JP4801326B2 - 研磨用スラリー - Google Patents
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Description
CMP技術においては従来より、セリア、アルミナなどの金属酸化物あるいはシリカなどの無機砥粒を含むスラリーが用いられている。しかし、これらの無機砥粒は硬度が高く、銅など硬度が低い金属膜を研磨する場合、スクラッチと呼ばれる金属表面の研磨傷や、ディッシングと呼ばれ、配線部分の金属膜が中心部でより研磨されることによって凹形状に形成される現象、およびエロージョンと呼ばれ、配線パターンが密な部分の中央部で、下地層である絶縁膜も含めより研磨されることにより凹形状に形成されてしまう現象が、大きな問題となっている。
このスクラッチは、砥粒の硬さや、砥粒の凝集体が存在することにより起こる部分的な過剰研磨が原因である。
また、エロージョンは、硬い砥粒による過剰な研磨や、絶縁膜や金属の拡散を防ぐバリア層などの下地層との研磨選択性が低いことが原因である。
また、発泡を制御する添加物を含有しており、発泡を抑制することができる。
金属を研磨する研磨用スラリーであって、有機微粒子、錯化剤、酸化剤、及び発泡を抑制する添加剤を含有することを特徴とする研磨用スラリー。
である。
発泡を抑制する添加剤が脂肪酸エステルの乳化物であることは分散性ひいては保存安定性の点で好ましい態様である。
有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体、水酸基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、アセトアセトキシ基含有ビニル単量体、グリシジル基含有ビニル単量体から選択される1種又は2種以上の単量体1〜50質量%、およびその他ビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものであることは、スクラッチ、ディッシング、エロージョンなどの欠陥を抑制し、高い研磨速度を可能にする点で好ましい態様である。
錯化剤が、カルボン酸類、アミン類、アミノ酸類およびアンモニアのうちから選ばれる少なくとも1種類であり、pHが、5〜11の範囲であることは、研磨安定性の点で好ましい態様である。
また、酸化剤が過酸化水素水であることも、研磨安定性の点で好ましい態様である。
(発泡を制御する添加剤について)
発泡を制御する添加剤としては、シリカシリコーン系、金属石鹸系、アマイド系、ポリエーテル系、ポリアルキレングリコール系、ブロックコポリマー系等が使用可能であり、特に好ましくは、油脂等の脂肪酸エステルをポリエチレングリコール等の非イオン性界面活性剤で乳化した乳化物、が好ましい。また、イソプロピルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール類も使用でき、エマルションの分散安定性を損なうことなく発泡を制御することができる。含有率としては、研磨スラリー中0.005〜1重量%の範囲が好ましく、0.01〜0.5重量%が特に好ましい。0.005未満では、発泡を制御する十分な効果が発揮されず、1重量%以上では十分な研磨速度を得ることができない場合がある。
有機微粒子は、金属と錯体を形成しうる官能基を有するものが好ましい。金属と錯体を形成しうる官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミン基、ケトン基、グリシジル基、アセトアセトキシ基等が挙げられる。特にカルボン酸が好ましい。
有機微粒子は、例えばこれら官能基を有する単量体及びこれと共重合可能なその他ビニル系単量体を乳化重合することより製造することができる。特に好ましいカルボン酸基を有する有機微粒子の場合、得られた共重合体エマルション中の不飽和カルボン酸に対して0.3モル等量以上のアルカリ性物質を添加することにより、カルボン酸基を解離させて、金属と錯体を形成しやすい状態にするのが研磨速度向上の点で好ましい。
水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第3級アミノ基を含有するN−アミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、例えば、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アセトアセトキシ基含有ビニル単量体としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、グリシジル基含有ビニル単量体としてはグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他ビニル系単量体の使用量は、99〜50質量%、好ましくは95〜70質量%である。
尚、これらの有機微粒子は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
金属を含有しない有機微粒子の水分散体を得るためには、金属を含有しない単量体、界面活性剤等の分散剤、重合開始剤、その他添加剤を使用することで製造することができる。
金属を含有しない分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド(共)重合体、エチレングリコール等の水溶性ポリマーが挙げられ、界面活性剤としてはアニオン系、ノニオン系、カチオン系が挙げられる。アニオン系界面活性剤は親水性基としてスルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有しているが、そのカウンターイオンとしてNaやK等の金属塩となっていないものを使用することができる。一般的にはアンモニウム塩であり、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリル硫酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、ステアリン酸、オレイン酸、ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、ジアルキルスルホコハク酸、ステアリン酸、オレイン酸、tert−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸等のアンモニウム塩が挙げられる。
金属と錯体を形成しうる錯化剤としては、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等のカルボン酸類、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類類、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン等のアミノ酸類、アセチルアセトン等のケトン類、イミダゾール等のN含有環状化合物等が挙げられる。好ましくは、シュウ酸、リンゴ酸、エチルアミンが挙げられる。
含有量としては、その錯化剤によって異なるが、研磨剤中0.1〜10質量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満では、その効果が充分に発揮できず、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、10重量%を超えると、被研磨金属と錯体形成が過剰に進み、研磨対象外の被研磨金属が溶出するディッシングが抑制できない場合がある。
酸化剤としては、過酸化水素が好ましい。これらの酸化剤の含有率としては、研磨用組成物中0.1〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜5質量%の範囲が特に好ましい。0.1質量%未満では、金属と有機微粒子の化学反応が進行せず目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、15質量%を超えると、金属表面に生成する酸化膜が不動態化し、研磨が進行せず、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。
本発明で示す研磨剤のpHは、5〜11、更に好ましくは、7〜10の範囲である。pH5未満では、金属の溶出が抑制できないため、ディッシングが発生してしまう場合がある。また、pH11を超えると、金属膜研磨の最終点となる半導体絶縁膜と金属配線が同一面上に存在する点において、絶縁膜を溶解させたり、部分的に分解させたりする場合がある。
この研磨剤のpH調整に使用する物質は、特には限定ないが、アルカリ性物質としては、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン等のアミン類、NaOH、KOH等の無機類等が挙げられる。また、酸性物質としては、塩酸、硝酸等の無機類、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸類が挙げられる。これらのpH調整剤は、上記に示した金属の配位子となりうる水溶性化合物を兼ねてもよい。また、これらの物質は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機微粒子、水溶性化合物及び水を混合し、pH調整して、研磨剤となるスラリーを製造する。この製造方法は、特には、限定ないが、pH調整した樹脂エマルションに、pH調整した金属と配位子を形成しうる錯化剤の水溶液を加え、よく攪拌混合するのが好ましい。その後、徐々に、酸化剤を加えて、さらに攪拌混合する。
そして、最終的なpHと濃度調整後、ろ紙濾過により、不溶解物と凝集体を取り除き、研磨剤とする。
その他の添加剤としては重合前、重合中、重合後に使用することができる。添加剤としては、例えば、濡れ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、蛍光増白剤、着色剤、浸透剤、離型剤、流動性改良剤、増粘剤等が挙げられるが、金属を含有しないものを適時選択することができる。
その他に、研磨促進剤として、塩素、フッ素、沃素を含むハロゲン化物や、研磨や腐食を避けたい部分のCu配線の保護膜としてベンゾトリアゾール、キナルジン酸等の窒素含有複素環化合物、及び、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グルコース等の水溶性高分子、界面活性剤等の物質を、単独、又は、2種類以上組み合わせて添加してもよい。その添加量、種類については、本発明の目的を達成することができる限り、特に限定されない。
研磨用組成物中の有機微粒子の粒度分布は、以下の方法で測定した。
研磨用スラリーの評価は下記の方法で行った。
1.研磨速度
研磨スラリー:本発明の研磨用スラリー
被研磨物 :基板上に熱酸化膜5000Å/スパッタ法により形成した
Ta膜300Å/CVD法で形成しためっき用シード銅膜1500Å/メッキ法で形成した銅膜15000Åが積層された8インチシリコンウェハー
研磨装置 :Lapmaster LGD-15
研磨パッド :340mm IC−1000/suba400格子
研磨荷重 :2.5psi
研磨時間 :1min
スラリー供給量 :15cc/min
定盤回転数 :90rpm
基板側回転数 :90rpm
1)研磨速度算出
被研磨物を、超純水洗浄および超音波洗浄した後、乾燥させ、4端子プローブを用いたシート抵抗測定により研磨前後での膜厚を測定した。膜厚の変化量と研磨時間から平均研磨速度を算出した。
2)表面欠陥
研磨後の被研磨物を、超純水により洗浄、乾燥させた後、微分干渉顕微鏡、倍率×2、500倍にて、表面を観察した。尚、0.1μm以上の長さを持つ表面上の傷を、スクラッチと判断した。
×:傷、スクラッチ 5個を超える
2.保存安定性評価
大気圧、室温下にて、研磨剤を6時間静置した。その後、研磨剤の状態を目視により観察した。
○:上澄み、沈殿の生成なし
×:上澄み、沈殿の生成あり
3.スラリー消泡性評価
研磨後研磨パットに残る泡立ちの様子を目視により観察した。
○:泡立ちなし
×:激しい泡立ち有り
(有機微粒子の製造例1)
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラフラスコに、水194.7部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム0.1部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部添加した。これとは別に、アクリル酸ブチル75.0部、メタクリル酸20.0部、ジビニルベンゼン5.0部を、水40部とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム0.1部に混合し単量体の乳化物を調製し、この乳化物をフラスコ内に4時間かけて滴下し、その後4時間70℃で保持した。
得られたエマルションは、固形分30%であり、光散乱による平均粒子径は127.8nmで、pHが2.4であった。
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラフラスコに、水194.7部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム1.0部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち重合開始剤として10%アゾビスシアノ吉草酸アンモニア中和水溶液4.0部添加した。これとは別に、スチレン93.0部、メタクリル酸2.0部、ジビニルベンゼン5.0部を、水40部とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム0.1部に混合し単量体の乳化物を調製し、この乳化物をフラスコ内に4時間かけて滴下し、その後4時間70℃で保持した。
得られたエマルションは、固形分30%であり、光散乱による平均粒子径が85.7nmで、pHが6.2であった。
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラフラスコに、水194.7部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部添加した。これとは別に、アクリル酸ブチル75.0部、メタクリル酸20.0部、ジビニルベンゼン5.0部を、水40部とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウム0.1部に混合し単量体の乳化物を調製し、この乳化物をフラスコ内に4時間かけて滴下し、その後4時間70℃で保持した。
得られたエマルションは、固形分30%であり、光散乱による平均粒子径が210.5nmで、pHが2.8であった。
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、製造例1のpH調整後のエマルション、純水、35%過酸化水素、脂肪酸エステルを主組成とする消泡剤であるSNデフォーマーJK(商品名;サンノプコ製)をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、シュウ酸1.0wt%、消泡剤0.1wt%、pH8.8になるように調整した。
前記方法により研磨性能を評価した結果、一定の速度にて研磨が可能であり、研磨時間が長くなっても表面欠陥もないことから、この研磨材は研磨時の物理的な負荷に対して安定であり、被研磨物にスクラッチを生じさせないことを確認した。結果を表1に示す。
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、製造例2のpH調整後のエマルション、純水、35%過酸化水素、脂肪酸エステルを主組成とする消泡剤であるSNデフォーマーJK(商品名;サンノプコ製)をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、シュウ酸 1.0wt%、消泡剤 0.1wt%、pH8.8になるように調整した。
研磨結果を表1に示す。
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、製造例3のpH調整後のエマルション、純水、35%過酸化水素、脂肪酸エステルを主組成とする消泡剤であるSNデフォーマーJK(商品名;サンノプコ製)をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、シュウ酸 1.0wt%、消泡剤 0.2wt%、pH8.8になるように調整した。
研磨結果を表1に示す。
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、製造例1のpH調整後のエマルション、純水、35%過酸化水素をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、シュウ酸 1.0wt%、pH8.8になるように調整した。
研磨結果を表1に示す。
Claims (4)
- 金属を研磨する研磨用スラリーであって、有機微粒子のエマルション、錯化剤、酸化剤、及び脂肪酸エステルの乳化物である発泡を抑制する添加剤を含有することを特徴とする研磨用スラリー。
- 錯化剤が、カルボン酸類、アミン類、アミノ酸類およびアンモニアのうちから選ばれる少なくとも1種類であり、pHが、5〜11の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の研磨用スラリー。
- 酸化剤が過酸化水素水であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨用スラリー。
- 前記発泡を抑制する添加剤は、消泡剤である請求項1〜3のいずれかに記載の研磨用スラリー。
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