JP2004123950A - 研磨剤 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】研磨速度を速くしてもスクラッチやディッシングの起こらない研磨剤を提供する。
【解決手段】金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤及び水を含有してなり、有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体が1〜50質量%およびビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものである研磨剤。
【解決手段】金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤及び水を含有してなり、有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体が1〜50質量%およびビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものである研磨剤。
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、半導体装置製造の配線工程においてタングステン、アルミニウム、銅等の金属配線加工した半導体絶縁膜上の過剰な金属膜を取り除き、金属配線を含んだ絶縁膜を傷つけることなく平坦化することのできる有機微粒子からなる研磨剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体装置製造の配線工程において、半導体絶縁膜上に配線形成用の溝形成を行い、配線用の金属膜をめっき法などにより埋め込み、過剰な金属膜を、取り除き、金属配線を含んだ絶縁膜を平坦化する技術として、CMP(Chemicaland Mechanical Polishing)が用いられている。これは、化学反応させた被研磨物表面を、砥粒を分散させたスラリーにより機械的に研磨する方法である。CMP技術においては従来から、セリア、アルミナなどの金属酸化物あるいはシリカなどの無機砥粒を含むスラリーが用いられている。しかし、これらの無機砥粒は硬度が高く、銅など硬度が低い金属膜を研磨する場合、スクラッチと呼ばれる金属表面の研磨傷や、金属膜中心部がより研磨されることによって配線が凹形状に形成されるディッシングと呼ばれる現象が発生することが、大きな問題となっている。
現在、半導体の性能向上のため、絶縁膜上の配線幅は0.25μmから0.13μm、さらに0.09μmへと、より微細化が進んでおり、その研磨対象の絶縁膜表面は、より複雑な構造になっている。配線幅がより微細化されると、スクラッチによる金属表面の研磨傷は断線を引き起こし、また、ディッシングは配線抵抗の上昇やばらつき、さらには上層に形成される配線間のショートを引き起こし、半導体デバイスの信頼性を著しく低下させる原因となっている。
このスクラッチは、砥粒の硬さや、砥粒の凝集体が存在することにより起こる部分的な過剰研磨が原因である。
また、ディッシングは、硬い砥粒による過研磨や研磨速度を上げるために金属表面の溶出を促進させるためのpH調整や添加剤等の添加が原因である。
【0003】
これらの問題を解決するために、無機砥粒の場合は砥粒を、アルミナよりも柔らかいシリカにし、金属の溶出しない中性からアルカリ性側において研磨する研磨液が開発されようとしている。例えば、シリカを砥粒にした場合、アルミナよりもスクラッチが減少するが、無機砥粒を用いた場合、スクラッチやディッシングの発生は防げず根本的な解決になっていない。また、特許第3172008号では有機高分子化合物の粒子を研磨砥粒とする方法が記載されている。ここで用いられている有機高分子は、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の官能基を持たない成分を砥粒としているため、被研磨体である金属膜との化学作用が全く働かず、半導体装置製造の配線工程に必要な十分な研磨速度が得られていない。さらに、研磨粒子である有機高分子が官能基を持たないと、主成分として使用する溶媒への分散性が悪く、部分的に粒子の凝集体が生成することに由来する研磨むらの発生、および研磨速度のばらつきが問題となる。さらに、保管が1週間以上の長期に渡る場合、沈殿が生じる等の問題がある。
【0004】
【解決課題】
本発明は、研磨速度を速くしてもスクラッチやディッシングの起こらない研磨剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水を主成分とする溶媒に分散性が良好であり、金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子と、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物を含んだスラリーを使用することにより、十分な研磨速度を維持したまま、スクラッチやディッシング等の問題を発生させることなく、微細な金属配線を含む複雑な絶縁膜表面を平坦に研磨できることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、
金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤及び水を含有してなる研磨剤である。
有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体が1〜50質量%およびビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものであることは好ましい態様である。
有機微粒子が、溶媒を水とする、アクリルエマルション樹脂は水を主成分とする溶媒に分散性が良好であり好ましい態様である。
金属と錯体を形成しうる水溶性化合物が、カルボン酸類、アミン類、アミノ酸類およびアンモニアのうちから選ばれる少なくとも1種類であることは好ましい態様である。
研磨剤のpHが、5〜11の範囲であることは好ましい態様である。
【0006】以下、本発明を具体的に説明する。
【0007】
(有機微粒子について)
有機微粒子は、金属と錯体を形成しうる官能基を有する。金属と錯体を形成しうる官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミン基、ケトン基、グリシジル基が挙げられる。特にカルボン酸が好ましく用いられる。
有機微粒子は、例えば不飽和カルボン酸及びこれと共重合可能なビニル系単量体を乳化重合することより製造することができる。そして、得られた共重合体エマルション中の不飽和カルボン酸に対して0.3モル等量以上のアルカリ性物質を添加することにより、カルボン酸基を解離させて、金属と錯体を形成しやすい状態にする。
本発明で用いられる不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和一塩基酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和二塩基酸又はこれらのモノエステル類から選択された1種又は2種以上で、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0008】
これらの不飽和カルボン酸の使用量は共重合体中の全単量体成分中150質量部で、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。1質量部未満では、目的とする研磨速度が得られず、また、50質量部を超えると耐水性、耐アルカリ性が不良となる場合がある。
上記の不飽和カルボン酸と共重合可能なビニル系単量体とは、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物が用いられる。又、官能基単量体として、不飽和カルボン酸以外に必要に応じて(メタ)アクリルアミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が使用される。
ビニル系単量体の使用量は、99〜50質量%、好ましくは95〜70質量%である。
この様な有機微粒子は、アルカリ性物質を添加することにより、全体が膨潤するもの、しないものがあるが、そのどちらでもよい。尚、ここで示す膨潤とは、その一次粒子の平均粒子径が、分解や凝集することなく、水やその他の水溶性物質を粒子内に含むことにより、大きくなることである。
【0009】
アルカリ添加による有機微粒子の膨潤度調整のため、必要に応じて架橋性単量体を共重合することができる。この例としては、重合性不飽和結合を一分子中に2個以上含有する単量体で、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクレート、トリメチロールアロバントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジアクリレート等が挙げられる。この架橋性単量体の使用量は20質量%以下で、好ましくは10質量%以下であり、不飽和カルボン酸の種類、使用量、ビニル系共重合体の種類などによって適宜使用される。
尚、これらの有機微粒子は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
この有機微粒子の研磨剤中の含有量としては、その有機微粒子によって異なるが、0.1〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満では、有機微粒子の効果が充分に発揮できないため、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、20質量%を超えると、研磨剤の粘度が高いため、研磨時の一定速度での研磨剤の供給が難しくなる場合がある。
【0010】
(有機微粒子中のカルボン酸の解離)
有機微粒子は、粒子中に含有されるカルボン酸基を部分的、或いは、完全に解離させた状態で使用する。解離した状態にするために、アルカリ性物質を使用するが、その例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、珪酸ソーダ等の無機アルカリ性物質や、アンモニア等の揮発性アルカリ性物質や、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ性物質を用いることができる。
その使用量としては、有機微粒子を構成する共重合体に含まれる不飽和カルボン酸系単量体単位1当量に対して、0.1当量以上10当量以下が好ましい。
アルカリ性物質の使用量が0.1当量未満では、解離したカルボン酸基の量が不充分であり、被研磨金属との錯体形成反応が遅くなり、目的とする研磨能力が得られない場合がある。
【0011】
(水溶性錯体形成化合物)
金属と錯体を形成しうる水溶性化合物としては、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等のカルボン酸類、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類類、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン等のアミノ酸類、アセチルアセトン等のケトン類、イミダゾール等のN含有環状化合物等が挙げられる。好ましくは、シュウ酸、リンゴ酸、エチルアミンが挙げられる。
含有量としては、その水溶性錯形成化合物によって異なるが、研磨剤中0.1〜10質量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満では、その効果が充分に発揮できず、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、10重量%を超えると、被研磨金属と錯体形成が過剰に進み、研磨対象外の被研磨金属が溶出するディッシングが抑制できない場合がある。
被研磨物の金属が、有機微粒子に含まれる官能基と錯体を形成し同様に、上記の水溶性化合物と金属錯体を形成することにより、良好な金属研磨が行われる。この金属錯体は、有機微粒子の配位子と水溶性物質の配位子からなるものでもよいし、有機微粒子−金属の錯体形成が、水溶性物質−金属の錯体形成を促進させる、或いは、水溶性物質−金属の錯体形成が、有機微粒子−金属の錯体形成を促進させてるものでもよい。
【0012】
(酸化剤について)
酸化剤としては、特に限定はないが、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸ソーダ、硝酸第2鉄等が挙げられる。これらの酸化剤の含有率としては、酸化剤種によって異なるが、研磨剤中0.5〜15質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満では、目的とする研磨速度が達成できなず、また、15質量%を超えると、研磨対象部分外の研磨が過剰に進み、ディシングの原因となる場合がある。
【0013】
(研磨剤のpH)
本発明で示す研磨剤のpHは、5〜11、更に好ましくは、7〜10の範囲である。pH5未満では、金属の溶出が抑制できないため、ディッシングが発生してしまう場合がある。また、pH11を超えると、金属膜研磨の最終点となる半導体絶縁膜と金属配線が同一面上に存在する点において、絶縁膜を溶解させたり、部分的に分解させたりする場合がある。
この研磨剤のpH調整に使用する物質は、特には限定ないが、アルカリ性物質としては、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン等のアミン類、NaOH、KOH等の無機類等が挙げられる。また、酸性物質としては、塩酸、硝酸等の無機類、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸類が挙げられる。これらのpH調整剤は、上記に示した金属の配位子となりうる水溶性化合物を兼ねてもよい。また、これらの物質は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
(混合方法)
有機微粒子、水溶性化合物及び水を混合し、pH調整して、研磨剤となるスラリーを製造する。この製造方法は、特には、限定ないが、pH調整した樹脂エマルションに、pH調整した金属と配位子を形成しうる水溶性化合物の水溶液を加え、よく攪拌混合するのが好ましい。その後、徐々に、酸化剤を加えて、さらに攪拌混合する。
そして、最終的なpHと濃度調整後、ろ紙濾過により、不溶解物と凝集体を取り除き、研磨剤とする。
【0015】
(その他、添加剤)
その他に、研磨促進剤として、塩素、フッ素、沃素を含むハロケ゛ン化物や、研磨や腐食を避けたい部分のCu配線の保護膜としてベンゾトリアゾール、キナルジン酸等の窒素含有複素環化合物、及び、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グルコース等の水溶性高分子、界面活性剤等の物質を、単独、又は、2種類以上組み合わせて添加してもよい。その添加量、種類については、本発明の目的を達成することができる限り、特に限定されない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明を詳細に説明する。なお、本実施例において、部および%は、特に限定しない限り、質量部および質量%を表す。
エマルション、研磨剤中の粒度分布は、以下の方法で測定した。
▲1▼スラリー粒度分布測定
レーザー動的光散乱法原理を用いた粒度分布測定法
測定装置:MICROTRAC UPA・MODEL:9230(Leeds&Northrup社製)
濃度条件:試料原液
測定時間:900秒
また、研磨剤の評価は下記の方法により行った
1.研磨性能評価
この研磨剤を使用して、膜厚5,000ÅのSiN膜付き4インチサイズのシリコンウェハー上に形成された膜厚10,000ÅのCu膜を、下記の条件にて、研磨した。各研磨時間毎の研磨速度と表面欠陥を下記の方法にて、評価した。この時、SiN膜表面に達した点を、研磨終了点として、その時間を測定した。尚、この研磨終了点の判断は、研磨装置にとりつけたトルクセンサーにより、回転軸トルクの変化より判断した。
研磨条件
研磨圧力 40g/cm2
回転数 100rpm
研磨パッド 多孔質ポリウレタン
研磨液循環量 100ml/min
研磨時間 1、3分間、及び、SiO2膜表面に達するまで
2.評価方法
▲1▼研磨速度算出
研磨後の被研磨物を、超純水により洗浄、乾燥させた後、電気伝導式膜厚測定器によって測定した。膜厚の減少量と研磨時間から平均研磨速度を算出した。
▲2▼表面欠陥
研磨後の被研磨物を、超純水により洗浄、乾燥させた後、微分干渉顕微鏡、倍率×2、
500倍にて、表面を観察した。尚、0.1μm以上の長さを持つ表面上の傷を、スクラッチと判断した。
○:傷、スクラッチ 5個以下
×:傷、スクラッチ 5個を超える
2.ディッシング量測定
大気圧、室温下にて、被研磨物を研磨剤中に、1時間浸漬し、その膜厚の減少量をディッシング量とした。尚、減少量は、1分間あたりに換算した。
3.保存安定性評価
大気圧、室温下にて、研磨剤を6時間静置した。その後、研磨剤の状態を目視により観察した。
○:上澄み、沈殿の生成なし
×:上澄み、沈殿の生成あり
【0017】
(実施例1)
(A)有機微粒子の製造
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラフラスコに、第1段階として水100部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち重合開始剤として過硫酸カリウム0.8部添加し、溶解したことを確認してメタクリル酸メチル4部、アクリル酸ブチル4部、メタクリル酸2部の混合単量体を仕込み2時間反応させた。
得られたエマルションは、固形分約9%であり、電子顕微鏡により、粒子径を測定したところ約0.05μmであった。
さらにこの共重合体エマルションを、アンモニアを使用し、pH8.8(室温25〜30℃)に調整した。その時の粒径は、固形分濃度8.0%であり、平均粒径0.5μmであった。
(B)研磨剤の製造
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、(A)のpH調整後のエマルション、界面活性剤 ポリオキシエチレン(10)オクチレンフェニルエーテル (商標 TritonX−100、和光純薬工業社より購入)、純水、35%過酸化水素をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、界面活性剤 50ppm、シュウ酸 1.0wt%、pH8.8になるように調整した。
前記方法により研磨性能を評価した結果、一定の速度にて研磨が可能であり、研磨時間が長くなっても表面欠陥もないことから、この研磨材は研磨時の物理的な負荷に対して安定であり、被研磨物にスクラッチを生じさせないことを確認した。結果を表1に示す。
【0018】
(実施例2)
実施例1の有機微粒子を、固形分中メタクリル酸を3wt%含有したアクリル樹脂エマルション(商品名 アロマテックスG275 三井化学社製、平均粒径120nm、不飽和カルボン酸モノマー含有量3wt%)に置き換えた以外は、同様の操作を行った。 研磨結果を表1に示す。
【0019】
(比較例1)
実施例1の有機微粒子を除いた以外は、同様の操作、評価を行った。
研磨結果を表1に示す。
【0020】
(比較例2)
実施例1の有機微粒子を市販のコロイダルシリカ(扶桑化学社製 PL−1)に置き換えた以外は、実施例1と同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例3)
実施例1のシュウ酸を省いた以外は、同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0022】
(比較例4)
実施例1の有機微粒子を平均粒径0.1μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)粒子に置き換えた以外は、同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明の、金属と錯体を形成しうる官能基を持つ有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤、水を含有してなる研磨剤は、配線加工された絶縁膜上の過剰な金属膜を早い速度で研磨することができ、被研磨対象物表面に、研磨過剰による傷やスクラッチを発生することなく研磨することができる。
その上、分散性に優れたアクリルエマルションを使用しているため、アルミナ、シリカ、エマルション以外のメタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の有機微粒子を砥粒とした研磨剤に見られる時間経過による分離(上澄み、沈殿の生成)、凝集体生成が起こらず、常に安定した研磨速度が得られる。
また、固形分組成が有機微粒子からなる本発明の研磨剤では、絶縁膜よりも分解温度がかなり低いため、熱処理、プラズマ処理が可能である。この様な処理法を用いると、絶縁膜にダメージを与えず、研磨剤の残存物の除去が可能である。さらに、多孔質化された絶縁膜では、熱処理或いはプラズマ処理により研磨剤の残存物が除去可能である本発明の研磨剤は有用である。
【発明の属する分野】
本発明は、半導体装置製造の配線工程においてタングステン、アルミニウム、銅等の金属配線加工した半導体絶縁膜上の過剰な金属膜を取り除き、金属配線を含んだ絶縁膜を傷つけることなく平坦化することのできる有機微粒子からなる研磨剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体装置製造の配線工程において、半導体絶縁膜上に配線形成用の溝形成を行い、配線用の金属膜をめっき法などにより埋め込み、過剰な金属膜を、取り除き、金属配線を含んだ絶縁膜を平坦化する技術として、CMP(Chemicaland Mechanical Polishing)が用いられている。これは、化学反応させた被研磨物表面を、砥粒を分散させたスラリーにより機械的に研磨する方法である。CMP技術においては従来から、セリア、アルミナなどの金属酸化物あるいはシリカなどの無機砥粒を含むスラリーが用いられている。しかし、これらの無機砥粒は硬度が高く、銅など硬度が低い金属膜を研磨する場合、スクラッチと呼ばれる金属表面の研磨傷や、金属膜中心部がより研磨されることによって配線が凹形状に形成されるディッシングと呼ばれる現象が発生することが、大きな問題となっている。
現在、半導体の性能向上のため、絶縁膜上の配線幅は0.25μmから0.13μm、さらに0.09μmへと、より微細化が進んでおり、その研磨対象の絶縁膜表面は、より複雑な構造になっている。配線幅がより微細化されると、スクラッチによる金属表面の研磨傷は断線を引き起こし、また、ディッシングは配線抵抗の上昇やばらつき、さらには上層に形成される配線間のショートを引き起こし、半導体デバイスの信頼性を著しく低下させる原因となっている。
このスクラッチは、砥粒の硬さや、砥粒の凝集体が存在することにより起こる部分的な過剰研磨が原因である。
また、ディッシングは、硬い砥粒による過研磨や研磨速度を上げるために金属表面の溶出を促進させるためのpH調整や添加剤等の添加が原因である。
【0003】
これらの問題を解決するために、無機砥粒の場合は砥粒を、アルミナよりも柔らかいシリカにし、金属の溶出しない中性からアルカリ性側において研磨する研磨液が開発されようとしている。例えば、シリカを砥粒にした場合、アルミナよりもスクラッチが減少するが、無機砥粒を用いた場合、スクラッチやディッシングの発生は防げず根本的な解決になっていない。また、特許第3172008号では有機高分子化合物の粒子を研磨砥粒とする方法が記載されている。ここで用いられている有機高分子は、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の官能基を持たない成分を砥粒としているため、被研磨体である金属膜との化学作用が全く働かず、半導体装置製造の配線工程に必要な十分な研磨速度が得られていない。さらに、研磨粒子である有機高分子が官能基を持たないと、主成分として使用する溶媒への分散性が悪く、部分的に粒子の凝集体が生成することに由来する研磨むらの発生、および研磨速度のばらつきが問題となる。さらに、保管が1週間以上の長期に渡る場合、沈殿が生じる等の問題がある。
【0004】
【解決課題】
本発明は、研磨速度を速くしてもスクラッチやディッシングの起こらない研磨剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水を主成分とする溶媒に分散性が良好であり、金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子と、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物を含んだスラリーを使用することにより、十分な研磨速度を維持したまま、スクラッチやディッシング等の問題を発生させることなく、微細な金属配線を含む複雑な絶縁膜表面を平坦に研磨できることを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、
金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤及び水を含有してなる研磨剤である。
有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体が1〜50質量%およびビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものであることは好ましい態様である。
有機微粒子が、溶媒を水とする、アクリルエマルション樹脂は水を主成分とする溶媒に分散性が良好であり好ましい態様である。
金属と錯体を形成しうる水溶性化合物が、カルボン酸類、アミン類、アミノ酸類およびアンモニアのうちから選ばれる少なくとも1種類であることは好ましい態様である。
研磨剤のpHが、5〜11の範囲であることは好ましい態様である。
【0006】以下、本発明を具体的に説明する。
【0007】
(有機微粒子について)
有機微粒子は、金属と錯体を形成しうる官能基を有する。金属と錯体を形成しうる官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミン基、ケトン基、グリシジル基が挙げられる。特にカルボン酸が好ましく用いられる。
有機微粒子は、例えば不飽和カルボン酸及びこれと共重合可能なビニル系単量体を乳化重合することより製造することができる。そして、得られた共重合体エマルション中の不飽和カルボン酸に対して0.3モル等量以上のアルカリ性物質を添加することにより、カルボン酸基を解離させて、金属と錯体を形成しやすい状態にする。
本発明で用いられる不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和一塩基酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和二塩基酸又はこれらのモノエステル類から選択された1種又は2種以上で、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0008】
これらの不飽和カルボン酸の使用量は共重合体中の全単量体成分中150質量部で、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。1質量部未満では、目的とする研磨速度が得られず、また、50質量部を超えると耐水性、耐アルカリ性が不良となる場合がある。
上記の不飽和カルボン酸と共重合可能なビニル系単量体とは、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物が用いられる。又、官能基単量体として、不飽和カルボン酸以外に必要に応じて(メタ)アクリルアミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が使用される。
ビニル系単量体の使用量は、99〜50質量%、好ましくは95〜70質量%である。
この様な有機微粒子は、アルカリ性物質を添加することにより、全体が膨潤するもの、しないものがあるが、そのどちらでもよい。尚、ここで示す膨潤とは、その一次粒子の平均粒子径が、分解や凝集することなく、水やその他の水溶性物質を粒子内に含むことにより、大きくなることである。
【0009】
アルカリ添加による有機微粒子の膨潤度調整のため、必要に応じて架橋性単量体を共重合することができる。この例としては、重合性不飽和結合を一分子中に2個以上含有する単量体で、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクレート、トリメチロールアロバントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジアクリレート等が挙げられる。この架橋性単量体の使用量は20質量%以下で、好ましくは10質量%以下であり、不飽和カルボン酸の種類、使用量、ビニル系共重合体の種類などによって適宜使用される。
尚、これらの有機微粒子は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
この有機微粒子の研磨剤中の含有量としては、その有機微粒子によって異なるが、0.1〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満では、有機微粒子の効果が充分に発揮できないため、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、20質量%を超えると、研磨剤の粘度が高いため、研磨時の一定速度での研磨剤の供給が難しくなる場合がある。
【0010】
(有機微粒子中のカルボン酸の解離)
有機微粒子は、粒子中に含有されるカルボン酸基を部分的、或いは、完全に解離させた状態で使用する。解離した状態にするために、アルカリ性物質を使用するが、その例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、珪酸ソーダ等の無機アルカリ性物質や、アンモニア等の揮発性アルカリ性物質や、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ性物質を用いることができる。
その使用量としては、有機微粒子を構成する共重合体に含まれる不飽和カルボン酸系単量体単位1当量に対して、0.1当量以上10当量以下が好ましい。
アルカリ性物質の使用量が0.1当量未満では、解離したカルボン酸基の量が不充分であり、被研磨金属との錯体形成反応が遅くなり、目的とする研磨能力が得られない場合がある。
【0011】
(水溶性錯体形成化合物)
金属と錯体を形成しうる水溶性化合物としては、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸等のカルボン酸類、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類類、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン等のアミノ酸類、アセチルアセトン等のケトン類、イミダゾール等のN含有環状化合物等が挙げられる。好ましくは、シュウ酸、リンゴ酸、エチルアミンが挙げられる。
含有量としては、その水溶性錯形成化合物によって異なるが、研磨剤中0.1〜10質量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満では、その効果が充分に発揮できず、目的とする研磨速度が達成できない場合がある。また、10重量%を超えると、被研磨金属と錯体形成が過剰に進み、研磨対象外の被研磨金属が溶出するディッシングが抑制できない場合がある。
被研磨物の金属が、有機微粒子に含まれる官能基と錯体を形成し同様に、上記の水溶性化合物と金属錯体を形成することにより、良好な金属研磨が行われる。この金属錯体は、有機微粒子の配位子と水溶性物質の配位子からなるものでもよいし、有機微粒子−金属の錯体形成が、水溶性物質−金属の錯体形成を促進させる、或いは、水溶性物質−金属の錯体形成が、有機微粒子−金属の錯体形成を促進させてるものでもよい。
【0012】
(酸化剤について)
酸化剤としては、特に限定はないが、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸ソーダ、硝酸第2鉄等が挙げられる。これらの酸化剤の含有率としては、酸化剤種によって異なるが、研磨剤中0.5〜15質量%の範囲が好ましい。0.5質量%未満では、目的とする研磨速度が達成できなず、また、15質量%を超えると、研磨対象部分外の研磨が過剰に進み、ディシングの原因となる場合がある。
【0013】
(研磨剤のpH)
本発明で示す研磨剤のpHは、5〜11、更に好ましくは、7〜10の範囲である。pH5未満では、金属の溶出が抑制できないため、ディッシングが発生してしまう場合がある。また、pH11を超えると、金属膜研磨の最終点となる半導体絶縁膜と金属配線が同一面上に存在する点において、絶縁膜を溶解させたり、部分的に分解させたりする場合がある。
この研磨剤のpH調整に使用する物質は、特には限定ないが、アルカリ性物質としては、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン等のアミン類、NaOH、KOH等の無機類等が挙げられる。また、酸性物質としては、塩酸、硝酸等の無機類、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸類が挙げられる。これらのpH調整剤は、上記に示した金属の配位子となりうる水溶性化合物を兼ねてもよい。また、これらの物質は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
(混合方法)
有機微粒子、水溶性化合物及び水を混合し、pH調整して、研磨剤となるスラリーを製造する。この製造方法は、特には、限定ないが、pH調整した樹脂エマルションに、pH調整した金属と配位子を形成しうる水溶性化合物の水溶液を加え、よく攪拌混合するのが好ましい。その後、徐々に、酸化剤を加えて、さらに攪拌混合する。
そして、最終的なpHと濃度調整後、ろ紙濾過により、不溶解物と凝集体を取り除き、研磨剤とする。
【0015】
(その他、添加剤)
その他に、研磨促進剤として、塩素、フッ素、沃素を含むハロケ゛ン化物や、研磨や腐食を避けたい部分のCu配線の保護膜としてベンゾトリアゾール、キナルジン酸等の窒素含有複素環化合物、及び、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グルコース等の水溶性高分子、界面活性剤等の物質を、単独、又は、2種類以上組み合わせて添加してもよい。その添加量、種類については、本発明の目的を達成することができる限り、特に限定されない。
【0016】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明を詳細に説明する。なお、本実施例において、部および%は、特に限定しない限り、質量部および質量%を表す。
エマルション、研磨剤中の粒度分布は、以下の方法で測定した。
▲1▼スラリー粒度分布測定
レーザー動的光散乱法原理を用いた粒度分布測定法
測定装置:MICROTRAC UPA・MODEL:9230(Leeds&Northrup社製)
濃度条件:試料原液
測定時間:900秒
また、研磨剤の評価は下記の方法により行った
1.研磨性能評価
この研磨剤を使用して、膜厚5,000ÅのSiN膜付き4インチサイズのシリコンウェハー上に形成された膜厚10,000ÅのCu膜を、下記の条件にて、研磨した。各研磨時間毎の研磨速度と表面欠陥を下記の方法にて、評価した。この時、SiN膜表面に達した点を、研磨終了点として、その時間を測定した。尚、この研磨終了点の判断は、研磨装置にとりつけたトルクセンサーにより、回転軸トルクの変化より判断した。
研磨条件
研磨圧力 40g/cm2
回転数 100rpm
研磨パッド 多孔質ポリウレタン
研磨液循環量 100ml/min
研磨時間 1、3分間、及び、SiO2膜表面に達するまで
2.評価方法
▲1▼研磨速度算出
研磨後の被研磨物を、超純水により洗浄、乾燥させた後、電気伝導式膜厚測定器によって測定した。膜厚の減少量と研磨時間から平均研磨速度を算出した。
▲2▼表面欠陥
研磨後の被研磨物を、超純水により洗浄、乾燥させた後、微分干渉顕微鏡、倍率×2、
500倍にて、表面を観察した。尚、0.1μm以上の長さを持つ表面上の傷を、スクラッチと判断した。
○:傷、スクラッチ 5個以下
×:傷、スクラッチ 5個を超える
2.ディッシング量測定
大気圧、室温下にて、被研磨物を研磨剤中に、1時間浸漬し、その膜厚の減少量をディッシング量とした。尚、減少量は、1分間あたりに換算した。
3.保存安定性評価
大気圧、室温下にて、研磨剤を6時間静置した。その後、研磨剤の状態を目視により観察した。
○:上澄み、沈殿の生成なし
×:上澄み、沈殿の生成あり
【0017】
(実施例1)
(A)有機微粒子の製造
攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラフラスコに、第1段階として水100部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち重合開始剤として過硫酸カリウム0.8部添加し、溶解したことを確認してメタクリル酸メチル4部、アクリル酸ブチル4部、メタクリル酸2部の混合単量体を仕込み2時間反応させた。
得られたエマルションは、固形分約9%であり、電子顕微鏡により、粒子径を測定したところ約0.05μmであった。
さらにこの共重合体エマルションを、アンモニアを使用し、pH8.8(室温25〜30℃)に調整した。その時の粒径は、固形分濃度8.0%であり、平均粒径0.5μmであった。
(B)研磨剤の製造
シュウ酸の10%溶液を、アンモニアを使用し、pH8.6に調整した。この溶液と、(A)のpH調整後のエマルション、界面活性剤 ポリオキシエチレン(10)オクチレンフェニルエーテル (商標 TritonX−100、和光純薬工業社より購入)、純水、35%過酸化水素をよく混合し、有機微粒子(固形分)濃度3.0wt%、過酸化水素2.0wt%、界面活性剤 50ppm、シュウ酸 1.0wt%、pH8.8になるように調整した。
前記方法により研磨性能を評価した結果、一定の速度にて研磨が可能であり、研磨時間が長くなっても表面欠陥もないことから、この研磨材は研磨時の物理的な負荷に対して安定であり、被研磨物にスクラッチを生じさせないことを確認した。結果を表1に示す。
【0018】
(実施例2)
実施例1の有機微粒子を、固形分中メタクリル酸を3wt%含有したアクリル樹脂エマルション(商品名 アロマテックスG275 三井化学社製、平均粒径120nm、不飽和カルボン酸モノマー含有量3wt%)に置き換えた以外は、同様の操作を行った。 研磨結果を表1に示す。
【0019】
(比較例1)
実施例1の有機微粒子を除いた以外は、同様の操作、評価を行った。
研磨結果を表1に示す。
【0020】
(比較例2)
実施例1の有機微粒子を市販のコロイダルシリカ(扶桑化学社製 PL−1)に置き換えた以外は、実施例1と同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0021】
(比較例3)
実施例1のシュウ酸を省いた以外は、同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0022】
(比較例4)
実施例1の有機微粒子を平均粒径0.1μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)粒子に置き換えた以外は、同様の操作、評価を行った。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明の、金属と錯体を形成しうる官能基を持つ有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤、水を含有してなる研磨剤は、配線加工された絶縁膜上の過剰な金属膜を早い速度で研磨することができ、被研磨対象物表面に、研磨過剰による傷やスクラッチを発生することなく研磨することができる。
その上、分散性に優れたアクリルエマルションを使用しているため、アルミナ、シリカ、エマルション以外のメタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の有機微粒子を砥粒とした研磨剤に見られる時間経過による分離(上澄み、沈殿の生成)、凝集体生成が起こらず、常に安定した研磨速度が得られる。
また、固形分組成が有機微粒子からなる本発明の研磨剤では、絶縁膜よりも分解温度がかなり低いため、熱処理、プラズマ処理が可能である。この様な処理法を用いると、絶縁膜にダメージを与えず、研磨剤の残存物の除去が可能である。さらに、多孔質化された絶縁膜では、熱処理或いはプラズマ処理により研磨剤の残存物が除去可能である本発明の研磨剤は有用である。
Claims (5)
- 金属と錯体を形成しうる官能基を有する有機微粒子、金属と錯体を形成しうる水溶性化合物、酸化剤及び水を含有してなる研磨剤。
- 有機微粒子が、全単量体の質量をベースとして、不飽和カルボン酸系単量体が1〜50質量%およびビニル系単量体が99〜50質量%含有する単量体組成物を重合して得られる共重合体から構成されるものであることを特徴とする請求項1記載の研磨剤。
- 有機微粒子が、溶媒を水とする、アクリルエマルション樹脂であることを特徴とする請求項1記載の研磨剤。
- 金属と錯体を形成しうる水溶性化合物が、カルボン酸類、アミン類、アミノ酸類およびアンモニアのうちから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載の研磨剤。
- 研磨剤のpHが、5〜11の範囲であることを特徴とする請求項1記載の研磨剤。
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