JP2019158061A - リンク部材を利用するフリータイプ双方向クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】入力部材と出力部材との間に設けたリンク部材の姿勢を変更して回転の伝達と遮断を行わせる、簡易でコンパクトな構成のフリータイプ双方向クラッチを提供する。
【解決手段】環状の周壁部32を有する出力部材3をハウジング1内に設置し、周壁部32内には、出力部材3と共通の回転軸oの回りに回転可能な入力部材2を設置する。周壁部32の外周面には、わずかに凹所となったカム面を等間隔に形成するとともに、入力部材2にはリンク部材4を回動可能に枢着して、リンク部材4の係合軸42を周壁部32の外周面に対向させる。入力部材2が回転していないときは、2個のコイルばね9によりリンク部材4が図示の中立位置にあり、出力部材3からの回転伝達が遮断される。入力部材2が回転すると、係合軸42の回転の位相が遅れる結果、リンク部材4が傾いて係合軸42がカム面に当接し、出力部材3がリンク部材4に連れ回されて回転する。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力を出力軸に伝達し、出力軸からの動力の伝達は、出力軸を空転させて遮断するフリータイプ双方向クラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の中で「双方向クラッチ(又は「逆入力遮断クラッチ」)」と呼ばれるものは、入力軸(駆動側)から出力軸(従動側)への動力伝達では、入力軸の正方向及び逆方向の回転を共に出力軸に伝達し、反対向きの、出力軸から入力軸への動力伝達は遮断する機能を備えている。双方向クラッチには、出力軸からの動力伝達を遮断するときに出力軸を空転させるクラッチがあり、フリータイプ双方向クラッチと呼ばれている。
フリータイプ双方向クラッチは、一例として、電動式の開閉ドアを手動でも操作できるようにした開閉駆動装置に適用可能であって、下記の特許文献1には、いわゆるワンボックスカーに装着されたスライドドアを、駆動モーターでも手動でも開閉できるようにした伝達装置が開示されている。この場合、フリータイプ双方向クラッチは、駆動モーターとドア開閉機構との間に介在され、入力軸に駆動モーターが、出力軸にドア開閉機構が連結される。駆動モーターを正・逆回転させるとドアの往復スライドが可能であるとともに、駆動モーターの停止時においては手動によるドアの開閉操作が可能であって、このときには、出力軸が空転して負荷となる駆動モーターが切り離されるので、手動の際の操作力が軽減される。
フリータイプ双方向クラッチは、手動操作可能な電動式開閉ドアに用いる以外にも、例えば、複写機の紙送り用ローラーに適用することも可能で、これに適用すると、紙詰まりの用紙を取り除くときに、ローラーを手動で逆回転させることができる。そして、フリータイプ双方向クラッチを利用すると自動的な動力伝達の制御が可能となって、電磁クラッチにより制御する場合のような、電力等の使用が不必要となるとともに、出力軸側から不測の逆入力があった場合に、駆動源のモーター等を保護することも可能となる。
フリータイプ双方向クラッチには各種の方式があり、特許文献1のものは、入力軸が回転したときに径方向外方に移動する「コロ部材」を用い、この「コロ部材」をドア開閉機構に連なる出力軸側の部材に係脱させて、回転の伝達・遮断を制御している。下記の特許文献2には、周知のローラー型一方向クラッチと同様に、楔形の空間内に挿入されたローラーの噛み込み作用を利用して、入出力軸間の回転の伝達・遮断を制御する双方向クラッチが開示されている。さらに、フリータイプ双方向クラッチとして、本出願人は、遊星歯車機構を利用する下記の特許文献3の双方向クラッチを創案しており、これについて、図9、図10により説明する。
図9の中央の縦断面図に示すように、このフリータイプ双方向クラッチは、固定された断面円形のハウジングHGの中心部に配置された入力軸ISと出力軸OSとを備え、入力軸ISにはカム体CBが固着されるとともに、出力軸OSには太陽歯車SGが固着されている。カム体CBと太陽歯車SGとは、軸方向に隣接し対向して配置され、断面A−Aに示すとおり、カム体CBの断面は、ほぼ正3角形の形状をなし、断面の外周には正3角形の辺である3個の直線部が形成されている。
カム体CBの直線部に対向するように、3個の遊星歯車体PBが周方向に等間隔をおいて配設してあり、遊星歯車体PBは、一般的な遊星歯車機構の遊星歯車と同様に、中心軸の回りに回転可能なキャリアCAの支持軸SSに軸支される。遊星歯車体PGには、太陽歯車SGと噛み合う遊星歯車PG(断面B−B)と、遊星歯車PGから軸方向に突出する正6角形断面の突出部PJ(断面A−A)とが設けてある。この突出部PJは、断面A−Aの状態では、カム体CBとの間にわずかな間隙が存在し、遊星歯車体PBの自転が許容されるように相対的な位置が設定される。
入力軸ISが、例えば、駆動源のモーターにより回転すると、図10(a)の断面A−Aに示すとおり、正3角形状のカム体CBも反時計方向に回転し、カム体CBの1辺と遊星歯車体PBの突出部PJにおける正6角形断面の1辺とが直線的に重なる。この状態では遊星歯車体PBが自転できないため、遊星歯車体PBとキャリアCAとは入力軸ISと一体的に回転する。さらに、断面B−Bに示すとおり、太陽歯車SGにより遊星歯車体PBと噛み合っている出力軸OSも、遊星歯車体PBの移動(中心軸の周りの公転)と一体となって回転する。
これに対して、図10(b)の断面B−Bに示すように、出力軸OSに固着された太陽歯車SGが回転した場合には、これと噛み合う遊星歯車PGに自転の回転トルクが付与される。この回転トルクにより、図10(b)の断面A−Aに示すように、遊星歯車体PBが入力軸ISと相対的にわずかに移動し、突出部PJがカム体CBの辺の中央に位置すると、遊星歯車体PBが自由に自転可能となる。したがって、出力軸OSが回転しても、キャリアCAに軸支された遊星歯車体PBが自転(空転)するだけであって、入力軸ISへの回転の伝達は遮断される。
特開2010−223375号公報 特開2006−234034号公報 特許第5926843号公報
フリータイプ双方向クラッチは、動力伝達系に介在されて入力軸と出力軸の間の回転伝達を制御する装置であって、伝達・遮断の作動における確実性や信頼性が求められるとともに、入力軸から出力軸への伝達トルクが大きいこと、クラッチの構造が簡素でコンパクトであること等が求められる。
特許文献1のフリータイプ双方向クラッチは、コイルばねにより径方向内側に付勢される「コロ部材」を入力軸側の部材と出力軸側の部材との間に設置するものであり、入力軸が回転したときは、コロ部材を径方向外方に移動して出力軸側の部材に係合させ、コロ部材を介して出力軸に回転を伝達する。このフリータイプ双方向クラッチは、コロ部材の付勢用のコイルばねや案内用の2個の中間プレート等を組み付ける必要があり、構造が複雑となって製造も容易ではない。
特許文献2のフリータイプ双方向クラッチは、外輪(入力部材)及び内輪(出力部材)の間に形成される楔形の空間内にローラーを挿入し、外輪と内輪との間へのローラーの噛み込みとその解除を利用して回転の伝達・遮断を行わせるものである。特許文献2のフリータイプ双方向クラッチでは、入力部材から出力部材への伝達トルクが増大したときに、ローラーが噛み込んだままとなって回転伝達の遮断が不能となる恐れがあり、また、ローラーの回転に起因して構成部品の摩耗が生じ、耐久性を損なう等の恐れもある。
特許文献3のフリータイプ双方向クラッチは、遊星歯車体の空転を利用して回転の伝達・遮断を行わせるものであり、入力部材から出力部材への伝達トルクを大きくすることができる。ただし、歯車を用いるため製造コストが増大する傾向があるとともに、出力軸の空転について次の問題がある。
図10(c)は、カム体CBの面と突出部PJの面が当接した状態で入力軸ISの回転が停止したときの、遊星歯車体PB、カム体CB及び太陽歯車SGの位置関係を表す拡大図である。ここで、実線矢印のように、太陽歯車SGの回転方向が反時計方向であれば、キャリア支持軸SSが反時計方向に移動する結果、遊星歯車体PBの自転が可能となり出力軸OSは回転(空転)することができる。しかし、破線矢印のように、時計方向に回転しようとしたときは、カム体CBによりロックされて出力軸OSの回転は不可能であり、出力軸OSを回転させるには、入力軸ISとカム体CBとを少し戻して図10(b)の断面A−Aの状態とする必要がある。
本発明の課題は、従来の各種のフリータイプ双方向クラッチにおける問題点を解消するよう、入力軸と出力軸との間にリンク部材を設置し、このリンク部材の姿勢を変更して回転伝達及び遮断を行わせる、簡易でコンパクトな構成のフリータイプ双方向クラッチを提供することにある。
上記の課題に鑑み、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、入力部材(入力軸)の周囲に環状の出力部材(出力軸)を配置して、出力部材の外周面にカム面を形成するとともに入力部材とカム面との間にトルク伝達用のリンク部材を設置し、このリンク部材の姿勢を変更して入力部材と出力部材との間の回転伝達と遮断を行わせるようにしたものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力部材及び出力部材を備え、前記入力部材からの正・逆方向の回転は前記出力部材に伝達されるとともに、前記出力部材から前記入力部材への回転の伝達は、前記出力部材が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力部材は、前記入力部材を囲んで環状に形成されていて、前記出力部材の外周面には凹所となるカム面が形成され、
前記入力部材には、枢軸を中心にして回動可能なリンク部材が枢着され、
前記リンク部材には、前記出力部材のカム面に当接可能な係合軸と、前記枢軸と前記係合軸とを連結する連結部とが設けられ、かつ、前記入力部材の停止状態において、前記係合軸が前記枢軸と同一半径上に位置する中立位置に前記リンク部材を保持する保持装置が設置されており、
前記入力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記中立位置から回動して、前記係合軸が前記出力部材のカム面に当接し、前記出力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記保持装置により中立位置に保持されて、前記係合軸と前記出力部材のカム面との当接が解除される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
本発明のフリータイプ双方向クラッチにおいては、前記リンク部材は、複数のものを前記入力部材に等間隔に枢着するとともに、前記出力部材の外周面に、前記リンク部材の整数倍の数の前記カム面を形成することができる。
前記リンク部材を中立位置に保持する保持装置としては、前記ハウジング内に回転可能に設置され、前記リンク部材の係合軸を収容する溝が形成されたリテーナ部材と、前記入力部材に固定された入力固定部材と、前記リテーナ部材と前記入力固定部材との間に配置されたばね部材とを備えているものであることが好ましい。この場合には、前記ばね部材として2個のコイルばねを使用すること、さらに、前記ハウジングと前記リテーナ部材との間に波形ばねを設置し、前記リテーナ部材の回転に対して抵抗力を付与するように構成することができる。
また、本発明のフリータイプ双方向クラッチにおいて、前記リンク部材を前記入力部材に枢着するには、前記入力部材に径方向の外方が開放された断面U字状の溝を形成し、前記リンク部材の枢軸を、前記断面U字状の溝に挿入して前記環状の出力部材の内周面に当接させるように構成することができる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に入力部材を回転可能に設置するとともに、入力部材を囲んで環状に形成された出力部材を、共通の回転軸を中心として回転可能となるように設置して、出力部材の外周面には、凹所となるようにカム面を形成する。入力部材には、枢軸を中心にして回動可能なリンク部材を枢着し、このリンク部材には、出力部材の外周面のカム面に当接可能な係合軸を設ける。そして、入力部材が停止状態にあるときにリンク部材を「中立位置」に保持する、つまり、リンク部材の回動中心である枢軸と同一半径上に係合軸が位置するように、リンク部材の姿勢を保持する保持装置を設置している。
本発明のフリータイプ双方向クラッチにおける、入力部材に回動可能に枢着されたリンク部材は、入力部材が停止しているときには中立位置に保持され、その係合軸は、枢軸と同一半径上に位置しており、入力部材(及び出力部材)の回転軸からの径方向の距離が最大の状態にある。この状態であれば、リンク部材の係合軸は、環状に形成された出力部材の外周面には当接しないので、出力部材が回転(出力部材が入力部材の回転よりも高速で回転している場合を含む)しても入力部材に回転が伝達されることはない。
入力部材が回転(入力部材が出力部材の回転よりも高速で回転している場合を含む)すると、リンク部材は、入力部材に枢着された枢軸が入力部材と一体的に回転方向に移動するのに対し、径方向の外方の係合軸は、保持装置の抵抗力や慣性等により移動が遅延するため、リンク部材が入力部材と相対的に回動して、その連結部が半径方向に対し傾斜することとなる。そのため、係合軸の回転軸からの径方向の距離が縮小し、リンク部材の係合軸は、出力部材の外周面に設けられた凹所に入り込んでカム面に当接する。入力部材がさらに回転すると、入力部材は、リンク部材により出力部材を連れ回すように回転させ、入力部材の回転トルクがリンク部材を介して出力部材に伝達される。
このように、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、入力部材に回動可能に枢着されたリンク部材を利用して、入力部材の回転を出力部材に伝達するとともに、出力部材の回転は、入力部材に伝達することなく単に空転させるものである。このフリータイプ双方向クラッチは、構成部品が少なく、しかも、部品自体が比較的単純な形状であって、フリータイプ双方向クラッチとしての作動が確実であり、全体を小型でコンパクトな構造とすることも容易である。また、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、特許文献2のフリータイプ双方向クラッチのように、ローラーの噛み込みとその解除を利用して回転の伝達・遮断を行わせるものではない。したがって、入力部材から出力部材への伝達トルクの増大により、ローラーが食い込んで解除できず作動不能となったり、ローラーの回転に起因して構成部品の摩耗が生じたりすることはない。
本発明のフリータイプ双方向クラッチのリンク部材は、中立位置から回転方向の両側に同じように回動することが可能であり、その係合軸が当接するカム面も回転方向の両側に対称的に形成することができる。そのため、本発明のフリータイプ双方向クラッチの作動は、入力部材及び出力部材の回転方向に影響されることはなく、特許文献3のフリータイプ双方向クラッチとは異なり、出力部材をどちら側に空転させるときにも、入力部材の位置を戻す必要はない。
本発明の実施形態として、複数のリンク部材を入力部材に等間隔に枢着するとともに、出力部材の外周面に、そのリンク部材の整数倍の数のカム面を等間隔に形成することができる。このようにすると、入力部材から出力部材に回転を伝達する際に、伝達トルクが周方向に均等に分割され、入力部材及び出力部材に作用する力も周方向に均等に分散されるので、回転部材のバランスが良好となり円滑な回転伝達が行われる。
リンク部材を中立位置に保持する保持装置の実施形態としては、リンク部材の係合軸を収容する溝が形成されたリテーナ部材をハウジング内に回転可能に設置し、また、入力部材には入力固定部材を固定して、リテーナ部材と入力固定部材との間に、例えば2個のコイルばね等のばね部材を配置するものとして構成することができる。こうすると、ばね部材のばね力を釣り合わせてリテーナ部材を位置決めし、リンク部材を中立位置に確実に保持することが可能となる。さらに、この実施形態の保持装置においては、リテーナ部材とハウジングとの間に波形ばねを設置し、リテーナ部材の回転に対し抵抗力を付与することが可能であって、これにより、入力部材の回転によりリンク部材を中立位置から速やかに回動させて、出力部材への回転伝達を的確に行うことができる。
また、本発明のリンク部材を入力部材に枢着する際の実施形態としては、入力部材に径方向の外方が開放された断面U字状の溝を形成し、リンク部材の枢軸を、この断面U字状の溝に挿入して環状の出力部材の内周面に当接させるようにすることができる。こうすると、リンク部材の枢着された入力部材の径を極力小さくして、フリータイプ双方向クラッチのコンパクト化を図ることができるとともに、入力部材の径方向外方からリンク部材を組み付けることが可能となって、フリータイプ双方向クラッチの製造が容易となる。
本発明のフリータイプ双方向クラッチの第1実施例を示す全体図である。 図1のフリータイプ双方向クラッチを部品単位に分解した斜視図である。 図1のフリータイプ双方向クラッチの主要部品の単体図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明する説明図である。 図1のフリータイプ双方向クラッチの保持装置の変形例1を示す図である。 図1のフリータイプ双方向クラッチの保持装置の変形例2を示す図である。 図1のフリータイプ双方向クラッチの保持装置の変形例3を示す図である。 本発明のフリータイプ双方向クラッチの第2実施例を示す全体図等である。 従来のフリータイプ双方向クラッチの一例を示す全体図である。 図9のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明する説明図である。
以下、図面に基づいて本発明のフリータイプ双方向クラッチについて説明する。図1には、本発明のフリータイプ双方向クラッチの第1実施例の全体構造を示し、部品単体に分解した斜視図を図2に、また、主要部品の投影図を図3に示す。図4は、本発明のフリータイプ双方向クラッチの作動を説明する説明図である。
図1に示すように、第1実施例のフリータイプ双方向クラッチは、断面円形の空間部を有する固定のハウジング1を備え、ハウジング1の中心部には、共通の回転軸oを有する入力部材2と出力部材3とが設置されている。入力部材2(図3(b)も参照)の中心には、D形状の中心孔21が形成してあり、この中心孔21に2点鎖線で表示された入力軸ISが嵌め込まれ、入力軸ISは駆動モーター等の駆動源に接続される。出力部材3(図3(c)も参照)には出力軸31が一体的に形成され、出力軸31は、手動でも開閉操作可能なドア開閉装置等の被駆動装置に接続される。
第1実施例の入力部材2は、軸方向長さが比較的短い円柱状の部材の、中心部分にD形状の中心孔21を形成するとともに、その周囲に、径方向の外方が開放された断面U字状の3個の溝22を等間隔に形成したものである。入力部材2は、これを取り囲む出力部材3の環状となった部分に回転可能に嵌め込まれており、3個の溝22の中の1個には、後述のリンク部材4の枢軸41が挿入され、他の2個の溝22には、後述の入力固定部材8の取付軸82が挿入される。
出力部材3は、環状の周壁部32と端壁部33からなるカップ状の部材に出力軸31を一体的に設けたものである。環状の周壁部32の外周面32Oには、内方にわずかに凹むように凹所となったカム面32Cが周方向に等間隔に6個形成してあり、各々のカム面32Cは、中央から周方向に対称に形成されている(図4も参照)。環状の周壁部32の内方に入力部材2が嵌め込まれると、周壁部32の内周面32Iが入力部材2の外周面に接するようになる。なお、第1実施例の出力部材3では、環状に形成された周壁部32に出力軸31を一体的に設けているが、入力部材2の入力軸ISのように、出力軸31を別体として出力部材3に取り付けるように構成できるのは勿論である。
入力部材2の断面U字状の溝22の一つ(図1では、上方の溝)には、リンク部材4の枢軸41が挿入される。リンク部材4(図3(a)も参照)は、円形断面の枢軸41と係合軸42とを連結部43により結合した、断面がコ字状をなす部材であり、枢軸41を中心として連結部43が回動可能なように入力部材2に枢着される。枢軸41は、その外側が出力部材3の環状の周壁部32の内周面32Iに接している。
径方向外方にある係合軸42は、連結部43で周壁部32を跨ぐようにして周壁部32の外周面32Oに対向している。図1に示す状態では、回動可能なリンク部材4は中立位置、すなわち、係合軸42の中心が枢軸41の中心と同一半径上に整列する位置にあり、このときに、係合軸42の中心と共通の回転軸oとの距離が最大となる(図4も参照)。
リンク部材4の係合軸42は、リテーナ部材5に形成された溝51内に収容される。リテーナ部材5(図3(e)も参照)は、ハウジング1の断面円形の空間部に嵌め込まれて設置される、合成樹脂等で製造されたカップ状の部材であり、係合軸42を収容する溝51は、入力部材2に設けられた溝22と同様な断面形状を有している。リテーナ部材5とハウジング1との軸方向の間隙には、ワッシャ6に挟まれた波形ばね7が置かれていて、波形ばね7の弾性によりリテーナ部材5の回転に対し一定の抵抗力が付与される。
カップ状のリテーナ部材5の円周壁は、溝51が形成された部分から軸方向に延長されており、この延長部分には、図1の断面A−Aに示すとおり、コイルばね用のばね受け片52が対称的に2個形成される。ばね受け片52と軸方向に整列する位置には、入力部材2に固定された入力固定部材8(図3(d)も参照)が置かれ、入力固定部材8には、ばね受け片52と周方向に対向する2個のばね受け面81が対称的に形成される。そして、ばね受け片52とばね受け面81には、それぞれコイルばね用の爪CPが設けてあり、この爪CPに嵌め込んで、同一の構造を備えた2個のコイルばね9が、本発明の「ばね部材」としてリテーナ部材5と入力固定部材8との間に装着される。
入力固定部材8は、図3(d)に示すとおり、軸方向に延びる2本の取付軸82を有し、取付軸82が入力部材2の断面U字状の溝22の中の2個に挿入されて、入力固定部材8は入力部材2に固定される。また、入力固定部材8にはV字状の切欠き83が形成してあり、リンク部材4を枢着した入力部材2に入力固定部材8を固定すると、リンク部材4の連結部43が切欠き83に入り込んで周方向に回動可能となる。
上記のリテーナ部材5、入力固定部材8及び2個のコイルばね9をリンク部材4と組み合わせたときは、2個のコイルばね9は、そのばね力が等しくなるよう設定されているため、リンク部材4に作用する周方向の力が釣り合って、リテーナ部材5の溝51内に収容される係合軸42の中心は、入力部材2に枢着された枢軸41の中心と同一半径上に保持されることとなる。つまり、これらの部材は、入力部材2の停止状態において、係合軸42が枢軸41と同一半径上に位置するようリンク部材4を中立位置に保持する保持装置を構成するものである。リテーナ部材5及び入力固定部材8は、コイルばね9を支持する部材であって受ける負荷もそれほど大きくはないので、合成樹脂等の軽量で成形が容易な材料で製造するのが好ましい。
このように構成された第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの作動について、主に図4により説明する。
図4(a)は、入力部材2が停止しているときの、入力部材2、出力部材3及びリンク部材4の状態を表示する図である。このときは、コイルばね9等の保持装置によってリンク部材4が中立位置にあり、係合軸42の中心が共通の回転軸oから最も離れた半径Rlの位置に存在し、環状の出力部材3の外周面32Oと係合軸42との間にはごくわずかな間隙が存在する。したがって、出力部材3は、リンク部材4に拘束されることなく自由な回転が可能であって、出力部材3の回転が入力部材2に伝達されることはない。
これに対し、入力部材2が時計方向に回転すると、図4(b)に示すように、リンク部材4は、枢軸41が入力部材2と一体となって時計方向に移動するけれども、径方向の外方の係合軸42は、リテーナ部材5に働く抵抗力や慣性等により時計方向への移動が遅延する。そして、係合軸42が出力部材3の外周面32Oの凹所であるカム面32Cに到達すると、係合軸42が内方に移動してリンク部材4が入力部材2と相対的に回動し、連結部43が半径方向に対し傾斜する。係合軸42の中心と共通の回転軸oとの距離は、中立位置の半径Rlよりも小さい半径Rsとなり、係合軸42は、カム面32Cに当接する。入力部材2がさらに回転すると、リンク部材4により出力部材3が連れ回される結果、入力部材2の回転トルクがリンク部材4を介して出力部材5に伝達されることとなる。
出力部材3の外周面32Oのカム面32Cは、中央から周方向に対称的に形成されているので、入力部材2が反時計方向に回転したときも、同様に出力部材3が反時計方向に回転する。また、出力部材2が回転している場合であっても、入力部材2がより高速で回転すると同様なトルク伝達が行われるようになる。
上述のように、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、リンク部材4を入力部材2の溝22に回動可能に枢着し、リンク部材4の係合軸42を出力部材3のカム面32Cに当接して入力部材2の回転を出力部材3に伝達するとともに、出力部材3が回転したときには、リンク部材4を中立位置に保持して出力部材3との係合を解除し、出力部材3を単に空転させるものである。入力部材2に枢着したリンク部材4の姿勢が自動的に変わることにより、入力部材2と出力部材3との間の回転伝達を制御できるので、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、構成部品が少なく、しかも、部品自体が比較的単純な形状であって、フリータイプ双方向クラッチとしての作動が確実である。
また、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、リンク部材4を介して入力部材2から出力部材3へトルク伝達を行わせる。特許文献2のフリータイプ双方向クラッチのように、転動するローラーの噛み込みとその解除を利用して回転の伝達・遮断を行わせるものではないので、入力部材2から出力部材3への伝達トルクの増大により、ローラーが食い込んだり構成部品の摩耗が生じたりすることはない。
そして、リンク部材4は、枢軸41で入力部材2に枢着されていて、中立位置から回転方向の両側に同じように回動することが可能であり、リンク部材4の係合軸42が当接するカム面32Cも回転方向の両側に対称的に形成してある。そのため、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、入力部材2及び出力部材3がどちらの方向に回転しても同様な作動となり、特許文献3のフリータイプ双方向クラッチとは異なって、入力部材2を戻すことなく、出力部材3を停止位置からどちら側にも空転させることができる。
図1等に示す第1実施例のフリータイプ双方向クラッチでは、リンク部材4を入力部材2に対して中立位置に保持するため、リンク部材4の係合軸42を収容する溝51が形成されたリテーナ部材5をハウジング1内に回転可能に設置し、このリテーナ部材5を、2個のコイルばね9を用いて入力固定部材8に対し位置決めすることにより、リンク部材4を中立位置に保持している。こうすると、2個のコイルばね9のバランスによりリンク部材4を確実に中立位置に保持できるとともに、リテーナ部材5や入力固定部材8の形状を変更して、フリータイプ双方向クラッチの大きさや伝達トルク等に対応して、好適な中立位置の保持装置を構成することが可能となる。
中立位置保持装置として上記のリテーナ部材5を設置した場合には、リテーナ部材5とハウジング1との間に波形ばね7を配置し、波形ばね7の軸方向の弾性力によりリテーナ部材5の回転に対する抵抗力を付与できる。リテーナ部材5に抵抗力が付与されると、リンク部材4の係合軸42の移動についても十分な抵抗力が与えられる。そのため、入力部材2から出力部材3に回転を伝達する際に、入力部材2の回転に応じてリンク部材4が確実に中立位置から回動し、係合軸42がカム面32Cに当接するようになる。
第1実施例のフリータイプ双方向クラッチでは、リンク部材4を入力部材2に枢着する形態として、入力部材2に径方向の外方が開放された断面U字状の溝22を形成し、リンク部材4の枢軸41を、この断面U字状の溝22に挿入して環状の出力部材3の内周面32Iに当接させている。この取り付け形態によれば、入力部材2に断面円形の穴を設けてリンク部材4を枢着する取り付け法(後述の図5参照)等と比較すると、リンク部材4の枢着された入力部材2の径が小さくなり、また、枢軸41と環状の出力部材3との距離が最小となって、フリータイプ双方向クラッチのコンパクト化を図ることができる。
ここで、第1実施例のフリータイプ双方向クラッチにおいて、リンク部材を中立位置に保持する保持装置を変更した変形例について、図5〜図7により説明する。
図5に示す変形例1は、図1等に示す第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの保持装置における2個のコイルばね9の代わりに、ばね部材として板ばね9Aを使用するものである。図5では、変形例1のフリータイプ双方向クラッチの、図1の断面A−A図に対応する断面図を最上部に表示し、変形例1の保持装置の各部品(対応する図1の部品の符号に添字Aを付して表す。)をその下方に表示している。
変形例1のフリータイプ双方向クラッチでは、図5に示す形状の入力固定部材8Aが2本の取付軸82Aにより入力部材に固定される。入力固定部材8Aには、軸方向に延びる2個のばね受け面81Aが対称的に形成されており、このばね受け面81Aに、板ばね9Aの両端に形成した弾性部9ASがそれぞれ当接している。
板ばね9Aは、円弧状の基板9APの両端に軸方向に延びる弾性部9ASを形成したもので、リンク部材4の係合軸を収容するカップ状のリテーナ部材5Aに固定される。リテーナ部材5Aには2個の取付ピン5APが設けられ、板ばね9Aは、基板9APに開けられた2個の孔に取付ピン5APが嵌め込まれ、取り付けられる。リテーナ部材5A、入力固定部材8A及び板ばね9Aを組み合わせると、2個の弾性部9ASのバランスにより、リンク部材4が中立位置に保持される。
図6に示す変形例2は、ばね部材としてねじりコイルばね(トーションスプリング)9Bを使用するものである。図6では、変形例2のフリータイプ双方向クラッチの、図1の断面A−A図に対応する断面図を最上部に表示し、変形例2の保持装置の各部品(対応する図1の部品の符号に添字Bを付して表す。)をその下方に表示している。
変形例2のフリータイプ双方向クラッチでは、図6の形状の入力固定部材8Bが取付軸82Bにより入力部材に固定される。入力固定部材8Bの下部には、円形の凸部8BLが形成してあり、ここに、ねじりコイルばね9Bの環状となった目玉部が嵌め込まれて取り付けられる。また、リンク部材4の係合軸を収容するリテーナ部材5Bには、ばね受け片52Bが対称的に2個形成されている。
リテーナ部材5B、入力固定部材8B及びねじりコイルばね9Bを組み合わせると、ねじりコイルばね9Bの二股となった先端部が、リテーナ部材5Bのばね受け片52Bにそれぞれ当接する。これにより、ばね受け片52Bに均等なばね力が作用し、リンク部材4が中立位置に保持される。
第1実施例のフリータイプ双方向クラッチ及び上記の変形例1、2のものは、入力部材に入力固定部材を固着して保持装置を構成する。これに対し、図7に示す変形例3は、入力固定部材を使用することなく保持装置を構成するものである。
図7は、変形例3のフリータイプ双方向クラッチの、図1の断面B−B図に対応する断面図である。これに示すとおり、変形例3のものでは、入力部材2Xには断面が円形の単一の孔21Xが形成され、孔21Xには、リンク部材4の枢軸41Xが回動可能に枢着される。枢軸41Xには、両側面の上方が切り欠かれた平面Pが形成され、また、入力部材2Xには、孔21Xに連なるポケット部Rが形成されている。左右のポケット部Rにはそれぞれコイルばね9Xが設置されており、枢軸41Xの平面Pにばね力を加える。コイルばね9Xの代わりに、U字状の板ばね等を用いてもよい。
入力部材2Xが回転したときは、前述したように、リンク部材4の係合軸42を嵌め込んだリテーナ部材5の回転が遅延し、リンク部材4が回動して入力部材2Xの回転を出力部材3に伝達する。一方、出力部材3が回転したときには、リンク部材4が、コイルばね9Xの釣り合いによって図示の状態の中立位置に保持され、出力部材3が単に空転することとなる。この変形例の中立位置の保持装置では、ばね部材を係合させるための入力固定部材を必要としないので、構造が簡略となる効果がある。
次いで、本発明のフリータイプ双方向クラッチの第2実施例について、図8により説明する。第2実施例のフリータイプ双方向クラッチは、複数個のリンク部材を入力部材に等間隔に枢着したことを特徴とするもので、図8では、図1等に示す第1実施例のフリータイプ双方向クラッチの部品等に対応するものについては、同一の符号を付している。
図8(a)の全体構造に示されるように、第2実施例のフリータイプ双方向クラッチは、第1実施例のものと同様に、断面円形の空間部を有する固定のハウジング1を備え、ハウジング1の中心部分には、共通の回転軸oを有する入力部材2と出力部材3とが設置される。入力部材2には、リンク部材4が回動可能に枢着されており、リンク部材4の係合軸42がリテーナ部材5の溝51に嵌め込まれている。リテーナ部材5と入力固定部材8との間には、図1の断面A−Aのばねと同様な、図示しない2個のコイルばねが配置してあり、入力部材2が回転していないときは、リンク部材4を中立位置に保持する。
この第2実施例のフリータイプ双方向クラッチにおいては、図8の断面B−Bに示すとおり、3個のリンク部材4が周方向に等間隔に配置され、環状となった出力部材3の外周面には、リンク部材4の係合軸42の当接するカム面32Cが、リンク部材4の個数の2倍の6個(数自体は第1実施例のものと同じ)、周方向に等間隔に形成されている。
3個のリンク部材4を枢着するよう、入力部材2には、径方向の外方が開放された断面U字状の6個の溝22が等間隔に形成されており、その中の3個の溝22にリンク部材4が枢着されるとともに、他の3個の溝22には、図8(b)に示す入力固定部材8の取付軸82が挿入される。取付軸82は、第1実施例のものと比べると長めに形成され、入力部材2と入力固定部材8との間には、リング部材4の連結部43を収容する空間が設けられている。
第2実施例のフリータイプ双方向クラッチの作動は、基本的には第1実施例のものと同じであって、入力部材2が回転したときは、リンク部材4の係合軸42を出力部材3のカム面32Cに当接して入力部材2の回転を出力部材3に伝達し、出力部材3が回転したときには、リンク部材4を中立位置に保持して出力部材3との係合を解除し、出力部材3を単に空転させる。ただし、第2実施例では、3個のリンク部材4が周方向に等間隔に配置され、その2倍の6個のカム面32Cが周方向に等間隔に形成されているため、入力部材2が回転したときに3個のリンク部材4が同時にカム面32Cに当接する。したがって、入力部材2から出力部材3に大きな回転トルクを伝達することが可能であり、また、入力部材2等に周方向に等間隔の位置で力が作用するので、回転バランスが良好となる。
以上詳述したように、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、入力部材の周囲に環状の出力部材を配置して、出力部材の外周面にカム面を形成するとともにカム面と入力部材との間にトルク伝達用のリンク部材を掛け渡し、このリンク部材の姿勢を変更して入力部材と出力部材との間の回転伝達と遮断を行わせるようにしたものである。
上記の実施例では、波形ばねによりリテーナ部材に軸方向の力を加え、リンク部材の係合軸に抵抗力を付与しているが、リテーナ部材の外周面の全周に凹溝を設けて板ばね等を設置し、板ばねをハウジングの内周面に当接させることにより、リテーナ部材に半径方向から抵抗力を付与することもできる。また、入力固定部材を入力部材に固定する際に、入力固定部材に設けた取付軸を入力部材の溝に嵌め込んでいるが、これに代えて、取付ねじ等の締結手段により入力固定部材を固着するなど、上記の実施例に対し各種の変形が可能であるのは明らかである。
1:ハウジング
2:入力部材
3:出力部材
32O:外周面(出力部材の)
32C:カム面(出力部材の)
4:リンク部材
41:枢軸
42:係合軸
5:リテーナ部材
7:波形ばね
8:入力固定部材
9:ばね部材
上記の課題に鑑み、本発明のフリータイプ双方向クラッチは、入力部材(入力軸)の周囲に環状の出力部材(出力軸)を配置して、出力部材の外周面にカム面を形成するとともに入力部材とカム面との間にトルク伝達用のリンク部材を設置し、このリンク部材の姿勢を変更して入力部材と出力部材との間の回転伝達と遮断を行わせるようにしたものである。すなわち、本発明は、
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力部材及び出力部材を備え、前記入力部材からの正・逆方向の回転は前記出力部材に伝達されるとともに、前記出力部材から前記入力部材への回転の伝達は、前記出力部材が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記出力部材は、前記入力部材を囲んで環状に形成されていて、前記出力部材の外周面には凹所となるカム面が形成され、
前記入力部材には、前記共通の回転軸と径方向に間隔をおいて配置された枢軸を中心にして回動可能なリンク部材が枢着され、
前記リンク部材には、前記出力部材のカム面に当接可能な係合軸と、前記枢軸と前記係合軸とを連結する連結部とが設けられ、かつ、前記入力部材の停止状態において、前記係合軸の中心が前記枢軸の中心と前記共通の回転軸とを結ぶ直線上に位置する中立位置に前記リンク部材を保持する保持装置が設置されており、
前記入力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記中立位置から回動して、前記係合軸が前記出力部材のカム面に当接し、前記出力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記保持装置により中立位置に保持されて、前記係合軸と前記出力部材のカム面との当接が解除される」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、固定のハウジング内に入力部材を回転可能に設置するとともに、入力部材を囲んで環状に形成された出力部材を、共通の回転軸を中心として回転可能となるように設置して、出力部材の外周面には、凹所となるようにカム面を形成する。入力部材には、共通の回転軸と径方向に間隔をおいて配置された枢軸を中心にして回動可能なリンク部材を枢着し、このリンク部材には、出力部材の外周面のカム面に当接可能な係合軸を設ける。そして、入力部材が停止状態にあるときにリンク部材を「中立位置」に保持する、つまり、リンク部材の回動中心である枢軸の中心と共通の回転軸とを結ぶ直線上に係合軸の中心が位置するように、リンク部材の姿勢を保持する保持装置を設置している。
本発明のフリータイプ双方向クラッチにおける、入力部材に回動可能に枢着されたリンク部材は、入力部材が停止しているときには中立位置に保持され、その係合軸の中心は、枢軸の中心と共通の回転軸とを結ぶ直線上に位置しており、入力部材(及び出力部材)の回転軸からの径方向の距離が最大の状態にある。この状態であれば、リンク部材の係合軸は、環状に形成された出力部材の外周面には当接しないので、出力部材が回転(出力部材が入力部材の回転よりも高速で回転している場合を含む)しても入力部材に回転が伝達されることはない。
入力部材が回転(入力部材が出力部材の回転よりも高速で回転している場合を含む)すると、リンク部材は、入力部材に枢着された枢軸が入力部材と一体的に回転方向に移動するのに対し、径方向の外方の係合軸は、保持装置の抵抗力や慣性等により移動が遅延するため、リンク部材が入力部材と相対的に回動して、その連結部が半径方向に対し傾斜することとなる。そのため、係合軸の回転軸からの径方向の距離が縮小し、リンク部材の係合軸は、出力部材の外周面に設けられた凹所に入り込んでカム面に当接する。入力部材がさらに回転すると、入力部材は、リンク部材により出力部材を連れ回すように回転させ、入力部材の回転トルクがリンク部材を介して出力部材に伝達される。
入力部材2の断面U字状の溝22の一つ(図1では、上方の溝)には、リンク部材4の枢軸41が挿入される。リンク部材4(図3(a)も参照)は、円形断面の枢軸41と係合軸42とを連結部43により結合した、断面がコ字状をなす部材であり、枢軸41を中心として連結部43が回動可能なように入力部材2に枢着される。枢軸41は、その外側が出力部材3の環状の周壁部32の内周面32Iに接している。
径方向外方にある係合軸42は、連結部43で周壁部32を跨ぐようにして周壁部32の外周面32Oに対向している。図1に示す状態では、回動可能なリンク部材4は中立位置、すなわち、係合軸42の中心が枢軸41の中心と共通の回転軸oとを結ぶ直線上に位置しており、このときに、係合軸42の中心と共通の回転軸oとの距離が最大となる(図4も参照)。
上記のリテーナ部材5、入力固定部材8及び2個のコイルばね9をリンク部材4と組み合わせたときは、2個のコイルばね9は、そのばね力が等しくなるよう設定されているため、リンク部材4に作用する周方向の力が釣り合って、リテーナ部材5の溝51内に収容される係合軸42の中心は、入力部材2に枢着された枢軸41の中心と共通の回転軸oとを結ぶ直線上に保持されることとなる。つまり、これらの部材は、入力部材2の停止状態において、係合軸42の中心が枢軸41の中心共通の回転軸oとを結ぶ直線上に位置するようリンク部材4を中立位置に保持する保持装置を構成するものである。リテーナ部材5及び入力固定部材8は、コイルばね9を支持する部材であって受ける負荷もそれほど大きくはないので、合成樹脂等の軽量で成形が容易な材料で製造するのが好ましい。

Claims (6)

  1. 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力部材及び出力部材を備え、前記入力部材からの正・逆方向の回転は前記出力部材に伝達されるとともに、前記出力部材から前記入力部材への回転の伝達は、前記出力部材が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
    前記出力部材は、前記入力部材を囲んで環状に形成されていて、前記出力部材の外周面には凹所となるカム面が形成され、
    前記入力部材には、枢軸を中心にして回動可能なリンク部材が枢着され、
    前記リンク部材には、前記出力部材のカム面に当接可能な係合軸と、前記枢軸と前記係合軸とを連結する連結部とが設けられ、かつ、前記入力部材の停止状態において、前記係合軸が前記枢軸と同一半径上に位置する中立位置に前記リンク部材を保持する保持装置が設置されており、
    前記入力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記中立位置から回動して、前記係合軸が前記出力部材のカム面に当接し、前記出力部材が回転したときは、前記リンク部材が前記保持装置により中立位置に保持されて、前記係合軸と前記出力部材のカム面との当接が解除されることを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。
  2. 前記リンク部材が、複数個前記入力部材に等間隔に枢着されるとともに、前記出力部材の外周面には、前記リンク部材の整数倍の数の前記カム面が等間隔に形成されている請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  3. 前記リンク部材を中立位置に保持する保持装置が、前記ハウジング内に回転可能に設置され、前記リンク部材の係合軸を収容する溝が形成されたリテーナ部材と、前記入力部材に固定された入力固定部材と、前記リテーナ部材と前記入力固定部材との間に配置されたばね部材とを備えている請求項1又は請求項2に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  4. 前記ばね部材が2本のコイルばねである請求項3に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  5. 前記ハウジングと前記リテーナ部材との間に波形ばねが設置され、前記リテーナ部材の回転に対して抵抗力が付与される請求項3又は請求項4に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
  6. 前記入力部材には、径方向の外方が開放された断面U字状の溝が形成されており、前記リンク部材の枢軸が、前記断面U字状の溝に挿入されて前記環状の出力部材の内周面に当接している請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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