JP6545228B2 - 歯車の空転を利用するフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

歯車の空転を利用するフリータイプ双方向クラッチ Download PDF

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Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で双方向クラッチと呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向回転及び逆方向回転をともに出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、巻き上げ式の電動カーテン等を手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用することができる。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとカーテンの巻き上げ機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸に巻き上げ機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとカーテンの昇降が可能であるとともに、駆動モーターの停止位置においては、手動による巻き上げ機構の操作が可能であって、このときには、出力軸が空転するので駆動モーターに悪影響を及ぼすことがない。こうした機能は、駆動モーターと巻き上げ機構との間に電磁クラッチを設置し、これを断・接しても達成できるが、電磁クラッチを作動させるには電力を必要とし、電力制御のための複雑な制御装置等も必要となる。
フリータイプ双方向クラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第6027702号に記載された双方向クラッチが知られており、これについて、図7を参照して説明する。
図7に示すとおり、このフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジングH内に、共通の中心軸の回りに回転可能な入力軸I及び出力軸Oが設置されている。出力軸Oにはこれと同心の太陽歯車SGが固着されている。ハウジングH内には更に、太陽歯車SGと噛み合う遊星歯車PG有する一対の遊星歯車体PBが配置され、一対の遊星歯車体PBはキャリアCによって回転可能に軸支されている。一対の遊星歯車体PBのそれぞれには、異なる回転方向の空転を許容する一方向クラッチOCを介して作動子Mが取り付けられるとともに、入力軸Iには作動子Mと当接するカム体CBが設けられている。そして、作動子Mの断面の外周は略正六角形であると共にカム体CBの断面の外周は略矩形である。このことから、作動子M及びカム体CBの断面はそれぞれ直線部を有し、この直線部同士が当接するようにして、作動子Mのそれぞれがカム体CBの一方側及び他方側に配置されている。
入力軸Iが回転したときは、一対の遊星歯車体PBの内、回転方向で近距離にある遊星歯車体PBにおける作動子Mの外周面が、入力軸Iのカム体CBの外周面と直線部が重なる状態で当接する。この状態となると、入力軸Iのカム体CBは、当接した遊星歯車体PBの遊星歯車PGを介してキャリアCを同一方向に回転させ、作動子Mが当接していない他方の遊星歯車体PBを同様にその回転方向に移動させる。ここで、遊星歯車体PBの遊星歯車PGは出力軸Oの太陽歯車SGと噛み合っているが、一方向クラッチOCによりその回転(自転)が拘束されているため、太陽歯車SGが遊星歯車PGの移動(公転)に連れ回ることとなり、出力軸Oは、入力軸Iと一体化されて同一方向に回転する。
これに対し、出力軸Oが回転すると、太陽歯車SGと噛み合う遊星歯車PGはキャリアCの支持軸の周りに自転しようとする。しかし、入力軸Iが停止した位置においては、一方の遊星歯車体PBの作動子Mの直線部とカム体CBの直線部とが重なっており、そのままでは、作動子Mは自転することができない。
図7のフリータイプ双方向クラッチでは、この状態において、出力軸Oの回転方向が、入力軸Iが停止する以前に回転していたのと同一方向であれば、遊星歯車PG(太陽歯車SGと逆方向に回転しようとする)は、一方向クラッチOCにより作動子Mと一体化されるため、キャリアCを伴いながら太陽歯車SGの回転方向にわずかに移動して作動子Mをカム体CBから離し、出力軸Oは回転可能となる。一方、出力軸Oの回転方向が、入力軸Iが停止する以前の回転方向と逆であれば、遊星歯車PGは一方向クラッチOCにより作動子Mと切り離される。そのため、作動子Mの直線部とカム体CBの直線部とが重なり作動子M自体の自転が拘束されていても、遊星歯車PGは自転が可能であって、入力軸Iに回転を伝達することなく、出力軸Oは回転可能となる。
特許第6027702号公報
上述のとおり、図7のフリータイプ双方向クラッチにおいては、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。これにより、出力軸の逆方向の空転を可能とするために、入力軸を停止した位置からわずかに戻すような煩雑な作業は不要であり、使用勝手の優れたものとなっている。しかしながら、図7のフリータイプ双方向クラッチには、以下のような点について改良の余地が残されている。
図7のフリータイプ双方向クラッチでは、出力軸Oの回転方向にかかわらず空転させることを可能とするよう、一対の遊星歯車体PBの各々に一方向クラッチOCが取り付けられているが、この一方向クラッチは比較的大きいため、装置全体が大型化してしまう。また、作動子Mとカム体CBの断面形状の外周は夫々略正六角形と略矩形形状であることから、入力軸Iを回転させて出力軸Oへ回転を伝達させる際のバックラッシが大きく、動力伝達時の応答性が良好ではない。
上記の課題を解決するため、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、出力歯車と作動歯車との間に中間歯車を設け、作動歯車体には、軸方向に突出し且つ断面形状の外周が円形である突出部を設けると共に、入力軸には、作動歯車体の突出部が挿入される空間部を設け、空間部の縁部には、周方向中央から周方向両側に向かって突出部の外周面との距離が変化するカム面を形成し、入力軸が駆動回転したときは、カム面と作動歯車体の突出部の外周面との間で食い付きを生じ、作動歯車体の自転が阻止されて、作動歯車体及び中間歯車体並びにキャリア体と一体となって出力軸が回転する一方、出力軸が駆動回転したときは、作動歯車体の自転が許容されて、入力軸への回転の伝達が遮断されるものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の中心軸の周りに回転可能な入力軸及び出力軸とを備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う中間歯車を有する中間歯車体と、前記中間歯車と噛み合う作動歯車を有する作動歯車体と、前記中間歯車体及び前記作動歯車体の夫々を回転可能に軸支し、前記共通の中心軸の周りに回転可能なキャリア体と、前記キャリア体に対して所定の摩擦力を付与する制動手段とが配置され、
前記作動歯車体には、軸方向に突出し且つ断面形状が円形である突出部が設けられるとともに、前記入力軸には、前記突出部が挿入される空間部が設けられており、前記空間部の縁部には、周方向中央から周方向両側に向かって前記突出部の外周面との距離が変化するカム面が形成され、
前記入力軸が駆動回転したときは、前記カム面と前記突出部の外周面との間で食い付きを生じ、前記作動歯車体の自転が阻止されて、前記出力軸が前記作動歯車体及び前記中間歯車体並びに前記キャリア体と一体的に回転する一方、前記出力軸が駆動回転したときは、前記作動歯車体の自転が許容されて、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
本発明においては、以下のような実施形態であるのが好ましい。すなわち、
記カム面は、前記空間部の径方向外側の縁部に形成されており、周方向片側に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる片側部分と、周方向他側に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる他側部分とを含み、前記片側部分と他側部分とは、両者の中間を通って径方向に延びる直線に対して線対称であること。
記キャリア体には、前記中間歯車体及び前記作動歯車体を挟んで対向する位置に、キャリア補助板が一体的に結合されていること。
本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に、共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を設置し、出力軸には出力歯車を設ける。ハウジングの内部には更に、出力歯車と噛み合う中間歯車を形成した中間歯車体と、中間歯車と噛み合う作動歯車を形成した作動歯車体と、中間歯車体及び作動歯車体の夫々を回転可能に軸支すると共に自身も上記共通の回転軸を中心として回転可能なキャリアと、キャリア体に対して所定の摩擦力を付与する制動手段とを配置する。作動歯車体には、軸方向に突出し且つ断面形状が円形である突出部を設けると共に、入力軸には、作動歯車体の突出部が挿入される空間部を設ける。そして、空間部の縁部には、周方向中央から周方向両側に向かって作動歯車体の突出部の外周面との距離が変化するカム面を形成する。
入力軸が回転すると、後に図2を参照して詳述するとおり、カム面と作動歯車体の突出部の外周面との間で食い付きを生じ、作動歯車体の自転が阻止される。これにより、入力軸及び作動歯車体と共に、中間歯車体、出力軸、そしてキャリア体が一体となって回転する。このとき、作動歯車体の突出部の断面形状は円形であり、突出部は、入力軸の空間部において、周方向中央から周方向両側に向かって突出部の外周面との距離が変化するカム面と当接乃至密接することから、入力軸から出力軸への回転の伝達の遅れは小さく、動力伝達時の応答性は良好となる。
これに対して、入力軸の回転が停止した後に、出力軸が入力軸の回転方向とは反対方向に回転した場合には、後に図3を参照して詳述するとおり、中間歯車が反時計方向に自転すると共に、作動歯車が時計方向に自転する。このとき更に、出力歯車は中間歯車との噛み合いによりこれを時計方向に僅かに移動(公転)させる。この移動は中間歯車が作動歯車に対して接近するものであるが、中間歯車と作動歯車との間にはバックラッシが存在しており、これがいわば不感帯となり、中間歯車が作動歯車を周方向に押すことはない。従って、作動歯車体はその場で時計方向に自転しようとするだけである。これにより、出力軸が時計方向に回転しても、中間歯車体が反時計方向に回転すると共に作動歯車体が時計方向に回転するだけで、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。
一方、入力軸の回転が停止した後に、出力軸が入力軸の回転方向と同じ方向に回転した場合には、後に図4を参照して詳述するとおり、中間歯車が時計方向に自転すると共に、作動歯車が反時計方向に自転する。このとき更に、出力歯車は中間歯車との噛み合いによりこれを反時計方向に僅かに移動(公転)させる。この移動は中間歯車が作動歯車から離隔するものであり、回転軸を中心とした周方向において作動歯車に影響を与えるものではない。従って、作動歯車体はその場で反時計方向に自転しようとするだけである。これにより、出力軸が反時計方向に回転しても、中間歯車体が時計方向に回転すると共に作動歯車体が反時計方向に回転するだけで、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。
このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。この際には、図7に示す従来のフリータイプ双方向クラッチよりも小型化することができると共に、入力軸から出力軸への動力伝達時の応答性を良好なものにすることができる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの入力軸回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの出力軸正回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの出力軸逆回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの構成部品の単体図を示す図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの変形例を示す構造図である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの構造を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例の全体構造を示し、その作動の説明図を図2乃至図4に示す。また、図5は本発明のフリータイプ双方向クラッチの主要構成部品を単体の状態で示すものである。
図1に示すフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面円形のハウジング2を備えており、このハウジング2内には、共通の回転軸(中心軸)oの周りに回転可能な入力軸4及び出力軸6並びにキャリア体8、キャリア体8によって回転可能に軸支された中間歯車体10及び作動歯車体12、キャリア体8に対して所定の摩擦力を付与する制動手段14が設けられている(容易に理解できるように、図1ではキャリア体8にのみハッチングを付している)。
図1と共に図5を参照して説明すると、ハウジング2は、円周壁部16と円環状の端板部18とからなるカップ状部材であって、その中心軸は入力軸4及び出力軸6の回転軸oと同一である。端板部18の内側端面には、中央の開口部を囲繞して軸方向に僅かに突出する円筒壁20が形成されている。円周壁部16の外周面には、半径方向外方に突出する耳部22が周方向に等角度間隔を置いて3個設けられており、耳部22には軸方向に延びる貫通孔24が形成されている。一方、円周壁部16の開口側端面には、内部を閉鎖する円板状のシールド体26が配置され、シールド体26は適宜の固定具により円周壁部16と一体となる。
入力軸4は、円板形状の入力フランジ部28と、この入力フランジ部28の中央領域に固着された入力軸部30とを備え、入力軸4の中央には、軸方向に延び且つ断面が円の一部を直線状に切り欠いた形状である貫通孔32が形成されている。入力フランジ部28の外周縁部には、周方向に等角度間隔をおいて4個の空間部34が形成されている。そして、空間部34の縁部には、後述するとおり空間部34に作動歯車体12の突出部が挿入された際に、周方向中央から周方向両側に向かって作動歯車体12に設けられた突出部の外周面との距離が変化するカム面36が形成されている。図示の実施例においては、カム面36は半径方向外側に位置し、周方向片側(図5(f)右図において反時計方向)に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる片側部分38と、周方向他側(同図において時計方向)に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる他側部分40とを含み、片側部分38と他側部分40とは、両者の中間を通って径方向に延びる直線に対して線対称である。周方向に隣接する空間部34の周方向中央位置には夫々、断面が円形の補助空間部42が形成されている。
出力軸6は、出力歯車44と、この出力歯車44の片側端面の中央領域に固着された出力軸部46とを備え、出力軸6の中央には、軸方向に延び且つ断面が円の一部を直線状に切り欠いた形状である貫通孔48が形成されている。出力軸6の貫通孔48は入力軸4の貫通孔32と同一形状である。図示の実施例においては、出力歯車44は外歯歯車である。
キャリア体8は、円環状の平板部材である基部50と、基部50の片側端面から軸方向片側に延びる中間キャリア軸52及び作動キャリア軸54と、基部50の外周縁から軸方向片側に延びる円筒形状の外側壁56とを備えている。中間キャリア軸52及び作動キャリア軸54は共に断面円形の棒状部材であって、その直径は入力軸2に設けられた空間部34及び補助空間部42の断面形状よりも十分小さく、中間キャリア軸52と作動キャリア軸54は、夫々周方向に等角度間隔をおいて交互に4つずつ設けられている。図5(e)の右図を参照することによって明確に理解されるとおり、全ての中間キャリア軸52の中心を結ぶ仮想円の直径は、全ての作動キャリア軸54の中心を結ぶ仮想円の直径よりも僅かに小さい。つまり、中間キャリア軸52と作動キャリア軸54とは同一円周上には位置せず、中間キャリア軸52の方が作動キャリア軸54よりも幾分径方向内側に位置している。外側壁56の延出端には、周方向に等角度間隔をおいて4個の切欠き58が形成されている。このようなキャリア体8には、図5(g)で示すキャリア補助板60が一体的に結合される。キャリア補助板60はキャリア体8の基部50と対応した円板形状であって、キャリア補助板60には、中間キャリア軸52及び作動キャリア軸54の各々を軸受する支持孔62と、外側壁56に設けられた夫々の切欠き58と嵌り合う爪64とが形成されている。
中間歯車体10は、外歯歯車である中間歯車66を備え、中間歯車体10の中央には、キャリア体8の中間キャリア軸52が挿通される貫通軸孔が形成されている。作動歯車体12は、外歯歯車である作動歯車68と、作動歯車68の軸方向片側端面から軸方向片側に突出し且つ断面形状が円形である突出部70が設けられている。作動歯車体12の中央には、キャリア体8の作動キャリア軸54が挿通される貫通軸孔が形成されている。
図1に示すフリータイプ双方向クラッチは、以下のようにして組み合わされる。
まず、ハウジング2内にキャリア体8を、端板部18と基部50とが近接乃至当接して対向するようにして配置する。次いで、キャリア体8の中間キャリア軸52及び作動キャリア軸54の夫々に、中間歯車体10及び作動歯車軸12の夫々を回転可能に軸支させる。そして、出力軸6を、出力軸部46がキャリア体8の基部50の中央孔及びハウジング2の端板部18の中央孔を貫通すると共に出力歯車44が全ての中間歯車体10の中間歯車66と噛み合うようにして、キャリア体8及びハウジング2と組み合わせる。その後に、入力軸4を、入力フランジ部28が出力軸6の軸方向端面と面接触した状態で、キャリア体8等に組み合わせる。このとき、空間部34の夫々には、作動歯車体12の突出部70と共にキャリア体8の作動キャリア軸54が挿入され、補助空間部42の夫々には、キャリア体8の中間キャリア軸52が挿入される。空間部34に作動歯車体12の突出部が挿入された状態にあっては、カム面36と作動歯車体12の突出部の外周面との距離は、周方向中央から周方向両側に向かって一旦増大した後に減少する。図示の実施例においては、突出部70は、空間部34の周方向中央において、カム面36と近接乃至当接し、中間キャリア軸52は、補助空間部42の中央に位置し、中間キャリア軸52の外周面は補助空間部42を規定する入力フランジ部28の内周面から十分に離隔している。そして、キャリア補助端60を、支持孔62の夫々に中間キャリア軸52及び作動キャリア軸54を挿通させると共に、爪64をキャリア体8の外側壁56に形成された爪64に嵌め合わせ、中間歯車体10及び作動歯車体12を挟んで対向する位置にてキャリア体8と一体的に結合させる。しかる後に、制動手段14である周知の波ばねをキャリア補助板60と当接するように配置し、シールド体26で円周壁部16の開口側端面を閉鎖する。所望ならば、制動手段14はキャリア補助板60とシールド体16との間に配置することに替えて、キャリア8の基部50とハウジング2の端板部18との間に配置してもよい。
続いて、図1に示すフリータイプ双方向クラッチの作動について、図2乃至図4を参照して説明する。
図2における各矢印に示すように、入力軸4が、駆動源のモーターにより反時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に駆動回転すると、入力軸4の入力フランジ部28に形成された空間部34が反時計方向に移動し、空間部34の縁部に形成されたカム面36、更に詳しくは他側部分40、と作動歯車体12の突出部70の外周面との間で食い付きを生じる。これは、制動手段14によってキャリア体8に付与された摩擦力が作動歯車体12を現在の位置に保持させようとして作用するため、入力軸4が回転してカム面36の他側部分40が作動歯車体12の突出部70の外周面に押し付けられた際に、入力軸4のカム面36と突出部70の外周面との間で滑りが生じないためである。入力軸4のカム面36と作動歯車体12の突出部70の外周面との間で食い付きを生じることで作動歯車体12の自転は阻止され、これにより作動歯車体12の作動歯車68と噛み合う中間歯車66を有する中間歯車体10の自転も阻止される。この状態から入力軸4を更に回転すると、自転が阻止された作動歯車体12及び中間歯車体10、これらの歯車体を支持するキャリア体8と共に、中間歯車体10の中間歯車66と噛み合う出力歯車44が入力フランジ部28と一体となって回転する。つまり、出力軸6は入力軸4と一体となって回転する。このとき、作動歯車体12の突出部70の断面形状は円形であり、突出部70は、入力軸4の空間部34において、周方向中央から周方向両側に向かって突出部70の外周面との距離が変化するカム面36と当接乃至密接することから、入力軸4を回転させて出力軸6へ回転を伝達させる際のバックラッシは小さく、動力伝達時の応答性が良好となる。本実施例においては更に、空間部34の周方向中央位置において、作動歯車体12の突出部70がカム面36と近接乃至当接していることから、空間部34が僅かに移動しただけで上記食い付きを生じ、入力軸4から出力軸6への回転の遅れが生じることはない。入力軸4が反時計方向に回転した場合には、カム面36の片側部分38と突出部70の外周面との間で噛み合いを生じることを除いては、入力軸4が時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
これに対して、入力軸4の反時計方向の回転が停止した後に、出力軸6が図3に示す矢印のとおり時計方向(中央縦断面図の右方向から見て)に駆動回転した場合には、出力軸6の出力歯車44がこれと噛み合う中間歯車66を反時計方向に自転させると共に、中間歯車66がこれと噛み合う作動歯車68を時計方向に自転させる。このとき更に、出力歯車44は中間歯車66との噛み合いによりこれを中間キャリア軸52に対して回転軸oを中心として時計方向に僅かに移動(公転)させる。この移動は中間歯車66が作動歯車68に対して接近するものであるが、中間歯車66と作動歯車68との間にはバックラッシが存在していることから、これがいわば不感帯となり、中間歯車66が作動歯車68を周方向に押すことはなく、従って、作動歯車体12はその場で時計方向に自転しようとするだけである。ここで、作動歯車体12の上記自転方向は、当接点Pにおけるカム面(他側部分40)と突出部70の中心を通過して周方向に延びる円弧状の仮想曲線(図3の接触部拡大図において二点鎖線で示す)とによって画成される楔の広い方から狭い方へ回転する方向であり、これは、突出部70の外周面と入力フランジ部28のカム面36との間で噛み合いが生じる方向である。しかしながら、上述したとおり作動歯車体12はその場で自転しようとするのみであって、突出部70が全体的に時計方向に移動(公転)して外周面が入力フランジ部28のカム面36に押し付けられるわけではない。このことから、作動歯車体12が自転しても、突出部70の外周面はカム面36に対して滑り、両者が食い付きを生じることはない。従って、突出部70は空間部34内で時計方向に自転することができる。これにより、出力軸6が時計方向に回転しても、中間歯車体10が反時計方向に回転すると共に作動歯車体12が時計方向に回転するだけで、出力軸6の回転が入力軸4に伝達されることはない。
一方、入力軸4の反時計方向の回転が停止した後に、出力軸6が図4に示す矢印のとおりに反時計方向(中央縦断面図の右方向から見て)に駆動回転した場合には、出力軸6の出力歯車44がこれと噛み合う中間歯車66を時計方向に自転させると共に、中間歯車66がこれと噛み合う作動歯車68を反時計方向に自転させる。このとき更に、出力歯車44は中間歯車66との噛み合いによりこれを中間キャリア軸52に対して回転軸oを中心として反時計方向に僅かに移動させる。この移動は中間歯車66が作動歯車68から離隔するものであり、回転軸oを中心とした周方向において作動歯車68に影響を与えるものではなく(中間歯車66と作動歯車68との噛み合いは維持される)、従って、作動歯車体12はその場で反時計方向に自転しようとするだけである。ここで、作動歯車体12の上記自転方向は、当接点Pにおけるカム面(他側部分40)と突出部70の中心を通過して周方向に延びる円弧状の仮想曲線(図4の接触部拡大図において二点鎖線で示す)とによって画成される楔の狭い方から広い方へ回転する方向であり、これは、突出部70の外周面と入力フランジ部28のカム面36との間で食い付きを生じない方向である。従って、作動歯車体12は入力フランジ部28の空間部34内で自転することが可能であり、出力軸6が反時計方向に回転しても、中間歯車体10が時計方向に回転すると共に作動歯車体12が反時計方向に回転するだけで、出力軸6の回転が入力軸4に伝達されることはない。
以上詳述したように、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、出力歯車と作動歯車との間に中間歯車を設け、作動歯車体には、軸方向に突出し且つ断面形状の外周が円形である突出部を設けると共に、入力軸には、作動歯車体の突出部が挿入される空間部を設け、空間部を規定する入力軸の内側面を、周方向中央から周方向両側に向かって突出部の外周面との距離が変化するカム面とし、入力軸が回転したときは、作動歯車体の自転を阻止してこれをロック状態とし、出力軸へ回転を伝達する一方、出力軸が回転したときは、作動歯車には出力軸の回転軸を中心とした周方向の力が作用せず、入力軸が停止位置を保持した状態で出力軸を空転させるものである。本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、上述した実施例においては、入力軸のカム面は、空間部の径方向外側の縁部に形成されていたが、これに替えて、図6に示すとおり、空間部34の径方向内側の縁部に形成するようにしてもよい。カム面36を空間部34の径方向内側の縁部に形成した場合には、カム面36は、周方向片側に向かって半径方向外側に傾斜して延びる片側部分38と、周方向他側部分に向かって半径方向外側に傾斜して延びる他側部分40とを含むこととなる。また、上述した実施例においては、出力歯車は外歯歯車であったが、これに替えて内歯歯車としてもよい。出力歯車を内歯歯車とした場合には、全ての中間キャリア軸の中心を結ぶ仮想円の直径を全ての作動キャリア軸の中心を結ぶ仮想円の直径よりも大きくすると共に、キャリア体の基部を入力軸側に配置して中間キャリア軸及び作動キャリア軸が入力軸側から出力軸側に延出するようにする。
2:ハウジング
4:入力軸
6:出力軸
8:キャリア体
10:中間歯車体
12:作動歯車体
14:制動手段
34:空間部
36:カム面
44:出力歯車
66:中間歯車
68:作動歯車
70:突出部

Claims (3)

  1. 回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の中心軸の周りに回転可能な入力軸及び出力軸とを備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う中間歯車を有する中間歯車体と、前記中間歯車と噛み合う作動歯車を有する作動歯車体と、前記中間歯車体及び前記作動歯車体の夫々を回転可能に軸支し、前記共通の中心軸の周りに回転可能なキャリア体と、前記キャリア体に対して所定の摩擦力を付与する制動手段とが配置され、
    前記作動歯車体には、軸方向に突出し且つ断面形状が円形である突出部が設けられるとともに、前記入力軸には、前記突出部が挿入される空間部が設けられており、前記空間部の縁部には、周方向中央から周方向両側に向かって前記突出部の外周面との距離が変化するカム面が形成され、
    前記入力軸が駆動回転したときは、前記カム面と前記突出部の外周面との間で食い付きを生じ、前記作動歯車体の自転が阻止されて、前記出力軸が前記作動歯車体及び前記中間歯車体並びに前記キャリア体と一体的に回転する一方、前記出力軸が駆動回転したときは、前記作動歯車体の自転が許容されて、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記カム面は、前記空間部の径方向外側の縁部に形成されており、周方向片側に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる片側部分と、周方向他側に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びる他側部分とを含み、前記片側部分と他側部分とは、両者の中間を通って径方向に延びる直線に対して線対称である、請求項に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記キャリア体には、前記中間歯車体及び前記作動歯車体を挟んで対向する位置に、キャリア補助板が一体的に結合されている、請求項1又は2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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