JP4805598B2 - 雌雄部材組立体 - Google Patents

Description

本発明は、例えば高圧の流体回路における管継手の雄型継手部材及び雌型継手部材のような高圧流体にさらされる雄部材及びこれと結合される雌部材との間に設定されるシールに関する。

高圧の流体回路における管継手では、雄型継手部材を雌型継手部に挿入連結した状態で、それらの間から高圧の流体が漏洩するのを防止するために、シールリング及び該シールリングを支持するバックアップリングをそれらの間に設定するのが一般的である（特許文献１参照）。

シールリング及びバックアップリングを設定するには、雄型継手部材の外周面に環状溝を形成し、該環状溝にシールリング及びバックアップリングを嵌合した後、該雄型継手部材を雌型継手部材に挿入連結する方法があるが、この方法では次のような問題がある。

図１乃至図３は、従来の管継手における雄型継手部材１を雌型継手部材２に挿入するときの一例を示している。雄型継手部材１は、雌型継手部材２の雄型継手部材受入孔３とほぼ同じ径の挿入部４を備えており、該挿入部４の外周面は環状溝５を有している。環状溝５には、ゴムなどで形成された弾性を有するシールリング６、及び、プラスチックなどで形成された比較的剛性の高いバックアップリング７が設定され、雄型継手部材１の挿入部４が雌型継手部材２の雄型継手部材受入孔３に挿入された場合、シールリング６が雄型継手部材受入孔３の内壁面と環状溝５との間で押圧され弾性変形して密封を図るようになっている。

しかし、シールリング６は、雄型継手部材１の挿入部４が雌型継手部材２の雄型継手部材受入孔３に挿入され始められた時点から、雌型継手部材２の雄型継手部材受入孔３の端部開口部分との係合によって変形され、バックアップリング７を半径方向外方へ押圧するように作用する。バックアップリング７は、これを環状溝５に挿入可能にするために、スプリットリング（リングの一部にスプリットすなわち切れ目が入ったリング）とされており、このため、シールリング６の変形により半径方向外方への押圧力が加えられると、半径方向外方へ拡がり、場合によっては、雄部材受入孔内に挿入される前に環状溝５から外側に外れてしまう（図２及び図３）。
特開２００５−４２８１５号

本発明は、このような点に鑑み、高圧流体にさらされる雄型継手部材などの雄部材及びこれと結合される雌型継手部材などの雌部材において、それらの間の密封を図るために取り付けられるシールリング及びバックアップリングを容易且つ確実に取り付けられるようにすることを目的としている。

すなわち、本発明は、
前端開口から後方へ延びる雄部材受入孔を有し、該雄部材受入孔が該前端開口から後方に向けて所定の長さにわたる前端開口部分と、該前端開口部分よりも小径とされ該前端開口部分に続き後方へ延びる雄部材受入部分とを有してなる雌部材と、
該雄部材受入孔内に、該前端開口から挿入される雄部材であって、該雄部材受入孔内に挿入された状態で該雄部材受入部分の内壁面に隣接する外周面と、該外周面に形成された環状溝とを有する雄部材と、
該雄部材の環状溝に嵌合されて、該雄部材が該雄部材受入孔内に挿入された状態で、該雄部材受入部分の内壁面により押圧変形されて該内壁面と該環状溝との間を密封するシールリングと、
該雄部材が雄部材受入孔内に挿入された状態で該シールリングよりも該雄部材受入孔の前端開口側の位置で、該シールリングに接するようにして該環状溝に嵌合されているバックアップリングと、
を有する雌雄部材組立体における雌部材であって、
該雄部材の該雄部材受入孔への挿入が進むにつれてシールリングが変形されることにより該バックアップリングが該環状溝から半径方向外側に押圧変位されるときに、該バックアップリングが該前端開口部分の内壁面に係合することにより、該環状溝から半径方向外側に外れるのを阻止されるようにしたことを特徴とする雌雄部材組立体における雌部材を提供する。

すなわち、この雌部材では、バックアップリングがシールリングの変形により環状溝から押し出されても、その状態では、該バックアップリングは当該雄部材受入孔の前端開口部分内に入った状態になり、該バックアップリングは該前端開口部分の内壁面により係止されることにより環状溝から出てしまうのを阻止される。

具体的には、
該前端開口部分の径が、該環状溝に嵌合された該シールリングの外径よりも大とされ、該前端開口部分の内壁面と該雄部材の外周面との間の隙間が、該バックアップリングの半径方向厚さよりも小さくしたものとすることができる。

すなわち、このようにすることによりシールリングはほとんど抵抗を受けることなく、従って変形を受けることなく前端開口部分内に挿入され、該前端開口部分から更に後方（奥）に挿入されて変形されてバックアップリングを環状溝から外側に押し出そうとしても、該前端開口部分の内壁面がこれと係合して、バックアップリングが抜けるのを阻止することができる。

更に具体的には、該雄部材受入部分と該前端開口部分との間が該前端開口の内壁面から該雄部材受入部分の内壁部分にいたるテーパ面とされたものとすることができる。

また、本発明は、
雄部材受入孔を有する雌部材と、
該雄部材受入孔内に、前端部分から挿入される雄部材であって、該雄部材が雄部材受入孔内に挿入された状態で該雄部材受入孔の内壁面に隣接する外周面と、該外周面に形成された環状溝とを有する雄部材と、
該雄部材の環状溝に嵌合されて、該雄部材が雄部材受入孔内に挿入された状態で、雄部材受入孔の内壁面により押圧変形されて該内壁面と該環状溝との間を密封するシールリングと、
該雄部材における該シールリングよりも後側位置で該シールリングに隣接するようにして該環状溝に嵌合されるバックアップリングと、
を有する雌雄部材組立体における雄部材であって、
前記環状溝が該雄部材の前後方向において間隔をおいて位置する前側環状側壁面及び後側環状側壁面、並びに、該前側環状側壁面及び後側環状側壁面の間に延びる底壁面によって画定されており、
該後側環状側壁面が底壁面から該雄部材の前方に傾斜し、該雄部材の該雄部材受入孔への挿入が進むにつれてシールリングが変形されることにより該バックアップリングが該環状溝から半径方向外側に押圧されるときに、該バックアップリングが該後側環状側壁面に係合して、該環状溝から半径方向外側に外れるのを阻止されるようにしたことを特徴とする雌雄部材組立体における雄部材を提供する。

すなわち、この雄部材では、環状溝の後側環状壁面がバックアップリングの半径方向外側への変位を阻止し、該バックアップリングが環状溝から外れるのを阻止する。
本発明は、該雄部材を雄型継手部材、該雌部材を雌型継手部材とした管継手に適用することができる。

本発明に係る雌部材では、バックアップリングがシールリングの変形により環状溝から押し出されても、その状態では、該バックアップリングは当該雄部材受入孔の前端開口部分内に入った状態になり、該バックアップリングは該前端開口部分の内壁面により係止されることにより環状溝から外れるのを阻止される。

また、本発明にかかる雄部材では、環状溝の後側壁面を前方に傾斜させることにより、雄部材を雌部材に挿入するときに生じるシールリングの変形によってバックアップリングが半径方向外側へ変位するのを阻止し、該バックアップリングが環状溝から外れるのを阻止する。

以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図４は、本発明を適用した管継手１０における雄型継手部材１２と雌型継手部材１４との結合状態を示しており、図５ないし図８は、雄型継手部材１２を雌型継手部材１４に連結するときのシールリング１６及びバックアップリング１８の変化を示している。

雄型継手部材１２は前述の従来のものと同様に、雌型継手部材１４の雄型継手部材受入孔２０とほぼ同径の挿入部２２を有しており、該挿入部２２の外周面２２−１には環状溝２４が形成されており、該環状溝２４内にシールリング１６及びバックアップリング１８が設定されるようになっている。

雌型継手部材１４は、その雄型継手部材受入孔２０の前端開口から後方に向けて所定の長さにわたる前端開口部分２０−１が、該前端開口部分２０−１に続く当該雄部材受入孔の雄部材受入部分２０−２よりも径が大きくされている。

図示の例では、該前端開口部分２０−１の径は、雄型継手部材１２の挿入部２２の環状溝２４に嵌合され、まだ変形を受けていない状態でのシールリング１６の外径よりも僅かに大きくされている。

前端開口部分２０−１は、所定の軸線方向長さを有し、該雄型継手部材１２を雄型継手部材受入孔２０内に挿入し始めたときに、該雄型継手部材受入孔２０の内壁面との係合により変形を受ける該シールリング１６により該環状溝２４から半径方向外側に押圧されるバックアップリング１８が、該前端開口部分２０−１の内壁面２０−３に係合することにより、該環状溝２４から半径方向外側に抜け出るのを防止するようにされている。図示の例では、雄型継手部材１２の環状溝２４に設定されたシールリング１６が雄型継手部材受入孔２０の雄部材受入部分２０−２に圧入され始めるときに、バックアップリング１８の大部分が前端開口部分２０−１内に位置するようにされている。

具体的には、該前端開口部分２０−１の径は、上記のように、該環状溝２４に嵌合された該シールリング１６の外径よりも大きくされるが、該前端開口部分２０−１の内壁面２０−３と該雄型継手部材１２の挿入部２２の外周面との間の隙間ｓ（図６）が、該バックアップリングの半径方向厚さｔ（図７）よりも小さくされる。

図示の例では、前端開口部分２０−１とそれに続く雄部材受入部分２０−２との間は後方に向って先細りのテーパ面とされており、シールリング１６及びバックアップリング１８が雄部材受入部分２０−２内に入るのを容易にしている。バックアップリング１８は剛性を有するものであり、環状溝１４に嵌合されたときの外径は、雄部材受入部分２０−２よりも小径とされ、該雄部材受入部分内へ挿入可能とされている。

以上に述べた管継手においては、雄型継手部材１２の挿入部２２を雌型継手部材１４の雄型継手部材受入孔２０内に挿入する場合に、挿入部２２のシールリング１６が変形して、それによりバックアップリング１８が半径方向外方へ押し出されても、前端開口部分２０−１の内壁面２０−３によってその半径方向外方への動きが止められ、シールリング１６とともに該バックアップリング１８が雄型継手部材受入孔２０内に挿入されることになる。

図９乃至図１１は、本発明に係る管継手の他の実施形態を示している。
すなわち、この管継手では、雄型継手部材１２の挿入部２２に設けられる環状溝２４の前側環状側壁面２４−１及び後側環状側壁面２４−２を、環状溝２４の底壁面２４−３から当該雄型継手部材の前方に傾斜させている。すなわち、この管継手においては、環状溝２４の環状側壁面、特に後側環状側壁面２４−２を前方に向けて傾斜させることにより、雄型継手部材１２の挿入部２２を雌型継手部材１４の雄型継手部材受入孔２０内に挿入する場合にシールリング１６が変形してバックアップリング１８を半径方向外方へ押し出そうとしても、該後側環状側壁面２４−２がバックアップリング１８の動きを抑えて、該バックアップリングが環状溝２４から外側に外れるのを阻止するようにしている。

以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第１の実施形態における前端開口部分の径は、シールリングの径よりも小さくすることが可能である。その場合には、シールリングの変形によりバックアップリングが半径方向外側に押し出されても、環状溝から押し出される前に、該バックアップリングが前端開口部分内に入るようにすることが必要である。

従来の管継手において、雄型継手部材を雌型継手部材に挿入し始めた状態を示す部分断面図である。 図１の管継手において、雄型継手部材が雌型継手部材内に更に挿入された状態を示す部分断面図である。 図１の管継手において、雄型継手部材が雌型継手部材内に更に（図２の状態よりも）挿入された状態を示す部分断面図である。 本発明に係る管継手の部分断面図である。 図４の管継手において、雄型継手部材が雌型継手部材に挿入され始めの状態を示す部分断面図である。 図５よりも更に雄型継手部材が雌型継手部材内に挿入された状態を示す部分断面図である。 図６よりも更に雄型継手部材が雌型継手部材内に挿入された状態を示す部分断面図である。 図４の管継手において雄型継手部材の雌型継手部材内への挿入完了の状態を示す図である。 本発明の他の実勢形態の係る管継手の分断面図であり、雄型継手部材が雌型継手部材に挿入され始めの状態を示す。 図９よりも更に雄型継手部材が雌型継手部材内に挿入された状態を示す部分断面図である。 図１０よりも更に雄型継手部材が雌型継手部材内に挿入された状態を示す部分断面図である。

符号の説明

１０ 管継手
１２ 雄型継手部材
１４ 雌型継手部材
１６ シールリング
１８ バックアップリング
２０ 雄型継手部材受入孔
２０−１ 前端開口部分
２０−２ 雄部材受入部分
２０−３ 内壁面
２２ 挿入部
２２−１ 挿入部の外周面
２４ 環状溝

Claims (3)

1. 前端開口から後方へ延びる雄部材受入孔を有し、該雄部材受入孔が該前端開口から後方に向けて所定の長さにわたる前端開口部分と、該前端開口部分よりも小径とされ該前端開口部分に続き後方へ延びる雄部材受入部分とを有してなる雌部材と、
   該雄部材受入孔内に、該前端開口から挿入される雄部材であって、該雄部材受入孔内に挿入された状態で該雄部材受入部分の内壁面に隣接する外周面と、該外周面に形成された環状溝とを有する雄部材と、
   該雄部材の環状溝に嵌合されたシールリングであって、該雄部材受入部分の内径よりも大きな外径を有し、該雄部材が該雄部材受入孔内に挿入されると、該雄部材受入部分の内壁面により押圧変形されて該内壁面と該環状溝との間を密封するシールリングと、
   該シールリングよりも該雄部材受入孔の前端開口側の位置で、該シールリングに接するようにして該環状溝に嵌合されたバックアップリングであって、スプリットリングとされ雄部材受入部分の内径よりも小径とされたバックアップリングと、
   を有する雌雄部材組立体における雌部材であって、
   該雄部材受入部分と該前端開口部分との間が該前端開口の内壁面から該雄部材受入部分の内壁面にいたるテーパ面とされており、該前端開口部分の内壁面と該雄部材の外周面との間の間隔が、該バックアップリングの半径方向厚さよりも小さくされており、該雄部材が前記テーパ面を通って前記雄部材受入部分内に圧入されるときに、シールリングが変形されることにより該バックアップリングが該環状溝から半径方向外側に押圧変位され、該バックアップリングが該前端開口部分の内壁面に係合することにより、該環状溝から半径方向外側に外れるのを阻止されるようにしたことを特徴とする雌雄部材組立体における雌部材。
2. 該前端開口部分の内周面が、該環状溝に嵌合された該シールリングよりも大径とされている請求項１に記載の雌部材。
3. 該雌雄部材組立体が管継手とされ、該管継手の雌型継手部材とされる請求項１又は２のいずれかに記載の雌部材。
   

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