JP2016040476A - ピンを利用するフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】入出力軸間の動力伝達の向きにより伝達状態を変更するフリータイプ双方向クラッチにおいて、簡易な構造で伝達トルクの増大や応答性の向上を図る。
【解決手段】固定のハウジング1の内部に、共通の回転軸を備えた入力軸2と出力軸3とを設置し、入力軸2には、複数の穴部21Hを有する円板部材21を固着するとともに、出力軸3には、穴部21Hと係合するピン6Pを形成した作動子6を偏心して嵌め込む。入力軸2の回転時には、円板部材21、作動子6及び出力軸3がロック状態となって、入力軸2の回転が出力軸3に伝達される。逆に出力軸3が回転したときは、出力軸3の偏心輪3Eにより作動子6の中心が円周上を移動(公転)するが、作動子6は自転せず、円板部材21には回転トルクが作用しない。つまり、出力軸3が回転しても入力軸2が回転することはなく、動力伝達は遮断される。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で双方向クラッチと呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向回転及び逆方向回転をともに出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、電動カーテンや電動スライドドア等を手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用することができる。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとカーテンの巻き上げ機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸に巻き上げ機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとカーテンの開閉が可能であるとともに、駆動モーターを停止させた状態で、手動による巻き上げ機構の操作が可能であって、このときには、双方向クラッチにより出力軸が空転するので、駆動モーターに悪影響を及ぼすことがない。こうした機能は、電磁クラッチを断続することによっても達成できるが、電磁クラッチを作動させるには電力を必要とし、電力制御のための複雑な制御装置等も必要となる。
フリータイプ双方向クラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第4949196号に記載された双方向クラッチが知られており、これについて、図6により説明する。図6(a)は、フリータイプ双方向クラッチの全体的な構造を示す断面図、図6(b)(c)は、その作動を示す作動図である。
図6(a)に示すとおり、円筒形のハウジングHGの内部には、間隙をおいて円筒形の出力部材OMが回転可能に配置され、出力部材OMには出力軸が固着される。入力軸には、断面円形の上下部分を切除して長軸部と短軸部とを形成した入力部材IMが固着されるとともに、出力部材OMと入力部材IMとの間に2分割された中間部材MMが配置されている。2個の中間部材MMは、互いに接近するようその間に引張りばねTSが設けてあり、また、中間部材MMの周縁部には、楔形凹所に挿入されたローラROが、出力部材OMの内面と対向するように設けられている。
入力軸の回転に伴って、図6(b)に示すように、入力部材IMが時計方向に回転すると、長軸部と短軸部とを形成した入力部材IMは、カムのように作用して2個の中間部材MMを分離する方向に移動させる。これにより、ローラROが楔形凹所と出力部材OMの内面との間に噛み込まれた状態となり、入力部材IMの回転が、中間部材MM及びローラROを介して出力部材OMに伝達される。入力部材IMの反時計方向の回転も、同様に出力部材OMから出力軸に伝達される。
一方、出力軸側から駆動されて出力部材OMが回転したとしても、図6(c)に示すように、2個の中間部材MMは、引張りばねTSにより接近した位置のままであって、ローラROと出力部材OMの内面との間には間隙が存在する。そのため、出力部材OMの回転は入力部材IMに伝達されず、出力軸は単に空転することとなる。
フリータイプ双方向クラッチは、手動操作ができる電動カーテン以外にも、例えば、複写機の紙送り用ローラに適用することも可能で、これに適用すると、紙詰まりの用紙を取り除くときに、ローラを手動で逆回転させることができる。そして、フリータイプ双方向クラッチを利用すると、動力伝達状態の自動的な制御が可能となって、電磁クラッチにより制御する場合のような、電力等の使用が不必要となるとともに、出力軸側から不測の逆入力があった場合に、駆動源のモーター等を保護することも可能となる。
特許第4949196号公報
上述のとおり、図6のフリータイプ双方向クラッチは、コンパクトであって確実に動力伝達を制御可能な機械部品であるけれども、以下に述べるように、用途によっては未だ改良すべき余地が残されている。
まず、図6の双方向クラッチでは、入力軸から出力軸への動力伝達は、ローラROの噛み込みにより行われ、ローラROと出力部材OMの内面との間の摩擦によって入力トルクが出力側に伝達される。ローラROの接触面の摩擦力が失われるとトルク伝達が不可能となるため、双方向クラッチの伝達トルクは、摩擦力による制限を受ける。
また、入力軸の回転を出力軸に伝達するには、図6(b)に示すように、入力部材IMが少し回転して2個の中間部材MMを押し広げ、ローラROを出力部材OMの内面に当接する必要がある。入力部材IMの回転が直ちに出力部材OMの回転となるわけではなく、入力部材IMと出力部材OMとの間にはいわば不感帯が存在するとともに、部材の当接に伴って騒音が発生する。さらに、入力部材IMの駆動トルクを解除すると、引張りばねTSと中間部材MMにより入力部材IMが少し押し戻されて逆回転するため、入力部材IMの駆動トルクを解除する毎に、いわば0点復帰のための位置補償が必要となる。こうしたことから、図6のようなフリータイプ双方向クラッチを介在させて正確な位置制御を行う場合、制御系の構造が複雑化する。
本発明は、確実な動力伝達及び遮断が可能であり、しかも、こうした問題を解決できる簡易な構造のフリータイプ双方向クラッチを構成することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は、複数のピンを形成した作動子と、そのピンが接する穴部を形成した円板部材とを組み合わせて、入力軸の回転時には入力軸と作動子等をロック状態とし、さらに、出力軸の回転時には作動子の公転運動を許容するようにして、簡易なフリータイプ双方向クラッチを構成するものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記ハウジングの内部には、前記入力軸に固着された円板部材と、前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられており、
前記円板部材には周方向に複数の穴部が形成され、さらに、前記作動子には、それぞれの前記穴部の周壁に接するよう軸方向に延びる複数のピンが形成されるとともに、断面円形の中央穴部が形成され、
前記中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心輪が嵌まり込んでいる」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
請求項2に記載のように、「前記入力軸には、前記円板部材と軸方向に隣接して制動輪が嵌め込まれており、前記制動輪には、前記円板部材の複数の穴部に連続する延長穴部が設けられて、前記延長穴部の周壁に前記作動子に形成されたピンの延長部が接するように構成され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与する前記ばねが、前記制動輪と前記ハウジングとの間隙に配置されている」構造とすることが好ましい。
請求項3に記載のように、前記円板部材の穴部の断面及び前記作動子に形成されたピンの断面を円形とすることができる。また、請求項4に記載のように、正方形とすることもできる。
請求項5に記載のように、前記作動子の端部に、複数の前記ピンが突出して形成された円板面を設け、前記円板面を前記円板部材の端面に当接することが好ましい。
本発明のフリータイプ双方向クラッチは、回転不能のハウジング内に、共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を設置し、また、共通の回転軸の周りを公転する作動子を設置するものである。入力軸には、周方向に複数の穴部が形成された円板部材を固着するとともに、作動子には、軸方向に延びる複数のピンを設けて、そのピンが円板部材のそれぞれの穴部の周壁に接するように、作動子と円板部材とを配置する。作動子の軸方向の一方側には、断面円形の中央穴部が形成され、この中央穴部には、出力軸に設けられた断面円形の偏心輪が嵌まり込んでいる。
入力軸が回転したときは、入力軸(円板部材)と作動子とがロック状態となり、作動子は、入力軸の回転軸の周りを入力軸と一体的に回転する。作動子には出力軸の偏心輪が嵌め込まれ、出力軸の回転軸は入力軸と共通であるので、結局、入力軸は作動子を介して出力軸と一体化されることとなる。そのため、入力軸からの正・逆方向の回転は出力軸にそのまま伝達されて、出力軸が同一回転数で同じ方向に回転する。
これに対し、出力軸が回転すると、出力軸の偏心輪に嵌め込まれた作動子は、その中心が共通の回転軸の周りの円周上を移動するが、作動子には軸方向に延びる複数のピンが設けられ、そのピンは、入力軸の円板部材に形成された穴部の周壁にそれぞれ接している。これにより、作動子は、自転を起こすことなく共通の回転軸の周りを公転し、その際、基本的には入力軸の円板部材に回転トルクを作用させることはない。ここで、部品間の摩擦等によって回転トルクが円板部材に作用したとしても、本発明のフリータイプ双方向クラッチには、円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられていて回転が阻止される。つまり、出力軸が回転しても作動子がハウジング内で公転するだけであって、出力軸は空転し、回転が入力軸に伝達されない。
このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては、公転運動を許容する作動子と円板部材を利用して、入力軸から出力軸へ動力を伝達するとともに、反対向きへの伝達は、出力軸を空転させて遮断する。出力軸への伝達は、複数のピンと円板部材の穴部とを接触させながら作動子や円板部材をロック状態とすることにより行われ、摩擦力を利用するものではないため、伝達トルクが摩擦力により制限されることはない。作動子等のロック状態は、出力軸から駆動しようとすると直ちに生じるので、不感帯が存在せず、0点復帰のための位置調整を省くことができる。
ちなみに、円板部材に形成された穴部の周壁にピンを接触させる出力取出し機構は、一般にサイクロ減速機(「サイクロ」は登録商標)と呼ばれる減速装置(例えば、特許第4319344号公報参照)で使用されている。この減速機は、固定内歯歯車の内側に配置された外歯歯車(遊星歯車体)の遊星運動を利用するもので、入力軸を回転して外歯歯車を内歯歯車と噛み合わせながら公転及び自転(遊星運動)させ、自転のみを取り出して減速を行う。円板状の外歯歯車には複数の断面円形のピン穴が設けられ、ピン穴には、出力軸に固着された径の小さいピンが1点で接触している。外歯歯車の公転は、ピンとピン穴との間隙により吸収されて出力軸には伝達されず、出力軸は、固定内歯歯車との歯数差で定まる外歯歯車の自転速度と等しい速度で回転する。
上述のとおり、サイクロ減速機の出力取出し機構でも本発明と類似するピンとピン穴の組み合わせが用いられている。しかし、サイクロ減速機はあくまでも減速機であって、本発明のような、出力軸を空転させて動力伝達を遮断するフリータイプ双方向クラッチとは異なるものである。
請求項2の発明は、円板部材と軸方向に隣接するよう入力軸に制動輪を嵌め込み、この制動輪に円板部材の複数の穴部に連続する延長穴部を設けるとともに、延長穴部の周壁に作動子のピンの延長部が接するように構成し、かつ、円板部材の回転に拘束力を付与するばねを、制動輪とハウジングとの間隙に配置するものである。
この構造としたときは、制動輪は、入力軸の円板部材に対して分離され、作動子のピンを介して相互に連携することとなり、制動輪と円板部材とは円周方向に僅かに回転することができる。そのため、円板部材の穴部と作動子のピンとの相対的な位置ずれを補正することが可能である。例えば、入力軸から出力軸を回転させた後に回転を停止したとき、部品同士の微小な寸法誤差等に起因し、円板部材の穴部と作動子のピンとの相対的な位置ずれを起こすことがあり、この状態で出力軸側から駆動すると、作動子の公転運動が妨げられる。それに対し、請求項2の発明によれば、制動輪によって相対的な位置ずれが補正され、作動子の円滑な公転運動が確保されて入力軸への回転伝達は遮断される。
請求項3の発明は、円板部材の穴部の断面及び作動子に形成されたピンの断面を円形とするものであり、こうすると、両者の円滑な接触が可能となる。請求項4の発明のように正方形とした場合には、接触長さが大きくなって、入力軸から出力軸への伝達トルクを増大することができる。
請求項5の発明のように、作動子の端部に、複数のピンが突出して形成された円板面を設け、この円板面を入力軸の円板部材の端面に当接したときは、円板部材により作動子がスラスト方向に軸受される形となり、作動子が公転運動する際に、作動子の軸の傾きや搖動が防止される。その結果、作動子の安定した公転運動が実現され、フリータイプ双方向クラッチとしての効率的な作動が可能となる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの第1実施例を示す構造図である。 第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明する図である。 第1実施例の可動(回転)部品の単体図である。 第1実施例の静止部品の単体図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの第2実施例を示す構造図である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの一例を示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本発明のフリータイプ双方向クラッチの第1実施例の全体構造を示し、その作動の説明図を図2に示す。また、図3、図4は、第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの構成部品を単体の状態で示すものである。
図1に示すように、第1実施例のフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面円形のハウジング1の中心部に配置された入力軸2と出力軸3とを備えている。ハウジング1は、円周壁部と端板部からなるカップ状部材(単体図である図4も参照)であって、開口端部には内部を閉鎖する円板状のシールド体1Sが圧入される。入力軸2及び出力軸3は共通の回転軸oを有し、その回転軸oはハウジング1の中心軸と同一である。入力軸2はシールド体1S中心を貫通してこれに軸受され、出力軸3は、ハウジング1の端板部の中心を貫通してこれに軸受される。
入力軸2の先端には、図1の断面B−Bに示すとおり、フランジ状の円板部材21が一体に形成されて固着されており、この円板部材21は、ハウジング1の円周壁部内に回転可能に嵌め込まれている(図3も参照)。円板部材21には、断面円形の5個の穴部21Hが周方向に等間隔に形成され、穴部21Hは、円板部材21を軸方向に貫通する。
第1実施例のフリータイプ双方向クラッチでは、断面A−Aに示すとおり、制動輪4が円板部材21と軸方向に隣接して入力軸2の軸部に嵌め込まれ、制動輪4には、円板部材21の穴部21Hに連続する、やはり断面円形の5個の延長穴部4Hが設けられている。制動輪4は、その外径が円板部材21よりも少し小さく、制動輪4を取り巻くように、ハウジング1の内周壁との間には、ばね鋼からなる細長い板状のばね5が設置される(図4も参照)。ばね5は、制動輪4と複数の個所で接触し、その回転に対し拘束力を与えるばねとして機能する。
そして、ハウジング1の内部には、入力軸2の円板部材21と対向して作動子6(分かり易いように、図1等ではハッチングを付す)が配置される。作動子6の端部は、円板部材21と当接する円板面をなし、ここに、穴部21Hに入り込むピン6Pが軸方向に延びるよう形成されている(図3も参照)。ピン6Pは、断面が円板部材21の穴部21Hよりも径の小さい円形であって、穴部21Hの周壁に接しながらこれを貫通して延長され、制動輪4の延長穴部4Hの周壁にも接している。このように、円板部材21(及び入力軸2)と制動輪4とは、両者の穴部に接する作動子6のピン6Pを介して相互に連携しており、基本的には一体で運動する。
作動子6の出力軸3側には、断面円形の中央穴部6Rが設けられており、中央穴部6Rには、出力軸3に設けられた断面円形の偏心輪3Eが嵌まり込んでいる(図3も参照)。偏心輪3Eの中心は、出力軸3の回転軸oとeだけ離れていて、出力軸3が回転すると、作動子6の中心(つまり、偏心輪3Eの中心)が回転軸oを中心とする半径eの円周上を移動することとなる。また、出力軸3の中央部には、入力軸2に向けて延びる中央軸3Sが設けてあり、中央軸3Sは、作動子6中央の貫通孔を通過して、入力軸2の中央部に形成された中央穴2Bに嵌まり込む。これにより、入力軸2と出力軸3とは相互に軸受された状態となり、回転時における軸の傾きあるいは不安定な作動が防止される。
ここで、図1の第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの作動について、図2を用いて説明する。
図2(a)の中央の縦断面図の矢印に示すように、入力軸2が、例えば、駆動源のモーターにより反時計方向(軸方向の左方から見て)に回転すると、入力軸2と一体に形成された円板部材21が同方向に回転し、その穴部21Hと作動子6のピン6Pとの接点を介して、作動子6に回転軸oの周りの反時計方向の回転トルクを付与する。つまり、入力軸2の回転により、作動子6と円板部材21が一体となりロックされた状態で、図2(a)の各矢印に示すとおり、回転軸oの周りを回転する。作動子6の回転は、偏心輪3Eで結合された出力軸3を回転させることとなり、結局、入力軸2、作動子6及び出力軸3が一体となって、出力軸3に連なる機械装置、例えば、カーテンの巻き上げ機構に駆動力が伝達される。
作動子6等の入出力軸間の部材が全体的にロックされるこの駆動力の伝達は、入力軸2の回転方向が逆であっても同じである。なお、円板部材21と一体で回転する制動輪4には、ばね5による制動トルクが加わるが、入力軸2の回転トルクは制動トルクより十分に大きく、出力軸3は、制動トルクに打ち勝つ形で回転する。
これに対して、図2(b)の中央の縦断面図における矢印に示すように、出力軸3側からの回転トルクにより、出力軸3が反時計方向(軸方向の左方から見て)に回転した場合には、作動子6に嵌め込まれた偏心輪3Eにより作動子6の中心軸o´が半径eの円周上を移動する。このとき、作動子6のピン6Pは、円板部材21の穴部21Hの周壁に沿うような形で移動するのみであり、作動子6は自転することなく公転する。つまり、作動子6及びピン6P上の全ての点は、図2の下図のC−C断面、B−B断面における小円矢印のような軌跡を描き、円板部材21には回転トルクを及ぼさない。円板部材21は、制動輪4を経由して加えられるばね5の制動トルクにより停止したままであり、出力軸3が空転することとなる。
このような作動は、サイクロ減速機の出力取出し機構において、ピンとピン穴とを利用して、遊星歯車体の公転運動では出力軸を回転させず、自転運動のみで出力軸を回転させる作動と類似したものである。本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、出力軸3側から駆動しても出力軸3が空転し、その回転は入力軸2に伝達されないので、例えば、出力軸3に連なるカーテンの巻き上げ機構を駆動する動力伝達系では、駆動源のモーターを停止したまま、カーテンを手動で開閉することが可能である。
図1の第1実施例においては、ばね5が置かれた制動輪4は、入力軸2の円板部材21と別体となっているが、これらは基本的に一体として運動するので、一体に形成してもよい。ただし、これらを別体とすると、制動輪4と円板部材21とは円周方向に僅かに回転することができ、円板部材21の穴部21Hと作動子6のピン6Pとの相対的な位置ずれを補正することが可能である。そのため、部品同士の微小な寸法誤差等に起因して、作動子6の公転運動に障害が生じたような場合に、穴部21Hとピン6Pとの相対的な位置ずれを補正して、作動子6の円滑な公転運動が確保することができる。
また、第1実施例では、作動子6の端部に、複数のピン6Pが突出する円板面を設け、この円板面を入力軸2の円板部材21の端面に当接している。作動子6は、スラスト方向に軸受される形となるため、その軸の傾きや搖動が防止され、フリータイプ双方向クラッチとしての効率的な作動が可能となる。
図5には、本発明の第2実施例のフリータイプ双方向クラッチを示す。第2実施例のフリータイプ双方向クラッチは、第1実施例のものと比べると、円板部材等の穴部の断面及び作動子のピンの断面を円形の代わりに正方形とした点に相違があり、他の構成は同じであるので、図5では、図1の部品等に対応するものには同一の符号を付している。
図5に示すように、第2実施例のフリータイプ双方向クラッチは、ハウジング1の中心に配置され、共通の回転軸を有する入力軸2と出力軸3とを備えている。入力軸2の先端には、フランジ状の円板部材21が一体に形成されるとともに、制動輪4が円板部材21と軸方向に隣接して入力軸2の軸部に嵌め込まれており、制動輪4の周囲には、円板部材21の回転に拘束力を与えるばね5が設置される。円板部材21と制動輪4には、正方形断面(この実施例では、正方形の2個の頂部が径方向に存在するよう配置)の4個の穴部21H´及び延長穴部4H´が周方向に等間隔に形成されている。そして、入力軸2の円板部材21と対向して、出力軸3に設けた断面円形の偏心輪3Eが嵌まり込む作動子6が配置され、作動子6の端部には、穴部21H´及び延長穴部4H´に入り込む断面が正方形のピン6P´が軸方向に延びるよう形成されている。
第2実施例のフリータイプ双方向クラッチは、入力軸2側から駆動したときは、穴部21H´等と作動子6のピン6P´との接点を介して回転トルクが伝達し、作動子6と円板部材21が一体となりロックされた状態で、出力軸3に駆動力が伝達される。逆に、出力軸3側から回転したときは、作動子6のピン6P´は、円板部材21の穴部21H´の周壁に沿うような形で移動するのみであり、作動子6は自転することなく公転し、円板部材21は、ばね5の制動トルクにより停止したままであり、出力軸3が空転する。
こうした作動は、図1の第1実施例のフリータイプ双方向クラッチと同様であるが、穴部21H´と作動子6のピン6P´とは、直角をなす頂部が嵌り合って接触するので、入力軸2から出力軸3を駆動するときの伝達トルクを増大することができる。
以上詳述したように、本発明は、複数のピンを形成した作動子と、そのピンが接する穴部を形成した円板部材とを組み合わせ、入力軸の回転時には作動子等をロック状態とする一方、出力軸の回転時には作動子の公転運動を許容するようにして、簡易なフリータイプ双方向クラッチを構成するものである。上記の実施例では、入出力軸とハウジングとは、直接嵌め合わされて回転可能となっているけれども、これらの間には、ラジアル方向の転がりベアリングを介在させてもよい。また、入出力軸と作動子との間や入出力軸とハウジングとの間に軸方向のスラスト軸受けを設け、各可動部品の円滑な回転を図るなど、上記の実施例に対し各種の変形が可能であるのは明らかである。
1 ハウジング
2 入力軸
21 円板部材
21H、21H´ 穴部
3 出力軸
3E 偏心輪
4 制動輪
4H、4H´ 延長穴部
5 ばね
6 作動子
6P、6P´ ピン

Claims (5)

  1. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記ハウジングの内部には、前記入力軸に固着された円板部材と、前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与するばねが設けられており、
    前記円板部材には周方向に複数の穴部が形成され、さらに、前記作動子には、それぞれの前記穴部の周壁に接するよう軸方向に延びる複数のピンが形成されるとともに、断面円形の中央穴部が形成され、
    前記中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心輪が嵌まり込んでいることを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記入力軸には、前記円板部材と軸方向に隣接して制動輪が嵌め込まれており、
    前記制動輪には、前記円板部材の複数の穴部に連続する延長穴部が設けられて、前記延長穴部の周壁に前記作動子に形成されたピンの延長部が接するように構成され、かつ、前記円板部材の回転に拘束力を付与する前記ばねが、前記制動輪と前記ハウジングとの間隙に配置されている請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記円板部材の穴部の断面及び前記作動子に形成されたピンの断面が円形である請求項1又は請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 前記円板部材の穴部の断面及び前記作動子に形成されたピンの断面が正方形である請求項1又は請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  5. 前記作動子の端部には、複数の前記ピンが突出して形成された円板面が設けられ、前記円板面が前記円板部材の端面に当接する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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