JP5078813B2 - 薄膜形成方法及び薄膜形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、薄膜形成方法及び薄膜形成装置に関する。
スパッタリングにより基板表面に膜原料物質を付着させる薄膜形成装置を用いて、基板表面に光学薄膜を形成させ、干渉フィルター、例えば反射防止フィルター、ハーフミラー、各種バンドパスフィルター、ダイクロイックフィルターなどの光学製品を製造することが従来から行われている(特許文献1)。
特開2001−133228号公報
この種の薄膜形成装置を用いて光学製品を製造する従来手法では、次の工程を経て行っていた。まず、テスト成膜を行う。具体的には、成膜対象としての基板を真空容器(チャンバー)内にセットし、設計時の条件で光学薄膜を基板上に成膜する。次に、成膜後の基板をチャンバーから取り出し、光学薄膜の実際の分光特性を確認する。具体的には、基板に成膜された光学薄膜を分光器などを用いて測光し、目的とする光学特性が得られるような所望膜厚で形成されているか否かを確認する。次に、実際の分光特性と設計時の分光特性のレート差を算出し(シュミレーション)、このレート差を考慮したレートで本成膜を行う。
このように従来手法では、数バッチのテスト成膜を行い、成膜条件が安定化するのを待って本成膜を行うようにしていた。特に、光学薄膜が多層膜で構成される場合には、それぞれの単層膜ごとにテスト成膜と上記シュミレートを行った後、本成膜を行わなければならない。このため、本成膜を行うまでに多くの時間と労力を要し、全体の成膜効率が低下していた。
発明が解決しようとする課題は、テスト成膜による成膜の無駄を省き、成膜効率を向上させることが可能な薄膜形成方法及び装置を提供することである。
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下の解決手段では、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
発明に係る薄膜形成方法は、ターゲット(29a,29b)をスパッタして基体保持手段(13a、13)に保持され回転する基体(S)に、目標膜厚よりも薄い膜厚の第1薄膜を形成した後、目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を第1薄膜に形成する方法であって、第1薄膜の膜物性値(膜厚)を測定する光学測定工程と、第1薄膜の膜物性値に基づいて第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出する成膜レート算出工程と、実際の成膜レートに基づいて第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整する成膜時間調整工程とを、有する。
上記発明において、光学測定工程では、第1薄膜の光学測定基準値を検出する第1の測光用光路(L1)を通過する第1の光量と、第1の測光用光路と交錯するように形成された、第1薄膜の光学測定値を検出する第2の測光用光路(L2)を通過する第2の光量とに基づいて、第1薄膜の膜物性値を測定する透過式の光学測定装置(200)を用いてもよい。
上記発明において、基体保持手段として、軸線を中心に回転可能に形成されているとともに;側壁部分に、回転方向に沿って形成された一対の第1貫通孔(13b4,13b5)と、前記一対の第1貫通孔とは異なる配置で前記回転方向に沿って形成された一対の第2貫通孔(13b6,13b7)とを有し、前記一対の第1貫通孔を結ぶラインが前記第2の測光用光路(L2)の一部を構成し、前記一対の第2貫通孔を結ぶラインが前記第1の測光用光路(L1)の一部を構成する;筒状部(13b3)と、筒状部の両側端に対向して接続された一対の環状部(13b1,13b2)とを、含む回転手段(13)の回転方向側面に形成された基体保持手段(13b)を用いてもよい。
発明に係る薄膜形成装置(1)は、目標膜厚よりも薄い膜厚の第1薄膜を形成した後、目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を第1薄膜に形成する装置である。そして、この装置は、真空容器(11)の内部に設置され、軸線(Z)を中心に回転可能な回転手段(13)の回転方向側面に形成された、基体(S)を保持する基体保持手段(13b)と、ターゲット(29a,29b)をスパッタして基体に第1薄膜及び第2薄膜を形成するスパッタ手段(21a,21bなど)と、第1薄膜の膜物性値(膜厚)を測定する光学測定手段(200)と、第1薄膜の膜物性値に基づいて第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出する成膜レート算出手段(40,110)と、実際の成膜レートに基づいて第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整する成膜時間調整手段(40,110)とを有する。
上記発明において、光学測定手段(200)は、第1薄膜の光学測定基準値を検出する第1の測光用光路(L1)を通過する第1の光量と、第1の測光用光路と交錯するように形成された、第1薄膜の光学測定値を検出する第2の測光用光路(L2)を通過する第2の光量とに基づいて、第1薄膜の膜物性値を測定する透過式の光学測定装置(200)で構成されていてもよい。
上記発明において、回転手段(13)は、軸線(Z)を中心に回転可能な筒状部(13b3)と、筒状部の両側端に対向して接続された一対の環状部(13b1,13b2)とを含み、筒状部は、側壁部分に、回転方向に沿って形成された一対の第1貫通孔(13b4,13b5)と、一対の第1貫通孔とは異なる配置で前記回転方向に沿って形成された一対の第2貫通孔(13b6,13b7)とを有し、一対の第1貫通孔を結ぶラインが第2の測光用光路(L2)の一部を構成し、一対の第2貫通孔を結ぶラインが第1の測光用光路(L1)の一部を構成してもよい。
上記発明によれば、目標膜厚よりも薄い膜厚の薄膜を形成した実際の成膜レートに基づいて目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の薄膜を形成するので、テスト成膜を省略して本成膜を行うことができ、全体の成膜効率を向上させることができる。
以下に、上記発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、スパッタの一例であるマグネトロンスパッタを行うスパッタ装置1を用いているが、これに限定されるものでなく、マグネトロン放電を用いない2極スパッタ等、他の公知のスパッタを行うスパッタ装置を用いることもできる。
本実施形態のスパッタ装置1は、スパッタ処理とプラズマ処理を繰り返すことで、基板上に目標膜厚よりも薄い薄膜(例えば第1薄膜)を形成し、所定の工程後に再度、スパッタ処理とプラズマ処理を繰り返し、第1薄膜上に目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の薄膜(第2薄膜)を形成するものである。本実施形態では、スパッタとプラズマ処理によって平均0.01〜1.5nmの膜厚の薄膜(第1薄膜、第2薄膜)を基板表面もしくは第1薄膜表面に形成する薄膜形成処理を、回転ドラムの回転毎に繰り返すことで、基板上に数nm〜数百nm程度の目標膜厚を持つ薄膜を形成する。
《薄膜形成装置》
図1に示すように、薄膜形成装置の一例としての本実施形態のスパッタ装置1は、真空容器11と、基体ホルダとしての回転ドラム13と、モータ17と、仕切壁12,14と、マグネトロンスパッタ電極21a,21bと、交流電源23と、プラズマ発生手段60と、を主要な構成要素として備えている。
真空容器11は、公知のスパッタ装置で通常用いられるものであり、ステンレススチール製で、略直方体形状をした中空体とされている。真空容器11の内部は、本発明の開閉扉としての扉11bによって薄膜形成室11Aとロードロック室11Bに分けられる。真空容器11の上方には扉11bを収容する扉収納容器(不図示)が接続されている。扉11bは、真空容器11の内部と扉収納室との間でスライドし、真空容器11を薄膜形成室11Aとロードロック室11Bに仕切る位置と、薄膜形成室11Aとロードロック室11Bを連通させる位置との間を移動する。
真空容器11には、ロードロック室11Bと真空容器11の外部とを仕切る扉11cが設けられている。扉11cは、スライドまたは回動により開閉する。真空容器11の内部の薄膜形成室11Aには、排気用の配管15aが接続され、この配管には真空容器11内を排気するための真空ポンプ15が接続されている。また、真空容器11の内部のロードロック室11Bには、排気用の配管15a'が接続され、この配管には真空容器11内を排気するための真空ポンプ15'が接続されている。
回転ドラム13(回転手段)は、表面に薄膜を形成させる基板Sを真空容器11内で保持するための部材であり、本発明の基体保持手段に該当する。図2に示すように、回転ドラム13は、複数の基板保持具13a,フレーム13b、締結具13cを主要な構成要素としている。
基板保持具13a(基体保持手段)は、ステンレススチール製の平板状部材からなり、基板Sを保持するための複数の基板保持孔を板面の長手方向に一列に備えている。基板Sは基板保持具13aの基板保持孔に収納され、脱落しないようにネジ部材を用いて基板保持具13aに固定されている。また、図2に示すように、基板保持具13aの長手方向における両端付近の板面にはそれぞれネジ穴が一箇所ずつ設けられている。
フレーム13bは、ステンレススチール製部材で、上下に配置された2つの環状部材13b1,13b2(環状部)と、これら環状部材13b1,13b2の中心付近に配置される筒状部材13b3(筒状部)とを含む。各環状部材13b1,13b2の外縁には、基板保持板13aのネジ穴と対応する位置にネジ穴が設けられている。基板保持板13aと、フレーム13bを構成する2つの環状部材13b1,13b2とは、ボルト及びナットからなる締結具13cを用いて固定される。具体的には、ボルトを基板保持板13a及び環状部材13b1,13b2のネジ穴に挿通してナットで固定することにより固定される。
図2及び図3A〜図3Dに示すように、筒状部材13b3の側壁部分には、一対の第1貫通孔13b4,13b5が筒状部材13b3の円周方向に沿って形成されている。第1貫通孔13b4,13b5を形成することで、図6及び図7に示す膜厚計200の投光器202から送出された入射光Iinを出射光Ioutとして膜厚計200の受光器204に出射させることが可能な測光用光路を、真空容器11の内部に確保することができる。この測光用光路は、成膜対象である基板Sに形成された薄膜の厚みを計測するために必要なサンプル測光用光路L2として機能する。
また、筒状部材13b3の側壁部分には、一対の第2貫通孔13b6,13b7が、一対の第1貫通孔13b4,13b5を結ぶラインと交差する方向(好ましくは略直角に交差する方向)にラインを結ぶような配置で、筒状部材13b3の円周方向に沿って形成されている。第2貫通孔13b6,13b7を形成することで、上記サンプル測光用光路L2とは別の、測光基準値を設定するのに必要なリファレンス測光用光路L1を、真空容器11の内部に確保することができる。
なお、回転ドラム13は、平板状の基板保持具13aを複数配置しているため横断面形状が多角形となっているが、回転ドラムとしてはこのような横断面形状が多角形のもの限定されず、例えば中空の円筒状や円錐状のものであってもよい。
回転ドラム13は、薄膜形成室11Aとロードロック室11Bの間を移動できるように構成されている。本実施形態では、真空容器11の底面にレール(不図示)が設置されていて、回転ドラム13は、このレールに沿って移動する。基板保持具13aをフレーム13bに取り付ける際やフレーム13bから取り外す際には、回転ドラム13はロードロック室11Bの位置において、回転可能な状態でロックされる。薄膜形成中には、回転ドラム13aは薄膜形成室11Aの位置において、回転可能な状態でロックされる。回転ドラム13は、円筒の筒方向の中心軸線Z(図2参照)が真空容器11の上下方向になるように真空容器11内に配設される。
回転ドラム13の下面はモータ17の回転軸17aと係合する構造となっている。回転ドラム13は、真空容器11内の真空状態を維持した状態で、真空容器11の下部に設けられたモータ17を駆動させることによって中心軸線Zを中心に回転する。各基板Sは、回転ドラム13上に保持されているため、回転ドラム13が回転することで、中心軸線Zを公転軸として公転する。回転軸17aの回転ドラム13と係合する面18aは、絶縁部材で構成されている。これにより、基板における異常放電を防止することが可能となる。
回転ドラム13の上面には、ドラム回転軸17bが設けられており、回転ドラム13の回転に伴ってドラム回転軸17bも回転するように構成されている。真空容器11の上面には孔部が設けられており、ドラム回転軸17bはこの孔部を貫通して真空容器11の外部に通じている。孔部の内面には軸受が設けられており、回転ドラム13の回転をスムーズに行えるようにしている。また、真空容器11とドラム回転軸17bとの間は、Oリングで気密が保たれている。
基板Sは、上記発明の基体に相当するものである。本実施形態では、基板Sはガラス製の円板状部材で、その表面には薄膜形成処理により薄膜が形成される。なお、基体としては円板状のもの限定されず、レンズ状のものや管状のものなどを用いることもできる。また、基板Sの材質もガラス製に限定されず、プラスチックや金属等であってもよい。
《薄膜形成プロセスゾーン,反応プロセスゾーン》
次に、基板Sの表面に薄膜を形成する薄膜形成プロセスゾーン20と、反応プロセスゾーン50について説明する。
薄膜形成プロセスゾーン20と反応プロセスゾーン50は、それぞれ仕切壁12,14により囲繞される空間に形成されている。仕切壁12,14は、真空容器11の内壁面から回転ドラム13へ向けて立設している。本実施形態における仕切壁12,14は、真空容器11と同じステンレススチール製の部材である。仕切壁12,14は、真空容器11の内壁面から回転ドラム13へ向けて、四方を囲んだ状態で設けられている。
真空容器11の内壁面,仕切壁12,回転ドラム13の外周面に囲繞された空間には、薄膜形成プロセスゾーン20が形成されている。薄膜形成プロセスゾーン20では基板Sの表面に薄膜を形成するスパッタが行われる。
真空容器11の内壁面,後述のプラズマ発生手段60,仕切壁14,回転ドラム13の外周面に囲繞された空間には、反応プロセスゾーン50が形成されている。反応プロセスゾーン50では、基板S上の薄膜に対してプラズマ処理が行われる。
反応プロセスゾーン50は、薄膜形成プロセスゾーン20が形成された位置から、基板ホルダの回転軸を中心に円周上に約90度回転した位置に形成されている。モータ17によって回転ドラム13が回転させられると、回転ドラム13の外周面に保持された基板Sが公転して、薄膜形成プロセスゾーン20に面する位置と、反応プロセスゾーン50に面する位置との間を繰り返し移動することになる。そして、このように基板Sが公転することで、ターゲット29a,29bに対して相対的に移動することになり、薄膜形成プロセスゾーン20でのスパッタ処理と、反応プロセスゾーン50でのプラズマ処理とが順次繰り返し行われて、基板Sの表面に薄膜が形成される。
《薄膜形成プロセスゾーン20》
薄膜形成プロセスゾーン20には、スパッタ手段が設置されている。スパッタ手段は、ターゲット29a,29bを保持する一対のマグネトロンスパッタ電極21a,21bと、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに電力を供給する交流電源23と、電力制御手段としてのトランス24により構成される。真空容器11の壁面は外方に突出しており、この突出部の内壁にマグネトロンスパッタ電極21a,21bが側壁を貫通した状態で配設されている。このマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、接地電位にある真空容器11に不図示の絶縁部材を介して固定されている。
マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、複数の磁石が所定の方向に配置された構造を有している。そしてマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、トランス24を介して交流電源23に接続され、両電極に1k〜100kHzの交番電界が印加可能に構成されている。マグネトロンスパッタ電極21a,21bには、ターゲット29a,29bがそれぞれ保持されている。本実施形態のターゲット29a,29bの形状は平板状であり、ターゲット29a,29bの表面が回転ドラム13の回転軸線Zと垂直となるように保持される。
本実施形態のターゲット29a,29bは、基板Sに対向して所定の面積を有するように膜原料物質を平板状に形成したものであり、回転ドラム13の側面に対向するようにマグネトロンスパッタ電極21a,21bにそれぞれ保持される。ターゲットの材質としては、製造する光学製品の目的にあった任意のもの、例えば、ケイ素,ニオブ,チタン,アルミニウム,ゲルマニウム等を採用することが可能である。
薄膜形成プロセスゾーン20の周辺には、スパッタガス供給手段と反応性ガス供給手段が設けられている。スパッタガス供給手段は、スパッタガス貯蔵手段としてのスパッタガスボンベ26と、ガス供給路としての配管と、スパッタガスの流量を調整する流量調整手段としてのマスフローコントローラ25と、を主要な構成要素として具備している。反応性ガス供給手段は、反応性ガス貯蔵手段としての反応性ガスボンベ28と、ガス供給路としての配管と、反応性ガスの流量を調整する流量調整手段としてのマスフローコントローラ27と、を主要な構成要素として具備している。
スパッタガスボンベ26、反応性ガスボンベ28、マスフローコントローラ25,27はいずれも真空容器11の外部に設けられている。マスフローコントローラ25は、スパッタガスとしてのアルゴンガスを貯蔵する単一のスパッタガスボンベ26に配管を介してそれぞれ接続されている。また、マスフローコントローラ27は、反応性ガスとしての酸素ガスを貯蔵する単一の反応性ガスボンベ26に配管を介してそれぞれ接続されている。
マスフローコントローラ25とマスフローコントローラ27は、Y字型の配管で接続されており、配管の一端は真空容器11の側壁を貫通して薄膜形成プロセスゾーン20のターゲット29bの側部に延びている。配管の先端部には導入口が形成されている。導入口は、ターゲット29bの側部下方の所定の位置に配置されている。配管を通じて供給されるガスは、前記導入口からターゲット29a,29bの前面に導入される。
本実施形態では、スパッタガスをターゲットへ導入する配管と反応性ガスをターゲットへ導入する配管を共通にして、両ガスの混合ガスとしてターゲットへ導入する構成としている。しかしながら、ガス供給路としてはこのようなスパッタガス供給路と反応性ガスの供給路を共通としたものに限定されず、スパッタガス導入用の配管と反応性ガス導入用の配管をそれぞれ別々に設けて、それぞれのガスを別々の配管を通じてターゲット前面へ導入する構成としてもよい。
マスフローコントローラ25,27は、ガスの流量を調節する装置であり、ガスボンベからのガスが流入する流入口と、ガスを真空容器11側へ流出させる流出口と、ガスの質量流量を検出するセンサと、ガスの流量を調整するコントロールバルブと、流入口より流入したガスの質量流量を検出するセンサと、センサにより検出された流量に基づいてコントロールバルブの制御を行う電子回路とを主要な構成要素として備えている(いずれも不図示)。電子回路には外部から所望の流量を設定することが可能となっている。
本実施形態では、マスフローコントローラ25,27は、いずれも後述するスパッタ制御装置40に電気的に接続されており、スパッタ制御装置40から流量設定の指示を受けてガス流量の調整を行っている。
流入口よりマスフローコントローラ25,27内に送入されたガスの質量流量は、センサにより検出される。センサの下流にはコントロールバルブが設けられており、コントロールバルブは、センサで検出した流量と、設定された基準値とを比較し、ガスの流量が基準値に近づくようにコントロールバルブの開閉を行うことで、流量の制御を行う。
スパッタガスボンベ26からの不活性ガスは、マスフローコントローラ25により流量を調節されて配管内に導入される。一方、反応性ガスボンベ28からの反応性ガスは、マスフローコントローラ27により流量を調節されて配管内に導入される。配管に流入した不活性ガス及び反応性ガスは混合ガスとなり、配管の導入口より薄膜形成プロセスゾーン20に配置されたターゲット29a,29bの前面に導入される。
スパッタガスとしては、例えばアルゴンやヘリウム等の不活性ガスが挙げられる。また、反応性ガスとしては、例えば酸素ガス,窒素ガス,弗素ガス,オゾンガス等が挙げられる。
薄膜形成プロセスゾーン20にスパッタガスが供給されて、ターゲット29a,29bの周辺が不活性ガス雰囲気になった状態で、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに交流電源23から交番電極が印加されると、ターゲット29a,29b周辺のスパッタガスの一部は電子を放出してイオン化する。マグネトロンスパッタ電極21a,21bに配置された磁石によりターゲット29a,29bの表面に漏洩磁界が形成されるため、この電子はターゲット表面近傍に発生した磁界中を、トロイダル曲線を描きながら周回する。この電子の軌道に沿って強いプラズマが発生し、このプラズマに向けてスパッタガスのイオンが加速され、ターゲット29a,29bに衝突することでターゲット表面の金属原子が叩き出される。この金属原子の一部はプラズマ中で反応性ガスと反応して、不完全反応物や、完全反応物に変換される。これらの金属原子,金属原子の不完全反応物,金属原子の完全反応物は、本発明の膜原料物質に相当し、基板Sの表面に付着して薄膜を形成する原料となる。
なお、薄膜形成プロセスゾーン20には、スパッタ処理時に基板Sの表面に付着する膜原料物質の量を調整し、均一な膜厚を有する基板Sを形成することが可能な、膜厚を補正する膜厚補正手段が設けられていてもよい。このような膜厚補正手段としては、例えば特開2007−107053号公報(例えば同公報の段落番号0070〜0076及び図3A〜図3D,4を参照)に示されるように、ターゲット29a,29bの前面に移動可能に配置される補正部材としての膜厚補正板と、膜厚補正板を進退可能に駆動する補正板駆動モータとを含む。可動式の膜厚補正板をターゲット29a,29bの中心方向に進退させることで、基板Sの表面に付着する膜原料物質の量を調整し、均一な膜厚を有する基板Sを製造することができる。
《反応プロセスゾーン50》
反応プロセスゾーン50では、薄膜形成プロセスゾーン20で基板Sの表面に形成された膜原料物質を酸化して、完全酸化物からなる薄膜の形成を行っている。
反応プロセスゾーン50に対応する真空容器11の壁面には、プラズマ発生手段60を設置するための開口11aが形成されている。また、反応プロセスゾーン50には、マスフローコントローラ52を介して不活性ガスボンベ53内の不活性ガスを導入するための配管や、マスフローコントローラ54を介して反応性ガスボンベ55内の反応性ガスを導入するための配管が接続されている。
仕切壁14の反応プロセスゾーン50に面する壁面には、熱分解窒化硼素(Pyrolytic Boron Nitride)からなる保護層Pが被覆されている。さらに、真空容器11の内壁面の反応プロセスゾーン50に面する部分にも熱分解窒化硼素からなる保護層Pが被覆されている。熱分解窒化硼素は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition)を利用した熱分解法によって仕切壁14や真空容器11の内壁面へ被覆される。
プラズマ発生手段60は、反応プロセスゾーン50に面して設けられている。本実施形態のプラズマ発生手段60は、ケース体61と、誘電体板62と、アンテナ63と、導線部64と、マッチングボックス65と、高周波電源66と、真空ポンプ15とを有して構成されている。
ケース体61は、真空容器11の壁面に形成された開口11aを塞ぐ形状を備え、ボルト(不図示)で真空容器11の開口11aを塞ぐように固定されている。ケース体61が真空容器11の壁面に固定されることで、プラズマ発生手段60は真空容器11に接続されている。本実施形態では、ケース体61はステンレスで形成されている。
誘電体板62は、板状の誘電体で形成されている。本実施形態において、誘電体板62は石英で形成されているが、誘電体板の材質としてはこれに限定されず、例えばAl等のセラミックス材料で形成されたものでもよい。誘電体板62は、図示しない固定枠でケース体61に固定されている。誘電体板62がケース体61に固定されることで、ケース体61と誘電体板62によって囲繞された領域にアンテナ収容室61Aが形成されている。
ケース体61に固定された誘電体板62は、開口11aを介して真空容器11の内部(反応プロセスゾーン50)に臨んで設けられている。このとき、アンテナ収容室61Aは、真空容器11の内部と分離している。すなわち、アンテナ収容室61Aと真空容器11の内部とは、誘電体板62で仕切られた状態で独立した空間を形成している。また、アンテナ収容室61Aと真空容器11の外部は、ケース体61で仕切られた状態で独立の空間を形成している。本実施形態では、このように独立の空間として形成されたアンテナ収容室61Aの中に、アンテナ63が設置されている。なお、アンテナ収容室61Aと真空容器11内部、アンテナ収容室61Aと真空容器11外部との間は、それぞれOリングで気密が保たれている。
本実施形態では、アンテナ収容室61Aの内部を排気して真空状態にするために、アンテナ収容室61Aに排気用の配管15aが接続されている。配管15aには、真空ポンプ15が接続されている。また、本実施形態において、配管15aは真空容器11の内部へも連通している。
配管15aには、真空ポンプ15から真空容器11の内部に連通する位置にバルブV1、V2が設けられている。また、配管15aには、真空ポンプ15からアンテナ収容室61Aの内部に連通する位置にバルブV1、V3が設けられている。バルブV2,V3のいずれかを閉じることで、アンテナ収容室61Aの内部と真空容器11の内部との間での気体の移動は阻止される。真空容器11の内部の圧力や、アンテナ収容室61Aの内部の圧力は、真空計(不図示)で測定される。
本実施形態では、スパッタ装置1に真空制御装置(不図示)を備えている。この真空制御装置には、真空計の出力が入力される。真空制御装置は、入力された真空計の測定値に基づいて、真空ポンプ15による排気を制御して、真空容器11の内部やアンテナ収容室61Aの内部の真空度を調整する機能を備える。本実施形態では、真空制御装置がバルブV1,V2,V3の開閉を制御することで、真空容器11の内部とアンテナ収容室61Aの内部を同時に、又は独立して排気できる。
アンテナ63は、高周波電源66から電力の供給を受けて、真空容器11の内部(反応プロセスゾーン50)に誘導電界を発生させ、プラズマを発生させるためのものである。本実施形態のアンテナ63は、銅で形成された円管状の本体部と、本体部の表面を被覆する銀で形成された被覆層を備えている。アンテナ63のインピーダンスを低下するためには、電気抵抗の低い材料でアンテナ63を形成するのが好ましい。そこで、高周波の電流がアンテナの表面に集中するという特性を利用して、アンテナ63の本体部を安価で加工が容易な、しかも電気抵抗も低い銅で円管状に形成し、アンテナ63の表面を銅よりも電気抵抗の低い銀で被覆している。このように構成することで、高周波に対するアンテナ63のインピーダンスを低減して、アンテナ63に電流を効率よく流して、プラズマを発生させる効率を高めている。
アンテナ63は、高周波電源66に接続されている。アンテナ63は、マッチング回路を収容するマッチングボックス65を介して高周波電源89に接続されている。マッチングボックス65内には、図示しない可変コンデンサが設けられている。
アンテナ63は、導線部64を介してマッチングボックス65に接続されている。導線部64は、アンテナ63と同様の素材からなる。ケース体61には、導線部64を挿通するための挿通孔が形成されている。アンテナ収容室61A内側のアンテナ63と、アンテナ収容室61A外側のマッチングボックス65,高周波電源66とは、挿通孔に挿通される導線部64を介して接続される。導線部64と挿通孔との間にはシール部材が設けられ、アンテナ収容室61Aの内外で気密が保たれる。
交流電源23および高周波電源66は、それぞれスパッタ制御装置40に電気的に接続されている。スパッタ制御装置40は、交流電源23および高周波電源66のそれぞれに対して、電源のオン/オフや出力の制御を行う。スパッタ制御装置40はまた、薄膜形成処理制御手段110に電気的に接続されており、薄膜形成処理制御手段110からの指示を受けて交流電源23や高周波電源66の制御を行う。
反応プロセスゾーン50の周辺には、不活性ガス供給手段と反応性ガス供給手段が設けられている。不活性ガス供給手段は、不活性ガス貯蔵手段としての不活性ガスボンベ53と、ガス供給路としての配管と、不活性ガスの流量を調整する流量調整手段としてのマスフローコントローラ52と、を主要な構成要素として具備している。反応性ガス供給手段は、反応性ガス貯蔵手段としての反応性ガスボンベ55と、ガス供給路としての配管と、反応性ガスの流量を調整する流量調整手段としてのマスフローコントローラ54と、を主要な構成要素として具備している。
不活性ガスボンベ53、反応性ガスボンベ55、マスフローコントローラ52,54はいずれも真空容器11の外部に設けられている。マスフローコントローラ52は、不活性ガスを貯蔵する単一の不活性ガスボンベ53に配管を介してそれぞれ接続されている。また、マスフローコントローラ54は、反応性ガスとしての酸素ガスを貯蔵する単一の反応性ガスボンベ55に配管を介してそれぞれ接続されている。
マスフローコントローラ52とマスフローコントローラ54は、Y字型の配管で接続されており、配管の一端は真空容器11の側壁を貫通して反応プロセスゾーン50に延びている。配管の先端部には導入口が形成されている。配管を通じて供給されるガスは、前記導入口から反応プロセスゾーン50内に導入される。
本実施形態では、不活性ガスを導入する配管と反応性ガスを導入する配管を共通にして、両ガスの混合ガスとして導入する構成としている。しかしながら、ガス供給路としてはこのような不活性ガス供給路と反応性ガスの供給路を共通としたものに限定されず、不活性ガス導入用の配管と反応性ガス導入用の配管をそれぞれ別々に設けて、それぞれのガスを別々の配管を通じて反応プロセスゾーン50へ導入する構成としてもよい。
マスフローコントローラ52,54は、ガスの流量を調節する装置であり、ガスボンベからのガスが流入する流入口と、ガスを真空容器11側へ流出させる流出口と、ガスの質量流量を検出するセンサと、ガスの流量を調整するコントロールバルブと、流入口より流入したガスの質量流量を検出するセンサと、センサにより検出された流量に基づいてコントロールバルブの制御を行う電子回路とを主要な構成要素として備えている(いずれも不図示)。電子回路には外部から所望の流量を設定することが可能となっている。
本実施形態では、マスフローコントローラ52,54は、スパッタ制御装置40に電気的に接続されており、スパッタ制御装置40から流量設定の指示を受けてガス流量の調整を行っている。
流入口よりマスフローコントローラ52,54内に送入されたガスの質量流量は、センサにより検出される。センサの下流にはコントロールバルブが設けられており、コントロールバルブは、センサで検出した流量と、設定された基準値とを比較し、ガスの流量が基準値に近づくようにコントロールバルブの開閉を行うことで、流量の制御を行う。
不活性ガスボンベ53からの不活性ガスは、マスフローコントローラ52により流量を調節されて配管内に導入される。一方、反応性ガスボンベ55からの反応性ガスは、マスフローコントローラ54により流量を調節されて配管内に導入される。配管に流入した不活性ガス及び反応性ガスは混合ガスとなり、配管の導入口より反応プロセスゾーン50に導入される。
不活性ガスとしては、例えばアルゴンやヘリウム等の不活性ガスが挙げられる。また、反応性ガスとしては、例えば酸素ガス,窒素ガス,弗素ガス,オゾンガス等が挙げられる。
本実施形態では、少なくとも反応性ガスボンベ55から配管を通じて反応性ガスが反応プロセスゾーン50に導入された状態で、アンテナ63に高周波電源66から電力が供給されると、反応プロセスゾーン50内のアンテナ63に面した領域にプラズマが発生する。このプラズマからは電子が放出され、この電子により基板Sの表面に形成された薄膜中の金属原子やこの金属原子の不完全酸化物は酸化され、金属原子の完全酸化物となる。
《ドラム位置取得手段》
本実施形態のスパッタ装置1は、回転ドラム13の回転位置情報を取得する手段(ドラム位置取得手段)の一例としてのロータリーエンコーダ100(図4参照)を含む。
図4に示すように、本実施形態のロータリーエンコーダ100は、ハウジング101(図2参照)と、ロータリーエンコーダ回転軸102と、回転スリット板103と、固定スリット板104と、発光素子105と、受光素子106とにより構成される。
ロータリーエンコーダ100は、回転ドラム13の回転角度(アナログ量)をパルス信号(デジタル量)に変換する装置である。本実施形態では、ロータリーエンコーダ100としてアブソリュート型のロータリーエンコーダが用いられている。アブソリュート型のロータリーエンコーダは、回転の有無にかかわらず現在の回転位置を絶対位置情報として出力する。このため、回転ドラム13が停止している場合であっても回転ドラム13の絶対位置情報を取得することが可能となる。
ハウジング101は、ロータリーエンコーダ回転軸102,回転スリット板103,固定スリット板104,発光素子105,受光素子106を収納するケースである。図2に示すように、ハウジング101は、コネクタ101aを用いて真空容器11の上面に固定されている。
ロータリーエンコーダ回転軸102は、カップリング107を介してドラム回転軸17bに接続されている。ロータリーエンコーダ回転軸102の端面と、ドラム回転軸17bの端面を接合して、接合面周囲をカップリングで固定することで、両回転軸を固定している。回転ドラム13の底面にはモータ17が接続されており、モータ17の駆動により回転ドラム13が回転する。その回転はドラム回転軸17b,カップリング107を介してロータリーエンコーダ回転軸102へ伝達され、ロータリーエンコーダ回転軸102は回転する。
ロータリーエンコーダ回転軸102の端面には、回転スリット板103が、回転スリット板103の中心軸とロータリーエンコーダ回転軸102が同軸となるように取り付けられている。回転スリット板103は、ドラム回転軸17bの回転に伴って、ロータリーエンコーダ回転軸102を回転軸として回転する。
回転スリット板103は、エポキシ樹脂などから構成された円板状部材であり、板面には複数のスリット103aが設けられている。円板状部材の板面には、複数のスリットから構成されるトラックが複数設けられている。各トラックは円板状部材の中心から同心円状に配置されている。同じトラックに配置されるスリット103aは同一の形状をしており、互いに等間隔に配置されている。また、異なるトラックに配置されるスリット103aは、互いに異なる形状をしている。
固定スリット板104は、複数の格子状スリット104aが設けられた平板状部材である。固定スリット板104は、回転スリット板103に対して一定間隔を空けて平行に設けられている。固定スリット板104はハウジング101に固定されている。このため、ロータリーエンコーダ回転軸102が回転しても固定スリット板104は回転しない。
ハウジング101内には、複数の発光素子105および複数の受光素子106が設けられている。発光素子105および受光素子106は、回転スリット板103と固定スリット板104を挟んで互いに対向して配置されている。発光素子105としては、発光ダイオードなど公知の素子が用いられる。受光素子106としては、フォトトランジスタなど公知の素子が用いられる。発光素子105および受光素子106は、回転スリット板103のトラック数と同じ数だけそれぞれ設けられている。
発光素子105から照射される光は、回転スリット板103のスリット103aおよび固定スリット板104のスリット104aの両スリットを透過した場合に受光素子106で検出される。ロータリーエンコーダ回転軸102が回転することにより回転スリット板103が回転して、回転スリット板103のスリットとスリットの間で光路が遮られた場合には、受光素子106では光は検出されない。
複数の受光素子106は、それぞれ異なるトラックにおいてスリット103aを通過する光を検知する。スリット103aの形状や配置はトラック毎にそれぞれ異なっているため、回転スリット板103の回転位置によって光を受光している受光素子106の組み合わせは異なる。逆にいえば、光を受光している受光素子106の組み合わせに基づいて、回転ドラム13の回転位置を決定することができる。
図5に示すように、受光素子106は、絶対位置信号生成装置111と電気的に接続されている。絶対位置信号生成装置111は、回転ドラム13の回転位置を絶対値として出力する。絶対位置信号生成装置111は、A−D変換部111aおよび絶対位置信号生成部111bを備えている。
A−D変換部111aは受光素子106に電気的に接続され、受光素子106から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力する。すなわち、受光素子106で検出した明暗情報を波形整形して矩形波のパルス信号として出力する。これにより、アナログ量である回転ドラム13の回転位置をデジタル信号に変換することができる。
絶対位置信号生成部111bは、A−D変換部111aから出力されるデジタル信号を基に、回転ドラム13の絶対位置情報を演算する。絶対位置信号生成部111bでは、発光素子105からの光を受光している受光素子106の組み合わせから、回転ドラム13の絶対位置を一義的に決定する。回転ドラム13の回転位置情報は二進数のデータとして薄膜形成処理制御手段110へ出力される。
薄膜形成処理制御手段110は薄膜形成処理を制御する装置である。図5に示すように、本実施形態では、ディスプレイとキーボードが外部に接続されたコンピュータにより構成されている。コンピュータには演算手段であるCPU110aと記憶手段であるメモリ110bが設けられており、メモリ110bはオペレータがキーボードを用いて入力した各種設定値、例えばドラム停止位置などを記憶している。
CPU110aはオペレータが入力した設定値を基に各種演算を行う。また、コンピュータには外部機器と接続可能なI/Oポートが複数設けられており、スパッタ制御装置40や絶対位置信号生成手段111に接続されている。スパッタ制御装置40や絶対位置信号生成手段111、キーボードやディスプレイとの信号のやりとりは、コンピュータのI/Oインターフェースを介して行われる。I/Oインターフェースを介しての外部機器との通信や、CPU110aによるメモリ110bへの読み書き等はオペレーティングシステムを介して行われる。
薄膜形成処理制御手段110へ入力された回転ドラム13の回転位置情報は、I/Oインターフェースを介して薄膜形成処理制御手段110のCPU110aで演算処理され、実数値化される。本実施形態で使用されるロータリーエンコーダ100の分解能は16ビットであるため、回転ドラム13の回転位置は「1」から「65536」までの数値情報に変換される。以下、回転ドラム13の回転位置を「番地」と呼ぶ。番地情報は薄膜形成処理制御手段110のメモリ110bに保持される。
本実施形態で使用されるロータリーエンコーダ100は16ビットの分解能を有している。すなわち、(360/65536)°の回転角の変化を検出することができる。ただし、ロータリーエンコーダの分解能はこれに限定されず、16ビットよりも分解能が低いものであっても、回転ドラム13の回転位置を十分に取得できるものであれば使用できる。なお、16ビットよりも分解能が高いものも当然使用することができる。
なお、本実施形態のロータリーエンコーダ100は、光学素子を用いる光学式であるが、回転円板の外周面に一定間隔ごとに磁性体を配置し、円板の回転による磁気の変化を検知する磁気式であってもよい。また、本実施形態のロータリーエンコーダ100は、アブソリュート式であるが、回転軸が回転している場合にのみ回転位置情報を出力するインクリメンタル式であってもよい。
《光学測定手段》
本実施形態のスパッタ装置1は、回転ドラム13に保持される基板S上に形成された薄膜の光学物性を測定する光学測定手段をさらに含む。本実施形態では、光学測定手段として、例えば、図6に示す光透過式の膜厚計200を用いる場合を例示する。
図6に示すように、膜厚計200は、投光手段としての投光器202と、受光手段としての受光器204と、制御手段としてのコントローラ206とを含む。
投光器202は、投光部212を備える。投光部212は、光源212aと、光ファイバ212cと、投光用センサヘッド212dとを含む。光源212aは、電源(不図示)から供給される電力によって白色光を発する装置である。本実施形態ではハロゲンランプを使用している。ハロゲンランプは、石英ガラスの管体に希ガスと共にヨウ素等のハロゲン物質を封入したもので、電圧を印加することで白色光を発光する。ただし、光源212aとしてはハロゲンランプに限定されず、例えば、半導体レーザ等も使用することが可能である。半導体レーザは、ガリウム・ヒ素などの単結晶基板の上に薄膜の単結晶膜を結晶成長させた素子を有し、この素子に電流を流すことでレーザ光を発振する装置である。また、例えばキセノンランプの光を偏光フィルターで偏光させて単色光を発光する装置なども使用することができる。その他、重水素ランプを用いることもできる。
光源212aには、光ファイバ212cの一端が接続されている。光ファイバ212cの他端には、光源212aで発光した光を出射する投光用センサヘッド212dが設けられている。投光用センサヘッド212dは、円筒状部材の内部に光ファイバ212cの端部が収納された構造をしており、回転ドラム13の側面に対して略垂直となるように、真空容器11の側壁を貫通した状態で真空容器11の側壁に取り付けられている。
なお、投光用センサヘッド212dから出射される光は広角に広がるため、これを収束するために、集光レンズ212bが投光用センサヘッド212dの下流側に設けられていてもよい。また、投光器202は、集光レンズ212bの下流側に、シャッタ機構222を備えていてもよい。この場合のシャッタ機構222の構成は、例えば、駆動源としてのステッピングモータと、回転式の遮蔽板と、位置検出器等で構成することができる。遮蔽板は、例えば、光源212aの光を遮る遮蔽部と、光源212aの光を真空容器11側へ通過させる切欠部とで構成され、遮蔽板が回転することにより、真空容器11側へ周期的なパルス状の光束を送出するように構成することができる。ステッピングモータは、例えば、コントローラ206から制御信号を受けて、遮蔽板を所定の回転速度で回転させるように構成することができる。
投光器202では、光源212aで発光した光は、光ファイバ212cの一端から入射し、光ファイバ内部を伝送して他端に設けられた投光用センサヘッド212dから出射する。投光用センサヘッド212dから出射した光は、集光レンズ212bによって集光され、該集光された光束がシャッタ機構222を通過することにより、入射光Iinとして基板S側に投光される。本実施形態では、基板S側に投光される入射光Iinは、基板Sに対して垂直に入射するように各部材が配置されている。
基板Sに投光された測定光は、基板Sの表面と堆積された薄膜との界面で、その一部が透過して、その一部が反射する。すなわち、基板Sと薄膜とは材質が異なるため、光に対する屈折率が異なる。また、基板Sと大気でも屈折率が異なる。このため、基板Sと薄膜との界面及び基板Sの表面では、測定光の一部が透過する。透過光から膜厚を測定する方法は後述する。
受光器204は、受光部214と、光学検出装置224とを備える。受光部214は、受光用センサヘッド214dと、光ファイバ214cを含む。必要に応じて集光レンズ214bをさらに含んでもよい。受光用センサヘッド214dは、基板Sを透過する透過光の入射を許容する。受光用センサヘッド214dは、光ファイバ214cの一端に接続されており、投光用センサヘッド212dと同様に、円筒状部材の内部に光ファイバ214cの先端部が収納された構造をしている。受光用センサヘッド214dは、回転ドラム13の側面に向かって垂直方向に位置するように、真空容器11の側壁を貫通した状態で真空容器11の側壁に、回転ドラム13を挟んで対向して取り付けられている。
光ファイバ214cの他端は光学検出装置224に接続している。受光用センサヘッド214dに入射した透過光は、光ファイバ214cの内部を伝送して光学検出装置224に入射する。
光学検出装置224は、光ファイバ214cから伝送された光の強度を測定する装置であり、分光部と、検出部225を備える。分光部は、本実施形態ではクロスツェルニターナ方式としてあり、スリット224a,コリメート光を形成する反射鏡224b,回折格子224c,反射鏡224dから構成されている。検出部225は、電荷蓄積方式のリニアイメージセンサを構成し、フォトダイオードアレイを備えた検出素子225aと、検出素子225aへ制御信号を送出する検出素子駆動部225bとを含む。検出素子225aは、512の測定チャンネルに対応した512個のフォトダイオード,スイッチ,コンデンサ等から構成されている。検出素子駆動部225bは、コントローラ206からのスタートパルス及びクロック信号に応じて前記各スイッチに制御信号を送出するシフトレジスタを備えて構成されている。
受光器204では、基板Sを透過した透過光Ioutは、必要に応じて配置される集光レンズ214bで収束され、受光用センサヘッド214dに入射し、光ファイバ214cの内部を伝送して光学検出装置224のスリット224aを通過する。スリット224aを通過した基板Sの透過光Ioutは、反射鏡224bでコリメート光とされ、該コリメート光は回折格子224cに入射し、回折格子224cによって波長に応じて回折される。回折格子224cで回折された回折光は、反射鏡224dで反射されて検出素子225aの複数のフォトダイオードにそれぞれ照射される。
本実施形態の膜厚計200は、任意の300nmの波長範囲を指定して測定することができるようになっており、それぞれのフォトダイオードは300nmの測定波長範囲(例えば、350nmから900nm)のうち約0.6nmの波長幅に相当する回折光を受光するようになっている。
上記512個のフォトダイオード等の各素子は、512のチャンネルに割り振られており、1番目のチャンネルが長波長側(例えば900nm付近)、512番目のチャンネルが短波長側(例えば350nm付近)に設定されている。
なお、測定波長範囲は300nmに限定されるものではなく、それぞれのフォトダイオードが照射される波長範囲も約0.6nmに限定されるものではない。また、チャンネル数も512に制限されるものではなく、例えば、1024個のフォトダイオードを備えたリニアイメージセンサを使用して、チャンネル数を1024としてもよい。
光学検出装置224では、各チャンネルのフォトダイオードに回折光が照射されると、フォトダイオードによって光電変換され、電荷が光学検出装置224内の不図示のコンデンサに蓄積される。
検出素子駆動部225bは、コントローラ206からスタートパルスを受取ると各チャンネルへ制御信号を送出し始める。そして、検出素子駆動部225bは、コントローラ206からクロック信号を受取るごとにチャンネル数を加算していき、時間をずらして順次各チャンネルのスイッチへ制御信号を送出する。
各スイッチは、制御信号によって電気的に閉じて各コンデンサが順次出力側に接続される。検出素子駆動部225b及び各スイッチは送出手段を構成する。これにより、測定光の照射によって各コンデンサに蓄積された電荷は、コントローラ206側へチャンネルごとに時間をずらして順次出力される。
このような電荷蓄積方式の光学検出装置224では、蓄積電荷量は入射光の強さと露光時間の積(露光量)に比例する。しかし、上記コンデンサの容量は有限であるため、所定の露光量(飽和露光量)を超えると出力は一定値をとることになり、測定値として意味を持たなくなる。このため、露光量を適切に調整するために、露光時間の調整が行われる。
図7に示すように、コントローラ206は、膜厚測定制御を行うCPU216と、CPU216からの制御信号を受けて検出素子駆動部225bへ所定のスタートパルス及びクロック信号を送出するタイミング設定部226と、検出素子225aからの出力をチャンネルごとに受取りチャンネルごとの信号増幅を行う増幅部としてのPGA(プログラムゲインアンプ)236と、PGA236からの増幅信号を受取りA/D変換してCPU216へ送出するA/D変換器246と、インターフェース部256と、設定入力処理やデータ出力処理を行うための入出力装置266と、出力データ及び設定値等を記憶する記憶部276等によって構成されている。
記憶部276は、ROM276aと、作業エリアとして用いられるRAM276b等を備えている。ROM276aには、膜厚計200の制御プログラムやオペレーションシステムプログラム等が記憶される。また、モニターやプリンター等の表示装置286がインターフェース部256を介して接続されている。CPU216は、記憶部276のプログラム及び入出力装置266からの設定入力等に基づき、投光器202や受光器204への各種制御信号等の送出及び、受光器204からの測定データの受信、受信データの増幅、記憶、演算、出力等の各種処理を行う。
PGA236は、検出素子225aからのチャンネルごとの出力を受取り、CPU216からの設定により、チャンネルごとに増幅率を変化させてA/D変換器246へ出力する。すなわち、操作者は、測定波長ごと(すなわち、チャンネルごと)に出力信号を所定の倍数に増幅するように、入出力装置266から設定入力することが可能であり、当該設定入力はCPU216を通してPGA236に設定される。
コントローラ206をこのような構成とすることにより、信号強度の小さい波長範囲の出力信号を選択的に増幅させてデータとして得ることが可能となる。このように小さい信号強度を増幅することにより、光量変化に対する追従性を向上させ、当該増幅信号を制御値として扱いやすくし膜厚制御し易いものとすることができる。
本実施形態のコントローラ206は、スパッタ装置1(図1〜図5参照)のスパッタ制御装置40に電気的に接続されており、インターフェース部256を通して当該スパッタ制御装置40へ所定の膜厚測定データを送出する。
《スパッタ制御装置》
スパッタ制御装置40は、スパッタの開始や停止、成膜時間や成膜レートの調整などの、スパッタ装置1の制御全般を行う装置である。
本実施形態のスパッタ制御装置40は、膜厚制御信号生成部を備えており、コントローラ206から入力される膜厚データに基づいて、膜厚を制御する膜厚制御信号を生成する。具体的には、入力される膜厚データに基づいて、薄膜(目標膜厚より薄い膜厚を持つ第1薄膜)を形成した実際の成膜レートを算出し、この実際の成膜レートに基づいて、薄膜(目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜)を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整する。
なお、実際の成膜レート(第2成膜レート)を、新たな成膜レートに変更した後、不足分膜厚を形成するのに必要な残成膜時間で追加成膜してもよい。
スパッタ制御装置40は更に、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに電力を供給するトランス24に電気的に接続されており、膜厚制御信号をトランス24に送信することが可能となっている。膜厚制御信号を受信したトランス24は、膜厚制御信号に応答してマグネトロンスパッタ電極21a,21bに供給される電力量を調整することが可能となっている。このように、本実施形態のスパッタ装置1では、トランス24を制御することで成膜レート、すなわち基板Sに供給される膜原料物質の量を調整して、基板Sに形成される薄膜の膜厚を調整することが可能となっている。具体的には、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに供給される電力の量を大きくすると、ターゲット29a,29bがスパッタされる量が多くなり、基板Sに付着する膜原料物質の量が多くなる。逆に、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに供給される電力の量を小さくすると、ターゲット29a,29bがスパッタされる量が少なくなり、基板Sに付着する膜原料物質の量が少なくなる。
スパッタ制御装置40は、マスフローコントローラ25,27に電気的に接続されており、膜厚制御信号をマスフローコントローラ25,27に送信することが可能となっている。膜厚制御信号を受信したマスフローコントローラ25,27は、膜厚制御信号に応答して、マスフローコントローラ25,27を通過するガスの流量を制御することが可能となっている。具体的には、スパッタ制御装置40は、マスフローコントローラ25,27を通過するガスの流量を流量設定値として送信して、マスフローコントローラ25,27内の電子回路に流量の設定値として格納する。マスフローコントローラ25,27は、通過するガスの流量がこの設定値に近づくようにコントロールバルブの開閉を行って、流量を調整する。ガスの流量が増加すると、ターゲット29a,29bに供給されるスパッタガスの量が多くなる。従って、スパッタされる量が増加するため、成膜レートが上昇して膜厚が増加する。逆に、ガスの流量が減少すると、ターゲット29a,29bに供給されるスパッタガスの量が少なくなる。従って、スパッタされる量が減少するため、成膜レートが下降する。
なお、薄膜形成プロセスゾーン20に膜厚補正手段を設ける場合には、補正板駆動モータを、スパッタ制御装置40に、電気的に接続させて、スパッタ制御装置40の制御下におくことも可能である。すなわち、スパッタ制御装置40により、膜厚補正板をターゲット29a,29bの中心方向に移動させるよう指示があると、補正板駆動モータは一方向に回転して、膜厚補正板をそれぞれターゲット29a,29bの中心方向に移動させる。反対に、スパッタ制御装置40により、膜厚補正板をターゲットの中心方向と反対へ移動させるよう指示があると、補正板駆動モータは先ほどとは反対方向に回転して、膜厚補正板をそれぞれターゲット29a,29bの中心方向から離間するように移動させる。
スパッタ制御装置40は、膜厚補正板がターゲット29a,29bの中心方向へ向かうように補正板駆動モータを駆動すると、ターゲット29a,29bの前面を覆う膜厚補正板の面積が増加して、基板Sに付着する膜原料物質の量が減少する。逆に、膜厚補正板がターゲット29a,29bの中心方向から離れるように補正板駆動モータを駆動すると、ターゲット29a,29bの前面を覆う膜厚補正板の面積が減少して、基板Sに付着する膜原料物質の量が増加する。このような制御を行うことにより、基板Sに形成される膜厚を調整して、所望の膜厚とすることが可能となる。
本実施形態のスパッタ装置1は、上述のようにスパッタ制御装置40によりターゲット29a,29bに供給される電力量の調整、ターゲットに供給されるガスの流量の調整、及び、膜厚補正板の移動量の調整の3つの調整を行うことができるように構成されているが、これらのうちいずれか1のみ、あるいはいずれか2つを調整できるものとしてもよい。
《薄膜形成方法》
以下に、上述のスパッタ装置1を用いて薄膜を製造するスパッタ処理について、図1〜図8を用いて説明する。ここでは、酸化ニオブ(Nb)を積層させた薄膜を製造する例を挙げて説明する。薄膜の形成は、薄膜形成の準備を行う工程、酸化ニオブの薄膜を形成する工程、薄膜形成を終了する工程の順に行われる。
本実施形態では、ターゲット29a,29bとしてニオブを、薄膜形成プロセスゾーン20に導入されるスパッタガスとしてアルゴンガスを、薄膜形成プロセスゾーン20に導入される反応性ガスとして酸素ガスを、反応プロセスゾーン50に導入される反応性ガスとして酸素ガスを使用している。
《S1》
図8のステップ1(S1)は、膜厚を測定する番地と、最終目標とする膜厚(D1)と、中間目標とする膜厚(D2。D1よりも小さい)を、設定するステップである。すなわち本実施形態では、最終目標膜厚より薄い中間目標膜厚を仮成膜し(第1薄膜)、光学測定手段を用いて第1薄膜の膜物性値(現在の膜厚)を検出し、この物性値に基づいて、第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出し、この実際の成膜レート(第2成膜レート)に基づいて、最終目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整し、この残成膜時間と現在の成膜レートで不足分の薄膜(第2薄膜)を追加成膜する。
本実施形態では、薄膜形成処理制御装置110のキーボードからオペレータが所望の条件を入力する。まず、回転位置が200番地にある基板Sに対して膜厚測定を行うように設定する。この200番地では、測定する予定の基板から透過する光が、サンプル測光用光路L2(図3A〜図3D参照)を通じて、受光用センサヘッド214dに対して平行に入射することが事前に確認されている。
次に、回転位置が、200番地から回転ドラム13の回転方向に略90度回転した番地(以下「n番地」ともいう。)のときに、上記膜厚測定の測定基準となるリファレンス測光を行うように設定する。このn番地では、集光レンズ212bを通じて投光用センサヘッド212dから出射する光が、回転ドラム13に保持される何れの基板Sにも入射せず、リファレンス測光用光路L1(図3A〜図3D参照)を通じて、受光用センサヘッド214dに対して平行に入射することが事前に確認されている。
次に、オペレータは、薄膜形成処理制御装置110のキーボードから所望のスパッタ中間目標膜厚(例えばD1)と、スパッタ最終目標膜厚(例えばD2。D2>D1)をセットする。
《S2》
図8のステップ2(S2)は、薄膜形成準備処理を開始するステップである。まず、ターゲット29a,29bをマグネトロンスパッタ電極21a,21bに保持させる。本実施形態では、ターゲット22a,22bの材料としてニオブ(Nb)を用いる。扉11bを閉じた状態で真空ポンプ15を作動させて排気を行い、薄膜形成室11Aを10−2Pa〜10Pa程度の真空状態にする。このとき、バルブV1,V2,V3が開放され、アンテナ収容室61Aも同時に排気される。
その後、回転ドラム13をロードロック室11Bの位置でロックした状態で、基板Sを保持した基板保持具13aを回転ドラム13に取り付ける。続いて、扉11cを閉じた状態で、真空ポンプ15'を作動させてロードロック室11Bを排気して、10−2Pa〜10Pa程度の真空状態にする。更に、扉11bを開いて、回転ドラム13を薄膜形成室11Aへ移動させる。回転ドラム13を薄膜形成室11Aへ移動させた後に、扉11bを再び閉じる。そして、真空容器11の内部,アンテナ収容室61Aの内部を上述の所定の圧力に減圧する。その後、真空容器11の内部,アンテナ収容室61Aの内部の圧力が安定した後に、薄膜形成プロセスゾーン20の圧力を、0.1Pa〜1.3Paに調整する。
《S3》
図8のステップ3(S3)は、回転ドラム13の回転を開始するステップである。回転ドラム13の回転は、オペレータがスパッタ装置1の図示しない操作パネルに設けられたドラム回転スイッチを押すことにより開始される。ドラム回転スイッチを押すと、モータ17が作動して回転ドラム13が回転する。薄膜形成処理制御装置110は、ロータリーエンコーダ100から回転ドラム13の回転位置情報(番地情報)を取得するとともに、取得した番地情報と内部クロックに基づいて回転ドラム13の回転速度を演算する。回転ドラム13の回転速度が一定になると、次のステップへ移行する。
本実施形態におけるスパッタ装置1では、薄膜形成プロセスゾーン20において基板Sの表面に薄膜を形成し、続く反応プロセスゾーン50においてこの薄膜の酸化処理を行うことで基板表面に中間薄膜を形成している。このため、回転ドラム13の回転が遅いと、薄膜形成プロセスゾーン20において形成される薄膜が厚くなり、反応プロセスゾーン50でこれを完全には酸化することが困難となり、不純物の混じった不均一な薄膜が形成されるという不都合がある。
また、反応プロセスゾーン50において行われる酸化工程では、薄膜の酸化反応により薄膜の膨張現象が起こる。このような体積の増加は薄膜内部に圧縮応力を生じる。薄膜形成プロセスゾーン20で形成される薄膜の膜厚が厚い場合、生成される薄膜は薄膜間の隙間構造が少なく、酸化ニオブが密に凝集した薄膜構造となっている。このような薄膜では、反応プロセスゾーン50での酸化反応による体積膨張の影響が大きい。一方、薄膜形成プロセスゾーン20で形成される薄膜の膜厚が薄い場合、生成される薄膜は薄膜間に生じる隙間構造を多く有している。このような薄膜において体積が膨張した場合、増加した体積は隙間構造に吸収されるため、薄膜内部に圧縮応力が生じにくい。
更に、回転ドラム13が低速回転している場合は、回転のぶれが大きく、正確な膜厚測定や薄膜形成処理の制御が困難となる。一方、回転ドラム13の回転速度が大きい場合、回転軸の回転部分に発生する遠心力が大きく、ぶれの少ない安定した回転が得られる。
このように、回転ドラム13の回転速度が小さい場合には様々な問題が生じる。このため、薄膜形成処理においては回転ドラム13の回転速度は早いほうが好ましく、特に20rpm以上であることが好ましい。
《S4》
ステップ4(S4)は、薄膜形成処理を開始するステップである。薄膜形成処理は、薄膜形成プロセスゾーン20および反応プロセスゾーン50で行われる。薄膜形成プロセスゾーン20では、ターゲット29a,29bに対してスパッタが行われて、基板Sの表面にニオブやニオブの不完全反応物からなる薄膜が形成される。続く反応プロセスゾーン50では、薄膜形成プロセスゾーン20で形成された薄膜に対して酸化処理を行うことにより、ニオブの完全反応物を主とした中間薄膜が形成される。
薄膜形成処理制御装置110からスパッタ制御装置40へスパッタ開始指示が与えられて、薄膜形成処理が開始される。スパッタ開始指示を受けたスパッタ制御装置40は、交流電源23および高周波電源66に対して、それぞれトランス24およびマッチングボックス65に交流電圧を印加するよう指示を出す。このスパッタ開始指示により、スパッタ置1においてスパッタが開始される。
なお、ターゲット29a,29bと基板Sの間に配置され、ターゲット29a,29bの前面を遮蔽する遮蔽部材を設けておき、スパッタ開始指示が与えられた場合にこの遮蔽部材をターゲット29a,29bの前面から移動してターゲット29a,29bから膜原料物質が基板Sに到達可能となるように構成してもよい。
スパッタ開始指示によりターゲット29a,29bに交番電界が掛かるようになると、ターゲット29a,29bが交互にアノードとカソードになり、薄膜形成プロセスゾーン20でプラズマが形成される。このプラズマによってカソード上のターゲット29a,29bに対してスパッタが行われる(暫定成膜レートにて)。
続いて基板Sは、回転ドラム13の回転にともなって、薄膜形成プロセスゾーン20に面する位置から反応プロセスゾーン50に面する位置に搬送される。反応プロセスゾーン50には、反応性ガスボンベ55から反応性ガスとして酸素ガスを導入されている。
反応プロセスゾーン50では、アンテナ63に13.56MHzの高周波電圧を印加されて、プラズマ発生手段60によって反応プロセスゾーン50にプラズマが発生している。反応プロセスゾーン50の圧力は、好ましくは0.07Pa〜1.0Paに維持される。また、少なくとも反応プロセスゾーン50にプラズマを発生させている際中は、アンテナ収容室61Aの内部の圧力は10−2Pa以下を保持する。
そして、回転ドラム13が回転して、ニオブ或いは不完全酸化ニオブ(Nbx1(x1<5))からなる中間薄膜が形成された基板Sが反応プロセスゾーン50に面する位置に搬送されてくると、反応プロセスゾーン50では、中間薄膜を構成するニオブ或いは不完全酸化ニオブ(Nbx1(x1<5))をプラズマ処理によって酸化反応させる工程を行う。すなわち、プラズマ発生手段60によって反応プロセスゾーン50に発生させた酸素ガスのプラズマでニオブ或いは不完全酸化ニオブ(Nbx1(x1<5))を酸化反応させて、所望の組成の不完全酸化ニオブ(Nbx2(x1<x2<5))或いは酸化ニオブ(Nbx2)に変換させる。
本実施形態では、薄膜形成プロセスゾーン20で形成された薄膜のうちニオブ或いはニオブ不完全酸化物を反応プロセスゾーン50で酸化反応させ、不完全酸化ニオブ(Nbx2(x1<x2<5))或いは酸化ニオブに変換させることで、ニオブの完全酸化物のみからなる中間薄膜や、所望の割合でニオブ(Nb)やニオブの不完全酸化物を有する中間薄膜を形成する。
この反応プロセスゾーン50における膜組成変換工程では、反応プロセスゾーン50で膜組成変換されて得られる中間薄膜の膜厚のほうが、薄膜形成プロセスゾーン20で形成される薄膜の膜厚よりも厚くなる。すなわち、薄膜形成プロセスゾーン20で形成される薄膜を構成する膜原料物質のうち、ニオブやニオブの不完全酸化物をニオブの不完全酸化物やニオブの完全酸化物に変換することにより薄膜の膨張が起こり、膜厚が厚くなる。
以下、回転ドラム13の回転毎に、薄膜形成プロセスゾーン20でのスパッタ処理と反応プロセスゾーン50での酸化処理が繰り返される。これにより、基板Sの表面に複数回中間薄膜が積層されて所望の膜厚を有する最終薄膜(第1薄膜又は第2薄膜に相当する)が形成される。
本実施形態では、後述するステップ(S5以降)で、目標膜厚よりも薄い膜厚の薄膜を形成した実際の成膜レートに基づいて目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の薄膜を形成するので、テスト成膜を省略して本成膜を行うことができる。その結果、単層膜を形成する場合はもとより、多層膜を形成する場合にも、全体の成膜効率を向上させることができる。以下、詳述する。
《S5》
次のステップは、基板Sに形成された薄膜の実際の膜厚(実際膜厚)の測定を開始するステップである。実際膜厚の測定処理を開始するには、まず、回転ドラム13の回転を停止する。
具体的には、図8のステップ5(S5)にて、ロータリーエンコーダ100で検出した現在の番地をチェックし、n番地であるか否かを判断する。
その結果、現在の番地がn番地である場合は、回転ドラム13の回転を停止した後、投光を開始する(ステップ6)。回転ドラム13の回転を停止するには、スパッタ制御装置40は、モータ17に対して駆動を停止する信号をスパッタ制御装置40に送出させることにより実行することができる。一方、n番地でない場合は、n番地になるまで回転ドラム13の回転を停止せずに、引き続き回転を継続する。
本実施形態では、この停止時の回転ドラム13の位置停止精度は重要である。なぜならば、ここでの位置精度が、後述のS10での膜厚演算の精度に影響を与えるからである。停止位置精度が悪いと、基板Sに対して垂直に入射光が投光されず、正確な光学特性を得ることができなくなる。
図3B〜図3Dに示すように、回転ドラム13の回転位置がn番地の位置にあるとき、一対の第2貫通孔13b6,13b7を結ぶラインの延長線上には、回転ドラム13の基板保持板13aは配置されない。このラインの延長線は、隣接する2つの基板保持板13a,13aの間に形成される隙間を抜けて回転ドラム13の外側へと延びるようになる。
《S6》
図8のステップ6(S6)は、第1の投光を開始するステップである。本実施形態では連続光を照射するので、光源212aの図示しないスイッチをオペレータがオンにすることで投光が開始される。なお、第1の投光の開始をオペレータが手動で行うのでは無く、例えば光源212aを薄膜形成処理制御装置110と電気的に接続して、所定の条件になると薄膜形成処理制御装置110からの指示により自動的に投光を行うようにしてもよい。光源212aのスイッチがオンになると、電源から供給される電力により光源212aは白色光を発光する。光源212aからの光は光ファイバ212c内を伝送して、シャッタ機構222を開放することにより、投光用センサヘッド212d端部より、リファレンス測光用光路L1を通じて、受光用センサヘッド214dに対して平行に入射される。入射された測定光は、薄膜形成処理制御装置110にて所定の演算処理が行われることでリファレンス測定光量が検出され、このデータは、薄膜形成処理制御装置110からスパッタ制御装置40へ送出される。
なお、本実施形態において、ドラム回転ステップ(S3)の後に投光工程が開始されているが、ドラム回転ステップ(S3)や薄膜形成準備ステップ(S2)の間に開始されてもよい。この場合、シャッタ機構222を閉じておく。
《S7》
次に、図8のステップ7(S7)にて、シャッタ機構222を閉じるとともに、再び、回転ドラム13を回転させる。そして、ロータリーエンコーダ100で検出した現在の番地をチェックし、200番地であるか否かを判断する。その結果、現在の番地が200番地である場合は、シャッタ機構222を再び開放し、第2の投光を開始する(ステップ8)。一方で、200番地でない場合は、200番地になるまで回転ドラム13の回転を継続する。
図3B〜図3Dに示すように、回転ドラム13の回転位置が200番地の位置にあるとき、一対の第1貫通孔13b4,13b5を結ぶラインの延長線上には、回転ドラム13の基板保持板13aが配置されるようになる。
《S8》
図8のステップ8(S8)は、第2の投光を開始するステップである。本実施形態では既に光源212aがオンされているので、シャッタ機構222を開放することで投光が開始される。光源212aからの光は光ファイバ212c内を伝送して、投光用センサヘッド212d端部より基板Sに照射され、この基板Sを透過した透過光は、サンプル測光用光路L2を通じて、受光用センサヘッド214dに対して平行に入射され、光学検出装置224に受光される。
《S9》
図8のステップ9(S9)は、光学検出装置224で受光した透過光の光量(第1の光量、第2の光量)データをサンプリングするステップである。本実施形態では、測定光は基板Sの表面に照射されており、測定光が基板Sを透過した場合には、光学検出装置224で透過光を受光している。光学検出装置224の検出部225のフォトダイオードで検出される光量は検出部225のメモリに順次記憶され、続く膜厚演算ステップに移行する(ステップ10)。
《S10》
図8のステップ10(S10)は、光学検出装置224で受光したサンプル測定光の光量に基づいて膜厚演算を行うステップである。本ステップでは、S6,S7で検出したリファレンス測定光量(第1の光量)と、S8,S9で検出したサンプル測定光量(第2の光量)とに基づいて、基板Sの表面に現在形成されている薄膜の膜厚(実際膜厚)を検出する。具体的には、スパッタ制御装置40は、例えば、リファレンス測定光量と、サンプル測定光量の比を演算することで、基板Sの表面に現在形成されている薄膜の膜厚(中間目標膜厚D2と必ずしも一致しない)を検出することができる。
《S11》
図8のステップ11(S11)は、S10で検出された現在の薄膜の膜厚に基づいて、現在の薄膜(第1薄膜)を形成した実際の成膜レート(第2成膜レート)を算出する。実際の成膜レートの算出は、S10で検出された現在の薄膜の膜厚を、これまでの成膜時間で除することにより算出することができる。
また、算出した実際の成膜レートに基づいて、最終目標膜厚D1に対して不足する不足分膜厚(=D1−D2±α。αは暫定成膜レートと実際成膜レートの間に存在するズレ状況により前後する値である。)の追加薄膜(第2薄膜)を形成するのに必要な残成膜時間を算出する。残成膜時間の算出は、不足分膜厚を、算出した実際の成膜レートで除することにより算出することができる。
そして、算出された実際の成膜レートと、残成膜時間で、膜厚不足分の追加薄膜(第2成膜)を成膜させる。
例えば図9A及び図9Bでは、基板S上に、100nm(最終目標膜厚D1)のNb薄膜を形成するに際し、まず、成膜レート(暫定レート):0.5nm/秒で、200秒の間成膜した。この時点で理論上は、最終目標の100nmのNb薄膜が形成されているはずであるが、実際膜厚(中間目標膜厚)は83nmであった(図9A)。実際の成膜レートは、(83/200)=0.415nm/秒であった。100nmに対する不足分は17nmであるので、残成膜時間は(17/0.415)=約41秒である。実際の成膜レートで41秒間成膜することにより、基板S上に100.5nmのNb薄膜を形成することができ(図9B)、0.5%の成膜精度が得られた。このように本実施形態の方法を用いれば、精確な成膜を行うことができ、成膜効率が向上する。
以上説明したように、本実施形態によれば、最終目標膜厚D1より薄い中間目標膜厚D2を仮成膜し(第1薄膜)、光学測定手段を用いて第1薄膜の膜物性値(現在の膜厚)を検出し、この物性値に基づいて、第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出し、この実際の成膜レート(第2成膜レート)に基づいて、最終目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整し、この残成膜時間と現在の成膜レートで不足分の薄膜(第2薄膜)を追加成膜する。このため、テスト成膜による成膜の無駄を省略でき、成膜効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、実際の成膜レート(第2成膜レート)を新たな成膜レートに変更した後、不足分膜厚を形成するのに必要な残成膜時間で追加成膜してもよい。新たな成膜レートの算出は、不足分の膜厚(単位「nm」)を、残成膜時間(単位は「秒」)で除することにより算出することができる。
新たな成膜レートがこれまでの成膜レート(実際の成膜レート)に対して増加するものである場合、スパッタ制御装置40は、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに供給される電力を増加するか、マスフローコントローラ25,27を制御して薄膜形成プロセスゾーン20に供給されるガスの量を増加させるか、のいずれか少なくとも1つを行うことにより、成膜レートを増加させる。なお、補正板駆動モータを駆動して膜厚補正板をターゲットの中心方向から離間するように移動させ、成膜レートを増加させてもよい。
新たな成膜レートがこれまでの成膜レートに対して減少するものである場合、スパッタ制御装置40は、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに供給される電力を減少させるか、マスフローコントローラ25,27を制御して薄膜形成プロセスゾーン20に供給されるガスの量を減少させるか、のいずれか少なくとも1つを行うことにより、成膜レートを減少させる。補正板駆動モータを駆動して膜厚補正板をターゲットの中心方向に向かって移動させ、成膜レートを減少させてもよい。
新たな成膜レートで所定時間、追加成膜することにより、最終目標膜厚D1の薄膜が精度良く基板Sの表面に形成される。
また、本実施形態では、基板Sに単層膜を形成する場合を例示したが、上述した原理を利用して、多層膜の形成に適用することも可能である。
また、本実施形態では中間目標膜厚D2を1つとしたが、これを複数設定してもよい(例えば、第1中間目標膜厚D2’、第2中間目標膜厚D2”、・・・など)。また、本実施形態では追加成膜を1回行っているが、これを複数回行うこともできる。
図1は本実施形態に係るスパッタ装置を上面から見た部分横断面図である。 図2は図1のII−II線に沿った部分縦断面図である。 図3Aは図1の薄膜形成装置に用いられる回転ドラムの概要を説明する斜視図である。 図3Bは図3Aの回転ドラムの配置例を示す部分破断斜視図である。 図3Cは図3Bの回転ドラムを上面から見た部分横断面図である。 図3Dは図3Cの回転ドラムの部分斜視図である。 図4は本実施形態で用いるロータリーエンコーダの説明図である。 図5は図4のロータリーエンコーダの機能ブロック図である。 図6は本実施形態で用いる膜厚計の構成例を示す説明図である。 図7は図6の膜厚計の機能ブロック図である。 図8は本実施形態の成膜処理の流れを示すフローチャートである。 図9Aは基板上に100nmのNb薄膜を形成する際の中間目標膜厚を形成した場合の光学特性を示すグラフである。 図9Bは図9Aの状態から最終目標膜厚に対して不足分の膜厚を追加成膜した場合の光学特性を示すグラフである。
符号の説明
1…スパッタ装置(薄膜形成装置)、11…真空容器、12,14…仕切壁、13…回転ドラム(回転手段)、13a…基板保持具(基体保持手段)、13b…フレーム、13b1,13b2…環状部材(環状部)、13b3…筒状部材(筒状部)、13b4,13b5…第1貫通孔(サンプル測光用光路L1)、13b6,13b7…第2貫通孔(リファレンス測光用光路L2)、13c…締結具、17…モータ、20…薄膜形成プロセスゾーン、21a,21b…マグネトロンスパッタ電極、29a,29b…ターゲット、23…交流電源、24…トランス、26…スパッタガスボンベ、28…反応性ガスボンベ、25,27…マスフローコントローラ、40…スパッタ制御装置、50…反応プロセスゾーン、53…不活性ガスボンベ、55…反応性ガスボンベ、52,54…マスフローコントローラ、60…プラズマ発生手段、66…高周波電源、
100…ロータリーエンコーダ(ドラム位置取得手段)、101…ハウジング、102…ロータリーエンコーダ回転軸、103…回転スリット板、104…固定スリット板、105…発光素子、106…受光素子、110…薄膜形成処理制御手段、110a…CPU、110b…メモリ、111…絶対位置信号生成装置、111a…A−D変換部、111b…絶対位置信号生成部、
200…膜厚計(光学測定手段)、202…投光器、212…投光部、212a…光源、212b…集光レンズ、212c…光ファイバ、212d…投光用センサヘッド、204…受光器、214…受光部、214b…集光レンズ、214d…受光用センサヘッド、214c…光ファイバ、224…光学検出装置、224a…スリット、224b,224d…反射鏡、224c…回折格子、225…検出部、225a…検出素子、225b…検出素子駆動部、206…コントローラ、216…CPU、226…タイミング設定部、236…PGA、246…A/D変換器、256…インターフェース部、266…入出力装置、276…記憶部、276a…ROM、276b…RAM、286…表示装置。

Claims (2)

  1. ターゲットをスパッタして基体保持手段に保持され回転する基体に、目標膜厚よりも薄い膜厚の第1薄膜を形成した後、前記目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を前記第1薄膜に形成する薄膜形成方法であって、
    前記基体保持手段の回転動作を制御する回転制御工程と、
    予め設定した初期の成膜レートで前記第1薄膜を成膜した後、前記回転制御工程により前記基体保持手段の回転動作を停止させた状態で、前記第1薄膜の膜厚を測定する光学測定工程と、
    測定された前記膜厚の値に基づいて前記第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出する成膜レート算出工程と、
    前記実際の成膜レートに基づいて前記第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整する成膜時間調整工程とを有し、
    前記基体保持手段として、
    軸線を中心に回転可能に形成されているとともに;
    側壁部分に、前記回転方向に沿って形成された一対の第1貫通孔と、前記一対の第1貫通孔とは異なる配置で前記回転方向に沿って形成された一対の第2貫通孔とを有し、前記一対の第1貫通孔を結ぶラインが後記第2の測光用光路の一部を構成し、前記一対の第2貫通孔を結ぶラインが後記第1の測光用光路の一部を構成する;筒状部と、
    前記筒状部の両側端に対向して接続された一対の環状部とを、含む回転手段の回転方向側面に形成されたものを用い、
    前記光学測定工程では、前記第1薄膜の光学測定基準値を検出する第1の測光用光路を通過する第1の光量と、前記第1の測光用光路と交錯するように形成された、前記第1薄膜の光学測定値を検出する第2の測光用光路を通過する第2の光量とに基づいて、前記膜厚を測定する透過式の光学測定装置を用い、
    前記回転制御工程では、前記回転手段の回転位置情報に基づき、前記回転手段の現在の回転位置で前記光学測定装置の投光手段から光線を照射したとき、この照射した光線が前記一対の第2貫通孔を結ぶライン上に重なるか否かを判定し、重なる場合にはその位置で前記回転手段の回転動作を停止させるとともに前記光学測定装置に対して前記光学測定基準値を検出するように指示し、重ならない場合には前記回転手段の回転動作を継続するように制御することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 基体に、予め設定した初期の成膜レートで目標膜厚よりも薄い膜厚の第1薄膜を形成した後、前記目標膜厚に対して不足する不足分膜厚の第2薄膜を前記第1薄膜に形成する薄膜形成装置であって、
    真空容器の内部に設置され、軸線を中心に回転可能な回転手段の回転方向側面に形成された、前記基体を保持する基体保持手段と、
    前記回転手段の回転位置情報を取得する位置取得手段と、
    前記位置取得手段から出力される情報に基づいて前記回転手段の回転動作を制御する制御手段と、
    ターゲットをスパッタして前記基体に前記第1薄膜及び前記第2薄膜を形成するスパッタ手段と、
    前記第1薄膜の膜厚を測定する光学測定手段と、
    測定された前記膜厚の値に基づいて前記第1薄膜を形成した実際の成膜レートを算出する成膜レート算出手段と、
    前記実際の成膜レートに基づいて前記第2薄膜を形成するのに必要な残成膜時間を算出して成膜時間を調整する成膜時間調整手段とを有し、
    前記光学測定手段は、前記第1薄膜の光学測定基準値を検出する第1の測光用光路を通過する第1の光量と、前記第1の測光用光路と交錯するように形成された、前記第1薄膜の光学測定値を検出する第2の測光用光路を通過する第2の光量とに基づいて、前記膜厚を測定する透過式の光学測定装置で構成されており、この光学測定装置は、光線を照射する投光手段と、該投光手段から照射された光線を受光する受光手段と、該受光手段から出力される前記第1の光量及び第2の光量の情報に基づき前記膜厚を算出するコントローラとを含んで構成されており、
    前記回転手段は、前記軸線を中心に回転可能な筒状部と、前記筒状部の両側端に対向して接続された一対の環状部とを含み、前記筒状部は、側壁部分に、前記回転方向に沿って形成された一対の第1貫通孔と、前記一対の第1貫通孔とは異なる配置で前記回転方向に沿って形成された一対の第2貫通孔とを有し、前記一対の第1貫通孔を結ぶラインが前記第2の測光用光路の一部を構成し、前記一対の第2貫通孔を結ぶラインが前記第1の測光用光路の一部を構成し、
    前記制御手段は、前記位置取得手段から出力される情報に基づき、回転手段の現在の回転位置で光学測定装置の投光手段から光線を照射したとき、この照射した光線が回転手段の筒状部側壁部分に形成された一対の第2貫通孔を結ぶライン上に重なるか否かを判定し、重なる場合にはその位置で回転手段の回転動作を停止させるとともに光学測定装置に対して前記光学測定基準値を検出するように指示し、重ならない場合には回転手段の回転動作を継続するように制御することを特徴とする薄膜形成装置。
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