JP4806544B2 - マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機 - Google Patents

マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機 Download PDF

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本発明は、マグネット式のトルクリミッター付き遊星歯車型減速機に関するものであり、マグネット式トルクリミッターを多段式遊星歯車型減速機の入力軸に近い段の遊星歯車型減速機構部分に設けたものである。
DCモータの軸に遊星歯車型減速機を組み込んで大減速比の基で出力する減速機構が公知である。
DCモータはコイルに電流を印加することによって軸を回転せしめる構成であるため、軸側からの多大な負荷に対して弱い性質がある。即ち、軸に何らかの負荷がかかり、モータ軸の回転が止められた状態が続くと、上記コイルに印加される電流が高くなり、モータ内が高温となり、焼きつきを起こしたり、絶縁材料が溶け、ショートして接触不良を起こす等の問題がある。
また、大減速比の減速機構を設けた場合には、モータ軸の回転数に対して減速機構の出力軸の回転数が大幅に小さくなるので、回転トルクは逆に減速機の出力軸で極めて大きなものとなる。この状態で、減速機構の出力軸に多大な負荷がかかった場合には、減速機構内の歯車部分に大きな負荷がかかることになり、これが破損する事態となることもある。
上記問題を解決するために、DCモータの軸に遊星歯車型減速機を組み込んだものにおいて、これにトルクリミッターを介在せしめ、減速機の出力軸に所定以上の負荷がかかった場合にはその回転が伝達されない構造とすることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
一方、トルクリミッタとしては、Oリング等の摩擦部材の摩擦力によってトルク伝達・切断を行わせる摩擦式ものや、本件発明にあるような、永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置し、上記永久磁石が上記半硬質磁性体を磁化し、その磁気ヒステリシスループの面積に比例する回転力を伝達する構成のマグネット式トルクリミッタ等が利用されている(例えば特許文献2,3参照)。
摩擦式トルクリミッタは、人力軸側と出力軸側との間において、その作動時間の大半において回転力が伝達状態にあり、特に大きな負荷がかかった時にのみその回転が遮断されるような構成のものに利用される時に有利である。しかしながら、その作動時間の大半において回転が遮断状態にあり、ある特殊な場合においてのみその回転が伝達されるような場合には不利である。
たとえば、図5に示す、複写機などに使用されている紙送り装置70は、上ローラ72と下ローラ74が所定の隙間を存して対向配置され、上ローラ72は、ワンウエイクラッチ等の一方向にしか回転伝達しない機構を介してモータに連結されており、下ローラ74は、トルクリミッター付き減速機を介してモータに連結している。紙送り時、上ローラ72は、モータにより時計方向に駆動され、下ローラ74は、モータにより、時計方向に駆動される(図5A参照)。下ローラ74側の減速機のシャフト80と下ローラ74との間には、トルクリミッター(図示省略)が装備されており、このトルクリミッターのスリップトルクは、上ローラ72の回転トルクよりも小さく設定されている。
そのため、用紙76が1枚ずつローラ72,74間に送られてくると、上ローラ72の時計方向の回転トルクにより、ローラ72,74間の用紙76が上ローラ72との摩擦力により、図中、左搬送方向に送られ、下ローラ74は、トルクリミッターの働きにより、上ローラ72からの用紙76を介して伝達される回転トルクによって、反時計方向につれ回りする(図5B参照)。
用紙搬送中、誤って、用紙が2枚重なってローラ72,74に送られると、用紙76,78の互いに接する面の摩擦力が、用紙76,78とこれに接するローラ72,74との摩擦力より小さいため、下の用紙78は、上の用紙76に対して、滑りが発生し、用紙76,78を介して下ローラ74に伝達される上ローラ72側の時計方向の回転トルクが減少する。
この伝達回転トルクの減少によって、下ローラ74側のトルクリミッターのスリップ動作が解除され、下ローラ74にモータの駆動力が減速機のシャフト80を介して伝達され、下ローラ74は、シャフト80と連動して時計方向に回転し、これと接する下の用紙78を用紙搬送方向とは逆方向即ち図中、右方向に送り、用紙の複数同時搬送を防止する(図5C参照)。
このように、上記紙送り装置70に使用されるトルクリミッターは通常はスリップ状態にあり、特殊な場合にスリップが解除される構成となっている。このようなものに摩擦式のトルクリミッタを採用した場合においては、その作動時間の大半において摩擦部材は擦れた状態で入力軸側と出力軸側との間に介在することになり、摩耗が激しく耐久性の問題があり不利である。
これに対して、このようなものにマグネット式トルクリミッタを利用すれば、マグネット式トルクリミッタは永久磁石と半硬質磁性体とが非接触であるため、摩耗の問題はなく極めて有利である。
特開2003−130146号公報 特開平8−308209号公報 特開平7−14254号公報
遊星歯車型減速機構を複数段設けた場合においては、これにトルクリミッターを組み込む場合に、従来では、DCモータに遊星歯車型減速機構を連結し、その減速機構の最終段減速機構の出力軸にトルクリミッターを組み付ける構成が一般的である。しかしながら、この方法では次の欠点がある。即ち、モータ軸の回転数を減速する場合、その減速比が大きくなればなるほど、当然回転トルクは大きくなる。
即ち、減速機構の後段になれななるほど減速比が大きくなり、回転トルクは大きくなる。その減速機構の最終段減速機構の出力軸にトルクリミッターを組み付けた場合には、回転トルクが最も大きな部分で回転を伝達したり切断したりすることになる。
本件発明のようにトルクリミッタとしてマグネット式のものを利用する場合には、マグネット式トルクリミッタは永久磁石が半硬質磁性体を磁化し、その磁気ヒステリシスループの面積に比例する回転力を伝達する構成であるため、伝達・遮断する回転トルクが大きい場合には、磁気ヒステリシスループの面積を大きくする必要があり、その結果、トルクリミッタ一機構が大型とならざるを得ない。
また、減速機構の最終段減速機構の出力軸にトルクリミッターを組み付けた場合には、その最終段階における減速比は、設計によって種々異なるため、回転トルクも種々異なるものとなり、これに合わせて、トルクリミッタ一機構も種々設計したものを用意しなくてはならない。即ち、トルクリミッター機構の共通化ができないことになる。
本発明の第1の目的は、遊星歯車型減速機構を複数段設けた場合において、マグネット式トルクリミッター機構を遊星歯車型減速機構に内蔵せしめ、摩耗の問題を解消することである。
そして、第2の目的は、遊星歯車型減速機構を複数段設け、マグネット式トルクリミッター機構を遊星歯車型減速機構に内蔵せしめた構成において、小型化を実現することである。
そして、第3の目的は、トルクリミッタ一機構の共通化を図ることである。
そして、第4の目的は、回転部の軸ブレを少なくし、トルクの伝達・遮断を安定的に行わせることである。
上記目的を達成するため本発明は、入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、少なくとも1つの減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置したものである。
また本発明は、入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、最終段の減速機構より前の減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置したものである。
また本発明は、入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、DCモータの軸に最も近い減速機構を含む減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置したものである。
また本発明は、入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、最終段の減速機構より前の減速機構であって、且つDCモータの軸に最も近い減速機構を含む減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置したものである。
また本発明は、前記入力軸と出力軸とを前記キャリアの軸受け部で軸支したものである。
請求項1の発明においては、マグネット式トルクリミッタ機構を多段式遊星歯車型減速機構に内蔵せしめることで摩耗の問題を解消できる。
請求項2の発明においては、多段式遊星歯車型減速機構の最終段減速機構の出力軸にマグネット式トルクリミッターを組み付ける構成に比し、回転トルクが小さい位置においてトルクリミッター機能を発揮せしめることができるので、マグネット式トルクリミッター機構を小型に構成することができる。
請求項3,4の発明においては、多段式遊星歯車型減速機構において、その最終段階における減速比は、設計によって種々異なるため、回転トルクも種々異なるものとなるのであるが、DCモータの軸に最も近い減速機構を含む減速機構の構成要素である内歯車を利用してトルクリミッタ一機構を構成したので、遊星歯車型減速機構の段数に関係なく、回転を伝達したり切断したりする部分の回転トルクは一定となるため、マグネット式トルクリミッター機構は1種類でよく、マグネット式トルクリミッター機構の共通化を図ることができる。
請求頃5の発明においては、回転部の軸ブレを少なくし、トルクの伝達・遮断を安定的に行わせることができる。
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は2段減速機の1段目にマグネット式トルクリミッターを設けた実施形態を示し、図中、2は被減速装置であり、DCモータにより構成されている。前記被減速装置2のケースには、マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機4のカバー6が固定されている。前記被減速装置2の出力軸は、本減速機4の入力軸7を構成し、この入力軸7に太陽歯車8が固定されている。
10は、本減速機4の、円筒体からなるケースであり、これの内径部に軸受12が固定され、該軸受12に、前記入力軸7と同軸延長線上に位置して、出力軸14が回転自在に支承されている。前記ケース10には、軸穴を有する円盤状のカバー6が固定され、該カバー6とケース10は略筒型の固定部材11を構成している。
20は、リング状の半硬質磁性体であり、その外周面が前記ケース10の内周面に嵌合し、該ケース10に固定されている。22はリング状の永久磁石からなる内歯車であり、該内歯車22は、前記半硬質磁性体20の内周面に対して径方向に所定のわずかな隙間を持って対向配置され、内歯車22と半硬質磁性体20との間に内歯車22を固定部材11側に固定保持するヒステリシストルクが作用するように構成されているている。
26,28は弾性を備えたOリングからなる振れ止め部材であり、一方の振れ止め部材26は、前記内歯車22の軸方向側の一側面と前記ケース10の内径部に形成された係止面との間に配置され、他方の振れ止め部材28は、内歯車22の他側面と前記カバー6の係止面との間に配置され、該振れ止め部材26,28は、前記固定部材11側の定位置に前記内歯車22を保持している。前記振れ止め部材26,28は、シール材としての機能も備え、内歯車22の両側面とこれに対向する固定部材11側の壁面との間を密封し、半硬質磁性体20と永久磁石である内歯車22との対向面間の隙間にオイルや金属粉が侵入しないようにしている。
30は前記入力軸7と出力軸14に回転自在に支承された第1のキャリアであり、キャリアピン32に遊星歯車34が回転自在に支承されている。前記遊星歯車34の一方側は、前記内歯車22の内歯に噛み合い、他方側は、前記太陽歯車8と噛み合っている。
前記内歯車22は、出力軸14が止められる等、出力軸14側からこれに所定の大きさを超える負荷トルクが付与されると、前記内歯車22と半硬質磁性体20との間のヒステリシストルクからなる磁気保持力に抗して、ケース10に対して非接触状態でスリップ回転し、この負荷トルクが所定の値に達しない状態では、内歯車22は、ケース10に対して固定された非回転状態を保持するように構成されている。
前記キャリア30の盤状部に穿設された孔には管状のすべり軸受け31が固着され、該すべり軸受31は、前記入力軸7とこれと同軸線上に対向配置された出力軸14の小径部に回転自在に嵌合している。前記入力軸7と出力軸14の中心軸線は、ケース10の内周面の軸心と一致し、前記キャリア30は、該軸心を中心として回転可能に構成されている。前記すべり軸受31の外周面には一体的に太陽歯車44が構成されている。前記出力軸14には第2のキャリア36が固定され、そのキャリアピン38に遊星歯車40が回転自在に支承されている。
前記遊星歯車40の一方側は、前記ケース10の内径部に一体的に構成された内歯車42の内歯に噛み合い、他方側は、前記太陽歯車44と噛み合っている。内歯車42は、ケース10に対して別体に構成し、これをケース10に対して回転不能になるように固定する構成であっても良い。
上記した構成において、入力軸7が回転すると、太陽歯車8が同速で回転し、この回転は遊星歯車34に伝達される。遊星歯車34は、キャリアピン32を回転軸として自転するとともに、内歯車22が半硬質磁性体20との間のヒステリシストルクを介して固定部材11側に固定されているので、内歯車22に沿って且つ、ケース10の内周面の軸心を中心として、公転する。
遊星歯車34が公転することでキャリア30がケース10の内周面の軸心を中心として回転し、太陽歯車44が回転する。この太陽歯車44の回転により、遊星歯車40はキャリアピン38を回転軸として回転するとともに、内歯車42に沿って公転する。遊星歯車40が公転することで第2のキャリア36が回転し、出力軸14から所定の減速比で減速された出力が取り出される。
一方、何らかの原因で、出力軸14に所定以上の負荷即ちスリップトルク以上の負荷がかかると、この負荷により遊星歯車40の公転運動が阻止され、遊星歯車40と太陽歯車44を介して噛み合うキャリア30が停止し、キャリアピン32を支点として遊星歯車34の回転トルクが内歯車22に作用する。この遊星歯車34からの回転トルクにより、これと噛み合う内歯車22は半硬質磁性体20との間のヒステリシストルクに抗して、ケース10の内周面に沿って非接触状態でスリップ回転する。このスリップ回転中、内歯車22は、振れ止め部材26,28によって、軸方向の移動即ち左右の振れが阻止される。
この内歯車22の半硬質磁性体20に対する非接触状態でのスリップ回転により、DCモータには過負荷がかかることがない。出力軸14に外部から逆回転方向にスリップトルク以上の負荷がかかり、出力軸14が逆回転した場合も同様に、逆方向に公転するキャリアピン32を支点として遊星歯車34の回転トルクが内歯車22に作用し、この遊星歯車34からの回転トルクにより、内歯車22はヒステリシストルクに抗して、半硬質磁性体20に対して非接触状態でスリップ回転する。これにより、出力軸14が外部回転力により逆回転してもDCモータに過負荷がかかることがない。
前記遊星歯車34は、すべり軸受31によってケース10の軸心即ち入力軸7及び出力軸14の中心軸線に対して径方向に一定の間隔を存した位置にしっかりと支持される。そのため、遊星歯車34の回転により、これに噛み合う内歯車22が半硬質磁性体20に対して非接触状態でスリップ回転するとき、この回転の軌跡は、ケース10の軸心を中心とした真円となり、内歯車22の、半硬質磁性体20との対向面は、略一定の軌跡を形成する。これにより、内歯車22の、半硬質磁性体20の内周面との間隔が変化することがなく、従って、内歯車22の伝達トルクが常に一定となりバラツキが生じることがない。
上記実施形態において、内歯車22の軸方向の両側に振れ止め部材26,28を対向配置する構成に限定されるものではなく、一方の振れ止め部材28又は26のみでも良く、内歯車22の一側面を直接、該一側面に対面するケース10の内径部又はカバー6の、軸方向に垂直な平滑面に対接させる構成としても良い。また、内歯車22の両側面を直接これらの平滑面に対接させる構成としても良い。なお、本発明の実施に際しては、内歯車22を半硬質磁性体で構成し、半硬質磁性体20を永久磁石としても良い。また、本実施形態では、内歯車22の本体部分と歯の部分を一体的に構成しているが、半硬質磁性体または永久磁石からなる本体部分とは別体の部材により歯を構成しこれらを一体的に固着した構成としても良い。
次に本発明の他の実施の形態を図2を参照して説明する。
図2は2段減速機の1段目と2段目にマグネット式トルクリミッターを設けた実施形態を示し、図中、2は被減速装置でありこれのケースには、マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機4のカバー6が固定されている。前記被減速装置2の出力軸からなる入力軸7に太陽歯車8が固定されている。10は、本減速機4のケースであり、これの内径部に軸受12が固定され、該軸受12に、出力軸14が回転自在に支承されている。
前記ケース10には、カバー6が固定され、該カバー6とケース10は、固定部材11を構成している。20aは、筒状の半硬質磁性体であり、これの外周面が前記ケース10の内周面に嵌合し、該ケースに固定されている。22aはリング状の永久磁石からなる内歯車であり、該内歯車22aは、前記半硬質磁性体20の内周面に対して径方向に所定のわずかな隙間を持って配置され、内歯車22aと半硬質磁性体20aとの間にヒステリシストルクが作用するように構成されている。
26,28は弾性を備えたOリングからなる振れ止め部材であり、一方の振れ止め部材26は、前記内歯車22aの軸方向側の一側面と前記ケース10の内径部に形成された係止面との間に配置され、他方の振れ止め部材28は、内歯車22aの他側面と前記カバー6の係止面との間に配置され、該振れ止め部材26,28は、前記固定部材11側の定位置に前記内歯車22aを保持し、且つ、内歯車22aの両側面と固定部材11側との対向部を密封している。
30は前記入力軸7と出力軸14に回転自在に支承された第1のキャリアであり、キャリアピン32に遊星歯車34が回転自在に支承されている。前記遊星歯車34の一方側は、前記内歯車22aの内歯に噛み合い、他方側は、前記太陽歯車8と噛み合っている。前記内歯車22aは、出力軸14が止められる等、出力軸14側からこれに所定の大きさを超える負荷トルクが付与されると、前記内歯車22aと半硬質磁性体20aとの間のヒステリシストルクによる磁気保持力に抗して、ケース10に対して非接触状態でスリップ回転し、この負荷トルクが所定の値に達しない状態では、内歯車22aは、ケース10に対して、前記ヒステリシストルクにより、固定された非回転状態を保持するように構成されている。
前記キャリア30の盤状部に穿設された孔には管状のすべり軸受け31が固着され、該すべり軸受31は、前記入力軸7とこれと同軸線上に対向配置された出力軸14の小径部に回転自在に嵌合している。前記入力軸7と出力軸14の中心軸線は、ケース10の内周面の軸心と一致し、前記キャリア30は、該軸心を中心として回転可能に構成されている。前記すべり軸受31の外周面には一体的に太陽歯車44が構成されている。前記出力軸14には第2のキャリア36が固定され、キャリアピン38に遊星歯車40が回転自在に支承されている。前記遊星歯車40の一方側は、前記内歯車22aの内歯に噛み合い、他方側は、前記太陽歯車44と噛み合っている。
上記した構成において、入力軸7が回転すると、太陽歯車8が同速で回転し、この回転は遊星歯車34に伝達される。遊星歯車34は、キャリアピン32を回転軸として自転するとともに、内歯車22aが半硬質磁性体20aとの間のヒステリシストルクを介して固定部材11側に固定されているので、内歯車22aに沿って且つケース10の内周面の軸心を中心として、公転する。遊星歯車34が公転することでキャリア30がケース10の内周面の軸心を中心として回転し、太陽歯車44が回転する。この太陽歯車44の回転により、遊星歯車40はキャリアピン38を回転軸として回転するとともに、内歯車22aに沿って公転する。遊星歯車40が公転することで第2のキャリア36が回転し、出力軸14から所定の減速比で減速された出力が取り出される。
DCモータの駆動による入力軸7の回転中、出力軸14にかかる負荷に応じて内歯車22aには、キャリアピン32を支点とする遊星歯車34の回転トルクと、これと同じ回転方向の、キャリアピン38を支点とする遊星歯車40の回転トルクが作用する。出力軸14にかかる負荷が、所定の大きさを超えないうちは、内歯車22aは、遊星歯車34,40からの回転トルクによってスリップすることなく、内歯車22aと半硬質磁性体20aとの間に作用する磁気保持力によって、固定部材11に対して固定された状態を保持する。
一方、何らかの原因で、出力軸14が止められる等、出力軸14に所定以上の負荷即ちスリップトルク以上の負荷がかかると、この負荷により遊星歯車34,40の内歯車22aに対する回転トルクが増大し、この回転トルクにより、内歯車22aが半硬質磁性体20aとの間に作用するヒステリシストルクに抗して半硬質磁性体20に対して非接触状態でスリップ回転する。これにより出力軸14の回転が停止し、遊星歯車40の公転運動が阻止される。一方、太陽歯車8の回転は遊星歯車34に伝達され、遊星歯車34が回転する。
遊星歯車34が回転すると、遊星歯車34は、内歯車22aに対して公転運動し、この公転運動によって、第1のキャリア30が回転し、この回転が遊星歯車40に伝達され、遊星歯車40が第2のキャリア36のキャリアピン38を中心として回転する。この遊星歯車40の回転力と他方の遊星歯車34の回転力との総合回転力により、内歯車22aは半硬質磁性体20aとの間のヒステリシストルクに抗してケース10の内周面に沿って非接触状態でスリップ回転しこのスリップ回転を出力軸14にかかる負荷がスリップトルク以下になるまで続ける。
この内歯車22aの固定部材11に対する非接触状態でのスリップ回転中、遊星歯車34は、キャリアピン32を中心として自転しながら内歯車22aのスリップ回転に対して逆方向に、該内歯車22aに対して公転運動をする。上記内歯車22aのスリップ回転により、DCモータに過負荷がかかるのを防止することができる。尚、内歯車22aの非接触状態でスリップ回転中、太陽歯車8と連動して高速で回転する遊星歯車34の内歯車22aに対する相対回転運動は、該遊星歯車34の、内歯車22aの固定部材11に対するスリップ回転運動とは逆方向の公転運動によって減速される。
その結果、後段の減速された遊星歯車40の内歯車22aに対する相対回転運動と、遊星歯車34の内歯車22aに対する相対回転運動は同速となり、2個の遊星歯車40,34の回転によって、内歯車22aが固定部材11に対して非接触状態でスリップ回転する。前記遊星歯車34は、すべり軸受31によってケース10の軸心即ち入力軸7及び出力軸14の中心軸線に対して径方向に一定の間隔を存した位置にしっかりと支持される。
そのため、遊星歯車40と遊星歯車34の回転により、これに噛み合う内歯車22aがスリップ回転するとき、この回転の軌跡は、ケース10の軸心を中心とした真円となり、内歯車22aの、半硬質磁性体20との対向面は、略一定の軌跡を形成する。これにより、内歯車22aの、半硬質磁性体20aの内周面との間隔が変化することがなく、従って、内歯車22aの伝達トルクが常に一定となりバラツキが生じることがない。
また、前記内歯車22aの半硬質磁性体20aの内周面に沿った非接触状態でのスリップ回転中、内歯車22はその両側面が振れ止め部材26,28によって軸方向の移動が規制され、横ぶれが阻止される。出力軸14に逆回転方向にスリップトルク以上の負荷がかかり、出力軸14が逆転した場合も同様に、逆方向に公転するキャリアピン38,32を支点として、遊星歯車40,34の回転トルクが内歯車22aに作用し、これら遊星歯車40,34からの回転トルクにより内歯車22aは、半硬質磁性体20aとの間に作用するヒステリシストルクに抗してスリップ回転する。これにより、出力軸14が外部回転力により逆回転してもDCモータに過負荷がかかることがない。
本実施形態でも、上記実施形態と同様に、内歯車22aの軸方向の両側に振れ止め部材26,28を対向配置する構成に限定されるものではなく、一方の振れ止め部材28又は26のみでも良く、内歯車22aの一側面を直接、該一側面に対面するケース10の内径部又はカバー6の、軸方向に垂直な平滑面を有する係止面に対接させる構成としても良い。また、内歯車22aの両側面を直接固定部材11側の壁面に回転自在に対接させても良い。
なお、本発明の実施に際しては、内歯車22aを半硬質磁性体で構成し、半硬質磁性体20aを永久磁石としても良い。また、本実施形態では、内歯車22aはその本体部分と歯の部分を一体的に構成しているが、図3に示すように、永久磁石または半硬質磁性体からなる内歯車22aの本体部分22a’と金属材料等からなる歯の部分22a’’を別の部材により構成し、これらを一体的に固着しても良い。
次に本発明の他の実施の形態を図4を参照して説明する。
図4は4段減速機の1段目と2段目にマグネット式トルクリミッターを設けた実施形態を示し、図中、2は被減速装置(DCモータ)でありこれのケースには、マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機4のカバー6が固定されている。前記被減速装置2の出力軸からなる入力軸7に太陽歯車8が固定されている。10は、本減速機4のケースであり、これの内径部に軸受12が固定され、該軸受12に、出力軸14が回転自在に支承されている。
前記ケース10には、カバー6が固定され、該カバー6とケース10は、固定部材11を構成している。20bは筒状の半硬質磁性体であり、これの外周面が前記ケース10の内周面に嵌合し、ケース10に固定されている。
22bは筒状の永久磁石からなる内歯車であり、該内歯車22bの外周面は、前記半硬質磁性体20bに対して径方向に所定のわずかな隙間を持って配置されている。
26,28は弾性を備えたOリングからなる振れ止め部材であり、一方の振れ止め部材26は、前記内歯車22bの軸方向側の一側面と前記ケース10の内径部に形成された係止面52との間に配置され、他方の振れ止め部材28は、内歯車22bの他側面と前記カバー6の係止面との間に配置され、該振れ止め部材26,28は、前記固定部材11側の定位置に前記内歯車22bを保持している。30は前記入力軸7と出力軸14に回転自在に支承された第1のキャリアであり、キャリアピン32に遊星歯車34が回転自在に支承されている。
前記遊星歯車34の一方側は、前記内歯車22bの内歯に噛み合い、他方側は、前記太陽歯車8と噛み合っている。出力軸14が止められ、あるいは、外部回転力により、逆回転する等、出力軸14側から前記内歯車22bに、これに所定の大きさを超える負荷トルクが付与されると、前記内歯車22bと半硬質磁性体20bとの間に作用するヒステリシストルクに抗して、内歯車22bは、ケース10に対して非接触状態でスリップ回転し、この負荷トルクが所定の値に達しない状態では、内歯車22bは、前記ヒステリシストルクによる磁気保持力で、ケース10に対して固定された非回転状態を保持するように構成されている。
前記キャリア30の盤状部に穿設された孔には管状のすべり軸受け31が固着され、該すべり軸受31は、前記入力軸7とこれと同軸線上に対向配置された出力軸14の小径部に回転自在に嵌合している。前記入力軸7と出力軸14の中心軸線は、ケース10の内周面の軸心と一致し、前記キャリア30は、該軸心を中心として回転可能に構成されている。前記すべり軸受31の外周面には一体的に太陽歯車44が構成されている。前記出力軸14には第2のキャリア54と、第3のキャリア56がそれぞれすべり軸受55,57を介して回転自在に支承され、該出力軸14には、第4のキャリア36が固定されている。前記キャリア54のキャリアピン58には、遊星歯車60が回転自在に支承されている。遊星歯車60の一方は、前記内歯車22bに噛み合い、他方は、前記キャリア30の管状部に固着された太陽歯車44に噛み合っている。
前記キャリア56のキャリアピン61には、遊星歯車62が回転自在に支承されている。遊星歯車62の一方は、前記ケース10の内径部に一体的に形成されたリング状の内歯車64に噛み合い、他方は、キャリア54に固着されたすべり軸受55に形成された太陽歯車66に噛み合っている。前記キャリア36のキャリアピン38には遊星歯車40が回転自在に支承されている。前記遊星歯車40の一方側は、内歯車64の内歯に噛み合い、他方側は、キャリア56に固着されたすべり軸受け57に形成された太陽歯車68と噛み合っている。内歯車64は、ケース10に対して別体に構成し、これをケース10に対して回転不能になるように固定する構成であっても良い。
上記した構成において、入力軸7が回転すると、太陽歯車8が同速で回転し、この回転は遊星歯車34に伝達される。遊星歯車34は、キャリアピン32を回転軸として自転するとともに、内歯車22bに沿って公転する。遊星歯車34が公転することでキャリア30が回転し、太陽歯車44が回転する。この太陽歯車44の回転により、遊星歯車60はキャリアピン58を回転軸として回転するとともに、内歯車22bに沿って公転する。遊星歯車60が公転することで第2のキャリア54が回転し太陽歯車66が回転する。
この太陽歯車66の回転により、遊星歯車62がキャリアピン61を回転軸として自転するとともに内歯車64に沿って公転する。遊星歯車62が公転することで、キャリア56が回転し、太陽歯車68が回転する。この太陽歯車68の回転により、遊星歯車40は、キャリアピン38を回転軸として回転するとともに、内歯車64に沿って公転する。遊星歯車40が公転することで第4のキャリア36が回転し、出力軸14から所定の減速比で減速された出力が取り出される。
一方、何らかの原因で、出力軸14が止められる等、出力軸14に所定以上の負荷即ちスリップトルク以上の負荷がかかると、この負荷により遊星歯車34,60の内歯車22bに対する回転トルクが増大し、この回転トルクにより、内歯車22bが半硬質磁性体20bとの間に作用するヒステリシストルクに抗して半硬質磁性体20bに対して非接触状態でスリップ回転する。これにより出力軸14の回転が停止し、遊星歯車62,40の公転運動が阻止される。一方、太陽歯車8の回転は遊星歯車34に伝達され、遊星歯車34が回転する。
遊星歯車34が回転すると、遊星歯車34は、内歯車22bに対して公転運動し、この公転運動によって、第1のキャリア30が回転し、この回転が遊星歯車60に伝達され、遊星歯車60が第2のキャリア54のキャリアピン58を中心として回転する。この遊星歯車60の回転力と他方の遊星歯車34の回転力との総合回転力により、内歯車22bは半硬質磁性体20bとの間のヒステリシストルクに抗して半硬質磁性体20bの内周面に沿って非接触状態でスリップ回転しこのスリップ回転を出力軸14にかかる負荷がスリップトルク以下になるまで続ける。
この内歯車22bの固定部材11に対する非接触状態でのスリップ回転中、遊星歯車34は、キャリアピン32を中心として自転しながら内歯車22bのスリップ回転に対して逆方向に、該内歯車22bに対して公転運動をする。上記内歯車22bの非接触状態でのスリップ回転により、DCモータに過負荷がかかるのを防止することができる。尚、内歯車22bのスリップ回転中、太陽歯車8と連動して高速で回転する遊星歯車34の内歯車22bに対する相対回転運動は、該遊星歯車34の、内歯車22bの半硬質磁性体20bに対する非接触状態でのスリップ回転運動とは逆方向の公転運動によって減速される。
その結果、後段の減速された遊星歯車60の内歯車22bに対する相対回転運動と、遊星歯車34の内歯車22bに対する相対回転運動は同速となり、2個の遊星歯車60,34の回転によって、内歯車22bが固定部材11に対してスリップ回転する。前記遊星歯車34,60は、すべり軸受31,55によってケース10の軸心即ち入力軸7及び出力軸14の中心軸線に対して径方向に一定の間隔を存した位置にしっかりと支持される。
そのため、遊星歯車40と遊星歯車34の回転により、これに噛み合う内歯車22bがスリップ回転するとき、この回転の軌跡は、ケース10の軸心を中心とした真円となり、内歯車22bの、半硬質磁性体20bとの対向面は、略一定の軌跡を形成する。これにより、内歯車22bの、半硬質磁性体20bの内周面との間隔が変化することがなく、従って、内歯車22bの伝達トルクが常に一定となりバラツキが生じることがない。また、前記内歯車22bの半硬質磁性体20bの内周面に沿った非接触状態でのスリップ回転中、内歯車22bはその両側面が振れ止め部材26,28によって軸方向の移動が規制され、横ぶれが阻止される。
出力軸14に逆回転方向にスリップトルク以上の負荷がかかり、出力軸14が逆転した場合も同様に、逆方向に公転するキャリアピン58,32を支点として、遊星歯車60,34の回転トルクが内歯車22bに作用し、これら遊星歯車60,34からの回転トルクにより内歯車22bは、半硬質磁性体20bとの間に作用するヒステリシストルクに抗してスリップ回転する。これにより、出力軸14が外部回転力により逆回転してもDCモータに過負荷がかかることがない。
本実施形態でも、上記実施形態と同様に、内歯車22bの軸方向の両側に振れ止め部材26,28を対向配置する構成に限定されるものではなく、一方の振れ止め部材28又は26のみでも良く、内歯車22bの一側面を直接、該一側面に対面するケース10の内径部又はカバー6の、軸方向に垂直な平滑面を有する係止面に対接させる構成としても良い。また、内歯車22bの両側面を直接固定部材11側の壁面に回転自在に対接させても良い。
なお、本発明の実施に際しては、内歯車22bを半硬質磁性体で構成し、半硬質磁性体20bを永久磁石としても良い。また、本実施形態では、内歯車22bはその本体部分と歯の部分を一体的に構成しているが、内歯車22bの本体部分と歯の部分を別の部材により構成しても良い。尚、上記実施形態中、遊星歯車型減速機の1段目若しくは2段目の内歯車にマグネット式トルクリミッター機構を構成したのは、できるだけ入力側に近い部分においてトルクリミッター効果を得た方が有利であり、小型化が可能だからである。即ち入力側はトルクが小さいため、マグネット式トルクリミッタ一機構を小型化できる。
図1及び図2に示す実施形態では、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車22,22aに噛み合う遊星歯車34を軸支するキャリア30を入力軸7と出力軸14の両軸に回転自在に軸受け支持し、図4に示す実施形態では、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車に噛み合う遊星歯車を軸支するキャリアを出力軸に回転自在に軸受け支持しているが、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車に噛み合う遊星歯車を軸支するキャリアを入力軸に回転自在に軸受け支持した構成としてもよい。
入力軸7と出力軸14とを同軸上に対向配置し、該入力軸7と出力軸14とを連結部材により軸受支持し、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車に噛み合う遊星歯車を軸支するキャリアを、入力軸に回転自在に軸受支持する構成では、入力軸は固定部材側(ケース10に対して一体的なカバー6)に対して軸受支持されているのであって、その入力軸にキャリアを軸受支持することによって、キャリアは固定部材側に対して偏芯回転せず、従って、そのキャリアのキャリアピンに軸支された遊星歯車の公転は固定部材側に対して偏芯回転しない。即ち、この遊星歯車に噛み合う内歯車も固定部材側に対して偏芯回転しないので、内歯車と固定部材側即ち半硬質磁性体との間におけるスリップ回転中の間隔は一定に保持され、製品によるバラツキがなく、安定的なものとなる。
また、入力軸と出力軸とを同軸上に対向配置し、該入力軸と出力軸とを連結部材により軸受支持し、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車に噛み合う遊星歯車を軸支するキャリアを、当該連結部材と−体的とし、これによって、上記キャリアを、上記入力軸及び出力軸に回転自在に軸受支持する構成では、入力軸と出力軸とは、軸受部材によって偏芯なく軸受支持されており、その入力軸と出力軸とにキャリアが支持されているため、キャリアは固定部材側に対して偏芯回転せず、従って、そのキャリアのキャリアピンに軸支された遊星歯車の公転は固定部材側に対して偏芯回転しない。即ち、この遊星歯車に噛み合う内歯車も固定部材側に対して偏芯回転しないので、内歯車と固定部材側即ち半硬質磁性体との間におけるスリップ回転中の間隔は一定に保持され、製品によるバラツキがなく、安定的なものとなる。
入力軸と出力軸とを同軸上に対向配置し、該入力軸と出力軸とを連結部材により軸受支持し、マグネット式トルクリミッターを構成する内歯車に噛み合う遊星歯車を軸支するキャリアを、上記出力軸に回転自在に軸受支持する構成では、入力軸と出力軸とは、軸受部材によって偏芯なく軸受支持されており、即ち、出力軸は入力軸に対して偏芯回転しない。そして、その出力軸にキャリアが支持されているため、キャリアは固定部材側に対して偏芯回転せず、従って、そのキャリアのキャリアピンに軸支された遊星歯車の公転は固定部材側に対して偏芯回転しない。即ち、この遊星歯車に噛み合う内歯車も固定部材側に対して偏芯回転しないので、内歯車と半硬質磁性体との間におけるスリップ回転中の間隔は、一定に保持され、製品によるバラツキがなく、安定的なものとなる。
本発明に係るマグネット式トルクリミッター付遊星歯車型減速機の断面図である。 本発明に係るマグネット式トルクリミッター付遊星歯車型減速機の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るマグネット式トルクリミッター付遊星歯車型減速機の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るマグネット式トルクリミッター付遊星歯車型減速機の他の実施形態を示す断面図である。 従来技術の説明図である。
符号の説明
2 被減速装置(DCモータ)
4 減速機
6 カバー
8 太陽歯車
10 ケース
11 固定部材
12 軸受
14 出力軸
20 半硬質磁性体
20a 半硬質磁性体
20b 半硬質磁性体
22 内歯車
22a 内歯車
22b 内歯車
26 振れ止め部材
28 振れ止め部材
30 キャリア
31 すべり軸受
32 キャリアピン
34 遊星歯車
36 キャリア
38 キャリアピン
40 遊星歯車
42 内歯車
44 太陽歯車
52 係止面
54 キャリア
55 すべり軸受
56 キャリア
57 すべり軸受
58 キャリアピン
60 遊星歯車
61 キャリアピン
62 遊星歯車
64 内歯車
66 太陽歯車
70 紙送り装置
72 ローラ
74 ローラ
76 用紙
78 用紙
80 シャフト

Claims (3)

  1. 入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、最終段の減速機構より前の減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置した構成とし、前記最終段の減速機構より前の減速機の構成要素である内歯車を前記固定部材に回転自在に支承し、該内歯車に対して該内歯車の軸方向の移動を規制する振れ止め機構を設け、前記振れ止め機構は、前記回転自在な内歯車の両側面と、該両側面に対向する前記固定部材の壁面との間に弾性を有する0リングを配置した構成とし、前記0リングが、前記固定部材側の定位置に前記内歯車を保持するとともに、前記内歯車の両側面とこれに対向する前記固定部材側の壁面との間を密封したことを特徴とするマグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機。
  2. 入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、前記複数段の減速機構のうち、最終段の減速機構より前の減速機構であって、且つDCモータの軸に最も近い減速機構を含む減速機構の構成要素である内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置した構成とし、前記DCモータの軸に最も近い減速機構を含む減速機構の構成要素である内歯車を前記固定部材に回転自在に支承し、該内歯車に対して該内歯車の軸方向の移動を規制する振れ止め機構を設け、前記振れ止め機構は、前記回転自在な内歯車の両側面と、該両側面に対向する前記固定部材の壁面との間に弾性を有する0リングを配置した構成とし、前記0リングが、前記固定部材側の定位置に前記内歯車を保持するとともに、前記内歯車の両側面とこれに対向する前記固定部材側の壁面との間を密封したことを特徴とするマグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機。
  3. 前記入力軸と出力軸とを前記キャリアの軸受け部で軸支したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機。
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