JP2013249931A - 減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置 - Google Patents

減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 減速比を大きくできるとともに、小型化が可能な減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 ハウジング2に固定された外リング22に、回転軸3に対して偏心させられた偏心リング23が内接して回転することにより、両者間にトルクが伝達される。内接位置において、偏心リング23に形成された環状凹所27と外リング22の内周縁部とが所定の接触角で噛み合うようになされている。偏心軸部21は、外周面31bが傾斜した円筒面とされて回転軸3に固定された固定リング部31と、内周面32aが傾斜した円筒面とされて固定リング部31の外周側に嵌められた可動リング部32とからなる。可動リング部32は、固定リング部31の外周面31bに沿って外リング22と偏心リング23とが内接する位置に近づく方向に移動するように、環状の板ばね25によって付勢されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置に関し、より詳しくは、減速比が大きく自動車用の電動パーキングブレーキ装置において好適に使用される減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置に関する。
自動車用のパーキングブレーキは、従来、手動であったが、電気自動車用や高級車用に、電動化が進んでいる(特許文献1)。
現在量産されている電動パーキングブレーキ装置としては、電動モータと、減速機と、スプリングクラッチと、台形ねじを使用した送りねじ機構とを備え、電動モータ回転を直動に変換してブレーキワイヤを引っ張るものが知られている。
特開2006−315468号公報
従来の電動パーキングブレーキ装置で使用されている減速機は、2段の歯車で減速するものであり、サイズが大きくなって、小型車への搭載が困難であるという問題があった。
この発明の目的は、減速比が大きくかつ小型化が可能な減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置を提供することにある。
この発明による減速機は、ハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に配された回転軸と、前記回転軸と一体に回転しかつ前記回転軸の軸心から偏心した軸心を有する偏心軸部と、前記ハウジングに固定された外リングと、前記偏心軸部と同心で相対回転可能に前記偏心軸部と前記外リングとの間に配された偏心リングとを備え、前記外リングに前記偏心リングが内接して回転することにより、両者間にトルクが伝達される減速機であって、前記偏心リングの外周面に環状凹所が形成されて、前記環状凹所に前記外リングの内周縁部が嵌められるとともに、前記外リングと前記偏心リングとが内接する位置において、前記環状凹所と前記外リングの前記内周縁部とが所定の接触角で噛み合うようになされており、前記偏心軸部は、外周面が傾斜した円筒面とされて前記回転軸に固定された固定リング部と、内周面が傾斜した円筒面とされて前記固定リング部の外周側に嵌められた可動リング部とを有し、前記可動リング部は、前記固定リング部の前記外周面に沿って前記外リングと前記偏心リングとが内接する位置に近づく方向に移動するように、付勢部材によって付勢されていることを特徴とするものである。
回転軸を回転させると、これに伴って偏心軸部が一体で回転する。この偏心軸部の回転により、偏心軸部と同心の偏心リングが回転軸に対して偏心して回転する。偏心リングが外リングに内接していることで、偏心リングは、偏心リングと外リングとの圧接位置(付与された接触角で噛み合っている点)が偏心軸の回転に追随するように(ただし、偏心リングが偏心軸部と一体で回転することが外リングによって規制された状態で)、外リングに対して移動する(内接トラクション機構)。外リングにおける噛み合い点を通る円の周長と偏心リングにおける噛み合い点を通る円の周長とは、大きさが相違しているので、1回転すると、偏心リングは、外リングに対して噛み合い点を通る円の周長の相違分に対応する角度分だけ位相がずれる。この位相のずれは、偏心リングが外リングに対して逆方向に相違分だけ移動することを意味し、回転軸の回転が減速して偏心リングに伝達される。
外リングにおける噛み合い点を通る円の周長L1と偏心リングにおける噛み合い点を通る円の周長L2とは、L1>L2の関係があるので、1回転すると、位相のずれは、偏心リングの回転方向と逆向きに所定角度回転した位置となる。所定角度/360°が減速比となり、L1、L2の値を適宜変更することで減速比を所望の値に設定することができる。
こうして、回転軸の回転を外リングと偏心リングとの内接トラクション機構によって減速することができる。内接歯車機構による減速では、歯の強度確保のために歯の大きさに下限値があるので、減速比を大きくするのに限界があるが、この内接トラクション機構では、このような限界がないので、非常に大きい減速比(例えば300)を得ることができる。しかも、減速比を大きくするために、2段で減速する必要がないので、小型化することもできる。なお、この内接トラクション機構は、外リングと偏心リングとの間(接触箇所が1カ所)の摩擦力によってトルクを伝達するもので、複数の遊星ローラを使用する(接触箇所が複数カ所)の遊星内接トラクション機構とは相違している。
外リングと偏心リングとの内接歯車機構は、内接歯車機構による減速に比べると、外リングと偏心リングとの間に作用するラジアル荷重が大きくなるという問題がある。この問題を解消するために、外リングと偏心リングとが内接している部分に接触角が設置される。すなわち、外リングと偏心リングとが内接する位置において、偏心リングに設けられた環状凹所と外リングの内周縁部とが所定の接触角で噛み合うようになされる。これにより、外リングと偏心リングとの間に作用するラジアル荷重を1/10程度に減少することができる。ラジアル荷重は、転がり軸受によって支持されることが好ましく、ラジアル荷重が減少していることで、転がり軸受の寿命の低下が防止される。
外リングと偏心リングとの内接トラクション機構においては、外リングから偏心リングに偏心リングを径方向内方に押す力が作用する。この力によって、偏心リングが径方向内方に移動するとトラクション機能が低下する。そこで、偏心軸部は、外周面が傾斜した円筒面とされて回転軸に固定された固定リング部と、内周面が傾斜した円筒面とされて固定リング部の外周側に嵌められた可動リング部とを有し、可動リング部は、固定リング部の外周面に沿って外リングと偏心リングとが内接する位置に近づく方向に移動するように、付勢部材によって付勢されているようになされる。
このようにすると、偏心軸部が付勢部材によって常時外リングと偏心リングとが内接する位置に近づく方向に付勢されることになり、外リングと偏心リングとの間に所要の圧接力が維持され、トラクション機能が低下することがない。
この発明による電動パーキングブレーキ装置は、電動モータと、減速機と、一端側がパーキングブレーキに接続されたブレーキワイヤの他端側を巻き取るワイヤ巻取り部材と、前記電動モータの駆動力を前記ワイヤ巻取り部材に伝達し、前記電動モータが停止した際に前記ワイヤ巻取り部材が逆方向に移動することを防止する逆入力遮断クラッチとを備えた電動パーキングブレーキ装置であって、前記減速機が、上記(内接トラクション機構)の減速機とされていることを特徴とするものである。
逆入力遮断クラッチは、回転力を入力側(減速機側)から出力側(ワイヤ巻取り部材側)に伝達可能で出力側から入力側には伝達不能な逆入力遮断機能を有するクラッチをいう。
この発明の電動パーキングブレーキ装置によると、上記の内接トラクション機構の減速機を使用することで、減速比を大きくすることができ、また、小型化することができる。
前記逆入力遮断クラッチは、前記ハウジングに一体の内輪と、外輪としての前記ワイヤ巻取り部材と、前記偏心リングに一体の保持器と、前記保持器に設けられた複数のポケットに保持された複数のころとを備えていることが好ましい。
このようにすると、逆入力遮断クラッチの保持器と偏心リングとを1つの部材とでき、部品数を低減することができ、また、電動パーキングブレーキ装置を小型化することができる。
また、前記逆入力遮断クラッチの前記ころの数が4つとされており、前記逆入力遮断クラッチは、前記偏心軸部の1回転につき、動力伝達可能状態と動力伝達不可能状態とがそれぞれ4回ずつ繰り返すようになされていることが好ましい。
このようにすると、保持器を偏心リングに一体化したことで偏心して回転する保持器と内輪とが干渉しやすくなるという問題が解消される。
この発明の減速機によると、外リングに偏心リングが内接して回転する内接トラクション機構が使用されていることで、減速比を大きくすることができ、小型化することもできる。
また、この発明の電動パーキングブレーキ装置によると、内接トラクション機構が使用された減速機を備えていることで、減速比を大きくすることができ、小型化することもできる。
図1は、この発明の減速機およびこれを備えた電動パーキングブレーキ装置の1実施形態を示す縦断面図である。 図2は、図1のワイヤ巻取り部材の横断面図であり、(a)は、ブレーキ解除状態を、(b)は、ブレーキ作動状態をそれぞれ示している。 図3は、図1の逆入力遮断クラッチを示す横断面図である。 図4は、偏心軸部の回転角度と逆入力遮断クラッチにおける保持器ところの隙間との関係を示すグラフ図である。 図5は、この発明の減速機の内接トラクション機構の要部を模式的に示す図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。 図6は、偏心リングと外リングとの相対回転の様子を示す図である。 図7は、この発明の内接トラクション機構に対応する比較例としての内接歯車減速機構を模式的に示す図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。 図8は、この発明の内接トラクション機構に対応する比較例としての内接トラクション機構を模式的に示す図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。 図9は、この発明の内接トラクション機構に対応する比較例としての内接トラクション機構の他の例を模式的に示す図であり、(a)は横断面図であり、(b)は縦断面図である。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、図1の左右を左右というものとし、図1の上下を上下というものとする。
図1から図6までは、この発明による減速機(5)とこれを使用する1例としての自動車用電動パーキングブレーキ装置(1)とを示している。
電動パーキングブレーキ装置(1)は、図1に示すように、ハウジング(2)と、回転軸(3)と、電動モータ(4)と、減速機(5)と、逆入力遮断クラッチ(6)と、ワイヤ巻取り部材(7)とを備えている。
ワイヤ巻取り部材(7)は、図2に示すように、略環状に形成されて、回転可能とされている。ワイヤ巻取り部材(7)には、ブレーキワイヤ(8)の端部が嵌め入れられて保持されるワイヤ保持部(7a)が設けられている。ブレーキワイヤ(8)は他端側がパーキングブレーキ(図示略)に接続されており、ワイヤ巻取り部材(7)を回転させることで、ブレーキワイヤ(8)を巻き取ることができる。ワイヤ巻取り部材(7)は、電動モータ(4)が駆動されていない状態では、図2(a)に示すように、ブレーキワイヤ(8)の張力が0となっており、電動モータ(4)が駆動されることで、図2(b)に示すように、ブレーキワイヤ(8)に所定の大きさの張力が付与されるようになされている。
従来のエンジン自動車では、手動または足踏みでブレーキワイヤ(8)を引っ張るようにしていた。この電動パーキングブレーキ装置(1)は、ワイヤ巻取り部材(7)を電動モータ(4)を使用して回転させることでブレーキワイヤ(8)を引っ張る構成とされている。したがって、エンジンを使用しない電気自動車用等に適している。
回転軸(3)は電動モータ(4)によって駆動されるが、電動モータ(4)の故障時に、手で回転させることができるように、回転軸(3)に四角柱状の係合凹部(3a)が形成されており、四角柱状の係合凸部(9a)が設けられたハンドル(9)を回すことで、回転軸(3)を回転させることができるようになっている。
ブレーキワイヤ(8)を引っ張る量は、20mm程度でよく、このためには、減速比の大きな減速機(5)が必要とされる。また、電動モータ(4)が駆動されることで、ブレーキワイヤ(8)に所定の大きさの張力が付与された後、電動モータ(4)が停止した際、ブレーキ作動状態が維持される必要があり、逆入力遮断クラッチ(6)がこの機能を果たすようになっている。
ハウジング(2)は、左側の開口が左壁(11a)で閉鎖された円筒状の左側ハウジング部(11)と、右側の開口が右壁(12a)で閉鎖された円筒状の右側ハウジング部(12)とが突き合わされて、ボルト(13)で結合されることで形成されている。
回転軸(3)は、左壁(11a)の右面と右壁(12a)の左面との間に配置されている。回転軸(3)の軸心は、ハウジング(2)の中心と一致している。回転軸(3)の軸方向中央部には、フランジ部(3b)が設けられている。回転軸(3)は、左端部を支持する左側の転がり軸受(14)と、右端部を支持する右側の転がり軸受(15)と、フランジ部(3b)を支持する中央の転がり軸受(16)とによって、回転可能にハウジング(2)に支持されている。左側ハウジング部(11)の左壁(11a)には、左側の転がり軸受(14)を保持するための円筒状右方突出部(11b)が設けられている。右側ハウジング部(12)の右壁(12a)には、右側の転がり軸受(15)を保持するための円筒状左方突出部(12b)が設けられている。中央の転がり軸受(16)とハウジング(2)との間には、中央の転がり軸受(16)を保持するための環状の保持板(17)が固定されている。
回転軸(3)の左部には、電動モータ(4)のロータ(4a)が固定されており、左側ハウジング部(11)に、電動モータ(4)のステータ(4b)がロータ(4a)に対向するように固定されている。
減速機(5)は、回転軸(3)と一体で回転する偏心軸部(21)と、ハウジング(2)に固定された外リング(22)と、外リング(22)の内周側に配された偏心リング(23)と、偏心軸部(21)と偏心リング(23)との間に配置された転がり軸受(24)と、偏心軸部(21)の右面に配置された環状の板ばね(付勢部材)(25)とを備えている。
偏心軸部(21)は、回転軸(3)に圧入固定された固定リング部(31)と、固定リング部(31)に対して移動可能な可動リング部(32)とからなる。
固定リング部(31)の内周面(31a)は、回転軸(3)の軸心と同心の円筒面とされている。固定リング部(31)の外周面(31b)は、軸心が回転軸(3)の軸心に対して傾斜した円筒面とされている。固定リング部(31)の左右側面は、回転軸(3)の軸心に対して直交する面とされている。
可動リング部(32)の内周面(32a)は、固定リング部(31)の外周面(31b)に対応して、軸線方向が回転軸(3)の軸心に対して傾斜した円筒面とされている。可動リング部(32)の外周面(32b)は、円筒面とされている。可動リング部(32)の左右側面は、回転軸(3)の軸心に対して直交する面とされている。転がり軸受(24)の内周面は、可動リング部(32)の外周面(32b)で受けられている。可動リング部(32)の外周面(32b)の軸心は、回転軸(3)の軸心に対し上方に偏心させられている。これにより、偏心リング(23)および転がり軸受(24)の各軸心も回転軸(3)の軸心に対し上方に偏心させられている。
外リング(22)は、左側ハウジング部(11)と右側ハウジング部(12)との突き合わせ部分に挟まれており、左側ハウジング部(11)と右側ハウジング部(12)とがボルト(13)で結合されることで、左側ハウジング部(11)と右側ハウジング部(12)との間に固定されている。外リング(22)は、回転軸(3)と同心に配置されている。
偏心リング(23)は、転がり軸受(24)の右部で受けられた右側リング(23a)と、転がり軸受(24)の左部で受けられた左側リング(23b)とが皿ねじ(28)で結合されることによって形成されている。偏心リング(23)の外周面には、断面が台形状の環状凹所(27)が形成されている。
偏心リング(23)の環状凹所(27)に外リング(22)の内周縁部が嵌め入れられている。外リング(22)が偏心しておらず、偏心リング(23)が偏心していることで、図1の上側では、外リング(22)と偏心リング(23)とが噛み合った状態となっており、図1の下側では、外リング(22)と偏心リング(23)とは、嵌め合わされていても、噛み合ってはいない状態となっている。こうして、外リング(22)と偏心リング(23)とは、外リング(22)に偏心リング(23)が内接して回転することにより両者間にトルクが伝達される内接トラクション機構を構成している。外リング(22)と偏心リング(23)との噛み合いは、接触角αで噛み合うようになされている。
板ばね(25)は、可動リング部(32)の上側部分を略左方に付勢するように設けられている。これにより、可動リング部(32)は、回転軸(3)の軸心に対して上方、すなわち、偏心リング(23)を外リング(22)に噛み合う方向に移動させるように付勢されている。板ばね(25)は、板ばね(25)と右側の転がり軸受(15)とに挟まれるように配置されて、回転軸(3)に設けられたおねじ部にねじ合わされているナット(26)によって位置決めされている。
逆入力遮断クラッチ(6)は、図3に詳しく示すように、内輪(12b)と、外輪この実施形態ではワイヤ巻取り部材(7)と、内輪(12b)外周面とワイヤ巻取り部材(7)の内周面との間に配置された保持器(41)と、周方向に所要の間隔で保持器(41)に設けられた複数のポケット(41a)内に配置された複数のころ(42)とを備えている。
内輪(12b)としては、右側ハウジング部(12)の右壁(12a)に設けられた円筒状左方突出部(12b)が使用されており、内輪(12b)は、常に固定状態にある。
ワイヤ巻取り部材(7)には、ころ(42)の一部が嵌め入れられている円弧状凹所(43)が設けられている。円弧状凹所(43)は、これに嵌め入れられているころ(42)の一部に比べて大きくなされており、ころ(42)は、円弧状凹所(43)に規制されている範囲内で、転がり運動することが可能となっている。
保持器(41)は、偏心リング(23)に一体に形成されている。内輪(12b)およびワイヤ巻取り部材(7)は、回転軸(3)と同心であり、保持器(41)は、偏心リング(23)に一体に形成されていることにより、内輪(12b)およびワイヤ巻取り部材(7)に対し、図3の上方に偏心している。
保持器(41)が偏心していることで、保持器(41)ところ(42)とが干渉する可能性がある。この干渉を避けるために、従来の逆入力遮断クラッチでは、ころの数が6つのものが一般的であるのに対し、この実施形態で使用されている逆入力遮断クラッチ(6)では、ポケット(41a)およびころ(42)の数は、4つとされている。
また、保持器(41)が偏心していることで、保持器(41)と内輪(12b)およびワイヤ巻取り部材(7)との間の隙間が場所によって変動している。保持器(41)と内輪(12b)との隙間は、図3の上側において相対的に大きく、図3の下側において相対的に小さく、保持器(41)とワイヤ巻取り部材(7)との間の隙間は、逆に、図3の上側において相対的に小さく、図3の下側において相対的に大きくなっている。
偏心軸部(21)の回転に伴って、保持器(41)ところ(42)との隙間が変化する。この際、保持器(41)が偏心していることで、偏心軸部(21)の回転に伴う保持器(41)ところ(42)との隙間(全てのころの合計)の変動量は、図4に示すものとなる。図4によると、隙間が大きい状態では動力が伝達できないロック時であるので、偏心軸部(21)の1回転で隙間が所定値よりも小さくなる4回について動力が伝達されるようになっており、それ以外は動力が伝達されない。
電動モータ(4)が正方向に回転駆動されると、回転軸(3)が正方向(図2(a)における反時計回り)に回転し、これに伴い偏心リング(22)も回転する。逆入力遮断クラッチ(6)は、偏心リング(22)に一体の保持器(41)が正方向に回転することで、ワイヤ巻取り部材(7)を正方向に回転させる。これによりブレーキワイヤ(8)が引っ張られて、パーキングブレーキが制動状態となる。この状態において、ワイヤ巻取り部材(7)を逆方向に回転させようとすると、ワイヤ巻取り部材(7)と内輪(12b)との間にころ(42)が噛み込み、ワイヤ巻取り部材(7)の逆方向の回転が阻止される。こうして、制動状態とした後に、電動モータ(4)を停止しても、制動状態が維持される。
電動モータ(4)が逆方向に回転駆動されると、回転軸(3)が逆方向(図2(b)における時計回り)に回転し、これに伴い偏心リング(22)も回転する。逆入力遮断クラッチ(6)は、偏心リング(22)に一体の保持器(41)が逆方向に回転することで、ワイヤ巻取り部材(7)を逆方向に回転させる。これによりブレーキワイヤ(8)が緩められて、パーキングブレーキが解除状態となる。
図5に図1の内接トラクション機構を模式的に示す。同図において、回転軸(3)、偏心軸部(21)、外リング(22)、環状凹所(27)が形成された偏心リング(23)、板ばね(25)およびばね押さえ(26)が簡略化されて示されている。
図1において、回転軸(3)が電動モータ(4)によって回転させられると、これに伴って、偏心軸部(21)、転がり軸受(24)および偏心リング(23)が回転する。偏心リング(23)は、外リング(22)に対してその噛み合い点を変更しながら回転する。これにより、外リング(22)と偏心リング(23)との間でトルクが伝達される。外リング(22)と偏心リング(23)とは、内接トラクション機構を構成している。
内接トラクション機構においては、回転軸(3)が回転すると、偏心軸部(21)が回転し、これに伴って、偏心リング(23)が回転する。そして、偏心軸部(21)が30°、60°、90°と回転するに連れて、偏心リング(23)と外リング(22)との噛み合い点が30°、60°、90°と移動していく。
この際、偏心リング(23)は、偏心軸部(21)と一体で回転するのではなく、噛み合い点の移動角度に対応する外リング(22)の内周面に沿った周方向長さと同じ周方向長さという条件で移動していく。すなわち、図6(a)に示す90°回転した状態において、回転軸(3)の軸心をC1、偏心軸部(21)の軸心をC2として、偏心リング(23)と外リング(22)との噛み合い点は、点Qにあり、外リング(22)における移動距離は、aとなっている。これに対応する偏心リング(23)の移動距離は、bであり、移動距離が同じ(滑りが0)とすると、点Qからb=aだけ偏心リング(23)に沿って反時計方向に戻った点Tが0°時において外リング(22)の基準点Vに接していた点となる。図6(b)に示す180°回転した状態においても同様であり、噛み合い点Qから外リング(22)に沿った移動距離と、噛み合い点Qから偏心リング(23)に沿った移動距離とが同じという条件で、偏心リング(23)の基準点Tが移動していく。
この後、360°回転した状態では、偏心軸部(21)は、1回転して元の位置に戻る。これにより、噛み合い点Qは、外リング(22)の基準点Vに重なる。そして、偏心リング(23)の基準点Tは、点Vから反時計方向に位相がずれた位置にある。外リング(22)の噛み合い点Qを通る円の周長をL1、偏心リング(23)の噛み合い点Qを通る円の周長をL2(L1>L2)とすると、偏心リング(23)は、外リング(22)に対して周長の相違分に対応する所定角度分だけ位相がずれる。(L1−L2)/L1=所定角度/360°が減速比となり、L1、L2の値を適宜変更することで減速比を所望の値に設定することができる。
ここで、図6に示したのと同様の原理で減速比を大きくすることができる機構として、内接歯車機構がある。これを図7に示す。内接歯車機構では、偏心した外歯歯車(61)が内歯歯車(62)に対してその噛み合い点を変更しながら回転することで、所要の減速比が得られる。内接歯車機構による減速は、遊星歯車装置を使用した減速機構に比べると、減速比が大きくできるという利点がある。しかしながら、より大きい減速比を得るためには、歯の大きさを小さくすることが必要になってくるので、例えば減速比を300まで大きくすることはできないという問題がある。
そこで、歯車間の噛み合いではなく、図8に示す内接トラクション機構とすることが考えられる。図8において、偏心リング(63)が外リング(64)に対してその接触位置を変更しながら回転することで、所要の減速比が得られる。ここで、内接トラクション機構では、通常、偏心リング(63)と外リング(64)とは、焼ばめすなわちマイナス隙間とされ、両者間に作用するラジアル荷重が大きくなる(例えば内接歯車機構の17.3倍程度)。このようなラジアル荷重が作用すると、転がり軸受の負担が大きく耐久性が問題となる。
そこで、図9に示すように接触角αが与えられることが好ましい。接触角αが設定されることで、ラジアル荷重を内接歯車機構の1.5倍程度にまで小さくできる。
図5に示す内接トラクション機構では、図9の構成を使用することで、ラジアル荷重が内接歯車減速機の1.5倍程度を維持し、さらに、板ばね(25)を使用してトラクションの維持が図られている。図5において、偏心リング(23)は、板ばね(25)によって図の左方に付勢されている。そして、偏心軸部(21)の外周面および偏心リング(23)の内周面がいずれも軸心が回転軸(3)の軸心に対して傾斜した円筒面とされていることにより、板ばね(25)によって付勢された偏心リング(23)は、外リング(22)と偏心リング(23)とが内接する位置(噛み合い点)に移動し、内接位置において、外リング(22)と偏心リング(23)とが常時噛み合うことが保証される。
図5において、符号αを付している法線方向(外リング(22)と偏心リング(23)との間に作用している力の方向)が回転軸(3)の軸心となす角度は、小さい方が好ましく、5〜10°程度が好ましい。このようにするためには、環状凹所(27)の両側面は、底面に比べて開口が大きくなるように、回転軸(3)の軸心に直交する面に対して5〜10°傾斜するように形成される。また、外リング(22)の内周縁部は、断面が台形状とされて、偏心リング(23)の環状凹所(27)に嵌め入れられる。環状凹所(27)の底面と外リング(22)の内周縁部との間には、隙間が確保される。外リング(22)の内周縁部の両側面は、回転軸(3)の軸心に直交する面に対して5〜10°またはこれより若干大きい角度傾斜するように形成される。環状凹所(27)の両側面および外リング(22)の内周縁部の両側面は、いずれも左右対称に形成される。これにより、スラスト荷重がキャンセルされるので、スラスト軸受を使用する必要がない。
こうして、図5に示す内接トラクション機構では、大きな減速比が得られ、この内接トラクション機構を使用した図1に示す電動パーキングブレーキ装置(1)では、大きな減速比でパーキングブレーキのブレーキワイヤ(8)を引っ張ることができる。
スプリングクラッチと台形ねじを使用した送りねじ機構とを使用して、電動モータ回転を直動に変換してブレーキワイヤを引っ張るものでは、ロック時に、スプリングクラッチが滑って、ねじが回るときの音が耳障りであるという問題がある。これに対し、上記実施形態によると、内接トラクション機構ところ(42)を使用する逆入力遮断クラッチ(6)とが使用されていることで、このような音の問題も解消される。
上記において、偏心軸部(21)は、固定リング部(31)および可動リング部(32)の2部材からなるものとされているが、固定リング部(31)を回転軸に一体化するようにしてもよい。この場合、可動リング部(32)は、固定リング部(31)に嵌め合わせやすくするために、2つ割り形状とされることが好ましい。また、図5に模式的に示したように、偏心軸部(21)と偏心リング(23)とを傾斜した円筒面を介して嵌め合わせ、転がり軸受(24)を省略するようにしてもよい。
なお、上記において、減速機(10)以外の電動パーキングブレーキ装置(1)の構成として、ブレーキワイヤ(8)だけを示しているが、図示した以外の電動パーキングブレーキ装置(1)の構成として、適宜公知のものを使用することができる。また、減速機(10)の使用用途は、電動パーキングブレーキ装置(1)に限られるものではない。
(1):電動パーキングブレーキ装置、(2):ハウジング、(3):回転軸、(4):電動モータ、(5):減速機、(6):逆入力遮断クラッチ、(7):ワイヤ巻取り部材、(8):ブレーキワイヤ、(12b):左方突出部(内輪)、(21):偏心軸部、(22):外リング、(23):偏心リング、(25):板ばね(付勢部材)、(27)環状凹所、(31):固定リング部、(31b):外周面、(32):可動リング部、(32a):内周面、(41):保持器、(41a):ポケット、(42):ころ

Claims (4)

  1. ハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に配された回転軸と、前記回転軸と一体に回転しかつ前記回転軸の軸心から偏心した軸心を有する偏心軸部と、前記ハウジングに固定された外リングと、前記偏心軸部と同心で相対回転可能に前記偏心軸部と前記外リングとの間に配された偏心リングとを備え、前記外リングに前記偏心リングが内接して回転することにより、両者間にトルクが伝達される減速機であって、
    前記偏心リングの外周面に環状凹所が形成されて、前記環状凹所に前記外リングの内周縁部が嵌められるとともに、前記外リングと前記偏心リングとが内接する位置において、前記環状凹所と前記外リングの前記内周縁部とが所定の接触角で噛み合うようになされており、
    前記偏心軸部は、外周面が傾斜した円筒面とされて前記回転軸に固定された固定リング部と、内周面が傾斜した円筒面とされて前記固定リング部の外周側に嵌められた可動リング部とを有し、
    前記可動リング部は、前記固定リング部の前記外周面に沿って前記外リングと前記偏心リングとが内接する位置に近づく方向に移動するように、付勢部材によって付勢されていることを特徴とする減速機。
  2. 電動モータと、減速機と、一端側がパーキングブレーキに接続されたブレーキワイヤの他端側を巻き取るワイヤ巻取り部材と、前記電動モータの駆動力を前記ワイヤ巻取り部材に伝達し、前記電動モータが停止した際に前記ワイヤ巻取り部材が逆方向に移動することを防止する逆入力遮断クラッチとを備えた電動パーキングブレーキ装置であって、
    前記減速機が、請求項1の減速機とされていることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
  3. 前記逆入力遮断クラッチは、前記ハウジングに一体の内輪と、外輪としての前記ワイヤ巻取り部材と、前記偏心リングに一体の保持器と、前記保持器に設けられた複数のポケットに保持された複数のころとを備えていることを特徴とする請求項2の電動パーキングブレーキ装置。
  4. 前記逆入力遮断クラッチの前記ころの数が4つとされており、前記逆入力遮断クラッチは、前記偏心軸部の1回転につき、動力伝達可能状態と動力伝達不可能状態とがそれぞれ4回ずつ繰り返すようになされていることを特徴とする請求項3の電動パーキングブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107725646A (zh) * 2017-09-11 2018-02-23 浙江零跑科技有限公司 一种新能源车用齿轮式制动执行装置
US10253834B2 (en) 2016-05-09 2019-04-09 Hyundai Motor Company Electromechanical brake capable of detecting change in motor characteristics

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