JP4809613B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents
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Description
一般に、スパッタリングにより基板表面に形成される薄膜の膜厚は、スパッタによる成膜レートと時間との積で決定される。すなわち、基板表面に形成される膜厚は、成膜レートが所定の条件であれば、成膜時間を計測することにより算出される。従って、成膜開始からの時間を測定して、所定の時間になると所望の膜厚になったものと判断して、成膜プロセスを停止する方法が従来から採用されていた。
しかし、ターゲットのエロージョンや、真空装置内の基板ホルダ駆動機構などに膜原料物質が付着して回転速度が変化するなどの要因により、成膜工程の進行に伴って成膜レートが変化することがあった。このため、時間によって成膜工程を停止する方法では,所定の時間で薄膜形成工程を停止したとしても、必ずしも所望の膜厚を有する光学製品が得られるとは限らなかった。
本発明の薄膜形成装置は、基体とターゲットとの間において、ターゲット面上の異なる複数の位置に対応して配設された複数の受光部を備えており、夫々基体とターゲットとの間の異なる領域からの発光する光を受光して、夫々の領域から飛翔する膜原料物質によって基体に供給される膜原料物質の量を間接的に演算しているため、基体に形成される薄膜の膜厚分布を取得することが可能となる。
そして、本発明の薄膜形成装置では、複数の補正小片がターゲットと基体との間に設けられ、各補正小片は補正小片駆動手段によって進退可能に構成されていると共に、補正小片駆動手段は膜厚測定装置で測定した膜厚に基づいて補正小片を進退することが可能となっている。すなわち、基体に形成される薄膜の膜厚分布に応じて補正小片の位置を移動させて基体に付着する膜原料物質の量を調整することにより、膜厚分布をフィードバック制御することが可能となる。従って、基体に形成される薄膜の膜厚分布を均一にしたり、所望のばらつきを持たせたりすることが可能となる。
膜原料物質が受光部に付着すると受光部に入射する光の強度が変化するため、薄膜形成工程が進行するに伴って発光強度を正確に測定することが困難となるが、請求項4の薄膜形成装置によれば、膜原料物質による汚れが受光部に付着しにくいため、膜原料物質やスパッタガスによる発光に基づいて基体に形成される膜厚を常時正確に演算することが可能となる。
本発明の薄膜形成装置は、基体とターゲットとの間において、ターゲット面上の異なる複数の位置に対応して配設された複数の受光部を備えており、夫々基体とターゲットとの間の異なる領域からの発光する光を受光して、夫々の領域から飛翔する膜原料物質によって基体に供給される膜原料物質の量を間接的に演算しているため、基体に形成される薄膜の膜厚分布を取得することが可能となる。
従って、従来のような時間と成膜レートに基づいて成膜プロセスを停止する方法と比較して、基体に形成される薄膜の膜厚をより正確に取得することが可能になると共に、基体の位置に応じた膜厚分布のばらつきに関する情報を取得することができるという従来技術にない効果を得ることが可能となる。
また、真空容器11の内部のロードロック室11Bには、排気用の配管15a'が接続され、この配管には真空容器11内を排気するための真空ポンプ15'が接続されている。
なお、本実施形態の真空容器11は、ロードロック室を備えるロードロック方式を採用しているが、ロードロック室を設けないシングルチャンバ方式を採用することも可能である。また、複数の真空室を備え、それぞれの真空室で独立に薄膜形成を行うことが可能なマルチチャンバ方式を採用することも可能である。
回転軸18aは真空容器11の下壁を貫通して真空容器11の外部へ延出している。回転軸18aの一端はモータ17の回転軸17aと係合する構造となっており、真空容器11の外部に設けられたモータ17の回転軸と係合している。
回転ドラム13は、真空容器11内の真空状態を維持した状態で、真空容器11の下部に設けられたモータ17を駆動させることによって中心軸線Zを中心に回転する。各基板Sは、回転ドラム13上に保持されているため、回転ドラム13が回転することで、中心軸線Zを公転軸として公転する。
一方、成膜プロセス領域20から回転ドラム13の回転軸を中心として90°離間した真空容器11の側壁もまた、外方に突出した横断面凸状をしており、突出した側面にはプラズマ発生手段60Aが設けられている。反応プロセス領域60は、真空容器11の内壁面,仕切壁14,回転ドラム13の外周面及びプラズマ発生手段60Aに囲繞された領域に形成されている。反応プロセス領域60では、基板Sの表面に形成された薄膜に対してプラズマ処理が行われる。
以下に、本発明の成膜プロセス領域について説明する。図3に示すように、本発明の成膜プロセス領域20には、回転ドラム13の外周面に対向するように本発明のスパッタ手段20Aが設置されている。スパッタ手段20Aは、一対のマグネトロンスパッタ電極21a,21bと、トランス23を介して接続された交流電源24により構成される。真空容器11の壁面は外方に突出しており、この突出部にマグネトロンスパッタ電極21a,21bが側壁を貫通した状態で配置されている。このマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、不図示の絶縁部材を介して接地電位にある真空容器11に固定されている。
また、反応性ガス供給手段は、反応性ガスボンベ28と、複数の配管29a−1〜29a−5と、夫々の配管に設けられ,反応性ガスの流量を調整する複数のマスフローコントローラ27−1〜27−5と、を主要な構成要素として具備している。
なお、配管29a−1〜29a−5は、本発明における供給路に該当する。
なお、マスフローコントローラ25は本発明におけるスパッタガス流量調整手段に該当し、マスフローコントローラ27は本発明における反応性ガス流量調整手段に該当する。
なお、本実施形態では、配管29aやマスフローコントローラ25,27は夫々5つずつ設けられているが、これらの部材の数としては5つに限定されず、任意の数を設定することが可能である。
不活性ガスとしては、例えばアルゴンやヘリウム等が挙げられる。また、反応性ガスとしては、例えば酸素ガス,窒素ガス,弗素ガス,オゾンガス等が挙げられる。
なお、光ファイバ31−1〜31−5と、光学測定装置33は、本発明の供給量測定手段を構成する。また、光ファイバ31−1〜31−5は、本発明の受光部に該当する。更に、光学測定装置33は、本発明の光学測定部に該当する。
すなわち、配管29a−1〜29a−5の夫々の導入口29b−1〜29b−5から導入されるガスによるプラズマPの発光を夫々観測可能であり、且つ、他の導入口から導入されるガスによる発光を極力観測しないような位置であればよい。
後述するように、膜厚測定時にはモータ36を駆動してシャッター34−1〜34−5を移動させ(図5(a))、プラズマからの光が光ファイバの端面から入射するように位置させ、膜厚測定時以外にあっては光ファイバの端面とプラズマPとの間にシャッター34が位置するように移動して(図5(b))、プラズマから飛翔する膜原料物質が光ファイバの端面に付着しないようにしている。
なお、シャッター34−1〜34−5は、本発明の遮蔽部材に該当し、モータ36は本発明の遮蔽部材駆動手段に該当する。
グレイティングは回折格子を備え、コリメータから入射した光のうち所定の波長の光のみを出射する。グレイティングは回転軸を有しており、グレイティングに入射する光とグレイティングとの相対角度を変更することにより、出射する光の波長を変更することが可能となっている。グレイティングから出射した光は受光素子に照射される。
光学測定装置33は、膜厚制御装置100に電気的に接続されており、光学測定装置33から出力された電気信号は膜厚制御装置100に入力される。
一方、膜厚制御装置100は、マスフローコントローラ25,27の設定流量を変更することが可能となっている。すなわち、膜厚制御装置100のメモリには、マスフローコントローラ25,27を通過するガスの流量についての設定値が記憶されており、膜厚制御装置100は、マスフローコントローラ25,27と電気的に接続されてされ、マスフローコントローラ25,27を通過するガスの流量を変更することが可能となっている。
従って、成膜プロセス領域20で形成される薄膜中のケイ素原子(Si)と酸化ケイ素(SiO)の比を各基板や基板表面のあらゆる位置においてほぼ等しくすることで、最終薄膜が形成された後においても均一な膜厚を有する薄膜を得ることが可能となる。
あるいは、光学測定装置33から伝送される発光強度に基づいて薄膜形成装置100のCPUで積分値を演算してもよい。
一方、発光強度がほぼ等しくなるように膜厚を制御する方法では、積分値を演算するという工程を省略することができるため、処理に要する時間を短縮することが可能となる。
続いて、反応プロセス領域60について説明する。前述したように、反応プロセス領域60では、成膜プロセス領域20で基板表面に形成された膜原料物質を酸化して、完全酸化物の生成を行っている。
アンテナ63は、導線部を介してマッチングボックス64に接続されている。導線部はアンテナ63と同様の素材からなる。ケース体61には、導線部を挿通するための挿通孔が形成されており、アンテナ収容室61A内側のアンテナ63と、アンテナ収容室61A外側のマッチングボックス64とは、挿通孔に挿通される導線部を介して接続される。導線部と挿通孔との間にはシール部材が設けられ、アンテナ収容室61Aの内外で気密が保たれる。
光の強度が基準値を上回っている場合はステップ7に進む。上回っていない場合はステップ8に移行する。
光の強度が基準値を下回っている場合は、ステップ9に進む。下回っていない場合は、ステップ10に移行する。
本発明の膜厚制御方法としては、第一の実施形態のような成膜プロセス領域20に導入されるガスの流量を調整して行う方法に限定されず、ターゲット前面に可動式の補正板を設けて、基板表面に付着する膜原料物質の量を変化させることにより、膜厚を調整してもよい。以下に本発明における第二の実施形態について説明する。
板部材の端部には板面と垂直方向に屈曲した屈曲部が形成されており、この屈曲部には板面と平行方向に螺旋状のネジ溝が形成されている。このネジ溝には、後述する螺旋棒43aのネジ溝が螺合している。同様に、補正小片40b−1〜40b−5にも屈曲部及びネジ溝が形成されており、後述する螺旋棒43bのネジ溝が螺合している。
光ファイバ31−1〜31−5の設置位置としては、本実施形態のように補正小片40a側に限定されず、補正小片40b側であってもよい。
なお、本実施形態の真空容器やスパッタ手段、プラズマ発生手段などは第一の実施形態における真空容器等と同じ装置や部材を使用することができる。
プラズマPで発光する光は、光ファイバ31−1〜31−5で受光されて光学測定装置33へ伝送される。光学測定装置33では、光ファイバ31−1〜31−5で伝送された光を所定の波長の強度が測定される。光学測定装置33は膜厚制御装置100に電気的に接続されており、光ファイバで受光した光の強度に関する情報を伝送する。膜厚制御装置100は、伝送された光の強度を膜厚に関する情報として取得する。この光の強度は、第一の実施形態で述べたように、基板Sの表面に形成される薄膜の膜厚を反映している。
光ファイバ31−1を通じて観測されたケイ素原子(Si)や酸化ケイ素(SiO)の光の強度が基準値よりも高い場合は、膜厚制御装置100は補正小片40a−1及び40b−1を夫々ターゲットの中心軸線方向へ移動させるようにモータ41a−1及び41b−1を駆動する。
補正小片40a−1,40b−1がターゲットの中心軸線方向へ移動すると、ターゲット22a,22bの前面が補正小片により遮蔽され、ターゲットから基板Sの表面に飛翔する膜原料物質の量が減少する。従って、補正小片40a−1,40b−1を回転ドラム13に投影した領域の基板に形成される薄膜の膜厚が減少して、複数の基板間や、単一の基板であってもその基板の表面の位置における膜厚分布のばらつきが減少する。
補正小片40a−1,40b−1がターゲットの中心軸線方向から離れる位置へ移動すると、ターゲット22a,22bの前面において補正小片により遮蔽される面積が小さくなり、ターゲットから基板Sの表面に飛翔する膜原料物質の量が増加する。従って、補正小片40a−1,40b−1を回転ドラム13に投影した領域の基板に形成される薄膜の膜厚が増加して、基板間やひとつの基板表面における膜厚分布のばらつきが減少する。
なお、膜厚制御の基準となる情報は、発光強度に限定されず、第一の実施例で述べたように光の強度を所定時間毎に加算した積分値であってもよい。
11 真空容器
11a 開口
11A 薄膜形成室
11B ロードロック室
11C 扉
11D 扉
12 仕切壁
13 回転ドラム(基体保持手段)
13a 基板保持具
13b フレーム
13c 締結具
14 仕切壁
15 真空ポンプ
15a 配管
17b ドラム回転軸
17 モータ
17a 回転軸
18b ドラム回転軸
18a 回転軸
20 成膜プロセス領域
20A スパッタ手段
21a,21b マグネトロンスパッタ電極(スパッタ電極)
22a,22b ターゲット
22a,22b ターゲット
23 トランス
24 交流電源
25 マスフローコントローラ(流量調整手段)
26 スパッタガスボンベ
27 マスフローコントローラ(流量調整手段)
28 反応性ガスボンベ
29a 配管(供給路)
29b 導入口
29c 配管
29d 配管
31 光ファイバ(受光部)
32 カバー
33 光学測定装置(光学測定部)
34 シャッター(遮蔽部材)
35 支持棒
36 モータ(遮蔽部材駆動手段)
40a,40b 補正小片
40a,40b 補正小片
41a,41b 補正小片駆動モータ(補正小片駆動手段)
41a,41b 補正小片駆動モータ(補正小片駆動手段)
42a,42b 原動軸
43a,43b 螺旋棒
45a,45b ストッパー
60 反応プロセス領域
60A プラズマ発生手段
61 ケース体
61A アンテナ収容室
62 誘電体板
63 アンテナ
64 マッチングボックス
65 高周波電源
66 マスフローコントローラ
67 反応性ガスボンベ
68 配管
100 膜厚制御装置
P プラズマ
S 基板(基体)
V1,V2,V3 バルブ
Claims (6)
- 真空容器と、該真空容器の内部に設置され基体を保持する基体保持手段と、前記真空容器の内部に配設されるスパッタ電極と、該スパッタ電極に保持されるターゲットと、該ターゲットにガスを供給するガス供給手段と、を備え、前記ターゲットから前記基体に膜原料物質を供給する薄膜形成装置であって、
該薄膜形成装置は、前記基体へ供給される膜原料物質の供給量を測定する供給量測定手段と、
前記ターゲットと前記基体との間に配置されると共に、前記複数の受光部に夫々対応する位置に配設された複数の補正小片と、
前記複数の補正小片を前記ターゲットの前面を遮蔽する方向に夫々進退可能に駆動する補正小片駆動手段と、を備え、
前記供給量測定手段は、前記基体と前記ターゲットとの間において、ターゲット面上の異なる複数の位置に対応して配設され、前記基体とターゲットとの間で発光する光を夫々受光する複数の受光部と、
前記複数の受光部で受光した光のうち所定の波長における光の強度を前記基体に供給される膜原料物質の供給量として測定する光学測定部と、を具備し、
前記補正小片駆動手段は、前記複数の供給量測定手段で測定された前記供給量に対応して、前記補正小片を進退させることを特徴とする薄膜形成装置。 - 前記所定の波長は、前記ターゲットに供給されるスパッタガス,前記ターゲットを構成する物質,前記ターゲットを構成する物質の反応物のうち少なくとも1つから選択される物質から発光される光の波長であって、前記物質を識別可能な波長であることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。
- 前記薄膜形成装置は、前記光の強度の時間に対する積分値を演算して前記基体へ供給される膜原料物質の供給量の積算値を算出する演算手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。
- 前記薄膜形成装置は、前記受光部の前面に移動可能に配置される遮蔽部材と、
前記受光部の前面を遮断する第一の位置と遮蔽しない第二の位置との間で前記遮蔽部材を移動可能な遮蔽部材駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。 - 前記ガス供給手段は、ターゲットにガスを供給する供給路と、該供給路を通じてターゲットに供給されるガスの流量を調整する流量調整部を備え、
前記供給路には、前記ターゲットへガスを導入する複数の導入口が形成され、前記複数の導入口は前記複数の受光部に夫々対応する位置に配設され、
前記流量調整部は、前記複数の供給量測定手段で測定された前記供給量に対応して、ターゲットへ導入されるガスの流量を調整することを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。 - 前記ガスは、スパッタガス及び反応性ガスであり、
前記流量調整部は、前記複数の供給量測定手段で測定された前記供給量に対応して、前記スパッタガスの流量及び前記反応性ガスの流量を夫々調整することを特徴とする請求項5記載の薄膜形成装置。
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