JP4810438B2 - エアバッグの製造方法及びエアバッグ - Google Patents

Description

本発明は、エアバッグに関し、特に、自動車の乗員のための保護をもたらすよう自動車内に用いられるようになったエアバッグに関する。

エアバッグを多種多様な材料で製作することは、従来提案されている。多くのエアバッグは、適当な糸から織成された織物材料を用いて製作される。かかるエアバッグは典型的には、折り畳まれて適当なハウジング内に収納される。エアバッグの展開時、エアバッグは、ハウジングから出て広がる。この種のエアバッグは、展開時、それが広がることができる自由空間内へ動くので、ステアリングハンドル用エアバッグ又はフロントダッシュボード内に設置されるエアバッグとしての特定の用途のものである。

自動車内の他の位置に設置される他のエアバッグが提供されている。例えば、シートに座っている乗員の臀部のちょうど前の箇所において、車両のシートのクッション内にエアバッグを設ける場合がある。このエアバッグは、事故の間、シートに座っている乗員が「潜水（submarining）」する恐れを最小にするために、シートの前側部分を横切って延びる隆起部を構成するように膨らまされる。変形例として、エアバッグをシートに座っている乗員の足の領域で自動車のフロア上に設置してもよい。かかるエアバッグは、事故の間、シートに座っている乗員の足を自動車のフロアパンの上方に持ち上げるように膨らまされる。それにより、事故の間に生じるフロアパンの変形によってシートに座っている乗員の足、足首及び脚に及ぼされる負傷の恐れを最小にする。

また、自動車のダッシュボードの裏側に設置されたエアバッグの形態をしている膝用エアバッグを提供することが提案され、このエアバッグは、乗員の膝が前方に動いて膝の負傷が引き起こされるような仕方でダッシュボードと衝突するのを防止するために、自動車のダッシュボードと自動車の乗員の膝との間の空間内に膨らむように構成されている。

エアバッグは、それが広がるために利用できる自由空間が無いような位置に設置されるので、これらエアバッグのうち多くは、膨らみ時に広がらない材料で作られなければならない。

かかるエアバッグは、過酷な条件に耐え抜かなければならない場合が多く、特にフロア設置型エアバッグは、足でこすられる場合があり、しかも、かなり湿った環境にさらされる場合がある。

概要を上述した形式のエアバッグを、金属及びポリマー材料を含む種々の材料から製作することが提案されている。

本発明は、エアバッグの改良型製造方法及び改良型エアバッグを提供しようとしている。

本発明によれば、エアバッグの最終の未膨らまし状態に一致した型を利用し、選択されたプラスチック材料を吹込成形して、エアバッグを形成する工程を有し、型は、吹込成形されたエアバッグがエアバッグの膨らまし時に外方へ延びるための少なくとも１つの凹み領域を有する、エアバックの製造方法が提供される。

好ましくは、上記方法は、エアバッグのためのガス発生器を用意する追加の工程を有する。

有利には、凹み領域は、凹んだ溝を含む。

好ましくは、凹んだ溝は、環状である。

有利には、凹み領域は、中央凹み領域を含む。

好ましくは、プラスチックは、ＡＢＳ及び／又はＰＣを少なくとも４０％含む。

更に好ましくは、プラスチックは、ＡＢＳ及び／又はＰＣを少なくとも８０％含む。

本発明を理解しやすくするため、且つその別の特徴を理解できるようにするため、添付の図面を参照して例示として本発明の実施形態を以下に説明する。

先ず、図１を参照すると、エアバッグ１が示されている。エアバッグ１は、一体形本体を有し、この一体形本体は、適当なプラスチック材料から押し出された後、吹込成形される。かくして、パリソンは、押し出しにより作製され、パリソンは次に吹込成形される。

好ましいプラスチック材料は、少なくとも、かなり多量の成分として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン（ＡＢＳ）又はポリカーボネート（ＰＣ）を含む。ＡＢＳのみである材料を用いること、及び、ポリカーボネートのみである材料を用いることにより、満足のいく成果が得られていた。また、ＰＣとＡＢＳの混合物である樹脂を用いても、満足のいく成果が得られていた。また、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートの混合物は、満足のいくものであることが分かると考えられ、したがって、好ましい材料は、ポリカーボネート及び／又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを少なくとも４０％含む。好ましくは、この材料は、ポリカーボネート及び／又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを少なくとも８０％含む。

選択したプラスチック材料を溶融形態で押し出してパリソンを形成し、このパリソンを適当な形状のモールド内に挿入する。次に、このモールド内で、パリソンのプラスチック材料を吹込成形する。モールドは、エアバッグ、例えば図１に示すエアバッグ１を直接製造するよう形作られており、エアバッグのその後の加工が必要ない場合と、最小の次の加工、例えば、ガス発生器と通じる孔又は通気のための孔の簡単な切断が必要な場合がある。

図１から理解できるように、エアバッグは、ほぼ長円形の膨らまし可能な領域２と、この膨らまし可能な領域２の一方の側部に連結されていて、ガス発生器を受け入れる一体形チャンバ３とを有している。ハウジング３内に受けられるべきガス発生器は、ほぼ円筒形の形態のものであるのがよい。ハウジング３は、その一端部にアクセス孔４を有し、このアクセス孔４を通してガス発生器を定位置に取付けるのがよい。ガス発生器それ自体がアクセス孔４を密閉してもよいし、アクセス孔４を他の何らかの方法で密閉してもよい。

長円形の膨らまし可能な領域２は、非膨らまし状態では、ほぼ平らな形態のものである。膨らまし可能領域２の下面を構成する成形品５の部分は、図示の向きでは、ほぼ平らであるが、内向きの長円形の溝を有し、この溝は、長円形の膨らまし可能な領域２の外周から内方に僅かに間隔をおいた位置に設けられている。

膨らまし可能領域の上側の層７を構成する成形品の部分は、膨らまし可能領域２の周囲に隣接して設けら且つ内方に直接凹んだ長円形チャネル８を有し、このチャネルは、内方に凹んだ別の長円形の領域１０から、直立した又は外向きの隆起部９によって分離している。隆起部９は、溝６と同一線上にある。

図１のエアバッグを膨らまし可能領域２の最も下に位置する部分５が、或る種類の支持体に当てて位置決めされた状態で適所に配置されるのがよく、その結果、エアバッグの展開時に移動するのは、膨らまし可能領域２の上方部分７だけである。

ガス発生器からのガスがエアバッグの内部に注入されると、内方に凹んだ溝８及び内方に凹んだ中央長円形領域１０を形成する内方に凹んだ領域は、外方に差し向けられるように変形することを理解すべきである。かくして、エアバッグが膨らんで、図２に示す形態を有する。

したがって、エアバッグ１が、選択されたプラスチック材料から吹込成形され、少なくとも１つの内方に凹んだ領域を備えた形態を有するように吹込成形されることを認識すべきである。ガスがエアバッグの内部に差し向けられると、内方に凹んだ領域は、変形するようになり、それにより、エアバッグが膨らむようになることを可能にする。

図１及び図２のエアバッグは、車体の適当な部分に設置されるサイドエアバッグとして、又は自動車のダッシュボードの裏面に設置される膝用バッグとして用いられるよう設計されている。

図３及び図４は、変形形態のエアバッグ２０を示している。エアバッグ２０は、ほぼ長円形態の膨らまし可能な領域２１を有している。膨らまし可能領域の裏面は、長円形領域の周囲に隣接した内向きのチャネル２２と、ガス発生器を収納することができ且つ中央に位置する突出チャンバ２３とを有している。

上方部分２４は、内方に凹んだ全周溝２５を有し、この全周溝は、実質的に平らな中央の長円形領域２６を包囲している。

図４から分かるように、エアバッグの膨らまし時、凹んだ環状溝２５は、外方へ拡張されるようになり、平らな領域２４も又、外方へ弓形に曲がり、それにより、完全に膨らまされたエアバッグを得る。

この場合も又、このエアバッグをサイドエアバッグ又は膝用エアバッグとして使用することができる。

図５及び図６は、更に別の実施形態としてのエアバッグ３０を示しており、このエアバッグは、この場合も又、選択されたプラスチック材料の吹込成形品として形成される。エアバッグ３０は、自動車のシート内の潜水防止用エアバッグとして用いられることが意図されている。

このエアバッグは、ほぼ矩形の形態を有している。エアバッグの下面３１は、エアバッグの前方縁部のところに凹み３２を備え、この凹み３２は、自動車のシートの前側横方向ビームを収容するよう位置決めされている。別の後方凹み３３が、別の横方向ビームを受け入れるように設けられ、エアバッグの下側領域３１の介在部分３４は、チャンバを構成する。

エアバッグの上面３６は、ほぼ平らな周辺領域３７を有している。内向きの長円形の凹み３８が設けられ、この凹みは、外方へ突き出た中央の形成部３９を包囲している。

エアバッグの膨らまし時、凹んだチャネル３８は、外方に延びるようになり、エアバッグの完全な膨らましを可能にする。

選択されたプラスチック材料を用いることにより、過酷な条件に耐えることができるエアバッグを提供すると共に、エアバッグを安価に且つ迅速に製造することを可能にする。

国際公開における英文の用語“comprises”や“comprising”及びその派生語は、原文明細書及び特許請求の範囲において用いられているとき、指定された特徴、工程又は構成要素が含まれることを意味している。これらは、他の特徴、工程又は構成要素の存在を排除するものと解釈されてはならない。

インフレーション前の本発明のエアバッグの部分断面部分想像図である。 インフレーション後の図１のエアバッグの図である。 インフレーション前の本発明の別のエアバッグを示す、図１に対応する図である。 インフレーション後の図３のエアバッグを示す図である。 インフレーション前のエアバッグの別の実施形態を示す、図１に対応する図である。 インフレーション後のエアバッグの図である。

Claims (9)

1. エアバッグの製造方法であって、
   エアバッグの最終の未膨らまし状態に一致した型を利用し、選択されたプラスチック材料を吹込成形して、エアバッグを形成する工程を有し、
   前記型は、吹込成形されたエアバッグが前記エアバッグの膨らまし時に外方へ延びるための少なくとも１つの凹み領域を有し、
   前記プラスチックは、ＡＢＳ及びＰＣを含む、製造方法。
2. 前記プラスチックは、ＡＢＳ及びＰＣを少なくとも４０％含む、請求項１に記載の製造方法。
3. 前記プラスチックは、ＡＢＳ及びＰＣを少なくとも８０％含む、請求項２に記載の製造方法。
4. 更に、前記エアバッグ（１）のためのガス発生器（４）を用意する工程を有する、請求項１〜３のいずれか１項に記載の製造方法。
5. 前記凹み領域は凹んだ溝（８）を含む、請求項１〜４のいずれか１項に記載の製造方法。
6. 前記溝（８）は環状である、請求項５に記載の製造方法。
7. 前記凹み領域は中央凹み領域（１０）を含む、請求項５又は６に記載の製造方法。
8. 前記プラスチックは、ＡＢＳ及びＰＣの混合物を含む、請求項１に記載の製造方法。
9. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の方法により製造されたエアバッグ（１）。

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