JP5288097B2 - 化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法 - Google Patents

化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法 Download PDF

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本発明は化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法に関する。
高性能LSIに搭載される銅ダマシン配線は、化学機械研磨(以下、「CMP」ともいう。)を用いて形成される。CMPでは、絶縁材中に形成された溝などに配線材料を埋め込んだ後、余剰な配線材料を化学機械研磨により除去することによって所望の配線を形成する。
このような化学機械研磨工程において、研磨に使用された化学機械研磨用水系分散体や、被研磨物であるウエハー上に形成されている半導体デバイスの各層材料から削り取られて生じる研磨屑、および研磨パッドから削り取られて生じる研磨屑等を含む研磨排水(以下、「CMP排水」ともいう。)が排出される。このようなCMP排水に含まれる研磨屑は、半導体デバイスの各層の研磨面を傷つける原因になり、研磨屑の蓄積した場合には研磨性能が低下するので、CMP排水は化学機械研磨用水系分散体として再利用されずに排水処理されている。これに対し、近年の半導体デバイスの高集積度化に伴い化学機械研磨用水系分散体の使用量が飛躍的に増大しているため、CMP排水の排出量を低減することが要求されている。
環境への負荷を低くすると同時に半導体の製造コストの低減を行う観点から、最も効率的なCMP排水の低減技術は化学機械研磨用水系分散体を再使用する技術である。たとえば、特許文献1には化学機械研磨用水系分散体をイオン除去膜を使用して再使用する技術が記載され、特許文献2には、化学機械研磨用水系分散体を振動子により砥粒を再分散して再使用する技術が記載されている。また、特許文献3、4には使用後の化学機械研磨用水系分散体へ新たな化学機械研磨用水系分散体や添加剤を加えて再生し、再利用する技術が記載されている。さらに特許文献5には、遠心分離を利用してCMP排水中に含まれる粗大粒子を除去し、回収した砥粒を再度CMP化学機械研磨用水系分散体に使用する方法が記載されている。
しかしながら、これらのリサイクルシステムでは銅などの配線金属を研磨することにより発生する金属イオンが蓄積され、初期の研磨性能と再生後の研磨性能が大幅に変化するため、実用的な再利用ができない問題があった。
特開平11−10540号公報 特開平11−277434号公報 特開2000−71172号公報 特開2001−162534号公報 特開2002−170793号公報
本発明は、銅などの金属膜、タンタルなどのバリアメタル膜、絶縁膜の研磨性能に優れると同時に、簡単な工程を経ることにより繰り返し使用することの可能な化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは(A)砥粒、(B)有機酸、および(C)銅イオンを含有し、前記(A)砥粒の長径Rmaxと、短径Rminの比率Rmax/Rminが1.0〜1.5であり、前記(C)成分の濃度が1.0×10〜1.0×10ppmである化学機械研磨用水系分散体を用いて前記課題を解決できることを見出した。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(A)砥粒がシリカであることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、前記(B)有機酸が含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物、およびアミノ酸よりなる群から選択される一種であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、
(a)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体を回収する工程と、
(b)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体中の粗大粒子を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、銅などの金属膜、タンタルなどのバリアメタル膜、絶縁膜の研磨性能に優れると同時に、簡単な工程を経ることにより繰り返し使用することの可能な化学機械研磨用水系分散体、化学機械研磨用水系分散体の製造方法および化学機械研磨方法を提供する。
〔化学機械水系分散体〕
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)砥粒、(B)有機酸、および(C)銅イオンを含有し、前記(A)砥粒の長径Rmaxと、短径Rminの比率Rmax/Rminが1.0〜1.5であり、前記(C)成分の濃度が1.0×10〜1.0×10ppmである化学機械研磨用水系分散体である。以下、各成分について詳細に説明する。
<(A)砥粒>
本発明に用いられる(A)砥粒としては、無機粒子が好ましい。無機粒子としては、ヒュームド法により、塩化ケイ素、塩化アルミニウムまたは塩化チタン等と酸素および水素とを気相中で反応させて合成されたヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニア;ゾルゲル法により、金属アルコキシドを加水分解縮合して合成されたシリカ;無機コロイド法等により合成され、精製により不純物を除去した高純度コロイダルシリカ等が挙げられる。
前記(A)砥粒の長径(Rmax)と短径(Rmin)の比率Rmax/Rminは1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.4、さらに好ましくは1.0〜1.3である。Rmax/Rminが上記の範囲であると金属膜や絶縁膜に欠陥を引き起こすことなく、高い研磨速度と高平坦化特性を発現できる。Rmax/Rminが1.5より大きいと研磨後の欠陥が発生し、好ましくない。
ここで、前記(A)砥粒の長径(Rmax)とは、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立した砥粒粒子の像について、像の端部と端部を結んだ距離のうち最も長い距離を意味する。砥粒粒子の短径(Rmin)とは、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立した砥粒粒子の像について、像の端部と端部を結んだ距離のうち最も短い距離を意味する。
たとえば、図1に示すように透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立した砥粒粒子60aの像が楕円形状である場合、楕円形状の長軸aを砥粒粒子の長径(Rmax)と判断し、楕円形状の短軸bを砥粒粒子の短径(Rmin)と判断する。図2に示すように、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立した砥粒粒子60bの像が2つの粒子の凝集体である場合、像の端部と端部を結んだ最も長い距離cを砥粒粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部と端部を結んだ最も短い距離dを砥粒粒子の短径(Rmin)と判断する。図3に示すように、透過型電子顕微鏡により撮影された一つの独立した砥粒粒子60cの像が3以上の粒子の凝集体である場合、像の端部と端部を結んだ最も長い距離eを砥粒粒子の長径(Rmax)と判断し、像の端部と端部を結んだ最も短い距離fを砥粒粒子の短径(Rmin)と判断する。
上記のような判断手法により、たとえば、50個の砥粒粒子の長径(Rmax)と短径(Rmin)を測定し、長径(Rmax)と短径(Rmin)の平均値を算出したあと、長径と短径との比率(Rmax/Rmin)を計算して求めることができる。
(A)砥粒の平均粒子径は5〜1000nmが好ましい。この平均粒子径は、レーザー散乱回折型測定機により、または透過型電子顕微鏡による観察により、測定することができる。平均粒子径が5nm未満では、十分に研磨速度が大きい化学機械研磨用水系分散体を得ることができないことがある。1000nmを超えると、ディッシングおよびエロージョンの抑制が不十分となることがあり、また(A)砥粒の沈降・分離により、安定な水系分散体を容易に得ることができないことがある。(A)砥粒の平均粒子径は前記範囲でもよいが、より好ましくは10〜700nm、特に好ましくは15〜500nmである。平均粒子径がこの範囲にあると、研磨速度が大きく、ディッシングおよびエロージョンが十分に抑制され、かつ粒子の沈降・分離が発生しにくい、安定な化学機械研磨用水系分散体を得ることができる。
前記(A)砥粒の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の総量を100質量%とした場合に、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましいく、0.1〜4質量%がさらに好ましい。(A)砥粒の含有量が前記範囲未満になると十分な研磨速度を得ることができないことがあり、前記範囲を超えるとコストが高くなるとともに、安定した化学機械研磨用水系分散体を得られないことがある。
<(B)有機酸>
本発明に用いられる(B)有機酸は、銅イオンまたは銅膜の表面に対し配位能力を有する有機酸が好ましい。より好ましくは、銅イオンまたは銅膜の表面に対しキレート配位能力を有する有機酸であり、たとえば、含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物、およびアミノ酸よりなる群から選択される一種であることが好ましい。
(含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物)
本発明に用いられるに用いられる含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物が有する複素環としては、ピロール構造、イミダゾール構造、トリアゾール構造などの複素五員環;ピリジン構造、ピリミジン構造、ピリダジン構造、ピラジン構造などの複素六員環が挙げられる。このような複素環は縮合環を形成していてもよい。具体的には、インドール構造、イソインドール構造、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キナゾリン構造、シンノリン構造、フタラジン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造などが挙げられる。
このような構造を有する有機化合物のうち、ピリジン構造、キノリン構造、ベンゾイミダゾール構造、またはベンゾトリアゾール構造を有する有機化合物が好ましい。
含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物としては、たとえば、キノリンカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピラジンカルボン酸等を挙げることができる。これらのうち、キナルジン酸(たとえば、2−キノリンカルボン酸)、キノリン酸(たとえば、2,3−ピリジンジカルボン酸)がより好ましい。
(アミノ酸)
アミノ酸としては、たとえば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、パリンなどが挙げられる。特に、含窒素複素五員環とカルボキシル基を有する化合物、含窒素複素六員環とカルボキシル基を有する化合物であり、かつアミノ酸であるヒスチジン、トリプトファン、プロリンは前記(B)成分として最も好ましく用いることが可能である。
これらの(B)有機酸は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、後述する銅錯体に用いる配位子と同じ化合物を含むことが好ましい。
これらの(B)有機酸の含有量は、水系分散体を100質量%とした場合に、0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%とすることができる。(B)有機酸の含有量が前記範囲未満の場合には、化学機械研磨用水分散体を再使用する際に銅イオンの析出が発生し、被研磨ウエハーにスクラッチを発生させる可能性があり、一方、前記範囲を越えると、Cu膜などの金属膜の腐食やディッシングが大きくなるおそれがある。
<(C)銅イオン>
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に含有される(C)銅イオンの濃度は1.0×10〜1.0×10ppmであり、好ましくは3.0×10〜8.0×10ppm、さらに好ましくは5.0×10〜5.0×10ppmである。なお、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に含有される(C)銅イオンの濃度とは、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の全ての成分を含めた100質量%中に含有される(C)銅イオンの重量から算出される重量濃度である。このような(C)銅イオンの濃度は、原子吸光分析法、全反射蛍光X線分析法等、公知の方法により本発明に係る化学機械研磨用水系分散体から定量することができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、(C)銅イオンの濃度が前記範囲であることにより、銅膜を研磨する場合の化学機械研磨用水系分散体中の銅イオン濃度の変化量を抑制し、安定した研磨特性を維持することができる。たとえば、銅膜の研磨前の化学機械研磨用水分散体中に含まれる銅イオン濃度を100質量%とした場合、銅膜の研磨により溶出した銅イオンによる化学機械研磨用水系分散体中の銅イオン濃度の上昇量を1〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%に抑制することができ、研磨中に化学機械研磨用水系分散体の研磨特性の変化を抑制することができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、(C)銅イオンの濃度が前記範囲であることにより、化学機械研磨用水分散体へ研磨により溶出した銅イオンを除去する工程を簡略化することが可能となり、化学機械研磨用水系分散体を再使用することが可能となる。これに対して、化学機械研磨用水系分散体に含有される銅イオンの濃度が前記範囲を超える場合、研磨後の配線上に銅イオンが付着して残留し、被研磨物である半導体回路の電気特性の悪化による歩留まりの低下等が誘発されるため好ましくない。また、化学機械研磨用水系分散体に含有される銅イオンの濃度が前記範囲より小さい場合、再使用するために銅イオンを使用前の濃度まで除去することが非常に困難となり、初期の特性と同じ研磨特性を持つ化学機械研磨用水系分散体を再生することが困難となるため好ましくない。
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、(C)銅イオンを水溶性の無機塩、あるいは有機酸との塩として配合し、化学機械研磨用水系分散体に含有させることができる。このような水溶性の無機塩としては、たとえば、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅などを用いることができる。有機酸との塩としては、本発明の化学機械研磨用水系分散体に含まれる前記(B)有機酸との塩や錯体として配合し、含有させることが好ましい。前記(B)有機酸との塩として配合し、さらに前記(B)有機酸を含有することにより、研磨により化学機械研磨用水系分散体中に溶出する銅イオンが、あらかじめ添加されている前記(B)有機酸との塩と同じ化学特性を持つため、再使用を行う際に銅イオンを十分に除去する工程を経なくても化学機械研磨用水系分散体の研磨特性を変化させることがない。
<界面活性剤>
本発明の化学機械研磨用水系分散体には、さらに非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤を配合することができる。前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤や三重結合を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール型非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。また、三重結合を有する非イオン性界面活性剤としては、アセチレングリコールおよびそのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコールなどが挙げられる。また、シリコーン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、シクロデキストリン、ポリビニルメチルエーテル、およびヒドロキシエチルセルロースなども挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族せっけん、硫酸エステル塩、およびリン酸エステル塩などが挙げられる。前記カチオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩および脂肪族アンモニウム塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの界面活性剤は、化学機械研磨用水系分散体の総量100質量%に対して、好ましくは2質量%以下、より好ましくは0.01〜2質量%の量で含有される。界面活性剤の量が0.01質量%未満になるとディッシング、エロージョン等を十分に抑制することができないことがあり、界面活性剤の量が2質量%を超えると研磨速度の低下等を招き、さらに発泡が抑制できなくなることもある。
本発明の化学機械研磨用水系分散体には、アニオン界面活性剤を使用する場合、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムあるいはドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムが好適に使用される。ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムやドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムはドデシルベンゼンスルホン酸を水酸化カリウムまたはアンモニアによって中和することにより調製することができる。前記ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、および/またはドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムの含有量は、水系分散体の総量100質量%に対して、0.002〜1質量%とすることができ、好ましくは0.005〜0.5質量%、更には0.007〜0.3質量%とすることができる。また両者を併用することもできる。界面活性剤の含有量が1質量%を越えると、研磨レートの低下などの研磨性能の低下が起こり好ましくない。また、0.002質量%未満ではエロージョンの抑制効果が十分でない。
さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、および/またはドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムの一部を、他の界面活性剤で置き換えることができる。このとき使用しうる他の界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系及び非イオン系のいずれをも挙げることができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル塩などが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等のエステル型などが挙げられる。これらの界面活性剤を併用する場合は、その使用量は、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、および/またはドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムと他の界面活性剤の合計量に対して10質量%未満とすることができる。
<pH調整剤>
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらにpH調整剤を含むことができる。pH調整剤としては有機酸、塩基化合物等を用いることができる。本発明に用いることのできる有機酸は、例えばアミノ酸としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、システイン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、およびトリプトファンなどが好ましい。有機酸としては、ギ酸、乳酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、グリコール酸、フタル酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アントラニル酸、マロン酸およびグルタル酸、少なくとも1個のN原子を含む複素六員環を含む有機酸、複素五員環からなるヘテロ環化合物を含む有機酸が挙げられる。より具体的には、キナルジン酸、キノリン酸、8−キノリノール、8−アミノキノリン、キノリン−8−カルボン酸、2−ピリジンカルボン酸、キサンツレン酸、キヌレン酸、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、7−ヒドリキシ−5−メチル−1,3,4−トリアザインドリジン、ニコチン酸、およびピコリオン酸などが好ましい。
本発明に用いることのできる有機酸の含有量は、化学機械研磨水分散体の総量を100質量%とした場合に、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.5質量%が好ましい。有機酸の含有量が0.001質量%未満の場合には、Cuディッシングが大きくなるおそれがある。一方、2.0質量%を越えると、(A)砥粒の沈降・分離により、安定な水系分散体を作成することができないことがある。
本発明に用いることのできる塩基化合物は、有機塩基、無機塩基のいずれも使用することができる。有機塩基としては、エチレンジアミン、エタノールアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等が挙げられる。無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、これらの塩基1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
これらの塩基は、水系分散体を100質量%とした場合に、10質量%以下とすることができ、特に0.001〜8質量%含有させることができる。塩基の含有量が10質量%以下の範囲であれば、分散性に優れ、十分に安定な水系分散体とすることができるため好ましい。
前記のpH調整剤を添加することにより、本発明の化学機械研磨用水系分散体を最適なpHに維持することができる。本発明の化学機械研磨用水系分散体のpHは被研磨膜の膜質に応じて適宜調整すればよいが、たとえば、低誘電絶縁膜が誘電率2.0〜2.5の多孔質膜である場合、pH7〜11が好ましく、pH8〜10が更に好ましい。
<酸化剤>
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらに酸化剤を含むことができる。酸化剤としては、被研磨面である金属膜の電気化学的性質などにより、例えば、Pourbaix線図等によって適宜のものを選択して使用することができる。たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硝酸第二鉄、硝酸二アンモニウムセリウム、硫酸鉄、オゾンおよび過ヨウ素酸カリウム、過酢酸などが挙げられる。これらの酸化剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの酸化剤のうち、分解生成物が無害である点で、過酸化水素、有機過酸化物、および過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が特に好ましい。さらに酸化力および再使用の容易さなどを考慮すると、過酸化水素が特に好ましい。
酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の総量の0.01〜9質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.02〜6質量%がさらに好ましく、0.05〜2質量%が最も好ましい。酸化剤の含有量が前記範囲未満の場合には、銅膜の表面を十分に酸化させることができないため、十分な研磨速度を確保できないことがあり、一方、前記範囲を越えると、銅膜などの銅膜の腐食やディッシングが大きくなるおそれがある。
<水溶性高分子>
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、さらに水溶性高分子を含むことができる。水溶性高分子としては、たとえばポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等をあげることができる。これらの水溶性高分子は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定された、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)が1000を超え、好ましくは1万を超えて200万以下、より好ましくは20万〜150万、さらに好ましくは50万〜130万である。重量平均分子量が前記範囲にあると、金属膜や絶縁膜に対して高い研磨速度を維持しながら、金属膜スクラッチ等のディフェクトを抑制することができる。重量平均分子量が前記下限より小さいと金属膜や絶縁膜の研磨選択性が低下することがある。また、重量平均分子量が大きすぎると実用的な金属膜研磨速度が得られず、化学機械研磨用水系分散体供給装置内で(A)砥粒の凝集を引き起こし、凝集した(A)砥粒によってCu上のスクラッチが増加するおそれがある。
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、必要に応じて水溶性高分子を含有することができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルオキサゾリン、ポリビニルイミダゾールなどのビニル系合成ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉などの天然多糖類の変性物などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの水溶性高分子は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子は、ホモポリマーでもよいが、2種以上の単量体とを共重合させた共重合体であってもよい。カルボキシル基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、ヒドロキシル基を有する単量体、ポリエチレンオキシド鎖を有する単量体、アミノ基を有する単量体、複素環を有する単量体などを用いることができる。
アミド基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどを用いることができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらの塩を用いることができる。これらは、酸無水物の状態で用いてもよい。
ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルグリコール酸などを用いることができる。側鎖のアルキル鎖長、エチレンオキシド鎖長、は特に限定はされない。
アミノ基を有する単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、などを用いることができる。側鎖のアルキル鎖長は特に限定はされず、また、種々のカチオン化剤によって、4級塩化されたものであってもよい。
複素環を有する単量体としては、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルオキサゾリン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルピロール、ビニルキノリンなどを用いることができる。
また、分子内に重合性二重結合とスルホン酸基を有する界面活性剤が市販されており、このような界面活性剤を単量体として用いてもよい。このような界面活性剤としては、エレミノールJS−2(三洋化成社製)、ラテムルASK(花王社製)などがある。
その他の単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、リン酸化合物などを挙げることができる。前記単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、2,000〜1,200,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量が前記範囲にあると、銅膜のディッシング抑制効果を向上させることができる。
水溶性高分子の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の質量に対し0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が前記範囲にあると、銅膜のディッシング抑制効果を向上させることができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体の粘度は10mPa・s未満であることが好ましい。この粘度はポリ(メタ)アクリル酸およびその塩の平均分子量および含有量をコントロールすることによって調整することができる。化学機械研磨用水系分散体の粘度が前記範囲を超えると研磨布上に安定して化学機械研磨用水系分散体を供給できないことがある。その結果、研磨布の温度上昇や研磨むら(面内均一性の劣化)などが生じて、金属膜および絶縁膜の研磨速度やCuディッシングにばらつきが発生することがある。
〔化学機械研磨用水系分散体の製造方法〕
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、前記化学機械研磨用水系分散体の使用後に排出されるCMP廃液を、(a)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体を回収する工程と、(b)研磨に用いられた化学機械研磨用水系分散体中の粗大粒子を除去する工程を含む、化学機械研磨用水系分散体の製造方法により製造、さらに再生利用することができる。以下、各工程について詳細に説明する。
前記(a)工程は、(A)砥粒の分散特性に変化を与えない方法であればどのような方法でも適応することが可能である。たとえば、特開平11−10540号公報や特開平11−277434号公報に記載されているように、研磨に使用した後の化学機械研磨用水系分散体を回収するラインを装置に設けてバッファータンクに回収してもよい。
前記(a)工程は、遠心分離により砥粒を分散媒から分離した後、分離した砥粒と必要な成分を再度所定の濃度になるように調整することによっても達成できる。たとえば、特開2002−170793に記載されているような方法を用いて、前記(A)砥粒を分離し、回収した砥粒へ必要な成分を再度添加することにより達成させることができる。
前記(b)工程は、回収された化学機械研磨用水系分散体中に含まれる(A)砥粒の濃度と(B)有機酸の濃度、および(C)銅イオンの濃度に変化を与えない方法であればどのような方法でも適用することができる。なお、(A)砥粒の濃度に変化を与えないとは、前記工程(b)を行う前の(A)砥粒の含有量を100質量%とすると、前記工程(b)終了後の(A)砥粒の含有量が100〜80質量%であり、好ましくは99〜90質量%、最も好ましくは98〜95質量%である状態をいう。また、(B)有機酸の濃度の濃度に変化を与えないとは、前記工程(b)を行う前の(B)有機酸の濃度の含有量を100質量%とすると、前記工程(b)終了後の(A)砥粒の含有量が100〜80質量%であり、好ましくは99〜90質量%、最も好ましくは98〜95質量%である状態をいう。さらに(C)銅イオンの濃度に変化を与えないとは、前記工程(b)を行う前の(C)銅イオンの含有量を100質量%とすると、前記工程(b)終了後の(C)銅イオンの含有量が100〜80質量%であり、好ましくは99〜90質量%、最も好ましくは98〜95質量%である状態をいう。
前記(b)工程は、具体的には、メッシュやフィルターによる粗大粒子、研磨屑の濾過などの方法を適応することができ、例えば特開平11−10540号公報や特開平11−277434号公報に記載されている方法を適応することができる。
〔化学機械研磨方法〕
本発明に係る化学機械研磨方法は、溝部を有する基材と該溝部に埋設された金属材料とからなり、該金属材料が金属配線部を形成する配線基板(図4(c)および図5(c))を製造する際に、該配線基板の金属配線部を有する面上に形成された金属層を化学機械研磨する方法であって、前記金属層を、前記化学機械研磨用水系分散体を供給しながら研磨する方法である。前記基材は、必要に応じて、溝部の底面および内壁面、ならびに溝部を有する基材面にバリアメタル層を有していてもよい(図5)。
このような表面に金属層を有する配線基板としては、超LSI等の半導体装置の製造過程において得られる、研磨処理前の半導体基板が挙げられる。
金属配線部分および金属層を形成する金属としては、純タングステン、純アルミニウム、純銅等の純金属;タングステン、アルミニウム、銅等と他の金属との合金が挙げられる。非配線部分を構成する材料は、絶縁性を有する材料であれば特に限定されないが、酸化ケイ素、絶縁性樹脂などが挙げられる。バリアメタル層を構成する金属としては、タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等が挙げられる。
研磨装置としては、市販の化学機械研磨装置(たとえば、(株)荏原製作所製、型式「EPO−112」、「EPO−222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」;アプライドマテリアル社製、商品名「Mirra」)を用いることができる。
本発明に係る化学機械研磨方法を、以下に図を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明で研磨される配線基板素材は、配線基板の金属配線部を有する面上に金属層4が形成されたものであり(図4(a)または図5(a))、前記配線基板は、図4(c)または図5(c)に示すように、溝部を有する基材2とこの溝部に埋設された金属材料1とからなり、この金属材料は金属配線部を形成する。
まず、図4(a)または図5(a)に示すような配線基板素材を研磨装置に装着し、前記化学機械研磨用水系分散体を供給しながら金属層4を研磨する。この研磨は、配線基板の金属配線部1以外の非配線領域2aにおいて金属層4と異なる層が露出した時点(エンドポイント(図4(b)または図5(b))まで実施する。金属層4と異なる層は、基材2aまたはバリアメタル層3bである。このエンドポイントは、研磨中のモーターへの電流値を測定することによりトルクの変化を検知して決定したり、渦電流法で検出して決定したり、被研磨表面の色の変化を光学的に検出して決定したりすることができる。
なお、研磨パッドの種類、キャリア荷重、キャリア回転数、定盤回転数、水系分散体の流量などの研磨条件は、研磨される金属層の材質により適宜決定される。
前記化学機械研磨用水系分散体のみを用いた前記エンドポイントまでの研磨では、非配線領域に金属層が一部残存していることが多い(図4(b)または図5(b))。そこで、前記エンドポイントまで研磨した後、引き続いて、前記化学機械研磨用水系分散体、あるいは研磨速度比の異なる化学機械研磨用水系組成物を供給しながら所定時間、オーバー研磨して残存した金属層4aを除去する。オーバー研磨時間は、実験的に適宜設定されるが、通常、前記エンドポイントまでの研磨時間の0〜50%の時間が好ましい。また、研磨パッドの種類、キャリア荷重、キャリア回転数、定盤回転数、化学機械研磨用水系分散体の流量などの研磨条件は、研磨される金属層の材質により適宜決定される。オーバー研磨時の化学機械研磨用水系分散体の流量は、前記エンドポイントまでの研磨時の化学機械研磨用水系分散体の流量以下が好ましい。
このようにして金属層を研磨した後、配線基板の表面に残留した(A)砥粒を、通常の洗浄方法などで除去することが好ましい。
このように、化学機械研磨用水系分散体のみを供給して、基材またはバリアメタル層が露出するまで研磨した後、引き続いて、前記化学機械研磨用水系分散体、あるいは研磨速度比の異なる化学機械研磨用水系組成物を供給してオーバー研磨することにより、ディッシングの拡大を防止し、かつ銅残りのない研磨を達成することができる。また、本発明に係る化学機械研磨方法では、コロージョン発生もなく、平坦かつ良好な金属配線基板を得ることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「質量%」を示す。
〔調製例1〕
(ヒュームドシリカ粒子含有水分散体の調製)
ヒュームドシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル 90G)100重量部を、イオン交換水900重量部に超音波分散機によって分散し、孔径5μmのフィルターを通して濾過し、ヒュームドシリカ粒子を10質量%含有するヒュームドシリカの水分散体(1)を調製した。
〔調製例2〕
(コロイダルシリカ含有水分散体の調製)
濃度25質量%のアンモニア水60質量部、イオン交換水40質量部、エタノール170質量部およびテトラエトキシシラン20質量部を、フラスコに仕込み、回転速度180rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。温度を60℃に維持しながら撹拌を2時間継続してコロイダルシリカ粒子のアルコール分散体を得た。
引き続きイオン交換水を添加してロータリーエバポレータによりアルコール成分を除去し、コロイダルシリカ粒子を10質量%含むコロイダルシリカの水分散体(2)を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ平均一次粒子径は30nmであり、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、動的光散乱式粒子径分布測定装置、型番「HORIBA LB550」)によって測定した平均二次粒子径は65nmであった。
〔調製例3〕
(コロイダルシリカ含有水分散体の調製)
濃度25質量%のアンモニア水70質量部、イオン交換水30質量部、エタノール100質量部およびテトラエトキシシラン30質量部を、フラスコに仕込み、回転速度180rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。温度を70℃に維持しながら撹拌を2時間継続してコロイダルシリカ粒子のアルコール分散体を得た。
引き続きイオン交換水を添加してロータリーエバポレータによりアルコール成分を除去し、コロイダルシリカ粒子を10質量%含むコロイダルシリカの水分散体(3)を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ平均一次粒子径は30nmであり、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、動的光散乱式粒子径分布測定装置、型番「HORIBA LB550」)によって測定した平均二次粒子径は75nmであった。
<化学機械研磨用水系分散体の調製>
[実施例1]
化学機械研磨用水系分散体の総量を100質量%となるように、固形分換算にて1.2質量%に相当する量のヒュームドシリカ水分散体(1)をポリエチレン製の瓶に入れ、これに、表1に記載の(A)砥粒、(B)有機酸、その他の添加剤、30質量%過酸化水素水、(C)銅イオンを表1記載の所定の含量になるように添加して十分に攪拌した。なお、(C)銅イオンは、1%硝酸銅水溶液を添加することにより、表1に記載の銅イオン濃度となるように調整した。攪拌しながら化学機械研磨用水系分散体pHが9となるようにアンモニア水溶液を添加し、最後に全構成成分の量が100質量%となるようにイオン交換水を加えて1時間撹拌した。その後、孔径5μmのフィルターでろ過することにより、化学機械研磨用水系分散体を得た。この化学機械研磨用水系分散体を原子吸光法により銅イオンの濃度を測定したところ、6.0×10ppmであり、配合量に見合った銅イオンを含有していることを確認した。
前記化学機械研磨用水系分散体を、イオン交換水にて0.01質量%に希釈し、メッシュサイズが150マイクローメートルのCuグリットを有するコロジオン膜に1滴のせ、室温にて乾燥した。こうして、Cuグリット上に粒子形状を崩さないように観察用のサンプルを調整した後、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「H−7650」)を用いて撮影倍率20000倍にて粒子の画像を撮影し、50個のシリカ粒子を測定し、長径の平均値、短径の平均値を算出し、長径と短径の比率を算出した結果、Rmax/Rminは1.1であった。
[実施例2〜3、比較例1〜3]
前記調製方法と同様にして各例で使用する化学機械研磨用水系分散体を、表1の組成に調製した。なお、実施例3、比較例3では48質量%水酸化カリウム水溶液を添加してpHを調整した。
<銅膜の研磨速度評価>
化学機械研磨装置((株)アプライドマテリアル社製、型式「MIRRA−Mesa」)に、多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ローム&ハース(株)製、品番「IC」)を装着し、前記で調製した分散体を供給しながら、後述する研磨速度測定用基板について、後述する研磨条件にて1分間化学機械研磨処理を行い、下記の手法によって銅膜の研磨速度を算出した。銅膜の研磨速度は、好ましくは800nm/分以上であり、より好ましくは1000nm/分以上である。
(a)研磨速度測定用基板
・8インチ熱酸化膜付きシリコン基板上に膜厚1500nmの銅膜が設けられたもの。
(b)研磨条件
・研磨パッド :Rodel社製、商品名:IC1000
・ヘッド荷重 :200g/cm2
・ヘッド回転数:80rpm
・定盤回転数 :100rpm
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:200mL/min
(c)研磨速度の算出方法
抵抗率測定器(エヌピーエス(株)製、形式「S−5」)を用いて、直流4針法によって研磨処理後のシート抵抗値を測定し、下記式によって研磨後の金属膜の厚さを算出し、化学機械研磨により減少した膜厚とエンドポイント時間とから研磨速度を算出した。
金属膜の厚さ(オングストローム)=シート抵抗値(Ω/cm)÷各金属の理論抵抗値(Ω/cm)×10
<銅膜の研磨性能評価>
パターン付きウエハー(SEMATECH INTERNATIONAL製、形式「SEMATECH 854」、種々の配線パターンを有する銅膜研磨のテスト用の基板)を被研磨物として、研磨時間を、研磨開始からテーブルトルク電流の変化によって検出した終点に到るまでの時間の1.3倍としたこと以外は、前記「銅膜の研磨速度評価」における研磨条件と同様にして、化学機械研磨を行い、下記のようにして微細配線パターン上の銅残り、銅配線のエロージョンを評価した。
(a)エロージョンの評価方法
幅9μmの銅配線部と幅1μmの絶縁部が交互に連続したパターンが、長さ方向に1.25mm連続した部分について、配線群の中央部の両端部に対する窪み量(エロージョン)を、精密段差計(ケーエルエー・テンコール社製、形式「HRP−240」)を使用して測定した。この結果を表2〜4に示す。一般的に、エロージョンは、500nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましい。
表1に実施例1〜3、比較例1〜3で使用した化学機械研磨用水系分散体の組成、および銅膜の研磨性能評価の結果を「研磨結果」として示す。
<化学機械研磨用水系分散体の再使用研磨評価>
前記<銅膜の研磨速度評価>で使用した化学機械研磨用水系分散体を、(株)日立工機製の日立高速冷却遠心機CR22Eを用い、ロータとして同遠心機用の連続ロータR18Cを用いて、最大遠心加速度が1000G、回転時間が10分の条件で遠心分離を行い、砥粒を沈降させることにより回収した。回収した砥粒は乾燥させることなく、全ての砥粒が回収できたと仮定して、再度、化学機械研磨用水系分散体の総量を100質量%となるように、(A)砥粒、(B)有機酸、その他の添加剤、30質量%過酸化水素水、(C)銅イオンを表1記載の所定の含量になるように添加して十分に攪拌した。なお、(C)銅イオンとしては相当する1%硝酸銅水溶液を表1に記載の銅イオン濃度となるように添加した。攪拌しながら化学機械研磨用水系分散体pHが9となるようにアンモニア水溶液を添加し、最後に全構成成分の量が100質量%となるようにイオン交換水を加えて1時間撹拌した。その後、10μmのフィルターでろ過して化学機械研磨用水系分散体を作成した。
このようにして作成した化学機械研磨用水系分散体を用いて、前記<銅膜の研磨速度評価>に使用した結果を「再使用研磨結果」として表1へ示す。
Figure 0005288097
表1によれば、実施例1〜3の化学機械研磨用水系分散体を用いることにより、半導体基板に形成された銅層を化学機械研磨する際に、被研磨面におけるエロージョンの発生を大幅に抑制され、かつ研磨速度も十分であることがわかった。これにより、十分に平坦化された精度の高い被研磨面を得ることがでることが明らかとなった。さらに、再使用研磨結果も、初期の結果に劣ることがないため、研磨性能を劣化させることなしに再使用することができることが明らかであった。
一方、比較例1〜3の化学機械研磨用水系分散体を用いた場合、再使用研磨を実施すると研磨特性が大幅に低下するため、再使用できないことが明らかになった。
砥粒粒子の長径および短径を模式的に示した概念図である。 砥粒粒子の長径および短径を模式的に示した概念図である。 砥粒粒子の長径および短径を模式的に示した概念図である。 本発明に係る化学機械研磨方法における各工程の一例を示す図である。 本発明に係る化学機械研磨方法における各工程の一例を示す図である。
符号の説明
60a・60b・60c…砥粒粒子
1 金属材料(金属配線部)
2 基材
2a 非配線領域
3a 基材の溝部のバリアメタル層
3b 非配線領域上のバリアメタル層
4 金属層
4a 残存した金属層

Claims (5)

  1. (A)砥粒、(B)ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピラジンカルボン酸およびアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)銅イオンと、を含有し、
    前記(A)砥粒の長径Rmaxと短径Rminの比率Rmax/Rminが1.0〜1.5であり、
    前記(B)成分の含有量が0.01〜5質量%であり、
    前記(C)成分の濃度が.0×10〜1.0×10ppmである化学機械研磨用水系分散体。
  2. 前記(A)砥粒がシリカであることを特徴とする請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  3. 界面活性剤をさらに含む請求項1または請求項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
  4. (a)請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体の使用済み廃液を回収する工程と、
    (b)前記廃液中の粗大粒子を除去する工程と、
    を含む、化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いた化学機械研磨方法。
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