JP4012643B2 - 半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体及び半導体装置の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の重合体粒子を含有し、半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体、及び界面活性剤の含有量が所定量以下であり、半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体に関する。また、これらの水系分散体によって、半導体装置の被加工膜を研磨する工程を備える半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化にともなって様々な微細加工技術が開発されている。例えば、パターンの最小加工寸法は年々小さくなり、現在では既にサブミクロンの領域になっている。そして、このような微細加工に対する厳しい要求に対応するため、化学機械研磨(以下、「CMP」ということもある。)等、種々の技術が開発されている。このCMPは、半導体装置の製造工程において、層間絶縁膜等の被加工膜の表面の平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成、及び埋め込み素子の分離等を行う際に必須となる技術である。
【0003】
このCMPにおいては、従来より、金属酸化物からなる研磨粒子を含む水系分散体が研磨剤として用いられている。しかし、この研磨粒子は硬度が高く、被研磨面を傷付けるという問題がある。CMP工程において発生するこの傷は、LSIの信頼性を低下させるため好ましくない。
【0004】
一方、特開平7−86216号公報には、金属酸化物からなる研磨粒子ではなく、有機高分子化合物或いは少なくとも炭素を主成分とする研磨粒子を含む研磨剤が記載されている。そして、この研磨剤を用いて半導体装置の被加工膜を研磨すれば、被研磨面における傷の発生を抑えることができ、更に、研磨後、残留する研磨粒子を高温下に燃焼し、除去することにより、基板上に残留する研磨粒子を減少させることができると説明されている。しかし、上記の公報等において提案されている有機高分子化合物からなる研磨粒子は硬度が低く、この研磨粒子を含む研磨剤を用いた場合、金属酸化物からなる研磨粒子を含む研磨剤に比べ、研磨速度が大幅に低下するとの問題がある。そのため、半導体装置の製造に際し、被加工膜を高い信頼性でもって高速で研磨することができず、半導体装置を歩留まりよく効率的に生産することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、半導体装置の被加工膜の被研磨面を傷付けることなく、しかも十分な研磨速度で研磨することができる半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体を提供することを目的とする。また、この水系分散体を用いて半導体装置の被加工膜を研磨する工程を備える半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体は、重合体粒子を含有し、該重合体粒子は5〜80重量%の架橋性単量体と、20〜95重量%のその他の単量体とを共重合させてなることを特徴とする。
【0007】
本発明の水系分散体に含有され、研磨粒子として機能する上記重合体粒子は、架橋構造を有する。架橋構造を有する重合体粒子は、非架橋の重合体粒子に比べて硬度が高く、この架橋構造を有する重合体粒子を研磨粒子として含有する本発明の水系分散体を半導体装置の化学機械研磨において用いた場合、半導体装置の被加工膜を十分な速度で研磨することができる。また、架橋構造を有する重合体粒子の硬度は、金属酸化物ほどに高くはないため、被研磨面に傷が発生することもない。
【0008】
本発明の水系分散体には、5〜80重量%の架橋性単量体と、20〜95重量%のその他の単量体とを共重合させてなる上記「重合体粒子」が含有される。以下、上記重合体粒子について詳しく説明する。
上記「架橋性単量体」としては、ジビニルベンゼンに代表されるジビニル芳香族化合物、或いはエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートに代表される多価アクリレート化合物などの、2以上の共重合性二重結合を有する化合物を用いることができる。
【0009】
多価アクリレート化合物としては、上記の他、以下の各種のものを使用することができる。
▲1▼ジアクリレート化合物
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、
【0010】
▲2▼トリアクリレート化合物
トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、
▲3▼テトラアクリレート化合物
テトラメチロールメタンテトラアクリレート、
【0011】
▲4▼ジメタクリレート化合物
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、
▲5▼トリメタクリレート化合物
トリメチロールエタントリメタクリレート、
【0012】
これらのうちでは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート又はトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。また、これらの架橋性単量体は、l種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0013】
架橋性単量体と共重合させる上記「その他の単量体」としては、
▲1▼スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物、
▲2▼マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸化合物、
【0014】
▲3▼無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物、
▲4▼アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、
▲5▼メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、へキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル、
【0015】
▲6▼メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、へキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、
▲7▼アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、
▲8▼ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン化合物、などが挙げられる。これらのその他の単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、2種以上の架橋性単量体と、2種以上のその他の単量体とを組み合わせて使用することもできる。
【0016】
架橋性単量体とその他の単量体との共重合は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等、各種の方法によって行うことができ、この共重合により架橋構造を有する共重合体を得ることができる。重合温度、重合時間、及びその他の重合条件は、共重合させる単量体の種類、所望の分子量等の特性に応じて適宜選択することができる。また、架橋性単量体は、共重合の開始時から反応系に配合されていてもよく、その他の単量体の重合がある程度進んだ段階で重合系に配合し、反応させてもよい。共重合に際して用いられる架橋性単量体は、単量体の合計量の5〜80重量%、特に5〜60重量%、更には7〜60重量%とすることが好ましい。架橋性単量体が5重量%未満では、得られる共重合体の硬度が十分に高くならず、一方、この単量体が80重量%を越える場合は、硬度は高くなるものの共重合体が脆くなってしまい研磨粒子としては好ましくない。
【0017】
共重合体は、ランダム共重合体、グラフト共重合体及びブロック共重合体のいずれの構造を有するものであってもよい。また、非架橋構造の重合体粒子に架橋性単量体をグラフト重合させ、或いは架橋性単量体とその他の単量体とを共グラフト重合させ、主にその表面に架橋構造を形成させた重合体粒子も研磨粒子として好適である。
【0018】
重合体粒子を含む上記「水系分散体」の調製方法としては、水性媒体を用いて架橋性単量体とその他の単量体とを共重合させ、生成する重合体粒子とそれを含む水性媒体を、そのまま水系分散体とする方法が最も簡便である。また、水性媒体或いは有機溶媒を用いて共重合させ、乾燥及び粉砕等を行った後、得られる粉末を水性媒体に再分散させる方法によって水系分散体とすることもできる。更に、有機溶媒を用いて共重合させた場合であっても、粒子状の共重合体が生成する場合は、蒸留等によってそのまま水性媒体に溶媒置換を行なうことで容易に水系分散体を調製することができる。尚、水性媒体としては、水及び水とメタノール等、水を主成分とする混合物を使用することができ、なかでも水のみを用いることが特に好ましい。
【0019】
上記重合体粒子は、架橋性単量体とその他の単量体とを共重合させることにより得られ、且つその平均粒径が0.13〜0.8μmの重合体粒子とすることができる。この平均粒径は重合体粒子を透過型電子顕微鏡によって観察することにより測定することができ、特に0.15〜0.6μm、更には0.15〜0.5μmの範囲であることが好ましい。このように特定の単量体を共重合させることにより得られ、特定の平均粒径を有する重合体粒子を水性媒体に含有させることにより、優れた性能の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体とすることができる。
【0020】
本発明の他の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体は、化学機械研磨用水系分散体を100重量%とした場合に、該界面活性剤の含有量が0.15重量%以下であり、重合体粒子及び水を含有することを特徴とする。
この界面活性剤は、水系分散体に含有される重合体粒子を均一に分散させるために配合されるものであるが、研磨性能の面からは少量であることが好ましい。界面活性剤の含有量は、0.05重量%以下、特に0.01重量%以下であることが好ましく、まったく含有されていないことがより好ましい。また、この界面活性剤は、重合体粒子を100重量部とした場合に、0.03重量部以下、特に0.01重量部以下であることが好ましく、まったく含有されていないことがより好ましい。
【0021】
即ち、界面活性剤の含有量を少量とすることにより、或いは界面活性剤をまったく含有させないことにより、更に優れた研磨性能を有する水系分散体とすることができ、被研磨面に傷を付けることなく、より高速で研磨することができる。この特定量の界面活性剤を含有する水系分散体では、研磨粒子として機能する重合体粒子は特に限定されないが、本発明における(イ)及び/又は(ロ)の重合体粒子を含有する水系分散体であることが好ましい。尚、界面活性剤の種類は特に限定はされず、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等、いずれも使用することができる。
【0022】
研磨粒子として機能する重合体粒子の形状は球状であることが好ましい。この球状とは、鋭角部分を有さない略球形のものをも意味し、必ずしも真球に近いものである必要はない。球状の研磨粒子を用いることにより、研磨の際に被研磨面に傷が付いたり、被研磨面が粗面となることが防止、或いは少なくとも抑制される。また、重合体粒子の平均粒径は、0.01〜2.0μm、特に0.05〜1.5μm、更には0.1〜1.0であることが好ましい。この平均粒径が過小、又は過大であると、水系分散体の安定性及び研磨速度が低下する。この重合体粒子の平均粒径は、特に、0.13〜0.8μmとすることが好ましく、この範囲の平均粒径であれば、長期に渡って安定であり、且つ十分な研磨速度を有する水系分散体とすることができる。
【0023】
尚、水系分散体における重合体粒子の含有量は、0.1〜30重量%とすることができ、特に0.5〜20重量%、更には1〜15重量%とすることが好ましい。重合体粒子の含有量が0.1重量%未満では、十分な研磨性能が得られず、一方、30重量%を越える場合は、水系分散体の安定性が低下する。
【0024】
本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体を用いて半導体装置の被加工膜を研磨する工程を備えることを特徴とする。
【0025】
上記「被加工膜」としては、超LSI等の半導体装置の製造過程において半導体基板上に設けられるシリコン酸化膜、アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜、シリコン窒化膜、純タングステン膜、純アルミニウム膜、或いは純銅膜等の他、タングステン、アルミニウム、銅等と他の金属との合金からなる膜などが挙げられる。また、タンタル、チタン等の金属の酸化物、窒化物(タンタル酸化物、チタン酸化物、タンタル窒化物又はチタン窒化物等)などからなる膜も被加工膜として挙げることができる。
【0026】
これら半導体装置の被加工膜の化学機械研磨に用いられる水系分散体に含有される重合体粒子は、被加工膜の硬度によって適宜選択することが好ましい。例えば、硬度の低いアルミニウム等からなる被加工膜の場合は、比較的硬度の低い重合体粒子を含有する水系分散体を使用することが好ましい。一方、タングステンなどのように硬度の高い被加工膜の場合は、高度に架橋された比較的硬度の高い重合体粒子を含有する水系分散体を使用する必要がある。
【0027】
本発明において、水系分散体には必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。それによって分散状態の安定性を更に向上させたり、研磨速度を高めたり、2種以上の被加工膜等、硬度の異なる被研磨物の研磨に用いた場合の研磨速度の差異を調整したりすることができる。具体的には、アルカリ金属の水酸化物或いはアンモニア、無機酸若しくは有機酸を配合し、pHを調整することによって水系分散体の分散性及び安定性を向上させることができる。
【0028】
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等を使用することができる。更に、無機酸としては硝酸、硫酸及びリン酸等を、有機酸としてはギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸及び安息香酸等を用いることができる。また、このpHの調整は、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等の水酸化物を用いて行うこともできる。また、水系分散体のpHを調整することにより、分散性の向上の他、研磨速度を高めることもでき、被加工面の電気化学的性質、重合体粒子の分散性、安定性、並びに研磨速度を勘案しつつ適宜pHを設定することが好ましい。
【0029】
更に、半導体装置の被加工膜において、被研磨物が金属からなる場合は、水系分散体に酸化剤を配合することにより、研磨速度を大幅に向上させることができる。この酸化剤としては、被加工面の電気化学的性質等により、例えば、Pourbaix線図によって適宜のものを選択して使用することができる。
【0030】
本発明の水系分散体による半導体装置の被加工膜の化学機械研磨は、金属酸化物の粒子を研磨粒子とする従来の方法において用いられている市販の化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LPG552」等)を用いて行なうことができる。
更に、研磨後、被研磨面に残留する重合体粒子の除去は、通常の洗浄方法によって行ってもよいし、被研磨面を酸素の存在下、高温にすることにより重合体粒子を燃焼させて除去することもできる。燃焼の具体的な方法としては、酸素プラズマに晒したり、酸素ラジカルをダウンフローで供給すること等のプラズマによる灰化処理等が挙げられ、これによって残留する重合体粒子を被研磨面から容易に除去することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。尚、これらの実施例においては、特にことわりのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0032】
実施例1[重合体粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
重合用4つ口フラスコに蒸留水576部、非イオン系界面活性剤(ロームアンドハース社製、商品名「Triton X−100」)0.5部及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(和光純薬株式会社製、商品名「V−60」)l.0部を投入し、10分間攪拌して完全に溶解させた。その後、スチレン100部を添加し、フラスコ内をN2ガスによってパージしながら更に5分間攪拌した。
【0033】
次いで、70℃で12時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去してスチレン重合体粒子を含有する水分散体を得た。尚、この水分散体の全固形分は14.2%であった。その後、この水分散体70部、蒸留水929部及び過硫酸アンモニウム1.0部をフラスコに投入し、10分間攪拌して過硫酸アンモニウムを溶解させた。次いで、スチレン90部及びジビニルベンゼン10部を添加し、フラスコ内をN2ガスによってパージしながら更に5分間攪拌した。その後、70℃で12時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去しスチレン/ジビニルベンゼン共重合体からなる球状の重合体粒子を含有する水系分散体を得た。この水系分散体の全固形分は9.6%であり、重合体粒子の平均粒径は0.35μmであった。
【0034】
実施例2(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜の表面に、スパッタリング法によって厚さ5000オングストロームのタングステン製の膜を形成した基板を化学機械研磨装置(株式会社荏原製作所製、型式「EPO−113」)にセットし、多孔質ポリウレタン製の研磨パッドを用い、加重150g/cm2になるようにして研磨を行った。ウレタンパッド表面には実施例1の水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を30cc/分の速度で供給した。
【0035】
研磨、洗浄、乾燥の後、電気伝導式膜厚測定機によってタングステン製の膜の厚さを測定し、研磨速度を算出した。その結果、研磨速度は900オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥し、KLA(ケーエルエー・テンコール社製、型式「KLA2112」)によってスクラッチを測定したところスクラッチは認められなかった。
【0036】
実施例3[重合体粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
重合用4つ口フラスコに蒸留水600部、ラウリル硫酸アンモニウム0.1部及び過硫酸アンモニウム0.6部を投入し、10分間攪拌して完全に溶解させた。その後、スチレン100部を添加し、フラスコ内をN2ガスによってパージしながら更に5分間攪拌した。
【0037】
次いで、80℃で4時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去してスチレン重合体粒子を含有する水系分散体を得た。尚、この水系分散体の全固形分は14.4%であった。また、球状の重合体粒子の平均粒径は0.39μmであった。その後、この水系分散体100部にイオン交換水44部を加え、全固形分10%の水系分散体とした。
【0038】
実施例4(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
実施例3において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用し、加重を300g/cm2とし、回転研磨の速度を100rpmとした他は実施例2と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は600オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところスクラッチは認められなかった。
【0039】
実施例5[重合体粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
重合用4つ口フラスコに蒸留水400部、ラウリル硫酸アンモニウム0.1部及び過硫酸アンモニウム0.6部を投入し、10分間攪拌して完全に溶解させた。その後、スチレン9.5部及びメタクリル酸0.5部を添加し、フラスコ内をN2ガスによってパージしながら更に5分間攪拌した。
【0040】
次いで、75℃で2時間反応させた後、フラスコ内に、スチレン88部とメタクリル酸2部との混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後、75℃で3時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去してスチレン/メタクリル酸共重合体粒子を含有する水系分散体を得た。尚、この水系分散体の全固形分は19.8%であった。また、球状の重合体粒子の平均粒径は0.239μmであった。その後、この水系分散体100部にイオン交換水91部を加え、全固形分10%の水系分散体とした。
【0041】
実施例6(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
実施例5において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用した他は実施例4と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は700オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところスクラッチは認められなかった。
【0042】
実施例7[重合体粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
前段のスチレンとメタクリル酸の仕込み量を、それぞれ8.5部及び1.5部とした他は実施例5と同様にしてスチレン/メタクリル酸共重合体粒子を含有する水系分散体を得た。この水系分散体の全固形分は19.5%であった。また、球状の共重合体粒子の平均粒径は0.183μmであった。その後、この水系分散体100部にイオン交換水95部を加え、全固形分10%の水系分散体とした。
【0043】
実施例8(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
実施例7において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用した他は実施例4と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は750オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところスクラッチは認められなかった。
【0044】
比較例1[重合体粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
ラウリル硫酸アンモニウムの仕込み量を2.0部とした他は実施例5と同様にしてスチレン/メタクリル酸共重合体粒子を含有する水系分散体を得た。この水系分散体の全固形分は19.9%であった。また、球状の共重合体粒子の平均粒径は0.283μmであった。その後、この水系分散体100部にイオン交換水99部を加え、全固形分10%の水系分散体とした。
【0045】
比較例2(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
比較例1において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用した他は実施例4と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は40オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところスクラッチは認められなかった。
【0046】
比較例3[無機粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
ヒュームド法シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#50」)6kgを、攪拌具及び容器の接液部をウレタン樹脂でコーティングした遊星方式の混練機(特殊機化工業株式会社製、型式「TKハイビスディスパーミックス・HDM−3D−20」)中の蒸留水8kgに、ひねりブレードを主回転軸10rpm、副回転軸30rpmで回転させ、混練りしながら30分かけて連続的に添加した。その後、更に1時間、全固形分43%の状態で、ひねりブレードの副回転軸を30rpmで回転させる混練操作と、直径80mmのコーレス型高速回転翼の副回転軸を2000rpmで回転させる分散処理を、それぞれ主回転軸を10rpmで回転させながら、同時に実施した。
【0047】
得られたスラリーをイオン交換水で希釈し、全固形分30%のシリカを含む水性コロイドを得た。これを更に孔径1μmのデプスカートリッジフィルタ処理することにより粗大粒子を除去した。得られた水系分散体に含まれるシリカの2次粒子の平均粒径は0.23μmであった。
【0048】
比較例4(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
比較例2において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用した他は実施例4と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は1800オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところ426個であった。
【0049】
比較例5[無機粒子の水系分散体(半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体)の製造]
ヒュームド法シリカに代え、ヒュームド法アルミナ(デグサ社製、商品名「A-luminium Oxide C」)を用いた他は、比較例3と同様にして水系分散体を得た。この水系分散体に含まれるアルミナの平均粒径は0.16μmであった。
【0050】
比較例6(タングステン製被加工膜の化学機械研磨)
比較例5において得られた水系分散体に硝酸鉄水溶液及び水を添加し、重合体粒子の濃度を3重量%、硝酸鉄の濃度を3重量%に調整した化学機械研磨用水系分散体を使用した他は実施例4と同様にしてタングステン製の被加工膜を化学機械研磨した。その結果、実施例2と同様にして算出された研磨速度は2300オングストローム/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨、洗浄、乾燥した後、実施例2と同様にしてスクラッチを測定したところ2083個であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体を研磨剤として半導体装置の被加工膜を研磨すれば、研磨速度が大きく、且つ被研磨面に傷が付くこともない。また、特に、本発明に記載の重合体粒子を含有する水系分散体とすることにより、十分な速度で、しかも被研磨面を傷付けることなく、半導体装置の被加工膜を研磨することができる。更に、本発明によれば、本発明の水系分散体を用いて被加工膜を研磨することにより、容易に半導体装置を製造することができる。
Claims (7)
- 重合体粒子を含有し、該重合体粒子は5〜80重量%の架橋性単量体と、20〜95重量%のその他の単量体とを共重合させてなることを特徴とする半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体。
- 上記重合体粒子の平均粒子径が0.13〜0.8μmである請求項1記載の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体。
- 界面活性剤、重合体粒子及び水を含有する化学機械研磨用水系分散体であって、該化学機械研磨用水系分散体を100重量%とした場合に、該界面活性剤の含有量は0.15重量%以下であり、
該重合体粒子は5〜80重量%の架橋性単量体と、20〜95重量%のその他の単量体とを共重合させてなることを特徴とする半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体。 - 更に酸化剤を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体。
- 更に有機酸を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体。
- 請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体を用いて半導体装置の被加工膜を研磨する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 上記被加工膜がシリコン酸化膜、アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜、シリコン窒化膜、純タングステン膜、純アルミニウム膜、純銅膜、タングステンと他の金属との合金からなる膜、アルミニウムと他の金属との合金からなる膜、銅と他の金属との合金からなる膜、タンタル酸化物、チタン酸化物、タンタル窒化物又はチタン窒化物からなる膜である請求項6記載の半導体装置の製造方法。
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