JP5941876B2 - フリータイプ双方向クラッチ - Google Patents
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Description
図7(a)に示すとおり、円筒形のハウジングHGの内部には、間隙をおいて円筒形の出力部材OMを回転可能に配置し、これを出力軸に固着する。入力軸には、断面円形の上下部分を切除して長軸部と短軸部とを形成した入力部材IMが固着してあり、出力部材OMと入力部材IMとの間に2分割された中間部材MMが配置されている。2個の中間部材MMは、互いに接近するようその間に引張りばねTSが設けてあり、また、中間部材MMの周縁部には、楔形凹所に挿入されたローラROが、出力部材OMの内面と対向するように設けられている。
一方、出力軸側から駆動されて出力部材OMが回転したとしても、図7(c)に示すように、2個の中間部材MMは、引張りばねTSにより接近した位置のままであって、ローラROと出力部材OMの内面との間には間隙が存在する。そのため、出力部材OMの回転は入力部材IMに伝達されず、出力軸は単に空転することとなる。
まず、図7の双方向クラッチでは、入力軸から出力軸への動力伝達は、ローラROの噛み込みにより行われ、ローラROと出力部材OMの内面との間の摩擦によって入力トルクが出力側に伝達される。ローラROの接触面の摩擦力が失われるとトルク伝達が不可能となるため、双方向クラッチの伝達トルクは、摩擦力による制限を受ける。
「回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記ハウジングの内部には、前記回転軸を中心として回転可能な円筒部材と、前記円筒部材内において前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、
前記円筒部材の内周面には複数の内歯が形成され、前記作動子には前記円筒部材の内歯の谷部にそれぞれ入り込む同一歯数の外歯が形成され、
前記作動子の軸方向の一方側には、断面円形の中央穴部が形成されるとともに、他方側には突軸が形成されており、かつ、
前記作動子の中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心部が嵌まり込み、前記作動子の突軸は、前記入力軸に設けられた穴部に入り込み、突軸の外周面の一部が前記入力軸の穴部の壁面に接触して、前記作動子が前記回転軸の周りを公転可能である」
ことを特徴とするフリータイプ双方向クラッチとなっている。
これに対し、出力軸が回転すると、出力軸の偏心輪に嵌め込まれた作動子は、その中心が共通の回転軸の周りを移動(円運動)するが、作動子には複数の外歯が形成され、同一歯数の内歯が形成された円筒部材と組み合わされている。これにより、作動子は、円筒部材内で自転を起こすことなく共通の回転軸の周りを公転し、その際、円筒部材には回転トルクを作用させない。回転子の突軸は、入力軸の穴部に入り込んで一部はその壁面と接触しているけれども、作動子と円筒部材との関係と同様に、これらは公転運動を許容するよう係合されているので、作動子の公転が出力軸に回転トルクを作用させることはない。つまり、出力軸が回転しても、作動子が円筒部材内で公転するだけであって、出力軸は空転し、その回転は入力軸に伝達されない。
また、図7のフリータイプ双方向クラッチとは異なり、本発明のフリータイプ双方向クラッチでは、ばねを使用していない。ばねの存在により機械装置の製造組み立て作業が困難となる場合があるが、本発明のものではそうした恐れはない。
また、請求項3のフリータイプ双方向クラッチは、入力軸にこれと一体的に回転する円板部を設け、円筒部材の軸方向の一端を入力軸の円板部に結合し、そして、円板部の中心から偏心した位置に断面円形の穴部を設けるとともに、この穴部に作動子の断面円形の突軸を作動子の公転運動を許容するよう係合させたものである。この双方向クラッチでは、円筒部材と入力軸とを単一の部品とすることが可能であって、その分、部品点数が減少する。さらに、作動子と入力軸との係合部の構造が単純化され、製造加工が容易となる。
なお、出力軸3の中央部には、入力軸2に向けて延びる中央軸3pが設けてあり、この中央軸3pは、作動子6中央の貫通孔6hを通過して、入力軸2の中央部に形成された中央穴2hに嵌まり込む。これにより、入力軸2と出力軸3とは相互に軸受された状態となり、回転時における軸の傾きあるいは不安定な作動が防止される。
図2の上図の断面A−A等における各矢印に示すように、入力軸2が、例えば、駆動源のモーターにより反時計方向(軸方向の左方から見て)に回転すると、入力軸2の穴部2rの内周面と作動子6の突軸6sの外歯6stとが接触する接触点において、穴部2rの内周面が外歯6stを外側から押しつける形で、突軸6sを経由して作動子6に回転軸oの周りの回転トルクを付与する。このとき、円筒部材5は、ベアリングBR1によりハウジング1内で回転軸oの周りを回転可能に支持されているので、入力軸2、作動子6及び円筒部材5が一体となりロックされた状態で、回転軸oの周りを回転する。作動子6の回転は、偏心輪3sで結合された出力軸3を回転させることとなり、結局、出力軸3に連なる機械装置、例えば、カーテンの巻き上げ機構に駆動力が伝達される。作動子6等の入出力軸間の部材が全体的にロックされるこの駆動力の伝達は、入力軸2の回転方向が逆であっても同じである。
なお、図1の実施例のフリータイプ双方向クラッチでは、入力軸2と接触するC型リング4が設けられている。C型リング4は、入力軸2の回転に対し一定の拘束力を与えるばねとして機能し、作動子6と入力軸2との接触部の摩擦等に起因して、入力軸2が連れ回りを起こすのを防止する。
作動子60の入力軸20側の端部には、断面円形の突軸60sが設けられており、この突軸60sは、円板部20dの中心から偏心した位置に設けられた断面円形の穴部20rに入り込み、穴部20rの壁面と接触している(図5の断面B−B参照)。
一方、出力軸30が回転した場合には、作動子60に嵌め込まれた偏心輪30sのよって、作動子60の中心が回転軸oを中心とする半径eの円周上を移動する。このときは、作動子60の外歯60tと、円筒部50の内周面の内歯50tとの嵌まり合いにより、作動子60は、全ての点が半径eの円周上を移動する公転運動を行うのみで、自転を起こすことはない。また、作動子60の突軸60sも穴部20r内で公転を行うだけであり、出力軸30は空転し、その回転が入力軸20に伝達されることはない。
2、20 入力軸
2r、20r 穴部
2rt 内歯
20d 円板部
3、30 出力軸
3s、30s 偏心輪
4 C型リング
5、50 円筒部材
5t、50t 内歯
6、60 作動子
6r、60r 中央穴部
6s、60s 突軸
6t、60t 外歯
Claims (5)
- 回転不能のハウジング、前記ハウジング内で共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸が空転して遮断されるフリータイプ双方向クラッチであって、
前記ハウジングの内部には、前記回転軸を中心として回転可能な円筒部材と、前記円筒部材内において前記回転軸の周りを公転する作動子とが設置され、
前記円筒部材の内周面には複数の内歯が形成され、前記作動子には前記円筒部材の内歯の谷部にそれぞれ入り込む同一歯数の外歯が形成され、
前記作動子の軸方向の一方側には、断面円形の中央穴部が形成されるとともに、他方側には突軸が形成されており、かつ、
前記作動子の中央穴部には、前記出力軸に設けられた断面円形の偏心部が嵌まり込み、前記作動子の突軸は、前記入力軸に設けられた穴部に入り込み、突軸の外周面の一部が前記入力軸の穴部の壁面に接触して、前記作動子が前記回転軸の周りを公転可能であることを特徴とするフリータイプ双方向クラッチ。 - 前記円筒部材は、前記ハウジングに設けられた断面円形の収容部に転がりベアリングを介して嵌め込まれており、前記入力軸に設けられた穴部には複数の内歯が形成され、前記作動子の突軸には前記入力軸の内歯の谷部にそれぞれ入り込む同一歯数の外歯が形成される請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記入力軸は、一体的に回転する円板部を備えており、前記円筒部材の軸方向の一端が前記入力軸の円板部に結合され、かつ、前記入力軸の円板部には、前記入力軸の回転軸中心から偏心した位置に断面円形の前記穴部が設けられるとともに、前記作動子には、前記穴部に入り込む断面円形の前記突軸が設けられる請求項1に記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記入力軸及び前記出力軸の対向する面には、その一方の中心部に中央軸が形成されるとともに、他方の中心部に前記中央軸が嵌まり込む中心穴が形成される請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
- 前記ハウジングと前記入力軸との間には、前記入力軸の回転に拘束力を付与するばねが設けられている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフリータイプ双方向クラッチ。
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