JP2011141035A - マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力軸7と出力軸14との間に、複数段の遊星歯車型減速機構と、マグネット式トルクリミッターとが構成されている。第1段目の減速機構は、入力軸7に相当するモータの回転軸に連結する太陽歯車8、遊星歯車34、キャリア30を設けた構成とし、第2段目の減速機構は直前の段の減速機構のキャリア30に連結する太陽歯車44、遊星歯車40、キャリア36を設けた構成とし、最終段の減速機構と前の減速機構とは共通の内歯車22aを有する。マグネット式トルクリミッターは、共通の内歯車22aに永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、固定部材11に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体20とを対向配置している。
【選択図】 図1
Description
DCモータはコイルに電流を印加することによって軸を回転せしめる構成であるため、軸側からの多大な負荷に対して弱い性質がある。即ち、軸に何らかの負荷がかかり、モータ軸の回転が止められた状態が続くと、上記コイルに印加される電流が高くなり、モータ内が高温となり、焼きつきを起こしたり、絶縁材料が溶け、ショートして接触不良を起こす等の問題がある。
上記問題を解決するために、DCモータの軸に遊星歯車型減速機を組み込んだものにおいて、これにトルクリミッターを介在せしめ、減速機の出力軸に所定以上の負荷がかかった場合にはその回転が伝達されない構造とすることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
一方、トルクリミッタとしては、Oリング等の摩擦部材の摩擦力によってトルク伝達・切断を行わせる摩擦式ものや、本件発明にあるような、永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置し、上記永久磁石が上記半硬質磁性体を磁化し、その磁気ヒステリシスループの面積に比例する回転力を伝達する構成のマグネット式トルクリミッタ等が利用されている(例えば特許文献2,3参照)。
摩擦式トルクリミッタは、人力軸側と出力軸側との間において、その作動時間の大半において回転力が伝達状態にあり、特に大きな負荷がかかった時にのみその回転が遮断されるような構成のものに利用される時に有利である。しかしながら、その作動時間の大半において回転が遮断状態にあり、ある特殊な場合においてのみその回転が伝達されるような場合には不利である。
たとえば、図3に示す、複写機などに使用されている紙送り装置70は、上ローラ72と下ローラ74が所定の隙間を存して対向配置され、上ローラ72は、ワンウエイクラッチ等の一方向にしか回転伝達しない機構を介してモータに連結されており、下ローラ74は、トルクリミッター付き減速機を介してモータに連結している。紙送り時、上ローラ72は、モータにより時計方向に駆動され、下ローラ74は、モータにより、時計方向に駆動される(図3A参照)。下ローラ74側の減速機のシャフト80と下ローラ74との間には、トルクリミッター(図示省略)が装備されており、このトルクリミッターのスリップトルクは、上ローラ72の回転トルクよりも小さく設定されている。
そのため、用紙76が1枚ずつローラ72,74間に送られてくると、上ローラ72の時計方向の回転トルクにより、ローラ72,74間の用紙76が上ローラ72との摩擦力により、図中、左搬送方向に送られ、下ローラ74は、トルクリミッターの働きにより、上ローラ72からの用紙76を介して伝達される回転トルクによって、反時計方向につれ回りする(図3B参照)。
用紙搬送中、誤って、用紙が2枚重なってローラ72,74に送られると、用紙76,78の互いに接する面の摩擦力が、用紙76,78とこれに接するローラ72,74との摩擦力より小さいため、下の用紙78は、上の用紙76に対して、滑りが発生し、用紙76,78を介して下ローラ74に伝達される上ローラ72側の時計方向の回転トルクが減少する。
この伝達回転トルクの減少によって、下ローラ74側のトルクリミッターのスリップ動作が解除され、下ローラ74にモータの駆動力が減速機のシャフト80を介して伝達され、下ローラ74は、シャフト80と連動して時計方向に回転し、これと接する下の用紙78を用紙搬送方向とは逆方向即ち図中、右方向に送り、用紙の複数同時搬送を防止する(図3C参照)。
このように、上記紙送り装置70に使用されるトルクリミッターは通常はスリップ状態にあり、特殊な場合にスリップが解除される構成となっている。このようなものに摩擦式のトルクリミッタを採用した場合においては、その作動時間の大半において摩擦部材は擦れた状態で入力軸側と出力軸側との間に介在することになり、摩耗が激しく耐久性の問題があり不利である。
これに対して、このようなものにマグネット式トルクリミッタを利用すれば、マグネット式トルクリミッタは永久磁石と半硬質磁性体とが非接触であるため、摩耗の問題はなく極めて有利である。
本発明は上記問題点を解決することを目的とする。
また、内歯車は一体であるため、ケースの形状を単純化でき、コストダウンが図れる。
図1は、2段減速機構の1段目と2段目にマグネット式トルクリミッターを設けた実施形態を示し、図中、2は被減速装置でありこれのケースには、マグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機4のカバー6が固定されている。前記被減速装置2の出力軸からなる入力軸7に太陽歯車8が固定されている。10は、本減速機4のケースであり、これの内径部に軸受12が固定され、該軸受12に、出力軸14が回転自在に支承されている。
4 減速機
6 カバー
8 太陽歯車
10 ケース
11 固定部材
12 軸受
14 出力軸
20a 半硬質磁性体
22a 内歯車
26 振れ止め部材
28 振れ止め部材
30 キャリア
31 すべり軸受
32 キャリアピン
34 遊星歯車
36 キャリア
38 キャリアピン
40 遊星歯車
44 太陽歯車
70 紙送り装置
72 ローラ
74 ローラ
76 用紙
78 用紙
80 シャフト
Claims (1)
- 入力軸を支承する固定部材と、前記固定部材に支承された出力軸と、太陽歯車と該太陽歯車に噛合する遊星歯車と該遊星歯車に噛合する内歯車と前記遊星歯車を軸支するキャリアとを備え前記入力軸と出力軸との間に構成された遊星歯車型減速機構と、前記入力軸と出力軸との間に構成されたマグネット式トルクリミッターとを備え、前記遊星歯車型減速機構を複数段設け、最終段の減速機構を含む少なくとも2段の減速機構の構成要素である内歯車を少なくとも2段の遊星歯車型減速機構にまたがった一体構成とし、第1段目の減速機構は、入力軸に相当するモータの回転軸に太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、第2段目以後の減速機構は直前の段の減速機構のキャリアに太陽歯車を設け、該太陽歯車に遊星歯車を噛合せしめ、該遊星歯車に内歯車を噛合せしめ、前記遊星歯車を軸支するキャリアを設けた構成とし、前記マグネット式トルクリミッターは、最終段の減速機構を含む少なくとも2段の減速機構の構成要素である前記内歯車に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか一方を設け、前記固定部材に永久磁石若しくは半硬質磁性体のいずれか他方を設け、該永久磁石と半硬質磁性体とを対向配置した構成としたことを特徴とするマグネット式トルクリミッター付き遊星歯車型減速機。
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