル対応テーブルが格納されるメモリである。
ここで、図2を参照してチャンネル対応テーブルについて説明する。図2は、チャンネル対応テーブルの内容を模式的に示した模式図である。チャンネル対応テーブルは、無線LANチャンネルと、DCLチャンネルとにより構成されており、一の無線LANチャンネル毎に、その一の無線LANチャンネルと周波数帯域が重複する全てのDCLチャンネルが関連づけられている。
例えば、無線LANチャンネル「wch1」で使用される周波数帯域は、DCLチャンネル「dch4〜dch25」で使用される周波数帯域と重複しているため、チャンネル対応テーブルにおいて、無線LANチャンネル「wch1」と、DCLチャンネル「dch4〜dch25」とが関連づけられている。
以下同様に、無線LANチャンネル「wch2」と、DCLチャンネル「dch9〜dch30」とが関連づけられ、無線LANチャンネル「wch3」と、DCLチャンネル「dch15〜dch36」とが関連づけられている。他の無線LANチャンネル(wch4〜wch14)についても同様に、各無線LANチャンネルと、その無線LANチャンネルと周波数帯域が重複する全てのDCLチャンネルが関連づけられているので、その説明を省略する。
ここで図1に戻り、説明を続ける。RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、無線LANチャンネルメモリ13aと、DCLチャンネルメモリ13bと、子機受信電界強度テーブルメモリ13cと、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dとが設けられている。
無線LANチャンネルメモリ13aは、無線LAN通信制御回路17がAP51との間の無線通信200に使用する一の無線LANチャンネルが記憶されるメモリである。詳細については後述するが、無線通信200に使用する一の無線LANチャンネルは、AP51において決定され、AP51からMFP1へ通知される。MFP1は、AP51から一の無線LANチャンネルが通知されたら、その無線LANチャンネルを無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する。
DCLチャンネルメモリ13bは、DCL通信制御回路19が、DCL子機61のDCL通信制御回路67との間の無線通信300に使用する例えば45のDCLチャンネルが記憶されるメモリである。後述するDCLチャンネル選定処理(図5参照)が実行されると、無線通信300に使用する例えば45のDCLチャンネルが決定され、このDCLチャンネルメモリ13bに記憶される。また、決定された各DCLチャンネルは、DCL子機61に対して通知される。
詳細については後述するが、DCL通信制御回路19は、ホッピング周期(例えば、1/100秒)毎に、DCLチャンネルメモリ13bに記憶される例えば45のDCLチャンネルの中から、一のDCLチャンネルを選択してDCL子機61との間の無線通信300を行う。
子機受信電界強度テーブルメモリ13cは、DCL子機61において測定された無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の受信電界強度が、各無線LANチャンネル毎に記憶されるメモリである。
MFP1からDCL子機61に対して「通信状況測定要求」が送信されると(図4(a)参照)、DCL子機61において子機電界強度測定処理(図4(b)参照)が開始され、各無線LANチャンネルの受信電界強度が測定される。受信電界強度とは、測定対象となる周波数(ここでは、一の無線LANチャンネルの中心周波数)において受信された電波の強度のことを示し、「1」から「10」までの値で示される。なお、受信電界強度が「1」に近いほど、受信した電波の強度が弱いことを示し、受信電界強度が「10」に近いほど、受信した電波の強度が強いことを示す。
ここで、図3を参照して、DCL子機61により測定される無線LANチャンネルの受信電界強度と、その測定結果である子機受信電界強度テーブルについて説明する。図3(a)は、DCL子機61のROM63の測定ポイントテーブルメモリ63aに格納される測定ポイントテーブルの内容を模式的に示した模式図である。図3(b)は、RAM13の子機受信電界強度テーブルメモリ13cおよびDCL子機61のRAM64の受信電界強度テーブルメモリ64aに記憶される子機受信電界強度テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
まず、DCL子機61により測定される無線LANチャンネルの受信電界強度について説明する。上述したように、DCL子機61は、MFP1から送信される「通信状況測定要求」を受信すると、測定ポイントテーブルメモリ63aの測定ポイントテーブルに従って、各無線LANチャンネルの受信電界強度の測定を行う。測定ポイントテーブルは、図3(a)に示すように、無線LANチャンネルと、測定ポイント(周波数)とにより構成されており、一の無線LANチャンネル毎に、その一の無線LANチャンネルに対応する測定ポイント(一の無線LANチャンネルの中心周波数)が関連づけられている。
例えば、無線LANチャンネル「wch1」には、無線LANチャンネル「wch1」に対応する帯域の中心周波数である「2412MHz」が関連づけられている。以下同様に、無線LANチャンネル「wch2」には、無線LANチャンネル「wch2」の中心周波数「2417MHz」が関連づけられており、無線LANチャンネル「wch14」には、無線LANチャンネル「wch14」の中心周波数「2484MHz」が関連づけられている。その他の無線LANチャンネル(wch3〜wch13)についても同様に、各無線LANチャンネルの中心周波数がそれぞれ関連づけられているので、その説明を省略する。
従って、DCL子機61において、無線LANチャンネル「wch1」の受信電界強度が測定される場合には、無線LANチャンネル「wch1」に対応する測定ポイント「2412MHz」の受信電界強度が測定されることになる。その他の無線LANチャンネル(wch2〜wch14)についても同様に、各無線LANチャンネルに対応する測定ポイントの受信電界強度が測定されることになる。
DCL子機61は、各無線LANチャンネルの受信電界強度を測定し終えたら、その測定結果である子機受信電界強度テーブルを、RAM64の受信電界強度テーブルメモリ64aに記憶し、そして、MFP1に対して送信する。MFP1は、DCL子機61から送信される測定結果(子機受信電界強度テーブル)を受信した場合に、その測定結果を子機受信電界強度テーブルメモリ13cに記憶する。
次に、子機受信電界強度テーブルについて説明する。図3(b)は、子機受信電界強度テーブルの内容を模式的に示した模式図である。子機受信電界強度テーブルは、上述したとおり、DCL子機61により測定された受信電界強度の測定結果である。子機受信電界テーブルは、無線LANチャンネルと、受信電界強度とにより構成されており、一の無線LANチャンネル毎に、その一の無線LANチャンネルに対応する測定ポイントの受信電界強度が関連づけられている。
例えば、無線LANチャンネル「wch1」には、無線LANチャンネル「wch1」の測定ポイントにおいて測定された受信電界強度「7」が関連づけられている。その他の無線LANチャンネル(wch2〜wch14)についても同様に、各無線LANチャンネルの測定ポイントにおいて測定された受信電界強度がそれぞれ関連づけられているので、その説明を省略する。
なお、DCL子機61により測定された一の無線LANチャンネルの受信電界強度が「1」であった場合は、その無線LANチャンネルの測定ポイント(中心周波数)において、電波を受信しなかったことを示す。つまり、測定された無線LANチャンネルは、DCL子機61周辺における無線通信で使用されていない可能性が高いことを示す。
一方、DCL子機61により測定された一の無線LANチャンネルの受信電界強度が「10」であった場合は、その無線LANチャンネルの測定ポイントにおいて、非常に強い電波を受信したことを示す。具体的には、測定された無線LANチャンネルが、DCL子機61周辺における無線通信200で使用されており、その無線LANチャンネルと帯域が重複するDCLチャンネルを、MFP1およびDCL子機61の間の無線通信300に使用すると、電波干渉が生じて通話が行えない状態を示す。なお、その他の受信電界強度(「2」〜「9」)については、受信電界強度「1」と「10」との間を等分に区切るものである。
ここで図1に戻り、説明を続ける。DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dは、DCLチャンネル選定テーブルが記憶されるメモリである。DCLチャンネル選定テーブルは、後述するDCLチャンネル選定処理(図5参照)において使用されるテーブルであり、各DCLチャンネル(dch1〜dch89)の中で、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される例えば45のDCLチャンネルを選定するためのテーブルである(図6および図7参照)。
DCLチャンネル選定テーブルは、DCLチャンネルと、DCLチャンネルを無線通信300に使用するか否かを示すステータス値とにより構成されており、一のDCLチャンネル毎に、その一のDCLチャンネルに対応するステータス値が関連づけられている。
ステータス値とは、関連づけられているDCLチャンネルを、MFP1およびDCL子機61の間の無線通信300に使用するか否かを示す値であり、使用禁止を示す値(例えば、「−1」)と、使用の保留を示す値(例えば、「0」)と、使用可能を示す値(例えば、「1」)との3つが設けられている。以後、説明を分かり易くするために、使用禁止を示すステータス値を「×」と称し、使用の保留を示すステータス値を「△」と称し、使用可能を示すステータス値を「○」と称する。
詳細については後述するが、DCLチャンネル選定処理(図5参照)が実行されると、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、まず始めに、全ての(89の)DCLチャンネルのステータス値が「○」に設定される(S21の処理)。そして、強い電波干渉を受けるDCLチャンネルから順番に、44のDCLチャンネルのステータス値が「×」に設定される。つまり、この処理によって、ステータス値が「○」である45のDCLチャンネルが選出される。なお、この処理により選出された45のDCLチャンネル値は、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bにそれぞれ記憶されると共に、DCL子機61に対して通知される。
操作ボタン15には、無線LANによる無線通信機能、DCLによる無線通信機能、およびプリント機能などの各機能の設定を行うためのボタンや、各種動作の指示を行うための入力ボタンや、電話番号を入力するための数字ボタンなどが設けられている。LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
無線LAN通信制御回路17は、無線LAN用アンテナ18を有しており、AP51との間で、スペクトラム拡散方式による無線通信200を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する既知の回路である。なお、この無線通信200に使用される一の無線LANチャンネルが示す帯域の中で、中心周波数に近い周波数ほど、電波の強度が高い。
また、無線LAN通信制御装置17は、AP51から通知される一の無線LANチャンネルを使用して、AP51との間で無線通信200を行う。MFP1は、AP51から通知される一の無線LANチャンネルを受信したら、その無線LANチャンネル値を無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する。なお、AP51との間の無線通信200に使用される一の無線LANチャンネルは、電波干渉の状態などに応じて、AP51により決定または変更される。また、AP51との間の無線通信200が終了した場合や、無線通信200が行われていない場合には、無線LANチャンネルメモリ13aに記憶したチャンネル値をクリア(削除)する。
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、DCL子機61のDCL通信制御回路67との間で無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号(音声データ)を送受信する回路である。
このDCL通信制御回路19と、DCL子機61のDCL通信制御回路67との間では、ホッピング周期(例えば、1/100秒)毎に、無線通信300に使用する一のDCLチャンネルを変更する周波数ホッピング方式により無線通信300が行われる。なお、この無線通信300に使用されるDCLチャンネルは、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶されている45のDCLチャンネルの中から一つ選択される。
スキャナ21は、所定の読取位置(非図示)にセットされた原稿から画像の読み取りを行うと共に、その画像をLCD16に表示したりプリンタ22で印刷可能な画像データを生成するものである。このスキャナ21により読み取られた画像データは、RAM13における所定の記憶領域に記憶される。
プリンタ22は、所定の給紙位置(非図示)にセットされた記録用紙に画像を印刷するインクジェット方式のプリンタで構成されている。プリンタ22は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使用する印刷ヘッド、紙送り装置、回復装置を備えカラー印刷を行う。印刷ヘッドには複数個のノズル(インク吐出口)が設けられており、ノズルからインク吐出を行いながら、紙送り装置で記録用紙を送り画像を記録用紙に印刷する。
送受話器23は、通話を行うための装置であり、マイクロフォンとスピーカとを有している。音声処理回路24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換する回路であり、DCL子機61から送信されDCL通信制御回路19により受信されるデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。
また、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号、及び、外部装置(図示しない)から電話回線網100を介してNCU25によって受信されるアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路19へ出力する。なお、DCL通信制御回路19に入力されたデジタル信号(音声データ)は、無線通信300を介してDCL子機61へ送信される。
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などを行って、外部装置(図示しない)との通話を制御するものである。
次に、AP51の電気的構成について説明する。AP51は、LAN500と接続されており、無線通信200を介して接続される端末装置(AP51に接続される各通信装置のこと)を、LAN500へ接続するための既知の回路を有した中継器である。
AP51は、無線LAN用アンテナ51aを有しており、MFP1の無線LAN通信制御回路17と無線通信200を可能に構成されている。AP51には、MFP1を始め、複数の端末装置が同時に接続可能であり、AP51と接続された各端末装置(MFP1や、その他の通信装置(図示しない))は、それぞれLAN500へと接続される。
次に、DCL子機61の電気的構成について説明する。DCL子機61は、MFP1との間で行われる無線通信300を介して、MFP1や、電話回線網100を介して接続される外部装置(図示しない)との間で通話を行うための装置である。
DCL子機61は、CPU62、ROM63、RAM64、DCL通信制御回路67、操作ボタン69、LCD70、マイクロフォン71、スピーカ72とを主に有している。CPU62、ROM63、RAM64、DCL通信制御回路67、操作ボタン69、LCD70、マイクロフォン71、及びスピーカ72は、バスライン75を介して互いに接続されている。
CPU62は、ROM63やRAM64に記憶される固定値やプログラム或いは、DCL通信制御回路67を介して送受信される各種信号に従って、バスライン75により接続された各部を制御するものである。ROM63は、DCL子機61で実行される各種の制御プログラムを記憶する書換不能なメモリである。図4(b)のフローチャートに示す子機電界強度測定処理を実行するプログラムは、このROM63に格納されている。
また、このROM63には、測定ポイントテーブルメモリ63aが設けられている。測定ポイントテーブルメモリ63aには、上述した測定ポイントテーブル(図3(a)参照)が格納されている。
RAM64は、各種のデータを一時的に記憶するための書換可能なメモリである。RAM64には、受信電界強度テーブルメモリ64aが設けられている。受信電界強度テーブルメモリ64aは、上述した子機受信電界強度テーブル(図3(b)参照)が記憶される。DCL子機61において、子機電界強度測定処理(図4(b)参照)が実行されると、各無線LANチャンネルの受信電界強度が測定され、その測定結果である子機受信電界強度テーブルが、この受信電界強度テーブルメモリ64aに記憶される。
DCL通信制御回路67は、DCL用アンテナ68を有しており、MFP1のDCL通信制御回路19と無線通信300を行い、MFP1との間でデータ通信や、音信号などの送受信を可能にする既知の回路である。
DCL通信制御回路67は、DCL用アンテナ68を有しており、親機であるMFP1のDCL通信制御回路19との間で無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号を送受信する既知の回路である。DCL通信制御回路67は、MFP1のDCL通信制御回路19から通知される45のDCLチャンネルを使用して、周波数ホッピング方式によりMFP1との間で無線通信300を行う。なお、MFP1のDCL通信制御回路19から通知される45のDCLチャンネルは、例えば、RAM64における所定の記憶領域に記憶される。
また、DCL通信制御回路67には、受信電界強度測定回路67aが設けられている。受信電界強度測定回路67aは、測定対象の周波数における(指定した周波数における)受信電界強度を測定する既知の回路である。
操作ボタン69には、電話番号を入力するための数字ボタンなどの各種ボタンが設けられている。LCD70は、DCL子機61の操作手順や、動作状態や、通話状態などを表示するための表示デバイスである。
マイクロフォン71は、入力された音を音信号に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100(図2参照)を介して外部装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザはDCL子機61を用いて外部装置との間で通話を行うことができる。ユーザから発せられる音声は、このマイクロフォン71によって音信号に変換され、無線通信300および電話回線網100を介して外部装置へと送信される。
スピーカ72は、入力された音信号を音に変換して発音するものであり、エラー発生時の注意音や、電話回線網100を介した外部装置からの着呼に応じた呼出音や、外部装置から送信されてくる音信号に基づく音声などが発音される。
次に、図4(a)を参照して、MFP1のCPU11により実行される通信チャンネル選定処理について説明する。図4(a)は、MFP1の通信チャンネル選定処理を示すフローチャートである。
この通信チャンネル選定処理は、DCL通信制御回路19とDCL子機61との間で無線通信300を開始するための処理であり、MFP1とDCL子機61との間、または、電話回線網100に接続される外部装置(図示しない)とDCL子機61との間で、通話が開始される場合に実行される処理である。
この通信チャンネル選定処理では、まず、DCL子機61に対して「通信状況測定要求」を送信する(S1)。詳細については後述するが(図4(b)参照)、DCL子機61は、MFP1から送信される「通信状況測定要求」を受信すると、各無線LANチャンネル(wch1〜wch14)についての受信電界強度を測定し、その測定結果である「子機受信電界強度テーブル」のデータをMFP1対して送信する。
次に、DCL子機61から送信される「子機受信電界強度テーブル」のデータを受信したかを判定し(S2)、その「子機受信電界強度テーブル」のデータを受信するまで待機する(S2:No)。一方、DCL子機61から送信される「子機受信電界強度テーブル」のデータを受信した場合には(S2:Yes)、受信した「子機受信電界強度テーブル」のデータをRAM13の子機受信電界強度テーブルメモリ13cに記憶し(S3)、DCLチャンネル選定処理を実行する(S4)。
詳細については後述するが(図5参照)、DCLチャンネル選定処理(S4)は、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)のうち、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される例えば45のDCLチャンネルを選択する処理である。このDCLチャンネル選定処理(S4)が実行されると、選択された例えば45のDCLチャンネルが、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶される。
次に、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶されている全て(45個)のDCLチャンネルをDCL子機61へ通知し(S5)、DCL子機61との間で無線通信300を開始して(S6)、この通信チャンネル選定処理を終了する。
次に、図4(b)を参照して、DCL子機61のCPU62により実行される子機電界強度測定処理について説明する。図4(b)は、DCL子機61の子機電界強度測定処理を示すフローチャートである。
この子機電界強度測定処理は、DCL子機61において各無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の受信電界強度を測定するための処理であり、MFP1から送信される「通信状況測定要求」を受信した場合に実行される処理である。
この子機電界強度測定処理では、まず、DCL通信制御回路67の受信電界強度測定回路67aによって、全ての無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の受信電界強度を測定する(S11)。具体的には、測定ポイントテーブルメモリ63aの測定ポイントテーブルを参照し、測定する無線LANチャンネル(wch1〜wch14)に対応する測定ポイント(各無線LANチャンネルの中心周波数)を取得する。そして、測定ポイントにおける受信電界強度を受信電界強度測定回路67aにより測定する。
例えば、無線LANチャンネル「wch1」の受信電界強度が測定される場合には、無線LANチャンネル「wch1」の測定ポイント「2412MHz」が取得され、受信電界強度測定回路67aにより周波数「2412MHz」における受信電界強度が測定される。
次に、各無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の受信電界強度の測定結果である子機受信電界強度テーブルのデータを、RAM64の受信電界強度テーブルメモリ64aに記憶する(S12)。そして、RAM64の受信電界強度テーブルメモリ64aに記憶されている子機受信電界強度テーブルのデータをMFP1へ送信し(S13)、この子機電界強度測定処理を終了する。
以上の図4(b)のフローチャートの子機電界強度測定処理により、MFP1から送信される「通信状況測定要求」を受信した場合に、DCL子機61において、各無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の受信電界強度を測定し、その測定結果をMFP1へ送信することができる。
この処理では、各無線LANチャンネル(wch1〜wch14)の中心周波数における受信電界強度のみを測定するので、各無線LANチャンネルの帯域全体における受信電界強度を測定する場合よりも、測定を短時間で行うことができる。よって、MFP1に対して迅速に測定結果を送信することができるので、MFP1において、45のDCLチャンネルをより速く選択することができ、新たに選択されたDCLチャンネルで、MFP1とDCL子機61との間の無線通信300をより速く開始することができる。
次に、図5〜図7を参照して、MFP1のCPU11により実行されるDCLチャンネル選定処理(S4)について説明する。図5は、MFP1のDCLチャンネル選定処理(S4)を示すフローチャートである。図6および図7は、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dに記憶されるDCLチャンネル選定テーブルの内容の一例を模式的に示した模式図である。
このDCLチャンネル選定処理(S4)は、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される例えば45のDCLチャンネルを選択する処理である。
このDCLチャンネル選定処理(S4)では、まず、RAM13のDCLチャンネル選定テーブルメモリ13dを初期化する(S21)。具体的には、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、全ての(89の)DCLチャンネルのステータス値を「○(使用可能)」に設定する。
次に、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されているかを判定する(S22)。ここで、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されている場合には、無線LAN通信制御回路17とAP51との間で無線通信200が行われていることを示す。一方、無線LANチャンネルが記憶されていない場合には、無線通信200が行われていないことを示す。
S22の処理において、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されている場合は(S22:Yes)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、その記憶されている無線LANチャンネルと重複する全てのDCLチャンネルのステータス値を「×(使用不可)」に設定する(S23)。
ここで、無線LANチャンネルメモリ13aに、無線LANチャンネル「wch3」が記憶されている場合について説明する。まず、チャンネル対応テーブルメモリ12aのチャンネル対応テーブルを参照して、無線LANチャンネル「wch3」と重複するDCLチャンネル(dch15〜dch36)を取得する。そして、図6(a)に示すように、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、その取得した各DCLチャンネル(dch15〜dch36)のステータス値をそれぞれ「×(使用不可)」に設定する。無線LANチャンネルメモリ13aに、その他の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)が記憶されている場合についても同様であるので、その説明を省略する。
S22の処理において、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されていない場合は(S22:No)、S23の処理をスキップして、S24の処理へ移行する。
次に、子機受信電界強度テーブルメモリ13cの子機受信電界強度テーブルにおいて、受信電界強度が強い順に、無線LANチャンネルを一つ抽出し(S24)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、S24の処理で抽出した無線LANチャンネルと重複する全てのDCLチャンネルのステータス値を「△(保留)」に設定する(S25)。
そして、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「×(使用禁止)」または「△(保留)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」未満であるかを判定する(S26)。
S26の処理において、ステータス値が「×(使用禁止)」または「△(保留)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」未満である場合には(S26:Yes)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、「△(保留)」と設定されているステータス値を全て、「×(使用禁止)」に変更する(S27)。一方、ステータス値が「×(使用禁止)」または「△(保留)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」以上である場合には(S26:No)、S28の処理へ移行する。
例えば、子機受信電界強度テーブルの内容が、図3(b)に示す状態であれば、受信電界強度「8」が最も強いので、まず始めに、無線LANチャンネル「wch8」を抽出する。そして、チャンネル対応テーブルメモリ12aのチャンネル対応テーブルを参照し、無線LANチャンネル「wch8」と重複するDCLチャンネル(dch42〜dch63)を取得する。そして、図6(b)に示すように、まず、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、その取得したDCLチャンネル(dch42〜dch63)のステータス値を全て「△(保留)」に設定する。
ここで、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「×」または「△」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」未満で有れば、先ほど取得した各DCLチャンネル(dch42〜dch63)のステータス値を全て、「×(使用不可)」に設定する。一方、ステータス値が「×」または「△」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」以上で有れば、ステータス値を変更せずに、S28の処理を実行する。
S28の処理では、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「△(保留)」であるDCLチャンネルのうち、その無線LANチャンネルの中心周波数に対して直近に配置された一つのチャンネルのステータス値を「×(使用禁止)」に設定する(S28)。
無線LANチャンネルの中心周波数に対して直近に配置されたチャンネルを特定する方法としては、例えば、ステータス値を変更する前であれば、ステータス値が「△(保留)」であるDCLチャンネルが連続して並んでいるので、その並びの両端を取得することができる。そして、その両端を基準として、その並びの中央近くに配置されているDCLチャンネルを中心周波数に対して直近に配置されたチャンネルと特定する。
次に、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」であるかを判定し(S29)、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」に満たない場合には(S29:No)、S28の処理に戻り、S28およびS29の処理を繰り返す。
例えば、DCLチャンネル選定テーブルの内容が、図6(b)に示す状態であれば、ステータス値が「△(保留)」であるDCLチャンネル(dch42〜dch63)のうち、無線LANチャンネル(ここでは、wch8)の中心周波数に対して直近に配置されたDCLチャンネルは「dch52」と特定される。よって、図7に示すように、DCLチャンネル「dch52」のステータス値が「△(保留)」から「×(使用禁止)」に変更される。
そして、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」に満たない場合には続けて、図7に示すように、ステータス値が「△(保留)」であるDCLチャンネルのうち、次に直近に配置されたDCLチャンネル「dch53」のステータス値が「△(保留)」から「×(使用禁止)」に変更される。以後同様に、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」となるまで、上述した処理が繰り返される。
S29の処理において、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」となった場合には(S29:Yes)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、「△(保留)」と設定されているステータス値を全て「○(使用可能)」に変更する(S30)。
例えば、図7に示すように、DCLチャンネル「dch52」,「dch53」のステータス値が「△(保留)」から「×(使用禁止)」に変更された場合に、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」となった場合には、ステータス値が「△(保留)」であるその他のDCLチャンネル(dch42〜dch51,dch54〜dch63)のステータス値がそれぞれ「○(使用可能)」に変更される。
次に、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「○(使用可能)」に設定されている45のDCLチャンネルを、DCLチャンネルメモリ13bに記憶し(S31)、このDCLチャンネル選定処理を終了する。
以上の図5のフローチャートのDCL通信チャンネル選定処理により、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、受信電界強度が強い無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との重複を避けた45のDCLチャンネルを選択することができる。よって、MFP1とDCL子機61との間、または、電話回線網100に接続される外部装置(図示しない)とDCL子機61との間で通話が行われる場合に、通話品質が低下することを抑制することができる。
また、各無線LANチャンネルの受信電界強度は、DCL子機61において測定されるので、DCL子機61において最も電波干渉が抑えられるDCLチャンネルが選択されることになる。よって、特に、DCL子機61が、他の通信装置から電波干渉を受けている場合には、その電波干渉を低下させることができるので、DCL子機61における通信品質を向上させることができ、通話品質を向上させることができる。
また、無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルを全て除外してしまうと、除外するチャンネル数が「44ch」を超えてしまう場合には、無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルのうち、その無線LANチャンネルの中心周波数に対して直近に配置されたDCLチャンネルから順に除外される。上述したように、無線通信200では、一の無線LANチャンネルが示す帯域の中で、中心周波数に近い周波数ほど、電波の強度が高いので、その中心周波数に近い配置のDCLチャンネルから順に除外することにより、無線通信300が、無線通信200から受ける電波干渉をさらに抑制することができる。
また、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、44のDCLチャンネルを除外する場合に、既に、無線LAN通信制御回路17とAP51との間で、無線通信200が行われている場合には、まず始めに、無線LAN通信制御回路17が無線通信200に使用している無線LANチャンネルに対応する全てのDCLチャンネルが除外され、その後、受信電界強度が強い無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルが除外されることになる。よって、MFP1とAP51との間で、無線通信200が行われている場合に、無線通信300が、MFP1による無線通信200から受ける電波干渉を抑制することができる。
次に、本発明の第2の実施形態であるMFP31について説明する。第1の実施形態のMFP1は、MFP1とDCL子機61との間の無線通信300に使用する例えば45のDCLチャンネルを選定する場合に、受信電界強度が強い順に無線LANチャンネルを抽出して、その無線LANチャンネルに対応する全てのDCLチャンネルを除外していくものであるが、第2の実施形態のMFP31は、受信電界強度が強い順に無線LANチャンネルを抽出して、その無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルの中から、受信電界強度に応じた数のDCLチャンネルを除外していくものである。
次に、図8(a)を参照して、MFP31の電気的構成について説明する。図8(a)は、MFP31のROM32の電気的構成を示すブロック図である。MFP31の電気的構成を示すブロック図において、第1の実施形態であるMFP1のブロック図(図1参照)と異なる部分は、ROM32のみであるため、ROM32についてのみ説明し、その他の同一部分については、その説明を省略する。
ROM32は、MFP31で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図4(a)のフローチャートに示す通信チャンネル選定処理、および、図9のフローチャートに示すDCLチャンネル選定処理Aを実行する各プログラムは、このROM32に格納されている。
また、ROM32には、チャンネル対応テーブルメモリ32aと、チャンネル除外数テーブルメモリ32bとが設けられている。チャンネル対応テーブルメモリ32aは、第1の実施形態のチャンネル対応テーブルメモリ12aと同様に構成されているので、その説明を省略する。チャンネル除外数テーブルメモリ32bは、チャンネル除外数テーブルが格納されるメモリである。
ここで、図8(b)を参照してチャンネル除外数テーブルについて説明する。図8(b)は、チャンネル除外数テーブルの内容を模式的に示した模式図である。チャンネル除外数テーブルは、受信電界強度と、チャンネル除外数とにより構成されており、一の受信電界強度毎に、その一の受信電界強度に対応するチャンネル除外数が関連づけられている。
例えば、図8(b)に示すように、受信電界強度「10」と、チャンネル除外数「10」とが関連づけられている。以下同様に、受信電界強度「9」と、チャンネル除外数「8」とが関連づけられ、受信電界強度「8」と、チャンネル除外数「6」とが関連づけられている。その他の受信電界強度についても同様に、各受信電界強度(7〜1)に対して、その受信電界強度に対応するチャンネル除外数が関連づけられているので、その説明を省略する。なお、このチャンネル除外数テーブルは、受信電界強度が弱くなるに従ってチャンネル除外数が小さくなるように構成されている。
次に、図9を参照して、MFP31のCPU11により実行されるDCLチャンネル選定処理Aについて説明する。図9は、MFP31のDCLチャンネル選定処理Aを示すフローチャートである。なお、第1の実施形態におけるDCLチャンネル選定処理(図5参照)と同一な構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
このDCLチャンネル選定処理Aは、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選択する処理である。
このDCLチャンネル選定処理Aでは、まず、S21〜S23の処理を実行し、子機受信電界強度テーブルメモリ13cの子機受信電界強度テーブルにおいて、受信電界強度が強い順に、無線LANチャンネルを一つ抽出する(S24)。
次に、S24の処理において、新たに一の無線LANチャンネルを抽出できたかを判定し(S41)、新たに一の無線LANチャンネルを抽出できた場合には(S41:Yes)、ROM32のチャンネル除外数テーブルメモリ32bに格納されているチャンネル除外数テーブルから、抽出した無線LANチャンネルの受信電界強度に対応するチャンネル除外数を読み取り、その値を変数nに代入する(S42)。そして、変数iに「0」を代入して初期化し(S43)、変数iの値が、変数nの値以上であるかを判定する(S44)。
S44の処理において、変数iの値が、変数nの値未満である場合は(S44:No)、読み取ったチャンネル除外数のDCLチャンネルを除外していないので、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、S24の処理で抽出した無線LANチャンネルと重複するDCLチャンネルのうち、その無線LANチャンネルの中心周波数に対する配置が近い順に、一つのDCLチャンネルのステータス値を「×(使用不可)」に設定する(S45)。
次に、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」であるかを判定し(S46)、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」に満たない場合には(S46:No)、変数iに「1」を加算して(S47)、S44の処理に戻り、上述したS44およびS47の処理を繰り返す。
例えば、S24の処理を始めて実行する場合に、子機受信電界強度テーブルの内容が、図3(b)に示す状態であれば、受信電界強度「8」が最も強いので、まず、無線LANチャンネル「wch8」を抽出する。そして、チャンネル除外数テーブルメモリ32bのチャンネル除外数テーブルを参照し、受信電界強度「8」に対応するチャンネル除外数「6」を取得し、変数nに代入する。
次に、変数iに「0」が代入され、変数iの値と変数nの値とを比較する。ここでは、まだ、一つもDCLチャンネルを除外していないので、無線LANチャンネル「wch8」に対応するDCLチャンネル「dch42〜dch63」のうち、中心周波数に対する配置が最も近いDCLチャンネル「dch52」のステータス値を「○(使用可能)」から「×(使用禁止)」に変更する。そして、変数iに「1」を加算して、再度、変数iの値と変数nの値とを比較する。
つまり、変数iの値が、チャンネル除外数「6」となるまで、無線LANチャンネルの中心周波数に対する配置が近いDCLチャンネルから順に、一つずつそのステータス値を「○(使用可能)」から「×(使用禁止)」に変更していく。従って、変数iの値が「1」の場合には、無線LANチャンネル「wch8」に対応するDCLチャンネル「dch42〜dch63」のうち、中心周波数に対する配置が2番目に近いDCLチャンネル「dch53」のステータス値を「○(使用可能)」から「×(使用禁止)」に変更する。以後は同様に処理が繰り返されるので、その説明を省略する。
S46の処理において、ステータス値が「×(使用禁止)」であるDCLチャンネルの数が、「44ch」となった場合には(S46:Yes)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「○(使用可能)」に設定されている45のDCLチャンネルを、DCLチャンネルメモリ13bに記憶し(S31)、このDCLチャンネル選定処理Aを終了する。
S44の処理において、変数iの値が、変数nの値以上である場合には(S44:Yes)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、読み取ったチャンネル除外数のDCLチャンネルを除外したので、S24の処理に戻り、S24〜S44の各処理を繰り返す。
S41の処理において、(既に全ての無線LANを抽出したために)新たに一の無線LANチャンネルを抽出できなかった場合には(S41:No)、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13dのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、45を超えるDCLチャンネルのステータス値が「○(使用可能)」に設定されているので、DCLチャンネルのチャンネル値が小さい順に、45のDCLチャンネルをDCLチャンネルメモリ13bに記憶し(S48)、このDCLチャンネル選定処理Aを終了する。
以上の図9のフローチャートのDCL通信チャンネル選定処理Aにより、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、DCL子機61周辺において使用中の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選択することができる。
具体的には、受信電界強度が強い順に無線LANチャンネルが抽出され、その無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルの中から、受信電界強度に応じた数のDCLチャンネルが除外される。つまり、89のDCLチャンネルにおいて、除外されるDCLチャンネルが分散されることになるので、無線通信300に使用される45のDCLチャンネルも、89のDCLチャンネルにおいて分散されたものとなる。
よって、無線通信300に使用される45のDCLチャンネルと、一の無線LANチャンネルとの帯域が重複する可能性が低下するので、無線通信300が、無線通信200から電波干渉を受ける可能性を低下させることができる。
また、受信電界強度が強い順に無線LANチャンネルが抽出された場合に、その無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルの中で、その無線LANチャンネルの中心周波数に対する配置が近いDCLチャンネルから順に除外される。上述したように、無線通信200では、一の無線LANチャンネルが示す帯域の中で、中心周波数に近い周波数ほど、電波の強度が高いので、その中心周波数に近い配置のDCLチャンネルから順に除外することにより、無線通信300が、無線通信200から受ける電波干渉をさらに抑制することができる。
特に、受信電界強度が強い無線LANチャンネルが複数存在している状態、すなわち、無線通信200により2.4GHz帯の大部分が使用されている場合には、電波干渉を最も受けるDCLチャンネル、すなわち、各無線LANチャンネルの中心周波数の近傍に位置するDCLチャンネルが、受信電波強度に応じたチャンネル除外数だけ除外される。よって、電波干渉を強く受けるDCLチャンネルを除外しつつ、無線通信300に使用する45のDCLチャンネルを確保することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
例えば、本実施形態のMFP1は、無線LAN通信制御回路17と、DCL通信制御回路19とを備えた構成であるが、無線LAN通信制御回路17の代わりに、DCL通信制御回路19と同じ周波数帯域を使用して無線通信を行うその他の通信制御回路(例えば、Bluetooth(登録商標)通信制御回路)であっても良い。もちろん、無線LAN通信制御回路17と、その他の通信制御回路と、DCL通信制御回路19とを備えた構成であっても良い。そして、このような場合でも、DCL子機61に、その他の通信制御回路が無線通信に使用するチャンネルの受信電界強度を測定する回路を設けることにより、その他の通信制御回路が無線通信に使用するチャンネルとの電波干渉が抑制される例えば45のDCLチャンネルを選択することができるので、無線通信200が、その他の通信制御回路による無線通信から受ける電波干渉を抑制することができる。
また、本実施形態は、2.4GHz帯の一部または全部を使用した無線通信の電波干渉を抑制または低下させるものであるが、例えば、5GHz帯や、2.5GHz帯など、他の周波数帯域を使用する無線通信においても適用することができる。
また、本実施形態では、直接拡散方式により無線通信200を行う無線LAN通信制御回路17が用いられているが、スペクトラム拡散方式により無線通信を行う他の無線通信制御回路を用いても良い。例えば、スペクトル拡散方式の一例である周波数ホッピング方式や、直接拡散方式および周波数ホッピング方式を組み合わせたハイブリッド方式を用いた無線通信制御回路などが該当する。
また、本実施形態では、DCL子機61で測定される受信電界強度を電波干渉(通信状況)の判断基準としているが、DCL子機61にBER(ビットエラーレート)検出回路を設けて、検出されるBER値を電波干渉の判断基準としても良い。例えば、BER値が低いほど電波干渉が弱く、BER値が高いほど電波干渉が強いと判断することができる。また、BER検出回路の検出値と、受信電界強度測定回路67aの検出値とを組み合わせて判断基準とすれば、さらに精度良く通信状況を判定することができる。
また、本実施形態では、DCL子機61において受信電界強度を測定しているが、MFP1にも受信電界強度測定回路を設け、MFP1で測定される受信電界強度と、DCL子機61で測定される受信電界強度とをそれぞれ測定するように構成しても良い。そして、MFP1で測定される受信電界強度と、DCL子機61で測定される受信電界強度との値を用いた受信電界強度に基づいて、例えば45のDCLチャンネルを選択すれば、MFP1およびDCL子機61において受ける電波干渉をそれぞれ抑制することができる。よって、MFP1とDCL子機61との間、または、電話回線網100に接続される外部装置(図示しない)とDCL子機61との間で通話が行われる場合に、通話品質の低下を最も抑制することができる。
また、本実施形態では、DCLチャンネル選定処理(図5参照)またはDCLチャンネル選定処理A(図9参照)で説明したように、受信電界強度が強い順に無線LANチャンネルを抽出し、DCLチャンネルの残存数が「45」となるまで、89のDCLチャンネルの中から、その無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルを除外しているが、逆に、45のDCLチャンネルを選出するように構成しても良い。すなわち、受信電界強度の弱い順に無線LANチャンネルを抽出し、その無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルの中から、選出したDCLチャンネルの数が「45」となるまで、DCLチャンネルの選出を繰り返すように構成しても良い。なお、この場合は、一の無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルのうち、一の無線LANチャンネルが示す帯域の両端に近い配置のDCLチャンネルから順に選出する。一の無線LANチャンネルの中心周波数から極力離れた位置のDCLチャンネルから順に選択することにより、無線通信300が、無線通信200から受ける電波干渉を抑制することができる。
また、本実施形態のMFP1は、無線LAN通信制御回路17と、DCL通信制御回路19とを備えた構成であるが、DCL通信制御回路19のみで構成されていても良い。その場合には、図5または図9のフローチャートにおいて、S22およびS23の処理をスキップさせる。
また、本実施形態では、各無線LANチャンネルに対応する中心周波数の受信電界強度を測定しているが、中心周波数の近傍の周波数の受信電界強度を測定しても良い。
また、本実施形態では、MFP1(MFP31)が通信装置の親機の機能を有しており、DCL子機61が通信装置の子機の機能を有しているが、DCL子機61が通信装置の親機の機能を有し、MFP1(MFP31)が通信装置の子機の機能を有していても良い。