以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における無線通信システムを有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する)1の電気的構成を示したブロック図である。
このMFP1は、アクセスポイント51との間で無線通信200を行い、アクセスポイント51に接続されたLAN(Local Area Network)500にアクセスする無線LAN機能、MFP1とデジタルコードレス子機61(以下、「DCL子機61」と称する)との間で無線通信300を行いながら通話を行うデジタルコードレス電話(DCL)機能、電話回線網100を介して外部の電話機3と通話を行う一般電話機能を有する多機能周辺装置である。MFP1がDCL機能を動作させる場合、MFP1はDCL子機61の親機として機能する。
無線LANによる無線通信200とDCLによる無線通信300とは、いずれも2.4GHz帯(2.4GHz〜2.5GHz)の周波数帯域を使用して無線通信を行う(図8参照)。そして、無線LANによる無線通信200は、2.4GHz帯を14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)に分割し、そのうちの一の無線LANチャンネルを利用して、直接拡散方式により無線通信を行う。一方、DCLによる無線通信300は、2.4GHz帯を89のDCLチャンネル(ch1〜ch89)に分割し、このうち45のDCLチャンネルの間を所定の周期(ホッピング周期:1/100秒)毎にホッピングする、周波数ホッピング方式によって無線通信を行う。
また、MFP1の周辺では、無線通信200、無線通信300だけでなく、アクセスポイント51が、MFP1とは別のパーソナルコンピュータ(以下、「PC(Personal Computer)」と称する)2との間で無線LANによる無線通信400を行うと共に、他のアクセスポイント(図示せず)とPC(図示せず)との間でも無線LANによる無線通信が行われている。
即ち、複数の無線LANによる無線通信によって、2.4GHz帯の周波数帯域に設けられた無線LANチャンネル(図8参照)が使用される。これにより、無線LANチャンネルと同じ2.4GHz帯に設けられた複数のDCLチャンネルの中に、無線LANチャンネルとの間で電波干渉の生ずるDCLチャンネルが存在する。MFP1は、このような環境下であっても、確実に電波干渉の影響を抑えながら、DCL機能による無線通信300を良好に行うことができるように構成されている。
ここで、図2を参照して、本実施形態におけるMFP1の動作原理について説明する。
図2は、MFP1の動作原理を説明する説明図であり、図1に示したPC2、アクセスポイント51、MFP1、他のアクセスポイント(図示せず)、および他のPC(図示せず)のそれぞれにおいて、無線通信を行う場合に送受信される信号や内部の状態を、図面左側から右側に向けて示した時間軸に沿って示している。また、MFP1については、無線LAN機能およびDCL機能に分けて、送受信される信号や内部の状態をそれぞれ示している。
図2の例において、期間Aには、PC2とアクセスポイント51との間で、無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線LANによる無線通信400が行われる場合について示している。この場合、まず、PC2からアクセスポイント51に対して、RTS(Request to Send)信号が送信される。このRTS信号は、PC2からアクセスポイント51に対してデータの送信を要求する信号であり、アクセスポイント51がこのRTS信号を受信すると、データの受信準備を行う。
アクセスポイント51において受信準備が完了すると、そのことをPC2に通知するCTS(Clear to Send)信号が、アクセスポイント51からPC2に対して送信される。そして、PC2はCTS信号を受信すると、無線LANチャンネル「wch1」を使用して、アクセスポイント51に対してデータの送信を行う。その後、アクセスポイント51において、正常にデータが受信されると、ACK(Acknowledgment)信号がアクセスポイント51からPC2に送信され、PC2とアクセスポイント51との間のデータの送受信が完了する。
ここで、RTS信号には、データの送受信を行うために一の無線LANチャンネルを使用して無線通信を行う予定期間を示すデュレーション(期間)情報が含まれている。一般的に、このデュレーション情報は、一の無線LANチャンネルを使用する複数の無線LANによる無線通信の間で、無線通信の衝突が生じるのを防止するために使用される。
例えば、アクセスポイント51との間で無線LANによる無線通信を行うPC2以外の装置(図2の例では、MFP1)がPC2から送信されたRTS信号を受信すると、MFP1の無線LAN機能は、RTS信号に含まれるデュレーション情報に基づき、PC2が無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線LANによる無線通信400を行う予定期間中は、アクセスポイント51との間の無線通信200を禁止する期間(無線通信禁止期間)となる。これにより、PC2とアクセスポイント51との間で無線LANによる無線通信400が行われている間、MFP1とアクセスポイント51との間で行われる無線LANによる無線通信200と衝突することが避けられる。尚、ここで、無線LANによる無線通信が行われるとは、データの送受信が無線LANによる無線通信よって行われることを指す。また、以下の説明においても同様である。
一方、本実施形態におけるMFP1では、RTS信号に含まれるデュレーション情報を、DCLによる無線通信300を制御するためにも使用する。例えば、図2に示した期間Aでは、MFP1がPC2によって送信されたRTS信号を受信すると、MFP1のDCL機能は、RTS信号に含まれるデュレーション情報に基づき、PC2が無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線LANによる無線通信400を行う予定期間中は、その無線LANチャンネル「wch1」と同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネル「ch1」〜「ch25」(図8参照)の使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300を制御する。
これにより、無線LANによる無線通信400とDCLによる無線通信300とによって、同一の周波数帯域を持つ無線LANチャンネル及びDCLチャンネルが同時に使用されることを防ぐことができる。また、無線LANによる無線通信において発せられるRTS信号を利用して、それに含まれるデュレーション情報から、予めPC2が無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線通信400を行う予定期間を認識できると共に、その期間中、DCLによる無線通信300において電波干渉が生じるのを確実に抑制できる。
次に、図2の例において、期間Bには、図1に示したPC2とは別の「他のPC」と、アクセスポイント51とは別の「他のアクセスポイント」との間で、無線LANチャンネル「wch14」を使用して無線LANによる無線通信が行われる場合について示している。この場合も、「他のPC」から「他のアクセスポイント」に対して送信されたRTS信号を受けて、「他のアクセスポイント」から「他のPC」に対してCTS信号が送信されると、「他のPC」と「他のアクセスポイント」の間で、無線LANチャンネル「wch14」を使用したデータの送受信が無線LANによる無線通信によって行われる。
ここで、「他のPC」から送信される電波の受信可能範囲にMFP1が含まれず、「他のアクセスポイント」から送信される電波の受信可能範囲にMFP1が含まれる場合、「他のPC」から送信されるRTS信号はMFP1で受信できないが、「他のアクセスポイント」から送信されるCTS信号はMFP1で受信することができる。そして、このCTS信号にも、RTS信号と同じデュレーション(期間)情報が含まれている。
MFP1では、このCTS信号に含まれるデュレーション情報も、DCLによる無線通信300を制御するために使用する。例えば、図2に示した期間Bでは、MFP1が「他のアクセスポイント」によって送信されたCTS信号を受信すると、MFP1のDCL機能は、そのCTS信号に含まれるデュレーション情報に基づき、「他のPC」が無線LANチャンネル「wch14」を使用して無線通信を行う予定期間中は、その無線LANチャンネル「wch14」と同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネル「ch65」〜「ch89」(図8参照)の使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300を制御する。
これにより、「他のPC」が無線LANチャンネル「wch14」を使用して無線通信を行う予定期間中、DCLによる無線通信300において電波干渉が生じるのを確実に抑制できる。
このように、MFP1は、無線LANによる無線通信において発せられるCTS信号を利用して、それに含まれるデュレーション情報から、予め「他のPC」が無線LANチャンネル「wch14」を使用して無線通信を行う予定期間を認識できる。よって、この予定期間は、「他のPC」から送信されたRTS信号を受信できなくても、「他のアクセスポイント」から送信されたCTS信号を受信することによって、認識することができるので、この予定期間をより正確に予め認識することができる。
更に、図2の例において、期間Cには、MFP1の無線LAN機能とアクセスポイント51との間で、無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線LANによる無線通信200が開始された後に、「他のPC」と「他のアクセスポイント」との間で、無線LANチャンネル「wch14」を使用して、無線LANによる無線通信が開始される場合を示している。
この場合も、MFP1の無線LAN機能からアクセスポイント51に対して送信されたRTS信号を受けて、アクセスポイント51からMFP1に対してCTS信号が送信されると、MFP1とアクセスポイント51との間で、無線LANチャンネル「wch1」を使用したデータの送受信が、無線LANによる無線通信200によって行われる。また、「他のPC」から「他のアクセスポイント」に対して送信されたRTS信号を受けて、「他のアクセスポイント」から「他のPC」に対してCTS信号が送信されると、「他のPC」と「他のアクセスポイント」との間で、無線LANチャンネル「wch14」を使用したデータの送受信が、無線LANによる無線通信によって行われる。
ここで、MFP1の無線LAN機能では、アクセスポイント51に対して送信すべきRTS信号を生成すると、そのRTS信号に含めるデュレーション情報をDCL機能側に通知する。MFP1のDCL機能は、この通知されたデュレーション情報を基に、DCLによる無線通信300を制御する。
例えば、図2の期間Cの例では、無線LAN機能側から通知されたデュレーション情報に基づき、MFP1のDCL機能は、無線LAN機能が無線LANチャンネル「wch1」を使用して無線通信を行う予定期間中、無線LANチャンネル「wch1」と同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネル「ch1」〜「ch25」(図8参照)の使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300を制御する。これにより、無線LANによる無線通信200と、DCLによる無線通信300とが、同一の周波数帯域を持つチャンネルを同時に使用することを防ぐことができる。
尚、MFP1とアクセスポイント51との間の無線LANによる無線通信200において、アクセスポイント51からMFP1に対してRTS信号が送信される場合には、MFP1の無線LAN機能側が受信したRTS信号に含まれるデュレーション情報を、DCL機能側に通知する。
このように、無線LANによる無線通信200によって無線LANチャンネルの使用される予定期間が、無線LAN機能側から通知されるので、MFP1は、その予定期間を予め認識することができる。従って、その期間中、DCLによる無線通信300において、無線LANによる無線通信200との間で生じる電波干渉の影響を確実に抑制できる。
また、無線LAN機能側から予定期間が通知されるので、無線LANによる無線通信200で送受信されるRTS信号またはCTS信号を受信しなくても、MFP1は、その無線通信200によって無線LANチャンネルの使用される予定期間を容易に且つ確実に認識することができる。
一方、MFP1が「他のアクセスポイント」から送信されたCTS信号を受信すると、MFP1のDCL機能は、そのCTS信号に含まれるデュレーション情報と、先にMFP1の無線LAN機能から通知されたデュレーション情報とに基づき、無線LANチャンネル「wch1」及び「wch14」を使用して無線通信が行われる予定期間を認識する。そして、ここで認識される予定期間中は、送信すべきデータを複数回(本実施例では2回)繰り返しながら送信するマルチスロット送信を行うように、DCLによる無線通信300を制御する。
このように、複数の無線LANチャンネルが使用される予定期間中は、DCLによる無線通信300において、送信すべきデータがマルチスロット送信される。これにより、その複数の無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルを使用して、DCLによる無線通信が行われても、電波干渉による通信エラーを可能な限り少なくすることができる。よって、DCLによる無線通信300のホッピングで使用する45のDCLチャンネルにおいて、電波干渉の生じないDCLチャンネルを確保することが困難な状況であっても、電波干渉による通信エラーを可能な限り少なくすることができる。
なお、図2の期間Cにおいて、MFP1の無線LANによる無線通信が行われる予定期間が経過すると、MFP1の周辺では、他のPCと他のアクセスポイントとの間で、無線LANチャンネル「wch14」を使用した無線LANによる無線通信のみが行われる。よって、その無線通信の予定期間が経過するまで、MFP1のDCL機能は、無線LANチャンネル「wch14」と同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネル「ch65」〜「ch89」(図8参照)の使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300を制御する。
これにより、MFP1の周辺で1つの無線LANチャンネルのみが無線LANによる無線通信によって使用される場合には、電波干渉の生じないDCLチャンネルが比較的多数存在するので、このようなDCLチャンネルを使用しながら、DCLによる無線通信を行うことができる。よって、電波干渉が生じるのを確実に防止しながら、ホッピングによるDCLチャンネルの変更を行うことができる。
このように、MFP1の無線LAN機能から通知されたデュレーション情報や、他の装置から送信されたRTS信号またはCTS信号に含まれるデュレーション情報によって、MFP1は、無線LANチャンネル毎にその無線LANチャンネルが使用される予定期間をそれぞれ認識できる。そして、予め認識された予定期間中、その予定期間で使用される無線LANチャンネルの数に応じて、DCLによる無線通信300を制御することにより、DCLによる無線通信300において電波干渉による影響を確実に抑制できる。
図1に戻り、次いで、MFP1の詳細構成について説明する。MFP1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、計時回路14、操作ボタン15、液晶ディスプレイ16(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)16」と称する)、無線LAN通信制御回路17、デジタルコードレス通信制御回路19(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路19」と称する)、送受話器23、音声処理回路24、NCU(Network Control Unit)25を備えている。
そして、CPU11、EEPROM12、及びRAM13は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、送受話器23とNCU25とは、音声処理回路24に接続されている。更に、計時回路14、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、音声処理回路24、NCU25、及びバスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
CPU11は、EEPROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御する演算装置である。
EEPROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図5〜図7のフローチャートを実行する制御プログラムは、このEEPROM12に格納されている。CPU11は、この制御プログラムを実行することにより、無線LANによる無線通信によって複数のDCLチャンネルの中に、電波干渉の生ずるDCLチャンネルが存在するような環境下であっても、確実に電波干渉の影響を抑えながら、DCL機能による無線通信300を良好に行うことができる。
また、EEPROM12には、無線LANチャンネル−DCLチャンネル対応メモリ(以下、単に「チャンネル対応メモリ」と称する)12a、ホッピングテーブルメモリ12bが設けられている。
チャンネル対応メモリ12aは、無線LANチャンネル−DCLチャンネル対応テーブル(以下、単に「チャンネル対応テーブル」と称する)を格納するメモリである。ここで、図3を参照してチャンネル対応テーブルについて説明する。図3は、チャンネル対応テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
チャンネル対応テーブルは、無線LANチャンネル12a1で示される各無線LANチャンネルに対応付けて、その無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネル12a2を示したものである。無線LANチャンネル12a1は、2.4GHz帯に設けられた14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)で分けられている。
そして、DCLチャンネル12a2には、一の無線LANチャンネルと周波数帯域の重複する全てのDCLチャンネルが、無線LANチャンネル12a1に対応付けられている。例えば、無線LANチャンネル「wch1」に対して、DCLチャンネル「ch1,ch2,…,ch25」が対応付けられ、無線LANチャンネル「wch2」に対して、DCLチャンネル「ch6,ch7,…,ch30」が対応付けられている。また、無線LANチャンネル「wch14」には、DCLチャンネル「ch65,ch66,…,ch89」が対応付けられている。
このチャンネル対応メモリ12aは、一の無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルを判断する場合に、CPU11によって参照される。例えば、本実施形態におけるMFP1では、上述したように、或る1つの無線LANチャンネルを使用して無線LANによる無線通信が行われる予定期間中、その無線LANチャンネルと同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネルの使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300が制御される。CPU11は、このような制御を行う場合に、チャンネル対応メモリ12aに格納されたチャンネル対応テーブルを参照することで、その無線LANチャンネルと同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネルを判断する。
図1に戻り、説明を続ける。ホッピングテーブルメモリ12bは、DCLによる無線通信300で使用されるホッピングテーブル(以下、「HPテーブル」と称する)を格納するメモリである。HPテーブルとは、DCLによる無線通信300において使用される45のDCLチャンネルのホッピングの順番を定めたテーブルである。MFP1は、このHPテーブルで示されるホッピングの順番に従って、45のDCLチャンネルの間を所定の周期(ホッピング周期:1/100秒)毎にホッピングする。
このホッピングテーブルメモリ12bに格納されるHPテーブルは、所定の間隔(本実施形態では、10分間隔)で生成され、更新される。また、或る1つの無線LANチャンネルを使用して無線LANによる無線通信が行われる予定期間になると、MFP1は、その無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルをHPテーブルから外し、その無線LANチャンネルと周波数帯域の重複しない別のDCLチャンネルに置き換える。これにより、無線LANによる無線通信によって使用されている無線LANチャンネルと同一の周波数帯域に設けられたDCLチャンネルの使用を回避しながら、他のDCLチャンネルを使用してホッピングするように、DCLによる無線通信300が制御される。
RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、タイムテーブルメモリ13aが設けられている。
タイムテーブルメモリ13aは、14ある各無線LANチャンネルwch1〜wch14において、無線LANによる無線通信で使用される予定期間をまとめたタイムテーブルを格納するメモリである。ここで、図4を参照して、タイムテーブル13aに格納されるタイムテーブルについて説明する。図4は、タイムテーブルの内容を模式的に示した模式図である。
このタイムテーブルでは、図4に示すように、予定期間の開始または終了時刻を示す時刻13a1に、各無線LANチャンネルwch1〜wch14の使用状況が、「0」および「1」の値によって対応づけられている。
このタイムテーブルにおいて、時刻13a1には、上から下に向かって昇順となるように、予定期間の開始または終了時刻が並べられている。また、時刻13a1に示される或る時刻に対して対応付けられた一の無線LANチャンネルの使用状況が「0」である場合、その時刻から時刻13aに示される次の時刻までの期間が、その一の無線LANチャンネルにおいて無線LANによる無線通信で使用される予定期間であることを示している。
一方、時刻13a1に示される或る時刻に対して対応付けられた一の無線LANチャンネルの使用状況が「1」である場合は、その時刻から時刻13aに示される次の時刻までの期間、その一の無線LANチャンネルにおいて無線LANによる無線通信によって使用されないことを示している。
例えば、図4のタイムテーブルの例では、時刻13a1に示される時刻「2007年12月01日13時02分29秒」に対して、無線LANチャンネル「wch1」には「0」が対応付けられ、その他の無線LANチャンネル「wch2」〜「wch14」には「1」が対応付けられている。これは、その時刻「2007年12月01日13時02分29秒」から、次に示される時刻「2007年12月01日13時02分38秒」までの期間が、無線LANチャンネル「wch1」が無線LANによる無線通信で使用される予定期間であることを示すと共に、その他の無線LANチャンネルでは、その期間、無線LANによる無線通信によって使用されないことを示す。
また、時刻13a1に示される時刻「2007年12月01日13時02分38秒」に対して、無線LANチャンネル「wch1」及び「wch14」には「0」が対応付けられ、その他の無線LANチャンネル「wch2」〜「wch13」には「1」が対応付けられている。これは、その時刻「2007年12月01日13時02分38秒」から、次に示される時刻「2007年12月01日13時02分51秒」までの期間が、無線LANチャンネル「wch1」及び「wch14」が無線LANによる無線通信で使用される予定期間であることを示すと共に、その他の無線LANチャンネルでは、その期間、無線LANによる無線通信によって使用されないことを示す。
更に、時刻13a1に示される時刻「2007年12月01日13時02分51秒」に対して、無線LANチャンネル「wch14」には「0」が対応付けられ、その他の無線LANチャンネル「wch1」〜「wch13」には「1」が対応付けられている。これは、その時刻「2007年12月01日13時02分51秒」から、次に示される時刻「2007年12月01日13時03分04秒」までの期間が、無線LANチャンネル「wch14」が無線LANによる無線通信で使用される予定期間であることを示すと共に、その他の無線LANチャンネルでは、その期間、無線LANによる無線通信によって使用されないことを示す。
一方、時刻13a1に示される時刻「2007年12月01日13時03分04秒」に対して、全ての無線LANチャンネルwch1〜wch14には「1」が対応付けられている。これは、その時刻「2007年12月01日13時03分04秒」以降、全ての無線LANチャンネルが、無線LANによる無線通信によって使用されないことを示す。
このように、タイムテーブルメモリ13aに格納されるタイムテーブルは、各無線LANチャンネルwch1〜wch14のそれぞれついて、無線LANによる無線通信によって使用される予定期間を規定する。MFP1は、DCLによる無線通信300を行う場合に、タイムテーブルメモリ13aを参照し、ここに格納されたタイムテーブルによって、現在の時刻が、無線LANチャンネルwch1〜wch14が使用される予定期間中であるか否かを判断して、DCLによる無線通信300を制御する。
尚、タイムテーブルの更新は、無線LANによる無線通信が行われる際にPCやアクセスポイントから送信されるRTS信号またはCTS信号が、無線LAN通信制御回路17またはDCL通信制御回路19によって受信されると、そのRTS信号またはCTS信号に含まれるデュレーション情報(無線LANによる無線通信によってデータが送受信される予定期間に関する情報)と、それらの信号が送信されていた無線LANチャンネル(wch1〜wch14)とに基づいて、行われる。
また、無線LAN通信制御回路17とアクセスポイント51との間の無線通信200で送受信されるRTS信号に含まれるデュレーション情報が通知された場合にも、そのデュレーション情報と無線通信200で使用される無線LANチャンネル(wch1〜wch14)とに基づいて、タイムテーブルが更新される。
図1に戻り、説明を続ける。計時回路18は、現在の日時を刻む時計機能を有する既知の回路である。MFP1は、この計時回路18によって示される現在の時刻を基に、タイムテーブルメモリ13aに格納されたタイムテーブルを参照することによって、現在の時刻が、無線LANチャンネルwch1〜wch14の使用される予定期間中であるか否かを判断する。
操作ボタン15は、無線LAN機能、DCL機能、一般電話機能といった各機能の設定や、各種動作の指示を行うための入力ボタンである。LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
無線LAN通信制御回路17は、無線LAN用アンテナ18を有しており、無線LAN用アンテナ51aを有するアクセスポイント51との間で、直接拡散方式による無線通信200を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。
無線通信200で使用する無線LANチャンネルは、EEPROM12に予め記憶されており、LAN通信制御回路17は、このEEPROM12に記憶されている無線LANチャンネルを使用して、アクセスポイント51と無線通信200を行う。また、アクセスポイント51から無線LANチャンネルが指示された場合は、その無線LANチャンネルをEEPROM12に記憶すると共に、その無線LANチャンネルを使用して、アクセスポイント51と無線通信200を行う。
この無線LAN通信制御回路17には、他の無線LANによる無線通信が行われる際にPCやアクセスポイントから送信されるRTS信号やCTS信号を受信する機能を有しており、ここで受信されたRTS信号やCTS信号に含まれるデュレーション情報は、そのRTS信号またはCTS信号が送信されていた無線LANチャンネルのチャンネル番号(wch1〜wch14)と共に、CPU11によってRAM13に一時的に保持される。
また、無線LAN通信制御回路17がアクセスポイント51との間で無線通信200を行う場合に送受信されるRTS信号に含まれるデュレーション情報も、EEPROM12に記憶されている無線通信200で使用される無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に、CPU11によって、RAM13に一時的に保持される。
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、DCL用アンテナ61aを有するDCL子機61との間で周波数ホッピング方式による無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号(音声データ)を送受信する回路である。DCL通信制御回路19は、CPU11で実行される後述のDCL通信制御処理(図7参照)によって、その無線通信が制御されながら、ホッピング周期毎にホッピングテーブルメモリ12bに格納されたホッピングテーブルで示されるホッピングの順番に従って、DCLチャンネルをホッピングさせて、無線通信300を行う。
このDCL通信制御回路19には、無線LAN通信制御回路17と同様に、無線LANによる無線通信が行われる際にPCやアクセスポイントから送信されるRTS信号やCTS信号を受信する機能を有している。そして、ここで受信されたRTS信号やCTS信号に含まれるデュレーション情報も、そのRTS信号またはCTS信号が送信されていた無線LANチャンネルのチャンネル番号(wch1〜wch14)と共に、CPU11によってRAM13に一時的に保持される。
そして、CPU11によって無線LAN通信制御回路17およびDCL通信制御回路19からRAM13に保持された各デュレーション情報と、無線LANチャンネルのチャンネル番号とが、CPU11で実行される後述のタイムテーブル生成処理(図6参照)で参照され、タイムテーブルメモリ13aに格納されるタイムテーブルが更新される。これにより、各無線LANチャンネルが無線LANによる無線通信によって使用される期間を、その使用される無線LANチャンネルのチャンネル数と共に、予め認識することができる。
送受話器23は、通話を行うための装置であり、マイクロフォンとスピーカとを有している。マイクロフォンは、入力された音声をアナログ音声信号(電気信号)に変換するものであり、また、スピーカは、アナログ音声信号を音声に変換して出力するものである。
音声処理回路24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換する回路であり、DCL子機61から送信されDCL通信制御回路19により受信されたデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。また、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号、及び、外部の電話機3から電話回線網100を介してNCU25によって受信されるアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路19へ出力する。尚、DCL通信制御回路19に入力されたデジタル信号(音声データ)は、無線通信300を介してDCL子機61へ送信される。
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などを行って、外部の電話機3との通話を制御するものである。
次に、図5を参照して、MFP1で実行されるメイン処理の処理フローについて説明する。図5は、メイン処理のフローチャートである。この処理は、操作ボタン15の操作状況や、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1の無線LAN機能、DCL機能、一般電話機能といった各種機能を制御する処理である。この処理は、MFP1の電源(図示せず)がオンされるとCPU11によって実行が開始され、その電源がオフされるまで実行され続ける。
メイン処理では、まず、MFP1の各部の初期化処理を行い(S1)、無線LAN機能、DCL機能、一般電話機能といった各機能をスタンバイ状態にする。例えば、タイムテーブルメモリ13aに格納されるタイムテーブルに対して、全て0を書き込む。これにより、タイムテーブルが空の状態に初期化される。
次に、タイムテーブル生成処理を実行する(S2)。これにより、14ある各無線LANチャンネルwch1〜wch14に対して、無線LANによる無線通信で使用される予定期間をまとめたタイムテーブルが生成され、タイムテーブルメモリ13aに格納される。尚、タイムテーブル生成処理の詳細については、図6を参照して、後述する。
次いで、MFP1のDCL機能がユーザに使用され、DCLによる無線通信300が行われているか否かを判断する(S3)。ここで、DCLによる無線通信300が行われていると判断される場合には(S3:Yes)、DCL通信制御処理を実行し(S4)、S5の処理へ移行する。これにより、無線LANチャンネルwch1〜wch14が使用される予定期間と、その予定期間において使用されている無線LANチャンネルのチャンネル数とに応じて、DCLによる無線通信300が制御される。尚、DCL通信制御処理の詳細については、図7を参照して、後述する。
一方、S3の処理の結果、DCLによる無線通信300が行われていないと判断される場合(S3:No)、S4のDCL通信制御処理をスキップして、S5の処理へ移行する。S5の処理では、その他の処理を実行する。
例えば、ユーザによって操作ボタン15が操作され、DCL機能を利用してDCL子機61との間で無線通信300を行う指示があった場合に、DCL通信制御回路19を制御して、MFP1とDCL子機61との間の無線通信300を確立する処理を行う。また、ユーザから、無線LAN機能によるデータの送信指示があったり、LAN500に接続された外部装置(図示せず)からMFP1に対してデータの送信要求があった場合には、無線LAN通信制御回路17を制御して、アクセスポイント51との間でRTS信号/CTS信号やデータの送受信を行う処理を実行する。また、ユーザによって一般電話機能の使用が指示された場合には、NCU25や音声処理回路24を制御して、電話回線網100に接続された電話機3との間の通話を確立する処理を行う。
S5の処理の後、S2の処理に戻り、再びS2〜S5の処理を実行する。そして、MFP1の電源がオフされるまで、このS2〜S5の処理を繰り返し実行する。これにより、操作ボタン15の操作状況や、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1の各機能が実行される。
次いで、図6を参照して、MFP1で実行されるタイムテーブル生成処理の処理フローについて説明する。図6は、タイムテーブル生成処理のフローチャートである。この処理は、上述したように、メイン処理の中で実行される処理で、14ある各無線LANチャンネルwch1〜wch14において、無線LANによる無線通信で使用される予定期間をまとめたタイムテーブルを生成し、タイムテーブルメモリ13aに格納する処理である。
このタイムテーブル生成処理では、まず、無線LANによる無線通信が行われる際にPCやアクセスポイントから送信されるRTS信号やCTS信号を、DCL通信制御回路19で受信したか否かを判断する(S11)。そして、DCL通信制御回路19でRTS信号やCTS信号を受信したと判断される場合(S11:Yes)、そのDCL通信制御回路19が受信したRTS信号またはCTS信号に含まれるデュレーション情報を、そのRTS信号またはCTS信号が送信されていた無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に、RAM13に記憶する(S12)。
これにより、RAM13には、MFP1周辺で行われている無線LANによる無線通信によって発せられ、DCL通信制御回路19によって受信されたRTS信号やCTS信号から、無線LANによる無線通信によってデータが送受信される予定期間に関する情報であるデュレーション情報が、そのデータの送受信が行われる無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に保持される。
S12の処理の後、S13の処理へ移行する。また、S11の処理の結果、DCL通信制御回路19がRTS信号やCTS信号を受信していないと判断される場合(S11:No)、S12の処理をスキップして、S13の処理へ移行する。
S13の処理では、MFP1の無線LAN機能が使用され、無線LANによる無線通信200が行われているか否かを判断する。そして、無線LANによる無線通信200が行われていると判断される場合には(S13:Yes)、無線LAN通信制御回路17とアクセスポイント51との間の無線LANによる無線通信200で送受信されたRTS信号に含まれるデュレーション情報を無線LAN通信制御回路17から読み出し、EEPROM12に記憶されている無線通信200で使用される無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に、RAM13に記憶する(S14)。
これにより、RAM13には、MFP1の無線LAN機能によってデータが送受信される予定期間に関する情報であるデュレーション情報が通知され、そのデータの送受信が行われる無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に保持される。
S14の処理の後、S15の処理へ移行する。また、S13の処理の結果、無線LANによる無線通信200が行われていないと判断される場合(S13:No)、S14の処理をスキップして、S15の処理へ移行する。
S15の処理では、無線通信200以外の無線LANによる無線通信が行われる際にPCやアクセスポイントから送信されるRTS信号やCTS信号を、無線LAN通信制御回路17が受信したか否かを判断する。そして、無線LAN通信制御回路17がRTS信号やCTS信号を受信したと判断される場合(S15:Yes)、その無線LAN通信制御回路17が受信したRTS信号またはCTS信号に含まれるデュレーション情報を、そのRTS信号またはCTS信号が送信されていた無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に、RAM13に記憶する(S16)。
これにより、RAM13には、MFP1周辺で行われている無線LANによる無線通信によって発せられ、無線LAN通信制御回路17によって受信されたRTS信号やCTS信号から抽出された、無線LANによる無線通信によってデータが送受信される予定期間に関する情報であるデュレーション情報が、そのデータの送受信が行われる無線LANチャンネルのチャンネル番号と共に保持される。
S16の処理の後、S17の処理へ移行する。また、S15の処理の結果、無線LAN通信制御回路17がRTS信号やCTS信号を受信していないと判断される場合(S15:No)、S16の処理をスキップして、S17の処理へ移行する。
S17の処理では、S12、S14、S16の処理によってRAM13に記憶された各デュレーション情報と、それぞれのデュレーション情報と共に記憶された無線LANチャンネルのチャンネル番号とをRAM13から読み出し、これらデュレーション情報と無線LANチャンネルのチャンネル番号とを基に、図4に示したタイムテーブルメモリ13aに格納されるタイムテーブルを更新して、このタイムテーブル生成処理を終了する。
このように、CPU11がタイムテーブル生成処理を実行することによって、DCL通信制御回路19および無線LAN通信制御回路17によって受信されたRTS信号やCTS信号に含まれるデュレーション情報、および、MFP1の無線LAN機能から通知されたデュレーション情報に基づいて、タイムテーブルを生成するので、そのタイムテーブルには、MFP1の周辺で行われる無線LANによる無線通信によって、14ある各無線LANチャンネルwch1〜wch14が使用される予定期間を、無線LANチャンネル毎にまとめることができる。従って、MFP1は、このタイムテーブルによって、現在の時刻が、無線LANチャンネルwch1〜wch14が使用される予定期間中であるか否かを判断することができ、使用される予定期間中の無線LANチャンネルの数に応じて、DCLによる無線通信300を制御することができる
また、DCL通信制御回路19および無線LAN通信制御回路17の2つの回路によってRTS信号やCTS信号が受信されるので、一方の回路で受信できなかった信号を他方の回路によって受信することができる。これにより、外部のPCやアクセスポイントから発せられたRTS信号やCTS信号の取りこぼしを少なくすることができ、外部のPCやアクセスポイントの間で行われる無線LANによる無線通信によって、無線LANチャンネルが使用される予定期間を、より正確にタイムテーブルにまとめることができる。
次いで、図7を参照して、MFP1で実行されるDCL通信制御処理の処理フローについて説明する。図7は、DCL通信制御処理のフローチャートである。この処理は、上述したように、メイン処理の中でDCLによる無線通信300が行われていると判断される場合に実行され、無線LANチャンネルwch1〜wch14が使用される予定期間と、その予定期間に使用される無線LANチャンネルのチャンネル数とに応じて、DCLによる無線通信300を制御する処理である。
このDCL通信制御処理では、まず、計時回路17から現在の時刻を取得すると共に、タイムテーブルメモリ13aに格納されたタイムテーブルを参照し、現在の時刻における無線LANチャンネルの使用予定状況を確認する(S21)。そして、S21の処理で確認された使用予定状況から、現在の時刻が、いずれかの無線LANチャンネルの使用される予定期間中であるか否かを判断する(S22)。
その結果、現在の時刻が、いずれかの無線LANチャンネルの使用される予定期間中であると判断される場合には(S22:Yes)、更に、現在の時刻が、複数の無線LANチャンネルの使用される予定期間中であるか否かを判断する(S23)。そして、現在の時刻が複数の無線LANチャンネルの使用される予定期間中であると判断される場合には(S23:Yes)、DCL通信制御回路19に対して、送信すべきデータを2回繰り返しながら送信するマルチスロット送信を行うように指示して(S24)、このDCL通信制御処理を終了する。
これにより、現在の時刻において、MFP1の周辺で、複数の無線LANチャンネルが使用されている予定期間中である場合には、その複数の無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルを使用して、DCLによる無線通信が行われても、送信すべきデータがマルチスロット送信されるので、電波干渉による通信エラーを可能な限り少なくすることができる。よって、DCLによる無線通信300において、ホッピングで使用するDCLチャンネルとして、電波干渉の生じないDCLチャンネルを確保することが困難な状況であっても、電波干渉による通信エラーを可能な限り少なくすることができる。
一方、現在の時刻が複数の無線LANチャンネルの使用される予定期間中でないと判断される場合(S23:No)、現在の時刻が1つの無線LANチャンネルの使用される予定期間中であると判断できる。そこで、チャンネル対応メモリ12aに格納されたチャンネル対応テーブルから、現在の時刻で使用が予定されている無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルを特定し(S25)、ホッピングテーブルメモリ12bに格納されたHPテーブルから、S25の処理で特定されたDCLチャンネルを外して、他のDCLチャンネルに置き換える(S26)。そして、このDCL通信制御処理を終了する。
これにより、現在の時刻において、MFP1の周辺で、1つの無線LANチャンネルのみが無線LANによる無線通信によって使用される予定期間中である場合には、電波干渉の生じないDCLチャンネルが比較的多数存在するので、この電波干渉の生じないDCLチャンネルをホッピングしながら、DCLによる無線通信を行うことができる。よって、DCLによる無線通信において、電波干渉を確実に抑制することができる。
これに対し、S22の処理によって、現在の時刻が、いずれの無線LANチャンネルにおいても、その無線LANチャンネルが使用される予定期間中でないと判断される場合には(S22:No)、すべてのDCLチャンネルにおいて、無線LANチャンネルとの間で電波干渉が生じる恐れがないと判断できる。そこで、DCL通信制御回路19によってマルチスロット送信されているか否かを判断し(S27)、マルチスロット送信が行われていると判断される場合には(S27:Yes)、DCL通信制御回路に対し、通常の送信、即ち、送信すべきデータを1回のみ送信するように指示して(S28)、このDCL通信制御処理を終了する。
これにより、無線通信300におけるデータのスループットが向上する。尚、この場合、DCLチャンネルにおいて無線LANとの間で電波干渉の生じる恐れがないため、1回のデータ送信でも、ほぼエラーなくデータ伝送することができ、良好なDCLによる無線通信300を行うことができる。
また、S27の処理の結果、マルチスロット送信が行われていない、即ち、通常の送信(送信すべきデータを1回のみ送信)が行われていると判断される場合には(S27:No)、そのままDCL通信処理を終了する。これにより、DCL通信制御回路19は、無線LANチャンネルとの間で電波干渉の恐れのないDCLチャンネルを使用しながら、良好なDCLによる無線通信300を行うことができる。
このように、このDCL通信制御処理がCPU11によって実行されることにより、タイムテーブルメモリ13aに格納されたタイムテーブルによって、予め認識された無線LANチャンネルが使用される予定期間と、使用予定期間中であると判断された無線LANチャンネルのチャンネル数とに基づき、電波干渉の起こりにくいDCLチャンネルの多さに応じて、DCLによる無線通信300がより適した方法となるように制御することができる。よって、DCLによる無線通信300において、電波干渉の影響が生じるのをより確実に抑制することができるという効果がある。
以上説明したように、本実施形態によれば、無線LANによる無線通信が行われる際に発生られるRTS信号やCTS信号がDCL通信制御回路19および無線LAN通信制御回路17によって受信される。そして、そのRTS信号やCTS信号に含まれるデュレーション情報を基に、無線LANチャンネルが無線LANによる無線通信によって使用される予定期間を無線LANチャンネル毎にまとめたタイムテーブルが生成される。一方、DCLによる無線通信300が行われる場合に、生成されたタイムテーブルが参照され、現在の時刻が無線LANチャンネルの使用される予定期間中であるか否かが判断される。そして、その判断結果に基づいて、DCLによる無線通信300が制御される。これにより、無線LANチャンネルが使用される予定期間中は、無線LANチャンネルによる電波干渉の影響が抑えられるように、DCLによる無線通信300を制御できるので、DCLによる無線通信300において、無線LANチャンネルとの間で生じる電波干渉の影響を確実に抑えることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記実施形態において、無線通信が制御される無線通信方式としてDCLによる無線通信方式について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その他の無線通信方式を用いるものであってもよい。例えば、Bluetoothによる無線通信機能方式を用いてもよい。Bluetoothは、各DCLチャンネルと同一の周波数帯域を持つ89のBluetoothチャンネルを用いて、周波数ホッピング方式により無線通信を行うものである。この場合、MFP1には、Bluetoothに対応した通信制御回路を設ければよい。
また、上記実施形態では、DCL通信制御回路19に対して、送信すべきデータを2回繰り返しながら送信するマルチスロット送信を行うように指示する場合の判断条件として、現在の時刻が複数(すなわち、2チャンネル以上)の無線LANチャンネルの使用される予定期間中であるか否かを判断する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、現在の時刻が3チャンネル以上の無線LANチャンネルの使用される予定期間中であるか否かを判断条件としてもよい。すなわち、その判断条件における、現在の時刻において使用される予定の無線LANチャンネルの数の閾値を、2以上の数としてもよい。また、その閾値として、2以上の数をユーザが任意に変更できる構成としてもよい。
また、上記実施形態において、マルチスロット送信では、送信すべきデータを2回繰り返しながら送信する場合について説明したが、これを所定の回数(例えば、3回)繰り返しながら送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、MFP1の無線LAN機能側から、その無線LANによる無線通信によって送受信されるRTS信号に含まれるデュレーション情報が通知される場合について説明したが、これを、その無線LANによる無線通信によって送受信されるCTS信号に含まれるデュレーション情報が通知されるようにしてもよい。