JP4804963B2 - 溶接ロボットの制御方法およびこれにより溶接された被溶接材、溶接ロボットの制御プログラム - Google Patents
溶接ロボットの制御方法およびこれにより溶接された被溶接材、溶接ロボットの制御プログラム Download PDFInfo
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このように、溶接端部にエンドタブを装着して溶接を行うことで、溶接端部から溶接金属が外部へと流れ出すことを防止しつつ、端部まで溶接を完了させることができる。
すなわち、溶接端部からの溶接材料の流れ出しを防止するために溶接端部に取り付けられるエンドタブは、溶接後には不要な物体となる。このため、このエンドタブを溶接部分から取り外すために、エンドタブを叩き落したり削ったりする作業が必要となり、生産性を低下させてしまう。この結果、エンドタブが消耗品であることも考え合わせると、エンドタブを用いた溶接方法は、溶接に要するコストを上昇させる要因となる。
ここで、溶接ビードとは、溶接金属を溶かして溶接部分に形成される帯状の盛り上がった部分を意味する。また、溶接ビードを積層して形成される堰は、溶接部分の端部から溶接金属が流れ出すことを防止する機能を有する。さらに、溶接ビードの内側とは、開先継手における溶接を行う部分側を意味する。
これにより、端部が開放された開先継手の溶接を行う際にエンドタブを使用しなくても、溶接を端部まで正確に行うことができるとともに、溶接完了後にエンドタブを除去するための仕上げ処理が不要となり、溶接作業の工程を簡略化することができる。この結果、エンドタブの材料費やエンドタブを除去するための仕上げ処理を省くことにより、コストダウンを図ることができる。
ここでは、溶接ビードを積層して堰を形成する前に、センサによって開先継手における開先部分の位置および開先の幅を検出する。
これにより、例えば、溶接ロボットに予め登録された開先位置からずれた位置に開先を有する開先継手の端部に溶接ビードを積層して堰を形成する場合でも、実際の開先の位置およびその幅を検出して、溶接ロボットに登録された開先の位置を補正しながら堰を形成することができる。よって、開先継手の精度がばらついている場合でも、高精度に堰を形成して溶接欠陥の発生を回避することができる。
ここでは、開先継手の端部に溶接ビードを積層して堰を形成した後、溶接を開始する際には、開先継手の端部に形成された上記堰の部分からではなく、堰から離間した位置において溶接を開始する。
本発明の溶接ロボットの制御方法では、溶接の開始位置として、溶接ビードを積層した堰の位置を外して、この堰よりも内側における任意の位置から溶接を開始するように、溶接ロボットを制御する。
これにより、堰を形成した金属と溶接金属との融合不良が発生することを回避して高精度な溶接を実施することができる。
ここでは、溶接を行う開先継手として、溶接部分の四面に開先が形成された継手を用いる。
通常、このように溶接部分に四面の開先が形成された継手の溶接では、エンドタブを用いて溶接を行った場合には、エンドタブが邪魔になって溶接できない箇所が発生する。
このため、従来の溶接方法のようにエンドタブが邪魔になって溶接できない箇所が発生することを回避することができる。この結果、溶接部分の四面に開先が形成された開先継手を精度よく溶接することができる。
ここでは、開先部分の端部にエンドタブの替わりに形成される溶接ビードを、溶接に用いられる材料を用いて形成する。
ここでは、端部が開放された開先継手を溶接する溶接ロボットを制御する際に、端部が開放された開先継手の溶接を行う場合には、溶接を開始する前に、まずは溶接ビードを複数回積層して堰を形成する溶接ロボットの制御方法を、コンピュータに実行させる。
これにより、端部が開放された開先継手の溶接を行う際にエンドタブを使用しなくても、溶接を端部まで正確に行うことができるとともに、溶接完了後にエンドタブを除去するための仕上げ処理が不要となり、溶接作業の工程を簡略化することができる。
この結果、エンドタブの材料費やエンドタブを除去するための仕上げ処理を省くことにより、コストダウンを図ることができる。
これにより、端部が開放された開先継手の溶接を行う際にエンドタブを使用しなくても、溶接を端部まで正確に行うことができるとともに、溶接完了後にエンドタブを除去するための仕上げ処理が不要となり、溶接作業の工程を簡略化することができる。
この結果、エンドタブの材料費やエンドタブを除去するための仕上げ処理を省くことにより、コストダウンを図ることが可能な被溶接材を提供できる。
[溶接ロボットシステム10全体の構成]
本実施形態に係る溶接ロボットシステム10は、端部に開先部分を有するワーク(被溶接材)W1(図3参照)およびワークW2(図10(a)等参照)の開先継手の溶接を溶接ロボット20を制御して自動的に行うシステムであって、図1に示すように、溶接ロボット20と、ポジショナ30と、コントローラ40と、溶接電源装置50と、を備えている。
溶接ロボット20は、図1に示すように、ロボットアーム21の先端に設けられた溶接トーチ部分から溶接ワイヤ22を送り出しながらワークWの溶接を行う装置であって、ロボットアーム21、走行梁23、天吊り走行台車24、走行台25を有している。
ロボットアーム21は、その先端に設けられた溶接トーチ部分から溶接ワイヤ22を送り出しながら、溶接ワイヤ22を溶融させて、ワークWの溶接部分の溶接や、溶接ビードs1,s2,・・・または溶接ビードe1,e2,・・・を積層した堰S、または堰E(図3参照)を形成する。また、ロボットアーム21は、後述するポジショナ30の保持部31,32によって保持されたワークW1,W2の溶接位置を正確に把握して堰S,Eの形成や溶接を行うために、溶接トーチから送り出した溶接ワイヤ22に電圧を印加して開先部分に当接した際に生じる短絡を検出する。これにより、溶接トーチから送り出した溶接ワイヤ22を、開先部分の位置や幅、形状等を検出するためのワイヤタッチセンサとして使用することができる。
天吊り走行台車24は、ポジショナ30の長手方向に平行な走行台25に沿って走行することで、ポジショナ30において保持されたワークW1,W2に対する任意の位置へと溶接ロボット20を移動させる。
ポジショナ30は、図1に示すように、溶接ロボット20の前方に配置されており、一対の保持部31,32の間にワークWを保持する。そして、ポジショナ30は、保持部31,32を長手方向に移動させることで保持部31,32の間に保持されたワークW1,W2を任意の位置へ移動させるとともに、保持部31,32を回転させることでワークW1,W2の向きを変えることができる。
これにより、溶接ロボット20の移動範囲内における溶接可能な位置に、ポジショナ30において保持されたワークWの開先部分を移動させることができる。
コントローラ40は、図2に示すように、溶接ロボット20、ポジショナ30および溶接電源装置50と接続されている。そして、コントローラ40は、上述した溶接ロボット20に含まれる駆動可能な各部材21,24や、ポジショナ30の保持部31,32の駆動を制御する。
溶接電源装置50は、溶接ロボット20に含まれる走行台25上に載置されている溶接ワイヤ22を送給し、高電流を流してアーク溶接を行う。
<溶接ロボットシステム10における溶接ロボットの制御>
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、以上のように、溶接ロボット20の動作をコントローラ40によって制御しながら、図3に示すワークW1および図10(a)等に示すワークW2の溶接を行う。
ワークW1は、図3に示すように、2つの板材であるワークWa,Wbの端部同士を接合して得られる被溶接材であって、ワークWb側の端部に一面の開先が形成されている。そして、このワークW1の溶接を行う際には、コントローラ40が、ワークW1における溶接部分の両端に、それぞれ溶接ビードs1〜s4,e1〜e4を積層して堰S,Eを形成するように溶接ロボット20を制御する。
その後、堰S,Eを形成する前に実施される、堰S,Eを形成する開先部分の位置や形状等を正確に検出するための基準点の補正について、図4(a),図4(b)の側面図および図5に示すフローチャートを用いて説明すれば以下の通りである。
ステップS3では、上記開先中央位置P0,P0’を結ぶ、開先中央位置を実際の位置へ補正するための補正ベクトルVsを算出する。
ステップS4では、開先幅の補正量dWを、以下の関係式(1)に基づいて算出する。
dW=(w’−w)/2 ・・・・・(1)
ステップS6では、上記補正ベクトルVsと開先幅の補正量dWと補正単位ベクトルVk1とに基づいて、以下の関係式(2),(3)によって、記憶部40aに記憶されたポイントP1,P2を補正したポイントP1’,P2’を算出する。
P1’=P1+Vs−dw・Vk1 ・・・・・(2)
P2’=P2+Vs+dw・Vk1 ・・・・・(3)
P3’=P3+Vs−dw・Vk2 ・・・・・(4)
P4’=P4+Vs+dw・Vk2 ・・・・・(5)
ここでは、以上のようなステップS1〜S8において、開先の基準点となるポイントP1〜P4を、実際の開先の位置に応じて補正して補正後のポイントP1’〜P4’を取得する。
ステップS12では、ポイントP3’とポイントP1’とを結ぶベクトルと、ポイントP4’とポイントP2’とをそれぞれV0の長さで割ったベクトルを、V1,V2として算出する。
ステップS14では、以下の関係式(6),(7),(8)に基づいて、溶接位置Q0,Q1,Q2を算出する。
Q1=P1’+d・V1 ・・・・・(6)
Q2=P2’+d・V2 ・・・・・(7)
Q0=(Q1+Q2)/2 ・・・・(8)
ステップS15では、コントローラ40が、開先の幅方向における両端ポイントQ1,Q2の中央のポイントQ0からポイントQ1、ポイントQ2、ポイントQ0の順に、溶接ロボット20によって溶接を行う。
ステップS17では、dを1層分ΔD(溶接ビードの厚さ)だけ積み上げて、ステップS14からステップS17までの処理を繰り返し行う。
すなわち、ステップS21では、溶接パスの数を1、開先底からの高さdを0として設定する。
ステップS22では、図7(a)に示すように、補正後の開先基準点Ps1’〜Ps4’を基準として、堰Sの高さdにおける溶接位置Qs0,Qs1,Qs2、および図7(b)に示すように、補正後の開先基準点Pe1’〜Pe4’を基準として、堰Eの高さdにおける溶接位置Qe0,Qe1,Qe2を算出する。
ステップS24では、図9に示すように、位置Qs3から溶接を開始し、Qs1,Qs2,Qs3の順に、堰S近傍の溶接を行う。
ステップS26では、溶接ロボット20によって位置Qe3からQe1,Qe2,Qe3の順に溶接を行い、クレータを終了する。
ステップS27では、溶接パスの数が予め指定された数に達しているか否かの判定を行う。ここで、溶接パス数が指定パス数に達している場合には、処理を終了する。一方、溶接パス数が指定パス数に達していない場合には、ステップS28へと進む。
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、以上のように、両端が解放された開先部分を有するワークW1の溶接を行う際には、まず、開放された開先の両端部分に溶接ビードs1,s2,・・・を複数回積層して堰S、溶接ビードe1,e2,・・・を複数回積層して堰Eを形成する。そして、堰S,Eの形成後に、その間の溶接部分の溶接を行う。
これにより、ワークW1ごとに開先の位置や形状等にばらつきがある場合でも、正確に開先の位置等を認識した上で堰S,Eを形成することができる。
さらに、堰S,Eの形成と、堰S,Eの間の溶接作業とを、同じ溶接ワイヤ22を用いて実施することで、さらに効率よくワークW1の溶接を実施することができる。
ワークW2は、図10(a)および図10(b)に示すように、2つの板材であるワークWa,Wcの端部同士を接合して得られる被溶接材であって、ワークWc側の端部に四面の開先が形成されている。そして、このワークW2の溶接を行う際には、コントローラ40が、ワークW2における溶接部分の両端に、それぞれ溶接ビードs1〜s4,e1〜e4を積層して堰S1,S2および堰E1,E2を形成するように溶接ロボット20を制御する。
具体的には、図11に示すように、まず、溶接ロボット20による溶接位置に合わせて、ポジショナ30によってワークW2(ワークWaおよびワークWc)を挟み込むように保持する。そして、ポジショナ30を回転させることでワークW2の向きを変更して、堰S1,S2および堰E1,E2を形成する。
このため、ワークW2を溶接する際には、図11に示すように、溶接ロボット20のロボットアーム21の先端から送り出される溶接ワイヤ22を用いた溶接位置に対して、ポジショナ30によってワークW2の角度を変更しながら、図12(a)〜図12(d)に示すように、2つの開先面の間の角度45度で傾斜させた状態で、溶接ビードを積層して4つの堰S1,S2,E1,E2を1つずつ形成していく。なお、ここでの各堰S1,S2,E1,E2の形成方法については、上述した図4(c)等に示す形成方法と同様である。
これにより、溶接部分に4つの開先を有するワークW2の溶接を行う場合でも、従来のエンドタブを使用することなく、溶接作業を実施することができる。この結果、溶接作業完了後にエンドタブを除去するための作業が不要になるため、溶接作業の作業性を向上させつつ、高精度な溶接を実施することができる。
(1)
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、開先部分の端部が開放されたワークW1の溶接を行う際には、ワークW1における開先部分の端部に対して、コントローラ40が、図3および図4(a)〜図4(c)に示すように、溶接ビードs1,s2,・・・等を積層して堰Sを、溶接ビードe1,e2,・・・を積層して堰Eを、それぞれ形成するように溶接ロボット20を制御する。
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、上述した開先端部からの溶接材の漏れ出しを防止するために堰S,Eを形成する際には、図4(a)および図4(b)に示すように、溶接ロボット20のロボットアーム21の先端から送り出される溶接ワイヤ22に電圧を印加したワイヤタッチセンサを用いて、実際の開先部分の位置や開先幅等を検出するように、コントローラ40が溶接ロボット20を制御する。
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、上述したように、開先の開放端に堰S,Eを形成した後、溶接作業を開始する際には、図9に示すように、堰S,Eの形成位置から離間した位置において溶接を開始し、堰S,Eから離間した位置において溶接作業を終了させるように、コントローラ40が溶接ロボット20を制御する。
このため、本実施形態では、この溶融が不安定となりやすい溶接開始位置および溶接終了位置を、溶接前段階において形成した堰S,Eから離間した位置に設定している。
これにより、堰S,Eの近傍から溶接を開始した場合と比較して、堰S,E部分における溶融不良によって溶接欠陥が発生することを効果的に防止することができる。
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、図10(a)および図10(b)に示すように、溶接部分の四面に開先が形成されたワークW2の溶接を行うように、コントローラ40が溶接ロボット20を制御する。
ここで、従来のエンドタブを用いた溶接方法では、溶接部分の四面に開先が形成されたワークを溶接する際にエンドタブが邪魔になって溶接不能な箇所が発生してしまう。
本実施形態の溶接ロボットシステム10では、上述した堰S,Eの形成と、堰S,E間の溶接作業とを、同じ溶接ワイヤ22を用いて行う。
これにより、堰S,Eを形成した後でその間の溶接を行う際でも、溶接材料を変更する必要はなく、すぐに溶接作業に移行することができる。この結果、さらに効率よく高精度な溶接作業を実施することができる。
本実施形態の溶接ロボットシステム10によるワーク(被溶接材)W1,W2は、上述した溶接ロボットシステム10による溶接ロボット20の制御方法によって溶接される。
これにより、上述したように、従来のエンドタブを使用した溶接方法と比較して、作業効率を向上させるとともに、エンドタブの費用分のコストを削減して、安価に高精度に溶接されたワークW1,W2を得ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、図4(a)等に示すように、溶接ロボット20のロボットアーム21の先端部分から送り出される溶接ワイヤ22に電圧を印加したワイヤタッチセンサを用いて、開先部分の位置や形状等を検出した後、溶接ビードs1,s2,・・・または溶接ビードe1,e2,・・・を積層して堰S,E等を形成する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、開先継手を高精度に成形する際には製品歩留りの低下を招くことを考慮すれば、上記実施形態のように、各開先継手ごとに開先部分の位置等を検出した後で溶接ビードの積層を実施することがより好ましい。
上記実施形態では、開先部分の端部に溶接ビードs1,s2,・・・および溶接ビードe1,e2,・・・を積層して堰S,E等を形成した後、図9に示すように、この堰S,Eの形成部分の距離Lだけ内側から溶接を開始し、堰S,Eの形成部分の距離Lだけ内側で溶接を終了する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、堰Sと堰Eとの間の中央部分から溶接を開始した場合には、溶接工程の効率を低下させるおそれがあることから、上記実施形態のように、堰S,Eのそれぞれ少し内側から溶接を開始することがより好ましい。
上記実施形態では、図4(a)等に示すように、開先継手の開先部分の位置および開先幅を検知するセンサとして、溶接ロボット20のロボットアーム21の先端部分から送り出される溶接ワイヤ22に電圧を印加して開先部分との当接に伴う短絡を検出することで開先部分との当接位置を検出するワイヤタッチセンサを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、赤外線センサ等の部品点数を増やすことなく、開先部分の位置等を検出できるという点では、上記実施形態のように、溶接ワイヤをセンサとして用いることがより好ましい。
上記実施形態では、溶接ビードs1,s2,・・・または溶接ビードe1,e2,・・・を積層して堰S,Eを形成する工程と、堰S,E間を溶接する溶接工程とで、同じ溶接材料(溶接ワイヤ22)を用いて処理を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合でも、エンドタブを使用することなく、効率よく開先継手の溶接を行うことができるという、上記と同様の効果を得ることができる。
ただし、上記2つの工程を異なる材料で実施する場合には、溶接開始時に材料の交換作業等の作業が必要となり、作業効率が低下してしまうことから、作業性の面を考慮すれば、上記実施形態のように同じ材料で実施することがより好ましい。
上記実施形態では、図3、図10(a)および図10(b)に示すように、開先継手の端部における1面に開先が形成されているワークW1、あるいは4面に開先が形成されているワークW2を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、エンドタブを使用した従来の溶接方法では、4面に開先が形成された被溶接材を溶接すると、エンドタブが邪魔になって溶接できない部分が生じてしまう。このため、上記実施形態のように、4面に開先が形成された開先継手の溶接に本発明を適用することが、従来の溶接方法との比較において特に有効である。
上記実施形態では、溶接部分に4つの開先を有するワークW2の溶接を行う際には、ワークW2を45度傾けた状態で略鉛直方向に堰S,Eを形成していく例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ワークW2を傾けずに、各開先を略水平に保持した状態でその開放端にそれぞれ堰S,Eを形成してもよい。
上記実施形態では、開先の両端が解放されたワークW1,W2に対して溶接を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、開先の一方の端部のみが開放されたワークに対して、本発明を適用して溶接を行うことも可能である。
この場合でも、開先端部からの溶融材の漏れ出しを防止しつつ、高精度な溶接作業を実施することができる。
上記実施形態では、溶接ロボットの制御方法を実行する溶接ロボットシステム10に対して、本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において説明した溶接ロボットの制御方法をコンピュータに実行させる溶接ロボットの制御プログラムに対して本発明を適用することも可能である。
20 溶接ロボット
21 ロボットアーム
22 溶接ワイヤ(溶接材料)
23 走行梁
24 天吊り走行台車
25 走行台
30 ポジショナ
31,32 保持部
40 コントローラ
50 溶接電源装置
e,s 溶接ビード
E,S 堰
W ワーク(被溶接材)
Z 裏当て材
Claims (9)
- 端部が開放された開先継手の溶接を行う溶接ロボットの制御方法であって、
前記開先継手の端部に溶接ビードを形成する第1のステップと、
前記溶接ビードが所定の高さ以上になるまで、前記溶接ビード上にさらに溶接ビードを形成する第2のステップと、
前記溶接ビードの開先継手における溶接を行う部分側において溶接を開始する第3のステップと、
を備えた溶接方法を溶接ロボットに実行させる溶接ロボットの制御方法。 - 前記溶接ビードを形成する前記第1のステップの前に、センサを用いて前記開先継手における開先の位置および幅を検出する第4のステップを、さらに備えている、
請求項1に記載の溶接ロボットの制御方法。 - 前記第3のステップにおいて溶接を開始する際には、前記溶接ビードが形成された位置から離間した位置において溶接を開始する、
請求項1または2に記載の溶接ロボットの制御方法。 - 前記第1のステップでは、前記開先継手における両端部に前記溶接ビードを形成し、
前記第2のステップでは、前記溶接ビードが所定の高さ以上になるまで、前記溶接ビード上にさらに溶接ビードを形成し、
前記第3のステップでは、前記開先継手の両端に設けられた前記溶接ビードの間において溶接を開始する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の溶接ロボットの制御方法。 - 前記開先継手は、溶接部分の四面に開先を有している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の溶接ロボットの制御方法。 - 前記溶接ビードの形成と前記溶接とを、同一材料を用いて行う、
請求項1から5のいずれか1項に記載の溶接ロボットの制御方法。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の溶接ロボットの制御方法を、
コンピュータに実行させる溶接ロボットの制御プログラム。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の溶接ロボットの制御方法によって溶接された被溶接材。
- 端部が開放された開先継手の溶接を行う溶接ロボットの制御方法であって、
前記開先継手の端部に溶接ビードを形成する第1のステップと、
前記溶接ビードが所定の高さ以上になるまで、前記溶接ビード上にさらに溶接ビードを形成する第2のステップと、
前記溶接ビードの開先の部分において溶接を開始する第3のステップと、
を備えた溶接方法を溶接ロボットに実行させる溶接ロボットの制御方法。
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