JP2004014813A - 金属研磨組成物、それを用いた研磨方法及びそれを用いた基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属膜を平坦性を維持したまま高速に研磨できる金属研磨組成物を提供すると共にこの金属研磨組成物を用いた金属膜の研磨方法、およびこの金属研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の製造方法を提供する。
【解決手段】シッフベースを含有する水溶液からなる金属研磨組成物を用い、基板上の金属膜を研磨し平坦化することにより、基板を製造する。シッフベースとしては、下記一般式(1)
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【選択図】なし
【解決手段】シッフベースを含有する水溶液からなる金属研磨組成物を用い、基板上の金属膜を研磨し平坦化することにより、基板を製造する。シッフベースとしては、下記一般式(1)
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板を研磨する金属研磨組成物、研磨方法、基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC(Integrated circuit;集積回路)やLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)における技術の進歩により、それらの動作速度や集積規模が向上し、例えばマイクロプロセッサの高性能化やメモリチップの大容量化が急速に達成されている。これら高性能化には微細加工技術が大きく寄与をしている。この微細加工技術のひとつとして平坦化技術である化学機械研磨法がある。多層配線工程における、層間絶縁膜、金属プラグ、配線金属の平坦化に使用されている。
【0003】
このうち配線金属は、近年、配線遅延の問題などから銅または銅合金を使用する試みがなされている。銅または銅合金を用いた配線の製造方法としては層間絶縁膜にあらかじめ溝を形成しておき、必要があれば、Taなどのバリヤ膜を薄く形成し、ダマシン法などにより銅または銅合金を堆積する。この時銅または銅合金は層間絶縁膜上部に余分に堆積しているために平坦化を行いながら余分な銅または銅合金を除去していく研磨を行うことにより配線を形成する。
【0004】
このような方法として、砥粒を含有する研磨剤で処理する方法が考えられるが、研磨剤のみで処理した場合には、銅または銅金属は一般的に柔らかいのでスクラッチと呼ばれる傷がつきやすく歩留まりが非常に低くなる。また、銅はエッチング剤により溶解することからエッチング剤を添加した研磨剤が考えられるが、凸部ばかりではなく凹部もエッチングし、平坦化が出来ないばかりか金属配線部が削れたディッシングという現象が発生してしまう。
【0005】
このような現象を防止する銅または銅合金などの金属膜を研磨する金属研磨組成物として、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、アミノ酢酸を含有し、必要があれば砥粒を含有している組成物が特開平8−83780に開示されている。ここでベンゾトリアゾールは酸化された金属膜と反応保護膜を形成し、凸部を優先的に機械研磨し平坦性が高まると共に低ディッシングに寄与していると記述されている。
【0006】
さらに、特開平9−55363号公報には、銅と反応して水に難溶性で、かつ銅よりも機械的に脆弱な銅錯体を生成する、2−キノリンカルボン酸、を添加する金属研磨組成物を開示している。
【0007】
特開平8−83780号公報に記載のベンゾトリアゾールを含む金属研磨組成物は平坦性やディッシングには効果があるものの、ベンゾトリアゾールの防食作用が強いため、研磨速度が著しく低下する欠点があった。また、特開平9−55363に記載の2−キノリンカルボン酸を用いた金属研磨組成物では、2−キノリンカルボン酸が著しく高価で工業的に使用することは難しかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属膜を平坦性を維持したまま高速に研磨できる金属研磨組成物を提供すると共にこの金属研磨組成物を用いた金属膜の研磨方法、およびこの金属研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、シッフベースを含有する金属研磨組成物を用いることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[14]に関する。
[1]金属研磨組成物において、シッフベースを含有する水溶液からなることを特徴とする金属研磨組成物。
[2]シッフベースが、下記一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される前項1に記載の金属研磨組成物。
[3]シッフベースが、アルデヒドまたはケトンと、アンモニアまたは一級アミンとの反応生成物である前項1に記載の金属研磨組成物。
[4]アルデヒドまたはケトンが、下記一般式(2)
【0013】
【化4】
【0014】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される前項3に記載の金属研磨組成物。
[5]金属研磨組成物が、酸化剤を含有することを特徴とする前項1乃至4のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
[6]酸化剤が、過酸化水素である前項5に記載の金属研磨組成物。
[7]金属研磨組成物が、エッチング剤を含有する前項1乃至6のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
[8]エッチング剤が、アンモニア、有機酸またはその塩である前項7に記載の金属研磨組成物。
[9]金属研磨組成物が、研磨剤を含有する前項1乃至8に記載の金属研磨組成物。
[10]研磨剤が、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒からなる群より選ばれる少なくともひとつである前項9に記載の金属研磨組成物。
【0015】
[11]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する方法であって、前項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いることを特徴とする金属研磨方法。
[12]金属膜が、銅または銅を含有する合金からなる前項11に記載の金属研磨方法。
【0016】
[13]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、前項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いて平坦化することを特徴とする基板の製造方法。
[14]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、前項11または12に記載の金属研磨方法で平坦化する工程を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、シッフベースを含有する水溶液からなる金属用研磨組成物である。このようなシッフベースとしては、下記一般式(1)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で示されるシッフベースが挙げられる。
【0020】
このようなシッフベースとしては、例えば、1−メチル−3−オキソブチリデンアミン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)シクロヘキシルアミン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)グリシン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−O−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−2,2’−ビフェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−4−アザ−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、7−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザヘプト−4−エン−2−オン、8−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザオクタ−4−エン−2−オン、7−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザオクタ−4−エン−2−オン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)アリルアミンまたはアリル基が重合した化合物、サリチリデンアミン、N−サリチリデンシクロヘキシルアミン、N−サリチリデン−N’,N’−ジエチルエチレンジアミン、N−ジサリチリデン−N’−(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N−サリチリデングリシン、N,N’−ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−O−フェニレンジアミン、N,N’−ジサリチリデントリメチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−2,2’−ビフェニレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−4−アザ−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、3−サリチリデンアミノ−1−プロパノール、3−サリチリデンアミノ−2−プロパノール、1,5−ビス(サリチリデンアミノ)−3−ペンタノール、1,3−ビス(サリチリデンアミノ)−2−プロパノール、N−サリチリデンアリルアミンまたはアリル基が重合した化合物、N−ピロドキシリデングリシン、N,N’−ジピリドキシリデンエチレンジアミン、N,N’−エチレンビス(3−カルボキシサリチリデンアミン)、2,6−ビス{N−(2−ヒドロキシフェニル)イミノメチル}−4−メチルフェノール、1,3−ビス(3−ホルミル−5−メチルサリチリデンアミノ)プロパン、11,23−ジメチル−3,7,15,19−テトラアザトリシクロ[19.3.1.19,13]ヘキサコ−2,7,9,11,13(26),14,19,21(25),22,24−デカエン−25,26−ジオール、N,N’−ビス(2−アミノベンジリデン)エチレンジアミン等が挙げられる。
【0021】
本発明で用いられるシッフベースは、アルデヒドまたはケトンとアンモニアまたは一級アミンとの脱水反応で生成することができる。
好ましいアルデヒドまたはケトンとしては、下記一般式(2)
【0022】
【化6】
【0023】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表されるアルデヒドであり、更に好ましくはアセチルアセトンまたはその誘導体、サリチルアルデヒドまたはその誘導体、O−アミノベンズアルデヒドまたはその誘導体である。
【0024】
このようなアルデヒドまたはケトンとしては、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセチルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、フロイルアセトン、トリフルオロフロイルアセトン、ベンゾイルフロイルメタン、テノイルアセトン、トリフルオロテノイルアセトン、フロイルテノイルメタンなどのアセチルアセトン類、サリチルアルデヒド、2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール、3−ホルミルサリチル酸、ピリドキサールなどのサリチルアルデヒド類、O−アミノベンズアルデヒドなどのO−アミノベンズアルデヒド類が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられるシッフベースを製造するための一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、アリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、フルフリルアミンなどのアルキルモノアミン、O−アミノフェノール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノールなどのヒドロキシル基を有するモノアミン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、アスパラギン酸、リシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、O−フェニレンジアミン、トリメチレンジアミン、2,2−ジアミノジn−プロピルアミン、2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、1,5−ジアミノ−3−ペンタノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、キシレンジアミン、ビスアミノプロピルポリアルキレンエーテルなどのジアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどのポリアミンが挙げられる。
【0026】
本発明で用いられるシッフベースの製造方法としては、例えば、アルデヒドまたはケトンと、アンモニアもしくは一級アミンとを混合することにより製造できる。混合方法としては、ニートで混合することもできるし、水、アルコール、芳香族炭化水素を溶媒とすることもできる。必要があれば水酸化カリウムなどを添加しても製造することができる。製造したシッフベースは精製単離して用いることもできるし、不純物が少なければ製造した溶液をそのまま金属研磨組成物に使用することもできる。
【0027】
本発明で使用されるシッフベースは、キレート剤として銅と錯体を形成することにより、研磨速度を上げると共にディッシングを抑制するものと考えられる。このシッフベースの金属研磨組成物中の含有量としては、0.01〜20質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜10質量%である。少量ではキレートの効果がなくなり、高濃度に含有させても銅の研磨速度が上がらないばかりか経済的にも有利ではない。
【0028】
本発明の金属研磨組成物の製造方法は、例えば、シッフベースを含まない金属研磨組成物へ本発明に用いるシッフベースを添加すればよい。添加方法としては、単離したシッフベースを金属研磨組成物へ添加してもよいが、水あるいは金属研磨に影響を与えないアルコールなどの溶媒に溶解して添加することもできるし、製造した溶液を精製せずに添加することも可能である。
【0029】
本発明の金属研磨組成物には、酸化剤を含有させて使用することが好ましい。酸化剤は、銅または銅合金を酸化し、研磨速度向上に寄与する。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸などの過酸、過マンガン酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの酸化剤のうち、金属元素を有しない過酸化水素が好ましい。
【0030】
酸化剤の含有量としては、金属研磨組成物に対して0.01〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜20質量%である。少ないと研磨速度が小さく十分な効果が得られず、多いと無駄であるばかりか逆に研磨速度を抑制する場合もある。
【0031】
本発明の金属研磨組成物には、エッチング剤を含有させることができる。エッチング剤は、研磨を促進すると共に安定した研磨を行うために含有させることができる。このようなエッチング剤としては、例えば、アンモニア、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸、フェノール、カテコールなどのフェノール類、グリシン、グリシルグリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、アスパラギン酸、リシン、グルタミン酸などのアミノ酸が挙げられる。
【0032】
これらのエッチング剤は、一種を含有させてもよいし、二種以上を含有させてもよい。含有量としては、金属研磨組成物に対して0.01〜10質量%が好ましい。0.01質量%以下では、適切な研磨速度がでず、10質量%以上では、銅または銅合金のエッチング速度が速く、平坦化ができずディッシングも抑制することができない。
【0033】
本発明の金属研磨組成物は、砥粒なしで使用することもできるが、研磨速度を十分に上げたりする目的などで砥粒を含有させることもできる。砥粒としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒が挙げられる。砥粒の含有量が多いと、ディッシングやスクラッチの原因になるので、含有量は金属研磨組成物に対して30質量%以下が好ましく、更に好ましくは、20質量%以下である。
【0034】
本発明の金属研磨組成物には、金属のエッチングを制御し、適正な研磨を行うために、金属保護膜形成剤や防食剤を含有させることができる。このような成分として好ましくは、例えば、ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾールまたはその塩が挙げられる。
【0035】
本発明の金属研磨組成物には性能、物性などに悪影響を及ぼさない範囲で、無機酸やその塩を含有させることができる。安定した研磨性能を維持する目的やpH調整剤、緩衝剤などとして使用される。このような無機酸としては、例えば、炭酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸が挙げられ、それらの無機酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩またはカリウム塩が挙げられる。これら無機酸またはその塩を含有させることは、金属研磨組成物に対して、5質量%以下が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
【0036】
本発明の金属研磨組成物には、必要に応じて水溶性ポリマーや界面活性剤を含有させることができる。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸やそのアンモニウム塩、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメトキシエチレン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系及び非イオン系のいずれも使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等のエステル型などが挙げられる。これら水溶性高分子、界面活性剤の含有量は、金属研磨組成物に対してそれぞれ5質量%以下が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
【0037】
本発明で用いられる金属研磨組成物は、pH2〜12までの間で使用することができる。強酸性領域ではシッフベースが加水分解することがあり、pH5〜12の間で使用することが好ましく、更に好ましくはpH7〜11である。このようにpHを調整する試薬としては、前記エッチング剤、前記無機酸または無機酸塩を用いることもできるし、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物を用いることもできる。
【0038】
本発明の金属研磨組成物により研磨される金属膜としては、アルミニウム、銅、タングステン、ニッケル、タンタル、窒下タンタル、チタン、ルテニウム、白金またはこれら金属の合金が挙げられる。本発明の金属研磨組成物が好ましく使用できる金属は、多層配線部の配線部分になりうる金属であり、凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋めこまれる。更に好ましくは、多層配線部の配線部分になりうる銅または銅合金である。
【0039】
本発明の金属研磨組成物を用いた研磨方法は、研磨定盤の研磨布上に本発明の金属研磨組成物を供給しながら、被研磨金属膜を有する基板を研磨布に押し当てた状態で研磨定盤と基板を相対的に動かすことによって被研磨金属膜を研磨する方法である。
【0040】
研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布を貼り付けた定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタンなどが使用できる。研磨定盤の研磨布上に本発明の金属研磨組成物を供給する方法としては、ポンプなどで連続的に供給する。この時金属研磨組成物は全ての成分を含んだ1液で供給されてもよく、更には、液の安定性を考慮して過酸化水素の溶液とその他の溶液を別ラインで供給することもできる。別ラインで2液以上を供給する場合には、研磨布直前に1液にして供給することもできるし、別ラインでそのまま研磨布上に供給することも可能である。
【0041】
このような研磨方法により金属膜が平坦化された基板を製造することができる。この工程を更に説明する。まず、基板上の層間絶縁膜に配線を形成する溝および開口部を開け、絶縁膜上に薄くバリヤ膜を形成する。更に、前記溝および開口部を埋め込むようにメッキなどの方法により銅などの金属配線用の金属膜を形成させる。この金属膜を研磨し、必要があればバリヤ膜および層間絶縁膜をさらに研磨することにより平坦化を行うことにより金属膜が平坦化された基板を製造することができる。ここでいう層間絶縁膜とは、酸化ケイ素膜、HSQ、MSQなどの無機系の層間絶縁膜やベンゾシクロブテンからなる膜のような有機系層間絶縁膜であり、また、これらに空孔を持たせた低誘電率層間絶縁膜も用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の「部」は特に断りの無い限り質量部である。
【0043】
(シッフベースの合成)
<N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン(acacen)の合成>
100ml三口フラスコにアセチルアセトン20gを入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながら、無水エチレンジアミン6gをゆっくり加えた。発熱し、黄色に変色した溶液を攪拌しながら、1時間空冷した。淡黄色の固形物が得られた。これを水から再結晶し、真空乾燥することにより、白色結晶15gを得た。融点111〜112℃。
プロトンNMRからacacenであることが分かった。
【0044】
〈N−1−メチル−3−オキソブチリデンアミン(acacam)の合成〉
300ml三口フラスコにアセチルアセトン20gを水50mlに懸濁させ攪拌しながら、28%アンモニア水溶液をゆっくり滴下した。発熱しながらアセチルアセトンは溶解し、acacam水溶液が得られた。最後に全体を水で198gになるように希釈し、10質量%acacam水溶液を得た。
【0045】
〈3−サリチリデンアミノ−1−プロパノール(sap)の合成〉
100ml三口フラスコにサリチルアルデヒド12.2g、エタノール30mlを加え、攪拌しながら3−アミノ−1−プロパノール7.5gをゆっくり加えた。添加後、1時間還流した。反応終了した溶液は、エバポレーターで濃縮し、黄色の粘凋液体17gを得た。
【0046】
〈ポリアリルアミンのアセチルアセトン付加シッフベース(acacPAA)の合成〉
100ml三口フラスコにアセチルアセトン10g、水20mlを入れ、攪拌した。アセチルアセトンは溶解せず2層分離しているが、構わず固形分5.7gを含むポリアリルアミン水溶液をゆっくり滴下した。発熱しながらアセチルアセトンは溶解し、薄い黄色になった。更に、1時間攪拌することにより、acacPAA水溶液を得た。
【0047】
〈研磨速度テスト〉
以下の条件で行った。
基板:4×4cmに切断した銅膜付きシリコンウエハ
基板と研磨定盤との相対速度:54m/分
研磨圧力:307gf/cm2
研磨パッド:ロデールニッタ社製 IC1000/SUBA400
研磨組成物供給速度:13ml/分
研磨速度の測定:研磨前後の電気抵抗値から換算した。
【0048】
〈エッチングテスト〉
2cm×2cmの銅板を金属研磨組成物に浸け、銅板の減少量から、1分間当たりのエッチング速度を計算した。
【0049】
〈研磨特性テスト〉
実際の研磨特性を評価するためパターンが形成されたウエハの研磨を以下の条件で行った。
基板:タンタルがバリヤ膜として用いられ、溝深さが800nmで1600nmの銅膜が付いたシリコンウエハを4×4cmに切った基板。
基板と研磨定盤との相対速度:54m/分
研磨圧力:307gf/cm2
研磨パッド:ロデールニッタ社製 IC1000/SUBA400
研磨組成物供給速度:13ml/分
段差の測定:触診式の段差測定計を用い、100μm/100μmのライン/スペースでの段差を測定した。
実施例1〜4、比較例1:
金属研磨組成物はそれぞれ組成が表1のようになるように調整した。シッフベース、砥粒、エッチング剤を水に溶解及び分散させた後、酸化剤を添加し、最後にpH調整剤で所定のpHに調整した。
それぞれの金属研磨組成物は、研磨速度測定、エッチング速度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
比較例1では、研磨速度が遅く、エッチングがやや起こったのに対して、シッフベースを添加した実施例1〜4では、エッチングが起こっていないにもかかわらず、研磨速度は著しく向上した。また、研磨を行った後の銅膜上にはキズは全くなかった。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例5:
実際の研磨特性を評価するためパターンが形成されたウエハの研磨を行った。実施例3で用いた研磨組成物を用い、タンタルバリヤ膜が出てくるまで研磨を行った。この基板の段差を測定したところ、50nmであった。段差緩和性が高く、ディッシングが少ないことがわかった。また、ウエハ上には全くキズは見られなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の研磨組成物を用いることにより、研磨速度が速く、段差緩和性が高く、ディッシングを少なくすることができる。また、本発明の研磨方法および基板の製造方法により平坦性の優れた基板を製造することが容易にできる。
【発明の属する技術分野】本発明は、基板を研磨する金属研磨組成物、研磨方法、基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC(Integrated circuit;集積回路)やLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)における技術の進歩により、それらの動作速度や集積規模が向上し、例えばマイクロプロセッサの高性能化やメモリチップの大容量化が急速に達成されている。これら高性能化には微細加工技術が大きく寄与をしている。この微細加工技術のひとつとして平坦化技術である化学機械研磨法がある。多層配線工程における、層間絶縁膜、金属プラグ、配線金属の平坦化に使用されている。
【0003】
このうち配線金属は、近年、配線遅延の問題などから銅または銅合金を使用する試みがなされている。銅または銅合金を用いた配線の製造方法としては層間絶縁膜にあらかじめ溝を形成しておき、必要があれば、Taなどのバリヤ膜を薄く形成し、ダマシン法などにより銅または銅合金を堆積する。この時銅または銅合金は層間絶縁膜上部に余分に堆積しているために平坦化を行いながら余分な銅または銅合金を除去していく研磨を行うことにより配線を形成する。
【0004】
このような方法として、砥粒を含有する研磨剤で処理する方法が考えられるが、研磨剤のみで処理した場合には、銅または銅金属は一般的に柔らかいのでスクラッチと呼ばれる傷がつきやすく歩留まりが非常に低くなる。また、銅はエッチング剤により溶解することからエッチング剤を添加した研磨剤が考えられるが、凸部ばかりではなく凹部もエッチングし、平坦化が出来ないばかりか金属配線部が削れたディッシングという現象が発生してしまう。
【0005】
このような現象を防止する銅または銅合金などの金属膜を研磨する金属研磨組成物として、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、アミノ酢酸を含有し、必要があれば砥粒を含有している組成物が特開平8−83780に開示されている。ここでベンゾトリアゾールは酸化された金属膜と反応保護膜を形成し、凸部を優先的に機械研磨し平坦性が高まると共に低ディッシングに寄与していると記述されている。
【0006】
さらに、特開平9−55363号公報には、銅と反応して水に難溶性で、かつ銅よりも機械的に脆弱な銅錯体を生成する、2−キノリンカルボン酸、を添加する金属研磨組成物を開示している。
【0007】
特開平8−83780号公報に記載のベンゾトリアゾールを含む金属研磨組成物は平坦性やディッシングには効果があるものの、ベンゾトリアゾールの防食作用が強いため、研磨速度が著しく低下する欠点があった。また、特開平9−55363に記載の2−キノリンカルボン酸を用いた金属研磨組成物では、2−キノリンカルボン酸が著しく高価で工業的に使用することは難しかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属膜を平坦性を維持したまま高速に研磨できる金属研磨組成物を提供すると共にこの金属研磨組成物を用いた金属膜の研磨方法、およびこの金属研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、シッフベースを含有する金属研磨組成物を用いることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[14]に関する。
[1]金属研磨組成物において、シッフベースを含有する水溶液からなることを特徴とする金属研磨組成物。
[2]シッフベースが、下記一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される前項1に記載の金属研磨組成物。
[3]シッフベースが、アルデヒドまたはケトンと、アンモニアまたは一級アミンとの反応生成物である前項1に記載の金属研磨組成物。
[4]アルデヒドまたはケトンが、下記一般式(2)
【0013】
【化4】
【0014】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表される前項3に記載の金属研磨組成物。
[5]金属研磨組成物が、酸化剤を含有することを特徴とする前項1乃至4のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
[6]酸化剤が、過酸化水素である前項5に記載の金属研磨組成物。
[7]金属研磨組成物が、エッチング剤を含有する前項1乃至6のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
[8]エッチング剤が、アンモニア、有機酸またはその塩である前項7に記載の金属研磨組成物。
[9]金属研磨組成物が、研磨剤を含有する前項1乃至8に記載の金属研磨組成物。
[10]研磨剤が、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒からなる群より選ばれる少なくともひとつである前項9に記載の金属研磨組成物。
【0015】
[11]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する方法であって、前項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いることを特徴とする金属研磨方法。
[12]金属膜が、銅または銅を含有する合金からなる前項11に記載の金属研磨方法。
【0016】
[13]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、前項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いて平坦化することを特徴とする基板の製造方法。
[14]凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、前項11または12に記載の金属研磨方法で平坦化する工程を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、シッフベースを含有する水溶液からなる金属用研磨組成物である。このようなシッフベースとしては、下記一般式(1)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で示されるシッフベースが挙げられる。
【0020】
このようなシッフベースとしては、例えば、1−メチル−3−オキソブチリデンアミン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)シクロヘキシルアミン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)グリシン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−O−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−2,2’−ビフェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−4−アザ−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、7−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザヘプト−4−エン−2−オン、8−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザオクタ−4−エン−2−オン、7−ヒドロキシ−4−メチル−5−アザオクタ−4−エン−2−オン、N−(1−メチル−3−オキソブチリデン)アリルアミンまたはアリル基が重合した化合物、サリチリデンアミン、N−サリチリデンシクロヘキシルアミン、N−サリチリデン−N’,N’−ジエチルエチレンジアミン、N−ジサリチリデン−N’−(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N−サリチリデングリシン、N,N’−ジサリチリデンエチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−O−フェニレンジアミン、N,N’−ジサリチリデントリメチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−2,2’−ビフェニレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−4−アザ−1,7−ヘプタンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、3−サリチリデンアミノ−1−プロパノール、3−サリチリデンアミノ−2−プロパノール、1,5−ビス(サリチリデンアミノ)−3−ペンタノール、1,3−ビス(サリチリデンアミノ)−2−プロパノール、N−サリチリデンアリルアミンまたはアリル基が重合した化合物、N−ピロドキシリデングリシン、N,N’−ジピリドキシリデンエチレンジアミン、N,N’−エチレンビス(3−カルボキシサリチリデンアミン)、2,6−ビス{N−(2−ヒドロキシフェニル)イミノメチル}−4−メチルフェノール、1,3−ビス(3−ホルミル−5−メチルサリチリデンアミノ)プロパン、11,23−ジメチル−3,7,15,19−テトラアザトリシクロ[19.3.1.19,13]ヘキサコ−2,7,9,11,13(26),14,19,21(25),22,24−デカエン−25,26−ジオール、N,N’−ビス(2−アミノベンジリデン)エチレンジアミン等が挙げられる。
【0021】
本発明で用いられるシッフベースは、アルデヒドまたはケトンとアンモニアまたは一級アミンとの脱水反応で生成することができる。
好ましいアルデヒドまたはケトンとしては、下記一般式(2)
【0022】
【化6】
【0023】
(式中Aはヘテロ原子またはヘテロ原子グループを示し、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基(R1、R2は2つが連結し環を形成してもよい。)、シアノ基、水酸基、アルコキシル基、アシル基、ホルミル基、カルボキシル基またはシリル基を表す。)で表されるアルデヒドであり、更に好ましくはアセチルアセトンまたはその誘導体、サリチルアルデヒドまたはその誘導体、O−アミノベンズアルデヒドまたはその誘導体である。
【0024】
このようなアルデヒドまたはケトンとしては、アセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセチルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、フロイルアセトン、トリフルオロフロイルアセトン、ベンゾイルフロイルメタン、テノイルアセトン、トリフルオロテノイルアセトン、フロイルテノイルメタンなどのアセチルアセトン類、サリチルアルデヒド、2,6−ジホルミル−4−メチルフェノール、3−ホルミルサリチル酸、ピリドキサールなどのサリチルアルデヒド類、O−アミノベンズアルデヒドなどのO−アミノベンズアルデヒド類が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられるシッフベースを製造するための一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、アリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、フルフリルアミンなどのアルキルモノアミン、O−アミノフェノール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノールなどのヒドロキシル基を有するモノアミン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、アスパラギン酸、リシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、O−フェニレンジアミン、トリメチレンジアミン、2,2−ジアミノジn−プロピルアミン、2−メチル−2−(2−ベンジルチオエチル)エチレンジアミン、1,5−ジアミノ−3−ペンタノール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、キシレンジアミン、ビスアミノプロピルポリアルキレンエーテルなどのジアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどのポリアミンが挙げられる。
【0026】
本発明で用いられるシッフベースの製造方法としては、例えば、アルデヒドまたはケトンと、アンモニアもしくは一級アミンとを混合することにより製造できる。混合方法としては、ニートで混合することもできるし、水、アルコール、芳香族炭化水素を溶媒とすることもできる。必要があれば水酸化カリウムなどを添加しても製造することができる。製造したシッフベースは精製単離して用いることもできるし、不純物が少なければ製造した溶液をそのまま金属研磨組成物に使用することもできる。
【0027】
本発明で使用されるシッフベースは、キレート剤として銅と錯体を形成することにより、研磨速度を上げると共にディッシングを抑制するものと考えられる。このシッフベースの金属研磨組成物中の含有量としては、0.01〜20質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜10質量%である。少量ではキレートの効果がなくなり、高濃度に含有させても銅の研磨速度が上がらないばかりか経済的にも有利ではない。
【0028】
本発明の金属研磨組成物の製造方法は、例えば、シッフベースを含まない金属研磨組成物へ本発明に用いるシッフベースを添加すればよい。添加方法としては、単離したシッフベースを金属研磨組成物へ添加してもよいが、水あるいは金属研磨に影響を与えないアルコールなどの溶媒に溶解して添加することもできるし、製造した溶液を精製せずに添加することも可能である。
【0029】
本発明の金属研磨組成物には、酸化剤を含有させて使用することが好ましい。酸化剤は、銅または銅合金を酸化し、研磨速度向上に寄与する。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸などの過酸、過マンガン酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの酸化剤のうち、金属元素を有しない過酸化水素が好ましい。
【0030】
酸化剤の含有量としては、金属研磨組成物に対して0.01〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、0.1〜20質量%である。少ないと研磨速度が小さく十分な効果が得られず、多いと無駄であるばかりか逆に研磨速度を抑制する場合もある。
【0031】
本発明の金属研磨組成物には、エッチング剤を含有させることができる。エッチング剤は、研磨を促進すると共に安定した研磨を行うために含有させることができる。このようなエッチング剤としては、例えば、アンモニア、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸、フェノール、カテコールなどのフェノール類、グリシン、グリシルグリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、アスパラギン酸、リシン、グルタミン酸などのアミノ酸が挙げられる。
【0032】
これらのエッチング剤は、一種を含有させてもよいし、二種以上を含有させてもよい。含有量としては、金属研磨組成物に対して0.01〜10質量%が好ましい。0.01質量%以下では、適切な研磨速度がでず、10質量%以上では、銅または銅合金のエッチング速度が速く、平坦化ができずディッシングも抑制することができない。
【0033】
本発明の金属研磨組成物は、砥粒なしで使用することもできるが、研磨速度を十分に上げたりする目的などで砥粒を含有させることもできる。砥粒としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒が挙げられる。砥粒の含有量が多いと、ディッシングやスクラッチの原因になるので、含有量は金属研磨組成物に対して30質量%以下が好ましく、更に好ましくは、20質量%以下である。
【0034】
本発明の金属研磨組成物には、金属のエッチングを制御し、適正な研磨を行うために、金属保護膜形成剤や防食剤を含有させることができる。このような成分として好ましくは、例えば、ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾールまたはその塩が挙げられる。
【0035】
本発明の金属研磨組成物には性能、物性などに悪影響を及ぼさない範囲で、無機酸やその塩を含有させることができる。安定した研磨性能を維持する目的やpH調整剤、緩衝剤などとして使用される。このような無機酸としては、例えば、炭酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸が挙げられ、それらの無機酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩またはカリウム塩が挙げられる。これら無機酸またはその塩を含有させることは、金属研磨組成物に対して、5質量%以下が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
【0036】
本発明の金属研磨組成物には、必要に応じて水溶性ポリマーや界面活性剤を含有させることができる。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸やそのアンモニウム塩、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメトキシエチレン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系及び非イオン系のいずれも使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等のエステル型などが挙げられる。これら水溶性高分子、界面活性剤の含有量は、金属研磨組成物に対してそれぞれ5質量%以下が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
【0037】
本発明で用いられる金属研磨組成物は、pH2〜12までの間で使用することができる。強酸性領域ではシッフベースが加水分解することがあり、pH5〜12の間で使用することが好ましく、更に好ましくはpH7〜11である。このようにpHを調整する試薬としては、前記エッチング剤、前記無機酸または無機酸塩を用いることもできるし、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物を用いることもできる。
【0038】
本発明の金属研磨組成物により研磨される金属膜としては、アルミニウム、銅、タングステン、ニッケル、タンタル、窒下タンタル、チタン、ルテニウム、白金またはこれら金属の合金が挙げられる。本発明の金属研磨組成物が好ましく使用できる金属は、多層配線部の配線部分になりうる金属であり、凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋めこまれる。更に好ましくは、多層配線部の配線部分になりうる銅または銅合金である。
【0039】
本発明の金属研磨組成物を用いた研磨方法は、研磨定盤の研磨布上に本発明の金属研磨組成物を供給しながら、被研磨金属膜を有する基板を研磨布に押し当てた状態で研磨定盤と基板を相対的に動かすことによって被研磨金属膜を研磨する方法である。
【0040】
研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布を貼り付けた定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタンなどが使用できる。研磨定盤の研磨布上に本発明の金属研磨組成物を供給する方法としては、ポンプなどで連続的に供給する。この時金属研磨組成物は全ての成分を含んだ1液で供給されてもよく、更には、液の安定性を考慮して過酸化水素の溶液とその他の溶液を別ラインで供給することもできる。別ラインで2液以上を供給する場合には、研磨布直前に1液にして供給することもできるし、別ラインでそのまま研磨布上に供給することも可能である。
【0041】
このような研磨方法により金属膜が平坦化された基板を製造することができる。この工程を更に説明する。まず、基板上の層間絶縁膜に配線を形成する溝および開口部を開け、絶縁膜上に薄くバリヤ膜を形成する。更に、前記溝および開口部を埋め込むようにメッキなどの方法により銅などの金属配線用の金属膜を形成させる。この金属膜を研磨し、必要があればバリヤ膜および層間絶縁膜をさらに研磨することにより平坦化を行うことにより金属膜が平坦化された基板を製造することができる。ここでいう層間絶縁膜とは、酸化ケイ素膜、HSQ、MSQなどの無機系の層間絶縁膜やベンゾシクロブテンからなる膜のような有機系層間絶縁膜であり、また、これらに空孔を持たせた低誘電率層間絶縁膜も用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の「部」は特に断りの無い限り質量部である。
【0043】
(シッフベースの合成)
<N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン(acacen)の合成>
100ml三口フラスコにアセチルアセトン20gを入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながら、無水エチレンジアミン6gをゆっくり加えた。発熱し、黄色に変色した溶液を攪拌しながら、1時間空冷した。淡黄色の固形物が得られた。これを水から再結晶し、真空乾燥することにより、白色結晶15gを得た。融点111〜112℃。
プロトンNMRからacacenであることが分かった。
【0044】
〈N−1−メチル−3−オキソブチリデンアミン(acacam)の合成〉
300ml三口フラスコにアセチルアセトン20gを水50mlに懸濁させ攪拌しながら、28%アンモニア水溶液をゆっくり滴下した。発熱しながらアセチルアセトンは溶解し、acacam水溶液が得られた。最後に全体を水で198gになるように希釈し、10質量%acacam水溶液を得た。
【0045】
〈3−サリチリデンアミノ−1−プロパノール(sap)の合成〉
100ml三口フラスコにサリチルアルデヒド12.2g、エタノール30mlを加え、攪拌しながら3−アミノ−1−プロパノール7.5gをゆっくり加えた。添加後、1時間還流した。反応終了した溶液は、エバポレーターで濃縮し、黄色の粘凋液体17gを得た。
【0046】
〈ポリアリルアミンのアセチルアセトン付加シッフベース(acacPAA)の合成〉
100ml三口フラスコにアセチルアセトン10g、水20mlを入れ、攪拌した。アセチルアセトンは溶解せず2層分離しているが、構わず固形分5.7gを含むポリアリルアミン水溶液をゆっくり滴下した。発熱しながらアセチルアセトンは溶解し、薄い黄色になった。更に、1時間攪拌することにより、acacPAA水溶液を得た。
【0047】
〈研磨速度テスト〉
以下の条件で行った。
基板:4×4cmに切断した銅膜付きシリコンウエハ
基板と研磨定盤との相対速度:54m/分
研磨圧力:307gf/cm2
研磨パッド:ロデールニッタ社製 IC1000/SUBA400
研磨組成物供給速度:13ml/分
研磨速度の測定:研磨前後の電気抵抗値から換算した。
【0048】
〈エッチングテスト〉
2cm×2cmの銅板を金属研磨組成物に浸け、銅板の減少量から、1分間当たりのエッチング速度を計算した。
【0049】
〈研磨特性テスト〉
実際の研磨特性を評価するためパターンが形成されたウエハの研磨を以下の条件で行った。
基板:タンタルがバリヤ膜として用いられ、溝深さが800nmで1600nmの銅膜が付いたシリコンウエハを4×4cmに切った基板。
基板と研磨定盤との相対速度:54m/分
研磨圧力:307gf/cm2
研磨パッド:ロデールニッタ社製 IC1000/SUBA400
研磨組成物供給速度:13ml/分
段差の測定:触診式の段差測定計を用い、100μm/100μmのライン/スペースでの段差を測定した。
実施例1〜4、比較例1:
金属研磨組成物はそれぞれ組成が表1のようになるように調整した。シッフベース、砥粒、エッチング剤を水に溶解及び分散させた後、酸化剤を添加し、最後にpH調整剤で所定のpHに調整した。
それぞれの金属研磨組成物は、研磨速度測定、エッチング速度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
比較例1では、研磨速度が遅く、エッチングがやや起こったのに対して、シッフベースを添加した実施例1〜4では、エッチングが起こっていないにもかかわらず、研磨速度は著しく向上した。また、研磨を行った後の銅膜上にはキズは全くなかった。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例5:
実際の研磨特性を評価するためパターンが形成されたウエハの研磨を行った。実施例3で用いた研磨組成物を用い、タンタルバリヤ膜が出てくるまで研磨を行った。この基板の段差を測定したところ、50nmであった。段差緩和性が高く、ディッシングが少ないことがわかった。また、ウエハ上には全くキズは見られなかった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の研磨組成物を用いることにより、研磨速度が速く、段差緩和性が高く、ディッシングを少なくすることができる。また、本発明の研磨方法および基板の製造方法により平坦性の優れた基板を製造することが容易にできる。
Claims (14)
- 金属研磨組成物において、シッフベースを含有する水溶液からなることを特徴とする金属研磨組成物。
- シッフベースが、アルデヒドまたはケトンと、アンモニアまたは一級アミンとの反応生成物である請求項1に記載の金属研磨組成物。
- 金属研磨組成物が、酸化剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
- 酸化剤が、過酸化水素である請求項5に記載の金属研磨組成物。
- 金属研磨組成物が、エッチング剤を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の金属研磨組成物。
- エッチング剤が、アンモニア、有機酸またはその塩である請求項7に記載の金属研磨組成物。
- 金属研磨組成物が、研磨剤を含有する請求項1乃至8に記載の金属研磨組成物。
- 研磨剤が、シリカ、アルミナ、セリア、有機砥粒からなる群より選ばれる少なくともひとつである請求項9に記載の金属研磨組成物。
- 凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する方法であって、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いることを特徴とする金属研磨方法。
- 金属膜が、銅または銅を含有する合金からなる請求項11に記載の金属研磨方法。
- 凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の金属研磨組成物を用いて平坦化することを特徴とする基板の製造方法。
- 凹部を有する基板上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を研磨する平坦化した基板の製造方法であって、請求項11または12に記載の金属研磨方法で平坦化する工程を含むことを特徴とする基板の製造方法。
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