以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における無線通信システムTの電気的構成を示すブロック図である。この無線通信システムTは、多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する。)1、子機31、及びアクセスポイント51から構成されている。
無線通信システムTは、親機として機能するMFP1と子機31との間で、無線通信200を介して通話を行うデジタルコードレス電話(DCL)機能を有すると共に、MFP1とアクセスポイント51との間で、無線通信300を介してLAN(Local Area Network)400と接続する無線LAN機能を有する。
DCLによる無線通信200と無線LANによる無線通信300とは、いずれも2.4GHz帯(2.4GHz〜2.5GHz)の周波数帯域を使用して無線通信を行う(図6参照)。そして、DCLによる無線通信200は、2.4GHz帯を89のDCLチャンネル(ch1〜ch89)に分割し、このうち45のDCLチャンネルの間を所定の周期(ホッピング周期:1/100秒)毎にホッピングする、周波数ホッピング方式によって無線通信を行う。一方、無線LANによる無線通信300は、2.4GHz帯を14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)に分割し、そのうちの一の無線LANチャンネルを利用して、直接拡散方式により無線通信を行う。
そして、無線通信システムTでは、DCL機能において、通信状況が良好でない無線チャンネル(DCLチャンネル)が多く存在する環境下であっても、無線通信300に必要な無線チャンネル(DCLチャンネル)数を確保しつつ、DCLによる音声データの通信を高い音質で行うことができるように構成されている。
次いで、MFP1の詳細構成について説明する。MFP1は、DCL機能や無線LAN機能などの各種の機能を有する多機能周辺装置である。また、MFP1は電話回線網100を介して、外部の電話機2と通話を行う一般電話機能も備えている。
MFP1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、音声判定回路14、操作ボタン15、液晶ディスプレイ16(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)16」と称する。)、無線LAN通信制御回路17、デジタルコードレス通信制御回路19(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路19」と称する。)、送受話器23、音声処理回路24、NCU(Network Control Unit)25を備えている。
そして、CPU11、EEPROM12、及びRAM13は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、送受話器23とNCU25とは、音声処理回路24に接続されている。更に、音声判定回路14、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、音声処理回路24、NCU25、及びバスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
CPU11は、EEPROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御する演算装置である。
EEPROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図4のフローチャートに示すホッピングテーブル生成処理(以下、「HP(Hopping)テーブル生成処理」と称する。)と、図5(a)のフローチャートに示すDCL通信処理とを実行する各プログラムは、このEEPROM12に格納されている。また、EEPROM12には、無線LANチャンネル−DCLチャンネル対応メモリ12a(以下、単に「チャンネル対応メモリ12a」と称する。)、第1DCLチャンネルメモリ12b、第2DCLチャンネルメモリ12c、無線LANチャンネルメモリ12d、閾値メモリ12eが設けられている。
チャンネル対応メモリ12aは、無線LANチャンネル−DCLチャンネル対応テーブル(以下、単に「チャンネル対応テーブル」と称する。)を格納するメモリである。ここで、図2を参照してチャンネル対応テーブルについて説明する。図2は、チャンネル対応テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
チャンネル対応テーブルは、無線LANチャンネル12a1に対して、対応する無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネル12a2を示したものである。無線LANチャンネル12a1は、2.4GHz帯に設けられた14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)で分けられている。
そして、DCLチャンネル12a2には、対応する無線LANチャンネルと周波数帯域の重複する全てのDCLチャンネルが、無線LANチャンネル12a1に対応付けられている。例えば、無線LANチャンネル「wch1」に対して、DCLチャンネル「ch1,ch2,…,ch25」が対応付けられ、無線LANチャンネル「wch2」に対して、DCLチャンネル「ch6,ch7,…,ch30」が対応付けられている。また、無線LANチャンネル「wch14」には、DCLチャンネル「ch65,ch66,…,ch89」が対応付けられている。
このチャンネル対応テーブルは、後述するHPテーブル生成処理(図4参照)の中で参照される。CPU11は、HPテーブル生成処理を実行すると、MFP1において無線LANによる無線通信300を行っている場合に、チャンネル対応メモリ12aに格納されたチャンネル対応テーブルを参照し、その無線LANによる無線通信300で使用している無線LANチャンネルに対応したDCLチャンネルを特定する。ここで特定されたDCLチャンネルは、無線LANによる無線通信300によって使用されているチャンネルであるので、この特定されたDCLチャンネルは通信状況が良好でないチャンネルとして判断されるようになっている。
図1に戻り、説明を続ける。第1DCLチャンネルメモリ12bは、通信状況が良好であると判断された複数のDCLチャンネルによって生成したホッピングテーブル(以下、「良好チャンネルHPテーブル」と称する。)を格納するメモリである。また、第2DCLチャンネルメモリ12cは、通信状況が良好でないと判断された複数のDCLチャンネルによって生成したホッピングテーブル(以下、「否良好チャンネルHPテーブル」と称する)を格納するメモリである。
ホッピングテーブル(以下、「HPテーブル」と称する。)とは、DCLによる無線通信200において使用されるDCLチャンネルのホッピングの順番を定めたテーブルである。本実施形態では、MFP1と子機31との間で、レベルの大きい音声を含む音声データにより無線通信200が行われる場合、良好チャンネルHPテーブルによって定められた順番に従い、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用してホッピングを行う。また、MFP1と子機31との間で、レベルの小さい音声だけを含む又は音声を含まない音声データにより無線通信200が行われる場合、否良好チャンネルHPテーブルによって定められた順番に従い、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルを使用してホッピングを行う。
ここで、図3(a)及び(b)を参照して、良好チャンネルHPテーブル及び否良好チャンネルの内容について説明する。図3(a)は、第1DCLチャンネルメモリ12bに格納された良好チャンネルHPテーブルの内容の一例を模式的に示した模式図であり、図3(b)は、第2DCLチャンネルメモリ12cに格納された否良好チャンネルHPテーブルの内容の一例を模式的に示した模式図である。
まず、良好チャンネルHPテーブルは、図3(a)に示すように、ホッピング順番12b1(以下、「HP順番12b1」と称する。)に対して、ホッピングチャンネル12b2(以下、「HPチャンネル12b2」と称する。)が対応付けられたものである。そして、HPチャンネル12b2には、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル(図3(a)の例ではch1〜ch20)がランダムに割り当てられている。
HP順番12b1は、ホッピングを行うDCLチャンネルの順番を示すもので、その順番を表す数値で分けられている。即ち、HP順番12b2には、「1」から順に、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では「20」)までの数値が割り当てられている。
そして、HPチャンネル12b2には、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルが、HP順番12b1に対応付けられている。即ち、図3(a)に示す例では、HP順番12b1「1」に対して、HPチャンネル12b2「ch1」が対応付けられ、HP順番12b1「2」に対して、HPチャンネル12b2「ch3」が対応づけられ、HP順番12b1「3」に対して、HPチャンネル12b2「ch4」が対応付けられている。また、HP順番12b1「20」に対して、HPチャンネル12b2「ch20」が対応付けられている。
CPU11は、後述するDCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、次のホッピング周期において、MFP1と子機31との間でレベルの大きい音声を含む音声データの無線通信200が行われると判断した場合には、そのホッピング周期において使用するDCLチャンネルとして、良好チャンネルHPテーブルから、後述する第1DCLチャンネルカウンタ13bによって示されるHP順番12b1のHPチャンネル12b2を選択する。ここで、第1DCLチャンネルカウンタ13bは、良好チャンネルHPテーブル(第1DCLチャンネルメモリ12b)にアクセスしてHPチャンネル12b2を選択する毎に1ずつカウントアップされ、その値が、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では「20」)まで達している場合には、「1」に設定される。これにより、MFP1と子機31との間でレベルの大きい音声を含む音声データの無線通信200が行われる場合には、図3(a)の良好チャンネルHPテーブルに従って、「ch1」→「ch3」→「ch4」→…→「ch20」→「ch1」→「ch3」→…の順番でホッピングされる。
また、否良好チャンネルHPテーブルは、図3(b)に示すように、ホッピング順番12c1(以下、「HP順番12c1」と称する。)に対して、ホッピングチャンネル12c2(以下、「HPチャンネル12c2」と称する。)が対応付けられたものである。そして、HPチャンネル12c2には、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル(図3(b)の例ではch21〜ch45)がランダムに割り当てられている。
HP順番12c1は、HP順番12b1と同様に、ホッピングを行うDCLチャンネルの順番を表す数値で分けられている。即ち、HP順番12c2には、「1」から順に、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では「25」)までの数値が割り当てられている。
そして、HPチャンネル12c2には、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルが、HP順番12c1に対応付けられている。即ち、図3(b)に示す例では、HP順番12c1「1」に対して、HPチャンネル12c2「ch21」が対応付けられ、HP順番12c1「2」に対して、HPチャンネル12c2「ch24」が対応づけられ、HP順番12c1「3」に対して、HPチャンネル12c2「ch25」が対応付けられている。また、HP順番12c1「25」に対して、HPチャンネル12c2「ch40」が対応付けられている。
CPU11は、DCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、次のホッピング周期において、MFP1と子機31との間でレベルの小さい音声だけを含む又は音声を含まない音声データの無線通信200が行われると判断した場合には、そのホッピング周期において使用するDCLチャンネルとして、否良好チャンネルHPテーブルから、後述する第2DCLチャンネルカウンタ13cによって示されるHP順番12c1のHPチャンネル12c2を選択する。ここで、第2DCLチャンネルカウンタ13cは、否良好チャンネルHPテーブル(第2DCLチャンネルメモリ12b)にアクセスしてHPチャンネル12c2を選択する毎に1ずつカウントアップされ、その値が、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では「25」)まで達している場合には、「1」に設定される。これにより、MFP1と子機31との間でレベルの小さい音声だけを含む又は音声を含まない音声データの無線通信200が行われる場合には、図3(b)の否良好チャンネルHPテーブルに従って、「ch21」→「ch24」→「ch25」→…→「ch40」→「ch21」→「ch24」→…の順番でホッピングされる。
このように、CPU11は、DCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、MFP1と子機31との間で無線通信200を行う音声データに含まれる音声のレベルに応じて、良好および否良好チャンネルHPテーブルのいずれか一方を参照し、各々のHPテーブルに示される順番で、使用するDCLチャンネルをホッピング周期毎に決定する。そして、ここで決定されたDCLチャンネルは後述するDCL通信制御回路19に通知され、DCL通信制御回路19は、そのDCLチャンネルを使用して、子機31との間でDCLによる無線通信200を行うことができる。
ここで、音声のレベルは常に変化するものであり、ホッピング周期毎に音声データに含まれる音声のレベルの大/小(音声無しを含む)も頻繁に変化する。CPU11で実行されるDCL通信処理では、ホッピング周期毎に音声データに含まれる音声のレベルの大/小(音声無しを含む)を判定し、ホッピング周期毎に無線通信200で使用されるDCLチャンネルを決定するために使用する、良好および否良好チャンネルHPテーブルを選択するようにしている。
また、一のホッピング周期で良好チャンネルHPテーブルが選択された場合、第1DCLチャンネルカウンタ13bだけを更新し、第2DCLチャンネルカウンタ13cの更新を行わないようにしている。これにより、別のホッピング周期で否良好チャンネルHPテーブルが選択された場合、前回否良好チャンネルHPテーブルから選択されたHP順番12c1の続きからHPチャンネル12c2が選択される。また、一のホッピング周期で否良好チャンネルHPテーブルが選択された場合、第2DCLチャンネルカウンタ13cだけを更新し、第1DCLチャンネルカウンタ13bの更新を行わないようにしている。これにより、別のホッピング周期で良好チャンネルHPテーブルが選択された場合、前回良好チャンネルHPテーブルから選択されたHP順番12b1の続きからHPチャンネル12b2が選択される。
尚、良好および否良好チャンネルHPテーブルは、CPU11により、後述するHPテーブル生成処理(図4参照)が所定の間隔(本実施形態では、10分間隔)で実行されることによって生成され、更新される。また、更新された良好および否良好チャンネルHPテーブルは、それぞれ第1および第2DCLチャンネルメモリ12b,12cから読み出され、無線通信200を介して、子機31に送信される。
図1に戻り、説明を続ける。無線LANチャンネルメモリ12dは、無線LANによる無線通信300を行う場合に、使用する無線LANチャンネルのチャンネル番号(wch1〜wch14)を記憶するためのメモリである。後述する無線LAN通信制御回路17は、この無線LANチャンネルメモリ12dに記憶されている無線LANチャンネルを使用して、アクセスポイント51と無線LANによる無線通信300を行うことができる。
この無線LANチャンネルメモリ12dの内容は、操作ボタン15の操作により、設定することが可能となっている。また、アクセスポイント51から無線LAN通信制御回路17に対して使用する無線LANチャンネルが指示された場合には、無線LANチャンネルメモリ12dは、無線LAN通信制御回路17によって、その指示された無線LANチャンネルに書き換えられる。
また、無線LANチャンネルメモリ12dは、CPU11において後述するHPテーブル生成処理(図4参照)を実行中に参照される。そして、上述したように、CPU11は、無線LANチャンネルメモリ12dの内容とチャンネル対応メモリ12aに格納されたチャンネル対応テーブルとに基づいて、無線LANによる無線通信300で使用される無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルを特定する。
閾値メモリ12eは、後述する音声判定回路14において参照される第1閾値と、CPU11において後述のHPテーブル生成処理(図4参照)を実行中に参照される第2閾値とを格納するメモリである。
第1閾値は、音声判定回路14において、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれるか否かを判定するために使用されるものである。音声判定回路14は、この閾値メモリ12eに格納されている第1閾値の内容に基づき、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値以上である場合に、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定し、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値未満である場合に、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定する。
第2閾値は、CPU11で実行されるHPテーブル生成処理において、複数のDCLチャンネルの通信状況が、それぞれ良好であるか否かを判断するために使用されるものである。CPU11は、一のDCLチャンネル(判定チャンネル)において、受信電界強度測定回路19aにより測定された外来電波の受信電界強度が第2閾値未満である場合は、外来電波による影響を受けないので、そのDCLチャンネル(判定チャンネル)を通信状況が良好であると判断する。また外来電波の受信電界強度が第2閾値以上である場合は、外来電波による干渉を受けてしまうので、そのDCLチャンネル(判定チャンネル)を通信状況が良好でないと判断する。
尚、第1閾値および第2閾値は、設計段階で求められた値が予め閾値メモリ12eに格納される。ただし、第1閾値は、操作ボタン15による操作によって、その値を変更することが可能となっている。また、第1閾値が変更されると、その変更された値が無線通信200を介して子機31に通知される。
この第1閾値を変更することにより、後述する音声判定回路14での音声判定の基準を変更することができ、例えば、第1閾値を小さくすることで、所定のレベル以上と判定される音声のレベルを拡大することができる。
所定のレベル以上と判定される音声のレベルを拡大すると、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用して無線通信される音声データが増加する。これにより、通話の音質を向上させることができる。このように、閾値メモリ12eに格納されている第1閾値を変更することによって、無線通信される音声データの音質を調整することができる。
次に、RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、有音声フラグ13a、第1DCLチャンネルカウンタ13b、第2DCLチャンネルカウンタ13cが設けられている。
有音声フラグ13aは、後述する音声判定回路14の判定結果を格納するフラグである。この有音声フラグ13aには、音声判定回路14により、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定された場合に、音声判定回路14によって「1」が書き込まれる。また、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定された場合に、音声判定回路14によって「0」が書き込まれる。
また、有音声フラグ13aは、CPU11においてDCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に参照され、有音声フラグ13aの内容が「1」の場合、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、第1DCLチャンネルメモリ12bに格納された良好チャンネルHPテーブルによって決定する。一方、有音声フラグ13aの内容が「0」の場合は、子機31から通知される音声判定回路35の判定結果に基づいて、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを決定する。
また、有音声フラグ13aの内容(即ち、音声判定回路14の判定結果)は、CPU11においてDCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、無線通信200を介して子機31に通知される。
第1DCLチャンネルカウンタ13bは、第1DCLチャンネルメモリ12bに格納された良好チャンネルHPテーブルから、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、ホッピング周期毎に、HP順番12b1で示された順番に従って選択するためのカウンタである。CPU11は、後述するDCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、この第1DCLチャンネルカウンタ13bを参照して、良好チャンネルHPテーブルから、第1DCLチャンネルカウンタ13bによって示されるHP順番12b1に対応するHPチャンネル12b2を選択する。
例えば、図3(a)で示した良好チャンネルHPテーブルの場合、第1DCLチャンネルカウンタ13bが「1」であれば、HP順番12b1「1」に対応するHPチャンネル12b2「ch1」が選択され、第1DCLチャンネルカウンタ13bが「2」であれば、HP順番12b1「2」に対応するHPチャンネル12b2「ch3」が選択される。
また、第1DCLチャンネルカウンタ13bは、CPU11により実行されるDCL通信処理の中で更新される。即ち、良好チャンネルHPテーブル(第1DCLチャンネルメモリ12b)にアクセスしてHPチャンネル12b2を選択する毎に、第1DCLチャンネルカウンタ13bは1ずつカウントアップされる。また、その値が、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では「20」)まで達している場合には、第1DCLチャンネルカウンタ13bは「1」に設定される。また、CPU11が否良好チャンネルHPテーブル(第2DCLチャンネルメモリ12c)にアクセスしてHPチャンネル12c2を選択した場合には、第1DCLチャンネルカウンタ13bは更新されないようになっている。尚、第1DCLチャンネルカウンタ13bは、CPU11によって実行されるHPテーブル生成処理の中で、良好および否良好チャンネルHPテーブルが更新されるたびに「1」に初期化される。
第2DCLチャンネルカウンタ13cは、第2DCLチャンネルメモリ12cに格納された否良好チャンネルHPテーブルから、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、ホッピング周期毎に、HP順番12c1で示された順番に従って選択するためのカウンタである。CPU11は、後述するDCL通信処理(図5(a)参照)を実行中に、この第2DCLチャンネルカウンタ13cを参照して、否良好チャンネルHPテーブルから、第2DCLチャンネルカウンタ13cによって示されるHP順番12c1に対応するHPチャンネル12c2を選択する。
例えば、図3(b)で示した否良好チャンネルHPテーブルの場合、第2DCLチャンネルカウンタ13cが「1」であれば、HP順番12c1「1」に対応するHPチャンネル12c2「ch21」が選択され、第2DCLチャンネルカウンタ13cが「2」であれば、HP順番12c1「2」に対応するHPチャンネル12c2「ch24」が選択される。
また、第2DCLチャンネルカウンタ13cは、CPU11により実行されるDCL通信処理の中で更新される。即ち、否良好チャンネルHPテーブル(第2DCLチャンネルメモリ12c)にアクセスしてHPチャンネル12c2を選択する毎に、第2DCLチャンネルカウンタ13cは1ずつカウントアップされる。また、その値が、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では「25」)まで達している場合には、第2DCLチャンネルカウンタ13bは「1」に設定される。また、CPU11が良好チャンネルHPテーブル(第1DCLチャンネルメモリ12b)にアクセスしてHPチャンネル12b2を選択した場合には、第2DCLチャンネルカウンタ13cは更新されないようになっている。尚、第2DCLチャンネルカウンタ13cは、CPU11によって実行されるHPテーブル生成処理の中で、良好および否良好チャンネルHPテーブルが更新されるたびに「1」に初期化される。
音声判定回路14は、DCLによる無線通信200により、MFP1から子機31に対して送信される音声データのうち、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否かを判定する回路で、閾値メモリ12eに格納されている第1閾値の内容に基づき、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値以上である場合に、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定する。また、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値未満である場合に、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定する。
この音声判定回路14は、CPU11で実行されるDCL通信処理(図5(a)参照)によってCPU11から音声判定の指示があった場合に音声判定を行い、判定結果を有音声フラグ13aに書き込む。即ち、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定した場合には、有音声フラグ13aに「1」を書き込み、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定した場合には、有音声フラグ34aに「0」を書き込む。音声判定回路14は、有音声フラグ13aへの判定結果の書き込みを終了すると、CPU11に対して判定終了を通知する。
操作ボタン15は、DCLによる無線通信機能および無線LANによる無線通信機能などの各機能の設定や、各種動作の指示を行うための入力ボタンである。また、この操作ボタン15を操作することにより、無線LANチャンネルメモリ12dの内容や、閾値メモリ12eの第1閾値を変更することができる。
LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
無線LAN通信制御回路17は、無線LAN用アンテナ18を有しており、無線LAN用アンテナ51bを有するアクセスポイント51との間で、直接拡散方式による無線通信300を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。無線LAN通信制御回路17は、無線LANチャンネルメモリ12dに記憶されている無線LANチャンネルを使用して、アクセスポイント51と無線通信300を行う。また、アクセスポイント51から無線LANチャンネルが指示された場合は、その無線LANチャンネルをRAM13の無線LANチャンネルメモリ12dに記憶すると共に、その無線LANチャンネルを使用して、アクセスポイント51と無線通信300を行う。
なお、無線LAN通信制御回路17は、無線LANによる無線通信300を行っているか否かをCPU11に対して通知する機能も備えている。CPU11は、無線LAN通信制御回路17に、動作状態を問い合わせることにより、無線LAN通信制御回路17は、無線LANによる無線通信300を行っているか否かを通知する。
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、子機31のDCL通信制御回路39との間で周波数ホッピング方式による無線通信200を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号(音声データ)を送受信する回路である。DCL通信制御回路19は、ホッピング周期毎にCPU11で実行される後述のDCL通信処理(図5(a)参照)で設定されたDCLチャンネルを使用しながら子機31と無線通信200を行う。
また、DCL通信制御回路19には、受信電界強度測定回路19aが設けられている。この受信電解強度測定回路19aは、子機31と無線通信200を行っていないときに、CPU11から指定されたDCLチャンネル(判定チャンネル)に対してDCL用アンテナ20から受信される外来電波の受信電界強度を測定する回路である。
CPU11は、後述するHPテーブル生成処理(図4参照)を実行中に、DCL通信制御回路19に対してDCLチャンネル(判定チャンネル)を指定すると、DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20から外来電波を受信する。そして、受信電界強度測定回路19aは、受信した外来電波の受信電界強度を測定し、測定した受信電界強度をCPU11へ通知する。そして、CPU11は、測定された外来電波の受信電界強度が第2閾値未満である場合に、そのDCLチャンネル(判定チャンネル)の通信状況は良好であると判断し、測定された外来電波の受信電界強度が第2閾値以上である場合に、そのDCLチャンネル(判定チャンネル)の通信状況が良好でないと判断する。
音声処理回路24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換する回路であり、子機31から送信されDCL通信制御回路19により受信されたデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。また、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号、及び、外部の電話機2から電話回線網100を介してNCU25によって受信されるアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路19および音声判定回路14へ出力する。尚、DCL通信制御回路19に入力されたデジタル信号(音声データ)は、無線通信200を介して子機31へ送信される。また、音声判定回路14では、無線通信200を介して子機31へ送信される音声データのうち、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否を判定する。
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などを行って、外部の電話機2との通話を制御するものである。
次に、子機31の詳細構成について説明する。子機31は、MFP1との間で行われる無線通信200を介して、MFP1や、電話回線網100を介して接続される外部の電話機2との間で通話を行うための装置である。
子機31は、CPU32、EEPROM33、RAM34、音声判定回路35、操作ボタン36、LCD37、送受話回路38、及びDCL通信制御回路39を備えている。そして、CPU32、EEPROM33、RAM34は、バスライン40を介して互いに接続されている。また、音声判定回路35、操作ボタン36、LCD37、送受話回路38、DCL通信制御回路39、及びバスライン40は、入出力ポート41を介して互いに接続されている。
CPU32は、EEPROM33やRAM34に記憶される固定値やプログラム或いは、DCL通信制御回路39を介して送受信される各種信号に従って、子機31が有している各機能の制御や、入出力ポート41と接続された各部を制御する演算装置である。
EEPROM33は、子機31で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図5(b)のフローチャートに示すDCL通信処理を実行するプログラムは、このEEPROM33に格納されている。また、EEPROM33には、第1DCLチャンネルメモリ33a、第2DCLチャンネルメモリ33b、及び閾値メモリ33cが設けられている。
第1DCLチャンネルメモリ33aは、MFP1の第1DCLチャンネルメモリ12bと同一の良好チャンネルHPテーブルを格納するメモリである。また、第2DCLチャンネルメモリ33bは、MFP1の第2DCLチャンネルメモリ12cと同一の否良好チャンネルHPテーブルを格納するメモリである。即ち、第1DCLチャンネルメモリ33aには、図3(a)と同じ良好チャンネルHPテーブルが格納され、第2DCLチャンネルメモリ33bには、図3(b)と同じ否良好チャンネルHPテーブルが格納される。
これらの良好および否良好チャンネルHPテーブルは、MFP1により所定の間隔(10分間隔)で生成された後、DCLによる無線通信200を介して、MFP1から子機31へ送信される。子機31は、この送信されてきた良好および否良好チャンネルHPテーブルを、それぞれ第1および第2DCLチャンネルメモリ33a,33bに格納する。
そして、MFP1と同様に、MFP1と子機31との間で、レベルの大きい音声を含む音声データの無線通信200が行われる場合、良好チャンネルHPテーブルによって定められた順番で、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用してホッピングを行う。また、MFP1と子機31との間で、レベルの小さい音声だけを含む又は音声を含まない音声データの無線通信200が行われる場合、否良好チャンネルHPテーブルによって定められた順番で、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルを使用してホッピングを行う。
即ち、CPU32は、後述するDCL通信処理(図5(b)参照)を実行中に、次のホッピング周期において、MFP1と子機31との間でレベルの大きい音声を含む音声データの無線通信200が行われると判断した場合には、そのホッピング周期において使用するDCLチャンネルとして、良好チャンネルHPテーブルから、後述する第1DCLチャンネルカウンタ34bによって示されるHP順番12b1のHPチャンネル12b2を選択する。また、MFP1と子機31との間でレベルの小さい音声だけを含む又は音声を含まない音声データの無線通信200が行われると判断した場合には、そのホッピング周期において使用するDCLチャンネルとして、否良好チャンネルHPテーブルから、後述する第2DCLチャンネルカウンタ34cによって示されるHP順番12c1のHPチャンネル12c2を選択する。
このように、子機31において、次のホッピング周期で使用されるDCLチャンネルを選択する場合に、良好チャンネルHPテーブルから選択される条件と、否良好チャンネルHPテーブルから選択される条件とは、MFP1の場合と同一である。
加えて、後述するように、第1および第2DCLチャンネルカウンタ34b,34cは、MFP1の第1および第2DCLチャンネルカウンタ13b,13cと同じ条件で更新される。従って、同じホッピング周期では、MFP1と子機31とで必ず同じDCLチャンネルが選択されるようになっている。
閾値メモリ33cは、後述する音声判定回路35において使用される第1閾値を格納するメモリである。第1閾値は、音声判定回路35で音声判定を行う場合に、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれるか否かを判定するために使用されるものである。音声判定回路35は、この閾値メモリ33cに格納されている第1閾値の内容に基づき、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値以上である場合に、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定する。また、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値未満である場合に、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定する。
尚、この第1閾値は、MFP1の閾値メモリ12eに格納された第1閾値と同じ値が格納される。即ち、MFP1の閾値メモリ12eに格納される第1閾値に対して設計段階で求められた値が、予め閾値メモリ33cにも格納される。また、MFP1の閾値メモリ12eに格納される第1閾値が、操作ボタン15による操作によって変更された場合、MFP1から無線通信200を介して、変更後の値が子機31に通知される。子機31は、この通知されてきた変更後の値を閾値メモリ33に上書きする。これにより、MFP1の音声判定回路14における音声のレベルの大/小(音声無しを含む)の判定基準と、子機31の音声判定回路35における音声のレベルの大/小(音声無しを含む)の判定基準とを同じにすることができる。
次に、RAM34は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、子機31の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM34には、有音声フラグ34a、第1DCLチャンネルカウンタ34b、第2DCLチャンネルカウンタ34cが設けられている。
有音声フラグ34aは、後述する音声判定回路35の判定結果を格納するフラグである。この有音声フラグ34aには、音声判定回路35により、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定された場合に、音声判定回路35によって「1」が書き込まれる。また、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定された場合に、音声判定回路35によって「0」が書き込まれる。
また、有音声フラグ34aは、CPU32においてDCL通信処理(図5(b)参照)を実行中に参照され、有音声フラグ34aの内容が「1」の場合、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、第1DCLチャンネルメモリ33aに格納された良好チャンネルHPテーブルによって決定する。一方、有音声フラグ34aの内容が「0」の場合は、MFP1から通知される音声判定回路14の判定結果に基づいて、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを決定する。
また、有音声フラグ34aの内容(即ち、音声判定回路35の判定結果)は、CPU32においてDCL通信処理(図5(b)参照)を実行中に、無線通信200を介してMFP1に通知される。
第1DCLチャンネルカウンタ34bは、第1DCLチャンネルメモリ33aに格納された良好チャンネルHPテーブルから、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、ホッピング周期毎に、HP順番12b1で示された順番に従って選択するためのカウンタである。CPU32は、後述するDCL通信処理(図5(b)参照)を実行中に、この第1DCLチャンネルカウンタ34bを参照して、良好チャンネルHPテーブルから、第1DCLチャンネルカウンタ34bによって示されるHP順番12b1に対応するHPチャンネル12b2を選択する。
また、第1DCLチャンネルカウンタ34bは、CPU32により実行されるDCL通信処理の中で更新される。即ち、良好チャンネルHPテーブル(第1DCLチャンネルメモリ33a)にアクセスしてHPチャンネル12b2を選択する毎に、第1DCLチャンネルカウンタ34bは1ずつカウントアップされる。また、その値が、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では「20」)まで達している場合には、第1DCLチャンネルカウンタ34bは「1」に設定される。一方、CPU32が否良好チャンネルHPテーブル(第2DCLチャンネルメモリ33b)にアクセスしてHPチャンネル12c2を選択した場合には、第1DCLチャンネルカウンタ34bは更新されないようになっている。尚、第1DCLチャンネルカウンタ34bは、MFP1から良好および否良好チャンネルHPテーブルが送信されてくるたびに「1」に初期化される。
上述したように、良好チャンネルHPテーブルにアクセスが行われる条件と、否良好チャンネルHPテーブルにアクセスが行われる条件とは、MFP1の場合と同一である。従って、第1DCLチャンネルカウンタ34bが更新される条件も、MFP1の第1DCLチャンネルカウンタ13bと同一となる。従って、子機31の第1DCLチャンネルカウンタ34bとMFP1の第1DCLチャンネルカウンタ13bとは同期して更新される。
第2DCLチャンネルカウンタ34cは、第2DCLチャンネルメモリ33bに格納された否良好チャンネルHPテーブルから、DCLによる無線通信200で使用されるDCLチャンネルを、ホッピング周期毎に、HP順番12c1で示された順番に従って選択するためのカウンタである。CPU32は、後述するDCL通信処理(図5(b)参照)を実行中に、この第2DCLチャンネルカウンタ34cを参照して、否良好チャンネルHPテーブルから、第2DCLチャンネルカウンタ34cによって示されるHP順番12c1に対応するHPチャンネル12c2を選択することができる。
また、第2DCLチャンネルカウンタ34cは、CPU32により実行されるDCL通信処理の中で更新される。即ち、否良好チャンネルHPテーブル(第2DCLチャンネルメモリ33b)にアクセスしてHPチャンネル12c2を選択する毎に、第2DCLチャンネルカウンタ34cは1ずつカウントアップされる。また、その値が、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では「25」)まで達している場合には、第2DCLチャンネルカウンタ34cは「1」に設定される。また、CPU32は、良好チャンネルHPテーブル(第1DCLチャンネルメモリ33a)にアクセスしてHPチャンネル12b2を選択した場合には、第2DCLチャンネルカウンタ34cは更新されないようになっている。尚、第2DCLチャンネルカウンタ34cは、MFP1から良好および否良好チャンネルHPテーブルが送信されてくるたびに「1」に初期化される。
上述したように、良好チャンネルHPテーブルにアクセスが行われる条件と、否良好チャンネルHPテーブルにアクセスが行われる条件とは、MFP1の場合と同一である。従って、第2DCLチャンネルカウンタ34cが更新される条件も、MFP1の第2DCLチャンネルカウンタ13cと同一となる。従って、子機31の第2DCLチャンネルカウンタ34cとMFP1の第2DCLチャンネルカウンタ13cとは同期して更新される。
音声判定回路35は、DCLによる無線通信200により子機31からMFP1に対して送信される音声データのうち、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否かを判定する回路で、閾値メモリ33cに格納されている第1閾値の内容に基づき、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値以上である場合に、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定する。また、音声データに含まれる音声のレベルが第1閾値未満である場合に、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定する。
この音声判定回路35は、CPU32で実行されるDCL通信処理(図5(b)参照)によってCPU32から音声判定処理の指示があった場合に音声判定を行い、判定結果を有音声フラグ34aに書き込む。即ち、音声データに所定レベル以上の大きさの音声が含まれると判定した場合には、有音声フラグ34aに「1」を書き込み、音声データに所定レベル未満の大きさの音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定した場合には、有音声フラグ34aに「0」を書き込む。音声判定回路35は、有音声フラグ34aへの判定結果の書き込みを終了すると、CPU32に対して判定終了を通知する。
操作ボタン36は、各種動作の指示、設定を行うための入力ボタンである。また、LCD37は、操作ボタン36の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン36を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD37に表示される。
送受話回路38は、MFP1や、MFP1に電話回線網100を介して接続された外部の電話機2と通話を行うための回路である。この送受話回路38は、スピーカとマイクロフォンとを備えている。そして、送受話回路38は、MFP1から送信されDCL通信制御回路39により受信されたデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、スピーカから音声を外部に出力する。また、マイクロフォンから入力されたアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路39および音声判定回路35へ出力する。尚、DCL通信制御回路39に入力されたデジタル信号(音声データ)は、無線通信200を介してMFP1へ送信される。また、音声判定回路35では、無線通信200を介してMFP1へ送信される音声データのうち、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否かが判定される。
DCL通信制御回路39は、DCL用アンテナ39aを有しており、MFP1のDCL通信制御回路19との間で周波数ホッピング方式による無線通信200を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号(音声データ)を送受信する回路である。DCL通信制御回路39は、ホッピング周期毎にCPU32で実行される後述のDCL通信処理(図5(b)参照)で設定されたDCLチャンネルを使用しながらMFP1と無線通信200を行う。
次に、図4を参照して、MFP1で実行されるHPテーブル生成処理の処理フローについて説明する。図4は、HPテーブル生成処理のフローチャートである。この処理は、良好チャンネルHPテーブルと否良好チャンネルHPテーブルを生成する処理で、10分間隔でCPU11により実行される。
HPテーブル生成処理では、まず、DCLによる無線通信200を行っているかを判断する(S11)。HPテーブル生成処理では、DCL通信制御回路19を使用して外来電波を受信して外来電波の受信電界強度を測定するので、DCLによる無線通信200を行っている場合は、このHPテーブル生成処理を実行することができない。S11の処理は、そのような場合にHPテーブル生成処理を中止することを目的とした処理で、このS11の処理でDCLによる無線通信200を行っていると判断される場合(S11:Yes)、HPテーブル生成処理を終了する。
一方、DCLによる無線通信200を行っていないと判断される場合(S11:No)、S12の処理へ移行し、HPテーブルの生成を開始する。S12の処理では、2.4GHz帯に設けられた89のDCLチャンネル(ch1〜ch89)のうち、DCLによる無線通信200のホッピング(HP)で使用する45チャネル分のDCLチャンネルを選択する(S12)。ここでは、EEPROMに予め複数の選択パターンを用意しておき、その中から1つの選択パターンを選んで、45チャンネル分のDCLチャンネルを選択する。尚、ランダムに89のDCLチャンネルの中から45チャンネル分のDCLチャンネルを選択するようにしてもよい。
次に、ホッピング(HP)で使用する45チャンネル分のDCLチャンネルの中から、通信状況が良好であるか否かを判定する判定チャンネルを1つ選択する(S13)。ここでは、通信状況が良好であるか否かの判定を未だ行っていないDCLチャンネルの中から、チャンネル番号の一番小さいDCLチャンネルを選択する。
次いで、無線LAN通信制御回路17に対して動作状態の問い合わせを行い、無線LAN通線制御回路17から無線LANによる無線通信300を行っているか否かの通知を受け取って、MFP1において無線LANによる無線通信200を行っているかを判断する(S14)。
そして、MFP1において無線LANによる無線通信200を行っていると判断される場合(S14:Yes)、無線LANチャンネルメモリ12dから、無線LANで使用している無線LANチャンネルを読み出し、その無線LANチャンネルと周波数帯域の重複するDCLチャンネルを、チャンネル対応メモリ12aに格納されているチャンネル対応テーブル(図2参照)から特定して、判定チャンネルが無線LANで使用している無線LANチャンネルと周波数帯域が重複するかを判断する(S15)。
ここで、判定チャンネルが無線LANで使用している無線LANチャンネルの周波数帯域と重複すると判断される場合は(S15:Yes)、その判定チャンネルの周波数帯域は無線LANによって使用されているので、通信状況が良好でないと判断し、S18の処理へ移行する。
このように、自装置(MFP1)で行っている無線LANによる無線通信300で使用される無線LANチャンネルの周波数帯域と重複する判定チャンネルを、そのまま通信状況が良好でないチャンネルと判断するので、通信状況が良好か否かの判断を簡単に行うことができる。加えて、無線LANによる無線通信300で使用される無線LANチャンネルと重複する判定チャンネルについては、その判定チャンネルの通信状況を実際に測定する必要がないので、通信状況の判断にかかる負担を抑制することができる。
一方、S14の処理の結果、MFP1において無線LANによる無線通信200を行っていないと判断される場合(S14:No)、および、S15の処理の結果、判定チャンネルが無線LANで使用している無線LANチャンネルの周波数帯域と重複しないと判断される場合は(S15:No)、DCL通信制御回路19に対して判定チャンネルを指定する。そして、その判定チャンネルの指定によって、受信電界強度測定回路19aにより測定された判定チャンネルの外来電波の受信電界強度が、閾値メモリ12eに記憶された第2閾値未満であるかを判断する(S16)。
ここで、判定チャンネルの外来電波の受信電界強度が第2閾値未満であると判断される場合(S16:Yes)、外来電波による影響を受けないので、その判定チャンネルの通信状況は良好であると判断し、S17の処理へ移行する。これに対し、判定チャンネルにおいて測定された外来電波の受信電界強度が第2閾値以上であると判断される場合(S16:No)、外来電波により干渉を受けるので、その判定チャンネルの通信状況は良好でないと判断し、S18の処理へ移行する。このように、外来電波の電界強度の大きさに応じて、判定チャンネルの通信状況が良好か否かを判断するので、その判断を精度よく行うことができる。
続いて、S17の処理では、S16の処理で通信状況が良好であると判断された判定チャンネルのチャンネル番号を第1DCLチャンネルメモリ12bに記憶して、S19の処理へ移行する。一方、S18の処理では、S15及びS16の処理で通信状況が良好でないと判断された判定チャンネルを第2DCLチャンネルメモリ12cに記憶して、S19の処理へ移行する。これにより、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルと、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルとを、それぞれ第1および第2DCLチャンネルメモリ12b,12cに分類することができる。
S19の処理では、S12の処理で選択されたホッピング(HP)で使用する45チャンネル分の全てのDCLチャンネルにおいて、通信状況が良好であるか否かの判定を行ったかを判断する。そして、45チャンネル分の全てのDCLチャンネルにおいて、通信状況が良好であるか否かの判定を行っていないと判断される場合(S19:No)、S13の処理へ回帰する。これにより、再度、通信状況が良好であるか否かの判定が行われていないDCLチャンネルのうち、チャンネル番号の一番小さいDCLチャンネルを判定チャンネルとして、通信状況が良好であるか否かの判定が行われる。
そして、S19の処理において、45チャンネル分の全てのDCLチャンネルにおいて、通信状況が良好であるか否かの判定を行ったと判断されるまで(S19:Yes)、S13〜S19の処理を繰り返し実行する。これにより、45チャンネル分の全てのDCLチャンネルについて、通信状況が良好であるか否かの判定が行われ、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルは全て第1DCLチャンネルメモリ12bに記憶される。一方、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルは全て第2DCLチャンネルメモリ12cに記憶される。
そして、S19の処理の結果、45チャンネル分の全てのDCLチャンネルにおいて、通信状況が良好であるか否かの判定を行ったと判断される場合(S19:Yes)、S13〜S19の処理のループを抜け、S20の処理へ移行する。S20の処理では、第1DCLチャンネルメモリ12bに記憶されたDCLチャンネル、即ち通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルをランダムに並び替えて、ホッピングの順番(HP順番)を決定する。これにより、第1DCLチャンネルメモリ12bの中に、図3(a)に示すような良好チャンネルHPテーブルが生成され、格納される。
次いで、第2DCLチャンネルメモリ12cに記憶されたDCLチャンネル、即ち通信状況が良好でないと判定されたDCLチャンネルをランダムに並び替えて、ホッピングの順番(HP順番)を決定する(S21)。これにより、第2DCLチャンネルメモリ12cの中に、図3(b)に示すような否良好チャンネルHPテーブルが生成され、格納される。
そして、第1および第2DCLチャンネルメモリ12b,12cに格納された良好および否良好チャンネルHPテーブルを子機31に送信する(S22)。これにより、子機31に、共通のHPテーブルを持たせることができる。更に、第1および第2DCLチャンネルカウンタ13b,13cの値を「1」に初期化して(S23)、HPテーブル生成処理を終了する。
次に、図5(a)を参照して、MFP1で実行されるDCL通信処理の処理フローについて説明する。図5(a)は、MFP1で実行されるDCL通信処理のフローチャートである。この処理は、DCLによる無線通信200を行う場合に、次のホッピング周期において使用するDCLチャンネル(ホッピングチャンネル)をMFP1側で設定する処理で、ホッピング周期毎にCPU11により起動され実行される。
この処理では、まず、音声判定回路14に対して、電話回線網100を介して外部の電話機2から入力された音声データまたは送受話器23から入力された音声データのうち、次のホッピング周期でMFP1から子機31に対して送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否かを判定するよう指示する(S31)。そして、音声判定回路14から、判定終了の通知を受け取ると、その判定結果が書き込まれた有音声フラグ13aの内容を確認し、有音声フラグが「1」であるかを判断する(S32)。
ここで、有音声フラグ13aが「1」であると判断される場合には(S32:Yes)、音声判定回路14によって、次のホッピング周期でMFP1から子機31に対して送信される音声データに所定レベル以上の音声が含まれると判定されているので、子機31に対して、次のホッピング周期でMFP1からレベルの大きい音声を含む音声データを送信することを伝達し(S33)、S36の処理へ移行する。
一方、S32の処理の結果、音声フラグ13aが「0」であると判断される場合には(S32:No)、音声判定回路14によって、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル未満の音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定されているので、子機31に対して、次のホッピング周期でMFP1からレベルの小さい音声だけを含む音声データを送信することを伝達し(S34)、S35へ移行する。
このように、子機31に対して、電話回線網100を介して外部の電話機2から入力された音声データまたは送受話器23から入力された音声データのうち、次のホッピング周期でMFP1から送信される音声データに含まれる音声のレベルの大/小に関する情報を伝達するので、子機31では、MFP1から送信されるデータに含まれる音声のレベルが大きい場合には、良好チャンネルHPテーブルを用いて、次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルを設定することができる。
次いで、S35の処理では、子機31の送受話回路38に備えられたマイクロフォンから入力された音声データのうち、次のホッピング周期で子機31からMFP1に対して送信される音声データに含まれる音声のレベルの大/小に関する情報を、子機31から受取り、その情報に基づき、子機31から送信される音声データに含まれる音声のレベルが大きいかを判断する(S35)。そして、子機31から送信される音声データに含まれる音声のレベルが大きいと判断される場合は(S35:Yes)、S36の処理へ移行し、子機31から送信される音声データに含まれる音声のレベルが小さいと判断される場合は(S35:No)、S38の処理へ移行する。
そして、S36の処理では、第1DCLチャンネルメモリ12bに格納されている良好チャンネルHPテーブルから、第1DCLチャンネルカウンタ13bによって示されるHP順番12b1に対応するHPチャンネル12b2を選択し、その選択されたHPチャンネル12b2を次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルとして設定して、DCL通信制御回路19へ通知する。
これにより、次のホッピング周期において、MFP1から子機31に対して送信される音声データ、若しくは、子機31からMFP1に対して送信される音声データの少なくともいずれか一方に、所定レベル以上の音声が含まれる場合、そのホッピング周期では、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用してMFP1と子機31との間でDCLによる無線通信200を行うことができる。よって、レベルの大きな音声を含む音声データは、その音声データを雑音や音途切れなく送受信することができる。
次いで、第1DCLチャンネルカウンタ13bを更新し(S37)、DCL通信処理を終了する。即ち、S37の処理では、第1DCLチャンネルカウンタ13bを1だけカウントアップするか、若しくは、その値が、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では20)の場合は、第1DCLチャンネルカウンタ13bを「1」に設定する。
これにより、MFP1と子機31との間で送受信される音声データに所定レベル以上の音声が含まれる場合には、良好チャンネルHPテーブルにより、HP順番12b1で示された順番に従ってHPチャンネル12b2が順に選択されるようになる。
一方、S38の処理では、第2DCLチャンネルメモリ12cに格納されている否良好チャンネルHPテーブルから、第2DCLチャンネルカウンタ13cによって示されるHP順番12c1に対応するHPチャンネル12c2を選択し、その選択されたHPチャンネル12c2を次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルとして設定して、DCL通信制御回路19へ通知する。
これにより、次のホッピング周期において、MFP1から子機31に対して送信される音声データおよび子機31からMFP1に対して送信される音声データのどちらにも、所定レベル未満の音声だけが含まれる又は音声が含まれない場合、そのホッピング周期では、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルを使用してMFP1と子機31との間でDCLによる無線通信200を行うことができる。よって、このような音質が求められない音声データに対して、通信状況の良好なDCLチャンネルが無駄に割り当てられることを防止することができる。
次いで、第2DCLチャンネルカウンタ13cを更新し(S39)、DCL通信処理を終了する。即ち、S39の処理では、第2DCLチャンネルカウンタ13cを1だけカウントアップするか、若しくは、その値が、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では25)の場合は、第2DCLチャンネルカウンタ13cを「1」に設定する。
これにより、MFP1と子機31との間で送受信される音声データに所定レベル未満の音声のみが含まれる又は音声が含まれない場合には、否良好チャンネルHPテーブルにより、HP順番12c1で示された順番に従ってHPチャンネル12c2が順に選択されるようになる。
次に、図5(b)を参照して、子機31で実行されるDCL通信処理の処理フローについて説明する。図5(b)は、子機31で実行されるDCL通信処理のフローチャートである。この処理は、DCLによる無線通信200を行う場合に、次のホッピング周期において使用するDCLチャンネル(ホッピングチャンネル)を子機31側で設定する処理で、ホッピング周期毎にCPU32により起動され実行される。
この処理では、まず、音声判定回路35に対し、子機31の送受話回路38に備えられたマイクロフォンから入力された音声データのうち、次のホッピング周期で子機31からMFP1に対して送信される音声データに所定レベル以上の音声データが含まれるか否かを判定するよう指示する(S41)。そして、音声判定回路35から、判定終了の通知を受け取ると、その判定結果が書き込まれた有音声フラグ34aの内容を確認し、有音声フラグが「1」であるかを判断する(S42)。
ここで、有音声フラグ34aが「1」であると判断される場合には(S42:Yes)、音声判定回路35によって、次のホッピング周期で子機31からMFP1に対して送信される音声データに所定レベル以上の音声が含まれると判定されているので、MFP1に対して、次のホッピング周期で子機31からレベルの大きい音声を含む音声データを送信することを伝達し(S43)、S46の処理へ移行する。
一方、S42の処理の結果、音声フラグ34aが「0」であると判断される場合には(Y42:No)、音声判定回路35によって、次のホッピング周期で送信される音声データに所定レベル未満の音声だけが含まれる又は音声が含まれないと判定されているので、MFP1に対して、次のホッピング周期で子機31からレベルの小さい音声だけを含む音声データを送信することを伝達し(S44)、S45へ移行する。
このように、MFP1に対して、子機31の送受話回路38に備えられたマイクロフォンから入力された音声データのうち、次のホッピング周期で子機31から送信される音声データに含まれる音声のレベルの大/小の情報を伝達するので、MFP1では、子機31から送信されるデータに含まれる音声のレベルが大きい場合には、良好チャンネルHPテーブルによって、次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルを設定することができる。
次いで、S45の処理では、電話回線網100を介して外部の電話機2から入力された音声データまたは送受話器23から入力された音声データのうち、次のホッピング周期でMFP1から子機31に対して送信される音声データに含まれる音声のレベルの大/小の情報を、MFP1から受取り、その情報に基づき、MFP1より送信される音声データに含まれる音声のレベルが大きいかを判断する(S45)。そして、MFP1から送信される音声データに含まれる音声のレベルが大きいと判断される場合は(S45:Yes)、S46の処理へ移行し、MFP1から送信される音声データに含まれる音声のレベルが小さいと判断される場合は(S45:No)、S48の処理へ移行する。
そして、S46の処理では、第1DCLチャンネルメモリ33aに格納されている良好チャンネルHPテーブルから、第1DCLチャンネルカウンタ34bによって示されるHP順番12b1に対応するHPチャンネル12b2を選択し、その選択されたHPチャンネル12b2を次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルとして設定して、DCL通信制御回路39へ通知する。
これにより、次のホッピング周期において、MFP1から子機31に対して送信される音声データ、若しくは、子機31からMFP1に対して送信される音声データの少なくともいずれか一方に、所定レベル以上の音声が含まれる場合、そのホッピング周期では、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用してMFP1と子機31との間でDCLによる無線通信200を行うことができる。よって、レベルの大きな音声を含む音声データは、その音声データを雑音や音途切れなく送受信することができる。
次いで、第1DCLチャンネルカウンタ34bを更新し(S47)、DCL通信処理を終了する。即ち、S47の処理では、第1DCLチャンネルカウンタ34bを1だけカウントアップするか、若しくは、その値が、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数(図3(a)の例では20)の場合は、第1DCLチャンネルカウンタ34bを「1」に設定する。
これにより、MFP1と子機31との間で送受信される音声データに所定レベル以上の音声が含まれる場合には、良好チャンネルHPテーブルにより、HP順番12b1で示された順番に従ってHPチャンネル12b2が順に選択されるようになる。
一方、S48の処理では、第2DCLチャンネルメモリ33bに格納されている否良好チャンネルHPテーブルから、第2DCLチャンネルカウンタ34cによって示されるHP順番12c1に対応するHPチャンネル12c2を選択し、その選択されたHPチャンネル12c2を次のホッピング周期で使用するDCLチャンネルとして設定して、DCL通信制御回路39へ通知する。
これにより、次のホッピング周期において、MFP1から子機31に対して送信される音声データおよび子機31からMFP1に対して送信される音声データのどちらにも、所定レベル未満の音声だけが含まれる又は音声が含まれない場合、そのホッピング周期では、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルを使用してMFP1と子機31との間でDCLによる無線通信200を行うことができる。よって、このような音質が求められない音声データに対して、通信状況の良好なDCLチャンネルが無駄に割り当てられることを防止することができる。
次いで、第2DCLチャンネルカウンタ34cを更新し(S49)、DCL通信処理を終了する。即ち、S49の処理では、第2DCLチャンネルカウンタ34cを1だけカウントアップするか、若しくは、その値が、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネル数(図3(b)の例では25)の場合は、第2DCLチャンネルカウンタ34cを「1」に設定する。
これにより、MFP1と子機31との間で送受信される音声データに所定レベル未満の音声のみが含まれる又は音声が含まれない場合には、否良好チャンネルHPテーブルにより、HP順番12c1で示された順番に従ってHPチャンネル12c2が順に選択される。
以上説明したように、本実施形態によれば、MFP1から子機31に対して送信される音声データおよび子機31からMFP1に対して送信される音声データの少なくともいずれか一方に、所定レベル以上の音声が含まれる場合には、通信状況が良好なDCLチャンネルを介して無線通信されるので、その音声データを雑音や音途切れなく送受信することができる。一方、MFP1から子機31に対して送信される音声データおよび子機31からMFP1に対して送信される音声データのどちらにも、所定レベル未満の音声だけが含まれる又は音声が含まれない場合、通信状況が良好でないDCLチャンネルを介して無線通信されるので、音質が求められない音声データに対して、通信状況の良好なDCLチャンネルが無駄に割り当てられることを防止することができる。これにより、通信状況が良好でないDCLチャンネルが多く存在するような場合であっても、通信状況が良好でないDCLチャンネルも含めてDCLによる無線通信200を行うのに必要なDCLチャンネル数(45チャンネル分)を確保しつつ、無線による音声データの通信を高い音質で行うことができる。
また、ホッピング周期毎に、次のホッピング周期でMFP1と子機31との間で無線通信200が行われる音声データに含まれる音声のレベルの大小が検出され、その検出結果に応じて、通信状況の良好なDCLチャンネルおよび通信状況の良好でないDCLチャンネルのいずれか一方から、無線通信200で使用される使用チャンネルがホッピング周期毎に設定されるので、時々刻々と変化する音声のレベルに合わせて、通信状況の良好なDCLチャンネルおよび通信状況の良好でないDCLチャンネルから、適切なチャンネルを使用チャンネルとして設定することができる。これにより、通信状況が良好でないDCLチャンネルを含めてDCLによる無線通信200を行うために確保した45チャンネル分のDCLチャンネルを、効率よく使用することができる。また、次のホッピング周期で通信を行う音声データに含まれる音声の大きさが第1閾値以上であるか否かが音声判定回路14,35によって予め検出されるので、ホッピング周期が短い場合であっても、その検出結果に応じて、通信状況が良好なDCLチャンネルおよび通信状況が良好でないDCLチャンネルのいずれか一方から、そのホッピング周期で使用される使用チャンネルを遅滞無く設定することができる。
更に、電話回線網100を介して外部の電話機2からMFP1に対して入力された音声データまたは送受話器23からMFP1に対して入力された音声データと、送受話回路38に備えられたマイクロフォンから子機31に入力された音声データとの両方に含まれる音声の大きさに基づき、通信状況が良好なDCLチャンネルを使用するか、通信状況が良好でないDCLチャンネルを使用するかが設定される。従って、MFP1と子機31との間で、双方向に音声データを無線通信するような場合であっても、通信状況が良好でないDCLチャンネルも含めてDCLによる無線通信200を行うのに必要なDCLチャンネル数(45チャンネル分)を確保しつつ、双方向で通信しあうMFP1と子機31との間で無線による音声データの通信を高い音質で行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、無線通信システムTがDCLによって音声データを無線通信する場合を説明したが、必ずしもこれに限られる必要はなく、その他の方式によって音声データを無線通信するものであってもよい。この場合、MFP1と子機31には、DCL通信制御回路19,39に代えて、その方式に対応した通信制御回路をそれぞれ設ければよい。
また、上記実施形態では、無線通信システムTに、無線LANによる無線通信機能を搭載する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、無線LANによる無線通信機能に代えて、又はそれに加えて、その他の方式による無線通信機能を搭載するようにしてもよい。この場合、MFP1には、その他の方式に対応した通信制御回路を設ければよい。また、その他の方式で使用する周波数帯域の少なくとも一部が、DCLで使用する周波数帯域と重複する場合は、その他の方式で使用する無線チャンネルの周波数帯域と重複するDCLチャンネルを対応付けたチャンネル対応テーブルを用意し、DCLで使用する良好および否良好チャンネルHPテーブルを生成する場合に、そのチャンネル対応テーブルを参照して、その他の方式で使用される無線チャンネルと重複するDCLチャンネルを、通信状況が良好でないチャンネルとして判断するようにしてもよい。
例えば、その他の方式による無線通信機能として、Bluetoothによる無線通信機能を無線通信システムTに搭載してもよい。Bluetoothは、各DCLチャンネルと同一の周波数帯域を持つ89のBluetoothチャンネルを用いて、周波数ホッピング方式により無線通信を行うものである。無線通信システムTにBluetoothによる無線通信機能を搭載する場合、MFP1には、Bluetoothに対応した通信制御回路を設ければよい。また、89のBluetoothチャンネルのうち、ホッピングチャンネルとして実際に使用するBluetoothチャンネルを記憶するBluetoothチャンネルメモリを設け、DCLで使用する良好および否良好チャンネルHPテーブルを生成する場合には、そのBluetoothチャンネルメモリを参照して、Bluetoothチャンネルメモリに記憶されたBluetoothチャンネルと同一の周波数帯域を使用するDCLチャンネルを、そのまま通信状況が良好でないチャンネルとして判断するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、DCLチャンネルの通信状況を判断する場合に、そのDCLチャンネルにおいて受信される外部電波の受信電界強度によって、通信状況が良好か否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ビットエラーレイト(BER:Bit Error Rate)によって通信状況を判断するようにしてもよい。この場合、MFP1のDCL通信制御回路19にBER測定回路を設けると共に、子機31のDCL通信制御回路39にBER測定用電波送信回路を設ければよい。そして、DCLチャンネルの通信状況を判断する場合、判断対象のDCLチャンネルを用いて、子機31のBER測定用電波送信回路からBER測定用の電波を送信し、MFP1のDCL通信制御回路19でその電波を受信し、BER測定回路で受信した電波のBERを測定すればよい。ここで、測定したBERが所定レベル未満であれば、判断対象のDCLチャンネルは通信状況が良好でなると判断し、BERが所定レベル以上であれば、そのDCLチャンネルは通信状況が良好でないと判断することができる。
また、上記実施形態では、MFP1に第1および第2DCLチャンネルカウンタ13b,13cとを設け、子機31に第1および第2DCLチャンネルカウンタ34b、34cを設けて、良好チャンネルHPテーブルは、MFP1および子機31の第1DCLチャンネルカウンタ13b,34bにより示されるHP順番12b1のHPチャンネル12b2を選択し、否良好チャンネルHPテーブルは、MFP1および子機31の第2DCLチャンネルカウンタ13c,34cにより示されるHP順番12c1のHPチャンネル12b2を選択する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、MFP1と子機31には、各々1つのDCLチャンネルカウンタだけ設けるようにしてもよい。この場合、ホッピング周期毎にDCLチャンネルカウンタを更新し、良好および否良好チャンネルHPテーブルは、このDCLチャンネルカウンタにより示されるHP順番12b1,12c1のHPチャンネル12b2,12c2を選択するようにすればよい。これにより、HPチャンネルを選択する制御を簡素化することができ、制御負担の軽減を図ることができる。
また、上記実施形態では、HPテーブル生成処理において、89のDCLチャンネル(ch1〜ch89)のうち、DCLによる無線通信200のホッピングで使用する45チャネル分のDCLチャンネルを選択し、その45チャンネル分のDCLチャンネルについて通信状況が良好であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、45チャンネル以上のDCLチャンネルについて通信状況が良好であるか否かを判断してもよい。例えば、89のDCLチャンネル(ch1〜ch89)の全てについて、通信状況が良好か否かを判断してもよい。そして、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルから、所定のチャンネル数(例えば、25チャンネル)を選択して良好チャンネルHPテーブルを生成するとともに、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルから、ホッピングに必要な残りのチャンネル数(例えば、20チャンネル)を選択して否良好チャンネルHPテーブルを生成するようにしてもよい。
また、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを全て使用して良好チャンネルHPテーブルを生成してもよい。そして、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネル数がホッピングに必要な45チャンネル未満である場合は、通信状況が良好でないと判断されたDCLチャンネルの中から、不足しているDCLチャンネル数(即ち、「45」から通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルの数だけ引いた数)だけ選択し、その選択したDCLチャンネルから否良好チャンネルHPテーブルを生成するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、良好チャンネルHPテーブルに含まれるDCLチャンネル数に対応して閾値メモリ12eに格納される第1閾値(音声判定回路14,35の音声判定で使用される閾値)に設定すべき値が記憶されたテーブルをEEPROM12に格納しておき、CPU11により、良好チャンネルHPテーブルに含まれるDCLチャンネル数に応じて、閾値メモリ12eに記憶された第1閾値が変更されるようにしてもよい。例えば、良好チャンネルHPテーブルに含まれるDCLチャンネル数が多いほど、第1閾値の値が小さくなるように変更してもよい。これにより、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用して無線通信される音声データが増加するので、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルが多いほど、無線通信される音声データの音質を向上させることができる。そして、良好チャンネルHPテーブルに含まれるDCLチャンネル数が45チャンネルである場合、第1閾値を「0」に設定するようにすれば、すべての音声データにおいて、通信状況が良好であると判断されたDCLチャンネルを使用して無線通信することができる。