JP6525177B1 - 歯車の空転を利用するフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

歯車の空転を利用するフリータイプ双方向クラッチ Download PDF

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Abstract

【課題】入力軸4が停止した位置を保持したまま、出力軸6を双方向に空転させることができる小型のフリータイプ双方向クラッチを提供すること。【解決手段】出力歯車34と一対の作動歯車12との間に、各々の作動歯車12に対して周方向の逆側で噛み合うよう一対の中間歯車10を配置する。一対の作動歯車12の各々には、軸方向に突出し且つ断面形状が正多角形である突出部58を設けると共に、入力軸4には、突出部58の外周面が当接し且つ周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなす一対のカム面32a及び32bが形成されたカム体24を設ける。【選択図】 図1

Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で双方向クラッチと呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向回転及び逆方向回転をともに出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、巻き上げ式の電動カーテン等を手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用することができる。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとカーテンの巻き上げ機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸に巻き上げ機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとカーテンの昇降が可能であるとともに、駆動モーターの停止位置においては、手動による巻き上げ機構の操作が可能であって、このときには、出力軸が空転するので駆動モーターに悪影響を及ぼすことがない。こうした機能は、駆動モーターと巻き上げ機構との間に電磁クラッチを設置し、これを断・接しても達成できるが、電磁クラッチを作動させるには電力を必要とし、電力制御のための複雑な制御装置等も必要となる。
フリータイプ双方向クラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第6027702号に記載された双方向クラッチが知られており、これについて、図8を参照して説明する。
図8に示すとおり、このフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジングH内に、共通の中心軸の回りに回転可能な入力軸I及び出力軸Oが設置されている。出力軸Oにはこれと同心の出力歯車SGが固着されている。ハウジングH内には更に、出力歯車SGと噛み合う作動歯車PG有する一対の作動歯車体PBが配置され、一対の作動歯車体PBはキャリアCによって回転可能に軸支されている。一対の作動歯車体PBのそれぞれには、異なる回転方向の空転を許容する一方向クラッチOCを介して作動子Mが取り付けられるとともに、入力軸Iには作動子Mと当接するカム体CBが設けられている。そして、作動子Mの断面の外周は略正六角形であると共にカム体CBの断面の外周は略矩形である。このことから、作動子M及びカム体CBの断面はそれぞれ直線部を有し、この直線部同士が当接するようにして、作動子Mのそれぞれがカム体CBの一方側及び他方側に配置されている。
入力軸Iが回転したときは、一対の作動歯車体PBの内、回転方向で近距離にある作動歯車体PBにおける作動子Mの外周面が、入力軸Iのカム体CBの外周面と直線部が重なる状態で当接する。この状態となると、入力軸Iのカム体CBは、当接した作動歯車体PBの作動歯車PGを介してキャリアCを同一方向に回転させ、作動子Mが当接していない他方の作動歯車体PBを同様にその回転方向に移動させる。ここで、作動歯車体PBの作動歯車PGは出力軸Oの出力歯車SGと噛み合っているが、一方向クラッチOCによりその回転(自転)が拘束されているため、出力歯車SGが作動歯車PGの移動(公転)に連れ回ることとなり、出力軸Oは、入力軸Iと一体化されて同一方向に回転する。
これに対し、出力軸Oが回転すると、出力歯車SGと噛み合う作動歯車PGはキャリアCの支持軸の周りに自転しようとする。しかし、入力軸Iが停止した位置においては、一方の作動歯車体PBの作動子Mの直線部とカム体CBの直線部とが重なっており、そのままでは、作動子Mは自転することができない。
図8のフリータイプ双方向クラッチでは、この状態において、出力軸Oの回転方向が、入力軸Iが停止する以前に回転していたのと同一方向であれば、作動歯車PG(出力歯車SGと逆方向に回転しようとする)は、一方向クラッチOCにより作動子Mと一体化されるため、キャリアCを伴いながら出力歯車SGの回転方向にわずかに移動して作動子Mをカム体CBから離し、出力軸Oは回転可能となる。一方、出力軸Oの回転方向が、入力軸Iが停止する以前の回転方向と逆であれば、作動歯車PGは一方向クラッチOCにより作動子Mと切り離される。そのため、作動子Mの直線部とカム体CBの直線部とが重なり作動子M自体の自転が拘束されていても、作動歯車PGは自転が可能であって、入力軸Iに回転を伝達することなく、出力軸Oは回転可能となる。
特許第6027702号公報
上述のとおり、図8のフリータイプ双方向クラッチにおいては、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。これにより、出力軸の逆方向の空転を可能とするために、入力軸を停止した位置からわずかに戻すような煩雑な作業は不要であり、使用勝手の優れたものとなっている。しかしながら、図8のフリータイプ双方向クラッチには、以下のような点について改良の余地が残されている。
図8のフリータイプ双方向クラッチでは、出力軸Oの回転方向にかかわらず空転させることを可能とするよう、一対の作動歯車体PBの各々に一方向クラッチOCが取り付けられているが、この一方向クラッチは比較的大きいため、装置全体が大型化してしまう。
上記の課題を解決するため、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、出力歯車と一対の作動歯車との間に、各々の作動歯車に対して周方向の逆側で噛み合うよう一対の中間歯車を配置し、一対の作動歯車の各々には、軸方向に突出し且つ断面形状が正多角形である突出部を設けると共に、入力軸には、突出部の外周面が当接し且つ周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなす一対のカム面が形成されたカム体を設け、入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、一対の作動歯車の一方又は他方における突出部の外周面が、挿入された空間部のカム面に当接して作動歯車の自転が阻止され、出力軸がキャリアと一体的に回転する一方、出力軸が回転したときは、一対の作動歯車の双方の自転が許容されて、入力軸への回転の伝達が遮断されるものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の中心軸の周りに回転可能な入力軸及び出力軸とを備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う少なくとも一対の中間歯車と、前記一対の中間歯車の各々と噛み合う一対の作動歯車と、前記中間歯車及び前記作動歯車の各々を回転可能に軸支し、前記共通の中心軸の回りに回転可能なキャリアとが設置され、
前記作動歯車は前記中間歯車よりも径方向外側に位置し、前記一対の作動歯車の各々は、噛み合う前記中間歯車に対して互いに周方向の逆側に配置され、
前記一対の作動歯車の各々には、軸方向に突出し断面形状が正多角形である突出部が固着されるとともに、前記入力軸には、前記突出部の外周面が当接する一対のカム面が形成されたカム体が設けられ、前記一対のカム面の各々は、周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなしており、
前記入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、前記一対の作動歯車の一方における前記突出部の外周面が前記カム体のカム面に当接し、前記作動歯車の自転が阻止されて前記出力軸が前記キャリアと一体的に回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記一対の作動歯車の双方の自転が許容されて、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
本発明においては、以下のような実施形態であるのが好ましい。すなわち、
前記カム体には前記一対の作動歯車に固着された突出部の各々が挿入される一対の空間部が設けられ、前記一対の空間部の各々の外側縁部分に前記カム面が形成されているのがよい。
前記キャリアは前記作動歯車を回転可能に軸支するキャリア軸を備え、前記キャリア軸は、前記キャリアと一体的に結合されるキャリア補助によって軸受されるのがよい。
前記キャリアの外周縁には円筒形状の外側壁が形成されているのがよい。
本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に、共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を設置し、出力軸には出力歯車を設ける。ハウジングの内部には更に、出力歯車と噛み合う少なくとも一対の中間歯車と、中間歯車の各々と噛み合一対の作動歯車と、中間歯車及び作動歯車の各々を回転可能に軸支するキャリアとを配置する。作動歯車は中間歯車よりも径方向外側に位置し、一対の作動歯車の各々は、噛み合う中間歯車に対して互いに周方向の逆側に配置される。一対の作動歯車の各々には、軸方向に突出し断面形状が正多角形である突出部を固着するとともに、入力軸には、作動歯車に固着された突出部の外周面と当接する一対のカム面が周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなすカム体を設ける。
入力軸が回転すると、後に図2を参照して詳述するとおり、その回転方向に応じてカム面と突出部の外周面との間で噛み合いを生じて突出部の回転が阻止され、作動歯車の自転も阻止される。これにより、出力軸はキャリアと共に入力軸と一体となって回転する。
これに対して、入力軸の回転が停止した後に、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向に回転しようとする場合には以下のとおりに作動する。即ち、出力歯車の回転によって作動歯車に固着された突出部が自転しようとしても、突出部の外周面がカム面と面接触していることから、突出部はその場で自転することはできない。ところで、出力歯車の回転によって、中間歯車は、後に図3を参照して詳述するとおり、出力歯車とは反対方向に自転すると共に出力歯車の自転方向と同一方向に僅かに公転する(中間歯車が出力歯車の自転方向と同一方向に公転するのは、突出部の自転が阻止されることで作動歯車及び中間歯車の自転も阻止されるため、出力歯車が中間歯車及び作動歯車と一体となって回転しようとするためである)。この中間歯車の作動によって、中間歯車を軸支するキャリアも僅かに公転し、キャリアに軸支される作動歯車も同一方向に公転する。これにより、作動歯車に固着された突出部はカム面から離隔して空間部において自転可能となる(作動歯車も自転可能となる)。従って、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向に回転しても、中間歯車及び作動歯車が夫々自転するだけで、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。
一方、入力軸の回転が停止した後に、出力軸が入力軸からの回転とは反対方向に回転した場合には以下のとおりに作動する。この場合も、出力歯車の回転によって作動歯車に固着された突出部が自転しようとしても、突出部の外周面がカム面と面接触していることから、突出部はその場で自転することはできない。ところで、出力軸が入力軸からの回転とは反対方向に回転した場合には、作動歯車は出力歯車と同一方向に自転しようとすることから、作動歯車に固着された突出部もこれと同一方向に自転しようとする。突出部が上記のとおりに自転しようとすると、後に図4を参照して詳述するとおり、突出部の断面において半径方向外方に位置する端縁がカム面を押すことで、その反力によって突出部にはカム面から離隔する方向(これは出力歯車の自転方向とは反対方向)に周方向の力が作用する。一方、中間歯車には、上述したとおり、出力歯車との噛み合いによって出力歯車の自転方向と同一方向に周方向の力が作用する。ここで、突出部がカム面から受ける力は中間歯車が出力歯車から受ける力よりも径方向外方において作用するため、所謂腕の長さが後者よりも前者の方が長く、前者の力によるモーメントが支配的となる。このことから、出力軸が回転すると、突出部が、カム面から離隔する方向に公転すると共に空間部内で自転可能となり、作動歯車も自転可能となる。従って、出力軸が入力軸の回転方向と同じ方向に回転しても、中間歯車及び作動歯車が夫々自転するだけで、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。
このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。この際には、図7に示す従来のフリータイプ双方向クラッチよりも小型化することができる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの入力軸回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの出力軸正回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの出力軸逆回転時の作動を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチを構成する静的部品を単体で示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチを構成する動的部品を単体で示す図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの変形例を示す構造図である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの構造を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例の全体構造を示し、その作動の説明図を図2乃至図4に示す。また、図5及び6は本発明のフリータイプ双方向クラッチの構成部品を単体の状態で示すものである。
図1に示すフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面略正方形のハウジング2を備えており、このハウジング2内には、共通の回転軸(中心軸)oの周りに回転可能な入力軸4及び出力軸6並びにキャリア8、キャリア8によって回転可能に軸支された中間歯車10及び作動歯車12が設けられている(容易に理解できるように、図1ではキャリア8にのみハッチングを付している)。
図1と共に図5を参照して説明すると、ハウジング2は、周壁部14と端板部16とからなるカップ状部材であって、内側には円柱形状の空間部18が設けられている。周壁部14の開口側端面には、内部を閉鎖する略正方形状のシールド体20が配置され、シールド体20は適宜の固定具により周壁部16と一体となって空間部18をシールドする。ハウジング2の中心軸は入力軸4及び出力軸6の回転軸oと同一であり、端板部16及びシールド体20には夫々円形の中央穴が形成されている。
図1と共に図6を参照して説明すると、入力軸4は、円板形状のカム体24と、このカム体24の中央領域に固着された入力軸部26とを備え、入力軸4の中央には、軸方向に延び且つ断面が円の一部を切り欠いた形状である貫通した軸孔28が形成されている。カム体24の外周縁部には、周方向において近接する一対の空間部30a及び30bが設けられている。一対の空間部30a及び30bの夫々の縁部には、後述するとおり作動歯車12に固着された突出部が挿入された際に、周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線状のカム面32a及び32bが形成されている。図示の実施例においては、一対の空間部30a及び30bは直径方向に対向して2対設けられており、いずれの空間部も断面略扇形状であって半径方向を軸として周方向に対称である。空間部30aは図1のA−A断面図及び図6(e)において空間部30bの時計方向側に位置している。カム面32aは周方向に見て空間部30bとは反対側(つまり同図において時計方向側)の半径方向外側縁部において、時計方向に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びている。カム面32bは、空間部30bにおける周方向に見て空間部30aとは反対側(つまり同図において反時計方向側)の半径方向外側縁部において、反時計方向に向かって半径方向内側に傾斜して直線状に延びている。
出力軸6は、外歯歯車である出力歯車34と、この出力歯車34の片側端面の中央領域に固着された出力軸部36とを備え、出力軸6の中央には、軸方向に延び且つ断面が円の一部を直線状に切り欠いた形状である貫通した軸孔38が形成されている。出力軸6の軸孔38は入力軸4の軸孔28と同一形状である。
キャリア8は、円環状の平板部材である基部40と、基部40の片側端面から軸方向片側に延びる中間キャリア軸42及び作動キャリア軸44と、基部40の外周縁から軸方向片側に延びる円筒形状の外側壁46とを備えている。中間キャリア軸42及び作動キャリア軸44は共に断面円形の棒状部材であって、夫々周方向所定角度位置に4つずつ設けられている。中間キャリア軸42及び作動キャリア軸44は夫々、周方向に見て2つずつ周方向に交互に配置されている。中間キャリア軸42は作動キャリア軸44よりも短い。図6(a)の右図を参照することによって明確に理解されるとおり、全ての中間キャリア軸42の中心を結ぶ仮想円(これを二点鎖線で示す)の直径は、全ての作動キャリア軸44の中心を結ぶ仮想円(これを二点鎖線で示す)の直径よりも僅かに小さい。つまり、中間キャリア軸42と作動キャリア軸44とは同一円周上には位置せず、中間キャリア軸42の方が作動キャリア軸44よりも幾分径方向内側に位置している(従って、後述するとおり、中間歯車10及作動歯車12が中間キャリア軸42及び作動キャリア軸44に夫々軸支された際には、作動歯車12は中間歯車10よりも径方向外側に位置し、一対の作動歯車12の各々は、噛み合う中間歯車10に対して互いに周方向の逆側に配置されることとなる)。外側壁46の延出端には、周方向に等角度間隔をおいて4個の切欠き48が形成されている。このようなキャリア8には、図6(f)で示すキャリア補助50が一体的に結合される。キャリア補助50はキャリア8の基部40に対応した円板形状であって、作動キャリア軸44を軸受する支持孔52が形成されている。キャリア補助50には更に、中央穴54、及び外側壁46に設けられた切欠き48と嵌り合う爪56が形成されている。
中間歯車10及び作動歯車12は共に外歯歯車であり、作動歯車12の軸方向片側端面には、軸方向に突出し断面形状が正多角形である突出部58が固着されている。図示の実施例においては、突出部58の断面形状は正六角形であり且つ空間部30a及び30bの断面よりも充分小さい。
上述した各構成部品は以下のような状態でハウジング2の空間部18内に収容される。
出力軸6の出力軸部6はキャリア8の中央に挿通され、中間歯車10及び作動歯車12は中間キャリア軸42及び作動キャリア軸44によって夫々軸支される。このとき、中間歯車10は出力歯車34及び作動歯車12と噛み合うが、出力歯車34は作動歯車12とは噛み合わない。入力軸4のカム体24は、作動歯車12の突出部58が一対の空間部30a及び30bの夫々に挿入された状態で、ハウジング2の空間部18内に配置される(空間部30aに挿入された突出部を番号58a、空間部30bに挿入された突出部を番号58bとし、これらをまとめて一対の突出部58a及び58bとする)。キャリア補助50はカム体24がハウジング2の空間部18内に配置された後にキャリア8の外側壁46と組み合わされ、作動キャリア軸44が支持孔52によって軸支される。
続いて、図1に示すフリータイプ双方向クラッチの作動について、図2乃至図4を参照して説明する。
図2における各矢印に示すように、入力軸4が、駆動源のモーターにより反時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に回転すると、入力軸4のカム体24に形成された一対の空間部30a及び30bが反時計方向に移動する。そうすると、空間部30aの外側縁部分に形成された直線状のカム面32aと突出部58aの外周面とが面接触して突出部58aの回転が阻止される。これによって、突出部58aが固着した作動歯車12、及びこれと噛み合う中間歯車10の自転も阻止される。この状態から入力軸4を更に回転させると、自転が阻止された作動歯車12及び中間歯車10、これらを支持するキャリア8と共に、中間歯車10と噛み合う出力歯車34がカム体24と一体となって回転する。つまり、出力軸6は入力軸4と一体となって回転する。入力軸4が計方向に回転した場合には、カム面32bと突出部58bの外周面とが面接触し、突出部58bが固着した方の作動歯車12の自転が阻止されることを除いては、入力軸4が時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
これに対して、入力軸4の反時計方向の回転が停止した後に、出力軸6が図3に示す矢印のとおり反時計方向(中央縦断面図の右方向から見て)に回転した場合には、出力軸6の出力歯車34がこれと噛み合う中間歯車10を時計方向に自転させると共に、中間歯車10がこれと噛み合う作動歯車12を反時計方向に自転させようとするが、入力軸4の反時計方向の回転が停止した状態にあっては、突出部58aの外周面がカム面32aと面接触していることから、突出部58aはその場で自転することはできない。ここで、作動歯車12の自転が阻止された状態で出力軸6を上記のとおりに回転させようとすると、出力歯車34と噛み合う中間歯車10を介してこれを軸支するキャリア8が出力歯車34の自転方向と同一方向に僅かに回転(公転)し、キャリア8によって軸支される作動歯車12も同一方向に公転する。かかる作動歯車12の公転の方向は、空間部30aにおいて突出部58aがカム面32aから離隔する方向であり、これにより空間部30aにおいて突出部58aは回転可能となる。従って、出力軸6が反時計方向に回転しても、中間歯車10が時計方向に回転すると共に作動歯車12が反時計方向に回転するだけで、出力軸6の回転が入力軸4に伝達されることはない。
一方、入力軸4の反時計方向の回転が停止した後に、出力軸6が図4に示す矢印のとおりに時計方向(中央縦断面図の右方向から見て)に回転した場合には、出力軸6の出力歯車34がこれと噛み合う中間歯車10を反時計方向に自転させると共に、中間歯車10がこれと噛み合う作動歯車12を時計方向に自転させようとするが、上述したとおり、突出部58aの回転が阻止されていることから、突出部58aはその場では自転することはできない。ここで、作動歯車12は出力歯車6と同一方向つまり時計方向に自転しようとすることから、作動歯車12に固着された突出部58aも計方向に自転しようとする。突出部58aが上記のとおりに自転しようとすると、突出部58aの断面において半径方向外方に位置する端縁がカム面32aを押すことで、その反力によって突出部58aにはカム面32aから離隔する反時計方向(これは出力歯車34の自転方向とは反対方向)に周方向の力F1が作用する。一方、中間歯車10には、上述したとおり、出力歯車34との噛み合いによって出力歯車34の自転方向と同一の時計方向に周方向の力F2が作用する。ここで、突出部58aがカム面32aから受ける力F1は中間歯車10が出力歯車34から受ける力F2よりも径方向外方において作用するため、所謂腕の長さが力F2よりも力F1の方が長く、力F1によるモーメントが支配的となる。このことから、出力歯車34が時計方向に回転すると、突出部58aが、カム面32aから離隔する反時計方向に公転すると共に空間部30a内で自転可能となり、作動歯車12も自転可能となる。従って、出力軸6が時計方向に回転しても、中間歯10車及び作動歯車12が夫々自転するだけで、出力軸6の回転が入力軸4に伝達されることはない。
このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができ、従来のフリータイプ双方向クラッチよりも小型化することができる。
以上詳述したように、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、出力歯車と一対の作動歯車との間に、各々の作動歯車に対して周方向の逆側で噛み合うよう一対の中間歯車を配置し、一対の作動歯車の各々には、軸方向に突出し且つ断面形状が正多角形である突出部を設けると共に、入力軸には、突出部の外周面が当接し且つ周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなす一対のカム面が形成されたカム体を設け、入力軸が回転したときは、作動歯車の自転を阻止してこれをロック状態とし、出力軸へ回転を伝達する一方、出力軸が回転したときは、作動歯車に固着された突出部が入力軸のカム面から離隔して、作動歯車が回転可能となり、入力軸が停止位置を保持した状態で出力軸を空転させるものである。
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、上述した実施例においては、カム面は円板形状のカム体に形成された空間部の外側縁部に形成されていたが、これに替えて、図7に示す変形例のとおり、カム体24´の形状を略菱形として、その直線状の外周面にカム面32a´及び32b´を形成してもよい。また、上述した実施例においては、出力歯車は外歯歯車であったが、これに替えて内歯歯車としてもよい。出力歯車を内歯歯車とした場合には、全ての中間キャリア軸の中心を結ぶ仮想円の直径を全ての作動キャリア軸の中心を結ぶ仮想円の直径よりも大きくすると共に、キャリアの基部を入力軸側に配置して中間キャリア軸及び作動キャリア軸が入力軸側から出力軸側に延出するようにする。
2:ハウジング
4:入力軸
6:出力軸
8:キャリア
10:中間歯車
12:作動歯車
24:カム体
30a及び30b:空間部
32a及び32b:カム面
34:出力歯車
42:中間キャリア軸
44:作動キャリア軸
58:突出部

Claims (4)

  1. 回転不能のハウジングと、前記ハウジング内で共通の中心軸の周りに回転可能な入力軸及び出力軸とを備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う少なくとも一対の中間歯車と、前記一対の中間歯車の各々と噛み合う一対の作動歯車と、前記中間歯車及び前記作動歯車の各々を回転可能に軸支し、前記共通の中心軸の回りに回転可能なキャリアとが設置され、
    前記作動歯車は前記中間歯車よりも径方向外側に位置し、前記一対の作動歯車の各々は、噛み合う前記中間歯車に対して互いに周方向の逆側に配置され、
    前記一対の作動歯車の各々には、軸方向に突出し断面形状が正多角形である突出部が固着されるとともに、前記入力軸には、前記突出部の外周面が当接する一対のカム面が形成されたカム体が設けられ、前記一対のカム面の各々は、周方向に対し互いに逆向きに傾斜する直線をなしており、
    前記入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、前記一対の作動歯車の一方における前記突出部の外周面が前記カム体のカム面に当接し、前記作動歯車の自転が阻止されて前記出力軸が前記キャリアと一体的に回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記一対の作動歯車の双方の自転が許容されて、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記カム体には前記一対の作動歯車に固着された突出部の各々が挿入される一対の空間部が設けられ、前記一対の空間部の各々の外側縁部分に前記カム面が形成されている、請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記キャリアは前記作動歯車を回転可能に軸支するキャリア軸を備え、前記キャリア軸は、前記キャリアと一体的に結合されるキャリア補助によって軸受される、請求項1又は2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 前記キャリアの外周縁には円筒形状の外側壁が形成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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