JP2016040476A - ピンを利用するフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定のハウジング1の内部に、共通の回転軸を備えた入力軸2と出力軸3とを設置し、入力軸2には、複数の穴部21Hを有する円板部材21を固着するとともに、出力軸3には、穴部21Hと係合するピン6Pを形成した作動子6を偏心して嵌め込む。入力軸2の回転時には、円板部材21、作動子6及び出力軸3がロック状態となって、入力軸2の回転が出力軸3に伝達される。逆に出力軸3が回転したときは、出力軸3の偏心輪3Eにより作動子6の中心が円周上を移動(公転)するが、作動子6は自転せず、円板部材21には回転トルクが作用しない。つまり、出力軸3が回転しても入力軸2が回転することはなく、動力伝達は遮断される。
【選択図】図1
Description
図6(a)に示すとおり、円筒形のハウジングHGの内部には、間隙をおいて円筒形の出力部材OMが回転可能に配置され、出力部材OMには出力軸が固着される。入力軸には、断面円形の上下部分を切除して長軸部と短軸部とを形成した入力部材IMが固着されるとともに、出力部材OMと入力部材IMとの間に2分割された中間部材MMが配置されている。2個の中間部材MMは、互いに接近するようその間に引張りばねTSが設けてあり、また、中間部材MMの周縁部には、楔形凹所に挿入されたローラROが、出力部材OMの内面と対向するように設けられている。
一方、出力軸側から駆動されて出力部材OMが回転したとしても、図6(c)に示すように、2個の中間部材MMは、引張りばねTSにより接近した位置のままであって、ローラROと出力部材OMの内面との間には間隙が存在する。そのため、出力部材OMの回転は入力部材IMに伝達されず、出力軸は単に空転することとなる。
まず、図6の双方向クラッチでは、入力軸から出力軸への動力伝達は、ローラROの噛み込みにより行われ、ローラROと出力部材OMの内面との間の摩擦によって入力トルクが出力側に伝達される。ローラROの接触面の摩擦力が失われるとトルク伝達が不可能となるため、双方向クラッチの伝達トルクは、摩擦力による制限を受ける。
本発明は、確実な動力伝達及び遮断が可能であり、しかも、こうした問題を解決できる簡易な構造のフリータイプ双方向クラッチを構成することを課題とする。
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記ハウジングの内部には、前記入力軸に固着された円板部材と、前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられており、
前記円板部材には周方向に複数の穴部が形成され、さらに、前記作動子には、それぞれの前記穴部の周壁に接するよう軸方向に延びる複数のピンが形成されるとともに、断面円形の中央穴部が形成され、
前記中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心輪が嵌まり込んでいる」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
これに対し、出力軸が回転すると、出力軸の偏心輪に嵌め込まれた作動子は、その中心が共通の回転軸の周りの円周上を移動するが、作動子には軸方向に延びる複数のピンが設けられ、そのピンは、入力軸の円板部材に形成された穴部の周壁にそれぞれ接している。これにより、作動子は、自転を起こすことなく共通の回転軸の周りを公転し、その際、基本的には入力軸の円板部材に回転トルクを作用させることはない。ここで、部品間の摩擦等によって回転トルクが円板部材に作用したとしても、本発明のフリータイプ双方向クラッチには、円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられていて回転が阻止される。つまり、出力軸が回転しても作動子がハウジング内で公転するだけであって、出力軸は空転し、回転が入力軸に伝達されない。
上述のとおり、サイクロ減速機の出力取出し機構でも本発明と類似するピンとピン穴の組み合わせが用いられている。しかし、サイクロ減速機はあくまでも減速機であって、本発明のような、出力軸を空転させて動力伝達を遮断するフリータイプ双方向クラッチとは異なるものである。
この構造としたときは、制動輪は、入力軸の円板部材に対して分離され、作動子のピンを介して相互に連携することとなり、制動輪と円板部材とは円周方向に僅かに回転することができる。そのため、円板部材の穴部と作動子のピンとの相対的な位置ずれを補正することが可能である。例えば、入力軸から出力軸を回転させた後に回転を停止したとき、部品同士の微小な寸法誤差等に起因し、円板部材の穴部と作動子のピンとの相対的な位置ずれを起こすことがあり、この状態で出力軸側から駆動すると、作動子の公転運動が妨げられる。それに対し、請求項2の発明によれば、制動輪によって相対的な位置ずれが補正され、作動子の円滑な公転運動が確保されて入力軸への回転伝達は遮断される。
第1実施例のフリータイプ双方向クラッチでは、断面A−Aに示すとおり、制動輪4が円板部材21と軸方向に隣接して入力軸2の軸部に嵌め込まれ、制動輪4には、円板部材21の穴部21Hに連続する、やはり断面円形の5個の延長穴部4Hが設けられている。制動輪4は、その外径が円板部材21よりも少し小さく、制動輪4を取り巻くように、ハウジング1の内周壁との間には、ばね鋼からなる細長い板状のばね5が設置される(図4も参照)。ばね5は、制動輪4と複数の個所で接触し、その回転に対し拘束力を与えるばねとして機能する。
図2(a)の中央の縦断面図の矢印に示すように、入力軸2が、例えば、駆動源のモーターにより反時計方向(軸方向の左方から見て)に回転すると、入力軸2と一体に形成された円板部材21が同方向に回転し、その穴部21Hと作動子6のピン6Pとの接点を介して、作動子6に回転軸oの周りの反時計方向の回転トルクを付与する。つまり、入力軸2の回転により、作動子6と円板部材21が一体となりロックされた状態で、図2(a)の各矢印に示すとおり、回転軸oの周りを回転する。作動子6の回転は、偏心輪3Eで結合された出力軸3を回転させることとなり、結局、入力軸2、作動子6及び出力軸3が一体となって、出力軸3に連なる機械装置、例えば、カーテンの巻き上げ機構に駆動力が伝達される。
作動子6等の入出力軸間の部材が全体的にロックされるこの駆動力の伝達は、入力軸2の回転方向が逆であっても同じである。なお、円板部材21と一体で回転する制動輪4には、ばね5による制動トルクが加わるが、入力軸2の回転トルクは制動トルクより十分に大きく、出力軸3は、制動トルクに打ち勝つ形で回転する。
また、第1実施例では、作動子6の端部に、複数のピン6Pが突出する円板面を設け、この円板面を入力軸2の円板部材21の端面に当接している。作動子6は、スラスト方向に軸受される形となるため、その軸の傾きや搖動が防止され、フリータイプ双方向クラッチとしての効率的な作動が可能となる。
こうした作動は、図1の第1実施例のフリータイプ双方向クラッチと同様であるが、穴部21H´と作動子6のピン6P´とは、直角をなす頂部が嵌り合って接触するので、入力軸2から出力軸3を駆動するときの伝達トルクを増大することができる。
2 入力軸
21 円板部材
21H、21H´ 穴部
3 出力軸
3E 偏心輪
4 制動輪
4H、4H´ 延長穴部
5 ばね
6 作動子
6P、6P´ ピン
Claims (5)
- 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記ハウジングの内部には、前記入力軸に固着された円板部材と、前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられており、
前記円板部材には周方向に複数の穴部が形成され、さらに、前記作動子には、それぞれの前記穴部の周壁に接するよう軸方向に延びる複数のピンが形成されるとともに、断面円形の中央穴部が形成され、
前記中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心輪が嵌まり込んでいることを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。 - 前記入力軸には、前記円板部材と軸方向に隣接して制動輪が嵌め込まれており、
前記制動輪には、前記円板部材の複数の穴部に連続する延長穴部が設けられて、前記延長穴部の周壁に前記作動子に形成されたピンの延長部が接するように構成され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与する前記ばねが、前記制動輪と前記ハウジングとの間隙に配置されている請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。 - 前記円板部材の穴部の断面及び前記作動子に形成されたピンの断面が円形である請求項1又は請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記円板部材の穴部の断面及び前記作動子に形成されたピンの断面が正方形である請求項1又は請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記作動子の端部には、複数の前記ピンが突出して形成された円板面が設けられ、前記円板面が前記円板部材の端面に当接する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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