JP4815688B2 - 液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス - Google Patents

液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ用基板に好適なアルミノホウケイ酸ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
化学的耐久性および耐熱性に優れるアルミノホウケイ酸ガラスは、アンプル、液晶ディスプレイ用基板等の基板、等に広く用いられており、ガラス溶融窯による生産が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、アルミノホウケイ酸ガラスには、その脱泡のためにCl、As23およびSb23のいずれか1種が添加されている。しかし、近年、アルミノホウケイ酸ガラス中に残存する泡の一層の削減が求められている。本発明は、泡の削減が可能なアルミノホウケイ酸ガラスの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記成分基準の質量百分率表示で、本質的に、
SiO2 61〜81%、
Al23 2〜22%、
23 4〜15%、
Li2O 0〜2%、
Na2O 0〜10%、
2O 0〜3%、
MgO 0.02〜5%、
CaO 0〜8%、
SrO 0〜10%、
BaO 0〜17%、
ZnO 0〜10%、
Fe23 0〜0.15%、
SO3 0.001〜0.015%、
Cl 0.005〜1%、
F 0.03〜0.5%、
からなり、Cl+Fが0.05%以上であり、
50〜350℃における平均線膨張係数が32×10 -7 〜52×10 -7 /℃であ液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラスを提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス(以下本発明のガラスという。)の歪点は520〜700℃であることが好ましい。520℃未満では耐熱性が低すぎるおそれがある。700℃超では成形が困難になるおそれがある。より好ましくは660℃以下、さらに好ましくは570℃以下、特に好ましくは560℃以下、最も好ましくは550℃以下である。
【0006】
本発明のガラスは、下記成分基準の質量百分率表示で、本質的に、
SiO2 61〜81%、
Al23 2〜20%、
23 4〜15%、
Li2O 0〜2%、
Na2O 0〜10%、
2O 0〜3%、
MgO 0.02〜5%、
CaO 0〜6%、
SrO 0〜10%、
BaO 0〜17%、
ZnO 0〜10%、
Fe23 0〜0.15%、
SO3 0.001〜0.015%、
Cl 0.05〜0.8%、
F 0.03〜0.3%、
からなることが好ましい。
【0007】
次に、本発明のガラスの組成について、質量百分率表示を用いて説明する。
SiO2はネットワークフォーマであり、必須である。78%超ではガラスの溶解性が低下する、または失透しやすくなる。好ましくは76%以下である。45%未満では耐酸性または耐アルカリ性が低下する。好ましくは48%以上、より好ましくは61%以上である。
【0008】
Al23は、ガラスの分相を抑制する、または歪点を高くする成分であり、必須である。22%超では失透しやすくなる、または耐酸性が低下する。好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下である。2%未満ではガラスが分相しやすくなる、または歪点が低下する。好ましくは3%以上である。
SiO2の含有量が61%以上の場合、Al23の含有量は10%以下であることが好ましい。
【0009】
23は、化学的耐久性を高くする、ガラスの溶解性を高くする、またはガラスを失透しにくくする成分であり、必須である。15%超では歪点が低下する、耐酸性が低下する、またはガラス溶融時のB23の揮散に起因するガラスの不均質性が顕著になる。好ましくは13%以下である。4%未満では化学的耐久性が低下する、ガラスの溶解性が低下する、またはガラスが失透しやすくなる。好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上である。
【0010】
Li2O、Na2OおよびK2Oはいずれも必須ではないが、膨張係数を大きくするためにそれぞれ、2%、10%、3%まで含有してもよい。これを超えて含有すると化学的耐久性または歪点が低下する。
50〜350℃における平均線膨張係数αを50×10-7/℃以上にしたい場合、Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計は1%以上であることが好ましい。
【0011】
MgOは必須ではないが、ガラスの溶解性を高くするために5%まで含有してもよい。5%超ではガラスが分相しやすくなる、またはガラスが失透しやすくなる。
CaOは必須ではないが、ガラスの溶解性を高くするために、またはガラスを失透しにくくするために8%まで含有してもよい。8%超ではかえって失透しやすくなる。好ましくは6%以下である。
【0012】
SrOは必須ではないが、ガラスの分相を抑制するために、またはガラスを失透しにくくするために10%まで含有してもよい。10%超ではかえって失透しやすくなる。
BaOは必須ではないが、ガラスの分相を抑制するために、またはガラスを失透しにくくするために17%まで含有してもよい。17%超ではかえって失透しやすくなる。
ZnOは必須ではないが、化学的耐久性を高くするために、10%まで含有してもよい。10%超ではかえって化学的耐久性、特に耐酸性が低下する。
【0013】
Fe23は必須ではないが、ガラス溶融窯内の溶融ガラスの熱対流を制御するために、または脱泡促進のために0.15%まで含有してもよい。0.15%超では前記熱対流が抑制されかえって脱泡しにくくなる、または均質性が低下する。
【0014】
SO3は必須ではないが、脱泡またはガラス原料の溶解を促進するために0.015%まで含有してもよい。0.015%超では撹拌時に再沸する。好ましくは0.012%以下、より好ましくは0.01%以下である。脱泡またはガラス原料の溶解をより促進したい場合はSO3を0.001%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.0012%以上である。
SO3含有は、通常、ボウ硝等の硫酸塩をガラス原料に添加することによって行われるが、その他に、たとえば重油燃焼窯においては重油のS含有不純物にも起因する。
【0015】
ClおよびFは脱泡のための成分であり、少なくともいずれか一方を含有しなければならない。ClおよびFの含有量の合計Cl+Fが0.05%未満では脱泡が不充分になる。また、Cl+Fは1%以下であることが好ましい。
【0016】
Clは、脱泡または前記再沸抑制のために1%まで含有してもよい。1%超ではかえってClに起因する再沸が起る。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。脱泡または前記SO3に起因する再沸抑制をより促進したい場合は0.05%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.1%以上である。
【0017】
Fは、溶融ガラスの表面張力を低下させ、溶融ガラス表面に存在する泡を破れやすくする効果、または溶融ガラス中の微小な泡を削減する効果があり、0.5%まで含有してもよい。0.5%超では揮散が多くなってガラスの均質性が低下する。好ましくは0.3%以下である。
【0018】
本発明のガラスにおいては、Al23が2〜20%、CaOが0〜6%、SO3が0.001〜0.015%、Clが0.05〜0.8%、Fが0〜0.3%、であることが好ましい。
【0019】
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、その他の成分、たとえばTiO2、ZrO2等を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。前記その他の成分の含有量の合計は10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下である。
【0020】
なお、本発明のガラスはAs23を含有しないことが好ましい。また、Sb23も含有しないことが好ましい。As23およびSb23のいずれも含有しないことがより好ましい。なお、本明細書でいう「含有しない」とは「不純物レベルの含有」を包含する。すなわち、As23およびSb23の場合についていえば、いずれについても0.05%またはそれ以下の含有が典型的な不純物レベルであって、本発明のガラスはAs23またはSb23を含有するとしても不純物レベルであることが好ましい。
【0021】
本発明のガラスは、アンプル、液晶ディスプレイ用基板等の基板、等に好適である。
【0022】
本発明のガラスを製造する方法は特に限定されず、各種製造方法を採用できる。たとえば、目標組成となるように通常使用される原料を調合し、これをガラス溶融窯中で1500〜1700℃に加熱して溶融する。バブリングまたは撹拌などによって溶融ガラスの均質化を行う。
【0023】
また、溶融ガラスの均質化の前工程または後工程として、公知の溶融ガラス減圧脱泡処理を行い、一層の泡削減を図ってもよい。撹拌を行う場合、その前工程として減圧脱泡処理を行うと再沸が抑制され、その結果、前記撹拌をより強く行える効果がある。ここで、減圧脱泡工程とは、大気圧下で溶融されたガラスを、大気圧未満の圧力下、典型的には大気圧よりも0.5気圧以上低い圧力下に保持する工程であって溶融ガラスの脱泡促進のために設けられるものである。
【0024】
液晶ディスプレイ用基板等の基板として使用する場合は、周知のプレス法、ダウンドロー法、フロート法等の方法により所定の板厚に成形し、徐冷後、研削、研磨などの加工を行い、所定のサイズ、形状の基板とする。アンプルとして使用する場合は、周知のダンナー法等の方法によってガラス管に成形し、該ガラス管を加工してアンプルとする。
【0025】
【実施例】
表1のSiO2〜Fの欄に質量百分率表示で示した組成となるように調合した原料を、ガラス溶融窯で溶解、撹拌後、フロート法で板状に成形後、冷却して切断して50cm×100cmのガラス板(厚さ:1mm)を得た。前記撹拌はガラス溶融窯とフロートバスの間に設けられた均質化槽内で行い、その回転速度は10回/分とした。前記ガラス板のα(単位:10-7/℃)、歪点(単位:℃)、徐冷点(単位:℃)を表1に示す。例1〜4は実施例、例5は比較例である。
【0026】
また、前記ガラス板に存在する大きさが20μm以上の泡の数を、暗室中で、ガラス板から50cm離れて設置された高輝度点光源(水銀ランプ)からガラス板に光を照射しながら数えた。また、前記ガラス板に存在する脈理の強さを調べた。ガラス1kgあたりの泡の数を表1の泡の欄に、脈理の強さを均質度の欄にそれぞれ示す。
泡の数は0.1個/kg以下であることが好ましい。
脈理の強さは、液晶ディスプレイ用基板として許容されるものを○、許容されないものを×とした。
【0027】
【表1】
Figure 0004815688
【0028】
また、表2のSiO2〜Fの欄に質量百分率表示で示した組成となるように調合した原料を白金ルツボに入れ、電気炉内で溶解、撹拌後、溶融ガラスをカーボン板上に板状に流し出して冷却した。得られたガラスを切断・研磨して10cm×20cmのガラス板(厚さ:6mm)とした。前記撹拌は、白金製スターラを用いて30分間行い、その回転速度は5回/分とした。前記ガラス板のα(単位:10-7/℃)、歪点(単位:℃)、徐冷点(単位:℃)を表2に示す。例6、7は実施例、例8は比較例である。
【0029】
また、前記ガラス板に存在する大きさが20μm以上の泡の数を、暗室中で、ガラス板側面から高輝度点光源(水銀ランプ)からの光を照射しながら数えた。また、前記ガラス板に存在する脈理の強さを調べた。ガラス1gあたりの泡の数を表2の泡の欄に、脈理の強さを均質度の欄にそれぞれ示す。
泡の数は0.02個/g以下であることが好ましい。
脈理の強さは、液晶ディスプレイ用基板として許容されるものを○とした。
【0030】
【表2】
Figure 0004815688
【0031】
【発明の効果】
本発明のガラスは、泡が少なく、かつ均質性に優れたアルミノホウケイ酸ガラスであり、高品質のアンプル、液晶ディスプレイ基板、フォトマスク用基板、磁気ディスク用基板等が得られる。

Claims (7)

  1. 下記成分基準の質量百分率表示で、本質的に、
    SiO2 61〜81%、
    Al23 2〜22%、
    23 4〜15%、
    Li2O 0〜2%、
    Na2O 0〜10%、
    2O 0〜3%、
    MgO 0.02〜5%、
    CaO 0〜8%、
    SrO 0〜10%、
    BaO 0〜17%、
    ZnO 0〜10%、
    Fe23 0〜0.15%、
    SO3 0.001〜0.015%、
    Cl 0.005〜1%、
    F 0.03〜0.5%、
    からなり、Cl+Fが0.05%以上であり、
    50〜350℃における平均線膨張係数が32×10 -7 〜52×10 -7 /℃であ液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  2. Al23が2〜20%、CaOが0〜6%、SO3が0.001〜0.015%、Clが0.05〜0.8%、Fが0.03〜0.3%、である請求項1に記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  3. Al23が10%以下である請求項1または2に記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  4. 23が7%以上である請求項1、2または3に記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  5. Li2O+Na2O+K2Oが1%以上である請求項1、2、3または4に記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  6. 歪点が520〜700℃である請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
  7. Fe23が0.06〜0.15%である請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用アルミノホウケイ酸ガラス。
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