JP2020172968A - フリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】入力軸が停止した位置を保持したまま出力軸を双方向に空転させることができ且つ長寿命のフリータイプ双方向クラッチを提供すること。【解決手段】外周面に凹部52が形成されたカム体48を遊星歯車46と軸方向に並列して固着するとともに、上記カム体48が挿入される空間部32を入力軸4に設ける。入力軸4が回転し、空間部32においてカム体48が所定の姿勢で入力軸4と当接すると遊星歯車体8の自転が阻止され、これによって遊星歯車46が出力歯車42と一体となって共通の回転軸の周りを回転することで入力軸4から出力軸6へ回転が伝達される。一方、出力軸6が回転したときは、カム体48が空間部32で空転することで、遊星歯車体8を自転させ、出力軸6から入力軸4への回転の伝達を遮断するようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で双方向クラッチと呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向回転及び逆方向回転をともに出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、巻き上げ式の電動カーテン等を手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用することができる。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとカーテンの巻き上げ機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸に巻き上げ機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとカーテンの昇降が可能であるとともに、駆動モーターの停止位置においては、手動による巻き上げ機構の操作が可能であって、このときには、出力軸が空転するので駆動モーターに悪影響を及ぼすことがない。こうした機能は、駆動モーターと巻き上げ機構との間に電磁クラッチを設置し、これを断・接しても達成できるが、電磁クラッチを作動させるには電力を必要とし、電力制御のための複雑な制御装置等も必要となる。
フリータイプ双方向クラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第5926846号に記載された双方向クラッチが知られており、これについて、図7を参照して説明する。
図7に示すとおり、このフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジングH内に、共通の中心軸の回りに回転可能な入力軸I及び出力軸Oが設置されている。入力軸I及び出力軸Oには、入力円板部材IM及び出力歯車(太陽歯車)OGが夫々固着されている。ハウジングH内には更に、出力歯車OGと噛み合う遊星歯車PG有する6個の遊星歯車体PBが配置され、夫々の遊星歯車体PBはキャリアCによって回転可能に軸支されている。遊星歯車体PBには、断面の外周が正9角形である筒状のカム体CBが遊星歯車PGと同心に固着されている。入力円板部材IMには、カム体CBが挿入される空間部Sが設けられている。空間部Sの断面形状は周方向に対称であって且つ挿入されたカム体CBが空転することができる程度に大きく、空間部Sの周方向両側には平面である当接面Saが設けられている。
入力軸Iが回転すると、入力円板部材IMが周方向に移動し、当接面Saがカム体CBと当接する。このとき、図8(a)に示すとおり、当接面Saとカム体CBの外周面とは共に平面であることから両者は面接触し、空間部Sにおいてカム体CBの姿勢が保持されて遊星歯車体PBの自転が阻止される。これによって、遊星歯車PGと出力歯車OGとが噛み合った状態のまま、入力円板部材IMの回転によって、遊星歯車体PB、キャリア体CB、及び出力軸Oは入力軸Iと一体となって同一方向に回転する。
これに対し、出力軸Oが回転した場合には、出力歯車OGと噛み合う遊星歯車PGが空転し(従って空間部Sにおいてカム体CBも空転し)、入力軸Iへの回転の伝達は遮断される。
ここで、入力軸Iの回転が停止し、空間部Sにおいて入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触している状態で、出力軸Oが回転しようとする場合には、図8(b)上図に示すとおり、カム体CBの二点鎖線で示す外接円の半径r1がカム体CBの自転中心から当接壁部Saまでの距離r2よりも長く(r1>r2)、この状態では空間部Sにおいてカム体CBは自転することはできない(つまり遊星歯車体PBは自転することができない)。しかしながら、入力軸Iは回転不能であり従って入力円板部材IMは動かないことから、上記状態でカム体CBが自転しようとすると、当接壁部Saと接触するカム体CBの外周面の片端縁Pが当接壁部Saを周方向に押したことによる反力(さらに詳しくは、共通の中心軸周りの周方向分力)によって、図8(b)下図に示すとおり、カム体CBはこれを軸支するキャリア体CBと共に当接壁部Saから離隔する方向に移動してr2がr1以上となり(r1≦r2)、空間部Sにおいてカム体CBは自転可能となる。従って、入力円板部IMの当接面Saとカム体CBの外周面とが面接触し、カム体CBの姿勢が保持されていた状態であっても、カム体CBと共にキャリア体CBが移動することでカム体CBの空転が可能となり、入力軸Iに回転を伝達することなく、出力軸Oは回転可能となる。
特許第5926846号公報
上述のとおり、図7のフリータイプ双方向クラッチにおいては、入力軸が停止した位置を保持したまま、出力軸を双方向に空転させることができる。これにより、出力軸の逆方向の空転を可能とするために、入力軸を停止した位置からわずかに戻すような煩雑な作業は不要であり、使用勝手の優れたものとなっている。しかしながら、図7のフリータイプ双方向クラッチには、以下のような点について改良の余地が残されている。
図7のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸Iの回転が停止し、空間部Sにおいて入力円板部IMの当接壁部Saとカム体CBの外周面とが面接触している状態で、出力軸Oが回転しようとすると、上述したとおり、カム体CBの外周面の片端縁Pが当接壁部Saを周方向に押す。ここで、片端縁Pはカム体CBの断面外周形状における角部でもあることから、上記状態で繰り返し出力軸Oを回転させると、上記角部が削れてカム体CBの断面外周形状における直線部分が低減してしまうおそれがある。カム体CBの断面外周形状における直線部分が低減すると、入力軸Iが回転した際に、入力平板部材IMの当接面Saとカム体CBの外周面との間で面接触する面積が低減し、入力円板部材IMがカム体CBの自転を充分に阻止することができず、入力軸Iから出力軸Oへの伝達効率が低下する可能性がある。また、出力軸を回転させる際の初期段階においては、カム体の角部である片端縁Pがカム体CBの平坦な外周面を押すことから、好ましくない引っ掛かりを生じうる。
上記の課題を解決するため、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、外周面に凹部が形成されたカム体を遊星歯車と軸方向に並列して固着するとともに、上記カム体が挿入される空間部を入力軸に設け、入力軸が回転し、空間部においてカム体が所定の姿勢で入力軸と当接すると遊星歯車体の自転が阻止され、これによって遊星歯車が出力歯車と一体となって共通の回転軸の周りを回転することで入力軸から出力軸へ回転が伝達されるのに対し、出力軸が回転したときは、カム体が空間部で空転することで、遊星歯車体を自転させ、出力軸から入力軸への回転の伝達を遮断するものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、前記遊星歯車と軸方向に並列してカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、周方向に対称的な周壁を備えた空間部が設けられ、
前記カム体の外周面には、軸方向に延在する凹部と、前記凹部の両側縁に接続された曲率半径の比較的小さい小円弧状部とが形成されるとともに、前記空間部の前記周壁には、曲率半径の比較的大きい大円弧状部が形成され、
前記入力軸が回転したときは、前記空間部の前記周壁が前記カム体の前記凹部の両側縁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチである。
好ましくは、前記空間部の前記周壁には、軸方向に延在する凸部が形成され、前記凸部の両側縁には前記大円弧状部が接続されており、前記入力軸が回転したときは、前記凸部が前記凹部と接触する。この場合には、前記凹部及び前記凸部の横断面は共に円弧形状であって、前記凹部の曲率半径は前記凸部の曲率半径よりも大きいのが好ましい。好適には、前記カム体の外周面には、前記凹部が周方向に間隔をおいて複数設けられている。前記ハウジングの内部には、前記キャリア体と組み合わされるキャリア体補助が配置されており、前記遊星歯車体を軸支する前記キャリア体のキャリア軸は前記キャリア体補助によって支持されるのがよい。前記キャリア体には、波ばねによって所定の拘束力が付与されているのが好適である。
本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に、共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を設置し、出力軸には出力歯車を設ける。ハウジングの内部には更に、出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、この遊星歯車体を回転可能に軸支すると共に自身も上記共通の回転軸を中心として回転可能なキャリア体を配置する。遊星歯車体には、遊星歯車と軸方向に並列してカム体が固着されるとともに、入力軸には、突出部が挿入される、周方向に対称的な周壁を備えた空間部を設ける。そして、カム体の外周面には、軸方向に延在する凹部と、この凹部の両側縁に接続される曲率半径の比較的小さい小円弧状部を形成するとともに、空間部の周壁には、曲率半径の比較的大きい大円弧状部を形成する。
入力軸が回転すると、カム体に対して空間部が移動し、空間部の周壁がカム体と接触する。このとき、空間部の周壁がカム体の外周面に形成された凹部の両側縁と接触すると、カム体の姿勢が保持されて遊星歯車体の自転が阻止される。これは、後に図2を参照して詳述するとおり、入力軸の回転によってカム体の凹部の両側縁の各々には空間部の周壁から力が加えられるものの、各々の力のベクトル(凹部の両側縁における法線ベクトル)による、カム体の遊星歯車の中心軸周りの回転モーメントは相殺されるためである。カム体の姿勢が保持、つまり遊星歯車体の自転が阻止された状態で入力軸が回転すると、遊星歯車体及びこれを軸支するキャリア体、更に遊星歯車と噛み合う出力歯車を有する出力軸は入力軸と一体的に回転する。従って、入力軸の回転は出力軸へ伝達されることとなる。
出力軸が回転すると、出力歯車と遊星歯車との噛み合いによって遊星歯車体を自転させ、これを空転させることで出力軸から入力軸への回転の伝達を遮断する。
本発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては、カム体の外周面には軸方向に延在する凹部が形成されており、入力軸が回転すると空間部の周壁はカム体の凹部の両側縁の各々に接触し、カム体には凹部の両側縁の各々から力が加えられるものの、各々の力のベクトルによるカム体の遊星歯車を中心とした回転モーメントは相殺される点に特徴がある。本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、この特徴点を備えている故に、入力軸が停止した位置を保持したまま出力軸を回転させようとする作動を繰り返し行ってカム体の外周面が削れたとしても、入力軸を回転させた際には確実にカム体の自転を阻止して、入力軸から出力軸へ回転を伝達することができる。また、出力軸を回転させた際には、カム体は空間部において空転するだけで、カム体が空間部内において回転を開始しても、空間部の周壁との間で引っ掛かりを生じることはない。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例を示す構造図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチにおいて入力軸を回転させたときの状態を示す図である。 図2に示す状態から入力軸の回転が停止した後に出力軸を回転させるときの初期状態を示す図である。 図3に示す状態から更に出力軸を回転させたときの状態を示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの静止部材を単体で示す図である。 図1に示すフリータイプ双方向クラッチの回転部材を単体で示す図である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの構造を示す図である。 図7に示す従来のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明するための図である。
以下、図面に基づいて本発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本発明のフリータイプ双方向クラッチの実施例の全体構造を示し、その作動の説明図を図2乃至図4に示す。また、図5及び図6は本発明のフリータイプ双方向クラッチの主要構成部品を単体の状態で示すものである。
図1に示すフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面円形のハウジング2と、このハウジング2内で共通の回転軸(中心軸)oの周りに回転可能な入力軸4及び出力軸6とを備えている。ハウジング2の内部には更に、遊星歯車体8、これを回転可能に軸支するキャリア体10、キャリア体10に所定の拘束力を付与する波ばね12も配置されている(構造を理解しやすくするために、キャリア体10にはハッチングを、遊星歯車体8の中央縦断面図には薄墨を、夫々付して示している)。ハウジング2内には適宜の潤滑剤も封入されている。
図1と共に図5を参照して説明すると、ハウジング2は、端板部14と周壁部16とからなるカップ状部材であって、その中心軸は入力軸4及び出力軸6の回転軸oと同一である。ハウジング2の内側には略円柱形状の収容空間部が設けられており、その開口端部には内部を閉鎖するシールド体18がボルトのような適宜の固定具により取り付けられる。入力軸4はシールド体18を貫通してこれによって回転可能に軸支されると共に、出力軸6はハウジング2の端板部14を貫通してこれによって回転可能に軸支される。端板部14の内面の外周縁部には波ばね12が配置される円環形状の溝20が形成されている。端板部14の内面の中央には、出力軸6を軸方向に支持するとともに、キャリア体10を径方向に支持する円筒形状の支持部22が形成されている。
図1と共に図6を参照して説明を続けると、入力軸4は、断面の外周が円形である入力軸部24と、この入力軸部24の先端において入力軸部24と同軸上に固着された板状の入力フランジ26とを有しており、中央には軸方向に貫通した軸穴が形成されている。この軸穴は円の一部を直線状に除去した形状であって、ここにはモーターの如き適宜の駆動源が接続される。入力フランジ26の外周縁部には、径方向外方に開放された切欠き30が周方向に等角度間隔をおいて3個設けられており、周方向に隣接する切欠き30の外周縁は互いに円弧状に接続されている。いずれの切欠き30も軸方向に貫通しており、この切欠き30には、キャリア体10の後述する支持筒が少なくとも周方向において当接することなく挿通される。周方向に隣接する2つの切欠き30の周方向中央位置には夫々軸方向に貫通した空間部32が設けられている。空間部32は入力フランジ26の径方向中間部に位置し、周方向に対称的な周壁34を備えている。周壁34には曲率半径の比較的大きい大円弧状部36が形成されている。図示の実施形態においては、周壁34には、軸方向に直線状に延在する凸部38も形成されており、凸部38の両側縁に大円弧状部36が接続されている。凸部38の両側縁に接続された2つの大円弧状部36は、図6(a)右図において二点鎖線で示すとおり、同一の円弧の一部をなしている。凸部38は周壁34の径方向中間部に設けられており、凸部38の横断面は曲率半径の比較的小さい円弧形状である。
出力軸6は、中実棒状の出力軸部40と、この出力軸部40の先端において出力軸部40と同軸上に固着された出力歯車42とを有している。出力軸部40の外周面には軸方向に延びる溝44が形成されており、出力軸部40には適宜の従動部材が接続される。
遊星歯車体8は、遊星歯車46、及び遊星歯車46の軸方向端面に固着されたカム体48を備えており、中央には軸方向に貫通した断面円形の軸穴が形成されている。カム体48の外周面には、軸方向に延在する凹部52と、凹部52の両側縁に接続された曲率半径の比較的小さい小円弧状部54とが形成されている。図示の実施形態においては、凹部52及び小円弧状部54は4つずつ周方向に等角度間隔をおいて交互に設けられており、全ての小円弧状部54は、図6(b)右図において二点鎖線で示すとおり、同一円周上の一部をなしている。凹部52の横断面は円弧形状である。小円弧状部54の曲率半径は入力軸4に形成された大円弧状部36の曲率半径の半分であって、凹部52の曲率半径は入力軸4に形成された凸部38の曲率半径の2倍である。遊星歯車体8は、キャリア体10の後述するキャリア軸によって回転可能に支持され、遊星歯車46が出力歯車42と噛み合うとともに、カム体48が入力軸4の空間部32に挿入される。
キャリア体10は、中央に円形の貫通口が形成された円板形状のキャリア板58を備えている。キャリア板58の径方向中間部には、キャリア板58に対して垂直に延びる断面円形のキャリア軸60が周方向に等角度間隔をおいて3個設けられている。キャリア板58の外周縁部には、キャリア板58に対して垂直に延びる円筒形状の支持筒62も周方向に等角度間隔をおいて3個設けられている。支持筒62は、周方向に見て、隣接する2つのキャリア軸60の中央の角度位置に設けられている。支持筒62の延出長さはキャリア軸60よりも短く、支持筒62の延出端は開放されている。キャリア体10は中央の貫通口をハウジング2の支持部22の外周に嵌め合わせて配置され(図5も併せて参照されたい)、夫々のキャリア軸60には遊星歯車体8が回転可能に軸支される。ここで、上述したとおり、ハウジング2の溝20には波ばね12が配置され、この波ばね6の弾性力によってキャリア体10には所定の拘束力が付与されることで後述するとおりのキャリア体10の回転動作が安定する。
ハウジング2の内部にはキャリア体10と組み合わされるキャリア体補助64も配置されている(図1等には、キャリア体補助64にもハッチングを付して示している)。キャリア体補助64は、中央に円形の貫通口が形成された円板形状のキャリア補助板66を備えている。このキャリア補助板66には、キャリア体10に形成されたキャリア軸60を軸受する小孔68が形成されているとともに、キャリア体10に形成された支持筒62に挿通される支持軸70が固着されている。キャリア体補助64は入力フランジ26とシールド体18との間に配置され、キャリア板58と共に遊星歯車体8を軸方向に支持する。
続いて、図1に示すフリータイプ双方向クラッチの作動について、図2乃至図4を参照して説明する。
図2における各矢印に示すように、入力軸4が、駆動源のモーターにより反時計方向(中央縦断面図の左方から見て)に回転すると、入力軸4の入力フランジ26に形成された空間部32も反時計方向に移動し、空間部32の周壁34がカム体48に当接する。このとき、空間部32の周壁34がカム体48の外周面に形成された凹部52の両側縁(これをP1及びP2で示す)と接触すると、カム体48の姿勢が保持されて遊星歯車体8の自転が阻止される。これについて、図2のC部拡大図を参照して説明する。カム体48の外周面に形成された小円弧状部54の曲率半径が空間部32の周壁34に形成された大円弧状部36の曲率半径に比べて小さいため、カム体48の外周面は凹部52の両側縁P1及びP2において空間部32の周壁34と線接触(横断面においては点接触)する。そして、入力軸4の回転によってカム体48の凹部52の両側縁P1及びP2の各々には空間部32の周壁34から同図において矢印で示される力が加えられるものの、各々の力のベクトル(凹部52の両側縁P1及びP2における法線ベクトル)による、カム体48の遊星歯車46の中心軸周りの回転モーメントは相殺されるためである。図示の実施形態においては、周壁34に形成された凸部38もカム体48の凹部52と接触し、凸部38と凹部52との間の摩擦によってもカム体48の姿勢が保持される。このとき、凸部38から凹部52に加えられる力のベクトル(凸部38と凹部52との当接点における法線ベクトル)は遊星歯車46の中心を通過し、凸部38から凹部52に加えられる力によってはカム体48には遊星歯車46の中心軸周りの回転モーメントは生じない。なお、カム体48が凹部52の両側縁P1及びP2以外の点で空間部32の周壁34と当接する場合には、上記周壁34とカム体48との相互摩擦力によってカム体48は遊星歯車46の中心軸周りを自転すると共に共通の中心軸oの周りを公転する。カム体48の姿勢が保持、つまり遊星歯車体8の自転が阻止された状態で入力軸4が回転すると、遊星歯車体8及びこれを軸支するキャリア体10、更に遊星歯車46と噛み合う出力歯車42を有する出力軸6は入力軸4と一体的に回転する。従って、入力軸4の回転は出力軸6へ伝達されることとなる。
入力軸4が時計方向に回転した場合は、入力軸4が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
これに対して、出力軸6が回転した場合には、図4に示すとおり、出力歯車42と遊星歯車46との噛み合いによって遊星歯車体8を自転させ、これを空転させることで出力軸6から入力軸4への回転の伝達を遮断する。
ここで、図示の実施形態においては、空間部32の周壁34には凸部38が形成されているため、入力軸4の反時計方向の回転が停止し、上記凸部38がカム体48の凹部52と接触している状態で、出力軸6が回転した場合には、カム体48は以下のように作動する。即ち、例えば出力軸6が図3の矢印のとおり反時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に回転しようとした場合、出力歯車42の回転によって遊星歯車46が自転しようとすると、遊星歯車46と一体であるカム体48も自転しようとする。このとき、図3に示すとおり、カム体48は、上記凹部52と上記凸部38とが接触しているためその場で自転することはできず、凹部52が凸部38に沿って周方向に移動し、それまで接触していた周壁34から離隔する方向に僅かに移動(公転)しながら自転することとなる(図3のC部拡大図を参照されたい)。これにより、カム体48を軸支するキャリア体10が図3において小矢印で示すとおり全体的に僅かに回転する。そして、凹部52が凸部38から完全に離隔すると、図4に示すとおり、かかる位置にてカム体48は自転のみをすることとなる。図示の実施形態においては、凹部52及び凸部38の横断面は共に円弧形状であって、凹部52の曲率半径は凸部38の曲率半径よりも大きく設定されているため、上記のとおりのカム体48の作動は円滑であって、出力軸6が回転する場合に引っ掛かりが生じることはない。以上のことから、出力軸6が回転したときは、遊星歯車体8は空転し、出力軸6の回転が入力軸4へ伝達されることはない。なお、周壁34に凸部38が形成されていない場合、カム体48は上記公転をすることなく、その場で自転する。従って、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸4が停止した位置を保持したまま、出力軸6を双方向に空転させることができる。
図3に示す状態から、出力軸6が時計方向(中央縦断面図の右方から見て)に回転した場合も、出力軸6が反時計方向に回転した場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。
以上、添付した図面を参照して本発明のフリータイプ双方向クラッチについて詳述したが、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、上記実施例においては、出力歯車は太陽歯車であったが、これに替えて、リング歯車(内歯歯車)にすることもできる。
2:ハウジング
4:入力軸
6:出力軸
8:遊星歯車体
10:キャリア体
12:波ばね
32:空間部
34:周壁
36:大円弧状部
38:凸部
42:出力歯車
46:遊星歯車
48:カム体
52:凹部
54:小円弧状部
64:キャリア体補助

Claims (6)

  1. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力軸には前記回転軸と同軸に出力歯車が固着され、前記ハウジングの内部には、前記出力歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を回転可能に軸支するキャリア体とが配置され、
    前記遊星歯車体には、前記遊星歯車と軸方向に並列してカム体が固着されるとともに、前記入力軸には、前記カム体が挿入される、周方向に対称的な周壁を備えた空間部が設けられ、
    前記カム体の外周面には、軸方向に延在する凹部と、前記凹部の両側縁に接続された曲率半径の比較的小さい小円弧状部とが形成されるとともに、前記空間部の前記周壁には、曲率半径の比較的大きい大円弧状部が形成され、
    前記入力軸が回転したときは、前記空間部の前記周壁が前記カム体の前記凹部の両側縁と接触した状態で、前記カム体の姿勢が保持されて前記遊星歯車体の自転が阻止され、前記出力歯車が前記遊星歯車と一体となって前記共通の回転軸の周りを回転する一方、前記出力軸が回転したときは、前記カム体が前記空間部で空転して前記遊星歯車体が自転し、前記入力軸への回転の伝達が遮断される、ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記空間部の前記周壁には、軸方向に延在する凸部が形成され、前記凸部の両側縁には前記大円弧状部が接続されており、前記入力軸が回転したときは、前記凸部が前記凹部と接触する、請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記凹部及び前記凸部の横断面は共に円弧形状であって、前記凹部の曲率半径は前記凸部の曲率半径よりも大きい、請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 前記カム体の外周面には、前記凹部が周方向に間隔をおいて複数設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  5. 前記ハウジングの内部には、前記キャリア体と組み合わされるキャリア体補助が配置されており、前記遊星歯車体を軸支する前記キャリア体のキャリア軸は前記キャリア体補助によって支持される、請求項1乃至4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  6. 前記キャリア体には、波ばねによって所定の拘束力が付与されている、請求項1乃至5のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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